二酸化炭素と温暖化 過剰一般化をしてしまう深層心理
二酸化炭素の地球史
温暖化
氷解 氷と水位 北極と南極 グリーンランド
二酸化炭素が減少した理由 誤謬 植物が酸素を供給しているという説
二酸化炭素の固定化
地球誕生時には95%あったと言われる二酸化炭素は現在0.04%に減ってしまった。炭素Cはどこに行ったのか?
植物の中に炭素化合物であるセルロースやリグニンとして取り込んだり、炭酸ソーダ(Na2CO3)などのように海水中に溶け込んだり、石灰岩(CaCO3)などのように岩石の中に化合物として取り込むことにより大気中の炭素が固定化された。
石灰岩や苦灰石などの炭酸塩岩として大量に地殻に固定されて減少し、また一部は石炭や石油などの化石燃料として大気から除かれてきた。炭酸塩岩や化石燃料に固定されている炭素をすべて解放すると90気圧に相当するが、この量は現在の金星の大気「二酸化炭素主体の90気圧」に匹敵する
二酸化炭素は現在の大気中に存在する量(0.04%)の30万倍(90気圧相当)が地殻や地表に固定されているが、地質学的尺度でみると、長い時間をかけてプレートテクトニクスによって説明される大きな循環系を形成しており、大気中の二酸化炭素の量は1千万年以上の長い周期で増減している。
二酸化炭素は火山ガスにより大気中に供給される。
大気中の二酸化炭素は海に吸収され、そこでカルシウムやマグネシウムなどのイオンと結合して方解石(CaCO3)や苦灰石(CaMg(CO3)2)などの炭酸塩鉱物(カーボネート)を生成し、海底に堆積する。海水への金属イオンの供給は大陸の岩石の風化による。
生物の光合成によって二酸化炭素が有機物として固定化される。有機物は生物の死後腐敗作用によって再度二酸化炭素に戻るが、海底に埋まった死骸などは固定化する。
海底に堆積した炭酸塩鉱物や生物死骸は、プレートの移動によって数千万年後に海溝から地下へ沈み込む。
沈み込んだ炭酸塩鉱物や生物死骸は地下の高熱で分解して二酸化炭素に変化し、海溝近くの火山から火山ガスとして大気中に放出される。
これはほぼ数千万年を単位とするサイクルであるが、この循環系に大陸の要因が追加される。
プレートの沈み込み帯での火山活動によって陸地が形成される。陸上に露出した岩石は海中にあるときに比べて風化の影響を強く受け、その結果海洋へより多くの金属イオンを供給する。大きな大陸が形成された場合は風化される岩石量が増えて金属イオンの供給が増え、結果的に二酸化炭素の固定化が促進される。大陸が赤道付近にある場合も高温による風化の促進で、二酸化炭素の固定が促進される。
海底に堆積した炭酸塩鉱物や生物死骸が付加体となって大陸に固定化されると、風化によって溶解されるまで約数億年間かかる。即ち上記の海低堆積岩に比べて非常に長い間二酸化炭素が固定されることになる。
地球誕生以来、地球の表面の大半は海に覆われ、長い間は大きな陸地が無かったとされている。ところが約27億年前に大規模な火山活動があり大陸が急激に成長した。この大陸が大量に供給した金属イオンによって二酸化炭素が炭酸塩鉱物として固定される様になり、大気中の濃度が大幅に低下し、温室効果が低下した地表は寒冷化して原生代初期のスノーボールアースが始まった。
Over
generalization 過剰一般化
二酸化炭素は赤外線の 2.5 - 3 μm、4 - 5 μm の波長帯域に強い吸収帯を持つため、地上からの熱が宇宙へと拡散することを防ぐ、いわゆる温室効果ガスとして働く。
二酸化炭素の温室効果は、同じ体積あたりではメタンやフロンにくらべ小さいものの、排出量が多いことから、地球温暖化の最大の原因とこの20年ほど世界の常識のように扱われている。
しかし、氷床コアから推定される過去数十万年間の気温変動と二酸化炭素濃度データでは、気温の変化の後に二酸化炭素濃度が上昇しており、この点についての十分な説明がないなど、様々な観点から批判する意見もある。
このような様々な見地からの検証を排斥する態度から、二酸化炭素の地球温暖化への影響は実際には小さく、政治・経済の取引に利用されているだけだという見解もある。
二酸化炭素の地球史 過去6億年 それ以前の40億年は科学的証明はない
現在の方法論では過去の二酸化炭素の観測ができるのは6億年ほどを遡るものでしかない。
地球が誕生した当時は二酸化炭素は大気の95%以上を占めていたと推察されている。
現在では0.032%なので今の3000倍の量があったことになる。恐竜時代では5倍だ。
本当に二酸化炭素と温暖化はそんなに強い因果関係があるのだろうか?
