【量子論】意識は“異次元”に存在
脳は宇宙と情報交換している
はじめに「意」が11次元の世界にあったのであり、あるのである、これからもあり続ける。
そしてそれが階段を一つづつ降りて、三次元の形の内にいる時には重層的な「意識」と呼ばれている。
形の内外を貫通する管は「深層意識」
形の内を循環する管は「中層意識」
形の外を内に伝える管は「表層意識」
と呼ぶ。
形のあるところに「意」が流れ込むことで意識になる。
ヒトでは脳の形が「意」に満たされる「表層意識」になるのである。
一般的にはこの「表層意識」を意識、「中層意識」と「深層意識」を無意識、または潜在意識と社会では呼んでいる。
つまり、、発生の順番が脳(物質)→意識ではなく、「意」→脳(物質)に合わせたものが「表層意識」であるため、肉体(物質)が死んでも、意識は消滅するが、「意」ははじまりのないはじまりから、終わりのない終わりまで、何もなくなるわけではない。というよりは、生まれてもないので死ぬこともない。
オーストラリアの哲学者デイヴィッド・チャーマーズは、意識についてこう疑問を投げかけた。
「主観的経験や自己意識といった非物質的なものは、どのようにして物質である脳から発生するのか?」
チャーマーズをはじめ多くの哲学者がこの問いに答えようと奮闘してきたが、今に至るまで決定的な答えは出ていない。そうした中、オランダ・フローニンゲン大学の名誉教授のディルク K.F. メイエル博士が、2017年に発表した論文は、意識と量子力学の関係を大胆に指摘した論考として注目を集めた。海外サイト「Idea Pod」の記事を参考に同論文の概要を紹介したい。 同論文でメイエル博士はこう指摘している。 「我々の脳は孤立した情報処理器官ではありません。脳は神経系の中心として活動しながら、宇宙と情報交換しているのです」(メイエル博士)
また博士によると意識は脳の周囲にある“場”の中に存在するという。“場”自体は人間が認識できない4次元に存在し、脳と量子もつれの状態にあるとのことだ。実際のところ、脳の情報処理は、現在考えられている脳内の神経伝達だけでは説明できないほど高速なのだという。 “量子もつれ”の状態にある2つの量子は、たとえ物理的に引き離したとしてもいわば運命共同体のように分かちがたく結びついた存在であることが、実験からも証明されている。例えば、量子もつれ状態にある2つの量子が、宇宙の端から端まで引き離されたとしても、量子論的には2つの量子は同期するのだ。
“場”と脳が量子もつれにあるとすれば、超高速の情報処理が可能になるだろう。また、メイエル博士によると、意識の“場”は部分的には非物質であるが、脳と関わっている点では物質的であるという。そのため、脳の科学的分析は意識の解明に必要だとしながらも、それに全てを還元することはできないと語っている。
「非物質的かつ非肉体的な意識の活動空間は、神経系に随伴し、“私”という自己意識の大部分を担っている」(Meijer博士) 大胆な仮説であるが、それだけ意識は現在の科学にとって神秘的な存在であるということだろう。いずれにせよ、従来のパラダイムでは意識を解明する見込みはかなり低そうだ。量子力学の発展に伴った科学革命でも起こらない限り、意識はいつまでも人類最大の謎として残り続けるだろう。今後、大胆なパラダイムシフトが起こることに期待したい。
量子物理学の世界では“意識の不滅”が論争になりつつあるようだ
現在の科学の常識では、意識は脳の中にあるとされている。この前提に立つと、意識の独立はなく霊界・死後の世界というものは存在しないことになる。物質が根本である。このことについて、量子物理学では疑問が提起されている。量子物理学においては、量子は粒子性(物質の性質)と波動性(状態の性質)をあわせ持つ。この量子独特の性質を論争する中で、意識と物質の関係について新見解が出されている。いよいよ、科学と宗教が頭をつき合わせて議論する時が来たのかもしれない。
新見解を紹介する前に量子物理学(力学)の世界について認識を深めておきたい。
(1)光の粒子説と波動説の歴史
300年前変幻自在にふるまう光について、アイザック・ニュートン(1642〜1727)とクリスティアン・ホイヘンス(1629〜1695)が光についての仮説を発表した。ニュートンは、「光は粒子であり、光が起こす現象は粒子の運動として説明できる」と粒子説を唱えた。当時科学者の多くがこの粒子説を支持した。一方、同時代のオランダの物理学者ホイヘンスは、「光は波であると考えると、光の現象は説明できる」と波動説を主張した。光の波動説は、当初あまり支持がなかったが、イギリスの物理学者トマス・ヤング(1773〜1829)が1807年に光が「波の干渉」と呼ばれる現象を起こすことを示す実験を行って、光が波であると考える人が増えていった。イギリスの物理学者ジェームズ・マクスウェル(1831〜1879)は、電磁気学の理論から電気を帯びた粒子が振動すると、電磁波と呼ばれる波が生じ周囲に拡がっていくことを明らかにした。またその速度は、光の速度(30万キロ/秒)の値と高い精度で一致し、光の正体は電磁波であると考えられるようになった。こうして、「光は波動である」ということで決着するかに思われた。
ところが、20世紀に入ると、光が粒子であると考えたほうが理解しやすい現象が次々に発見され、再び大論争が起こった。朝永振一郎博士は、「もし光が波なら、3メートル先のろうそくは見えないだろう」と語った。その理由は、ろうそくから3mはなれると、1mはなれている時に比べると同じ面積に当たる光のエネルギーは9分の1になる。計算してみると、3mもはなれると網膜のなかの細胞「視物質」を変形させるだけの光のエネルギーが視物質に当らなくなる。そのため、ろうそくの光が見えなくなってしまうはずと。光が粒子だとすると、その分布はまばらになるが、粒子1個のもつエネルギー自体は変わらないため粒子自体のエネルギーは薄まらない。粒子は十分なエネルギーをもっていれば、光の粒子が当たった視物質の分子は変形するので、ろうそくを感知することができる。このことは、遠く離れた星々を見ることができる理由でもある。
アルベルト・アインシュタイン(1879〜1955)は、「光電効果=光を金属板に当てると、電子が飛び出す現象」の原理を説明するにあたって、「光量子仮説」を唱えた。光には最小の粒「光子(光量子)」があり、光子1個のもつエネルギーは波として見たときの「振動数」に比例して大きくなると考えた。また、電子はエネルギーを少しずつ蓄積することができず、1個の光子だけで電子を飛び出させるエネルギーをまかなう必要があると考えた。
こうして、光は波の性質をもつとともに粒子としての性質ももつという仮定から出発した「量子力学」は、さまざまなミクロな粒子の振る舞いを説明するのに成功してきた。電子や光、分子や原子などの振る舞いについて説明した量子力学の成果は、半導体やパソコンとなって我々の生活を支えるものとなっている。だが、光が「波と粒子の両方の性質をあわせもつ」とは結局どういうことなのか?」再び大論争となって来た。
(2)光の二面性=ホイーラーの「遅延選択実験」(1987年)
「遅延選択実験」=光が出発後に、粒子としてではなく波として振る舞うことを選択したように見えるため、こう呼ばれた。
アメリカの物理学者ジョン・ホイーラー(1911〜2008)は、光を放出する時、出力をどんどん絞っていくと、最終的に光子1個分のエネルギーしかない光がぼつぼつ出るようになる非常に弱い光を「ハーフミラー」という特殊な鏡に通す実験を行った。ハーフミラーは、光の半分を透過し、もう半分を反射する特殊な鏡である。ハーフミラーでは光はaとb二つに分かれる。二つに分かれた光は、それぞれ普通の鏡で進路を変えた後、光子の検出器AとBに到達する。
光子の検出器は、光子の半分のエネルギーをそれぞれ検出しそうに思える。しかしホイーラーが考えたのは、「量子力学が正しいなら、光子1個分のエネルギーが、必ずAとBの片方の検出器だけから検出される。検出の確率はそれぞれ50%で、どちらの検出器が検出するかは予想することはできない」と考えた。実験の結果、ホイーラーの予想通りの結果が出た。
光子1個分のエネルギーが片方の検出器だけで検出されるということは、光子が「それ以上分けられないエネルギーのかたまり」であり、粒子であることを示している。もし光が波であるならば、いくらでも細かく分けることができるはずなので、光はハーフミラーで半分に分けられ、光子のエネルギーが半分ずつ両方の検出器で検出されるはずである。
次に、ホイーラーは、今度はほぼ同じ実験装置で光の波動性を示す実験を行った。
光子1個分のエネルギーをもつ非常に弱い光を、ハーフミラーに向けて放出する。波としての光は二つ(aとb)に分かれた後、それぞれ普通の鏡で進路を変える。この実験では、分かれた光の波がすれちがうところに、もう一枚ハーフミラーを置く。ハーフミラーの先に検出器Aと検出器Bがある。
aから来た光の波はハーフミラーで二つに分かれ、二つの検出器(AとB)に向かう。bから来た光の波も同様にハーフミラーで二つに分かれ、二つの検出器(AとB)に向かう。あらかじめ鏡とハーフミラーの距離を微調整しておくと、検出器Aに向かう二つの光の波を、互いに弱め合い、打ち消し合うようにできる。すると、検出器Bに向かう二つの波は、必ず互いに強め合うようになる。その結果、検出器Aでは光がまったく検出されず、逆に検出器Bでは必ず光が検出されるようになる。
この実験から、光は検出器の直前まで二つの波が重ね合って弱め合ったり強め合ったりする波動性をもっていることが証明された。
ホイーラーの三つ目の実験は、二つ目のハーフミラーを置かない状態で光子1個を放出するものである。この実験は、光は出発した後に粒子か波かを選択できるという仮説を検証するものである。この二つ目のハーフミラーがない装置では、光は光子(粒子)として振る舞い、50%の確率で検出器Aで見つかり50%の確率で検出器Bで見つかるはずである。そうしておいて、光が検出装置に到着する前に、二つ目のハーフミラーを素早く追加するという実験である。すると光は、必ず検出器Bでは見つかり検出器Aでは見つからないという結果になった。これは波の重ね合わせが起きたことを示した。光はハーフミラーがふえたことに途中で気づいて粒子から波に変身し、干渉を起こしたのか、あるいは時間をさかのぼって波として出発し直したのか?いずれにしても、「はじめから波か粒子かが決まっている」と考えることはできないことを示した。光が出発後に粒子としてではなく波としてふるまうことを選択したように見えるため「遅延選択実験」と呼ばれている。
(3)光の波と粒子の二面性の不思議さを示す「二重スリット実験」
ヤングが行った二重スリット実験装置(板に細かい隙間スリットを左右二つ開け、光源とスクリーンの間に置く)で、左右二つのスリットを両方開けて光子を一つずつ飛ばすと、スクリーンにはボツボツと一つずつ光子が到達した跡が残される。この段階では、光子は粒子としてふるまっているように見える。しかし実験を続けていくと、スクリーンにはたくさん到達した場所と、到達しない場所が交互に並んだ「干渉縞」が現れる。干渉縞が生じたということは、波が二つのスリットを同時に通過し、スクリーンの手前で干渉を起こしたということを意味する。光子をひとつずつ飛ばしたのだから、光子は一つのスリットしか通過していないはずである。しかし、光が波だとすると波は広がって存在するので、二つのスリットを通り抜け干渉縞が現れることの説明がつく。
次に、スリットに偏光板(ある方向に振動する光だけを通し、他の方向に振動する光は遮るもの)を置くという実験である。
二つのスリットに偏光板を右のスリットには横方向に振動する光を通すものを、左のスリットには縦方向に振動する光を通すものを置き、スクリーンに当たった時の振動によって左右どちらのスリットを通り抜けてきたかをみようとする。不思議なことに一つのスリットを通った光がつくる像を重ね合わせただけの像が現れる。(縦方向のスリットは青の跡。横方向のスリットは緑の跡)。しかし干渉縞はできない。光は波としてふるまわなくなる。
更に不思議なのは、スクリーンの手前にスクリーンと同じ大きさのななめ45度の偏光板を置く。偏光板を置くと、縦に変光した光も横に偏光した光も、一部が通り抜け、弱いななめの偏光になり、どちらのスリットを通ったかわかなくする。そうすると、干渉縞が復活する。「どちらのスリットを通ったか」という情報が消えると、観測されていない光と同じように波としてふるまうのである。
<確立解釈(コペンハーゲン解釈)>
この実験結果をみて、光が粒子の性質と波の性質をあわせもつことをどのように説明すればいいのか?
