光速度不変の原理  時間の遅れ

 

光速より早いものの存在

 

慣性系(動く座標系)って何? https://j-plustokuan.com/staffblog/97-mathematica/334-relativity1

時空間は位置や時刻を測ってこそ伸びたとか縮んだとかをいう話ができます。

空間または時空間において、位置や時刻の測定値を表す仕組みを「座標系」といいます。

相対性理論では、空間の 3 成分 (x, y, z) と時間の 1 成分  t とを合わせた (tx, y, z)4 成分の座標系(○○系を「System」というので、座標系を S と表すことにします)をあつかいます。

 

4 成分の座標系ですから 4 次元になります。4 次元ってイメージしにくいと思いますが無理やり図にすると

      2.1 時空間て何?(図はイメージです)

 

っという感じになります。もし「私」が静止していれば、 t 軸に平行して連続する「私」があるって感じです。ここでは示しませんでしたが、当然連続する「過去の私」もあるわけです。

 

ちなみに、 (txyz)  4 次元座標で特定される時刻と位置を「世界点」といいます。

 

物理ではおもに運動をあつかうので、座標系が運動する場合も考えます。特に「等速直線運動」する座標系のことを「慣性系」といいます。

 

等速直線運動とは、速度を変えずに一直線上を進む運動のことです。すなわちまったく加速(アクセル)が生じない運動のことで、速度 0 の静止状態も等速直線運動の特殊例として考えます。またカーブも加速の一種と考えます。なぜなら進行方向とは垂直な方向に速度が加わる(加速する)からです。

 

静止または等速直線運動する物体は、力が加わらない限り、静止または等速直線運動の状態を保ちます。この性質のことを「慣性」といいます。この慣性はすべての物体に成り立つということをイギリスの物理学者アイザック・ニュートン氏が発見し「慣性の法則」として知られています。

 

次の 2 つの慣性系の例を考えましょう。地面に対して静止している慣性系と、地面に静止した慣性系の  x 方向に速度  v で等速直線運動する電車の中の慣性系です。

 

慣性系も座標系の一種ですから地面に静止した方の慣性系を  S、電車の中の慣性系を S'というふうに表すことにしますね。

  

 

      2.2 相対速度 v の慣性系

 

 S で表す座標を (txyz) とし  S' で表す座標を  (t'x'y'z') とします。

 

 (txyz)   (t'x'y'z') との間にはどんな関係があるのでしょうか。

今後の計算をラクにするために S  S' の原点を揃えておきます。すなわち

 (2.1)

 

 S'  方向に vt だけ並進するので

 (2.2)

という関係が成り立つとすぐにわかります。

 

1 つの世界点に対して慣性系の数だけ異なる座標が決まります。そういう異なる座標どうしの関係式(2.2)のことを「ガリレイ変換」といいます。

 

しかし、ガリレイ変換のように簡単にはすまされないというのが、これからの特殊相対性理論のお話なんですね。

 

 

相対性原理と光速度不変の原理

前の章では地上と電車内の慣性系の例をあげました。

 

では、この世界に慣性系は幾つあるでしょうか?電車の数だけ?同じ電車でも速度や進む方向を変えれば、その都度新しい慣性系が現れます。

 

地上の慣性系についても、地球は自転して公転し、太陽系も銀河を秒速 200 km 以上で公転しています。

 

すべての運動速度は、さまざまな慣性系ごとに相対的に異なる値をとるという意味で「相対速度」といういい方をします。 

 

さて、無数・無限にある慣性系たちの中で、絶対基準となる静止した慣性系って在るんでしょうか?

 

このような疑問を解決するために1887年 米国でアルバート・マイケルソン氏とエドワード・モーリー氏という物理学者によりある実験が行われました(マイケルソン・モーリーの実験)。当時、光は何かの波動であることは知られてましたが、その波動媒質と地球との相対速度を検出するのが実験の目的でした。

 

波動の媒質とは、波が伝わるために振動するものをいいます。音なら空気、糸電話ならピンと張った糸、池の波紋なら水面にあたります。

 

結局、この実験では光の波動媒質と地球との相対速度は検出されませんでしたが、次の 2 つのことが判明しました。

 

・絶対的基準となる静止した慣性系を定義することはできず、すべての慣性系は相対的なものである。そしてどの慣性系においても同じ物理法則が成り立つ。(相対性原理)

 

・どのすべての慣性系で観測しても、真空中の光速度  c は同じ。(光速度不変の原理)

 

 これら 2 つの原理は相対性理論の大前提になっています。

 

 

光時計と時空間の伸び縮み

再び  S   S' の話にもどりましょう。

 

電車の中の慣性系  S' に「光時計」という装置を設置したとします。どんな装置かというと、間隔  l で設置した合わせ鏡です。この合わせ鏡の間を鏡の面に垂直に光が往復します。光の往復の回数で時間を計るという仕組みです。

 

  2.3 慣性系  S'で観測した光時計

 

さて、電車の中  S' でこの光時計を設置して観測したとき 1 回あたりの光の往復時間は  t' = 2l/です。

 

この電車内に設置された光時計を  S で観測すればどうなるでしょうか。 

  2.4 慣性系  S で観測した光時計

 