強い関係があるのならば、昔は大気の95%(現在は0.032%)あった二酸化炭素なのだから、昔は生物も住めないほどの気温だったに違いないことになる。諸説あるが1億年前の恐竜が暮らした白亜紀には現在の5倍の2000ppmの二酸化炭素があったと推測されている。
参照 産業革命の前は280ppmくらい現在はおよそ400ppm IPCCの85年後の予測は500ppm。
二酸化炭素は温暖化と関係があるのか?
大気に温室効果があることは明らかだが、メタンガスや二酸化炭素よりも、水蒸気の力が大きいと考えたことはありませんか?
夕方から朝にかけて曇っている晩が月のよく見える晩(晴れた夜)に比べて気温が下がらないことに気がついたことはありませんか?
また逆に雲が1%増えると気温は1℃下がると言われている。大気中の水蒸気は二酸化炭素の0.032%に比べて100倍の4%の割合もある。
酸素や窒素には赤外線を吸収する力はないのか?
何故か科学者は二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、パーフルオロカーボン(PFC)、六ふっ化硫黄(SF6)の値を調べるのに熱心だが、これらは足しても0.037%に満たない。メタンガスは0.00018%とごく少量しかない。二酸化炭素もメタンも大気なので温度に影響があることは間違いないが、結論ありきから始まったIPCCの言う二酸化炭素の効果がそれほどあるという実験は未だ見たことがない。
参照 「The Chilling Stars: A Cosmic View of Climate Change」Henrik Svensmark
温暖化して北極と南極の氷が溶けても海水の水位は上がらない
コップに氷を浮かべて、その時の水位に印をつけてみましょう。氷が溶けても水位は変わっていません。
なぜでしょう?ヒントは氷と水の体積の違いです。
南極の温度は−40度前後なので、ICPPが予測する温度の2度の上昇が起こったとしてもグリーンランドのように氷解するわけではありません。もし温暖化すればそれだけ海水が水蒸気化しやすくなり、それが南極大陸の上で冷やされ雪や雹や霰となるので、かえって氷が増えてしまうことになります。
グリーンランド
貴方が話したグリーンランドと二酸化炭素の話を再確認してみよう。
科学は実験者の自由な切り取り方で、彼の意図する結果を出すことができるようになっている。例えばあるモノが人間の体にいいとすると、TPOとそのモノの量を変えるだけで、そのモノは体にとって良いものでも悪いものにもなりうる。まるっきり反対の答えが、実験者の世界観の捉え方で結果が出てくるのだ。
水は人にとって必要不可欠の大切なものであるが、例えば水を一度に8リットル飲むと死に至る確率が急上昇する。多くの科学者は研究の予算を勝ち取るためにも、自分の出したい答えをはじめから意図しているという潜在意識があることは一つも不思議なことではない。マスコミに流れる全ての情報も当たり前にすべてが意図を持ち、発信者と受信者がいるように。例えばその媒体が注目を浴びるためというような単純なものを含めて。
牛のおならが何故それほどメタンガスを出すのかを簡単に説明することもできず、植物が地球の二酸化炭素を酸素に変えたと認識している現代科学者や教育者やインテリの低落ぶりには議論をする気も失ってしまうほどだ。
でははじめにグリーンランドの氷床が融けると世界の海が7.6m水位が上がる、という話から見てみよう。
グリーンランド氷床(Greenland ice sheet) は、グリーンランドの面積の82%を占めている。もし融解すれば7.2m海面が上昇するであろうと言われている。
“IPCC Third Assessment Report - Climate Change 2001 - Complete online versions”
Other - Publications - Arendal - (official website). UNEP/GRID .
これは科学的に本当なのだろうか?
必要な数値はグリーンランドの面積 氷の高さ 全体の海の表面積 気温。これだけわかれば数値は出てくる。
Greenlandの全面積である2,166,086平方kmの81%である1,755,637平方kmが氷床だ。厚さは平均で500mだと言われている。(ナショナルジオグラフィー)実際には湖のように地面の300m下まで氷河があるところもあるので平均値はもっと低いと私は思っているが実際に計測したことはない。氷から水に融けると体積は10%減る。
すると氷の体積は 1755637×0,5×0.9 = 約790000立法km
これを海の全表面積で割ってみると79000/362000000=0.0021km=2.1mとなり、海面の上昇値が出る。
7.2mはどのように算出された数値なのだろうか?