1926年イギリスの物理学者マックス・ボルン(1882〜1926)が、現在標準的解釈とされている「確率解釈」を提案する。「コペンハーゲン解釈」とも呼ばれているもので、「ある場所の波の揺れ幅(振幅)は、粒子がそこに出現する確率と関係している」というものである。
光子は、見ていない(観測していない)間は波としてふるまい、(観測すると)粒子としての姿を現す、ということになる。光子がある場所に出現する確率は、出現する直前のその場所での波としての振幅(波の高さ)が大きいほど高くなる、という解釈である。<ほかにもいろいろな解釈が出されている。>
光は、観測されないかぎり波としてふるまい、二つのスリットを同時に通過し、最終的には1個の粒子として現われる。粒子性と波動性は同時には現れず、粒子的な振る舞いをする場合には波動的な性格を失い、逆に波動的な振る舞いをする場合には粒子的な性格を失うのである。
量子(極微)現象とは、純粋数式世界(高次元幾何学世界)と、物質物理世界(3次元世界)の中間の現象なのである。
(4)「双子の光子」実験−量子のもつれ(量子エンタングルメント)
特殊な光学機器を使うと、同じ方向に偏光(振動)した「双子の光子」を放出することができる。実験では、二つの光子の前に、それぞれ偏光板と検出器を置く。そして、片方の光子Aを偏光板と検出器に飛び込ませ、時間差をおいて、もう片方の光子Bも偏光板と検出器に飛び込ませる。すると、不思議なことに、先の光子Aが偏光板に到達した瞬間、離れた場所にいるもう一つの光子Bの偏光方向が偏光板Aと同じ向きになる。光子AとBが、まるでテレパシーで通信しているかのようにふるまうのである。
このように、はなれた二つの粒子の間に相関がある状態を「量子のもつれ」という。かつてアインシュタインは、この現象を「不可解な遠隔作用」と呼び、そんなものがあり得るはずがないと批判した。しかしこの現象は実験で確認されている。何光年と離れていても一瞬で伝わる。量子のもつれによる粒子間の遠く離れた相関を予言する量子力学の性質のことを「量子力学の非局所性」と呼んでいる。この現象が、量子コンピューターや量子暗号通信に応用可能と期待されている。
【光子、電子、原子といった極小の粒子、つまり量子には、徹底的に直感に反する「非局所性」がある。たとえば遠く離れた二つの量子は、まるでコインの裏表のように運命を共有した状態になることがある。一方の量子の物理量が観測されたと“同時”に、もう一方の物理量も時空を飛び越えて決定されるという性質だ。】
出典とある理論物理学者の「量子重力理論」への探求:量子もつれには「質量」があるのか? «
WIRED.jp
実際に量子の世界ではテレポーテーションの実験が成功したという報告がなされている。テレポーテーションの成功例として報告されているもっとも大きな物質は原子だという。(京都産業大学 工学部・情報通信工学科 外山
政文教授)
以上みてきたように、光子などのミクロな粒子のふるまいを説明する量子力学では、遅延選択実験や二重スリット実験、量子のもつれなど奇妙な現象が実際に起こることが確認されてきているのである。
(以上、科学雑誌「ニュートン」2017年2月号―光の量子論―より)
(5)量子力学において、「観察」という行為がもつ影響力の背後にある真理
光は、観測されないかぎり波としてふるまい、二つのスリットを同時に通過し、最終的には1個の粒子として現われる。観察・観測という行為が、量子の行動を調べる上で重要な因子になっている。量子力学の世界では、「観察」という“意識的な”行為が、量子レベルでは大きな影響力を持っているのである。この世界は波動・振動でできており、その根本には結晶があり、振動が現実化したものが物質なのではないかといえまいか。
量子論の生みの親であるマックス・プランクは、「意識は物質よりも根源的で、物質は意識の派生物に過ぎない」と驚きを持って受け入れ、ノーベル物理学者を受賞した理論物理学者ユージン・ウィグナーも「意識に言及することなしに、量子論の法則を定式化することは不可能だった」と語っている。
観察という行為を介在して、意識と物質の関係について問題が再度提起されているのである。現在、脳科学が進めば人間の意識・思考・感情は解明されると考えられている。しかし、それは人間の妄想であるかもしれない。脳は、意識の受け皿にすぎないかもしれない。意識は、肉体に付属するものではなく、別々のものであるかもしれない。そう考えると、死後の世界は論理的に実在して当然である。肉体から解き放たれた意識が存在するということになる。
いずれにしても、宗教と科学とは頭を突き合わせて論議する時を迎えたのではないだろうか。
二つのニュースリリースを転載して、現代の主張・論争の一端を示す。
「死後の世界」が存在することが量子論で判明!米有名科学者「脳は意識の受け皿に過ぎない」
http://tocana.jp/2017/01/post_12042.html
米「タイム」誌の「世界で最も影響力がある100人(2014年度)」にも選ばれた、再生医療の専門家ロバート・ランザ博士が、死後の世界を肯定する発言をしていたことが判明した。
◆意識が物質世界よりも根源的
米ニュースサイト「Collective Evolution」(1月14日付)によると、ランザ博士は著書「Biocentrism: How Life and
Consciousness Are the Keys to Understanding the True Nature of the Universe(生命中心主義:いかに生命と意識が宇宙の本質を理解するための鍵であるか)」において、物質ではなく生命と意識こそ現実理解のための基礎的な要素であると断言、意識は肉体的な死とは別物である上、脳が意識を生み出しているわけではないと主張している。
量子論の世界では、最も基本的な思考原理である矛盾律(AがB、かつ非Bであることはない)が通用しない状態である「量子の重ね合わせ」が長らく世界中の科学者を悩ませてきた。「二重スリット実験」では、2つのスリット(細長い穴)を通った電子が壁に衝突して作る痕跡をもとに電子が波なのか粒子なのか確定されるはずだったが、観察者がいない場合、電子は“波”の性質に見られる干渉縞を作り、観察者がいる場合、“粒子”に見られる痕跡を残すという “非科学的な”事態が生じたことで大問題となる。つまり、電子は「波であり、波じゃない」、「粒子であり、粒子じゃない」という矛盾する性質を抱えていることが判明したのだ。
ここで問題となるのは何より「観察者」の存在だ。物理的世界に直接の影響力を持ちそうもない「観察」という“意識的な”行為が、どういうわけか量子レベルでは大きな影響力を持ってしまっているのである。このことを量子論の生みの親であるマックス・プランクは、「意識は物質よりも根源的で、物質は意識の派生物に過ぎない」と驚きを持って受け入れ、ノーベル物理学者を受賞した理論物理学者ユージン・ウィグナーも「意識に言及することなしに、量子論の法則を定式化することは不可能だった」と語っている。
この論理に従うと、肉体(物質)と意識の因果関係が逆転する。つまり、意識が現実を生み出しているならば、発生の順番が脳(物質)→意識ではなく、意識→脳(物質)でなければならないため、肉体(物質)が死んでも、意識まで消滅する必要はない。こうして死後の(意識)世界が認められるというわけだ。
ランザ博士によると、肉体と意識が別個のものだとしたら、肉体がアンテナのように意識を受信していると考えることもできるという。
ついに臨死体験が科学の常識に!複数の物理学者「死んだら意識は宇宙に放出され、未知の世界に行く」
http://tocana.jp/2017/01/post_12053_entry.html
◆意識は量子情報として永遠に残り続ける
7の細い管がマイクロチューブル「Wikipedia」より引用
英紙「Express」(2016年12月7日付)などが、世界的に評価の高い複数の物理学者が「意識は肉体の死後も残り続ける」という驚きの発言をしていたと報じている。たとえば、米アリゾナ大学のスチュアート・ハメロフ教授によると、「意識は量子レベルに貯蔵された単なる情報」である可能性が極めて高いというのだ。
それだけではない。スティーブン・ホーキング博士とともにイギリスを代表する数理物理学者ロジャー・ペンローズ博士も、細胞中に見いだされる直径約 25 ナノミリメートルほどの「マイクロチューブル(微小管)」が量子情報を準―原子レベルで貯蔵していると主張。
博士によると、肉体が死に行く過程で、マイクロチューブルが保持する量子情報が宇宙空間に徐々に放出されていくという。ただ、この過程の途中で蘇生した場合、量子情報はマイクロチューブルに回収され、意識を取り戻す。この量子情報の回収にともなう現象が、いわゆる臨死体験であるという。もし運悪く蘇生できなかった場合、放出された量子が永遠に宇宙空間に存在し続けることになる。つまり、魂(=量子情報)は不滅なのだ。
世界最高レベルの量子物理学研究機関である、独「マックス・プランク研究所」の研究者らもペンローズ博士らに同意しており、知覚を司る肉体が滅びれば、まったく未知なる宇宙が待ち受けている可能性もあるという。
「我々が“今、ここ”と認識しているもの、つまりこの世界は物質的に理解されただけのものに過ぎません。物質世界の向こうには、無限の現実が横たわっているのです……肉体は死にますが、精神的な量子場はなくなりません。そういう意味で、我々は不死身なのです」(マックス・プランク研究所元所長ハンス・ペーター・デュル博士)
「我々の思考、意志、意識、感情は、精神的な性質です。これらは物理学が取り扱う自然界の基礎的な力(重力、磁場など)とは直接的な関係はありません。一方、量子的世界では精神的性質との驚くべき一致が見られるのです」(マックス・プランク研究所クリスチアン・ヘルウィグ博士)
引き寄せの法則の効果を量子力学が証明!運気アップの実践方法を暴露Pocket
昨今「引き寄せの法則」が世間に定着しつつありますが、その効果を実感している人は少ないのではないでしょうか?