 S から観ると光時計は当然速度  v で右方向に運動してます。そのため光の軌道は図のように斜めになります。すると、斜めの軌道の距離  L   l よりも長くなりますよね。

 

光の片道の時間は L/c ですから、この光の片道で到達する間に光時計が移動する距離は Lv/c

になります。このとき「三平方の定理」を使って次の式が作れます。

これから S で観測した光の往復時間 t = 2L/c が得られます。

  (2.3)

(2.3) からわかることは、電車内の S' での往復時間 t' を電車の外 S で観測すると 1/√(1-v2/c2) 倍になりゆっくりスローに見えるということです。

 

動いている慣性系の時間がゆっくりになる、すなわち時間が伸びるというのは、光速度 c が不変であることによる奇妙な結果の 1 つです。

 

次は、光時計を S' が運動する方向に倒してみましょう。

 

慣性系 S' において鏡 x' = 0 に、鏡 x' = l に設置します。

 

光は鏡 A から出発し鏡 B で反射して再び鏡 A に戻ります。

      2.5 光時計を横倒しにすると

 

慣性系 S' で観測すれば光時計との相対速度は 0 なので、光の往復時間は普通に t' = 2l/c になります。

 一方、同じ事象を慣性系 S で観測したときの光の往復時間 t を求めてみましょう。

 

      2.6 横倒しにした光時計を慣性系 S で観測する

 

これまでの話と違うのは、合わせ鏡の間隔 l の向きに相対速度 v がともなうということです。そこで相対速度 v のときの合わせ鏡の間隔の長さを l' とし、静止時の長さ l と区別することにします。 

 

t = 0 に鏡 A から発した光が鏡 B に到達するまでの軌道の長さを L1 とします。このとき次の式が成り立ちます。

よって

t = L1/c に鏡 B で反射した光が鏡 A に戻るまでの軌道の長さを L2 とします。このとき次の式が成り立ちます。

 

よって

したがって S で観測した往復時間 t = (L1+L2)/c 

S  S' で観測したそれぞれの往復時間 t  t'  (2.3) に代入すると

 (2.4)

が成り立ちます。

 

(2.4) 右辺の v を光速度 c に近づけると根号の中が 0 に近づき l' は縮んでいくことがわかります。これが「ローレンツ収縮」という現象です。

 

現象とはいえ、長さ l' が見せかけで縮んでいるのではなく本当に縮んでいると考えてください。時間も見せかけではなく本当に伸びています。

 

相対性理論において、そもそも時間と空間は、位置や速度と同様に慣性系ごとに変化するものだと定義しなおすべきものなのです。

 

 

ローレンツ変換(ガリレイ変換の修正)

以上、時空間の伸縮が明らかになったからには、(2.2) の「ガリレイ変換」を修正しなければなりません。ガリレイ変換には時間と空間の尺度の変化が表されていないからです。

 

ガリレイ変換を修正したものを「ローレンツ変換」といいますが、この修正によって時空間の伸縮以外にさらなる不可思議な現象が明らかになります。

 

慣性系の座標の変換式は 1 次式でなければなりません。何故なら、変換による値の変化が位置や時刻に対して均一でなければならないからです。すなわち、時と場所が変わったくらいでは物理法則は変わらないという意味に基づきます。

  

相対速度のともなわない y 座標 z 座標は変換において不変です。

 

また、ここでも (2.1) を適用し定数項は 0 とします。

 

以上の条件から変換式は次のように表せます。

(2.4)

 

では再び光時計の話に戻りましょう。

 前章で求まった L1L2l' を図 2.6 中の式に代入してみましょう(図 2.7)。

 

      2.7 2.6に代入してみたら

 

今後必要な式だけ表記しました。

 

光が鏡 B で反射する瞬間の世界点を慣性系 S' から観測したときの座標は t' = l/cx' = l です。これと同じ世界点を慣性系 S で観測した座標は = (l/c)(1+v/c)/√(1-v2/c2),  x = l(1+v/c)/√(1-v2/c2) です。

 

また光が鏡 A に戻った瞬間の世界点を慣性系 S' から観測ときの座標は t' = 2l/c です。これと同じ世界点を慣性系 S で観測した座標は t = (2l/c)1/√(1-v2/c2), x = 2l1/√(1-v2/c2) です。

 

以上を (2.4) に代入して整理すると

 となります。l は計算中に消えてしまいます。

 

これで a00a01a10a11 が求まりますので (2.4)

 (2.5)

となり「ローレンツ変換」の式が完成します。

 

オランダの物理学者ヘンドリック・ローレンツ氏は、電磁気学の難しい議論を通して (2.5) とまったく同じ変換式を導出しました。

 

(2.5)  t' の式の右辺を見ると x の項が含まれています。これはガリレイ変換式 (2.2) と大きく違う特徴です。

 

S  x 座標が変化すれば S' の時刻 t' も変化します。これは慣性系 S にとって同時刻の事象が、場所が変わるだけで慣性系 S' の観測でば同時刻でなくなるということです。

 

