人生を劇的に変える <ブッダの時間> ラマ・スールヤ・ダス ハーディング祥子訳 新潮社
1950年米国生まれ、20歳でインドに赴きヒマラヤ地方へ至りチベット仏教に出会う、 ニンマ派の教えを受け僧となった、ニヨシュル・リンポチュの弟子。 1991年帰国、ゾクチェン基金を設立し欧米でチベット仏教の普及に情熱を注ぐ。
( はじめに ) 時間と上手に付き合う
ここ数年多くの人達から忙しすぎるより複雑化した生活の中で、精神的なより処をどの ように見つけたらいいのかと尋ねられます、そこで厳しいスケジュールや・絶え間のない 変化に遅れる側でなく支配する人間、どのような状況でもいつも自分のペースで落ち着いて穏やかで生き生きとした心地の良い人生を送る方法について書くことにしました。
紀元前14世紀のエジプト王アメンホテブ4世の言葉
「今と云う瞬間をないがしろに する人間は持っているものを全てかなぐり捨てているようなものだ」 と。
これは日々覚えておく教訓です。 ブッダによる覚醒した生活を得る為の古い処方箋は非常に科学的で科学実験のように再現することが可能です〜「注意深くあれ」という教えに従えば、誰でもが自然との 調和やバランスが取れ人間の心に本来備わる時間にとらわれない本質に少しずつ気 付くようになり、既にそこに多くの人が到達しています。
本書は全ての章を通じて時間と上手に付き合うこと、今という瞬間に生きること、自分の可能性を知る事について書いています。
{ 第一章 自然の刻む時に目覚める }
* 時間の使い方の教え〜瞑想は訓練する程・深まっていき・ある時ふいに気付くと私 は時間から離れていました。全ては静まり返って、あるがままの姿で完璧な調和を保 っています。この忘れられない一瞬を経験してからは瞑想することが少し楽になりま した、長いこと瞑想を続けていくうち私はある秘密に気付きました、集中と気付きが 深まるにつれ時間が気にならなくなるのです。忙しい日常に足りないのは時間ではなく集中力です。私は修行を続け最終的にラマ・即ちチベット仏教の僧・瞑想及び 精神的指導者になる為3年3ヶ月3日修行に入る一大決心をしました。
この経験は私を変え 「時間は心の中にあるものだ」という事を教わり例え一瞬でも心の動きを止めれば宇宙の全てが止まる、あるのは無限の平和と調和だけです。 皆さんも又この本にある事を実践して “自然の時間に目覚め飛躍の感覚を味わえ るよう” 私は願っています。
* 自然のリズムを取り戻す〜病院デザイナーとして知られているバーバラ・ヒューイットによる生命愛の研究によれば窓から木々や花・空を見られる 病室にいる患者さんは、そうでない部屋の患者さんよりズーと回復が早い。
チベット僧によれば自然に元々備わっている魔法の力をドララと呼ぶ。 ドララは又深く感動した時・ふと我を忘れた時、即ち自分から離れ何処までも広がる 大空と一つになったと思われる時がドララの瞬間。
* ちょっと一息・
空を再発見する〜夜外に出て仰向きに寝ころび星を見上げながら何度か深呼吸して空の広がりを感じる
「じっくり見なさい、自分をそのまま受け入れ・ 抱きしめ・明け渡しなさい、入ってくるもの・出ていくものそのまま受け入れ・ありのままでいなさい、これが内なる自由と自主性の隠された本質、ありのままの自分でいなさい、静かでいなさい、全ては今ここにある、どこにも行かずここに在りなさい」
* 深呼吸して微笑み力を抜く・一休みしてリラックスする(静かな場所に座ります) できれば屋外で少なくとも3回行う。 多くの科学者や医師達が今、瞑想による複合的な効果に注目、瞑想の習慣は血圧を下げ心臓発作・心筋梗塞等の循環器系のリスクを軽減、ストレスホルモンの分泌減少、アテローム性動脈硬化の炎症を抑え記憶力・認識力・注意力の向上に役 立つと報告、又ハーバード大学医学部の心理学者マイケル・マギー氏の研究で瞑想は脳内の灰白質が増える・免疫機能が増進されストレスが減り平衡感覚が増して 頭が冴え気持ちが落ち着き幸福感を促進と。
「いま・ここ」の素晴らしさ
瞬間の崇高さ。さっきでももうすぐでもなく、「いま・ここ」です。
私たちがいるのはいつも「いま・ここ」という瞬間しかありません。
あらゆることが「いま・ここ」にあります。
好きな時に「いま・ここ」にスポットライトを当てればいいのです。
「いま・ここ」では一瞬一瞬が生まれ滅し、エネルギーに溢れ、自由で軽やかです。
{ 第二章 より高い“自分”の為に時間を作る }
ガンジーが自分の行動に一瞬一瞬心を向け、目の前の仕事に集中・愛するインドの 為に大英帝国を追放した、好んで使った言葉は
「私は疲れたことがない!何故ならいつも心が安らかだから 」と、出会ったもの・全ての人々に
「貴方の幸せ・平和・安寧・ 至福を祈ります、あなたが満ち足り・充たされ・常に成長し・光輝きますように、必要なもの・望むものがことごとく手に入りますように、夢がかないますように、人生に愛の花が咲 きますように心から祈りましょう」
充実した人生を送るために、ヒーローや高僧になる必要はありません。自分の中のエネルギーの動きを観察し、それに対してリニューアルしていく方法を知ってさえいればいいのです。
真の自分は、TPOによって変わる役割やペルソナのずっと奥底にあります。
この内なる聖なるものは、死も変化も衰退も時間もない。
* 賢い漁夫〜イエス
「人は海に網を投げる賢い漁夫のようなものだ、賢い漁夫は網の中の小魚は全て捨て海に返した」
小魚はその時々の欲望・野望・幸福・名声・喜び・慰め等儚い目標を指し、大きな魚は永遠に続く夢を見つけることを意味〜多くの 人が人生に一大目標を見つけられないでいます〜人生に目標を見出した人はより高い自分に熱心に関わるので時間も日々はアッという間に過ぎ常に満たされ新たにされるのを感じます。
* 気付きの時・より高い自分に近づく〜「やることリスト」 をもう一度チェック、本当に重 要?と、自分の胸に聞いてみましょう、本当に急ぎの件か、もっと大切なものは何か、 後回しでいいものは何か・・・
※ 仏性とは本当の自分のことで、時間も変化もありません。
この仏性を受け入れると、時空の中の役割の大切さを評価できるようになる。自分も人類の集合体の中の一つの細胞である。
仏性を受け入れるためには、心に浮かんだ事柄を外側の世界と結びつけるのを止めて、あるがままの姿の自分を受け入れること。考えたり、過去や未来を考えたり、悩むのをやめる。
* 大きな全体の一部〜細胞生物学者ブルース・リブトンはその著書「思考の凄い力」PHP研究所発行の中で〜人間の細胞の一つ一つが全人類の小宇宙のようなものだ!と驚くべき指摘をしています。
アルベルト・シュヴァイツァー博士の哲学 「生命への畏敬」「アフリカで自分の存在は他のいかなる存在とも変わりないと気づいた」 ジャングルの中にある彼の無料診療所に押し掛ける患者の為に50年に亘り働き続けた博士は神学者・オルガン奏 者としてヨーロッパ中に名を馳せ、バッハの演奏会は他に類を見ないほど素晴らし かったそうです、名声も富も投げ捨てアフリカのジャングルでの長年の行いでノーベ ル賞平和賞を授与された。
* 瞑想するチベット僧たちの前頭葉を最先端のコンピューター断層撮影法で脳内の 血流を調べ 瞑想する脳の中で自らの内側に焦点を向けると自分と宇宙の境界が消えていくのを実際の画像として映し出した」と驚くべき見解が得られたとアンドリュ ー・ニューバーグ医学博士が発表。
{ 第三章 同調する }
* 時間の不思議さを知る実例〜ハーバード大学の神経解剖学者ジム・ボルト・テイラ ーは37歳の時に重い脳梗塞、回復に要した辛い8年間の体験著書 「奇跡の脳」 新潮社発行の中で左脳の機能が失われ話すこと・読み書き・思い出すことが出来 なくなるまで4時間自分をじっと観察・理性・根拠・時間を優先した詳細な判断を司る左脳の機能が失われていくにつれテイラーはイメージや創造を司る右脳の二つの現実を行ったり来たり治療が続き論理を司る左脳が快方に向かうと片方の脳からもう片方の脳へとスイッチを切り替える術を習得した。それは強い意志と途方もない努力を要する仕事だった、この驚異の体験を説明する時「時間が存在しない」「お互いに繋がっている」「一瞬の中に」「全体像」「至福」「平和」の用語を繰り返している
*ちょっと一息・
火の呼吸〜“時”によるストレスから楽になる為に大きく息を吸い腹式 呼吸で下腹部を膨らませフーッと大きく息を吐きだす、これを7回もしくは21回、心と身体のエネルギーを調和させ身も心もすっかり静まってありのままの姿でそこにいる。
*気づきの時・数息観(左右交互鼻腔呼吸法)〜座って肩の力を抜き呼吸に集中両方の鼻から大きく息を吸ってお腹を膨らませる、左手の人差し指で左の鼻孔を押さえ右の鼻孔から完全に息を吐きだして右半身をすっかり空にします(太陽の男性ナ ーディ)次に大きく息を吸ってお腹を満たし今度は右手の人差し指で右の鼻孔を押 え左の鼻孔から力強く息を吐きだし・左半身を空っぽにする(月の女性的ナーディ) これをそれぞれ3〜7回
*心の奥の声を聴く〜ヒマラヤとインドで過ごした20年間でいくつもの奇跡を見た。その中で最大の奇跡は「無条件の愛」 心のたゆみない訓練が無条件の愛を与えたり受けたりするのを助けてくれ心も体も感情も肉体も成長を遂げていきます、その結果、感情的・精神的な知性や感受性が豊かになって人とのコミュニケーションや関係が改善されます、時間との付き合い方もより楽なものになります。又人生の最大の苦痛こそが人を最も成長させてくれることを、身をもって体験しました。
{ 第四章 直観力を理解する }
* 複数の仕事を一度にこなす〜女性は概して直観力が強く的確で言語能力が高い傾向にあると科学者は云っている、より大きな視野でモノを見ることが出来、より早く霊的成長を遂げ熟達する、但し同じ理由で女性は男性よりストレスを受け易く挫け易い傾向にある。男性は生理学的な違いから区分する事・特定の問題や目標に集中する事・感情や雑念を遮断する事にかけては女性より長けている。
{ 第五章 時間に賢く心を向ける }
*大いなるスローダウン〜「スロームーブメント」はもう一度生活を自然のリズムに合わせようという大衆運動
@ スローフード〜ファーストフードに対抗し安全な地産の自然食材を巧みに使い、 手の込んだ料理を作り仲間達と大いに楽しむ
A スローボディビルディング〜筋肉トレーニングを非常にゆっくり集中して持ち上げる苦しいトレーニング乍ら柔軟性・エネルギー活力強化等の優れた効果
Bスローセックス〜インドやチベットの性技に関する経典タントラにヒントを得て性 行為をゆっくり行い頂点に達する時間を延ばすことで性的な情熱を相手への深い思いやりや至福にまで高めようと云うもの
その他、スローダンシング、スローペアレンティング(自然育児)、スロートラベル、 スローマネー(ゆっくりした資産運用)これらの取り組みに携わっている人々が共通して楽しんでいるのが集中した気づきです。
何かを思い出したいときは 「そのうちに思い出せる」 と無理をせず気持ちを楽にしていると本当に思い出せるものです。
老子の言葉 「泥水をそのままにしておけばいい、いずれ澄んだ水になる」
友人の10歳になる娘さんの言葉 「パパそんなに急がないで!慌てなければ遅刻しない よ!」
ポーカーや麻雀・ヨーガの達人、狙撃手・メジャーリーグの選手あらゆる分野の歴戦の勇士達はどんな状況でも心の状態がまるで止まっているように静かにさせることが出来る、今・この時という特別な瞬間に心を集中させて相手を圧倒する。
* ちょっと一息・ロウソクの炎の瞑想〜楽な姿勢で座り光源を見つめる(あまり明るくな い電球でも可)穏やかな気持ちでジッと光源を見つめ乍ら息を吸って吐く
「呼吸を整え、心を落ち着かせる、光を見つめ光になる・光に息を吹き込み光と一体になる・ 光そのものになる」
* ブッダが勧めた正しい心の集中〜現存する最古の事業成功プラン
@ 正しい見方(正見)〜物事を曇りのない目で見る
A 正しい思い(正思惟)〜因果関係・原因と結果、互いが結びついている事、無常・主観性・無私の心を理解する
B 正しい言葉(正語)〜真実で状況に即した言葉・丁寧で役に立ち人を傷つけず、 善に繋がる言葉を使う
C 正しい行い(正業)〜嘘・窃盗・姦通・酒と云った思慮を欠く行いを誘うものを慎む
D 正しい暮し(正命)〜誰にも害を及ぼさず、自他ともに利益をもたらす正直で実りある 仕事に従事、有意義な人生を送る・天職を見つける
E 正しい努力(正精進)〜偏りのない努力・勤勉・エネルギー・忍耐力・喜びにあふれ た熱意
F 正しい気配り(正念)〜いつも心に気を配り判断に小細工をせず、今と云う時間を経 験することに注意を向ける
G 正しい集中力(正定)〜目の前にある仕事に集中し乍ら最終的には完璧な悟り・自由な心・内なる平安、死が存在しない至福に至る道に、しっかりと目を向ける
* 武士道における「禅」 は一瞬一瞬を生死の分かれ目と考えます。 人生を精神の緊急事態と見做して暮らすことで気づきに緊迫感が生まれ、今この時に生き“慈しみ”を実践できるようになる。“慈しみ”はあらゆる人・あらゆる事柄を貴く・唯一の素晴らしい存在として感謝と称賛をもって接するよう努力する事、どんな不幸・困難な事態に出会っても挫けず生きていくこと、今この一瞬が最後だと思って生きろ!という教えは生活のペースを緩め、気づきを深め・沈黙の技能を培えば時間を賢く使い、瞬間毎にしっかりと自分と繋がり、より積極的に今を生きる力となります。
※ バルド チベット語の中間を意味する。
思考と思考の合間、呼吸と呼吸の合間
不安定であるバルドとの付き合い方
先が見えなかったり、先延ばししたり、引きずったり、逃げるのではなく、状況と深く関わること。