実際「引き寄せの法則なんて嘘だ」というアンチテーゼも、世間に蔓延しています。
なぜ、多くの人が引き寄せの効果を実感できないのでしょう?それは、引き寄せの法則を発動させるためには「確信」がキーポイントになるからです。
簡単に言うと、心のどこかで「信じられない」という観念があった時点で、望みの現実を引き寄せることは不可能になるという原理です。
しかし「信じられない」という観念が現実化していると考えれば、引き寄せの法則はやっぱりあると解釈できます。そう、多くの人は引き寄せの法則を「逆発動」させているわけです。
つまり、あなたが自由に願望を叶えるためには、引き寄せの法則は絶対あると信じ、確信することが第一歩になります。
そこで、信じるための根拠が欲しい人のために、現代の物理学の主流である「量子力学」から、引き寄せの法則が本当にあることを説明していきます。
実は、量子力学の世界が、引き寄せの法則やスピリチュアルの世界と非常に酷似していることが判明しています。
量子力学が証明する「全宇宙のメカニズム」から、引き寄せの法則は存在することを確信していただき、引き寄せの法則を思い通りにコントロールするためのヒントにしてください。
この記事の目次
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3 量子力学から判明!引き寄せる力が強い人になる唯一の方法
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6 まとめ
人間を含めた宇宙の万物は「素粒子の塊」である
この世に存在する万物は「原子」によって作られています。約100種類の原子が、あらゆるパターンで組み合わさり、人間を含めた全ての物質を作っています。
原子は分解すると「中性子、陽子、電子」で構成されており、さらに、中性子と陽子は「クオーク」という小さな要素に分解できます。
現状では、電子とクオークをさらに分解することは不可能です。つまり、これ以上分解できない最小単位のものを「素粒子」と呼び、この素粒子を研究しているのが「量子力学」です。
※昔は「原子」が最小単位だったため「原子=素粒子」とされていました。
人間を含め、この世の中に存在する万物は「素粒子の塊」に過ぎません。つまり、人間も素粒子の性質を持っています。
ちなみに、原子は上の画像のように、中心にある原子核と、その周辺を高速で回転している電子、あとは空間で構成されています。
驚くことに原子核は、原子を東京ドームの大きさに例えたとき「米一粒」の大きさになります。つまり、原子は99.9999999%以上が空っぽなのです。
ということは、原子の集合体である人間も空っぽだと言えます。ところが、人間は硬い物体として存在し、スカスカで透き通った幽霊のような状態ではありません。
これは、原子の空間を「電子」がとんでもないエネルギーで高速運動しているからです。
分かりやすく例えると、原子を「自転車の車輪」とします。
ご存知のとおり、自転車の車輪は空間だらけです。しかし、車輪を回転させると空間はどうなるでしょう?スピードを上げるほど空間は消え、テーブルの表面のように物質化します。石を投げると跳ね返すほどです。
原子もこれと同じで、電子が原子内を超高速で運動しています。この強烈なエネルギーが硬さのある物質を作っているのです。
つまり、万物は「物質」というよりも「エネルギー」と言った方が正しいのです。
エネルギーが、想像を絶するスピードと、無限のバラエティによって、私たちにあらゆる物質を見せているだけ。
以上から、人間、動物、植物、海、山、水、空気、宇宙はもちろん、目に見えない光、音、色、匂い・・・この世の全てはエネルギーであり、あなたも「エネルギー体」だということを認識してください。
引き寄せの法則やスピリチュアルを心から信じられない人の多くは「気・波動」という言葉に違和感を持っています。人間が形のないエネルギーであるはずがないという観念があるのです
このような観念がある人は、量子力学が証明している「この世にはエネルギーしか存在しない」という事実を認めること。これが、引き寄せの法則を発動させるための第一歩になるでしょう。
素粒子は人間が見たときに「物質」として確定する
量子力学では、万物を作っている「素粒子」が、この世の常識を超えた性質を持っていることを証明しています。
その一つとして、素粒子は「目に見える物質」でもあり「目に見えない波動」でもあるということ。そして、素粒子は人間が観測すると「物質化」し、観測していないときは「波動」になことが判明しています。
※人間だけじゃなく「観測器」が観測したときも同じ現象が起こります。
例えると、月は人間が見ていないときは「物質」として存在せず、居場所が確定できない「波動」として存在するということ。これを、量子力学では「観測問題」と言います。
量子力学における観測問題は、人間の常識とかけ離れているため、かのアインシュタインですら「月はいつもそこにある!」と反論したほどです。
しかし、現代物理学の主流が「量子力学」であることからも分かるように、アインシュタインは亡くなるまで反論したものの、論破できず敗北しました。
ちなみに、観測問題を証明するものとして「二重スリットの実験」が有名です。
以上から・・・
素粒子で作られている万物は、人間の観測、つまり人間の「意識」が注がれたときに物質化するということ。逆に、人間の意識が介していないときは、万物は波動であり非物質なのです。
つまり「人間こそが万物に影響を与えている創造主」であり「人間があって万物がある」という新常識を、量子力学は証明したのです。
これは「あなたの意識」が、目の前に起こる現象を決定(確定)しているということ。
つまり、良い意識をすれば、良い現象が物質化される。悪い意識をすれば、悪い現象が物質化される。意識なくして存在するものは、この世にはないということです。
それを証明する面白い事例に「多重人格障害の患者のケース」があります。
驚くことに、多重人格の患者は、Aという人格の時とBという人格の時では、検査の結果が全然違うというケースが、医療現場では良くあるようです。
例えば、人格Aのときはガンがあるのに、人格Bになるとガンが消え、人格Cになると糖尿病になるなど、驚きの現象が起こっているようです。
この事例が信じられなくても「プラシーボ効果」は誰もが認めるはず。小麦粉を「特効薬」と信じた人が、小麦粉を飲むだけで病気を回復させた等のケースがあります。
つまり、あなたが発する意識が強ければ強いほど「物質の確定」に大きな影響を与えるということ。さらに、そのメカニズム証明した量子力学の実験があります。
根拠1:シュレディンガーのネコ
箱の中に1匹のネコと、毒ガスの入った容器を入れます。毒ガスの容器には放射性同位体(放射性崩壊がしやすい不安定な元素)が設置されており、崩壊すると毒ガスが漏れてネコが死にします。
もともと、シュレディンガーの猫の実験は「素粒子は、人間が観測したときに物質になり、観測していないときは波動である」という、量子論の不思議に反論するための思考実験でした。
この実験を発明したシュレディンガー博士は、量子力学の理屈が、ミクロ(極小)の世界では当てはまるとしても、マクロ(巨大)の世界では当てはまらないという仮説を立てました。
そこで、猫という「マクロな物質」と、放射同位体という「ミクロの物質」を同じ箱の中に入れてフタをし、人間が観測できない状態にして実験したのです。(思考実験のため現実には行われていません)
ここでは分かりやすく、放射性同位体は50%の確率で崩壊、または崩壊しないとします。つまり、毒ガスが漏れてネコが死ぬか死なないかは「半々」ということです。
シュレディンガーの猫の実験は「人間が観測するまでは何も確定していない」という量子論の理屈に対して「じゃあ、人間が見るまでは箱の中のネコは生死が確定しておらず、死んだネコと生きているネコが、重ね合わせて存在するのか?そんなのおかしい!ネコの生死は箱を開けて観測する前に確定しているはずだ!」という反論でした。
しかし、この思考実験は「量子力学の理屈が正しかった」という結論に至るのです。
コンピューターの発明に貢献し「コンピューターの父」と呼ばれる天才物理学者「フォン・ノイマン博士」が、数式によって正当性を証明してしまったのです。
どんなに数式や方程式をいじくり回しても、人間(または観測機)が観測するまでは、物質の状態は確定していないという結論に至ったのです。
つまり、人間の「意識(心)」が万物を創造しているということを、結果的に証明したものでした。
根拠2:量子コンピューター
現在研究が進められている「量子コンピューター」も、シュレディンガーの猫にあった「重ね合わせ」のメカニズムで、驚異的な処理スピードを実現するのです。
量子コンピューターは、生きている猫と死んだ猫が同時に存在する「量子重ね合わせ」を活用することで、同時に2つ以上の演算を並列処理するメカニズムです。
これが実現すれば、現状のスーパーコンピューターが数千年かかっても計算できないものを、たった数十秒で終わらせるという驚異的な性能を発揮するようです。
現在、原理そのものは完成しています。
以上からも、量子重ね合わせという「同時並列の世界」は物理学的にも存在するということ。これは、SFの世界だった「パラレルワールド」が実在することを意味します。
しかし、シュレディンガーの猫の実験で、生きている猫と死んでいる猫が同時に存在するのなら・・・
生きている猫を見ている自分と、死んだ猫を見ている自分の「二人の自分」が同時並行で存在するという理屈になります。
なぜなら、人間も「素粒子の集合体」のため量子重ね合わせが適用されるからです。また、シュレディンガーの猫は「マクロの物質」にも、量子の性質が適用されることを結果的に証明しました。
つまり、私たちには「カルマ(今世の課題や運命)」はないということになります。あったとしても、自分の意識(心)によって、いくらでも変えることが可能だということです。
あなたは、どのパラレルワールドで生きたいですか?あなたは「意識の質」を変えるだけで、自由に移動することができるのです。
量子力学から判明!引き寄せる力が強い人になる唯一の方法
量子力学では「あなたの意識」が、万物の状態を決定することを証明しました。
あなたの意識が関与するまでは「全ては無限の可能性」として存在しています。つまり、その無限の可能性を一つに確定させたということは、あなたがそれを好んで選択したと解釈できます。
しかし、ほとんどの人はこう反論するでしょう。「私が望んでいないことばかりが起こるのですが。これは量子論と矛盾していませんか?」と。
その答えはこうです。それは、あなたの無意識(潜在意識)が原因です。
スピリチュアル系の書籍などを読むと「ポジティブな言葉を唱えれば、それが現実化する」といった内容が書かれています。
しかし、あなたはこんな経験がありませんか?「年収1億円を稼ぐ」と言ったポジティブなアファーメーションを唱えた直後に、心の底から「自分には無理」という声が聞こえてくることが。
これが、潜在意識(無意識)の働きです。
潜在意識(無意識)と顕在意識(自覚できる意識)の割合は「9:1」と言われています。つまり、アファーメーションは「10%の顕在意識」に働きかけるだけで、90%の潜在意識によって打ち消されるわけです。
では、あなたの潜在意識を作っているのは何でしょう?
