最古層の経
『ゴータマ・ブッダ考』(並川孝儀、大蔵出版)
最古層の韻文資料と古層の韻文資料を比較し、内容の変化を調べる。その変化を逆方向に遡れば、歴史上のゴータマ・ブッタをおぼろげながらでも推定できるのではないか。
そして、最古層としては『スッタ・ニパータ』の第4章「アッタカ・ヴァッガ」、第5章「バーラーヤナ・ヴァッガ」を、古層として『サムユッタ・ニカーヤ』の第1章「デーヴァター・サムユッタ」、第4章「マーラ・サムユッタ」、『ダンマパダ』の「タンハー・ヴァッガ」、「ブラーフマナ・ヴァッガ」などを想定している
『スッタニパータ』Sutta Nipāta 漢訳『経集』
セイロン(スリランカ)に伝えられた、いわゆる南伝仏教のパーリ語経典の小部に収録された経典のこと。
「スッタ」(Sutta)はパーリ語で「経」、「ニパータ」(Nipāta)は「集まり」なので『経集』の意となり、『南伝大蔵経』のようなパーリ語経典日本語訳の漢訳題名でも、この名が採用されている。
は、以下の全5章から成る。
第1章 - 蛇(Uraga-vagga)
第2章 - 小(Cūḷa-vagga)
第3章 - 大(Mahā-vagga)
第4章 - 八(Aṭṭhaka-vagga) 朗読データ参照
第5章 - 彼岸道(Pārāyana-vagga) 朗読データ参照
『サムユッタ・ニカーヤ』Saṃyutta Nikāya, 漢訳 相応部(そうおうぶ)
パーリ語経典の経蔵を構成する「五部」(巴: Pañca Nikāya, パンチャ・ニカーヤ)の内の、第3番目の「部」(nikāya, ニカーヤ)のこと。テーマ別の短編経典集である。「相応」(saṃyutta, サンユッタ)とは、「テーマ別のまとまり」のことを指す。
5つの「篇」(vagga, ヴァッガ)、計56の「相応」(saṃyutta, サンユッタ)、約3000経[1]から成る。
1有偈篇(うげへん、Sagātha-vagga,
2因縁篇(いんねんへん、Nidāna-vagga
3蘊篇(うんへん、Khandha-vagga
4六処篇(ろくしょへん、Saḷāyatana-vagga,
5大篇(だいへん、Mahā-vagga
1有偈篇(うげへん、Sagātha-vagga, サガータ・ヴァッガ)の
第1章 諸天相応(しょてんそうおう、Devatā-saṃyutta, デーヴァター・サンユッタ)
第4章 悪魔相応(あくまそうおう、Māra-saṃyutta, マーラ・サンユッタ)
『ダンマパダ』 Dhammapada 『法句経』(ほっくぎょう)
、伝統的漢訳である「法句」とも意味的に符合する[1]。
仏教の教えを短い詩節の形(アフォリズム)で伝えた、韻文のみからなる経典である。
dhammaとは「真理・法」、padaとは「言葉」の意味。
全26章から構成されており
第24章 - 渇愛(Taṇhā-vaggo)
第26章 - バラモン(Brāhmaṇa-vaggo)
が最古層の経だとされている。
第1章 - 双(Yamaka-vaggo)
第2章 - 不放逸(Appamāda-vaggo)
第3章 - 心(Citta-vaggo)
第4章 - 花(Puppha-vaggo)
第5章 - 愚者(Bāla-vaggo)
第6章 - 賢者(Paṇḍita-vaggo)
第7章 - 尊者(Arahanta-vaggo)
第8章 - 千(Sahassa-vaggo)
第9章 - 悪(Pāpa-vaggo)
第10章 - 罰(Daṇḍa-vaggo)
第11章 - 老い(Jarā-vaggo)
第12章 - 自己(Atta-vaggo)
第13章 - 世界(Loka-vaggo)
第14章 - ブッダ(Buddha-vaggo)
第15章 - 楽(Sukha-vaggo)
第16章 - 愛(Piya-vaggo)
第17章 - 怒り(Kodha-vaggo)
第18章 - 汚れ(Mala-vaggo))
第19章 - 法行者(Dhammaṭṭha-vaggo)
第20章 - 道(Magga-vaggo)
第21章 - 雑多(Pakiṇṇaka-vaggo)
第22章 - 地獄(Niraya-vaggo)
第23章 - 象(Nāga-vaggo)
第24章 - 渇愛(Taṇhā-vaggo)
第25章 - 比丘(Bhikkhu-vaggo)
第26章 - バラモン(Brāhmaṇa-vaggo)
ウダーナ
Udāna 『自説経』
パーリ仏典経蔵小部の第3経。
文字通り、釈迦が問答形式ではなく感興に催されて自発的に発した言葉を集めたもの[2]。
サンスクリット経典として継承されている『ウダーナヴァルガ』(Udānavarga)は、本経と『法句経』を足したもの
「これがある時にこれがある。これが生起するから生起する」
構成
菩提(Bodhi-vagga)
ムチャリンダ王(Mucalinda-vagga)
ナンダ(Nanda-vagga)
メーギヤ(Meghiya-vagga)
ソーナ(Soṇa-vagga)
生盲(Jaccandha-vagga)
小(Cūla-vagga)
パータリ村人(Pāṭaligāmiya-vagga)
日本語訳
『南伝大蔵経』 大蔵出版
『小部経典』 第1巻、正田大観、Kindle 2015年