目を閉じて、分からない気持をそのままにしておくこと。すると求めるものが勝手に近づいてくる。
バルドの体験方法
・ゆっくりと胸一杯息を吸い込み、そのまま止める。
・全身が止まっている瞬間の、満ちた感じに気づいてください。臍もしくは下丹田のチャクラが活性化され、強化され、全身が調和されるのを感じてください。
・ゆっくりと、静かに息を吐いたら、そのまま少しのあいだ辛抱し、自分自身をすっかり空にして、その空虚な感覚をしっかり感じ取ってください。
・再び深く、十分に息を吸って、自分自身を完全に満たします。
・しばらくそのままで、最後に息をフゥ〜ッと、あるいはアーと息を吐き出します。
・呼吸のリズムを整え、透きとおった「いま」の中で休んでください。
吐く息と吸う息の間の一瞬に気づきましょう。時間が止まり、その一瞬が生き生きと力強くなるのを感じてください。
仏教ではこの狭間を探して入り込み、満たされた静寂を経験します。これが虚空の光り輝く生命エネルギーに満ちた宇宙であり、そこにはすべての可能性が宿っている。
{ 第六章 歩みの中に空間を見出す }
* ウイスコンシン大学のリチャード・デビィットソン教授が率いる研究チームの科学的な実証〜2007年チベット仏教の瞑想法で3ヶ月間の瞑想を終えた被験者達を調べた結果は 「エネルギーを持続させ・集中力を高め幸福感を増幅させる “最も有効 な方法である”と証明された」
* 待ち時間を楽しむ知恵とコツ〜旧ソビエト連邦では歯ブラシからテレビに至るまで何を買うにも行列、代金の支払いで、伝票を回して貰う為、買った商品を受け取る為、しかし多くの人はこれを逆手に取り待ち時間を小説や詩・美術史等の本を読む時間として活用、その結果ロシア人の教育水準は大変高くなり行列に並んでいる間 に互いに知り合いとなり交代で用事を済ましソーシャルネットワークを築いていった。
* 待ち時間の主導権を握るのは時計の針でなく貴方
@ レジカウンターで一番長い列に並ぶ〜自分と周りを取り巻く空気が一変
A 心の中でマントラ(神言)を唱える〜好きな詩等を覚える・思い出す
B 周りの空間を見出す〜全てをありのまま受け入れ
C 中指と親指の先を合わせて印を結ぶ〜忍耐力を養う効果、呼吸と血行・気の流れを整える
* チョット一息 〜私は私である〜ストレス解消法
「私は私であり、私は私でない」 ゆっくりと深い腹式呼吸を行いながら繰り返す、対象は今一番貴方の心に引懸っているものをこれに付け加える=ストレス・時間・愛情・心の傷・プレッシャー・恐れ・不安等
例えば 「私はストレスを感じている、だがこのストレスは私ではない、私は私である」
* 五つの完全(確信)〜*全ての人に本来備わっている悟りの心を目覚めさせる教え
@ 完全な時〜今この瞬間こそが完全な時・至福の瞬間です
A 完全な場所〜今この場所が完全なる場所・天国は今ここに
B 完全な教え〜時を超えた教え、今と云う瞬間・全てがあるがままの姿で崇高
C 完全な師〜ブッダ、イエスキリスト、ガンジー等の師から確実に何かを得ている
{ 第七章 聖なる時間と空間に生きる }
* 聖なる音楽と音〜時間の存在しない領域への素晴らしい入口〜 モーツアルト・バッハ等の音階が正しく変化していく古典音楽は理論的な左脳に強く働きかけ気づきを安定させ・集中力を高め・仕事の時間効率を上げる。 ベートーヴェン、ドビュツシー、ジャズ、ニューエイジミュージック等、人との繋がりを担う右脳に働きかけ直感・創造性・他者への共感・慈愛等を高める、ストレスや緊張も緩める(スローテンポの曲)
* 昼寝〜米国の上位5百社に上がっている企業・スポーツチームその他有力な組織で重役やスタッフ達に昼寝を推奨、古代インドの聖典には 「休息は聖なるもの」と
@ 目を閉じて数分間ゆったり
A 気持ちを心臓のあたりに集中して息が肺や心臓のチャクラを通ることに気づく
B 何があろうと決して起きない
C 昼寝習慣のない人は一日三回毎回10分から始め最終的には一日一回20分の昼寝が目標、一日が気分よく過ごせて人生まで変わった気分に
{ 第八章 時を紡ぐ輪 }
瞬間に時間は存在しないレオナルド・ダ・ヴィンチ
* 若い頃に時間の流れを遅く感じ。
* 中年期は時間とより深く蜜に達する関わり、若い頃に比べ穏やかな時が持てる人生の満足度が頂点に。
* 高齢期は深い孤独に悩まされる時期とみなされていたが 「自分の年齢は自分が決 める」「伝えるものを育む時期」 で人生最良の時。
時間そして又時間” 〜歴史の歩みは螺旋状に進む性質があり歴史は繰り返されるスパイラルの軌道の一つひとつはその時の軌道のほぼ三分の一、つまり三倍も速く変化、例えばエネルギー源が薪から木炭に変わるのに3千年、木炭から石炭は1千年、石炭から石油には約3百年、石油から電力は約百年、電力から原子力には約30年。
〜今後歴史のスパイラルが加速するにつれ宗教と科学、政治と経済、社会と文化、 国家と世界、個人と集団、物質と精神、気候と環境といった人間を取り巻くあらゆる状況が一点に向かって集約されるでしょう。
こんな時代にはかって人類が経験したことがないほど混乱を極め複雑で競争が激しく様々なものが詰め込まれた期間になる筈、そして食物・エネルギー・医学・芸術・ 科学技術・イデオロギー等あらゆる事柄が大いに人工化されるでしょう。
しかし現代の求心的なスパイラルが終わると、早くも外側に向かう新しいスパイラルが形成され始めます、新たな時代の始まりです、そこには平和と調和の新たな環境の始まりが息づいています。
* 学生から仏教を二言で云い表すとしたらと問われた鈴木俊隆老師は 「万物は変化 する」と答えました。
※夢 変化し続ける物事の本質を垣間見させてくれる。
「過去・現在・未来の時間」で迷わないように助けている。「永遠の今」の流れの中に「ある」ことができるように、道を示している。
不確実性の真っ只中で根拠のない根拠を経験することであり、その中で寛ぐということ。
※ 久司道夫の時間観
現在は時間の流れも変化も速度を増し私達は人類の発展の岐路に立っています。
* ダライラマ法王は先頃次のように語っていました。「他者を利する社会参加と思いやりのある行動をもって心の平安を育み世界の平和 が発展するよう努めなさい、より良い更に安全な世界を目指し今すぐその責任を担う のです」
一瞬一瞬が選択の時であり、積極的で意図的な実行に移すのは “今” です。 主役は他ならぬあなたです。 ( 完 )
忙しすぎる毎日。時間に追われ自分を失うのではなく、生き生きと、余裕をもって暮らしていくためには?――アメリカでの仏教普及に多大な貢献をし、仏教徒に
限らず、大勢のアメリカ人に精神的影響を与え続けている、ラマ・スールヤ・ダスが、その具体的な答えを一冊の本にしてくれています。抜粋して、ご紹介していきます。
From early morning to late at night, from preschool to retirement,
responsible citizens that we are, we rush through our lives in order to
scrimp on time. But what if time did not control us? What if we felt that our
time and our lives were our own? The first step toward reclaiming them is
to awaken to Natural Time, to get back in touch with the rhythms that humans
observed until just a couple of centuries ago, and that some traditional
societies in undeveloped countries still observe. Those clans, tribes, and
nomads may be trying to modernize and progress both materially and
technologically, but we have much to learn by getting back in touch with
their respect for the timeless and primordial rhythms of Nature Time.
小学生から定年退職者まで、分別を持った市民であれば誰でも、朝目覚めたときから眠るまで、なんとかして時間を節約しようと努めます。でも、もし、時間に制約されなくてよいとしたら、また、時間も人生も自分のものだと感じることができたとしたらどうでしょうか。その感覚を取り戻すための第一歩が、<自然の時間>に目覚めることです。それはほんの二百年ほど前まで、誰もが身近に感じていた時間であり、今なお、現代社会から遠く離れた国に生きる種族が守り続けているリズムです。そういった部族や氏族、遊牧民も、いずれは電化といった物質文明の影響を免れないでしょう。それでもなお、時の感覚のない、原始的な自然のリズムを尊ぶ彼らたちから、多くのことを学べるはずです。
When was the last time you felt the supportive, accepting vital energy of
our earthly mother? Was it when you were a child, lying on your back in the
grass? Or on a beach, with the distant sound of the surf? Barefoot in your
garden, perhaps, with the feeling of tingling warmth coming up from the
soil?
あなたが最後に、母なる大地からすべてを包みこむような、たのもしい生命力を感じたのはいつですか?子どもの頃、草の上に寝転がったとき、それとも浜辺で、遠くの潮騒に耳を傾けたとき、それとも裸足で庭を走りまわり、地面の温かさで足の裏がくすぐったかったときでしょうか?
Reflect on the most sublime moments
in your life, and recall how many of them were in serene, natural settings
like these. Then see if you can re-create that feeling or image in your
mind’s eye, if just for a few seconds. And then when you get a chance,
go outdoors and find a quiet place to experience that moment of grace. It
is a choice to go through life with a cell phone in your hand. Disconnect
yourself from the wondrous gifts
of our technology often enough to remember that natural wonders have always
existed and have always brought solace.
そうした崇高な一瞬の多くは、静かな自然の中で感じたのではありませんか。そのときの感覚、あるいは心の眼に浮かんだイメージを、ちょっとだけ呼びおこしてみましょう。そして、折りにふれ外に出て、静かな場所を探し、再び瞬間の美しさを味わってみましょう。携帯電話をいっときも離さずに一生を終えるのも、たしかにひとつの生き方です。しかし、素晴らしい自然の奇跡がいつもわたしたちを取り囲み、慰めを与えてくれていることを知るために、現代テクノロジーの便利な賜物を、しばし手放してみるのです。
Go out at night, lie on your back, and look up the stars. Take a few deep
breaths while you raise your gaze and experience the immensity of the sky.
See individual stars, clusters of stars, and the entire panoramic sweep of
sky overhead. If friends will be joining you, tell them in advance that
you and they won’t be talking during this time but communicating together in
another way. Focus both your gaze and your awareness on the infinite sky,
breathe out into the yawning heavens, and relax. Rest at ease, awake and aware.
Let the air,
the wind, and the sky flow in and out through you and fill you with light
and space. Be calm and
clear, at home and at ease.