それは、あなたが生まれてから今に至るまで、せっせと刷り込んできた「観念(思い込み)」です。
社会通念、世間体、常識、両親や周囲の価値観、自己体験から信じてしまった独断と偏見・・・これらが観念として、あなたの潜在意識に刷り込まれているのです。
そして残念ながら、観念はほとんどが「恐れ&不安ベース」で作られています。
それは「あなたが大切にしている習慣」を思い出せば簡単に証明できます。朝7時に起床する、歯を磨く、挨拶をする、嘘はつかない・・・
これらは「○○しなければ大変なことになる」という恐れが根底にあります。
・朝7時に起床する ⇒ 遅れたらクビだ
・挨拶をする ⇒ 愛想が悪いと疎外される
・嘘をつかない ⇒ 嘘つきは地獄に落ちる
意識の90%を占める潜在意識が「恐れ&不安ベース」なら、あなたが望んでいなくても「恐れや不安の現象」が確定しやすいのは当たり前だと思いませんか?
ちまたの「引き寄せ本」に書かれていることを実践しても、引き寄せが起こらないのは、あなたの潜在意識を「観念」が支配しているからです。
さらに、恐れや不安は、あなたに罪悪感、孤独感、無価値感を植えつけ、セルフイメージ(自己肯定感)を下げます。結果、あなたの引き寄せる力も下がります。
つまり、引き寄せの力を上げる本当の答えとは、今まで身に付けた恐れや不安ベースの「観念」を手離し、観念に束縛されない「自由な存在」になることです。
あなたが確定した、あなたが見ている世界は、あなたが持っている観念(強く信じている思い込み)の反映だからです。
潜在意識にある「観念」を書き換える方法
すでに潜在意識に刷り込まれた観念を書き換えるのは至難の業です。なぜなら観念は、あなたが心の底から信じている価値観であり、あなたが大切にしているものでもあるからです。
そのため、よほど強烈な体験をしてショックを受けない限り、観念をすぐに変えることは無理です。例えば、生命に関わる体験や、失いたくないものを失う体験などがそうです。
しかし、これはトラウマなどの悪影響も考えられるため得策ではありません。
現実的には、自分にとって望ましい観念を知り、それを繰り返しインプットし、腑に落としていく方法が妥当です。
観念は、体験してきた出来事に「独自の意味づけ」をし、信じ続けたことで作られたもの。
つまり「ポジティブな意味づけ」をし、それを心底から信じることができれば、どんどん書き換わっていき、良い観念が潜在意識を満たしてくれます。これが望みの人生を引き寄せる力を育てる方法です。
そして、あなたに「意味づけの技術」を提供するのが「ヤギコーチ公式YouTubeチャンネル」です。
超重要なので、もう一度繰り返します。
量子力学では、あなたの意識が全ての状態を確定させることを証明しています。つまり、意識の90%を占める「潜在意識」を支配する「観念」を書き換えれば、あなたの引き寄せ力は飛躍的にアップします。
ヤギコーチが言う「戦闘力」とは、観念に支配されない力や、望みどおりの現実を確定させる引き寄せの力を意味します。
観念を手離すスキルを身につけることで、あなたを制限するストッパーが外れ、ドラゴンボールでいう「スーパーサイヤ人」として覚醒できます。ヤギコーチは、その「きっかけ」を提供することが理念です。
ヤギコーチは「ナメック星の最長老」のような存在だと思ってください。あなたをスーパーサイヤ人にできなくとも、あなたの戦闘力を少しでも引き出すこと、それがヤギコーチの使命です。
あなたが見ている「この世」も全ては幻想である
驚くかも知れませんが、この世の正体は、上の波紋のような「エネルギーとエネルギーの干渉」があるだけです。
人間を含め、万物は「素粒子の塊」に過ぎず、この世は素粒子が放つエネルギーが干渉し合って作る「無限の波紋」が、無味乾燥に広がっているだけなのです。
ところが、人間は素粒子の波紋に反射した光を「目」に取り込み、取り込んだ光を電気信号に変換し、脳が「勝手なイメージ」を作ってしまいます。
つまり、私たちが見ているのは、脳の解釈にすぎない「幻想のこの世」であり、エネルギーの干渉しか存在しない「本当のこの世」を見ることができません。
あなたが見た「美女」も、脳が勝手に作ったイメージです。本来そこにあるのは、素粒子同士のエネルギーの干渉(波紋のようなもの)しかありません。
視覚だけでなく、感触、臭い、味、音、痛み、快感・・・これらの五感も、脳が作った「バーチャルリアリティ」です。
つまり、この世は「お化け屋敷」と同じアトラクションだということ。ただ、あまりにも脳が私たちにリアリティを感じさせてしまうため、幻想だと気づかないだけです。
映画もスクリーンに反射した光に過ぎません。しかし、その光を目から取り入れ、脳がイメージを作ってしまうため、リアリティを感じて驚いたり感動したりするのです。
つまりです。
あなたが見ている現実が、脳が作った幻想であるなら、自分の都合の良い幻想を脳に作らせた方が、人生楽しくなりませんか?という提案です。
量子力学は、あなたの意識が現実を確定させることを証明しています。では、あなたの都合の良い現実を確定する「脳」になることで、望みどおりの人生は引き寄せられます。
そのためにも、あなたに「不都合な幻想を見せる観念」から「都合の良い幻想を見せる観念」に書き換えることが、人生を劇変させる「唯一の成功法則」になります。
まとめ
@万物は、人間が観測(意識)したときに状態が確定する(観測問題)
A万物は、無限の可能性をパラレルに持ち、人間の意識で1つに確定する(量子重ね合わせ)
つまり、あなたの意識によって現実はいくらでも変わるということ。運命やカルマは存在せず、あなた自身が創造主として、思い通りの現実を作る力を持っている。これが量子力学から読み取れる真理です。
しかし、望みどおりの人生が引き寄せられない、確定できないのは、以下の要因があるからです。
@あなたの意識の90%は「潜在意識」が働いている
A顕在意識がポジティブでも潜在意識がネガティブなら打ち消される
B潜在意識は「観念(あなたが信じている思い込み)」が支配している
Cこの世で刷り込まれる観念は「恐れと不安」をベースに作られている
潜在意識がネガティブな観念に支配されていれば、必然的に「ネガティブな現象」を引き寄せます。これが、多くの人々が引き寄せの法則をコントロールできず、望まない現実を確定させる真相です。
現状の地球は「恐れ」が支配している世の中。社会通念、法律、道徳、しつけ、宗教・・・これらは全て恐れベースであり「○○しなければ罰せられる」という「脅し」が根底にあります。
だからこそ、自らで観念を書き換え、守るスキルを持たなければ、恐れベースの観念がどんどん刷り込まれ、潜在意識が汚染されていくのです。
恐れは、あなたに不安感、罪悪感、自己嫌悪(無価値感)を植えつけ、セルフイメージ(自己肯定感)を、どんどん下げていくでしょう。
私自身も、恐れの観念に苦しむ一人です。現状も手離すことはできていません。だからこそ、恐れに支配されないスキルを、皆さんと高められる環境を作ることは、とても有意義だと考えています。
創造主であるあなたを制限する「恐れの観念」を打ち倒し、望みの人生を引き寄せる力、望みの現実を確定させる力に覚醒してください。
二重スリット実験のよくある誤解とその実験の真の意味を解説
量子力学の実験で最も有名な二重スリット実験。
しかし世の中に出回っている二重スリット実験の解説の中には誤解を生む表現がよくある。
それによって真に不可解な部分が見逃されていたりする。
私は科学者ではないがこの実験結果の"解釈"については普通の人よりも詳しい自信があるので今からこの実験が持つ本当の意味を説明してみる。
■光子や電子などの粒子は"二つ"に分裂しない
有名なドクター・クアンタムの二重スリット実験の解説(YouTube)があるが、あれは実際の実験をあまりにも分かりやすく説明しすぎていて色々と誤解を生みかねない。
少なくとも、二つ限定ではないのは確かである。
他にもこの図のように観測されるまで一つの粒子は様々な場所に同時に存在する事ができるなどと言われたりもしているが、その考えは「エヴェレットの多世界解釈」であってそれは観測前の粒子ではなく観測後の粒子と関係している。
確かに重ね合わせ(スーパーポジション)と呼ばれる特殊な状態は存在するが、しかしそれは粒子として分裂しているのを意味しているわけではないのでそう単純に考えられるわけじゃない。
観測前の粒子の性質に関する的確な説明は波であるがそれに触れる前にもう一つの重要な誤解も解いておこう。
■量子力学の「観測」は「人の意識」を意味している
解説の中では「観測」の表現は"目"が使われているが実際には観測したい粒子を例えば別の粒子と相互作用させるなどして場所を特定させている。
そのような作用は量子デコヒーレンスと呼ばれている。
(イメージ図)
つまり実際の実験では人が粒子を直接目で見ていないだけではなくその実験データを人が見ようと見まいとその効果によって二重スリット実験は成立するようである。
量子力学に宇宙の不思議さを求めている人にとってはガッカリするような話に聞こえるだろうが、落ち込むのはまだ早い。
というのも事の真相はそう単純じゃなくこの観測問題というのは非常に難解な問題で現在のところ「観測」の厳密な定義はハッキリしていない。
上の図はあくまで量子デコヒーレンスを分かりやすく表現しているだけであって観測の真実の姿ではない。
この先説明する波動関数の収縮も考慮すると観測問題の話は複雑さを極める。
しかしそれらの事を考慮したとしても観測=意識によるものと単純に考えるのは間違ってると思った方がいいだろう。
ただし、量子デコヒーレンスの概念を考慮しても意識と量子力学に関連性を求めることは不可能ではない。(第三章から説明している)
というのが量子力学の話を中途半端に知った時に持つよくある誤解。
他にもあるがこの二つを押さえるだけでもまずは充分かもしれない。
・観測されていない時の粒子は"粒子として"分裂しているわけではない
・観測の定義を意識と"直結"させることはできない(量子デコヒーレンスを考慮する必要がある)
では次はこの実験の持つ本当の意味に話を移そう。
それは、2017年現在誰も分かっていない。
拍子抜けのように思えるだろうがこれは非常に重要な事である。
なぜパラレルワールド説(エヴェレットの多世界解釈)のような一見あり得なさそうに思える解釈が普通に科学者の間で支持されていたりするのか、それはこの量子力学というのが実際のところ何を意味しているのか未だに不明であるから。
だから量子力学には様々な解釈が存在しており意見が割れる。
しかし一般的に支持されている解釈は存在している。
それがコペンハーゲン解釈と呼ばれるものでそれに従うと量子力学が伝える宇宙というのは確率の世界(確率論)だというもの。
ただしそれに対抗する理論も存在している。
先ほど挙げたエヴェレットの多世界解釈もそうだし他にも「ボーム解釈」(パイロット波理論)と呼ばれる理論が存在し二重スリット実験のような不可解な実験結果を決定論的に解釈しようとするものである。
二つとも詳細は個別に取り上げているがここで簡単に説明するとエヴェレットの多世界解釈は先ほども言ったように並行世界説。
そしてボーム解釈は少し変わっている。
"粒子は粒子"として確かに存在し"波は波"(ガイド波)として別に存在している。
そして粒子がガイド波に乗って動くから二重スリット実験で波のような模様を作る。
というむしろ一見普通に聞こえる考えだが量子力学の概念としては普通じゃない。
実際これはボーム力学(Bohmian mechanics)とも呼ばれている。
つまりこの理論が正しい場合「量子力学」は本当は量子力学ではない(実際は「ボーム力学」であった)という事になるのだろうか?
