シベリアのカラス              原子力発電EBR-1暦 1951年から数えて62

 

氷雪の上を歩いている。

今日で二日目になる。

真っ直ぐ行けば、明日にはトナカイを飼う人たちが住む部落があるという。

当たり前だけど、車の道はない。

昨日も今日もまだ誰にも、いや何にもあっていない。

ただ白いだけ。

生きているもんがない。

己の息だけ、熱があるのは。

なにもない。

足が重く感じる。

髭が固まり、ツララができて、足下に向くこともできゃしない。

雪氷をかき分ける音と息の音が雪にしみる。

 

突如、宙を熱いものが横切った。

光っている。

真紅より輝く黒色だ。

強い。

光。

力だ。

 

氷だけの世界に俺とお前だけが生きている。 熱い。

 

一時だけ二つの光は重なり、また分かれる。

その一時が命のすごさを垣間見せてくれた。

 

生きている力。

水とパンと草だけで死に絶えるまで永久に動き続ける力。

原子力発電よりも精巧で柔らかく緩くて頼もしい力。

コンパクトで死ねば素直に大地に還っていくのがまたいい。

誰もがみんなが一つからだの中に持っている。

死ぬまで消えない炎を。

命なくなるまで終わらないビックバンの連続を。

湧いてくる、次々と湧いてきている 

気がつかないだけ この奇跡がここにあることを、この瞬間にもおこっているということを、 

その真っ只中にいるってことを

 

 

 

零下でも生きていく方法

それは保温と湿度。

命がある場所ではいつも熱と水蒸気が発せられる。

ポイントはその熱は保って、水蒸気は外に逃がすということ。

中に閉じ込めてしまうと凍って凍傷になってしまう。

参考になるのは獣や鳥たち。

皮を通して毛の先に水分を逃がす、そこでもし凍ったらそれは氷の外套。オーバーコート

もう一つの大事なことは空気の層を一杯作って、熱を保つということ。

鳥が羽を幾重にもたたんでいるように。 零下でも自分が発する熱だけでストーブなしで生きている。

 

 

エヴェンスクという街にマガダンから飛んできた。

人口数百人の村だ。うろうろしていたら、若いカップルのサーシャとビタに会った。

彼らの団地の4階の部屋に招かれた。

入り口が廃墟のような建物だ。核ミサイルが落ちてから10年ぐらいたった後のような。

ロシアはセントラルヒーティングの街が基本だ。 火を一箇所で燃やし、その熱湯がでかい管を通して皆の家に繋がっており、各自の部屋をあたためる。 政府が石炭を焚くのをやめたら、街の温度はツンドラと同じ零下40度になる。

翌日、彼と友人たちと散弾銃を持って、湖に行った。 氷かき器のようなもので直径15センチほどの穴をあけていく。

そう、魚釣りだ。 すぐにつれた。 釣ったらそのまま氷の上に放り投げておく。

5分ぐらいしたら凍ってしまうので、便利だ。 氷の下で生きていたものが、氷一枚上では死んでいる。

 

ソビエトがロシアやその他の国になった1991年から、合併という名目の中央の身勝手な都合で、辺境の地には中央から金や物資が届かなくなり、各地の町から警察、役場、電力、火力がなくなった。役人は中央に、金持ちは大きな町へ移動したが、金のない人は一世紀前の電気のない世界に逆戻りするしかなった。役場の床の板で暖を取り、クジラ猟を始める村まででてきた。

まだこの村は合併していなかったが、みんな不安になっていろいろ話をしていた。一番大切なのはエネルギー問題、暖房と電気。 これまでは中央の補助金で買う石炭を燃やしてまかなっていた。 エネルギーは使う人がリスクとコストと便利さのバランスで決める。 たとえば原子力を使うんだったら半径50キロの土地は買い占めてリスクに備えたり、これに関して儲かった人は不祥事の場合は、それまでの利益をその処置にあてるとか、普通のことをちゃんとする。これはどんな法よりも優先する共同体の道理。法よりも規則。規則よりも道徳。これが今まで人間社会にあったから、これだけ多くのヒトが同じ空間に暮らせてこれた。 書かれている文章だといって法律を優先させるインチキな悪道を通そうとするものは、頭上部をたたいてあげましょう。 気が頭に上がってしまっているようなので、胸や丹田のほうへ戻してあげるのが愛というもの。 

サーシャは政府がいなくなっても生きていける方法を模索していた。

彼からもらったクマの牙は大事にいまでも持っている。

 

それから数日して陸軍に捕まった。 この街に外人が来てはいけないのだという。

だってアエロフロートで切符売ってくれたじゃん、ダメだなんて一言も聞いてないし。

頼むよ、なんとかしてよ。

来る前にも国境警備隊、地方自治管区機関、科学アカデミー、ロシア大使館関係者、日露交流機関、元KGB関係者とちゃんと顔を出しているのに。

 