夜、外に出て仰向けに寝転び、星を見上げながら、何度か深呼吸して空の拡がりを感じます。ひとつの星、星雲、そして星空全体を見渡しましょう。誰かと一緒だったら、言葉以外の方法で意思を伝え合おうと約束しておきます。果てしない空の拡がりに視線と心を集中させ、大空に向かって大きく息を吐き出し、身体の力を抜きます。安らぎ、目ざめ、気づきます。空気と風、空があなたの中に入ったり出たりして、光と空間に満たされていくのを実感してください。静かで、透き通り、安らいで、リラックスしています。
毎日仕事に忙殺されて病気一歩手前の、あるビジネスマンに、ラマ・スールヤ・ダスは、毎日数分だけ、日の出と日没を眺めることにして、それに合わせて仕事のスケジュールを調整したらどうかとアドバイスしたと言います。それから、一ヶ月ほどした、そのビジネスマンの感想が以下の通りです。
“I can’t believe how glorious the sunrise is,” he marveled. “And the
sunset! There’s a different array of colors every night. I thought I would
find this a chore to squeeze into my day, but I can’t tell you how good it made
me feel! I’ve begun
to focus better at work, and you know what? I’m starting to feel like I
have more time, not less.”
「朝日や夕日があんなにも素晴らしいとは思いませんでしたよ。その日によって、光の色が違うんですね。はじめは、ただでさえ忙しいのに、これ以上余分な日課を増やすなんて、と思いましたが、とんでもない。今では信じられないほど元気になりました。
仕事にも集中できるようになって、その結果、どうなったと思いますか?この日課を設けたおかげで、時間が少なくなるどころか、以前よりずっとゆとりを感じるんです」。
When you are in a good frame of of mind, take
off your watch. And put away your cell phone and other electronics
devices. Take a walk, take a nap, or sit or lie
in a bathtub, pool, lake, or hammock, with no time referents of any kind. Relax
and enter into a timeless zone: nowhere to go, nothing to do, free of
scheduling and appointments,
free of past and future thoughts and memories and plans. Simply and attentively
present, you are cultivating nowness-awareness.
心が落ち着いていると感じたとき、時計を外し、携帯電話や他の電化製品からも離れてみましょう。時間を計るものは身につけず、散歩をしたり、昼寝をしたり、お風呂や、プール、湖、ハンモックに寝そべったりしましょう。そして、時間のない、ゆったりとした世界へ入っていきます。行くべき場所も、するべきこともなく、予定や予約にも縛られない。過去や未来へのこだわりもなく、記憶や計画もありません。
ただ、今という時間に心を向けて、今、ここにいるという感覚を養ってください。
The primacy of the moment is one of the first things you discover when you
get off artificial clock time. It’s always now. Not earlier, not later,
not yesterday, not tomorrow,but right now. Your focus
is no longer on your schedule――where you have to be and what you have to
do――but in the present. When you think about it, the present moment is the
one and only place we are or ever can be.
時計が刻む人工的な時間から離れて最初に気づくのが、瞬間の持つ崇高さです。
そして、それはいつでも“今”です。その前でも後でも、昨日でも明日でもなく、今この瞬間なのです。フォーカスは、どこで何をするかが書きこまれた予定表ではなく、今に向けられています。考えてみれば、わたしたちがいる、あるいはいるべき場所は、いつも今という瞬間です。
アメリカでの仏教普及に多大な貢献をし、仏教徒に限らず、大勢のアメリカ人に精神的影響を与え続けている、ラマ・スールヤ・ダスが説く、マインドフルネス(気づき)の呼吸法。前回に引き続き、「人生を劇的に変える<ブッダの時間>」よりご紹介します。
Sitting still in a quiet place――ideally,
outdoors in nature, but indoors, if you like――bring all your attention to your
body as you fill your lungs with one deep, deep breath…and then let it out in a
long sigh…
静かな場所に座ります。できれば屋外、無理なら屋内でもかまいません。肺の奥まで満たすような、深い深い息を吸いながら、すべての注意を身体に向けます。そしてゆっくりと、ため息をつくように吐き出します。
If you are truly attentive, your mind will be
clear of all distractions for ten whole seconds, while your body is
nourished with extra oxygen and your heart is touched with a little divine
peace. Even with only one breath cycle, you may have felt a touch of
serenity, a little loosening of your jaw, and an ability to think more
clearly afterward. So simple,
a trip into Natural Time! Try it again. Three breaths or more might be needed,
depending on your own self-awareness and inclination.
ちゃんと集中できていれば、この十秒ほどのあいだ、あらゆる雑念が消えて、身体は深く吸いこんだ酸素で満たされ、心が一瞬、神聖な安らぎに満たされることでしょう。
たった一度の呼吸でも、落ち着きを感じ、顎の力も抜け、そのあとは、よりはっきりとものごとを考えられるようになります。そう、<自然の時間>への旅は、こんなにも手軽なのです!これと同じことを、少なくとも三回行ないます。気づきや皆さんの意向に合わせ、もっと回数を増やしてもかまいません。
The lesson is not to compartmentalize your
life, with 99 percent spent in busyness and 1 percent in spiritual
nourishment. Instead, train yourself to integrate this sublime awareness
into each moment as an enlightening way of life and a path of joy.
この訓練は、一日の九十九パーセントを慌しく過ごし、残りの一パーセントを心のために充てる枠組みを作るものではありません。目覚めた人生と喜びを得る道として、
瞬間瞬間の素晴らしい気づきを、自分の中に浸透させるためのものです。
Bringing focused attention to your breath in
the ever-present moment is the most basic of all meditation practices and the
first step to entering Natural Time. Try not to feel daunted by the idea
of adding another commitment to the many you already have.
Give it a chance. Consider the alternative: if during the
course of an ordinary day, strapped for time as usual, you often find your
mind racing, your heart ounding, and your
shoulders hunched up around your ears, it’s time to stop ignoring these
signs.
Turn off the air conditioner
and open your car windows as
you drive. Take off your shoes and walk barefoot in the grass. Listen to
the birds. Breathe in and out the oxygen and other elements in the
atmosphere that have animated countless amoebas and wooly mammoths and
form the elemental building blocks of everything from stardust
to supernovas.
呼吸に注意を向ける方法は瞑想法の基本であり、<自然の時間>に入るための第一歩です。ただでさえ忙しいのに、なんて構えなくても大丈夫です。まずは、挑戦してみましょう。やり方を変えてもいいのです。いつものように忙しく働き、時間に追われ、気がつくと気持ちが高ぶって呼吸が荒くなり、肩に力が入っていると感じたら、そのときが試しどきです。身体が、気づかないふりはやめろと言っているのです。エアコンを切りましょう。車の中にいるのなら、窓を開けます。靴を脱いで、裸足で草の上を歩くのもいいでしょう。鳥のさえずりに耳を傾け、酸素やその他、空気中にあるすべての要素を吸い込んで、吐き出します。空気には、無数の生きたアメーバから、毛むくじゃらのマンモス、あるいは星屑から超新星にいたるまで、すべてを形作る要素が含まれているのです。
人は誰でも、「眠れるブッダ」。あなたも、生きているうちに、自分の中のブッダを目覚めさせることができると言います。けっしてむずかしい話ではなく、より良い自分、誰かの役に立つ自分、をめざす「ブッダのような(Buddha-like)」気持ちは、誰もが生まれながらに持っているもの。アメリカ生まれのチベット僧ラマ・スールヤ・ダスの言葉に耳を傾けてみましょう。
On the other hand, our true innate spiritual
nature, or Buddha-nature, is beyond time and change. And the more we can
embrace our uncorruptable Buddha-nature, the
more we can appreciate our role in the huge and mysterious machine of
time and space. Think of yourself as a cell in the great body of all human
beings, and by extension of all beings everywhere, with whom you are inextricably
connected.
いっぽう、仏教で<仏性>と呼ぶところの、本当の<自分>には、時間も変化もありません。決して失われることのないこの<自分>、すなわち<仏性>を受け入れると、時間と空間という膨大で神秘的な仕組みの中で、自分が持つ役割の大切さを評価できるようになります。あなたは、人類というこの偉大な集合体の中のひとつの細胞なのです。その思いを、複雑につながり合いながら生きるすべてのものに拡げましょう。
When we don’t recognize this inherent
connections, it is easy to feel overwhelmed, unable to get each day’s
tasks done in the space of just one day. With one to-do list or another
constantly bearing down on us, we try to achieve what can be finished in a
short space of time. But in our long and wonderful lives, what we look back
on with satisfaction is never the little pile of
accomplishments――the report written, the laundry done, the
lawn mowed――but the grander achievements, those
of our higher Self, like the close connections we make with the important
people in our lives, the children we raise, the slow mastery of a
profession or craft, our contribution to a worthy cause.
ひとつの細胞として全体につながっているという関係がわからないと、たった一日のあいだに、こんなにたくさんの仕事ができるはずもないという考えに圧倒されてしまいます。“やることリスト”を片手に、なにもかも短時間で終わらせようとするからです。しかし、長く、すばらしい人生を振り返って幸せだなと思えるのは、報告書を書き終えた、洗濯をすませた、芝を刈ったといったことではないはずです。
そうではなく、大切な仲間や友人たち、育て上げた子どもたち、長い時をかけて習得した職業、技能、大きな目標への貢献といった、より<高い>自分が成し遂げた事柄こそが、本当の幸せを感じさせてくれるのではないでしょうか。
Are you in a stupor, mindlessly watching TV
or tied to your computer? Break yourself out of the trance by doing one
physical task with focused attention, wholly and completely, while letting go
of absolutely everything else. Unload the dishwasher or pile up the newspaper
to recycle, but do it with every ounce of your attention. I find that doing
this with full focus re-energizes me. As Zen master Thich Nhat Hanh put
it so beautifully, “Washing the dishes is like bathing a baby Buddha. The
profane is the sacred. Everyday mind is Buddha mind.”
あなたは今、ぼんやりしていませんか。テレビをだらだらと見たり、コンピューターにかじりついたりしてはいませんか。だったら、少しのあいだそこから抜け出して身体を動かし、自分の行ないに注意を向けましょう。食器洗浄機から食器を取り出すにしても、リサイクルに出す新聞紙をひもで束ねるときも、しっかりと自分の動きに集中します。わたしもそうすることで、自分の中でエネルギーが満たされていくのが分かります。禅の高僧、ティク・ナット・ハンが、それを見事に表現しています。
「食器を洗うことは、赤子のブッダを湯あみさせるようなものだ。日常は神聖である。日々の心は<ブッダの心>だ」。
If the self is a constant act of creation, as
Buddha and Jesus (as well as modern psychology) suggest, then on the
grandest scale, beyond what you can ever imagine, your Self is a timeless,
dynamic, creative force, abundantly powerful and divine. As you let go of the small self in favor of your higher
Self, your relation to time will change. In
fact, we might say that the small self lives in
ordinary sequential time, and the higher Self lives in Buddha Standard
Time. Recognizing this within your own experience means appreciating each
moment as part of a Greater Whole and letting go of notions about your
limitations. You don’t need to strive for the higher Self; it is already
intrinsically yours. You just need to learn to open up to your Buddha-like,
Christ-like, Allah-like being. And the small self, although never separate
from the glorious whole, is what navigates the everyday world so that the
higher Self can move beyond it.
ブッダやイエス、そして現代の心理学が示すように、もし自分というものが、絶え間ない創造の働きだとすれば、それをもっと大きなスケールで考えたとき、あなたの<自分>は、時間を超越し、エネルギーにあふれ、創造力に富み、パワフルで神々しいと言えるのではないでしょうか。より高い<自分>のために、小さな自分を捨てれば、あなたと時間の関係は変わります。それどころか、小さな自分は普通時間に生き、より高い<自分>は、<ブッダの標準時間>を生きると言っていいでしょう。これを、身をもって知るには、一瞬一瞬を<より大きな全体>の一部として大切に扱い、自分には限界があるという思いを忘れることです。より高い<自分>を求めてあがく必要などありません。なぜなら、それはもとよりあなたの中にあるのですから。ただ、あなたの中の内なるブッダ、イエス、アラーに心を開けばいいだけです。そして小さな自分は、大いなる全体から離れないとしても、日々の生活を通して、あなたがそこを超え、より高い<自分>に近づけるよう導いてくれるのです。
<本当の自分>あるいは<より高い自分(higher
Self>を見つけるための、5分でできる質問を、アメリカ生まれのチベット僧ラマ・スールヤ・ダスが提供してくれています。
詩人でもある彼の文章は、シンプルでありながら深く、英語学習という点でも一読する価値があると思います。どうぞ、ご堪能ください。
Take a few deep breaths and drop into stillness.
Breathe, Smile, Relax
Let go,
Let be.
Now ask:
My body――what endures?
That which I think and feel and
understand――what endures?