ここまでの議論のほとんどはアインシュタイン氏による提案は含まれていません。アインシュタイン氏独自の提案はおもに運動力学において展開されます。

 

 

 

 

時間の遅れを計算する式

時間の遅れ  √1(――)(――)(v(――)/(――)c(――))2秒  

動いているものの時間=止まっているものの時間×√ 1-(動いているものの速度/光速度)2

 

動いているものは、時間と距離が縮む

時空はダイナミックに伸び縮みする相対的なものとして計算することができます。

 

 

止まった光とは、振動していない電磁波のことなので、そのようなものはこの宇宙では存在しない。

宇宙船に乗っていても、光は常に秒速30万キロメートルで遠ざかっていく。

光の速度は常に相対的に秒速30万キロメートルであるので、宇宙船から見た光速は秒速30万キロメートルであって、地球からみて、宇宙船プラス光速ということにならない。

 

光速度をこえるものは存在しない

うまい説明法は?

 

電磁波の波動方程式

{\displaystyle v={\frac {1}{\sqrt {\mu \epsilon }}}}v=1/μ(――)ϵ()   {\displaystyle v={\frac {1}{\sqrt {\mu \epsilon }}}}μ磁気に関係する定数      ϵ電気に関係する定数

電磁気学の計算で光速の値を求めることができる。

光速はどんな基準から見ても同じはずである、とアインシュタインは考えた。

光は媒体を必要としない電磁波である。

 

光速度不変の実験

地球の公転方向とそれに直行する方向の光の速度を比較したが同じであった。

地球は秒速30キロで太陽の周囲を公転している

アルバート・マイケルソン 1887

 

 

 

 

 

 

「光速度不変の原理」とは、静止して光を観測しても移動しながら光を観測しても、光の速度は秒速30万キロと測定されると言うものです。
例えば、時速100キロの電車を静止して観測すると、その速度は時速100キロです。しかし、時速50キロの車で追いかけながら電車を観測すると、電車の速度は時速50キロと測定されます。時速50キロの車に乗って電車と対面する形で観測すると、電車の速度は時速150キロと測定されます。

移動する車から見た電車の速度を、電車の相対速度と言います。「光速度不変の原理」とは、光の相対速度は秒速30万キロで不変であると言うものです。つまり、光を秒速15万キロで並走しながら観測しても、同速度で光と対面する形で観測しても、光の相対速度は秒速30万キロで変らないというのです。これは、常識に反するため、大変理解しがたいのです。

ではなぜ、この様な考え方が必要だったのでしょうか。
電磁気力は、光の一種である電磁波が、電荷を帯びた物質間を往復することで生じます。そして、電磁気力の強さは物質間の距離の2乗に反比例します。つまり、電磁波が物質間を往復するのに要する時間の2乗に反比例するのです。
電荷を帯びた2つの物質が並走しながら電磁波を交換すると、静止している場合に比べて、電磁波の往復距離は長くなります。即ち、電磁波の往復に要する時間が長くなるので、生じる電磁気力の強さは弱くなる筈です。
しかし、現実には、静止していても移動していても、生じる電磁気力の強さは変りません。

この謎を説明するために、アインシュタイン博士は、移動する2つの物質から見た電磁波の相対速度は、秒速30万キロで不変であると考えたのです。これで、静止していても移動していても、電磁波は同じ時間で物質間を移動します。だから、生じる電磁気力の強さは、物質の移動速度にかかわらず不変となると説明しました。

しかし、幾らなんでも、秒速30万キロの光を秒速15万キロで追いかけても、同速度で光と対面しても、光の速度は秒速30万キロで変らないと言うことは理解出来ません。

そこで次のような思考実験を行います。
電荷を帯びた2つの物質を、一本の剛体の両端に取り付けます。そして、この装置を秒速vキロで移動させます。この2つの物質間を電磁波は往復します。
この時、電磁波の移動距離は、進行方向(横方向)に剛体棒を向けた時静止時の1/1−v^2/2)倍、上下左右方向(縦方向)に向けた時静止時の1/(1−v2/2)倍となります。
一方、秒速vキロで移動する物質は「ローレンツ収縮」し、横方向に√(1−v2/2)倍短くなります。従って、剛体棒の長さは、横方向に√(1−v2/2)倍短くなるので、電磁波の横方向の往復距離は、静止時の1/1−v^2/2)×√(1−v2/2)=1/(1−v2/2)倍と、縦方向の往復距離と同じとなります。
この仕組みにより、マイケルソンとモーレーの実験では、縦方向に往復させた光と横方向に往復させた光とが、同時に戻ることが出来たのです。

従って、秒速vキロで移動する場合、電磁波の往復距離は静止時に比べて1/(1−v2/2)倍となります。つまり、電磁波の往復時間は、静止時の1/(1−v2/2)倍となります。

一方、高速で移動すると物質は動き難くなります。この現象は、粒子を加速器で加速する際に見られます。粒子は光速に近づく程、加速し難くなります。秒速vキロで移動すると、静止時の√(1−v2/2)倍しか動けません。従って、時計は1秒間に√(1−v2/2)秒を刻む様になります。