海の表面積は 362000000平方km 氷床の表面積は1755637 200倍
海の全体積1349900000立法km 氷床の体積は790000 1700倍
ところでまた他の事件も加わった。
下の写真はこれは米航空宇宙局(NASA)が衛星から撮影したものだ
日付は左が2012年7月8日。写真右:7月12日
白い部分の氷がたった4日間でほとんど全部融けてしまった。
その原因について、NASAの氷専門の科学者トム・ワグナー氏は24日に「融解の面積はこの4日間に氷床全体の40%から97%にまで拡大しているが、その要因は 「暖かな空気がグリーンランドの氷床の上を通り、それを融かしたものだと思われる」と声明を出した。
こんなことが起きたのに、海面が7m上昇した話は未だ聞いたことがない。
科学者は自分の潜在意識が望んでいる数値を出してしまう。各自の世界は、その人の意識と無意識によって見たいものしか見えないものになっている。IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)に関係するエリートの科学者でも同じことだ。いや実は専門家だからこそ、ある潜在意識が働き、それによって数値をだしてしまうことは「心」の問題だ。
参照 「新しいことを自分のものにする」「自分の中の4つの自分」「ヨーロッパの病」「限界を知ると道が開く」
ここでは、単純な体積だけの計算だったが、これに気温や他の要素を入れると数値はどんどん変わってくる。
例えば、気温の変化による飽和水蒸気量を計算に入れることなど、科学者の数値の出し方は、その人が自由に望む形にすることができる。また地殻移動、ポールシフト、地盤沈下などまだまだ他の要素を含めて数値化しなければならない。
飽和水蒸気量とは温度の変化における空気中の水量を調べたもので、1立法メートルにどれぐらいの水が含まれるか測定したもので、10度で10gの水が含まれ、30度では40gとなり4倍の水を空気が含有できる。
もし大気がなかった場合の地球の温度を計算する 大気の温室効果を数値化する
地球が大気圏外の単位面積で受けるエネルギーは
太陽定数1、37kWm-2 の1/4
また地表でエネルギーは平均30%反射されるので
1、37kWm-2 × 1/4 × 0.7 = 239Wm-2
地球の平均表面温度をTとして、シュテファンーボルツマン則から
239 = 5.67 × 10-8T4
T = 255K = −18℃
現実の平均温度を+15°だとすると大気が33K地球を暖めていることになる。この温室効果の90%は大気中の水蒸気H2Oがもたらす。
どうして47億年間の間で、酸素が増えて二酸化炭素が減ったのか?
答えは石灰石や海底の鉱石が炭素を吸収したからです。
地球史において、どうして酸素が増えて二酸化炭素が減ったのか?
植物が二酸化炭素を吸収して酸素を排出したからだとあなたは言うが、確かに植物が石油や石炭になることはあるが、私は石灰石や海底の鉱石や永久凍土のドライアイスが炭素を吸収したからだと私は推定している。
海洋に溶け込んだCO2が玄武岩中のカルシウムイオンなどと反応し、炭酸塩鉱物として沈殿することで、大気中の濃度を大きく低下させたわけです。
オーストラリア西北部のピルバラには、約35億年前の海底で噴火した玄武岩層(海洋地殻)が露出しています。その玄武岩層を調査したところ、現在の海洋や生物などが固定していると推測される全炭素量の約4倍の量を、当時の海洋地殻が固定していることが確認されました。
地球史の気温については大雑把なことしかわかっていない。
古気候学(paleoclimatology)過去の気候変動を気候を推定する方法は、
氷床コアの空気を抽出し、氷の水分子中の水素や酸素の同位体比を調べるのだが、最大70万年前までの気候を推定することしかできない。
また、年輪年代学に基づく推定もサンプルを放射年代測定などの年代測定法を組み合わせて推定するが、範囲は
過去約1万年程度ぐらいだし、温度を正確に言い当てることはできない。
恐竜の生きていた2億5千年前の三畳紀は今の5倍の二酸化炭素があったと推定され、気温はいまよりは温暖であったことが推定されているに過ぎない。
誤謬 植物が酸素を供給しているという説
これは学校に行った人間の多くが信じている説ではあるが、これが現代人のインテリの特徴をよく表している。
ある出来事の小さな部分だけを科学的に解析して、これを全体像に適応させて、分かった気になって安心している。これをOver generalization過剰一般化という。心の病だ。