その理論がどのようなイメージか映像で知りたい人はこの解説をご覧ください。
Pilot Wave Theory and Quantum Realism(YouTube) ※4分30秒からスタート
日常の直感に沿っているだけあってYouTubeのコメント欄などを見るとボーム解釈の支持者は多い。
のだが実際の科学者の間ではほとんど支持されていない。
その理由は相対性理論との相性の悪さらしいのだがその事はここでは一旦無視。
というわけで話をまとめるとこうなる。
・量子力学の真の意味を知っている者は現在地球上に存在しない(ように思われる)
・しかし"決定論的な宇宙論は間違っている"という見解が科学者の間では強い
基本は押さえたので今からいよいよこの実験の本当は何が不可解なのかを説明してみる。
■粒子は本当は粒子じゃない?
粒子を普通にイメージすると単なる小さな"物"という感じだが、ボーム解釈でも正しくない限りその考えは間違っていることになる。
確かに観測すれば粒子は粒子なのだが観測されていない時は粒子は粒子じゃないらしい。
だったら粒子は本当は何なんだという感じだが、まさにそれである。
しかし科学者に聞いても「分からない」としか答えない。
※ただし最近有力視されている仮説はある(後述)
観測されていない時は粒子は波(波動関数)として振舞っているなどと考えられているが具体的な事は判明していない。
という事は、粒子は本当は粒子じゃなく波なのだろうか。
それで簡単に結論が出そうだが、しかしこれはそう単純ではなくこの波動関数は普通にイメージできるような波ではない。
この波の持つ奇妙な特徴を把握した時にこそ量子力学の本当の奇妙さが分かる。
そしてそれが量子力学に様々な解釈が存在する理由である。
■「波動関数の収縮」の謎
波だと思って観測を行うと、どういうわけか波の性質が消えて粒子として存在している。
粒子が物として存在するのは当たり前のような感じだがしかしだとしたら"波の性質"は何だったんだと話が戻ってしまう。
しかもこの波はエネルギー波のような単純なものではなく"確率"を意味し、(別名確率波とも呼ばれている)
観測が行われると粒子が発見された場所以外で波が到達していたはずの場所からはその波だった痕跡を見つけることができない。
これが波動関数の収縮と呼ばれているものでその仕組みは完全に不明である。(本当に現象といえるかすら判明していない)
そしてこれに関する"姿勢の違い"こそが様々な量子力学の解釈が存在している理由でもある。
たとえば主流であるコペンハーゲン解釈ではこの現象は存在するにも拘わらず原理に関しては丸投げされており説明自体が存在しない。
(実際コペンハーゲン解釈は解釈ではないという意見があったりする)
しかしエヴェレットの多世界解釈はこの現象と向き合っており、だが面白い事に向き合うことによって逆に波動関数の収縮自体が存在しないという事になっている。
そして科学者からは人気のないボーム解釈の場合はそもそも粒子は粒子、波は波なので多世界解釈とは違う意味で波動関数の収縮は存在していない。
(波動関数の収縮に関する詳しいことは第三章から説明している)
■まとめ
・観測が行われていない時、粒子は粒子として分裂しているわけではない
・量子デコヒーレンスを考慮せずに観測は意識によって起こされていると単純に考えるのは間違い
・しかしその観測にまつわる問題はかなり難解で答えは現在のところ不明(量子力学の解釈が複数ある理由)
・量子の"振る舞い"は数学的に理解されているがその"実態"(メカニズムや正体)は謎に包まれている
ここで色々と疑問が浮かぶ。
一般的な量子力学の解釈が正しい場合、粒子は粒子じゃなく波だったりもするがしかしその量子は単純なエネルギー波というわけでもない。
だがマクロの世界(日常生活)で見る「物」も突き詰めて考えればミクロの集合体で出来ている。
つまりミクロの世界(量子力学)の謎をマクロの世界(日常)とは無関係と完全に切り離して考える事は出来ない。
という事は、物の本質とは一体何なのか?
量子デコヒーレンス
、量子系の干渉が環境との相互作用によって失われる現象。デコヒーレンス。
概要[編集]
「シュレーディンガーの猫」の問題で、「波動関数の収縮」を異なる量子状態間の干渉(遷移確率)の消失(デコヒーレンス: decoherence)であるとする解釈がある。
デコヒーレンスは外部環境からの熱揺らぎなどが主な原因であるとする。これに関する Caldeira-Leggett理論によって、本質的には「シュレーディンガーの猫」パラドックスは解決できると考える研究者は多い。
つまり、猫のようなマクロな系は本質的に孤立系とはなり得ず、常に外界からの揺動を受けている。その揺動は猫の波動関数を収縮させ、その結果、箱の中において猫の生死は観測前に既に決定している、ということである。
ただし、この解釈には議論の必要な点がある。すなわち、デコヒーレンスによって系の状態が完全に古典(混合)状態へと移行する訳ではないので、 状態が決定されるためには観測もしくは、多世界解釈による世界の分岐が必要となる可能性がある点である。 このように現時点で、あらゆる物理的状況に適用できるほど、デコヒーレンスについての説明が成功している訳ではない。
この「外部環境」は必ずしも空間的に外側である必要すらないとされている。量子デコヒーレンスは現在では量子コンピューターの実現への障害としての関心が強い。
古典系における時間反転対称性の破れ[編集]
古典系においての基礎方程式であるニュートン方程式は時間反転対称性つまり可逆性を持つ。ある運動に対して、その向きを反転した運動が存在する。ところが液体中の古典粒子の運動を記述するランジュバン方程式は不可逆な方程式である。静水の中で発射されたボールは水分子との衝突により減衰し静止する。しかし静止したボールが静水中の分子からの揺動を受けて高速度となる事は起こらない。
ニュートン方程式からランジュバン方程式を導出する際には「粗視化」あるいは「縮約」という平均化操作が行われる。水分子全てとボールを全てニュートン方程式で記述し、そして水分子の自由度をすべて平均化すると、ボールのみに対するランジュバン方程式が得られる。そしてボールは不可逆性を得る(森理論)。
この事は平均化によって水分子の詳細な情報が失われた事によるとも言えるし、「水+ボール」という複合系の部分系「ボール」は、保存系ではないからなんでもあり(環境効果)とも言える。このように粗視化操作によって、我々の住む巨視的な世界の不可逆性が再現される。
Caldeira-Leggett模型[編集]
量子力学における物体の波動性、状態の重ね合わせという奇妙な性質は、数学的にはユニタリ性(unitarity)という言葉で置き換えられる。 古典的に不可逆な系においてはユニタリ性が破れる事が期待される。[要出典]
A.O.CaldeiraとA.J.Leggettは、熱的環境に浸された一つの調和振動子(ばね振り子)がユニタリ性を失う事を理論的に示した。熱的環境としては無数の調和振動子を用い、古典的にブラウン運動(揺動散逸定理)を再現するような物である。初期状態でガウス型波動関数の対を用意すると、それぞれの波束中心(平均値)は古典的な減衰調和振動を行い、波束幅は揺動散逸定理を再現する。
それら2つの波束の間の量子干渉は、無環境の場合、2つが接触すれば強くコサイン型の振動を生じる(これは2重スリット実験における干渉縞そのものである)。ところがこのような「摩擦」が存在する系では量子干渉が強く減衰する事が考えられている。 (A.O.Caldeira and A.J.Leggett.
Phys.Rev.A 31 1059-1066 (1985))
量子干渉はユニタリ性から来るため、この結果は系がユニタリ性を失った事を示している。
ここで用いられた手法はFeynman-Vernonの影響汎関数法と呼ばれ、熱的環境の自由度を平均化して対象となる系の振舞いを記述する。これは古典的ランジュバン方程式をニュートン方程式から導出する際に用いられた粗視化操作と同等である。それゆえにその操作によって系のユニタリ性が破れたとも解釈できる。[要出典]
デコヒーレンス時間[編集]
量子状態間の干渉(遷移確率、状態の重ね合わせ)の減衰時間ΤDの事であり、一般的に力学的な運動の減衰時間ΤRより短い。例えば、温度300 K・質量1 gの巨視的な物体が、1 cmだけ離れた量子状態を持つとする。つまり
Ψ = |x = 0⟩ + |x
= 1 cm⟩。
この場合、ΤD/ΤRは10−40乗程度となる。 力学的な減衰時間ΤRが宇宙年齢(約1.4×1017 s)ほどだったとしても、量子干渉は1×10−23 s程度で崩壊する。(Zurek 1984他)
この様に、巨視的な物体が熱的な環境に曝されている場合、その環境効果が微弱であろうとも、物体の「巨視的に異なる」量子状態の重ね合わせは簡単に破壊される。
直感的な解釈[編集]
「二重スリット実験を考えてみよう。2つのスリットから出た光は干渉し、スクリーン上に濃淡の縞模様を映し出す。ところが、もしもスリット板が外部からの揺動やノイズにさらされている場合どうなるだろうか? 縞模様は振動し、光の濃い部分と薄い部分が混ざり合い平均化されてしまう。実際に、電子を用いた干渉実験の撮影時には、実験施設の近くをダンプカーが通っただけで失敗する。」
これはよく用いられるデコヒーレンスの直感的な説明であるが、それほど間違いではないと思われるだけでなく、重大な示唆も含んでいる。つまり、デコヒーレンスによって失われるのは粒子の確率密度関数の量子干渉項だけではなく、その他の振動的な部分も破壊するのか、という事である。
並行宇宙[編集]
量子力学の多世界解釈(エヴェレット解釈)との関連で、われわれの住む宇宙も複数の異なる量子状態を持つはずである。それを並行宇宙と思っても良かろう、という話がある(レベル3マルチバース)。普通これを否定するには、「巨視的な系に量子力学は使えないだろう」という文脈が用いられた。例えばシュレーディンガーが猫のパラドックスを考案した理由は、巨視系に対して量子力学を適用しようとしていた当時の研究者達への批判であったとされている。
ここでの「巨視的」というのは、かつては空間的スケールの事を指していた。しかしながら現在では、巨視的物体であっても極低温まで冷やすなどして熱揺らぎを除いた場合には、量子揺らぎが重要になることが知られている。実際、次世代重力波検出実験に用いられるレーザーの反射鏡は巨視的物体であるけれども、量子力学的に取り扱われる事が実験的に必要である。よって古典系かどうかは空間のスケールのみで決定されるわけではない、という考え方が主流になってきている。