That which I like and dislike――what endures?
That which I will and intend――what endures?
In my capacity to hear, see, smell, taste,
and in my physical and mental capacity――what
endures?
深呼吸を二、三回して、静けさに浸ります。
呼吸し、ほほ笑み、力を抜きます。
すべてを流れ行くままに、あるがままの姿でいます。
さあ、尋ねてみましょう。
わたしの肉体で、永遠に残るものは何でしょう?
わたしの思い、感覚、理解で、永遠に残るものは?
わたしの好き嫌いで、永遠に残るものは?
わたしの意志と意図で、永遠に残るものは?
聞く、見る、嗅ぐ、味わう能力、肉体的、精神的能力で、永遠に持続するものは何?
And when I
Let the body go;
Let my thoughts and feelings go;
Let likes and dislikes go;
Let will-force and intentions go;
Let hearing, seeing, smelling, tasting,
physical and mental capacity go――
What remains?
そしてわたしの、肉体が失われ、思考も感覚も失われ、好き嫌いも失われ、意志の力も意図も失われ、聞くことも、見ることも、嗅ぐことも、味わうことも、
肉体的、精神的能力も失われたとき、残るのは何?
身体もものごとをとかく分析したがる心も、個性も、セルフイメージも過去をも超えた、
Who am I, beyond my body and analytical mind,personality, self-image, and history?
Who continues as I go through all the stages
and passages of life, from childhood to youth, teens, young adulthood,
middle years, old age, and on into the
future?
What, if anything, can I find to ground
Myself in my true Self, my most irreducible essence?
Ask the Question:
Who and what am I, really, beneath it all?
Who or what might continue on when my body
turns to dust?
Who or what am I right now?
What time is it really?
わたしは誰でしょう?
子ども時代、少年少女、十代、若者、中年、老年時代、そしてその先へと続く人生の、さまざまな時期や道を通り過ぎるあいだ、ずっと続いているわたしは誰?
わたしを本当のわたしに、永遠に消滅しない本質につなげているものがあるとしたら、それは何?
自分に尋ねてみてください。
これらすべての奥底にあるわたしは、誰、そして何?
肉体が塵に還るとき、続くのは誰、そして何?
今ここにいるわたしは誰、そして何?
そして今の本当の時間は何時?
本日ご紹介するのは、「ただ、あるがままに(Simply
Being)」と呼ばれるもので、より深い、より本質的な自分に触れるための呼吸法の練習。あなたは、今のままの姿で
すでに完全なのだという気づきを得られ、もう、もがいたり、何かと戦ったり、緊張や葛藤などしなくてもよくなる、と言います。アメリカ生まれのチベット僧ラマ・スールヤ・ダスの著作「人生を劇的に変える<ブッダの時間>」より、どうぞ。
Sit comfortably.
Perhaps close your eyes or lower your gaze.
Take a deep breath or two and relax.
Breathe slowly and let it all go.
Release the tension and relax a little more.
Stop doing and settle
back into just being. Let things settle
without your direction or intercession.
Let go. Wherever things fall is OK for now.
Open to the wisdom of allowing, of inclusive acceptance.
Befriend yourself; familiarize yourself with
your own fundamental presence. Let awareness be uninterrupted by techniques or
concepts.
If and when you feel lost, distracted, spaced
out, or sleepy, get in touch with your breath, Watch the breath;
observe the inhalation and exhalation as they
effortlessly occur. Feel the breath moving in and out, anchoring you in the
present moment while you again let everything go,without
judgment, evaluation, or interference.
Opening gradually to the effortlessness of
pure presence; turn your attention inward. All we seek can be found within.
This is the process and practice of inner freedom.
Being Buddha, being yourself.
Being all.
楽な姿勢で座ります。
目を閉じるか、目線を落とし、二、三回深呼吸をして、力を抜きます。
ゆっくりと呼吸して、すべてが心の中を流れていくままにしたら、緊張をほぐし、もう少しリラックスしましょう。
それが終わったら、何もせず、あるがままの状態でいます。
方向も示さず、干渉もせず、ものごとがあるがままの状態に落ち着くのを待ちます。
流れるにまかせて、ものごとがどこに落ち着こうと今はもう大丈夫。
すべてをありのままに受け入れる智慧に心を開きます。
自分と仲良くなり、本来の自分に慣れ親しみましょう。
気づきを、テクニックや考えで干渉したりしません。
迷ったり、気が散ったり、ぼんやりしたり、眠くなったりしたら、呼吸に意識を戻します。
呼吸に集中し、一息一息が楽々と出入りするのを観察します。
息の動きを感じ、今、このときとつながって、すべてを、判断や評価や干渉もせずに、自然と流れていくままにしましょう。
少しずつ、ただ、ここにあることの快さに心を開きます。
求めているものはすべて、わたしたちの内にあります。
これが内なる自由の過程であり、実践です。
ブッダであり、自分自身でありなさい。
あらゆるものでありなさい。
Mindfulness is the main ingredient in
Buddha’s practical, universally applicable recipe for a life of enlightened awakefulness. Mindfulness focuses the mind, then it
eases the mind, and finally it realizes the lucid, spiritual nature and
radiant clarity of mind itself.
<気づき>とは、悟りを得、目覚めた人生を送るためにブッダが説いた実用的で、応用自在の教えの中でも、もっとも大事な要素です。心に注意を向けると落ち着いて、明晰な心の本質と明るく輝かんばかりの心そのものが現れます。
慌ただしく過ぎゆく人生で、ストレスを感じたり、燃え尽きたりする一番の原因は、気持ちが集中できないことにあると言います。アメリカ生まれのチベット僧ラマ・スールヤ・ダスが、左右の脳の違いという観点から、簡単かつ、集中力を取り戻すのに効果的な方法を教えてくれています。
Try to do something that is the opposite of the
task you’ve been working on.
Remember that it’s beneficial to give both sides of your brain a chance to work
out.
If you’ve been busy using your left brain for intense analytical thinking while
studying or working, revitalize yourself by calling on the right brain.
Listen to some music, for example, let your eyes rest on some beautiful art, or
call a supportive friend for some emotional sustenance. If you’re one of
the many people who sit in front of a computer for most of the day, try
doing some stretches or squats to clear the mind-path and restore energy.
Just as experts tell us that the close computer work many of us do should be
offset by staring into the distance every once in a while or getting up to
walk around, it’s important to alternately stimulate the hemispheres of
your brain.
This alternation helps counterbalance and reharmonize the two hemispheres
and their yin and yang energies and puts you in sync with the natural flow
of energy and time.
それは、今やっている作業と逆のことをするという方法で、左右の脳の訓練にとても役立ちます。勉強や仕事で、分析的な思考に陥り、左脳ばかり使っているようなら、
右脳を使うことで気力を回復します。音楽に耳を傾けたり、芸術作品を眺めたり、友人に電話をして元気をもらうのもいいアイデアでしょう。一日中、コンピューターとにらめっこしているようなら、ストレッチやスクワットで気分転換すると、エネルギーが戻ってくるはずです。疲労について詳しい専門家も、ときどき遠くを眺めたり歩いたりして脳のバランスを取り、交互に刺激を与えるよう勧めています。そうすることで左右の脳にバランスと調和が生まれ、陰陽のエネルギーが促されて、時間とエネルギーの自然な流れがひとつになるのです。
Don’t discount the possibility that you
are putting unnecessary pressure on yourself.
Sometimes I’m working hard, say, to get something to the post office before it
closes, only to realize that one more day won’t make much difference. Ask
yourself, Will it really change anything if this gets done a little later, or
tomorrow? If not, relax and work out a realistic schedule. If so, keep
going, but intersperse the task with brief exercise, meditation, breath,
or phone breaks, and don’t worry that they’re keeping you from
work, because they’re not: they’re enabling you to complete it.
それから、自分が自分に余計なストレスを課している可能性も見逃してはいけません。
わたしも忙しいときには、今日の郵便の最終集荷までにあれをポストに投函しなくては、なんていうことで切羽詰ることがあります。そして、ああ、別に今日でなくてもいい、明日でも遅くはないのだと気づくのです。今の仕事のペースをゆるめたり、明日に回したりしたらどうなるかを自分の胸に訊いてみましょう。もし、何も変わらないなら肩の力を抜いて、もっと大事な仕事を優先しましょう。でも、もし変わるのなら、そのまま続けてください。ただし、仕事の合間に、簡単な体操や、瞑想、深呼吸、電話をかけたりして気分転換しましょう。それらは、仕事の妨げではありません。妨げどころか、効率よく仕事を完成させるためのとても大事な工夫なのです。
アメリカでの仏教普及に多大な貢献をし、仏教徒に限らず、大勢のアメリカ人に精神的影響を与え続けている、ラマ・スールヤ・ダスの著作「人生を劇的に変える
<ブッダの時間>」よりご紹介します。
1
WHEN YOU WAKE UP, STOP YOUESELF FROM THINKING “WHAT DO I NEED TO DO TODAY?” and
feeling the burden all at once. Just rest for a moment, awake and aware.
Take a deep, invigorating breath. Then do the next thing to begin your day.
1 朝おきてすぐに「今日やることは?」と考えて、負担を感じるのはもうやめましょう。しっかり目が覚めるまで、しばらく静かにすごします。今日という一日に一歩踏み出す前には、さわやかに深呼吸しましょう。
2
LISTEN TO YOUR INNER VOICE. If it’s shouting, “You need to get this done!”
try to notice that thought without feeling driven and utterly overwhelmed
by it. Be sure to take pauses throughout the day without thinking of what
you should be doing. There is an art to feeling comfortable while unmoored, to
rest in the still eye of the storm.
2 心の声に耳を傾けましょう。もしその声が「この仕事を終わらせろ!」と叫んでいたら、プレッシャーを感じたりせずに、その言葉を心に留めます。一日のあいだのどこかで、必ず仕事から離れて休息をとりましょう。船にさえ、嵐のなかで落ち着いて停泊できるよう、錨を操る、荒天避泊の技術があるのです。
3
EVERY TIME THE PHONE RINGS, LET IT GO FOR AN EXTRA RING OR TWO.
Instead of rushing to pick it up, use it as a found moment to renew your
nowness-awareness. Then get on with the call. Zen master Thich Nhat Hanh ecommends that we use the extra telephone rings, or a
moment after the doorbell rings, as a little mindfulness bell, to remind us to
slow down, calm and
clear our mind, and take a moment to breathe, smile, and relax.
3 電話が鳴っても、最初の一、二コールは出ないでおきましょう。あわてて受話器に手をのばしたりせず、よかった、おかげで今ここにいることを思い出すことができた、と考えるようにします。電話に出るのは、それからでも間に合います。禅僧ティク・ナット・ハンも、次のようにアドバイスしています。「電話やインターホンに応えるのを少し待ち、そのあいだに聞こえてくる音を、人生のスピードをゆるめて心を鎮め、すっきりさせ、深呼吸したり、ほほ笑んだり、リラックスする時間を得るための、ささやかな気づきの合図とみなすように」。
「人生を劇的に変える<ブッダの時間>」は、仏教の教えをベースにしながら、そこに科学的考察を加えて、「時間」との最良のつき合い方を示唆してくれる本。著者は、アメリカ生まれのチベット僧ラマ・スールヤ・ダスで、さすが、大勢のアメリカ人に影響を与え納得させるだけの、具体例と説得力に満ちています。バイリンガルで、どうぞ。
Another cycle that has gained a lot of
contemporary attention is ultradian
rhythms, natural rhythms that run for about an hour and a half and
are repeated throughout the day. Ernest Lawrence Rossi, a scientist who
has pioneered studies in this field, says that we all need to take a break
for about twenty minutes every hour and a half whether we are working,
studying, or playing to maintain optimal health, focus, and satisfaction.
During the resting phase of the cycle, we shift from left-brain to right-brain activity.
On break we are more associative, creative, and spontaneous. Many people
regularly interrupt their main activity, taking periodic coffee or snack
breaks, short naps, a walk, or a yoga or stretching session, or doing a
crossword puzzle or brainteaser.
Afterward they feel rested and renewed, ready to assume their more focused,
logical, left-brain activity.