なんともしてくれなかった、一週間後にマガダンに強制連行されて、軍事裁判にかけられた。

マガダンからも早く出ていけだってさ。

そういえばコリャーク自治区でもNOBU何某が、侵入していると地元新聞に記事が載ったそうだ、みたことある人はコピーください。 

 

ヒトの体は原子力発電所

ミトコンドリアは放射能を放ち続けるすごいヤツ。

40がCa40に変わるときに、エネルギーをドッと出す。

酸素がなくても、糖分がなくても大丈夫。

コストいらずで、死ぬまでずっと動き続ける、安全なスグレモノ。

 

カリウム40の中性子崩壊で発熱

ふつうのカリウムは原子量が39だが40もある。陽子の数は同じだけど、中性子の数が1個多い同位体で、自然界に存在するカリウム原子全体の0.012%だけ含まれている。

1個多い中性子が崩壊して電子を出しながら陽子になる。そのとき放射能が出て、元素周期律表で右隣に並んでいるカルシウムになる。その原子変換のときに核エネルギーが放出される。

 

ルイ・ケルヴラン(Corentin Louis Kervran, 1901 - 1983

生体内で原子変換を行っているというのは、古くから知られていた。有名なのは、ケルブランの実験で、彼は生体内での元素転換を証明している。ケルブランと小牧久時が、生体組織における原子転換が行われていることを実験で証明した。

彼らが転換を証明した元素は、

◆ナトリウム(→マグネシウムに転換)

◆カリウム〈→カルシウムに転換〉

◆マンガン(→鉄へ変換)・・・・・・である。

事実、200年近くも前に、原子変換が起こることが観察されていた。しかし、中世の異物としてカテゴライズされた錬金術と同列に見られ、ほとんど信用されなかった 

この報告書は1978年、米軍物理技術研究所のより「生体内における原子転換のエネルギー生成」というタイトルで発表されている。(「生体における原子転換」に関するアメリカ軍部報告所より引用)

 

 

同位体の化学的性質 

カリウム40は、放射線を放出するものの、体内において通常のカリウムと全く同じ挙動をしている。

通常のカリウムはカリウム39である。39と40の違いは、質量数の違いで、カリウム40の原子核には、中性子が一つ多く含まれている。

 

 原子の『化学的』性格は、乱暴に言えば、原子に含まれている電子の状態で決まる。電子の数は、原子核の陽子の数で決まるので、陽子の数を原子番号と呼んで、これで元素種が決まる。

中性子が増えることによって大きく変わることがある。それは、原子核の安定性が悪くなる場合である。

そのため崩壊して、別の元素に変化することがあり、そのときには放射線(電子、陽電子、中性子、電磁波)を出して、原子核の調整が行われる。

 

 

放射性崩壊

放射性崩壊では全体の89 %ベータ崩壊β-崩壊)により40Caとなる。その崩壊エネルギー1.31107±0.00011 MeVである。

Description: {}^{40}_{19}\mathrm{K}\to{}^{40}_{20}\mathrm{Ca}+\mathrm{e}^{-}+\bar{\nu_\mathrm{e}}

11%は電子捕獲により40Arになる。その崩壊エネルギーは1.50469±0.00019 MeVである。

Description: {}^{40}_{19}\mathrm{K}+\mathrm{e}^{-}\to{}^{40}_{18}\mathrm{Ar}^{*}+\nu_\mathrm{e}\to{}^{40}_{18}\mathrm{Ar}+\gamma+\nu_\mathrm{e}

さらに、極一部(0.001%)β+崩壊により陽電子を放出して、40Arになる。

Description: {}^{40}_{19}\mathrm{K}\to{}^{40}_{18}\mathrm{Ar}+\mathrm{e}^{+}+\nu_\mathrm{e}

 

 

 

人体での内部被曝線量

カリウム40は、岩石に大量に含まれるほか、動植物にとって必要不可欠な元素である。食品中にもカリウムが多く含まれ、白米1kg中の放射能は33Bq、乾燥昆布は1600Bq/kg、納豆は200Bq/kg、豚ひれ肉は120Bq/kg、牛乳は45Bq/kgほどになる。外洋の海水中には1リットルあたり12.1Bqが含まれる。カリウムは水に溶けやすくナトリウムと似た性質を持ち、経口摂取するとすみやかに全身に広がる。生物学的半減期は30日とされる。人体が持つ放射能は、体重60kgの成人男子で約4000ベクレルであり、これによる年間の内部被曝線量は、0.17ミリシーベルト(mSv)となる。飲食で人体中に取り込まれるカリウム40の放射能は1日あたり約50ベクレルであるが、通常の生活においては体内の蓄積量が平衡量まで達しているので、人体中の余分のカリウムが排出されるのに伴って同等の量が排出される。