ジャイナ教の伝承で、6人の盲人が、ゾウに触れることで、それが何だと思うか問われる寓話がある。足を触った盲人は「柱のようです」と答えた。尾を触った盲人は「綱のようです」と答えた。鼻を触った盲人は「木の枝のようです」と答えた。耳を触った盲人は「扇のようです」と答えた。腹を触った盲人は「壁のようです」と答えた。牙を触った盲人は「パイプのようです」と答えた。それを聞いた王は答えた。「あなた方は皆、正しい。あなた方の話が食い違っているのは、あなた方がゾウの異なる部分を触っているからです。ゾウは、あなた方の言う特徴を、全て備えているのです」。
植物の酸素供給問題にも同じことが言えるが、現代の方が古代よりもひどいのは、その一部だけを拡大してこれを常識として義務教育や公共メディアを使って強制的に洗脳しているからである。
このような情報操作が、環境問題、教育問題、道徳問題、医療問題に関わっている人たちだけ利益があるような構図ができている。偏り具合は古代や中世や近代と比べて、現代の方が間違いなく酷い。理由は分かった気にならないと落ち着かない気質を持った人間が増えたためである。人口密度が高いところを中心として。何故ならばそこは意識によって作り出された世界であり、自然界のルールに則らずに暮らしていける特殊空間であるからだ。
閑話休題、植物に話を戻そう。
確かに植物は光合成によって二酸化炭素を吸収して、酸素を排出していることは事実である。
では光合成を行っていない時にも酸素を供給できるのであろうか?答えは明らかに否である。
光が当たらなくなれば植物も生物なので酸素を吸収して、二酸化炭素を排出する。
また成長期が終われば光合成の量も減ってくる。そして最後には枯れていく。
ここで問題だ。
光合成によって吸収した炭素はどこに行ったのだろうか?
これが分かれば、トータルで見れば植物は二酸化炭素を吸収して酸素を排出していないことがわかる。全体から見れば単なるフィフティ・フィフティの関係でしかない。
参照 魔女裁判 理性の限界 都会人の恐怖 科学の限界
付録
古気候学paleoclimatology)
過去の気候変動を研究する学問。
気候を推定する方法
古気候学が現代気候学と違うのは、対象となる気候を、直接、計測機器により科学的に観測した結果が得られない点である。そこで、地球科学に求められる「観測に基づいた推定や考察」を行うため、間接的に観測する方法が採られている。その手段には、様々なものが用いられる。
まず挙げられるのは、氷床から取り出される氷床コアである。氷床コアには、過去に降った雪が積み重なっており、雪が降った当時の空気もその中に閉じこめられている。したがって、その空気を抽出することで、その当時の空気の組成などを知ることができる。また、氷の水分子中の水素や酸素の同位体比を調べることで、過去の海面気温の変化を推定することができる。条件の良い資料では最大70万年前までの気候が推定でき(EPICA、ドームふじなど)、その他のものでも数十万年間程度の気候を推定できる。それより古いものは、融解によってすでに失われていると考えられている。
また、年輪年代学に基づく研究も行われている。同年代に生育した多数の年輪サンプルから標準年輪曲線を作成し、その幅の大小から気候を知ることができる。温暖な時期は幅が広く、寒冷な時期は幅が狭くなる。さまざまな樹種・生育環境・樹齢のサンプルを集めた精度の高い標準年輪曲線を、地中の枯死した木の年輪と比較することで、過去の気候の推定に応用することができる。現在、年輪に基づく推定では過去約1万年程度の気候が推定されている。
湖底や海底の堆積物に含まれる動植物の化石や花粉、堆積物中の物質の同位体比の分析によっても過去の気候変化の様子を知ることができる。 傾向として、温暖期には生物の死骸や花粉などの堆積物は増加し、寒冷期には減少する。それらの変化傾向と、放射年代測定などの年代測定法を組み合わせて推定する。
Global warming controversy
二酸化炭素
carbon dioxide
化学式 CO2。俗称炭酸ガス。地球をはじめ多くの惑星の大気中に存在し,地球上では大気中に体積で約0.03%程度含まれる。炭素を含む物質の燃焼,動植物の呼吸や代謝,発酵,火山の噴火などによりつねに生成されており,一方,植物の炭酸同化作用により消費されている。近年は化石燃料,とくに石油の消費量の増加に伴い,大気中の二酸化炭素の含有量が増加しているといわれている。海水中には炭酸塩または炭酸水素塩として含まれ,また炭酸塩鉱物の構成成分となっている。実験室では,石灰石に塩酸を作用させて気体として捕集する。また工業的には石灰石を加熱分解して得るが,石炭の燃焼やアルコール発酵の際に生ずる二酸化炭素も利用される。いったん生成した二酸化炭素を炭酸ナトリウムやエチルアルコールアミンの水溶液に吸収させ,得られる炭酸水素塩やエチルアンモニウム炭酸塩を熱分解して純度の高い二酸化炭素を得ることができる。O−C−O の直線型分子で,C−O 間結合距離は1.160Åで,O+−C≡O−嚠嚔O=C=O嚠嚔O−≡C−O+の共鳴構造をとっている。