最近とみに注目を浴びているもうひとつの周期が、超日リズムと呼ばれるものです。
これは、およそ一時間半を周期として、一日を通してくり返される自然のリズムのことです。この研究分野の草分けである科学者、アーネスト・ローレンス・ロッシは、健康、集中力、満足感を最適に保つには、仕事や勉強、それに遊びであっても、およそ一時間半ごとに二十分の休息が必要だと言っています。休息しているあいだに、脳の活動領域が左脳から右脳へ変わり、その結果、連想力、創造力、自発力が高まります。
実際多くの人が、一定の間隔で仕事や勉強を中断しては、コーヒーやスナック菓子で一息入れ、仮眠や、散歩、ヨーガや、皆でストレッチをしたり、クロスワードパズルやクイズをします。そうすることで疲れが取れ、気分もあらたに、論理的な左脳活動への集中を再開させる準備が整うのです。
If we don’t take enough breaks during the
day, stress and tension build up, and we experience what Rossi calls
Ultradian Stress Syndrome. USS can cause fatigue, aches and pains, and
loss of memory and alertness, ultimately leading to accidents and illness.
Keep this in mind when you are sitting at your desk or with your
laptop for hours at a stretch!
もし休息を充分に取れないと、ストレスと緊張が高まり、ロッシが超日リズムストレス症候群(USS)と呼ぶ状態に陥ります。USSは、倦怠感。鈍痛、鋭通、記憶力や注意力の低下を引きおこし、それが最終的には事故や病気につながります。とりわけ、長時間デスクやコンピューターの前に座っているような人は要注意です。
Frequent breaks improve creativity
and performance. From Leonardo da Vinci to Thomas Edison, the great
artists, scientists, and inventors have discovered that after concentrated
effort to solve a problem and repeated frustrations, taking a break can
lead to creative insight. New ideas often pop up all by themselves. During
short naps, dreams can point us in the right direction and result in
eureka moments. Short breaks also reduce human error, lessen compulsive
drivenness, which is similar to addictive behavior, and help us connect
better with family, friends, and coworkers.
休息を頻繁に取ることで、創造力や効率が良くなります。レオナルド・ダ・ヴィンチからトーマス・エジソンに至るまで、偉大な芸術家、科学者、発明家は、集中して問題を解いたあとや、イラつきを感じるときに一休みすると、それが創造的な洞察につながることを発見しています。新しいアイディアというのは、往々にしてぱっとひらめくものなのです。短い睡眠のあいだに、夢の暗示でふと問題が解けることもあります。短い休息は、マンネリ化に似た症状である人為的ミスを減らし、やる気のない気分を一掃してくれますから、家族や友人や同僚との関係もまた改善されます。
今、世界的に注目されている「瞑想(meditation)」は、ストレスを低減し、集中力を高めるのに効果的なことが知られていますが、それ以外にも、人の話に熱心に耳を傾けたり、強い忍耐力、自制心、共感、寛容さを養うのに役立つと言います。その結果、知性や感受性も豊かになって、人とのコミュニケーションや、関係が改善。
他人と共鳴し合うことで互いの関係がスムーズになり、対立や争いごとも減って、時間とのつき合い方もより楽になると言うのです。アメリカ生まれのチベット僧ラマ・スールヤ・ダスの言葉に耳を傾けてみましょう。
To discover our inner rhythm and open our
hearts, our most precious timepiece, we need to be willing first to make
friends with ourselves and cultivate a gentle
and more accepting attitude. To practice compassion or loving-kindness
meditation (known as metta practice in the Buddhist
wisdom tradition), begin generating generous, well-wishing thoughts toward
yourself, without trying to change or improve anything.
Make friends with yourself first, and realize a benevolent form of self-love,
acceptance, and joy. Then begin to spread those warm feelings of
loving-kindness to others, in ever-widening spirals of grace. This
extended contentment greatly reduces the wear and tear of inner conflict
and stress upon minds and bodies.
自らの体内リズムを発見し、もっとも価値ある時計である心を開放するためには、まず、進んで自分と親しんで、ものごとをおだやかに、ありのままの姿で受け入れられるようにならなくてはなりません。思いやりや慈しみの瞑想(仏教ではメッタ、慈悲の瞑想と呼ぶ)を実践するには、自分を変えようとか、改善しようとせずに、自分に対して寛容になり、自分を好きになることから始めます。まずは自分と親しんで慈しみ、丸ごと受け容れ、自分に満足することのすばらしさに気づきましょう。そして、その愛や慈しみの思いを、どこまでも続く優しさのスパイラルで、他の人々にも広げます。広げられたその思いが、心的な葛藤からくる消耗や心身のストレスを大幅に減らすのです。
This kind of mind training or attitude
transformation can help us learn a great lesson from our difficulties,
instead of just trying to get past them, keep going, and survive.
We can turn our stumbling blocks into stepping-stones on the path of conscious
growth and inner development. Where would we be without our wounds; where
would our power of compassion, empathy, and understanding come from? In
the course of time, we all experience karma, or consequences of our
actions; but even bad karma can help us become more sensitive to the plight of
others and contribute to their well-being.
At the very least, it can help us relate to the pain and suffering of others,
which strengthens our altruism and our humility.
心や、人生への姿勢を変えるこのような訓練は、困難な状況に陥ったときでも、その状況を無理に克服しようとしたり、無視したり、ただ切り抜けようとしたりせずに、逆にそこからいろいろ学ぶようにアドバイスしてくれます。困難を、心の成長や発達のための踏み台にして、大きく飛躍するのです。もし、心がまったく痛まなかったら、どうなるでしょう。同情、共感、理解といった力はどこから生まれるのでしょう。
時間の経過とともに、誰もがカルマ、すなわち自分の行動がもたらした結果を経験します。しかし、悪い行ないでさえも、それによって他の人々の痛みや苦しみにより敏感になるという点で、人々の幸福に寄与することができます。たとえ最悪のカルマでも、そのために他人の痛みや苦しみにかかわることになるわけで、その結果、他人を愛する心が生まれ、謙虚な気持ちにつながっていきます。
「菩薩(Bodhisattva)」とは、他者の幸福を願う天使。精神的に目覚めた人で、将来のブッダとも言われています。困難に陥ったときに無条件で手を差し伸べてくれた人は、
まさに菩薩のような存在に感じられるもの。そこにあるのは、愛と思いやりです。
アメリカ生まれのチベット僧ラマ・スールヤ・ダスの言葉に耳を傾けてみましょう。
In my time in India and the Himalayas I
witnessed many miracles, but among all of them I would say that the
greatest was the power of unconditional love. Think about the times that you’ve
experienced an angel, or bodhisattva――a no-strings-attached benefactor
or protector――in your own life and how much it meant to you. And think
about the times that
you yourself have been a guardian spirit to others, lending a sympathetic ear
and giving them the gift of compassion at a time of need.
インドやヒマラヤにいた頃、実にたくさんの奇跡を目にしましたが、その中でもっともすばらしかったのが、無条件の愛の力です。皆さんも、これまでの人生で、天使、あるいは菩薩、すなわち無条件に恩恵を施す者、あるいは無条件に護ってくれる者に出会った体験や、それがどれだけ大きな意味を持っていたかを考えてみましょう。
誰かが困っているとき、あなた自身が守護神となって、親身に話を聞き、思いやりという贈り物を与えたときのことを思いおこしてみましょう。
As Vietnamese Zen master Thich Nhat Hanh
said, “The greatest gift we can offer is our presence.” Think how
wonderful it feels for someone to give you their full attention and for
you to be truly heard, seen and felt, and treated with kindness and care. All
too often in our rushed and busy days we do not fully focus on others or remain
alert to their needs. We skitter over the surface of life’s
waters, rarely if ever immersing ourselves in its depths. True relationship
and intimacy are possible only in the present because they require genuine
contact and connection, which take place nowhere but in the present moment of
nowness.
ヴェトナム出身の禅師、ティク・ナット・ハンが言っているように、「わたしたちが与えうる最大の贈り物は、ただそこにいるということ」なのです。誰かが、心のすべてをあなたに向けてくれたときのことを思い出しましょう。あらゆる注意を払って、あなたの言葉に真剣に耳を傾け、見つめ、感じ、優しさと気遣いを持ってそこにいてくれたとき、どれだけ気持ちが楽になったことでしょう。慌ただしい日々を送っていると、ついつい、他者と真剣に向き合ったり、その人が必要としていることに気づく機会が少なくなります。人生の表面に軽く触れるだけで、その深みにまで身を沈めようとはしません。でも、真の関係や親しさは、今という瞬間だけに存在します。
なぜなら、本当の関係には心からの触れ合いとつながりが必要で、それらは、今この瞬間にだけあるものなのですから。
When we ground ourselves in the present
moment, we spontaneously connect better with others. We become more
responsive and less reactive, listening more deeply and speaking with
greater clarity. We gracefully step into a new zone, from mere doing to
being, from listening to hearing, from reacting to responding, from
imbalance to harmonious balance, from fragmentation to integration, and
from separation to oneness. Through transforming ourselves, we transform
all our relationships and bring the wholeness of who we are to everything
we do――at home, at work, and at play. This is the miracle of relational
mindfulness.
“今”に身をおくと、自然に他者と深くつながることができます。容易に共感を覚えることができて、ただ反応するだけではなく、相手の話をよく聞き、こちらからもはっきり話せるようになります。こうして人は、スムーズに、新しい領域に足を踏み入れるのです。そこでは単なる“する”が“在る”に、“聞く”が“聴く”に、“反応”が“共感”に、“アンバランス”が“調和のとれたバランス”に、“分裂”が“統合”に、”分離”が“一体”になります。自分が変わることですべての関係が変わり、家庭、職場、遊びなど、あらゆることに、あるがままの自分で接することができるようになります。
これこそが、人間関係における気づきの奇跡です。
いちどに複数の仕事をこなして、生産性をあげたつもりになっていても、事実は違うと言います。コンピューターと人間の根本的な違いは何か、本当に生産的な仕事の運び方とは何か、アメリカ生まれのチベット僧ラマ・スールヤ・ダスが、解説してくれています。
Buddha himself said long ago that we can hold
only one thought at a time, as modern neuroscientific research has
corroborated. When we think we are doing
two or more things simultaneously, we are actually alternating our
consciousness between them at hyperspeed,
because the brain can literally focus
on only one thing at a time.
はるかな昔、人は一度にひとつのことしか考えられないものだ、とブッダは言いました。そしてその言葉は、現代の神経科学研究によって裏付けられています。
自分ではふたつ以上のことを同時にしているつもりでも、それはただ、意識が複数のものごとのあいだをものすごいスピードで行き来しているだけなのです。なぜなら、脳は一度にひとつのことしか集中できないようになっているからです。
Therefore, fragmentation in focus is
counterproductive, and it dissipates energy.
That’s why when you are focused on a work project, it is a good idea to shut
down your e-mail program, let the phone ring, and ignore anything else
that threatens to disrupt your work. Other tasks and diversions can wait.
Focus fully and prioritize skillfully; it makes a remarkable difference in what
you can achieve.
したがって、焦点を分散すればするほど非生産的になって、エネルギーの浪費というありがたくない結果を生みだします。だからこそ、何かの作業に取り組んでいるときは、メールソフトを閉じ、電話が鳴っても出ず、仕事の妨げになる恐れのあるものはすべて無視したほうがいいでしょう。他の仕事や気分転換は、後からでもできます。完全に集中し、上手に優先順位をつけるのです。そうすれば、結果は驚くほど変わるはずです。
Multitasking to me is a kind of siddhi, or higher power. I generally
recommend that only enlightened masters attempt it. Like a Dancing Shiva
with multiple hands and feet, you need to have a highly evolved
consciousness to do it well.
わたしにとって、いちどきに複数の仕事をこなすのは、シッディ、すなわち悟り、完成の境地、あるいはそれ以上に高度な技術です。そのため人にも、悟りを開いた熟練者だけが試みるように勧めています。何本もの手や足を持つ“踊るシヴァ神”のように、高みにまで達した意識がなければ、いくつもの仕事を同時進行でやり遂げることなどできません。
But like it or not, it is something that we
all find ourselves doing at one time or another, even though for most of
us it is hard enough to focus mindfully on one thing. When we multitask,
we think we are saving time, but actually we are doing one thing to the
detriment of another, and everything suffers. Being mindful and focused
is much more effective, as you’ll see when you apply the lessons of
living in Buddha Standard Time to your daily life.
しかし、好むと好まざるとにかかわらず、気づいたら誰もが同時に多くの仕事をこなしていたという覚えがあるはずです。たったひとつの仕事に集中し、心を向けるだけでも難しいというのに。複数の仕事を同時に進めれば、時間が節約できるような気になりますが、実際には、ひとつの作業が別の作業に害を及ぼし、結果的にはすべてがおろそかになってしまいます。それよりは、ひとつのことに心を向け、集中したほうがはるかに効率的だということは、日常生活に<ブッダの標準時間>を適用してみると、よく分かるはずです。
アメリカでの仏教普及に多大な貢献をし、仏教徒に限らず、大勢のアメリカ人に精神的影響を与え続けている、ラマ・スールヤ・ダスの著作「人生を劇的に変える<ブッダの時間>」よりご紹介します。
Take time to sit down, or even better, curl up on your
side――in bed perhaps, or on a floor rug, the grass, or a beach――close your
eyes, and relax. Breathe, smile, and relax.
