慧の字源

慧の旧字は｢ ｣では 上部が箒(ほうき)、下部が右手。　　　　

｢彗｣は箒(ほうき)を手に持つ形。

心（マインド）にあるものを掃きさった状態を意味する。

智慧の解釈に誤解がある。

中国仏教と日本仏教においては、智は世俗諦を知り分けるもの、慧は第一義諦（真諦）を悟るもの、と意味付ける解釈があった。

しかし、仏教でいう智慧には３つの意味があり、

１　梵: prajñāパーリ語paññāの訳語　　般若と同意

２　梵: jñānaの訳語　　悟りに導く心的能力として智

３　世俗的な賢しらな識別ではなく、世事を離れた叡智や、世事を見通す叡智を指す。

この文脈での智慧は一番目の般若の意味で使われているので、理性（知恵）や智性（サマディー、智慧）ではなく深層意識（観照）の領域を照らす語句で、慧の字源のとおり、心（マインド）を掃き清めるというダイナミックな動きであり、一切の現象や、現象の背後にある道理を直観し観照することで交流する動きをともなっている。

分子で構成される世界を基準にしている理性ではなく、

素粒子を構成しているダークマターを基準にしてた因果関係をベースにするのが智性であり、

この智性はダークマターよりさらに微細な構成要素であるダークエネルギーの因果関係を理解し、

さらには、エネルギーを持つダークエネルギーからエネルギーが０の世界へ離脱するのが智慧の力である。

また、このpaññāパンニャを養うことで、ヒトの深層意識と直接に繋がり、この世が苦であることを実感できるようなる。

ラリー・ローゼンバーグは苦労しながらひとまずpaññāを英語ではinsightと訳している。

パーリ語辞典

http://dictionary.sutta.org/browse/p/pa%C3%B1%C3%B1%C4%81

paññā

insight （vipassanā，q．v．），i．e．that intuitive knowledge which brings about the 4 stages of holiness and the realization of Nibbāna （s．ariyapuggala），and which consists in the penetration of the impermanency （anicca，q．v．），misery （dukkha，s．sacca） and impersonality （anattā） of all forms of existence．

以上のことから、paññāパンニャ（智慧）は大脳皮質を使うのではなく、内臓感覚（循環器系感覚と消化器系感覚）を使ってはじめて、「繋がり、融解、一体感、そしてその後の独立のプロセス」を体感する境地なので、「体」による感覚と表現するのは必ずしも間違えではないかもしれない。　

しかしこれらのプロセスを表層意識である「わたし」も認知することも同時に必須なので、もし「体」だけにこだわって「頭」の機能をないがしろにしているのであれば、それは落とし穴ともいえる。