無色無臭の気体。不燃性で,わずかに酸味がある。密度は1.976g/l(0℃,1気圧)で,空気の1.53倍。固体の二酸化炭素は常圧下では融解せずに昇華する。昇華点−78.5℃(1気圧),三重点−56.6℃(5.2気圧)。臨界温度31.0℃,臨界圧72.80気圧。1l の水には1.71l(0℃)〜0.44l(50℃)程度溶ける。水に溶けると一部分は CO2分子状で,また他の一部は炭酸 H2CO3となり,解離して酸性を示す。エーテル,ベンゼンなどには溶けるが,多くの有機溶媒には不溶。液体の二酸化炭素はいくらか水を溶かす(−29℃で約0.02%,22℃で約0.1%程度)が,塩類はほとんど溶かさない。2000℃までは安定であるが,さらに高温になると一酸化炭素と酸素とに解離する。水素とは可逆的に反応して一酸化炭素と水を生ずる。適当な触媒を用いて水素と反応させるとメタン,ギ酸,メチルアルコールなどを生ずる。アルカリ金属,アルカリ土類金属と加熱すると炭素に還元され,また水分があるとギ酸塩を生ずる。多くの金属酸化物や水酸化物と反応して炭酸塩を生ずるが,過剰の二酸化炭素により炭酸水素塩になることがある。ことにカルシウムイオンとの反応は代表的で,二酸化炭素の分圧により,水に不溶の炭酸塩と,水に可溶の炭酸水素塩とが可逆的に生成する。鍾乳洞の鍾乳石や石筍(せきじゆん)の生成はこの反応による。工業的には清涼飲料水の製造,アンモニアソーダ法による炭酸ナトリウムの製造,アンモニアとの直接合成法による尿素の製造に用いられ,また固体の二酸化炭素はドライアイスとして冷却剤に用いられる。二酸化炭素そのものには毒性はないが,呼吸作用には役立たないため,空気中の含有量が10%以上になると,相対的に酸素分圧が低下し,人間は呼吸困難となり仮死,窒息する。 大滝 仁志
光合成
photosynthesis
光(ひかり)合成ともいう。植物が光のエネルギーを利用して二酸化炭素 CO2と水 H2O から有機化合物を合成する過程。その反応は
炭酸固定の代表的な例で,より一般的には,光のエネルギーを利用して CO2を還元する過程をいう。ファン・ニール van Niel は
CO2+2H2A嚏嚥(CH2O)+2A+H2O
を光合成の一般式として提唱している(1929)。光合成細菌(緑色硫黄細菌,紅色硫黄細菌などの硫黄細菌,紅色無硫黄細菌)は,水素供与体として水ではなく H2S,H2S2O3,H2,有機化合物などを用いる。反応は
CO2+2H2S嚏嚥(CH2O)+2S+H2O
CO2+2H2嚏嚥(CH2O)+H2O
この場合は O2の発生はない。細菌型光合成を基礎として進化の結果,地球上に豊富に存在する水を水素供与体とする緑色植物型の光合成が約10億年前に出現し,地球上に O2の出現をもたらした。
1個の光量子によって,固定される CO2または発生する O2の分子数を光合成の量子収量quantum yield of photosynthesis といい,この逆数を光合成の要求量子数 quantum requirementof photosynthesis という。要求量子数として,かつて O. H. ワールブルクは4という値(4光量子説)を主張したが,現在では8〜10という値が一般に受け入れられている。波長678nmの光(赤色光)を用いた場合,1モル光量子のエネルギーは41kcalであるから,
6CO2+6H2O+672kcal嚏嚥C6H12O6+6O
より CO21モルの還元に112kcalの自由エネルギーが必要となり,要求量子数8ではエネルギー効率は34%である。自然状態では,植物によって吸収された太陽光(赤外域を除く)のうち,光合成によって化学エネルギーとして蓄えられるのは1%程度で,1年間に地球上で光合成により固定される炭素量は約2×1011tと推定され,陸上植物による固定量と水中の藻類による固定量の比は約1:9といわれる。
緑色植物の光合成は(1)初期光化学反応,(2)O2発生反応,(3)電子伝達反応,(4)光リン酸化反応,(5)CO2固定反応から成り立っている(図1)。(1)〜(4)が古典的には明反応 light reaction と呼ばれていた系で,葉緑体のチラコイド膜に局在し,(5)はストロマに局在する。自然界には多くの光合成色素(同化色素)が存在するが,その組成は光合成生物の系統,類縁によって定まっている(表1,表2)。