とりあえず「量子力学は空間的に巨大な系にも成立する」という仮定の下に、デコヒーレンスを用いて、我々の住む宇宙の単一性を示すことも出来る。我々が宇宙を認識する時には、全ての構成粒子ではなくその「部分系」のみを見ている事に注意しよう。これは我々の認識可能な空間範囲が広い宇宙の一部分である、という意味でもあるし、また我々が「物体」として認識可能な自由度は、全宇宙を構成する自由度の全てではないという意味でもある。「集団的自由度」と言い換えても良い。
「情報」とブラックホール、デコヒーレンス[編集]
よく「閉鎖系のエントロピーは増大する」と言われる。このような、エントロピーが「増えた」とか「減った」という時には、必ず粗視化あるいは縮約操作が入っている事に注意しよう。粗視化されていない厳密な分布関数…例えば量子力学的な…から決定されるエントロピーは時間依存性を持たない。粗視化されて初めて、系は時間反転対称性を失い、エントロピーの一方的な増加法則が生まれる。
例えば、「ブラックホールの情報量(エントロピー)はその表面積に比例するが、蒸発により表面積は減少する。つまり、情報が失われている」と言った時、この情報は「粗視化された(巨視的な)情報」である。
一方、「ユニタリ的時間発展の特徴は情報を保存する事で、その場合エントロピーは変化しない。」と言った時、その情報は「粗視化されていない(微視的な)情報」である。この2つは一般に、別の物である。
いわゆる「ブラックホールの情報パラドックス」には複数の異なるパラドックスが存在する。ユニタリ性に関する誤解と思われる説明も多いと考えられるため、ここで整理する。
1.「ブラックホールの情報量は、その質量および表面積のみに依存するため、それ以前にブラックホールに落下した物体が何であったかに依らない。そのためブラックホールに落ちた物体は、例えばそれが苺のショートケーキであったか、Tシャツであったかの情報を失う。これは量子力学の原理であるユニタリ性(情報の保存)に反する。これはパラドックスだ。」
·
物体の形状、化学的性質といった巨視的な情報はユニタリ性には従わない。
2.「ブラックホールはその表面上の粒子・反粒子対生成との相互作用によって蒸発し、消滅する。そのときブラックホール内部の情報は全て失われる。これは量子力学の原理であるユニタリ性(情報の保存)に反する。これはパラドックスだ。」
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蒸発するブラックホールは散逸系であり、外部環境へとエネルギーや粒子が逃げていく。散逸系では一般にユニタリ性は成り立たない。
多少、問題を丁寧に述べる。ブラックホールはどのような情報も外部に逃がさないと長年考えられて来た。しかしそれが量子力学の原理であるユニタリ性(情報量の保存)に従うならば、ブラックホールと蒸発する粒子全てを合わせた閉鎖系では微視的情報が保存されるべきである。そのためブラックホール内部の微視的情報と等量の情報を蒸発粒子が何らかの形でブラックホールの外へ持ち出さなくてはならない事になる。この矛盾がブラックホールの情報パラドックスである。そのために量子もつれ現象などを利用してそのメカニズムが考案されようとしている(ホロヴィッツ=マルダセナモデル)。 しかしユニタリ性はあくまでも経験則であり、ブラックホールのような極端な時空で成立するという保証も無い事も記しておく。
参考文献[編集]
·
Zurekによる概論:http://arxiv.org/ftp/quant-ph/papers/0306/0306072.pdf (PDF)
·
Caldeira-Leggett理論:"Influence of damping on quantum interference: An
exactly soluble model" Phys. Rev. A 31, 1059–1066 (1985)
·
藤崎弘士その他による詳細な研究の一例:"Dynamical aspects of
quantum entanglement for weakly coupled kicked tops." Phys Rev E Stat Nonlin
Soft Matter Phys. 2003 Jun;67(6 Pt 2):066201. Epub 2003 Jun 2.
·
日本語での参考文献:岩波書店新物理学選書「巨視的トンネル現象」高木伸 ISBN 4-00-007412-1
·
日本語での参考文献:「散乱の量子力学」 並木 美喜雄, 大場 一郎(岩波書店)ISBN 4000054058
·
清水明による解説:「量子測定の原理とその問題点」http://as2.c.u-tokyo.ac.jp/archive/MathSci469(2002).pdf (PDF)
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竹内薫による血も涙も無いシュレ猫談義:http://kaoru.to/s_column/s_column06.htm
量子デコヒーレンスは量子力学の最大の特徴と言える面白い現象です。
量子のデコヒーレンスとは量子の非局所性や、重ね合わせ状態が崩壊して量子としての動きが失われることを言います。
そのデコヒーレンスを起こす要素として外からの観測が作用し、それによってデコヒーレンスが起こります。
”観測者効果(Observer
Effect)”と呼ばれる現象です。
”誰にも見られてない時は波のように振る舞い、
観測者に見られていると粒子のように振る舞う。”
それが量子が持つ物理学的矛盾であり、20世紀初頭の物理学者が頭を悩ますことになった原因です。
ここで疑問が出てきます。
”観測”とは一体何なのか。そして”観察者”とは何を指す言葉なのか。
観測者には認識が必要で、観測できるのは意識のある生物だけなのでしょうか?
この観察者について考えて行きますが、その前に少しだけ回り道をしてからこの疑問を見ていきましょう。
量子デコヒーレンス
上に書いた通り、観測によって量子としての情報が失われてしまうことがデコヒーレンスですが、
量子力学とは数式上で成り立つものなので別の言い方をすれば”波動関数が一つの状態に収縮すること”を言います。
量子コヒーレントな状態とデコヒーレントは具体的に以下のように変化します。
コヒーレント…
量子的振る舞い、波動的な挙動(非局所性)、同時に二つ以上の状態をとる(重ね合わせ)
デコヒーレント…
古典物理学的振る舞い、粒子としての挙動(局所性)、取れる状態は一つのみ
この変化をうまく表したのは有名な二重スリット実験です。量子力学に興味がある方は聞いたことがあると思います。
波としての性質を見せていたはずの光子が、光子の動きを捉える観測器をつけた時に粒子としての性質を持つことを説明した実験です。
(非常に面白い実験ですが長くなるのでこの記事では飛ばします。興味ある方は調べてみてください。)
観測器を取り付けたことにより光子の動きに変化が現れたのでは、と言う予測もありましたが観測機を外さずにスイッチを切ればたちまち波としての性質に戻ります。
よって、観測という行為自体が光子に影響を与えているのだと考えられました。
シュレディンガーの猫
”シュレディンガーの猫”は、オーストリアの物理学者であるエルヴィン・シュレディンガーが量子力学の考えを否定するために考えた思考実験です。
密閉された箱の中に一匹の猫が入っており、同じ箱に放射性物質とガイガーカウンター、青酸ガス発生装置を入れます。
放射性物質から放射線が出るとガイガーカウンターが感知し、装置から青酸ガスが発生する仕組みです。
ガスが発生すると猫は死に、発生しなければ死にません。
猫の命の鍵となる放射線は原子核の崩壊によって出ますが、原子核崩壊は量子のトンネル効果によって引き起こされます。そして1時間の間に量子トンネルが起こる確率、つまり原子核の崩壊が起こる確率は完全に50%とします。
しかしそうなるとここでおかしなことが起こります。
量子のデコヒーレンスは観測という外部からの干渉がないと起らないため、50%の確率のどちらになるかは観測するまでわかりません。
言い方を変えると箱を開けた瞬間に観測され、量子の位置が確定されるということです。
つまり箱を開けるまでは量子は重ね合わせ状態であり、”原子核崩壊が起こった状態”と”起こってない状態”も重ね合わせで存在し、その結果、猫も観測されるまでは”生きている猫”と”死んでいる猫”の重ね合わせ状態にあるということになります。
”生きていながら死んでいる猫が存在するはずがない。よって量子力学はありえない”そうシュレディンガーは主張したのです。
(これが以前のデジャヴの記事で書いた異世界が生まれる”量子的決定”です。
いわゆる多元宇宙論では、これによって”猫が生きている未来”と”猫が死んでいる未来”の二つの世界に分かれると言われています)
この”生死の曖昧な猫”によって量子力学の不当性を訴えたシュレディンガーですが、量子の奇妙な特性には疑いようがなく、皮肉にも量子力学を奇妙さを世に知らしめる話として出回ることとなりました。
誰も見ていない物体は曖昧になるのか?
ここでようやく量子に影響を及ぼす”観測者”の最初の疑問に帰ってきます。
観測者になり得るのは意識のある生物だけなのか。
犬や猫、鳥、魚、昆虫など、認識の度合いがわからない生物がそれを見た時でも
観測者効果は起こるものなのか。
そもそも観測とは”見ること”や”認識すること”なのか。
僕たちが触っている全ての物体、そして自分達自身も、全て原子の集合体で、原子は紛れもなく量子によって作られています。
つまり観測していないときに曖昧な存在になるのが量子であれば、自分たちが認識できるマクロな世界も同様の不確定性を持つことになります。
観測=見ることだと仮定すれば、夜空に浮かぶ月を地球上の誰も見なくなった途端に、月の形や位置は曖昧になり、あらゆるところに存在するようになるということです。
部屋で一人で寝ている時には自分では認識できないため、自分自身も曖昧な量子的存在でベッドに横になっているということにもなるかもしれません。
盲目の日本の鍼灸師が指先から気を感じ取りやすいのは、患者を目で見ることができないゆえに患者の身体の量子的な部分に干渉しやすいということも考えられます。
このように見ること=観測という仮定がもしも本当であればアインシュタインが猛反対するのが頷けるほどに、現実とは量子の気まぐれで存在するあやふやなものということになってしまいます。
”個人が見る事で現実が決められる”
そのような世界の根本からひっくり返すような無茶な理論が物理学者にすんなりと受け入れられるはずもありません。
観測者の謎が議論され始められてから長い間、何が”観測”となるのか指標がありませんでした。
今でも観測者効果については謎が多いです。
しかし遡ること約20年、観測を起こす新たな刺客が確認されました。
1996年、”観測者”の概念が変わった瞬間です。
”観測者”とは?
