左右対称ではない宇宙

 

宇宙には重力、つまり物質がある。

 

仮説 宇宙は渦を巻いている。天から見て時計回りに、天を仰げば反時計回りに

近くの重力の中心から見ると、反時計回りに。

これに反応するものと反応しないものがある。

自然界の反エントロピー増大の力によって、片方だけに反応するものがあるため

 

インフレーション理論 宇宙の質量は平ら宇宙を予言している

 

 

フレミングの右手の法則・左手の法則

電磁力の方向が右手で、起電力の方向が左手なのか、現代科学でも答えは出ていない。

 

 

キラリティー (chirality)

3次元図形物体現象が、その鏡像と重ね合わすことができない性質。掌性。

キラリティがあることをキラル (chiral) という。英語風の発音でカイラリティカイラルともいう[1]。これらの語はギリシャ語で「」を意味するχειρ (cheir) が語源である。手はキラルなものの一例で、右手とその鏡像である左手は互いに重ね合わせられない(右手の掌と左手の甲を向かい合わせたときに重なり合わないということである)。一方でキラリティがない、つまり鏡像と重ね合わせられることをアキラル (achiral) という。キラルな図形とその鏡像を互いに(たとえば右手に対する左手を)enantiomorphsと言い、ギリシャ語で「反対」を意味するεναντιος (enantios) が語源である。

対掌性(たいしょうせい)ともいう。対掌とは右と左の手のひらの対を意味している。対称性と紛らわしいが、キラリティとは鏡像対称性の欠如であり、むしろ逆の意味になる。

幾何学的な図形のほか、分子結晶スピン構造などについて使われる。

 

片方の鏡像体に薬効があり、もう片方に催奇性があったサリドマイド剤が問題になったのは一九六〇年代でしたが、その原因がキラリティにあるとわかってきたのは八〇年代に入ってからです。医薬品におけるキラリティの重要性が認識されるようになったのはこの頃からです。九二年にはアメリカ合衆国のFDAFood and Drug Administration)が「ラセミック・スウィッチ(ラセミ転換)」という方針を出しました。薬に有効なのは片方の鏡像体だけであろう、ならばそれだけを使うか、もしくは薬にならないもう片方が無害であると証明してから売りなさい、というものです。そのこともあって、九〇年には一方の鏡像体だけを使った薬は全体の一五%でしたが、現在では四〇%までになり、その売上額は世界全体で一五兆円に昇ります。

 

 

それぞれのキラルは、物理的な性質はほとんど同じですが、生物に及ぼす化学的作用が大きく異なります。例えば、ハミガキやチューインガムなどの香料として用いられるメントールは、一方のキラルは清涼感のある、いわゆるミントの香りがするのに対し、もう一方は薬品のような臭いがします。また調味料として食品に用いられるグルタミン酸は、一方は「旨うま味み」があるのに対し、もう一方は全く味がしません。

 人間も含めて自然界の生物は、体内で物質を生成する際、自分に必要な方のキラルだけを選んでつくることができます。したがって、植物のハッカに含まれているメントールは全てミントの香りがし、昆布に含まれているグルタミン酸には全て「旨味」があります。しかし人工的に物質を合成した場合には、通常、両方のキラルが半分ずつ混ざってできてしまうので、後から必要な方のキラルを選より分けねばならず、それにはたいへんな時

間や手間がかかります。

 そもそもキラルの存在が最初に発見されたのは今から 150 年くらい前のことですが、発見者のルイ・パスツール(仏、1822 1895)は「人工的にキラルをつくり分けることは不可能である」と主張しました。以来、多くの化学者がその不可能に挑戦し、ついに 1966 年に、京都大学工学部で助手を務めていた野依良治氏(1938 〜)が、触媒(それ自体は変化することなく、接触している物質の化学反応を促す物質)をうまく活用することにより、一方のキラルの合成をより多くすすめること、すなわち不斉合成(「不斉」は「不整」「不ぞろい」の意)に成功しました。しかし、この時点では一方のキラルが 10%くらい多くできるに過ぎなかったため、この研究結果はあまり評価されませんでした。その後 1968 年に、野依氏は名古屋大学理学部の助教授として招かれ(1972 年より教授)、そこでも引き続き触媒の研究に取り組んだ結果、1980 年に「BINAP」という物質を用いた触媒を開発し、1982 年にはそれを用いてほぼ完全にキラルを作り分けることに成功しました。そして翌 1983 年に

は、野依氏が開発した不斉合成技術を用いて、日本の香料会社の協力のもとに合成メントールの大規模製造が行われるようになりました。

 また、野依氏とあい前後して、アメリカでもウィリアム・ノーレス(1917 〜)とK・B・シャープレス(1941 〜)の両氏が、それぞれ不斉合成技術の開発に成功し、パーキンソン病治療薬や抗がん剤など、数多くの医薬品の工業生産に活かされました。