光合成は同化色素が光エネルギーを吸収することによって始まる。光量子によって励起された色素分子は,そのエネルギーを最終的に反応中心と呼ばれる特別なクロロフィル(葉緑素)a(またはバクテリオクロロフィル a)分子に伝達し,そこで光化学反応が行われる。これらの同化色素分子は,集合して機能的な単位体を作っていると考えられている。クロロフィル約300分子に対し,反応中心のクロロフィル分子が1個あると推定されており,このような1組を光合成単位 photosynthetic unit という。光合成単位としては,主としてクロロフィルa に吸収される光によって反応が行われる光化学系 I(PSI)に属するものと,主として補助色素に吸収される光によって反応が行われる光化学系II(PSII)に属するものとの2種がある。PSI およびPSII の反応中心のクロロフィル a は,光により酸化されるとき,吸光度減少の起こる波長の値を付して,それぞれ P700,P680と呼ばれる。クロロフィルはタンパク質と結合し,クロロフィル‐タンパク質複合体として存在し,これが一定の様式で集合し,それぞれ PSI,PSII の光合成単位を構成している。緑色植物では P700または P680を結合したクロロフィル‐タンパク質複合体,反応中心をもたずクロロフィル a と b を1:1に含む集光性クロロフィル a/b‐タンパク質複合体がよく知られている。
PSII の反応中心が励起されると,最初の電子受容体 Q を還元し,他方,水を酸化して電子を受けとるとともに O2を発生する(図2)。Q の電子は電子伝達系を経て P700へ渡される。P700も光を受けると酸化され,電子は A1を経て最終的にNADP に渡される。この反応経路の模式図は Zのような形をしているので Z スキームと呼ばれる。1957年エマーソン R. Emerson(1903‐59)は,クロロフィル a の赤色域の吸収極大より長波長側の光(700nm)しか与えないと,緑色植物や藻類の光合成の量子収量が低下する(赤色低下 reddrop)が,ここへより短波長の光(緑色植物なら650nm,紅藻なら575nm)を同時に与えると,光合成速度は両者を単独で与えたときの和より大きくなることを見いだした(エマーソン効果)。光合成細菌ではこの現象はみられない。エマーソンの発見がきっかけとなって,光合成の初期過程には二つの光化学系があるという,現在の Z スキームに至る研究が発展した。光合成単位は Z スキームの他の成分とともに,一定の配列でチラコイド膜に組み込まれていると考えられている(図3)。ただし,PSII の分布には偏りがあり,チラコイド膜どうしが重なっている部分にあるといわれている。
発生する O2は水に由来するので,反応機構を考慮に入れた場合には光合成の全反応は
6CO2+12H2O嚏嚥C6H12O6+6O2+6H2O
また NADP 還元までの部分反応は
12NADP++12H2O嚏嚥12NADPH+12H++6O2
と書く。O2発生機構としては,2分子の水の酸化が4段階を経て行われ,これにマンガン Mn が関与していることが知られている。Z スキームの電子伝達と共役して ADP(アデノシン二リン酸)とオルトリン酸から ATP(アデノシン三リン酸)が合成される(光リン酸化という)。Z スキームに沿った一方向的な電子伝達と共役するものを非循環的光リン酸化,循環的電子伝達経路(クロロフィルから出た電子が電子伝達系の途中から再びクロロフィルへ返ってくる)と共役するものを循環的光リン酸化という。前者では反応産物の比 O2:ATP:NADPH は1:2:2である。循環・非循環両形式の比率の調節機構があるものと考えられている。光リン酸化には,チラコイド膜の外表面(ストロマ側)に結合したCF1と,チラコイド膜内に結合した CF0と呼ばれるタンパク質が関与する。電子伝達の結果生成した ATP と NADPH は炭酸固定系の反応に用いられる。RuBPC(リブロース‐1,5‐二リン酸カルボキシラーゼ),NADP‐グリセロアルデヒド‐3‐リン酸デヒドロゲナーゼ,リブロース‐5‐リン酸キナーゼなど,炭酸固定系の主要な酵素の活性は光によって制御される。制御機構は2種に大別される。すなわち,光があたり光化学系が働いた結果起こる,(1)チラコイドへの H+の取込み,チラコイドからのマグネシウムイオン Mg2+の放出,葉緑体へのカルシウムイオン Ca2+の取込みによるストロマのイオン環境の変化,(2)チラコイドの電子伝達系の還元により酵素活性調節に関与する物質の還元,によって制御される。