1996年、僕が5歳の時です。
フランスの物理学者セルジュ・アロシュと同僚らのリビジウム原子とマイクロ波を用いた実験において、
原子がその周囲と相互作用することによってデコヒーレンスが引き起こされるということが証明されました。
つまり”観測者”に知性がある必要などは全くなく、
他の粒子が作用するだけで十分な”観測”だったのです。
アロシュ氏はその研究によって、2012年にノーベル物理学賞を受賞しています。
これにより長きに渡る”シュレディンガーの猫”の謎にも決着が着きました。
箱の中身を誰かが観測せずとも、猫自身を構成する原子や、空気の原子、青酸ガスの原子などによって”観測”は引き起こされ、猫の生死の状態は即座に決定されることになります。
シュレディンガーの訴えは間違っていませんでした。
生きていながら死んでいる猫は存在せず、”観測”という認識の方に問題があったのです。
この世界は原子が乱雑した世界です。
空気中も、物体も、液体の中も原子や分子が休むことなく動き回っています。
量子がコヒーレントな性質を保ったまま原子が乱雑する世界を動き回れる時間は限りなく短くなります。
デコヒーレンスを食い止めるには今のところ、装置の中で原子の数を限りなく減らすか、絶対零度まで温度を下げて原子の動きを止める必要がありあます。
量子コンピュータで量子ビットが重ね合わせを保つためにはデコヒーレンスを食い止める必要があります。
原子が乱雑するこの世界で量子コンピュータを開発するのが大変なのはそのためです。
観測者の正体は他でもなく他の原子からの干渉でした。
最後にそれを踏まえた上で観測という現象についてもう一度ライトを当てて、考えてみます。
”観測”とは高次元との接触
上に書いた通り観測者が何を示すのかは最近の研究でようやく明らかになりましたが、観測が起こると同時に電子などの量子は動きを変えてしまうため、観測されていない時の本来の姿は未だわかっていません。
何が観測されるかという実験結果は説明できても、見えていない時に何が起こっているのかは知りようがありません。
確かめた瞬間に結果が変わってしまうからです。
これに関しては自分たちが認知できる次元を超えているため、そもそも理解をするのが不可能だと考える研究者が多くいます。
以上の結果から考えられる量子の“観測”とは言い方を変えると、”高次元のものが僕たちのいる三次元へ接触すること”だと考えることができます。
僕たちは自分たちのいる三次元よりも高い次元については認識できません。量子はもともと高次元の存在です。なので自分たちには認識できるはずがないのです。
”高次元の世界のほんの一部が僕たちのいる三次元に姿を表すこと”それこそが観測の正体ではないでしょうか。
観測について考えるには時間の概念について考察する必要があると思っています。
時間とは過去から未来へ流れていくものという認識を持っている方が多いと思いますが時間とは本来存在しておらず、三次元の僕たちが生み出す概念です。
よって”現在や過去、未来はこの世界に同時に存在しており、時間ではなく自分自身が時間軸を動いている”
という解釈を僕は持っています。
今まで過ぎ去った過去も消えるのではなく同じ世界に存在しており、三次元の僕たちはそれを認知できないだけです。
昔人類が地球を中心に宇宙は回っているという勘違いしていたように今のほとんどの人類も自分たちは不動で周りの時間が動いていると解釈をしています。
でもこれは自分が動いている感覚がないから起こる勘違いであって、量子などの高次元な物質に対して自分たちが認識できる範囲がどれほど限られているかを考えれば低次元の僕たちを中心に世界が動くなんてことはありえません。
それは単なる人間の慢心だと思います。
当記事のサムネイルにはこの写真を使いましたが、この写真にはヒントがあります。
これは今年の5月にニュージーのテカポで撮影した夜空です。
カメラに詳しい方は知っている通り、夜空の星を綺麗に写すためにはシャッタースピードを遅くして、光をより長く取り込む必要があります。
教会の前に一本の白い帯がありますね。
これは30秒間シャッターを開いていたのでその30秒の間に懐中電灯を持って歩いたおじさんの形跡です。
(夜空を撮影中の写真家にとっては大迷惑ですが笑)
この写真は、おじさんが教会の前を横切る30秒間を一つの景色にまとめたものです。
教会の端からスタートした30秒前と逆側に辿り着いた30秒後が同時に存在しています。
つまり時間という概念がこの写真にはないのです。
ではこの場所で写真を撮影していた僕にはこの景色はどう見えていたでしょうか?
光の帯なんてもちろん見えていません。ただおじさんの右手にある光の点がゆっくりと30秒間動いていただけです。
30秒間の光の帯の全体像を知るには、この写真のように30秒間すべての光を同時に見る必要があります。
なので僕たちの現実では光の帯は見ることはできず、その瞬間の一点だけをみていることになります。
この一連は量子デコヒーレンスと似ています。過去と未来の全てが存在する次元に存在するのが量子であって、三次元の僕たちがそれを見ると点となってしまい見ることができない。
つまり”観測”の正体とは、高い次元のものが僕たちのいる低い次元に下りてくる現象だと考えています。
多くの学者が言う通り、量子の全体像を捉えることは不可能に近いと思っています。
次元を超えて量子の全体像を見るのは、過去と未来を同時に見るようなものだからです。
終わりに
上には量子の全体像を知るのは難しいと書いていますが、それを知るための方程式の鍵が発見されるかもしれません。
今のところ量子の動きを知るには、波動関数を使ってデコヒーレンスが起こった時にどの位置に出現するか予測することしかできません。
つまり僕たちの次元に入ってくる時でないと理解ができないということです。
人類が量子の全体像をある程度把握できるようになるとは、高次元の物体をある認識できるようになるということです。
そうなると世界の概念が覆るのは間違いないと思います。
まだまだ世界はわからない事だらけです。
参考:
・ジム・アル=カリーリ/ジンジョー・マクファーデン(2015)
『量子力学で生命の謎を解く』SB
Creative.
・佐藤勝彦(2006)
『相対性理論と量子論』PHP研究所.
8 thoughts on “デコヒーレンスはなぜ起こる?量子の”観察者効果”とは”
スペイン在住です。引き寄せの法則から量子の世界に興味を持ちました。大変興味深く読みました。大変な力作ブログですね。これからも訪問します。
ご活躍を期待しています。
1.
Koki2017年10月16日
トン吉さん、コメントありがとうございます!
スペイン行ってみたいですね〜。量子力学は調べても調べても人智が及ばない分野なのでだからこそ面白いですよね。
これからもちょくちょく見て行ってください
2.
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3.
maxmona2019年1月7日
色彩の研究をしている者です。
量子、干渉で検索し、このサイトを見つけました。
仰られている「人類が量子の全体像をある程度把握できるようになるとは、高次元の物体をある認識できるようになるということです。
そうなると世界の概念が覆るのは間違いないと思います。」
その通りだと実感しています。また、別の研究ですが、祈りの言葉と言うものが、人間の勝手な願い事と他人への感謝であったり、人類の平和を願ったりする言葉では、全く違う領域へ達するようです。
これからも、ちょくちょくお尋ねします。
1.
Koki2019年1月16日
maxmonaさん、コメントありがとうございます!
色彩の研究、、色もすごく面白いですよね。もっと自分ももう少し色に対して知識を深めていかないとなと思っています。色は波長である以上メンタル面だけではなくフィジカルにも影響が大いにあるんではないかと勘ぐっているところです笑
おっしゃられている研究も気になりますね。もしよろしければリンク等を貼っていただけるとすごく助かります。
はい、また見ていってください!
4.
tomok2019年5月19日
すごいですね…
観測者が他の何かの干渉ということなのであれば、例えば人間がご神木やパワーストーンに触れることで健康になったり、特定の場所に行くだけで気分が悪くなる理由になりますね。
実際には変化が小さすぎて誰も気づいていないかもしれないけれど、何かしらの変化が起こっているかもしれない。
時間の概念も、時間軸があって僕らがそのレールに乗っているのではなく、僕らそれぞれ(というよりは物それぞれ)の時間がある…というか時間は観測しているから存在しているだけで、観測していないなら存在しない?観測が他の物質の干渉なら、本当にただ一つだけが存在する空間があるとしたなら、その物質は何の変化も起こさないから…時間が存在しないということ?
想像すると本当に楽しいですね。
拝読させて頂きました。
世界を構築する物質の量子態の中、過去現在未来のあらゆる情報が入ってて、観察によってデコヒーレンスが発生し人間の理解で「現在」に収束するって凄くよい話でした!
時間を第四次元に捉え、三次元を平面に想像してその平面の変化をz軸にたって成り立つという説もあり、時間とは関係なくxyz以外に空間的にもう一つの座標軸を第四次元に捉える説もありますね。つまり人間が認識できるのは三次元空間+0.5(単向)次元時間ということです。例えば本物の四次元生物は、僕たちが平面の円環の中の物体を持ち上げて円環の外に持ち運べるように、人間にとって密閉の部屋に出られることができたり、二次元の生物にとって密閉の円環の中の物を上から見えるように箱、石、コンピュータの内部構造を直接見ることができるということです。
とっちでも凄く興味深い話であり、自分も良く分からないが後者の方が納得できそうですw。
ご意見をお聞かせ頂きたいです!