時間の余裕を見つけたら、まずは床に座りましょう。横向きに寝て丸くなれたらさらに良いでしょう。ベッド、カーペット、もしくは草の上、砂浜でもかまいません。
目を閉じて、力を抜いてください。深呼吸してほほ笑み、リラックスします。
Let go and let be.
Let everything settle, and imagine you’re
like a baby, an infant, even a fetus back in the womb, free from considerations
of time and place.
Rest cradled and at ease, as if floating
in the warm and cozy amniotic sac of this instant, free from your habitual
grown-up distractions and roles, age, gender, worries, and preoccupations.
Let the warm waters of natural
awareness and nowness wash over you and through you, filling you with
peace and bliss.
Know that you are held and
whole, at home and loved again, Nothing else is happening.
Enjoy resting in the natural
state, beyond time, beyond mind, at home and at ease in the natural great
perfection of just being.
You are home now.
Go back further.
Now imagine you are dead and buried.
Enjoy that big sleep in the cool mouth of the
womblike tomb,
Beyond all vicissitudes of this fleeting
life,
Done is what had to be done,
Come home to yourself, your true source
And wellspring.
Breathe the light, the subtlest energy of
pure being,
Beyond life and death, coming and going,
And rest in the secret inner heart of the
sacred now
すべては、あるがままに。
何もかもが落ち着くのを待って、自分を赤ちゃんや幼な子と想像します。胎児に戻ってもかまいません。時間も場所も忘れましょう。
今の瞬間という、温かく心地よい羊水の中に漂っているかのように、包み込まれ、くつろいで、習慣となっている大人の雑念から解放されます。役割、年齢や性別、悩み、そして重大な関心事からも自分を解き放ちます。
自然な気づきと、“今、ここにいる”という温かい羊水に包まれ、安らぎと至福に満たされます。
あなたは支えられていて、何ひとつ欠けるもののない、愛される存在であることを知ってください。他には何も起きません。
自然な状態にいることを楽しみましょう。時を超え、理性を超え、“ただ在る”ことの、自然で大いなる完全さに包まれ、くつろいでいます。
今あなたは、あなたの生まれた場所にいます。
もっと先まで、戻ってみましょう。
今度は、自分が埋葬されているところを想像してください。
子宮のような墓の涼しさの中で、はかない生の変遷を超え、大いなる眠りを楽しみましょう。
なされるべきことはすべてなしとげられました。
あなた自身に、あなた本来の原点に、涸れることのない源に戻りましょう。
光を呼吸しましょう。純粋な存在の捉えがたいエネルギーを呼吸しましょう。
生死、去来を超えて、さあ、今という聖なる瞬間にある、聖なる心の中で安らぎを感じてください。
今この瞬間に意識を集中させるマインドフルネスは、忘れてしまった何かを思い出すのにも役に立つと言います。アメリカ生まれのチベット僧ラマ・スールヤ・ダスの解説に耳を傾けてみましょう。
You have no doubt figured out that when
you’re struggling to remember something, often the best solution is relax your
mind, “It’ll come to me,” you say. And it usually does, once you stop
struggling and straining. Why is that? Because everything that you have ever
learned or might want to learn is at hand and available in the timeless
dimension.
You don’t have to reach for anything. You just have to find the still center
within and make yourself open to letting information come to you.
何かを一生懸命思い出そうとするとき、一番いいのは、心の緊張を解くことです。
「そのうち思い出せる」と自分に言い聞かせて、無理せず気持ちを楽にしていると、本当に思い出せるものなのです。なぜでしょうか。それは、かつて学んだこと、あるいは学びたいと思ったことは、すぐそばの、時間を超えた次元に置かれているためです。あえて、とらえようとせず、ただ心をオープンにして、静かに、自然に情報が浮かび上がってくるのを待つのです。
Lao-tzu would probably have called this
approach the way of non accessing The seers of
ancient India spoke of the akashic record――the
cosmic storehouse of all and everything. It is also known as gnosis, from one of the Greek words for
“knowledge.”
The psychoanalyst Carl Jung called it the collective unconscious. The
only thing we have to do is keep ourselves and our attention in one place long
enough to tap into it.
老子の“あえて近づかない方法”、すなわち、「泥水をそのままにしておけば、いずれ澄んだ水になる」という言葉も、これと同じことを言っているのでしょう。古代インドの預言者はよく、全宇宙の過去、未来のすべてが収められた倉庫である”アカシックレコード”に言及します。知識を意味するギリシャ語から来た”グノーシス”としても知られ、精神分析学者カール・ユングが”普遍的無意識”と呼んだものです。記憶を取り戻すために必要なことはただひとつ、落ち着いてひとつのことに集中し、情報がみずから現れるまで静かに待つことです。
The contemplative practice of increasing
focus and concentration is more about tuning in, creating a channel, opening
the crack in the eternal moment, than it is
about strenuous mental calisthenics. When we train ourselves to focus, we
are really learning to be sensitive, active receivers. It’s our number-one
tool for cutting
through the temporal chaos of daily life, since time itself fades away when we
fully focus on the present moment.
瞑想による集中力や注意力の訓練は、心の柔軟体操というより、周波数を合わせ、チャンネル(経路)を作り、永遠の時間に割れ目を作るために行ないます。一点に集中する練習をすると、敏感に、そして積極的にものごとを受けとめられるようになります。これらは、日常生活につきまとう一時的な混乱を切り抜けるための最高の道具です。なぜなら、今という瞬間に集中できるようになると、時間そのものが消失するからです。
When we run into trouble, we need only stop,
take a breath, find our center, and take stock. Concentrative meditation
trains us to do this. And the greater our level of concentrated attention,
the more we can take in, the more grounded we feel, and the more able we
are to make thoughtful choices.
問題に直面したら、立ち止まって一息つき、問題の中心を見出し、それをしっかりと調べさえすればよいのです。それを可能にしてくれるのが、気づきの瞑想です。気づきのレベルが高くなるほど、より確かさが感じられ、よい選択ができるようになります。
過去にも未来にも捉われず、今ここに意識を集中させる、マインドフルネス。
それを生み出し、持続させるための瞑想は、数多くありますが、今回は、その中でも、1960年代から一貫して人気があり、もっともやりやすいと言う、ロウソクを使った方法をご紹介します。
Sit comfortably, and stare at a candle flame
or low-intensity lamp.
Breathe in and out, maintaining a fixed yet gentle gaze upon the light
source. When the mind wanders and the attention wavers, simply notice that
it is happening, without judgment or reaction.
Use the leash of re-mindfulness to bring the wandering attention back to the
light. And pay attention to it wholly and with single-pointed, focused
intensity. Let everything else go by.
楽な姿勢で座り、ロウソクの炎か、あまり明るくない電球の光を見つめます。
おだやかな気持ちで、じっとその光源を見つめながら、息を吸って吐きます。心が定まらなかったり、気がそぞろになっても、そうなったことに気づけば、それだけで充分です。あれこれ判断したり、反応しなくていいのです。呼吸など注意を引き戻すための道具を使って、さまよい出た心を光に戻し、再び焦点をあてて集中します。
他のことはすべて、そのままにしておきましょう。
Don’t become discouraged when the
monkey-mind――your wandering attention――keeps leaping and bounding away, as
it will. Simply notice this distraction, this lapse in attentiveness, and again
and again bring the wandering attention back to focusing single-pointedly
on the flame or light. Blink as you need to.
たとえ心が落ち着かず、あらぬ方向に向いたとしても、心配ありません。ただ、気が散ったこと、注意力が途切れたことに気づいて、その都度心を炎や光に戻して一点に集中し直します。瞬きはしてもかまいません。
Let the breath and mind settle.
Calmness and clarity emerge from within and
rest on this single image before you.
Look at the light,
Become the light.
Breathe into the light,
Merge with the light.
Be light.
呼吸を整え、心を落ち着かせましょう。
平穏さと透明さが内から生じて、目の前にあり、今まさに見つめているものに留まります。
光を見つめ、
光になる。
光に息を吹き込み、
光と一体になる。
そして、光そのものになります。
時間を無駄にしていると感じる時。マインドフルネスを実践すれば、集中力や洞察力を高める良いチャンスに変えることができると言います。アメリカ生まれのチベット僧ラマ・スールヤ・ダスが、そのやり方を詳しく解説してくれています。
Begin by bringing your attention to every
detail, moment by moment. Instead of wishing you were somewhere else,
observe the cars around
you, stopping and starting of the traffic pattern, the smell of the
summer air coming in
your window or your heater as it keeps you warm in the winter, and the
state of your own mood as well. Notice that you are actually sitting in
your car and not just “going somewhere.” Feel the sensation of the seat
upon your thighs and buttocks. Notice whether your body feels hungry,
stiff, tense, anxious, or relaxed. Notice whether you’re upset about being
stuck in gridlock, whether you’re anxious about other parts of your life,
whether you feel alert or sleepy. Notice the itch on your nose and the way
your toes feel in your shoes. Notice the details of the people in the cars around
you――whether they seem happy, bored, preoccupied, or calm.
まず、刻々と変わる周囲の状況ひとつひとつに、注意を向けてください。一刻も早く抜け出したいという気持ちは忘れて、近くにいる車、渋滞の様子、窓から入ってくる夏の風の匂い、冬の車内にただようヒーターの匂い、そして自分自身の気分を観察します。「どこそこに向かっている」自分だけでなく、車のシートに納まっている今の自分に注意を向け、腿や尻に感じるシートの感触を味わいます。お腹が空いている、体が硬くなっている、緊張しているといったことや、心配している、リラックスしている、そういったことです。渋滞に巻き込まれて腹を立てたり、他にも、生活の悩みを抱えている、ちゃんと目が覚めている、あるいは眠い、鼻がむずむずしているといったことにも気づきます。靴の中の指先はどんな感じでしょう。周りの車にいる人たちの様子は?楽しそう、退屈している、ぼんやりしている、それとも落ち着いていますか。
Notice the sunny or cloudy day, the sounds of
cars inching forward, the traffic copter whirring overhead, maybe the chirp of
a bird. Notice the stream of thoughts and emotions going through you as
you observe the changing scene around you. Notice whether you are impatient and
angry about the sheer waste of time, and notice what other drivers and
passengers seem to be feeling. Notice whether you feel sympathy toward
them (misery loves company) or resentment, envy, pity, or some other emotion.
Notice whether your sympathy, understanding, and compassion grow or
diminish as you slip effortlessly into Full Connection Meditation.
空が晴れているか、曇っているかにも気づいてください。のろのろと進む車のエンジン音や、頭上で旋回する交通管制のヘリコプターの音、鳥のさえずりは聞こえるでしょうか。周囲の景色が変わるにつれ、心を流れていく思いや感情にも気づきましょう。時間の浪費に耐えかねてイラついていますか。他の車の人たちはどう感じているでしょうか。その人たちを”同病相憐れむ”で同情しているのか、それとも敵意、嫉妬、憐れみなどを感じている、どちらでしよう。自分の同情、理解、思いやりが、<つながりの瞑想>にすんなりと入るにつれ、膨らんでいくのか、しぼんでいくのかにも気づいてください。
Notice with an alert and vigilant mind, yet
try to remain unattached to any of it. It’s all small stuff, and there’s no
need to sweat it, as the saying goes. It’s merely the flotsam and jetsam of
raw, unmediated experience. Let it go; let it all come and go. Notice the
larger stuff: the trajectory of your life; the long and
winding road of time. Imagine what kind of insight could
turn the experience of sitting in traffic, right here and now, into
one of the most memorable moments in your life.
注意深く、怠りなく気づいて、気づいたことにはいっさい捉われないようにします。
それらはどうでもいいような事柄なので、よく言うように、細かいことにはこだわらない、です。すべて未熟で浅い経験から出たがらくたですから、放っておきましょう。
それよりもっと大切なことに心を留めてください。人生の軌跡、曲がりくねった時の流れに心を留めるのです。そしてどういった考え方をすれば、今、ここで交通渋滞に巻き込まれている体験を、人生の忘れられない瞬間に変えられるのかについて考えます。
And guess what? While you have occupied your
mind with noticing all these things,time has slowed
and even disappeared. You feel calm and
grounded. You have gracefully accepted things as they are. Perhaps you
even avoided being in an accident by staying put for that time period.
Most important, you have used the opportunity to bemeaningfully
engaged in what you are doing. You have turned from vegetating to meditating.
