現状が変わるプロセス   好まない記憶に上書きをして未来を変える方法

 

 

タイムマシーンを使わなくても、過去を書き換えることは可能です。

過去の事実はそのままですが、そこに新しい解釈をして、過去に新たな一面を加える方法です。

ですから書き換えるともいえますが、上書きともいえます。

 

これは、過去の1つしかなかった事実(単数)が多層の事実(複数)に変化することです。

たとえば、結末が1つだけのストーリーが状況に対応するマルチエンディングなものになるような。

「起承」だけの直線的な話に、他の視点の「転結」が加わり、相互に影響する円滑的なものになります。

 

すると、学習してしまった絶対的な「法則」が、他の解釈が加わることで状況によって変化する確率的な「条件」に変わってしまいます。

 

解釈が多層になるだけで現状そして過去と未来が変わってしまう理由は、

私たちの認識や判断や言動は表層意識の意思だけではなく、学習したパターンによって操作されているからです。

自分では気づいていない潜在意識にある回路を使って私たちは現在を生きています。

このメカニズムを理解すると、トラウマなどの嫌な体験を弱体化することも可能になります。

つまり過去だけではなく、未来も変えることになります。

 

 

 

では、具体的にはどうすればよいのか、という前に動物の認識メカニズムを簡単にみてみます。

 

動物の認識には5段階のステップがあります。

1 5感覚器官からの信号がイメージ化される。

  たとえばラーメンのスープの香りのイメージは想像の中で再現することは可能。

2 そのイメージに3種類のタグがつく。

近づく、遠ざかる、どちらでもない、のどれか。  好き・嫌いや快・不快の信号。

たとえばある香りのイメージがあると、それに「快」という信号も気づかない内に付加されている。

3 次にイメージは似たものを一纏めにした概念というカゴに入れられる。

  たとえば「家系ラーメン」という概念は、各自によってその意味や内容は違うものになる。

4 以上のステップを部品にして自動反応回路が作られる。

ある入力信号に対して決まった反応をアウトプットするアプリケーション。

たとえば豚骨スープのよい香りがすると意識せずとも唾液が出る。

5 そして物事を認識するにはこの回路を経由するケースがある。

それが反射、感覚、感情、思考の判断である。

たとえば、何を注文しようか?などといろいろな空想と判断と言動が始まる。

 

 

この「認識の自動反応回路」を作成するには条件があります。

心身が緊張していると強い回路が作られ、

心身が弛緩していると回路が弱体化される、というものです。

心拍、血圧、呼吸、焦り、怖れ、怒り、必要性が増加する時に回路が自動的に作成されます。

たとえばトラウマは過去の体験なのに現在や未来に強い影響を与えるのは、心身が極度の緊張に陥った時に作れれた回路だからです。

回路が一度作られると、その体験時と関連する信号がインプットされた場合には決まったアウトプットがあります。

 

この自動反応回路(アプリ)は人間だけではなく魚や虫もサバイバルのために発達させてきたツールです。

アプリはサバイバルには便利なメカニズムですが、問題もあります。

ある特殊の環境の場合だけに必要な自動反応回路なのに、必要がないときにも起動してしまうことです。

気づかずとはいえ自分自身で作った回路なのに、逆にそれに支配されてしまい、各自のの表層意識の意思ではこの自動反応をコントロールできないケースです。

 

これが条件反射や感情や過剰一般化とよばれるメカニズムです。

これらの過剰一般化を生み出す回路に支配されないためには、これらの回路を弱体化させたり、不必要なものならば取り外すしかありません。

 

 

弱体化させる方法は簡単です。

回路は心身が緊張している時に作成され、心身の弛緩によって弱体化されるというメカニズムを使用します。

ですから、心身を弛緩させた状態を維持できていれば、過去に作った回路に入力信号がインプットされても、過度なアウトプットは減少するようにプログラミングされています。

こうして心身が弛緩している状態で同じ入力信号を繰り返すことで、その自動反応回路自身が弱体化し、最終的には回路は消滅します。

 

具体的には、自分の心を柔らかく、穏やかに、暖かく、軽やかに、流れるように、楽しく、おおらかに、安らかである機会を増やすことで、過去につくった自動反応回路が弱体化します。

そんな時に浮かんでくる雑念は、心身が弛緩していることでその雑念を創出させた回路自体が弱体化します。

 

また心の状態は体に影響を与え、体の状態は心に影響を与えるので、心だけではなく体を柔らかくすることも自動反応回路の弱体化には有効です。

たとえば、心が安らかな状態でのストレッチや静かなところで散歩やゆったりとした入浴などです。

 

 

決めつけの強い判断や強度のトラウマなどがある場合には注意が必要です。

心が乱れることで回路は強化されるので、そのような時には、準備がまだできていない状態なので、自分の心の中にある自動反応回路にスポットライトを当てることから一時的に離れます。

 

このような場合はトラウマなどの強い回路を作った時の状況を冷静に分析する必要があります。

その回路ができたTPOは非常に稀なことで日常では繰り返す確率的に殆どないことを実感できると怖れは減少します。

強い反応がある場合は、心身が緊張しないように長い時間をかけて、少しずつ追憶体験をして、心身の緊張が起きないためにはどのようにしたら良いのかという対策を慎重に行います。

ひどく心身が緊張してしまうトラウマであれば専門家に相談するのがよいでしょう。

 

 

現状を変えるには、

関心のスポットライトを当てる対象を外側の世界から内側の世界に変えるのがポイントになります。

 

この世にある問題を外側にあるものから変えるのではなく、まずは自分の心の回路を変えることから始めるのが、

具体的で確実な方法です。

これはあらゆる意識体の過去から未来まで通用する方法です。

過去に起きたこともその解釈を多層に拡げることにより、自動反応回路は変化します。

それに応じて思考の判断基準も変化するので、現状そして未来の行動も変わることになります。