植物の一生を通して見た時に、植物は光合成によって水を水素と酸素に分解していることは植物が酸素を供給しているといえるのか?

 

光合成  photosynthesis

炭酸固定の代表的な例で,より一般的には,光のエネルギーを利用して CO2を還元する過程をいう。

植物が光のエネルギーを利用して二酸化炭素 CO2と水 H2O から有機化合物を合成する過程。

その反応式は

 

CO22H2A(CH2O)2AH2O       ファン・ニール van Nielを光合成の一般式として提唱している(1929)

6CO26H2O672kcaC6H12O66O   波長678nmの光(赤色光)を用いた場合,1モル光量子のエネルギーは41kcalである

光合成の式は簡単には

6CO2+6H2OC6H12O6+6O2

ですが、第1段階の明反応で12分子の水が分解され、第2段階のカルビン回路で6分子の水が生成することを加味すると

6CO2+12H2OC6H12O6+6O2+6H2O

のように書かれます。

 

木の燃焼の化学反応式

(C6H10O5)n+(6O2)n(6CO2+5H2O)n

C6H10O5+6O26CO2+5H2O

木や紙は主に植物細胞の細胞壁を作っているセルロースという物質でできています。

セルロースはデンプンと同じ多糖類で、これが酸化することが燃えるという現象である。

しかし、実際は不完全燃焼を起こし、セルロースの脱水反応がおこり、炭素が生成される。

これにもともと含まれていたミネラルなどの不純物が混ざり煤や煙、灰になる。

 

エタノール燃焼の化学反応式

 C2H6O3O23H2O2CO2

 

木の微生物分解の化学反応式

セルロースは微生物を始めシロアリやヒメマルカツオブシムシ(幼虫)やフナクイムシや微生物に食される。

セルロース分解菌は土壌やシロアリの体内などに普遍的に存在する。セルロースを糖などに分解する。

セルロース→セロビオース→グルコース

Description: セルロース,構造式

 

 

酢酸が反応したとすると

(C6H7O2(OH)3)n 3n CH3COOH (C6H7O2(OCOCH3)3)n 3n H2O

 

炭水化物異化Carbohydrate catabolism

ピルビン酸酸化     ピルビン酸は1つの炭素原子を失い、補酵素Aとしてクエン酸回路に入る。

クエン酸回路       ピルビン酸由来のアセチル基が、CO2H2Oを脱離してATPNADHFADH2を生成

酸化的リン酸化     NADHFADH2はミトコンドリア中で電子伝達系によってATPに変換。

 

ポリ乳酸が微生物によって分解される化学反応式

HOCH(CH3)CO-(-O-CH(CH3)-CO-)n-O-CH(CH3)-COOH

+((4n+10)/2+2(2n+6)-2n-5)O2(2n+6)CO2+(4n+10)H2O

 

 

呼吸による化学反応式

 

C6H12O6+6O26CO2+6H2O

のようになりますが、クエン酸回路で水が6分子付加し最後の電子伝達系で12分子の水が生成するので

C6H12O6+6O2+6H2O6CO2+12H2O

がより正確な式になります。

 

C6H12O6 6O2 6H2O 6CO2 12H2O   炭水化物の場合

2C55H110O6 77O2 55CO2 110H2O   脂肪トリアシルリセロールの場合、

2C57H110O6 163O2 114CO2 110H2O  脂肪トリステアリンの場合、

2C6H13O2N 15O2 12CO2 10HO2O 2NHO3 タンパク質 ロイシンの場合、

 

http://examist.jp/chemistry/natural-polymer/cellulose/

 

Description: cellulose@2x

 

 

炭酸固定の代表的な例で,より一般的には,光のエネルギーを利用して CO2を還元する過程をいう。ファン・ニール van Niel

CO22H2A嚏嚥(CH2O)2AH2O

を光合成の一般式として提唱している(1929)

光合成細菌(緑色硫黄細菌,紅色硫黄細菌などの硫黄細菌,紅色無硫黄細菌)は,水素供与体として水ではなく H2SH2S2O3H2,有機化合物などを用いる。反応は

CO22H2S嚏嚥(CH2O)2SH2O

CO22H2嚏嚥(CH2O)H2O

この場合は O2の発生はない。細菌型光合成を基礎として進化の結果,地球上に豊富に存在する水を水素供与体とする緑色植物型の光合成が約10億年前に出現し,地球上に O2の出現をもたらした。

1個の光量子によって,固定される CO2または発生する O2の分子数を光合成の量子収量quantum yield of photosynthesis といい,この逆数を光合成の要求量子数 quantum requirementof photosynthesis という。要求量子数として,かつて O. H. ワールブルクは4という値(4光量子説)を主張したが,現在では810という値が一般に受け入れられている。波長678nmの光(赤色光)を用いた場合,1モル光量子のエネルギーは41kcalであるから,