こうして、秒速vキロで移動する慣性系では、電磁波の往復に要する時間は、静止時の1/(1−v2/2)倍×√(1−v2/2)=1倍となります。つまり、電磁波の往復に要する時間は、移動速度に関係なく不変なので、生じる電磁気力の強さも移動速度に影響されず不変なのです。

この様に、現実には往路と復路の光速度は異なりますが、物理学の計算上一々往路と復路の光速度よりそれに掛る時間を計算し、生じる電磁気力の強さを求めることは無駄です。
生じる電磁気力の強さは、電磁波の往復に要する時間の2乗に反比例するのであり、往復に要する時間は不変なのですから、往路と復路共に光速度不変と仮設して計算します。

その様に仮設したのがローレンツ変換
@t= (tVx/C2) / √(1V2/C2
Ax=(xV)/√(1V2/C2)
By= y Cz= z DC=C
です。

物質は質量があるので、上記のとおり高速で移動すると動き難くなりまたローレンツ収縮する為、光速度が不変と測定されます。
x=
光の進んだ距離=Ctq、t=光の進んだ時間、V=もう一方の光の速度=Cq/秒を@とAに代入すると
x'
÷t'=C
と光速度不変となります。

この様に、高速で移動すると時計が遅れ定規が収縮するので、V慣性系では時間と空間の座標が変化するのです。決して、時間と空間そのものが変化する訳ではありません。
時間と空間は絶対であり、光速度は物質が変化するので、不変と観測されるだけです。

詳細は、下記のホームページを参照下さい。
http://www.geocities.jp/labyrinth125064/kousokudofuhennnogennri1.ht...

 

光速度不変とは?

 光速度不変の原理は「真空中の光の速度は全ての慣性系で同じである」というもので、アインシュタインの特殊相対性理論の基本原理のひとつです。 世の中でこれほど攻撃された原理は他にないでしょう。

 ネット上にも

光速度不変の原理は間違っている
光速度不変の原理には根拠がない
光速度不変の原理は証明されていない

 という批判が氾濫しています。

 もちろん、光速度不変の原理は間違っているかもしれません。でも、これらの主張の中には、あまりにも意味のない主張が多いのも事実です。

「こんな議論は意味がない」ということを示すため「基本原理とは何か」という視点で考えてみましょう。

光速度不変の原理の成り立ち

 光速度不変の原理の説明によく使用されるのが、マイケルソン・モーレーの実験の実験です。

 1887年にアルバート・マイケルソンとエドワード・モーリーによって行われた実験で、地球の進行方向とその直角方向での光の速度の違いを検出しようとした実験です。

 その実験の結果、予想されていたほどの差が見られませんでした。
 これが光速度不変の原理を確認した実験だと説明されることが多いようです。

 アインシュタインは(真偽はともかく)この実験の結果は知らなかったと述べていますし、少なくともこの実験結果のみで光速度不変の原理を提唱したわけではありません

「マイケルソン・モーレーの実験」の実験法や結果の解釈を批判しても、光速度不変の法則が間違いだという根拠にはなりません。

 ましてや「マイケルソン・モーレーの実験」は、他の方法でも説明できるから「光速度不変の法則が間違い」というのは、主張にすらなっていません。

光速度不変の原理は実証されていない?

 マイケルソン・モーレーの実験はあくまでも地球の進行方向に対する光の速度のずれを測定し、実験誤差範囲内では差が見られなかったことを示しているだけです。

「真空中の光の速度は全ての慣性系で同じである」などということを証明する実験結果ではありません。 

「光速度不変の原理は、マイケルソン・モーレーの実験で証明されている」と、そう誤解されるような書き方をしていることはあります。

 正しさなんて、色々な結果を見て総合的な判断をして決めるものです。一般の解説書で、そんなことを羅列しても誰も読みません。

 光速度不変の法則が正しかったら、こういう結果が導かれるという本論に入る前の、言葉のあやです。

 当然です。マイケルソン・モーレーの実験だけで「真空中の光の速度は全ての慣性系で同じ」ということが証明できるものではないことは、誰でもわかります。

 とりあえず、正しそうな実験をひとつ示して次に進んでいる、普通ならそのくらいの文脈を読んで判断します。

 そもそも、全ての慣性系で光の速度が同じなんてことを実証することは不可能です。

 全ての慣性系で実験することもできなければ、誤差0で光の速度を測定することもできません。人間が可能な範囲の実験しかできません。

 マイケルソン・モーレーの実験だけではありません。その後、同様の実験が何度も行われています。時代とともに精度も高まっています。

 しかし、いくら精度を上げても誤差は0にはなりません。その誤差範囲内で光速度に違いがあることまでは否定できません。

 それも、あくまでも地球上という限られた範囲で、光の速度の違いが見つからなかったというだけです。
 全ての慣性系での実験結果には程遠いものです。

 光速度不変の原理は実証されていないのは、当たり前なのです。それは、他の物理理論でも同じことです。しかし、何故か光速度不変の法則だけが、そのことを欠点のように言われています。

 実証するにはどうすればいいのでしょうか? 