すると、どうでしょう。あらゆることに注意を払っているあいだに、時間の流れが遅くなり、ときには消えてしまっていることに気づくでしょう。ものごとを素直に、あるがままに受け入れたおかげです。気持ちはおだやか且つ、静かです。もしかしたら、のろのろ運転のおかげで交通事故に遭わずに済んだかもしれません。でも、もっとも肝心なのは、そのやりきれない時間を、自分の行動に注意を向けるという、意義あることに使った事実です。ぼんやりと無為に過ごす代わりに、瞑想したことになるのです。
世界で二人しかいない、ヨグマタ(ヨガの母)相川圭子さんの著書「八正道」が話題になっています。「人生という航海でどんな荒波にもまれようと揺らがなくなる羅針盤」とのことですが、この「八正道」を英語にするとどうなるか?アメリカ生まれのチベット僧ラマ・スールヤ・ダスの著書からご紹介します。
1.RIGHT
VIEW: seeing things clearly just as they are
一 正しい見方(正見) ものごとを曇りのない目で、ありのままに見る。
2.RIGHT
INTENTIONS: understanding causation, cause and effect, and interconnectedness,
impermanence, subjectivity, and unselfishness
二 正しい思い(正思惟) 因果関係、原因と結果、および、互いが結びついていること、無常、主観性、無私の心を理解する。
3.RIGHT
SPEECH: using words that are true, appropriate to the situation, kind, helpful,
nonviolent, and conductive to the greater good
三 正しい言葉(正語) 真実で、状況に即した言葉、丁寧で役に立ち、かつ人を傷つけず、善につながる言葉を使う。
4.RIGHT
ACTION: acts congruent with the basic Buddhist precepts
regarding cherishing life and refraining from lying, stealing, sexual
misconduct, and intoxicants that cause heedlessness
四 正しい行ない(正業) 命を慈しむプッダの戒律に従い、嘘、窃盗、姦通、酒といった、思慮を欠く行ないを誘うものを慎む。
5.RIGHT
LIVELIHOOD: engaging in honest, productive labor that harms no one
and benefits people as well as oneself; making a life, not just a living;
finding your true vocation
五 正しい暮らし(正命) 誰にも害を及ぼさず、自他共に利益をもたらす、正直で、実りのある仕事に従事する。ただ生きるだけではなく、有意義な人生を送る。天職を
見つける。
6.RIGHT
EFFORT: balanced effort. diligence, energy, perseverance, and
joyous enthusiasm
六 正しい努力(正精進) 偏りのない努力、勤勉、エネルギー、忍耐力、喜びにあふれた熱意。
7.RIGHT
MINDFULNESS: alert presence of mind and attentiveness to present-moment
experience, outer and inner, without judgment or manipulation
七 正しい気配り(正念) いつも心に気を配り、心の内外にかかわりなく、判断や小細工をせずに今という瞬間を経験することに注意を向ける。
8.RIGHT
CONCENTRATION: being focused on the task at hand, giving special emphasis to
what will ultimately be conductive to awakened enlightenment,
spiritual freedom, inner peace, and deathless bliss.
八 正しい集中力(正定) 目の前にある仕事に集中しながらも、最終的には完璧なる悟り、自由な心、内なる平安、死が存在しない至福に至る道にしっかりと目を向ける。
脳の疲れを減らし、集中力を高める、マインドフルネスは、その気になれば、いつでも、どこでも練習することができると言います。最も簡単かつ効果的なのは、「気づきの歩行(mindful
walking)」。アメリカ生まれのチベット僧ラマ・スールヤ・ダスの著作「人生を劇的に変える<ブッダの時間>」よりご紹介します。
When you next take a walk, free yourself from
your electronic friends: iPod,
cell phone, or Kindle.
Pay attention to everything with consciously heightened awareness: the sights,
sounds, smells, the feel of your body moving ahead along the path, the feel of
your feet on the earth with each step. If you find your attention
wandering, stop walking and stand still, gently collecting yourself and
recollecting what you’re engaged in. Take a few deep breaths, and then
start moving ahead again.
散歩に出るときには、アイポッド、携帯電話、電子書籍など、すべてのモバイル機器端末を、おいていきましょう。そして、あらゆることに、意識して注意を注ぎましょう。風景、音、匂い、歩くときの身体の動き、踏み出した足が地面に着いたときの感触。もし、注意がそれたら足を止め、静かに立ったまま、おだやかに、自分が何をしていたかを思い出します。そのあと何度か深呼吸して、また歩き始めましょう。
Just walk――aerate and irrigate the brain,
nourish the heart and soul――while enlivening and strengthening the body,
too. Just walk, letting go of everything and practicing full engagement in
only two activities: walking and breathing. You will be amazed at how
quickly time passes by as you’re going as slowly as you can, and how
relaxed, refreshed, and present you will gradually come to feel.
こうして、脳には酸素と潤いを、心と魂には滋養を、身体には活力と強さを補います。
すべてが入って、また出ていくにまかせ、歩行と呼吸だけに集中する練習をします。
できるだけゆっくり歩くと、時間の経つのが早く感じられ、自分がどれほど落ち着いて、リフレッシュし、今という時にいるかを実感して、驚くことでしょう。
Aside from sitting and chanting, walking is
perhaps the best-known form of meditation.
Walking meditation is a slow, contemplative walking practice or exercise in
which you mindfully observe yourself lifting your feet one at a time and then
placing each one down again. In a more advanced version, you synchronize your
breathing with your slow, mindful walking, one step at a time――one in-breath,
one footstep; one out-breath, one footstep――repeating this again and again
while concentrating your attention entirely on what you are doing.
座って瞑想をしたり、マントラを唱えることを除けば、歩くことが一番よく知られた瞑想方法かもしれません。歩く瞑想とは、気づきながらゆっくりと歩く修行や練習で、一歩ずつ、足を上げては地につける自分を観察するものです。さらに上達するとも一歩踏み出すごとに、呼吸と歩みを同調させられるようになります。一息吸っては一歩踏み出し、一息吐いては一歩踏み出す、これをくり返しながら、自分の行動に集中するのです。
生きるか死ぬかの場面に遭遇した時、恐怖の感情に打ち勝ち、その時なすべきことに集中する。ふだんから、マインドフルネスの瞑想を訓練している人には、それができるという実例を、アメリカ生まれのチベット僧ラマ・スールヤ・ダスが紹介してくれています。
I read the news about a fifty-two-year-old
construction worker in China named Wang Jianxin who was assigned the job
of digging a ditch sixteen feet below the ground. He got to work with just
a shovel and a plastic safety helmet. Suddenly, a huge wall on one side of
the ditch collapsed, burying him under an enormous pile of earth.
かつて、五十二歳の中国人労働者の王建新(ワン・ジェンシン)の話が大きな話題になったことがあります。王さんは、地下約六メートルに溝を掘る建設作業をしていました。シャベルを持ち、プラスチックのヘルメットをかぶって作業を始めたとたん、いきなり傍らの壁が崩れてきて、膨大な量の瓦礫の下敷きになってしまいました。
The rim of Wang’s helmet trapped a tiny
pocket of air near
his face. Doctors later reported that he had about five minutes’ worth of
oxygen. A practicing Buddhist, Wang knew that fear and panic would accelerate
his breathing. When he found himself in heavy blackness, he let
himself drop into
concentrative meditation, intentionally calming his thoughts and his
energy, and thus slowing down his breathing and heart rate.
He trusted that eventually he would be freed, especially if he prolonged
his air supply
this way.
ヘルメットのひさしのおかげで、顔の周りにわずかな空間が確保されたものの、事故の後、医師の話によれば、酸素はほんのわずか、たった五分間分しかなかったそうです。仏教徒として修行していた王さんは、恐怖やパニックに陥ると、呼吸が荒くなることを知っていました。そこで暗闇の中で集中瞑想に入り、湧きおこってくる思いやエネルギーを静め、呼吸数と心拍数を抑えるよう努めました。酸素の消費量を減らせば、やがて救い出されると信じたからです。
It took a crew two hours to dig him out, and
they found Wang alive and conscious!
The deep calm and
discipline achieved through years of meditative practice saved his life.
生き埋めになって二時間後、救助隊に助け出されたときの王さんは生存どころか、意識まではっきりしていました。冷静な心と長年の瞑想の訓練が王さんを救ったのです。
Wang’s response to his crisis was both
instantaneous and automatic, a result of years of dedicated practice.
Experienced meditators are trained to recognize the truth or reality as it
presents itself in each moment. Wang’s training had taken him to a point of
absolute conviction. He knew his inner strength and that he could use his
disciplined mind to concentrate on slowing his physical system to improve his chance of
survival.
At the same time, such training would also prepare him to accept the possibility of a
peaceful transition into death.
王さんの危機への対処は迅速かつ自発的で、その判断は、長年にわたる熱心な訓練のたまものでした。長年瞑想を続けると、その時々に現れる真実や現実をすみやかに
認識できるようになります。しかも王さんは、そのことにゆるぎない信念が持てるまで、自分を訓練しており、自らの内なる力を知っていました。訓練された心で体内の動きを抑えれば、生き残るチャンスも高くなることが分かっていたのです。それと同時に、王さんには安らかに死に移行する心の準備もできていました。
Such groundedness
is the essence of what we call presence, and you can develop
it, too. An individual with presence controls his or her destiny, always,
even unto death.
このゆるぎなさこそが、<在ること>と呼ぶものの本質で、誰にでも培うことができます。今を生きる人は、常に自分の運命を支配します。そしてたとえ死を前にしても、そのゆるぎなさが変わることはありません。
人の時間や労力をみやみにあてにする、無理矢理な、つまらない頼みごとを断るためのガイドライン。その人との健全な人間関係は維持しつつ、自分の大切な時間を守るための、けじめのつけ方を、アメリカ生まれのチベット僧ラマ・スールヤ・ダスが、教えてくれています。
1.Are
you healthy and strong enough to do what is asked? If your physical,
emotional, spiritual health is low or inadequate to the task, that alone
rules it out. If someone needs to be driven somewhere or wants you to help
them move and you’re feeling depleted, tell the person that you don’t feel good
enough, that you’re sorry but you’re not up to it.
Similarly, if the weather makes it difficult or dangerous to do someone a
favor, turn it down. Maintain healthy boundaries and expectations. Nowhere is
it written that you have to be a hero. And as we’re already learned,
compassion begins with yourself.
一 頼みごとを引き受けるだけの健康と体力を持ちあわせていますか?もし、肉体的、情緒的、精神的に不安があるなら、断る理由はそれだけで充分です。友人から車を出してほしい、引越しを手伝ってほしいと頼まれても、自分が疲れているのなら、相手にそれを率直に伝えましょう。申し訳ないけれど、今日は無理だと言うのです。
同じように、悪天候のせいで困難や危険を伴うといったときも同様で、大切なのは、人と健全な関係を保って、相手に過度の期待を抱かせないことです。英雄になる必要などありません。さきに学んだように、思いやりとは、まず自分をいたわるところから始まります。
2.Is
the request on your time reasonable? In other words, is it clear, concise, and
limited? You don’t necessarily want to commit to a vague or open-ended task
like watching someone’s child whenever a parent gets in a bind. Don’t shy away
from clarifying what specifically is involved, how long it will take, who will
pay for any expenses, such as gas.
二 頼まれた内容は理にかなっていますか?分かりやすく、簡潔で、自分にこなせる量でしょうか?たとえば、「わたしが忙しいとき、うちの子をお願い」といった、条件があいまいな依頼に気前よく応じることはありません。具体的にどのような内容で、どれほどの時間を要するのか、ガソリン代などの諸経費を誰が負担するのかなどは、遠慮せずに確認しましょう。
3.Is
the request petty?
Now, this can get tricky, because what’s petty to you may
seem vital to someone else. But if you are being asked to chauffeur,
shepherd, mother, or fill in for someone to enable that person to evade
responsibility――for example, driving a teenager to a party so he can get
drunk or stoned――then you might well decide to draw the line. This become
an exercise in distinguishing the self from the Self, and small, ordinary,
sequential time from larger cyclical or timeless Time by keeping in mind the
bigger picture and long-term consequences.