6CO26H2O672kcal嚏嚥C6H12O66O

より CO21モルの還元に112kcalの自由エネルギーが必要となり,要求量子数8ではエネルギー効率は34%である。自然状態では,植物によって吸収された太陽光(赤外域を除く)のうち,光合成によって化学エネルギーとして蓄えられるのは1%程度で,1年間に地球上で光合成により固定される炭素量は約2×1011tと推定され,陸上植物による固定量と水中の藻類による固定量の比は約19といわれる。

 緑色植物の光合成は(1)初期光化学反応,(2)O2発生反応,(3)電子伝達反応,(4)光リン酸化反応,(5)CO2固定反応から成り立っている(1)(1)(4)が古典的には明反応 light reaction と呼ばれていた系で,葉緑体のチラコイド膜に局在し,(5)はストロマに局在する。自然界には多くの光合成色素(同化色素)が存在するが,その組成は光合成生物の系統,類縁によって定まっている(1,表2)

 光合成は同化色素が光エネルギーを吸収することによって始まる。光量子によって励起された色素分子は,そのエネルギーを最終的に反応中心と呼ばれる特別なクロロフィル(葉緑素)a(またはバクテリオクロロフィル a)分子に伝達し,そこで光化学反応が行われる。これらの同化色素分子は,集合して機能的な単位体を作っていると考えられている。クロロフィル約300分子に対し,反応中心のクロロフィル分子が1個あると推定されており,このような1組を光合成単位 photosynthetic unit という。光合成単位としては,主としてクロロフィルa に吸収される光によって反応が行われる光化学系 I(PSI)に属するものと,主として補助色素に吸収される光によって反応が行われる光化学系II(PSII)に属するものとの2種がある。PSI およびPSII の反応中心のクロロフィル a は,光により酸化されるとき,吸光度減少の起こる波長の値を付して,それぞれ P700P680と呼ばれる。クロロフィルはタンパク質と結合し,クロロフィル‐タンパク質複合体として存在し,これが一定の様式で集合し,それぞれ PSIPSII の光合成単位を構成している。緑色植物では P700または P680を結合したクロロフィル‐タンパク質複合体,反応中心をもたずクロロフィル a b 11に含む集光性クロロフィル a/b‐タンパク質複合体がよく知られている。

 PSII の反応中心が励起されると,最初の電子受容体 Q を還元し,他方,水を酸化して電子を受けとるとともに O2を発生する(2)Q の電子は電子伝達系を経て P700へ渡される。P700も光を受けると酸化され,電子は A1を経て最終的にNADP に渡される。この反応経路の模式図は Zのような形をしているので Z スキームと呼ばれる。1957年エマーソン R. Emerson(190359)は,クロロフィル a の赤色域の吸収極大より長波長側の光(700nm)しか与えないと,緑色植物や藻類の光合成の量子収量が低下する(赤色低下 reddrop)が,ここへより短波長の光(緑色植物なら650nm,紅藻なら575nm)を同時に与えると,光合成速度は両者を単独で与えたときの和より大きくなることを見いだした(エマーソン効果)。光合成細菌ではこの現象はみられない。エマーソンの発見がきっかけとなって,光合成の初期過程には二つの光化学系があるという,現在の Z スキームに至る研究が発展した。光合成単位は Z スキームの他の成分とともに,一定の配列でチラコイド膜に組み込まれていると考えられている(3)。ただし,PSII の分布には偏りがあり,チラコイド膜どうしが重なっている部分にあるといわれている。

 発生する O2は水に由来するので,反応機構を考慮に入れた場合には光合成の全反応は

6CO212H2O嚏嚥C6H12O66O26H2O

また NADP 還元までの部分反応は

12NADP++12H2O嚏嚥12NADPH12H++6O2

と書く。O2発生機構としては,2分子の水の酸化が4段階を経て行われ,これにマンガン Mn が関与していることが知られている。Z スキームの電子伝達と共役して ADP(アデノシン二リン酸)とオルトリン酸から ATP(アデノシン三リン酸)が合成される(光リン酸化という)Z スキームに沿った一方向的な電子伝達と共役するものを非循環的光リン酸化,循環的電子伝達経路(クロロフィルから出た電子が電子伝達系の途中から再びクロロフィルへ返ってくる)と共役するものを循環的光リン酸化という。前者では反応産物の比 O2ATPNADPH 122である。循環・非循環両形式の比率の調節機構があるものと考えられている。光リン酸化には,チラコイド膜の外表面(ストロマ側)に結合したCF1と,チラコイド膜内に結合した CF0と呼ばれるタンパク質が関与する。電子伝達の結果生成した ATP NADPH は炭酸固定系の反応に用いられる。RuBPC(リブロース‐15‐二リン酸カルボキシラーゼ)NADP‐グリセロアルデヒド‐3‐リン酸デヒドロゲナーゼ,リブロース‐5‐リン酸キナーゼなど,炭酸固定系の主要な酵素の活性は光によって制御される。制御機構は2種に大別される。すなわち,光があたり光化学系が働いた結果起こる,(1)チラコイドへの H+の取込み,チラコイドからのマグネシウムイオン Mg2+の放出,葉緑体へのカルシウムイオン Ca2+の取込みによるストロマのイオン環境の変化,(2)チラコイドの電子伝達系の還元により酵素活性調節に関与する物質の還元,によって制御される。