 非常に高速で飛べる宇宙船を使って色々な方向へ色々な速度で飛ばして、光の速度を測定し、その結果が100桁まで精密に測定し完全に一致した。

 そんな実験結果でも示せばいいのでしょうか? それなら多くの人が納得するでしょう。

 でもその実験が現在の技術でできるはずもありません。
 もし実験出来ても、厳密には証明したことにはなりません。

 原理が(演繹的に)証明されていないのは当たり前のことで、それを理由に相対性理論が間違っていると主張するのは、見当違いです。

基本原理は仮定

 そもそも、物理の基本原理は仮定です。特殊相対性理論は「光速度不変の原理」と「特殊相対性原理」が成り立つとしたときに、そこからどんな結果が導かれるのか示す理論です。

 これは、どんな理論でも同じことです。基本原理から得られる結果が実験値と合うかどうかを確認していき、実験値と整合する結果が積み重ねられることで、少しずつ「確からしさ」が高まっていく、これが物理理論です。

 論理的に言うと、基本原理には証明も根拠も必要ありません。

「何故」を繰り返していくと無限地獄に陥ります。どこかで「これ以上、何故を問わないことにしよう」と決める、それが基本原理だからです。

 原理には根拠がないのは、当たり前なのです。

 もちろん「何故この基本原理が成り立つのか」と考えていくことは大事なことです。

 ただし、根拠がないことを間違っている理由にすることは、できません。

光速度不変の原理は立証されていないという主張の無意味さ

 上述のように、光速度不変の原理に限らず、どんな仮定でも完全に立証することは不可能です。

 その原理を支持する実験結果が一万個あろうが一億個あろうが、立証したことにはなりません。このような証明を求めることを「悪魔の証明」と呼びます。

 絶対に証明できないことを、証明しろという悪魔のような要求です。ましてや、その証明ができないから間違いという理屈は成り立たちません。

 それでは、何ひとつ正しい理論はなくなってしまいます。

 逆に間違っていることを示すのは簡単です。

 反証がひとつあればいいのです。

 正しいことは、実験結果を一億個積み重ねても証明できませんが、間違っていることを証明するのは、結果がひとつあれば終わりです。

 光速度不変の原理が間違いだと主張するのであれば、他の科学者が追試しても再現性よく確かめられる反証を示せばいいだけです。

原理の確からしさをどう高めるか

 原理がなりたっていることを裏付ける実験は必要でしょう。

 光速度不変の原理で言えば、実際に光速度を測定して確認するようなことです。どうやって測定すれば精度よく結果が得られるか、実験物理学者の腕の見せ所です。

 しかし、それだけでは限界があります。
 光速度が一定かどうかという実験は、現在のところ地球上(せいぜい衛星軌道)で行うしかありません。全ての慣性系のうちのごくごく狭い部分だけです。

 ですから、原理そのものだけではなく、原理から得られる帰結を実験で確かめることも必要です。
 原理そのものでは実験できる範囲が限られていますが、その原理から導かれる結果を間接的に実験で確かめるのです。

 他の理論とは結果が異なることが予想され、精密な実験ができる方法はないか、それを考えだす、これも物理学者の大事な仕事です。

 そして、そのような結果を積み重ねていくことで「この理論は確からしい」と認められていきます。

何を基本原理に置くべきか

等価な理論もあり得る

 特殊相対性理論では、「特殊相対性原理」と「光速度不変の原理」のふたつを基本原理としています。

 実は、他の原理を基本原理に置いて、特殊相対性理論と等価な理論を作ることもできます。等価な理論というのは、どんな計算をしても特殊相対性理論と同じ結果が得られる理論のことです。

 等価な理論では、結果が同じなので「どちらが正しい」などと議論する意味はありません。それは「科学」より「哲学」の問題です。

「光速度不変の原理が基本原理だとは認めない」という哲学なら、違う原理を基本原理にするだけです。

 基本原理として他の原理を採用すると「光速度の不変性」は、その原理からの帰結となります。

 ですから、その場合は「こういう理由で光の速度が不変になる」という説明ができます。そして「何故」を繰り返していくと設定した基本原理に到達します。

 そして、それ以上は「何故」を問えないという構造です。

 理由を問わない基本原理に何を置くか、ただそれだけのことです

 物理理論は、できるだけ単純で、できるだけ少ない原理から理論を構築するのが望ましいとされます(色々議論はありますが)。

 特殊相対性理論は、単純なふたつの原理から出発しており、その要件を満たした理論であることは間違いありません。

 これより単純な原理で、等価な理論を創るのはおそらく無理でしょう。

特殊相対性理論と等価な理論

 アインシュタインが特殊相対性理論を発表しなくても、近い時期に特殊相対性理論と等価な理論が完成したことは間違いありません。

 ローレンツやポアンカレの研究は、ほぼ特殊相対性理論と同じ結論に至っていました。

 特殊相対性理論の基本的な数学的形式であるローレンツ変換はすでに導かれていました。これが成り立つのであれば、導かれる結果は特殊相対性理論と変わりません。

 特殊相対性理論から導かれる奇妙な(と言われている)結果は、当時の科学者たちにとってそれほど奇妙なものではなかったのです。

 特殊相対性理論が衝撃を与えたとすれば、当時の理論とは違った視点で理論を構築したことでしょう。

 これほど、分かりやすく単純な原理からローレンツ変換が導かれるなんて……感動すら覚えるのですが。

 もしかしたら、特殊相対性理論を説明するとき、もっと訳の分からないものを基本原理にして、ややこしくて、理解ししにくくて、扱いにく理論にしておけば、これほど攻撃されることはなかったのでは? と思うことがあります。

