ダルエスサラームの白昼夜

 

逃げたい

ともかく逃げたい

どこにも停まらない振り子から

 

南は私に色をくれた、感性の窓を開けてくれた、心の先にある魂にふれさせてくれた

北は私がカッコよくいられる所、金、世間、物

南が善、北は偽善

 

南によってなにかを知りつつある私

南によって「生」の秘密を垣間見た私

ああ、でも北は私の生まれた所

北の教育と思考で鋳型された私

南が真、北は偽真

 

人に幻を、世間に嘘をつくのが好きだけど

どこか遠くにいる『わたし』には嘘をつくのが嫌、何故か嫌

だけど俺は遠くの見ることもできぬ『わたし』にいたりつく程には力がない、何故かない

 

北の幻想が私の体臭のように向いている仕事は、なんと俺を欺いて『わたし』から遠ざけることだ、

とどこからかの声が囁く

 

シティボーイの閉じた思考は本人を二極にひっぱる

一枚一枚緑の札を数える

武器の学歴が目の前にぶらさがる

よきポストが席をあけてまつ

なぜか今、これらを受け入れるのは

俺が北に屈し南を見捨てることに繋がる

 

少年の中の乙女がつっぱる

やさしさをかかげ、可憐を鎧に、純を刀に、自我を土の下に埋め込んで

 

とうとう驢馬が道の二股で倒れた

私は「ない、ない」でも向かって「いく、いく」

それは蕾のようにまずかったけれど、ぐんじょう色の夜空に小さく白く浮かんでた

月に向かって臓液を吐き出して叫んだ

狂って吠えた