[光合成速度] 光合成による CO2固定速度を光合成速度と呼ぶが,一般にその測定は単位時間当りの CO2の吸収量または O2の発生量によってなされる。このような測定値は植物が呼吸によって生じた CO2,消費した O2を差し引いたものであるから,〈純(あるいは見かけ上の)光合成速度〉と呼んで〈真の(あるいは総)光合成速度〉から区別する。
光合成速度を左右する最も大きな環境要因は光で,光の強さと光合成速度の間には双曲線的な関係がみられる。まず,光の量が増加して,真の光合成速度が呼吸速度に等しくなると,純光合成速度が0になる。このときの光の強さを〈光補償点〉と呼ぶ。光の増加とともに光合成速度は速くなるが,ある程度以上光が強くなると,光合成速度は飽和状態に達し,もはやその速度は光の量とは無関係になる。このときの光の強さを〈光飽和点〉,光合成速度を〈飽和光合成速度〉と呼ぶ。
〈光補償点〉〈光飽和点〉〈飽和光合成速度〉は,植物の種によってきまっているが,一般に陽樹のほうが陰樹よりすべての値が高いのがふつうである。
光合成速度を左右するもう一つの大きな要因は大気中の CO2濃度で,とくに光飽和に達して以後の光合成速度増加にとって重要である。CO2濃度も光と同じように光合成速度との間に双曲線的な関係をもち,〈CO2補償点〉つまり純光合成速度が0になる CO2濃度が存在する。
[C4回路] 光合成の炭酸固定系にはカルビン回路と C4ジカルボン酸回路(C4回路)の2種類がある。前者をもつ植物(C3植物)は RuBPC によってCO2固定を行う。C4回路をもつ植物(C4植物)では,まず葉肉細胞で HCO3−を基質としてホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ(PEPC)で CO2を固定し,オキサロ酢酸を生成し,これからリンゴ酸またはアスパラギン酸を生じ,これが維管束比(いかんそくしよう)細胞へ送られたのち,そこでこれらの化合物から CO2を放出し,これをカルビン回路で再固定する。この反応経路のうち,カルビン回路より前の過程を狭義の C4回路という。C4回路(広義)はカルビン回路に対して,効率のよい CO2供給系(狭義の C4回路)が付け加えられたものである。C4植物は維管束比細胞に多数の葉緑体をもつ。C4植物は,葉肉細胞で作られた CO2固定産物から維管束比細胞で CO2を放出させる反応の種類によって三つのタイプ,すなわち(1)NADP‐マリックエンザイム型,(2)NAD‐マリックエンザイム型,(3)ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ型に分類される(図4)。C4植物としては,イネ科,カヤツリグサ科などに属するもののほか,双子葉植物を含む20科1100種が知られており,熱帯原産のものが多い。CO2補償点がきわめて低く(5ppm以下),強光,高温,低 CO2濃度中での光合成速度は C3植物より高い。ベンケイソウ科の植物では,夜間に気孔が開いて CO2を吸収し,これがリンゴ酸として蓄えられ,昼間は気孔が閉じてリンゴ酸が減少し,デンプンを形成するという日変化を示すことが古くから知られており,この代謝形式は,ベンケイソウ型有機酸代謝 crassulaceanacid metabolism(CAM)と呼ばれていた。C4植物の研究の進展の結果,C4植物では葉肉細胞と維管束比細胞との協調で2種の CO2固定反応が空間的に分けて行われているのに対し,CAM 植物ではこの2種の反応が夜と昼というように時間的に分けて行われる,すなわち夜間 PEPC によるCO2固定が行われ,昼間はこの CO2がカルビン回路で再固定されることが明らかにされた。CAM 植物は乾燥に対する適応として特異的な代謝系をもつに至ったものと考えられる。現在,ベンケイソウ科のほかサボテン科,アナナス科などの112属300種余り(多肉のものが多い)が CAM 植物として知られている。