三 つまらない用事を押し付けられていませんか?さて、ここが難しいところです。
自分にはつまらないと思えることが、相手には重要なことかもしれません。でも、車の運転や留守番、子どもの面倒など、他人の責任逃れの埋め合わせとして代役を頼んでくる場合、たとえば、飲酒や薬物を摂取するのを承知の上で、十代の子どもをパーティーへ送り届けるといった用事は思い切って断りましょう。常に広い視野、長いスパンでものごとをとらえるように心がけます。それが<小さな自分>とより高い<自分>、普段、刻々と過ぎる時間と、めぐる無限の<時>とを区別して考える練習にもなります。
If these criteria are met, then by all means
give freely of your time, energy, money, support, encouragement, help, and
love. But if not, step back. Find a way to give a constructive,
affirmative “No thank you” in answer to the request. In case of a
child, friend, or someone else with whom you have a custodial or closely
interdependent relationship, explain clearly why the proposed activity is
not in your or their best interest and politely decline, perhaps adding
the phrase “for now.” In the case of someone who is argumentative, aggressive,
or dependent, avoid disagreeable discussions that further drain your
energy. Simply withdraw to an inaccessible high ground or keep a
safe physical and/or emotional distance. Say yes to your Self by gently saying
no to unreasonable demands and expectations.
これらの基準に則った頼みごとなら、どうぞあなたの時間、労力、資金などを費やして、大いに相手を支え、励まし、助け、慈しんであげてください。もし、そうでなければ、すみやかに身を引くべきです。前向きな表現で、気持ちの良い断り方を探しましょう。相手が子どもや友人、部下、持ちつ持たれつの親しい関係にある場合には、それを引き受けることがあなた、またはお互いになぜ良いことではないのかを、分かりやすく示し、ていねいに断ります。「今日のところは」といった言葉を上手に活用するのもよいでしょう。なかなか分かってもらえなかったり、攻撃的だったり、依存傾向の強い相手との、労力をさらに消耗するような不愉快な言い合いは避けましょう。相手が近づくことのできない高みまで退いて、物理的、感情的にも距離を保ちます。理不尽な要求や期待におだやかに「ノー」と言うことで、より高い<自分>に「イエス」と言おうではありませんか。
銀行やレストラン、スーパーマーケット、病院などで長い列に並んでいるあいだ、時間を上手に使う技術があると言います。時間の主導権を、時計の針ではなく、あなたが握るための実用的な方法を、アメリカ生まれのチベット僧ラマ・スールヤ・ダスが紹介してくれています。
1.PICK THE LONGEST LINE AT THE
CHECKOUT COUNTER.
That way, you won’t be disappointed. And to
your surprise, you may find that it moves more quickly than the lines
around you. Smile at the frustrated customers (that used to be you!) who picked
the shortest one. By just walking to the back of the longest line, you can
transform the atmosphere in the room, slow down the pace, and
change people’s perception of time.
一 レジカウンターで、一番長い列に並ぶ。
順番が遅くなったからといって、がっかりしなくてすみます。それに、ひょっとしたら、他の列よりも意外に進みが早いかもしれませんよ。かつてのあなたのように、
一番短い列を選んでイライラしている他の買い物客に、余裕の笑みを向けましょう。
一番長い列の後ろに着くという、たったそれだけのことで、まわりを取り巻く空気が
一変します。流れがゆるやかになって、時間に対する認識が変わります。
2.CHANT SILENTLY.
Chant “Om mani padme
hum,” the main Tibetan Buddhist mantra, or any other calm, peaceful chant,
to soothe your mind and spirit and bring you back to center. Or memorize and recall
your favorite poems.
チベット仏教でもっとも重要とされる「オム・マニ・ペメ・フム」もしくは他の心休まる詠唱でもかまいません。心や魂を静めて、もう一度、自分を自分の中心に戻します。好きな詩を覚えたり、思い出したりするのもいいでしょう。
3.DISCOVER
THE SPACE AROUND YOU――the rhythm of the sounds, the texture of the setting, the
voices and movement of those in your midst coming and going. Don’t label.
Simply relax into time and take it all in.
三 まわりの空間を見出す。
周囲の音のリズム、待っている場所の内装が持つ感触、心に浮かんでは消えていく動きや、内なる声を感じます。それらを判断したり、分類したりしてはいけません。ただ、時の中でリラックスして、すべてをありのままに受け入れます。
4.DO
THE SHUNI MUDRA, HOLDING THE TIPS OF YOUR MIDDLE FINGER AND THUMB TOGETHER.
This is a classic hand gesture or silent
meditation for cultivating patience. These fingers are associated with the
lung meridian and the heart governor meridian, respectively, and will
harmonize your breathing, circulation, and Chi energy flow. This works
anywhere, anytime: in line, arguing with your spouse, meeting with your
boss, or jetting across the country.
四 中指と親指の先を合わせて、印を結ぶ。
印とは古くから伝わる、手のポーズ(印)を用いた沈黙の瞑想法で、忍耐力を養う効果があります。二本の指はそれぞれに、手の大陰肺経(たいいんはいけい)と手の厥陰心包経(けついんしんぽうけい)につながっていて、呼吸と血行、気の流れを整えます。この瞑想は時と場所を選びません。列に並んでいるときも、夫婦げんかの最中や上司とのミーティング、飛行機で移動しているあいだでも行なうことができます。
何かに急かされて、自分を見失いがちな時に、たった数分で、本来の自分を取り戻す方法があると言います。アメリカ生まれのチベット僧ラマ・スールヤ・ダスの著作「人生を劇的に変える<ブッダの時間>」よりご紹介します。
1.
Take a few slow, centering breaths.
一 深呼吸をゆっくりと、何度かくり返します。
2.Relax,
and focus your mind on a point in the center of your hand.
二 身体の力を抜き、心をてのひらの一点に集中させます。
3.Imagine
that you are sending breath right into that point and that it is
expanding and getting warm.
三 その一点に息を吹き込んでいると想像します。するとその中心が広がり、温かく感じてくるはずです。
4.After
a minute, compare the feeling in that hand with the other.
四 一分後、もう片方の手と感覚の違いを較べます。
5.Rest
at ease, and gently experience whatever it is, basking in the afterglow.
五 リラックスして、今経験したことをそのまま受けとめ、余韻にひたります。
Most people who try this exercise feel some
kind of sensation――heat, prickling, pulsing, or vitality――in the point,
where the mind was focused. The science of biofeedback is based precisely
on the fact that people can use their minds to direct attention to
specific areas of the body in order to lower blood pressure, slow heart
rate, and decrease pain.
この方法を実践した人の多くが、集中した箇所に熱や刺激、脈打つような<気>など、何らかの変化を感じています。人間には精神の働きを駆使して特定の場所に意識を集中し、血圧を下げたり、心拍数を減らしたり、痛みを抑える能力があるのです。
Once you have learned to center yourself in
the midst of time pressure and stress, you can compassionately spread this
feeling of relaxation outward, and benefit others by helping them get in
sync with you. When you’re speaking with a rushed or agitated friend or
colleague, for example, take a deep breath, connect to your higher Self,
and modulate your voice and breathing in an upbeat and calm way. This allows
the other person to entrain to your more deliberate and skillful pace, and
is beneficial and productive for both of you. Try it and see.
時間的なプレッシャーやストレスのただ中にも、自分を自分として感じることができるようになったら、慈しみをもってその心の平穏を外に広げ、周囲の人々とシンクロすることで、良い影響を与えることができます。時間に追われて浮き足立っている友だちや同僚と話すときにはより高い<自分>とつながり、声を抑え、軽やかに、そして静かに呼吸します。そうすれば、その巧みなペースに相手もいつしか同調して、お互いに有意義で価値のある経験となるでしょう。その効果のほどを是非試してみてください。
いかがでしたか?このブログで何度も取り上げている禅僧ティク・ナット・ハンの文章と比較すると、もともとアメリカ人である、ラマ・スールヤ・ダスの原文は、ボキャブラリーが桁違いに多く、かなり難しく感じられますが、その内容の素晴らしさと、英語学習をステップ・アップさせたいという思いも込めて、ご紹介しました。
お役に立てれば幸いです。
死刑囚人のブログ
テーマは、時間をゆったりと使う、ということでした。現代社会はIT化に伴い、以前には考えられないスピードで生活するようになりました。人々は、ちょっとしたことでも、待ち時間にイラつき、メールでも返事が遅いと不快になる世の中です。時間にまつわるストレスが増えることは、免疫低下・高血圧・心筋梗塞・脳梗塞・不眠症など、さまざまな疾患を誘引するというのが、著者の主張でした。
みなさんは、どうでしょうか? 本書では、時間や労力を消費する中毒状態から、どのように抜け出すか、いかにしたら穏やかで静かな時間に切り換えられるか、瞑想や音楽の効用と具体的方法について詳述されています。
著者の見識は、仏教のみならず、各国の先住民の教えから神話・武士道・禅・哲学・サイエンスと広いものでした。精神世界へのガイドとも言えます。具体的な瞑想のトレーニングから、意識のありようの変え方を通して、自らを時間の鑑から解き放し、肉体と精神の健康を取り戻すというのが主眼です。
「今という瞬間をないがしろにする人間は、持っているものを、すべて、かなぐり捨てているようなものだ。この瞬間を生きよう」
「より高い自分とは、一瞬ごとに気分が変わる小さい自分とは正反対のものです」
こんな言葉が随所に出てきますが、著者によれば仏教とは時間と、時間の管理に関する深い研究とのことでした。なぜならば、心や精神を巧みに扱うことで時間に囚われなくなるからです。時間や秩序にこだわり過ぎると、人は正気を失うともありましたが、これ、よくわかります。以前の私のことみたいです。また、自然の力には人間の緊張を解きほぐす効用があり、エクササイズ・ヨガ・瞑想と同じ働きがあると言います。
本書には、アカシックレコードなど、知っている人には興趣をそそる内容ですが、スピリチュアル方面に関心のない人には、今ひとつ、ピンとこないかもしれません(えいっ、とトライするのも強くはすすめません)。
振り返りますと、私の、来し方は本書とは対極にありました。いかに単位時間あたりの効率を高め、睡眠時間を短くして、活動時間を最大化するか、絶えず研究し続け、実践してきました。1分、2分にこだわり、自分を厳正に時間で縛り、寝てる時以外は、何もしていないことがないのが当然という生活でした。
長く生きないことを想定していたこともあり、とにかく先を急いだのです。睡眠についても、いかに短時間で効果的にできるか、試行錯誤を繰り返し、4時間を主体に、適宜5時間をはさむことで対応していました。人との付き合いでも、その場の雰囲気で予定を変えるということは皆無でした。変えられるのは、父だけという生活をしていました。
時間を至上のものとして、頭の中はフル回転し、即行動という生活でした。「死んだらゆっくり休めるぞ」という父の言葉もあったからです。獄に入って、これで変わると思いきや、今度は自由時間が限られているので、どれだけ効率良く使うか、ということになりました。 作業が終われば、すぐにやるべきことを始めるのが習慣となっています。就寝時間後は、何もしてはいけないので、ひたすら頭の中で考えるという作業の繰り返しです。
その中で、瞑想状態になることを覚えて実践するようになりましたが、なんと贅沢な時間だろう、と思います。睡眠時間が短いのは相変わらずですが、みんなが寝静まった頃、夜勤職員の靴音と時々のしわぶきだけの中で考えるのは快いものとなりました。起きている間は、生涯、のんびりできないとわかっていますから、これが私の生活だと不満はありません。
常に、「今」やっていることが、そのまま、将来なのだ、というのが信条です。人からすれば、窮屈だったり、ゆとりのない生活に見えるかもしれませんが、その中で本を読み、考え、ものを書くというのは、こうでもしないと、どれも中途半端になってしまいます。そして、なによりも自分が目指す結果が出るのが遅れてしまうのです。
時間も人生も、いつまでもあると思ったことはありません。その日、最善を尽くしたか、と床の中で省みる時、自分に失望したり、憤りを感じたくはないので、ぎりぎりまで時間も自分も使いきってやる、と決めています。
社会にいた時、寝ない・食べない生活ができないのか、と真剣に模索したことがありました。何かを始めてしまえば、寝ること・食べることが面倒だと思ったからです。そのために、食事を抜くというのは、日常茶飯事でしたし、今も勉強や原稿書きに没頭すると食事を抜いて、そのまま続けます。中断するのがイヤなんですね。食事なんて、これからも食べていくわけですし。特にアイデアがどんどん湧いている時は、昼も夜も食べなくても苦にならず、床に入ってから、なんだか、腹が鳴ってるぞ、という状態になります。
獄という所は、その時、その場所で食べないといけないので、残しておいて後で、というのはできません(たまにオニギリにする、おかずを取っておく奇特な者もいて、見つかって懲罰になり、同囚からは笑われます。オニギリにすると、逃走準備だとか、言われるとも)。
本書を読んでも、就寝時間以外は、ゆったりと、とは毫も思いませんでしたが、著者の述べるような生き方は、たしかに人間らしいと伝わってきます。しかし、ペースを緩める、のんびりするというのは、それを言いわけにして怠惰に走っているのでは、という思いが消せず、私に合った暮らし方をしているつもりです。
生活のペースを変えてみたい方はどうぞ!(美)