[光合成速度]  光合成による CO2固定速度を光合成速度と呼ぶが,一般にその測定は単位時間当りの CO2の吸収量または O2の発生量によってなされる。このような測定値は植物が呼吸によって生じた CO2,消費した O2を差し引いたものであるから,〈純(あるいは見かけ上の)光合成速度〉と呼んで〈真の(あるいは総)光合成速度〉から区別する。

 光合成速度を左右する最も大きな環境要因は光で,光の強さと光合成速度の間には双曲線的な関係がみられる。まず,光の量が増加して,真の光合成速度が呼吸速度に等しくなると,純光合成速度が0になる。このときの光の強さを〈光補償点〉と呼ぶ。光の増加とともに光合成速度は速くなるが,ある程度以上光が強くなると,光合成速度は飽和状態に達し,もはやその速度は光の量とは無関係になる。このときの光の強さを〈光飽和点〉,光合成速度を〈飽和光合成速度〉と呼ぶ。

 〈光補償点〉〈光飽和点〉〈飽和光合成速度〉は,植物の種によってきまっているが,一般に陽樹のほうが陰樹よりすべての値が高いのがふつうである。

 光合成速度を左右するもう一つの大きな要因は大気中の CO2濃度で,とくに光飽和に達して以後の光合成速度増加にとって重要である。CO2濃度も光と同じように光合成速度との間に双曲線的な関係をもち,〈CO2補償点〉つまり純光合成速度が0になる CO2濃度が存在する。

C4回路]  光合成の炭酸固定系にはカルビン回路と C4ジカルボン酸回路(C4回路)2種類がある。前者をもつ植物(C3植物) RuBPC によってCO2固定を行う。C4回路をもつ植物(C4植物)では,まず葉肉細胞で HCO3−を基質としてホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ(PEPC) CO2を固定し,オキサロ酢酸を生成し,これからリンゴ酸またはアスパラギン酸を生じ,これが維管束比(いかんそくしよう)細胞へ送られたのち,そこでこれらの化合物から CO2を放出し,これをカルビン回路で再固定する。この反応経路のうち,カルビン回路より前の過程を狭義の C4回路という。C4回路(広義)はカルビン回路に対して,効率のよい CO2供給系(狭義の C4回路)が付け加えられたものである。C4植物は維管束比細胞に多数の葉緑体をもつ。C4植物は,葉肉細胞で作られた CO2固定産物から維管束比細胞で CO2を放出させる反応の種類によって三つのタイプ,すなわち(1)NADP‐マリックエンザイム型,(2)NAD‐マリックエンザイム型,(3)ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ型に分類される(4)C4植物としては,イネ科,カヤツリグサ科などに属するもののほか,双子葉植物を含む201100種が知られており,熱帯原産のものが多い。CO2補償点がきわめて低く(5ppm以下),強光,高温,低 CO2濃度中での光合成速度は C3植物より高い。ベンケイソウ科の植物では,夜間に気孔が開いて CO2を吸収し,これがリンゴ酸として蓄えられ,昼間は気孔が閉じてリンゴ酸が減少し,デンプンを形成するという日変化を示すことが古くから知られており,この代謝形式は,ベンケイソウ型有機酸代謝 crassulaceanacid metabolism(CAM)と呼ばれていた。C4植物の研究の進展の結果,C4植物では葉肉細胞と維管束比細胞との協調で2種の CO2固定反応が空間的に分けて行われているのに対し,CAM 植物ではこの2種の反応が夜と昼というように時間的に分けて行われる,すなわち夜間 PEPC によるCO2固定が行われ,昼間はこの CO2がカルビン回路で再固定されることが明らかにされた。CAM 植物は乾燥に対する適応として特異的な代謝系をもつに至ったものと考えられる。現在,ベンケイソウ科のほかサボテン科,アナナス科などの112300種余り(多肉のものが多い) CAM 植物として知られている。

 光のもとでカルビン回路に由来するグリコール酸が,グリコール酸経路により酸化分解される過程を光呼吸 photorespiration という。RuBPC はオキシゲナーゼ活性もそなえており(リブロース‐15‐二リン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ RuBisCO と呼ばれる),ホスホグリコール酸を生じる(5)。これが呼吸基質となりマイクロボディ(パーオキシソーム)とミトコンドリアの関与によって,図6の経路を経て酸化される。光呼吸は,過剰の還元力を消費することに役だっているのではないかとも考えられているが,生理学的意味はまだ完全には明らかではない。C3植物では,強光,高温,高 O2濃度,低 CO2濃度という条件で,光呼吸は増大し見かけの光合成は低下するが,C4植物では CO2の回収が速いためこのような低下はみられない。⇒葉緑素        嶋英夫