光のもとでカルビン回路に由来するグリコール酸が,グリコール酸経路により酸化分解される過程を光呼吸 photorespiration という。RuBPC はオキシゲナーゼ活性もそなえており(リブロース‐1,5‐二リン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ RuBisCO と呼ばれる),ホスホグリコール酸を生じる(図5)。これが呼吸基質となりマイクロボディ(パーオキシソーム)とミトコンドリアの関与によって,図6の経路を経て酸化される。光呼吸は,過剰の還元力を消費することに役だっているのではないかとも考えられているが,生理学的意味はまだ完全には明らかではない。C3植物では,強光,高温,高 O2濃度,低 CO2濃度という条件で,光呼吸は増大し見かけの光合成は低下するが,C4植物では CO2の回収が速いためこのような低下はみられない。⇒葉緑素 嶋英夫
石灰岩
limestone
CaCO₃+2HCl→CaCl₂(塩化カルシウム)+CO₂+H₂O
炭酸カルシウム CaCO3が重量で50%以上を占める堆積岩。色は白色から黒色までさまざまである。石炭質の殻をもつ生物遺体(ユウコウチュウ,石灰藻,サンゴ,貝など)の集積または化学的沈殿により形成された原地性のものと,石灰質物質が二次的に運ばれて堆積した非原地性のものとがある。後者が量的には多く,それらは砕漢岩として扱うことができ,粒径により石灰レキ岩,石灰砂岩,石灰シルト岩,石灰泥岩に区分される。また,微晶質方解石基質(マイクライト micrite)をもつものと,粗粒方解石により膠結(こうけつ)されたもの(スパーライト sparite)に大別され,構成粒子(炭酸塩砕漢片,オーライト oolite,生物遺骸片,ペレット)の量比により,それぞれ細分される。石灰岩の分類には多くの提案があり,一致をみていない。また石灰岩は化石を多く含むことから地質時代の決定に有効で,形成環境が限定されていることから,古地理の復元に重要な役割を果たしている。
石灰岩はセメント,石灰,製鉄工業に利用価値が高く,鉱石は石灰石と呼ばれる。一般に CaCO3が80%以上のものが資源として利用される。日本の石灰岩は大部分が白色を示し,古生代(おもに二畳紀)のものがほとんどで,一部が中生代のものである。外国の石灰岩が層状(原地性)で陸源砕漢物を多く含むのに対して,塊状(原地性)で,それらをほとんど含まず,したがって純度も高い。日本では唯一自給できる資源で,CaO45%以上のものが採掘されている。
石灰岩は変成作用をうけると容易に再結晶して方解石の集合体(大理石)にかわる。また接触変成により,スカルンと呼ばれる種々の鉱物ができ,鉄,銅,亜鉛,鉛などの鉱床が形成される。石灰岩は水に溶けやすいことから,特異なカルスト地形をつくり,地下には鍾乳洞が形成され,鍾乳石や石筍(せきじゆん)が発達する。 徳岡 隆夫
[石材] 石灰岩は建築用石材として古くから広く利用されている。エジプトのピラミッドが古第三紀の示準化石であるヌンムライト(貨幣石)を含む石灰岩で造られていることはよく知られている。ヨーロッパやアメリカには大理石よりやや軟質の石灰岩が広く分布し,フランスやイギリスでは教会や宮殿をはじめ広く石造建築の材料として使われてきた。アメリカのインディアナ州に産するこの種の石灰岩はニューヨークのエンパイア・ステート・ビルやロックフェラー・センターの各ビルの外装に使われて有名になった。また今日,大理石と呼ばれる石材の大半が非結晶質の石灰岩であり,石灰岩であればこそビルに張られた石からアンモナイトその他の化石が発見されて話題をにぎわすのである。縞状に細孔が並ぶトラバーチンは世界の至るところのビルに使われているが,これは湧泉など温水の中でできた石灰岩である。 矢橋 謙一郎
飽和水蒸気量
温度の変化における空気中の水量を調べたもので、1立法メートルにどれぐらいの水が含まれるか測定したもの
10度で10gの水が含まれ、30度では40gとなり4倍の水を空気が含有できる。
イェール大学のロバート・バーナー(Berner)らは数学モデルを使って過去の大気中の二酸化炭素を算定しまし「顕世代の炭素循環」という論文を書きま した。(The Phanerozoic Carbon Cycle, 2004) このモデルは3つの変数を使って大気中の二酸化炭素濃度を計算しております。第一の変数は陸の面積と気温から陸の岩石の風化による二酸化炭素の固定速度で す。第二の変数は海底の拡大速度から火山から放出される二酸化炭素放出速度です。そして第三の変数は海洋中の炭酸塩と重炭酸塩の平衡です。このモデルは研 究者3名にちなんでBLAGモデルと呼ばれています。BLAGモデルに生物の影響も加えて改良したものはGEOCARB モデルとよばれています。このモデルによると6億年前以降、図-1.1バーナー・グラフのように二酸化炭素濃度は大局的には減少傾向を示しつつ時 々大きく振れてまいりました。(ピーター・ D・ウォード「地球生命は自滅するのか? ガイア仮説からメディア仮説へ」)