 

 

光速に関する素朴な質問です。

1.なぜ光速度は不変なの?
 光の速度はいかなる理由によって不変と決まっているのでしょう。
 方程式を解くように論理的に説明ができるのでしょうか?
 それとも実験結果を受け入れているだけですか。
2.本当に光速度は不変なの?
 空気、真空、水の中でも進む速度は同じですか?
 光が水に入ると屈折しますが、これは速度が変化しているのではありませんか。
 AからBに向かう光の渦の中をBからAに向けて発射された光は遅くなりませんか?
 光に邪魔(干渉)されて遅くなる気がするのですが。
3.どうして遅くならないの?
 光速に限界があるのは、光子に質量があるためと理解しています。
 しかし、遅くすることは可能なのではないでしょうか?
 光子の質量を重くしたり、エネルギーを奪うようなことはできないのでしょうか。
 波動の性質を変えたりできませんか?
4.電磁波の進む速度は?
 光は電磁波の一種、可視光線だそうです。
 他の電磁波、X線、紫外線、マイクロ波、ラジオの速度はどれくらいですか?
 光より遅いとすると、どうして遅いのでしょうか?
5.時間が進むのは一定であるという前提で相対性理論はできませんか?
 相対性理論は、光速度が不変であると仮定して成り立っています。
 だから時間の進み方が早かったり、遅かったりします。
 逆に時間が進むのが不変であるという仮定して、新相対性理論はできませんか?

 

物理学は、自然界で見られる現象に対して法則を見つけようとする学問です。

そういった法則の中には、もっと基本的な法則から理論的に導かれるものもあります。そうやって整理していくと、最後には、他の法則からは導くことができない基本法則だけが残ります。その基本法則は、観測によってのみ、根拠を与えられます。
 質問の主旨は、光速度が不変であることは、基本法則なのかどうか、ということだと思います。ローレンツは、他の法則から光速度不変を説明しようとして、ローレンツ変換の式を求めました。ローレンツが考えたのは、物体がエーテル中を運動すると、エーテルとの電磁気的な力によって物体が圧縮され、長さが縮むので光の速さに差が出てこないように観測される、というものでした。これに対してアインシュタインは、光速度不変が基本法則であるとしました。その仮定に基づき、ローレンツ変換の式を求めました。考え方は違いましたが、求められた変換式はどちらも同じものでした。
 得られた変換式はどちらの考え方でも同じです。そうすると、どちらの考え方が正しいと言えるのでしょうか。歴史的に見れば、アインシュタインの考え方が受け入れられたようですが。
 真空以外の媒質中では光の速度は遅くなりますが、それはマクロ的に見た場合です。例えば水中を光が動く場合、水の分子と分子の間は真空ですから、そこの間は真空中の速度で動いていますが、分子によって光が吸収、放射され、マクロ的に見たとき、速度が遅く観測されます。通常、光速度不変という場合は、真空中での光速度を言うようです。ここでひとつ注意しなければならないことは、真空中の光速度が不変という場合、重力場ではない、という条件が必要です。重力場内では、光速度は遅くなります。したがって、質問者さんの、光の速度を遅くするのは可能か、に対しては、重力場を通せば遅くなる、と言えます。
 最後に光子の質量についてです。光子に質量があるというのは間違いですが、ないというのも間違いです。正しくは、光子の質量は定義できないし、定義する必要もない、です。光子の質量はゼロである、という話はよく聞きますが、これは静止質量のことを言っています。これまで他の方々が説明されておりますように、光の速さは一定であり、静止することはありません。したがって、光子の静止質量に意味はありません。

 

 

3.
光子には質量は無いとされています.
質量を持つと仮定すると矛盾が生じるからです.
光子のエネルギーが変わると,電磁波の振動数が変化します.
コンプトン効果などです.
どうして遅くならないか・・・そういう宇宙に住んでいるから?でしょうか.

4.
全ての電磁波は光速で伝搬します.
人間の体温によって発せられる赤外線も光速で伝搬します.
(しかし周辺の空気が吸収する波長帯のものはそこらへんで吸収されます.)