通りすがり2019年12月17日
時間を超越できる世界があるのかなと思えるよい記事でした。確かに、波動性は粒子にもどるまでに経過する時間を無視した性質のようにも見えますね。
物質も量子から構成されているので、その性質の差が何に起因するかを考えてみるのは面白いかもしれません。
デコヒーレンスは多世界解釈の観測問題を解決しているわけではない。
デイビッド・ドイッチュがあちこちで「量子コンピュータが圧倒的に速いことは多世界解釈が正しい証拠」と宣伝しており、またそれを扇動的に扱う科学記事も人気を集めているため、世間では多世界解釈は完成された量子論解釈と誤解している人がこの10年くらいで増えてしまったように思う。
多世界解釈では宇宙全体を記述するただ1つの波動関数が実在しており、図1のように時間とともに様々な宇宙の量子的線形重ね合わせに進化する。
ここに出てくる各宇宙に異なる計算作業を分担させて巨大な並列計算を量子コンピュータは行うために古典コンピュータに比べて指数関数的に速いのだとドイッチュは説明するのだ。
また他にも、コペンハーゲン解釈で出てくる波動関数の収縮はシュレーディンガー方程式では記述できない"謎"の過程であり、それはコペンハーゲン解釈を超えて説明されるべきだという主張を繰り返す人もいる。
多世界解釈では宇宙全体を記述する実在論的でかつ決定論的な波動関数を1つ考えるだけだ。
宇宙の外部には観測者がそもそも存在しないので、その波動関数を収縮させる観測者は存在しない。
だからコペンハーゲン解釈に出てくる波動関数の収縮という"欠点"のない良い解釈と言うのである。
では本当に多世界解釈はこれまでコペンハーゲン解釈が置かれていた標準解釈の座に据えられるようになり、今後の新しい物理学の記述に不可欠になるものだろうか。
実はそこには大きな過剰宣伝があるのだ。
きちんと量子力学の基礎を押さえている研究者達は、多世界解釈自身が首尾一貫した体系として完成されていない不備だらけの理論であることを十分に知り尽くしている。
しかもその不備の1つは小手先で解決できる類ではなく、多世界解釈が本質的に抱えている不可避な欠点に由来している。
決定論的な宇宙の波動関数から、人間の意識が時々刻々確率的にただ1つの体験を選択し、経験しているという事実を導くことが不可能だからである。
これをしたければ、最初に宇宙全体の波動関数から「人間が意識を持つこと」を科学的に説明することが必要になる。
そしてその創発された意識が、各時刻において多数ある可能性の候補の中から確率的に「1つを選択して」経験することを説明しなくてはいけない。
つまり意識の創発及び存在の合理的検証が求められるのだ。
しかしこれは科学的に反証可能な問いではない。
ここで改めて考えてみよう。自分以外の人間が全く自分と同様の意識を持って、時々刻々1つの体験をし続けていることを科学的に検証することができるだろうか。
自分が持っているリンゴを手放すと落下して床に当たり、ゴンという音を発したという体験をしたとしよう。
それを見ていた隣の人間に同じ体験をしたかを尋ねて「確かにしたよ。君が手放したリンゴは落下して床に当たり、ゴンという音をたてた。」と答えたからと言って、その人間に意識があるかは分からない。
またその人間に今どんな感情を持っているのかを聞いても、本当に意識を持っている存在であることを検証できない。
実はその"人間"がよくできたアンドロイドで、最初からインストールされたプログラムで質問などの外部の刺激に自動応答しているだけかもしれないからだ。(現時点ではそのようなアンドロイドは未完成でも、原理的には能であろう。
https://www.youtube.com/watch?v=GIwwE8TEZ4I
つまり「他の人間が自分と同様に意識を持っていること」は「アンドロイドが自分のような意識を持たないこと」と同じく科学的には検証できないことなのだ。
科学では、対象に刺激(質問)を与えたときの反応(応答)をいろいろ集めて解析できるだけだ。
しかしそれでは他の人間が意識を持っている証明や、アンドロイドに意識が生まれない証拠を永久に示せない。
つまり多世界解釈派の研究者が探し求めているものは、本質的に科学の範疇を超えているのだ。
(これ以外にも「手で」各宇宙の尤もらしさを表す測度を与えて、観測確率のボルン則を出している点等も、エヴェレットのオリジナル版"多世界解釈"に対する批判の種になっている。)
一方標準的なコペンハーゲン解釈では、健全な科学として量子力学を記述することが可能だ。
つまり意識の問題は概念の混乱が起きないように綺麗に切り分けされて、公理化されているのである。
「全ての人間には独立な意識がある。」という公理を組み入れても、他の公理と矛盾を全く起こさない理論構造を量子力学は持っている。
この構造自体がとても非自明であり、量子力学が「使える科学」になるポイントだ。
観測対象と安定した意識を持っている観測者を合理的に分離できている環境が確保された時「だけ」、量子力学は定式化されるというのがコペンハーゲン解釈なのだ。
そして波動関数は観測者が持っている知識に依存する情報概念であり、物理的実在ではない。
だから波動関数の収縮は測定を通じた観測者の知識の増加に過ぎないのだ。
多世界解釈のような科学的範疇外の問題に悩む必要はない。
(このあたりは下記を参照:
波動関数の収縮はパラドクスではない。 - Quantum Universe
認識論的な量子力学についてのコメント
- Togetterまとめ
)
本題に入ろう。
多世界解釈ではデコヒーレンスが観測問題を解決していると思う人もいる。
しかしこれは誤解に過ぎない。
宇宙全体の波動関数において他の自由度を全部無視して(数学的に言えば部分トレースをとって)観測者の記憶領域だけの量子状態を求めれば、それはほぼ古典的状態の確率混合になっている。
これがデコヒーレンスである。
分岐した世界の間の量子干渉がなくなる、または干渉が観測されなくなるとも表現される。
しかしこれは先の「人間の意識が時々刻々確率的にただ1つの体験を選択経験する」ことを導いたことにはならない。
一つの理由としては、東大の清水明さんもよく強調するように、混合状態の分解の仕方が一般に一意でないことが挙げられる。
例えば電子スピンz成分のアップ状態|+z>とダウン状態|-z>の確率50%での混合状態は
ρ=1/2 |+z><+z| +1/2 |-z><-z|
で与えられる。
しかしこれはx成分やy成分の固有状態でも展開できて、やはりそれぞれの状態に対して50%混合になっている。つまり
ρ=1/2 |+x><+x| +1/2 |-x><-x|
=1/2 |+y><+y| +1/2 |-y><-y|
=1/2 |+z><+z| +1/2 |-z><-z|
が成り立っている。
従ってデコヒーレンスが完全に起きても、どの軸の観測が行われたか全く定まっていない例になっているのだ。
様々な純粋状態の確率混合で生成される量子状態が他の純粋状態の確率混合としても書ける例は無限にある。
また縮退のない混合状態ρをデコヒーレンスの結果として得たとしても、なぜその多数の分解成分に含まれる「ただ1つの経験」が選らばれて時々刻々人間は意識できるのかが説明されていない。
安定した意識を保持する人間はただ1つの事象をそれぞれの時刻に生々しく体験しており、多くの異なる体験や記憶の確率的分布や重ね合わせを感じない。
デコヒーレンスは多世界解釈における観測問題の本質的困難を全く解消していないのだ。
もし仮に世界が決定論的な古典力学だけで記述できていたのなら、確定した初期状態から世界が時間発展をする場合には各時刻でどの部分系も確定的な「ただ1つの」状態にある。
部分系の1つである人間の物理的自由度でも同様だ。
だから意識がただ一つの経験をそれぞれの時刻でしているという事実に、深く悩むことはなかったのだ。
しかし量子力学では状況が全く異なる。
ベルの不等式の破れによって実験的にも局所的な実在論が否定されてしまっているからだ。
例えば電子スピンのベクトル3方向成分の値は各時刻で決して決定論的には定まらない。
量子力学の最も基礎的なレベルでの記述は確率に頼らざるを得ない構造をしている。
このことから、なぜ意識が各時刻でただ1つの体験だけを認知するのかという問題が本質的になるのだ。
もしドイッチュの言うとおりに多世界(パラレルワールド)が本当に「実在」ならば、それは観測されるべきではないのか。
なぜ宇宙の時間発展とともに発生した人間意識が相反する歴史をもつ2つの実在世界や、もっと多数の実在世界を同時に認知できるように適合進化しなかったのか。
それは単にまだ人間の進化の時間が足らないだけなのか。
デコヒーレンスでは説明のつかないこれらの問いをドイッチェは答えるべきだが、その合理的な解を彼は与えない。
多世界解釈を宣伝して有名にしたホィーラー自身もずっと意識の問題に悩む羽目になった。
図2は彼が晩年書いていた宇宙の概念図である。
宇宙には外部観測者がいない。
宇宙自身が宇宙(Universe)を観測する。それを象徴しているのが「U」(宇宙)を観測している図の「眼」である。
波動関数が収縮をしないことを保証するユニタリー性(Unitarity)と、宇宙自身が宇宙を観測することがどう整合するのかを結局ホィーラーは明示的に解くことはできなかった。
しかし波動関数を情報概念と捉える認識論的な現代的コペンハーゲン解釈では、ホィーラーが悩んだこの問題はそもそも存在しないのが大きな特徴だ。
現代的コペンハーゲン解釈は、意識の有無を判定する問題の部分を自家撞着が起こらないように鮮やかに切り分けることにより先のホィーラーのトートロジーを排除した、首尾一貫した理論なのである。
なお量子コンピュータが指数関数的に速いスピードで計算できる例は、現在ごく限られたものしか知られていない。
しかしそれらの速い量子計算の例は全てコペンハーゲン解釈だけで説明できる。
そのため実際には「多世界解釈が正しいから量子コンピュータは速い。」というドイッチュの説明を納得しない研究者が大多数なのである。
宇宙は無数の小さな「時空の泡」でできているのかもしれない
by moritz320
望遠鏡でのぞいて観察するだけでなく、数学を使って自然現象を説明できるようになり、宇宙についてもさまざまなことがわかってきました。しかし、人類はいまだに宇宙全体のおよそ5%ほどしか説明できないといわれています。そんな宇宙が「量子レベルの小さな泡でできている」という説を、技術系メディアのMotherboardが紹介しています。
Scientists Discover Huge, Mysterious Radio Structures at the Heart of the
Milky Way - VICE
https://www.vice.com/en_us/article/vb5bw4/scientists-discover-huge-mysterious-radio-structures-at-the-heart-of-the-milky-way
1916年にアルバート・アインシュタインが発表した一般相対性理論では、宇宙空間とは時間と空間が密接に関連した「時空」であり、重力によってゆがむトランポリンのようなものだと説明されています。
一般相対性理論が発表された当時、物理学者たちは「宇宙が膨張するか否か」で激しい議論を交わしていました。「神が作った宇宙は不変である」と信じていたアインシュタインは、自身の一般相対性理論に基づくと宇宙は引力によって収縮すると考え、導かれる重力場の方程式に「宇宙定数」と呼ばれる係数を追加し、「時空が斥力(反発力)を持っている」と仮定しました。後に、アインシュタインは宇宙定数の導入を「生涯で最大の過ち」と後悔し、自身の論文から削除しています。
1929年、アメリカの天文学者であるエドウィン・ハッブルが銀河の赤方偏移を観測し、宇宙が膨張していることを実証。さらに、1998年に行われた超新星の赤方偏移の観測結果から、宇宙の膨張は加速していることがわかりました。
by
Wikimedia Commons
それまでは重力場で発生する引力によって「宇宙の膨張は減速するだろう」と考えられていたため、「どうやって宇宙は加速膨張しているのか?」という問題が物理学の世界をゆるがしました。宇宙を加速膨張させている正体として最も有力な候補が、ダークエネルギーと呼ばれる仮説上のエネルギーです。
しかし、ダークエネルギーの総量の理論値は、観測から導き出される実測値よりもおよそ120桁分も大きいとのこと。つまり、宇宙全体を見た時、ダークエネルギーのほぼすべてが人類が認識できない形で存在しているというわけです。なお、かつてアインシュタインが削除してしまった宇宙定数はこのダークエネルギーを数学的に説明できるものといわれ、再評価されました。
1955年に物理学者のジョン・ホイーラーは、「時空は量子状態では一定ではなく、絶えず変化し続ける泡のようなものである」と主張し、「時空の泡」の概念を提唱しました。
「時空の泡でできている」という表現について、ホイーラー自身は「飛行機に乗って海の上を飛んでいるところを想像してください。高いところを飛んでいる時は、海面は滑らかに見えますが、飛行機が高度を下げると、海面が波打っている様子が見えます。さらに海面に近づくと、泡の1粒1粒が確認できます。時空も同じで、マクロな視点では滑らかに見えますが、十分に小さいスケールでは泡立つのです」という比喩で説明しています。
by dimitrisvetsikas1969
2019年9月、カリフォルニア大学デービス校のスティーブン・カーリップ教授は、時空の泡とダークエネルギーが密接に関わっていることを示す論文を発表しました。
カーリップ教授は、宇宙全体が膨張したり収縮したりする極小の宇宙によって形成されていると解釈。そして、時空の泡のふるまいによって、量子レベルで余分なダークエネルギーや膨張が打ち消され、結果として宇宙全体で見た時に観測されるエネルギーが少なくなると説明しています。
カーリップ教授によると、時空の泡がエネルギーや膨張を打ち消すためには「量子レベルでは、時間には本質的な方向が存在しない」と仮定する必要があるとのこと。もはや時間とは何なのかすらもわからなくなる仮定ですが、カーリップ教授は「量子の世界では、それほど珍しい話ではありません。ほとんどの物理学者はそもそもなぜ時間に方向が定まっているのかわからないと答えるでしょう」と語りました。
by MartinStr