これらの功績が世界的にも認められ、2001年に彼ら 3 人にノーベル化学賞が授与されました。(平成153月)

 

分子のキラリティが自然発生する現象を解明

カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の研究チームが、分子のキラリティに関する興味深い報告を行っています。生命体を形作るタンパク質などの機能性分子にキラリティの偏りがあり、光学異性体がほとんど見つからないのは何故なのか? この謎を解くための手がかりになる研究として注目されます。研究を行ったのはUCLAの化学・物理学教授 Thomas G. Mason氏らのグループ。201251日発行のNature Communications論文が掲載されています。

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アキラルな三角形がキラルな超構造を形成する (Credit: Thomas G. Mason and Kun Zhao)

キラリティとは、物体の鏡像が、元の物体と空間的に重ね合わせられない性質を表す言葉です。ヒトの右手と、右手の鏡像である左手にもキラリティがあることから(右手の甲に左手の手のひらを重ねても形が一致しない)、キラリティの訳語として「掌性」「対掌性」などの用語が使われることもあります。ある分子構造の鏡像が、元の分子に対してキラルであるとき、その鏡像分子は元の分子の光学異性体と呼ばれます。

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物体とその鏡像を空間的に重ね合わせることができないキラルな分子の例 (出所: ウィキメディア・コモンズ)

タンパク質やアミノ酸などの生体高分子の光学異性体も可能性としては存在できるはずですが、不思議なことに自然界の生命体では、キラルな関係にある一方の分子だけが存在しており、その光学異性体が見つかることはほとんどありません。このように生命体の分子のキラリティに偏りがあり、光学異性体が存在しない理由は今もよく分かっておらず、研究者の間では長年の謎とされている問題です。

研究チームでは、この問題に取り組むために「そもそもキラリティはどのようにして発生するのか」を解明しようと考えました。そして研究の結果分かったのは、キラルでない物体から出発した場合でも、キラリティが自然発生することがあるということだといいます。

キラルでない物体、つまり自身の鏡像とぴったり重ね合わせられる物体は「アキラル」と呼ばれます。例えば、正三角形はアキラルな図形です。研究チームは今回、半導体チップの製造技術であるリソグラフィの手法を使って、アキラルな正三角形の微粒子を数百万個作製。この正三角形微粒子の濃厚な系について、光学顕微鏡による観察を行いました。

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光学顕微鏡で観察された正三角形微粒子の画像。左から右へ行くほど粒子の面積率が高くなり、キラリティが現れるようになる Thomas G. Mason et al., Nature Communications 01 May 2012 / doi:10.1038/ncomms1803

論文によると、研究チームは、ブラウン運動する正三角形微粒子の濃厚な系において、「キラリティの対称性の局所的な破れ」を観察したとします。すなわち、アキラルな正三角形微粒子群が自然発生的に自己組織化することによって、キラリティのある「超構造」が形成され、そのキラルな超構造には生命体におけるタンパク質のようなキラリティの偏りが見られたというのです。

均一なアキラル粒子からキラルな構造が自然発生的に現れる現象は、エントロピー効果によるものであるとMason氏は説明します。

エントロピーは通常、系を無秩序化する物理的な力であると考えられていますが、より詳しく見ていくと、エントロピーの働きによって系が部分的に秩序化される場合もあります。今回のケースでは、非常に濃厚に集まった正三角形微粒子が平坦な表面上に拡散しつつ相互作用するとき、それらの粒子群は、三角形を組み合わせたキラルな超構造から構成される液晶状態へと部分的に秩序化されます。これにより、個々の粒子の自由度が最大化されるとします。

論文によると微粒子の面積率φAがほぼ0.55に等しい系は空間的に無秩序な相となり、ただし、六方系の液晶とは異なる分子配向特性が現れるとします。さらに、面積率が0.61以上と高くなると、キラリティの対称性に局所的な破れがみられるようになります。これは回転エントロピーによって、最も近くにある三角形微粒子の位置が横方向にオフセットされることを意味しているといいます。局所的なキラル対称性の破れが空間的な無秩序性に寄与することによって、エントロピー的に結晶化され得る形状の範囲は制約されると考えられます。

「今回の研究の成果は、エントロピーと粒子の形状という2つの要素を揃えてあげるだけで、濃厚な系の中からキラリティが自然発生的に現れることが分かったことだ」とMason氏。「25年間研究を続けてきたが、アキラルな物体からできている系の中から、エントロピーの働きによってキラリティが現れるのを観察することになるとは思ってもみなかった」と話します。今後の課題は、粒子の形状を変えたときに何が起こるかを調べること。そして最終的には、自然発生的に起こるキラルな構造形成を制御できるかどうかを確認することであるとします。