 

5.できないと思います。
 ガリレオの相対性原理。北から南へ30km/hで移動している車から見て、南から北へ30km/hで移動している車は、60km/hで移動しているように見えます。

 しかし、北から南へ光速で移動している車から、南から北へ光速で移動している車を見たとしても、光速は変わりません。
 この段階で、距離&時間と光速と どちらかの絶対性を捨てざるを得ませんが、光速はマックスウェルの方程式で矛盾なく証明されてしまっています。

 

光速度不変の原理は、「どの観測者が見ても光の速度は一定である」ところにそのすごさがあるのだと思います。


ある一人の人間が光を見て、光の速度が一定だというのは、光が波であれば、一応当然のことです。
マックスウェルが発見したのは、光が波であり、その速度は波長に依存しない、というところまでです。

よく言われる「光速度不変の原理」は、地球に止まっている人も、光速近くで飛行中の宇宙人にも、光は全く同じ速度に見えると主張しています。

ご質問にあった、論理的に導けるかどうかですが、確かにローレンツは、ローレンツ変換を用いてこの原理を導いたとされていますが、肝心のローレンツ変換の根拠があいまいです。「こう考えれば光の速度を一定にする理論ができる」という程度の根拠だと思います。

対して、アインシュタインは光速度が一定であることを原理として、ローレンツ変換を導いています。
これが相対論の基礎だとすれば、現代物理は光速度が一定であることの理由を未だにわかっていないといえると思います。
(それを探るのが現代物理の最前線だと言えるでしょう。)


補足としまして、他の回答者様もご回答されていて、全く同じことになりますが、光速度が不変なのは真空中のことで、物質の中では光速は小さくなります。
また、光に質量はありません。ニュートリノに質量があることがわかったという事が話題になりましたが、光に関しては少し事情が異なります。ニュートリノは本当にわからなかったのですが、光に質量がないことはある程度自信を持っていえます。

 

 

ガリレオの相対性原理は、本当の相対性原理です。
アインシュタインの相対性理論と言うのもありますが、それは偽りの相対性理論です。
ガリレオの相対性原理は、絶対静止はこの世には存在しない!!
これにつきます。

かつては、地球は止まっていると思われていましたが、惑星の動きから、むしろ太陽のほうが止まっていると
考えられるようになりました。
しかし、その太陽も絶対静止しているかといえば、そう断言できる根拠は何もありません。

つまり、慣性的に動いていることと、静止していることは同じことなのです。
相手が動いて、自分は止まっているとする根拠は何もないのです。
相手が止まって、自分のほうが動いていると考えても、相手が半分動いて、自分が残りの半分動いているとしても何の矛盾のない原理、それが、ガリレオの相対性原理です。
すなわち、真の相対性理論です。

ところが、アインシュタインの相対論は違います。
まるで光には慣性が働かないような考えを持ち込んで、
つまり、「光速は不変だ」とまるで長島選手の引退の挨拶のようなことを言って、

光を神秘化し、時間や空間がゆがむと言いたい放題の屁理屈を展開しています。

でも、物理学者がこぞってアインシュタインの相対論のほうを支持してしまいました。
その背景には、物理学者がこぞって「エーテル」の存在を信じてしまったからです。
しかも、ガリレオの精神を全く理解せず、エーテルは絶対静止しているとしてしまったこと、
これが躓きの始まりでした。

でも、「ガリレオの相対性原理の方が正しかった!」、
そのことが多くの人に理解されるまでには、まだまだ多くの時間が必要でしょう。
それほど、物理界はアインシュタイン病に永いこと冒されてしまったのです。

最後に貴方に逆に質問です。
「光には慣性があるでしょうか?それともないでしょうか?」
有ると無いとでは天道さんと番頭さん以上の違いが有ります、
言うまでもありませんが、
なお、慣性については、
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1171017411
を参考にしてください。

 

 

中学の理科についての質問です。

慣性は物体の質量が大きくなるほど大きくなることを示す例をあげるてください。
体重の重い人は、電車などに乗っていて急ブレーキをかけると大きくよろける等でいいのですか?

inemurisirouさん

>慣性は物体の質量が大きくなるほど大きくなることを示す例をあげるてください。

慣性は質量の大きさとは無関係です。
そこを間違えると、相対性理論のようなトンデモ科学の餌食になります。

jikoself
さん の言われるように
>『 質量 = 慣性の大きさを表す量 』
>念のため, もう一度 「 慣性 」 = 「 質量 」 です。
と表現してしまうと、やはりトンデモ科学が口をあけて待っているところへ飛び込んでしまう危険性があります。
慣性は、質量が限りなくゼロに近いもの(ほとんどゼロ)でも働きます。
しかも、重いもの(質量の大きいもの)と「同量」に、です。

ガリレオの思想をもう一度確認しましょう。

『重いものも軽いものも同時に落下する』

この言葉の意味をちゃんと理解しないで、先へ進んではいけないのです。
特に、この考えは理科の基本中の基本です。
中学の理科でありながら、理科全体のもっとも大事な部分です。
しっかり身につけたいものです。

>体重の重い人は、電車などに乗っていて急ブレーキをかけると大きくよろける等でいいのですか?
まあ、正しいともいえなくもないですが、そうでもなさそうです。
なぜなら、重心の低い人は、重くても意外と安定しているからです。
逆に、やせて背が高く、重心の高い私?は、すぐころびそうになります。
むしろ、重いボーリングの球と、大きさが同じくらいで軽いビーチボール
を想像したらどうでしょう。
電車が急ブレーキをかけたらどちらも転がりますが、
転がって壁にぶつかったときの衝撃の違いから
「慣性はまったく同じでも、慣性力が格段に違う」ということが
理解できるでしょう。

 

 

 

 

 

相対性理論の疑惑

 

http://www.treeman9621.com/CHIMERA_MEAM_TOP.html

 

 

 

 

光速より早いスピード

自然界の最高速度は,真空中での光の速度(光速)であり,「どんなものでも光速は超えられない」という事実は,広く知られているようです。

しかし,実は,この“速度制限”が適用されないものがあります。

それは,宇宙空間の膨張によって地球から遠ざかって見える,銀河の速度(後退速度)です。銀河の後退速度が光速を超えることは,実際にあるのです!

宇宙の膨張による,銀河の後退速度は,地球からの距離に比例して増加していきます。つまり,ある距離以上の遠い銀河は,必ず光速を超えた速度で遠ざかることになるのです。

 

仮にこの“超光速”の銀河の中で,星の大爆発(超新星爆発)が起きたとしましょう。

その閃光の一部は,地球に向かって進むはずです。しかし,光の発生した場所が,宇宙膨張によって光速を超えて地球から遠ざかっているので,この光は,地球に向かって進みつつも,地球から遠ざかる,という非常に奇妙なことになります。

Newton3月号「宇宙空間が膨張するとは,どういう意味か」では,このような摩訶不思議な宇宙の膨張について,徹底的に詳しく,ていねいに,様々な側面から解説しています。

 

宇宙は光速よりも速く膨張している? もしそうなら、それは基礎原理に矛盾している?

 

遠くの物は光速よりも速く遠ざかっています。

相対性理論を知っている方は、光速よりも速いものはないはずなのに、それはおかしいと思うかもしれませんが、これは相対性理論と矛盾してはいません。

相対性理論で禁止されているのは、ある出来事の情報が光速以上で他の場所に伝わって何らかの結果を及ぼすようなことで、このようなことがありえないことを「相対論的な因果律」といいます。

この原則が破れると相対性理論では時間を逆行することができることが示され、結果が原因の前に来るという、全くおかしなことになります

現在の物理学では、基礎原理として相対論的な因果律は破れてはならない原則とされています。

 

膨張宇宙では遠くの天体はそこまでの距離に比例した速度で遠ざかっています。すると十分遠くの宇宙の速度はどうしてもいずれ光速以上になる必要があります。そうでなければ宇宙全体が一様に膨張することはできません。ここで、空間が全く静止した状態で銀河の相対速度だけが光速を越えるならば、上述の相対論的因果律に矛盾するのですが、膨張宇宙とはそういうものではなく、空間自体が膨張しているのです。

単に銀河が相対的に遠ざかるということと、空間そのものが膨張するということとの間には大きな違いがあり、空間の膨張の場合、距離の膨張率が光速を越えてしまうような遠方の場所からはどのような方法によっても信号が届くことがなく、全く観測不可能な場所になります。このため、物理学の基本原理である相対論的因果律にはなんの問題もありません。

 

光速を超えるものは存在しない、というのは物体に適用されることであって空間の膨張には当てはまりません。正確に言えば、光速を超えて情報が伝わってはならない、という言い方の方がより正しいのです。

固定された空間の中で物体が光速を超えれば、必然的に情報が光速を超えてしまうので、光速という速度制限を受けます。

しかし、空間自体が光速を超えて膨張したところで、光速を超えて情報が伝わるわけではないのです。

このため、空間の膨張は光速という速度制限を受けないのです。

 

 

光よりも早い粒子の存在?

「タキオン」というのはジェラルド・ファインバーグによって命名された超光速粒子の一つ。

相対性理論に反しないように考察された粒子であるため、一般的な粒子とは真逆の性質を持つそうです。

例えば、質量が虚数であったり、エネルギーを失わうことで加速したりなど。

 

ターディオンはどんなに加速しても光速を越えることはないが、タキオンはどんなに減速しても常に超光速であり光速以下になることはない。

また、ターディオンがエネルギーを与えれば与えるほど加速していくのに対して、タキオンはエネルギーを失えば失うほど加速していく。

タキオンのエネルギーと運動量は測定可能な物理量なので実数であることが期待されるが、上の性質を持つならば、その静止質量および固有時は虚数となる。

 

ターディオンとは一般的な粒子の別名です。もしもこの粒子が本当に存在すれば、理論上は過去に情報を送ることができるようになるそうですよ。ただ、光速に近い速度で動きながらタキオン粒子を観測し、タキオン粒子を発信元に返す機械が必要ということで実現は厳しそうです。

 

この宇宙は光速以上の速さで広がっている?

ビッグバンに始まり、宇宙がずっと、今この瞬間も拡大を続けているというのは有名な話ですよね。2011年にノーベル物理学賞を贈られた研究によれば、現在も宇宙は膨張し続けていて、その膨張は加速しているといいます。宇宙に存在する銀河の遠ざかってゆく速度を計算すると、何と光速を超えて地球から遠ざかってゆく銀河が存在するようなのです。

 

それどころか、特定の距離(ハッブル距離と呼ばれる)よりも遠くの銀河は秒速を超えるスピードで後退する。

(引用元:C. H. ラインウィーバー, T. M. デイビス(2005, ビッグバンをめぐる6つの誤解, 日経サイエンス.

 

どちらもまだ理論の段階です。