厠   菌の話

 

今朝、ウンコをしたら、地面に突き刺さった。

とぐろを巻かず。

天を向いて、つ立っている。

色も形もよし!

ちょっと押しても倒れやしない。

いいたいことでもあるように。

硬いのは昨日の行動が移動の連続で、出す暇がなかったので、直腸の中で水分が少し減ったからかな。

バナナ一本分の大きさの立派な奴。

生きているものをいただいて、体の中の生と交代し、そして集まった一本。 元素の循環。

口で噛み砕かれ、胃で液状になり、腸で分解され、血管を通して体中に拡がり、体中の役に立たなくなったものが血流で集められ、そして固められて、できあがった可愛い奴。

このときに一番活躍したのは、体の中の小さな生き物たち。

彼らの連係プレーで食べたものをバラバラにして、熱を出して体を温め、成分を血液に預けた。

 

そう、実は、この微かな生物たちがこの地球の王様でマジョリティーだ。

どの生物もこの王様の単なる居場所を提供しているだけで、ただ生かされているに過ぎない。

彼らが消えたら生きていける命は一つもない。

 

 

 

ところが近頃、ヒトという生物が反旗を翻し、この世に無菌なる場所を作り出し、それを植民地のごとく広げようとプロジェクトを進めている。

もともとこの試みは部屋の中で言葉と金と他人を操ることが大好きな奴がはじめたものだった。

ところが、その部屋の中で生まれたものは、もうそこから出られない体にされてしまった。

正確には出られないと思い込まされる催眠術をかけられてしまった。

虫は嫌でしょう、食中毒になるよ、水虫やいんきんタムシになって体をダメにするよ、除菌しないと全ての病気の原因だよ、って。

 

カワイイ試みだ、蛮勇は時に必要だ、失敗の実験も必要だ。

ただ自分自身を殺さない程度に。

 

安全と安心が欲しいのならば、保険に入る前に、

この地球の菌に同化することだ、たたかうことだ、

時に腹をこわすだろう、危ないやつも確かにいるので、それは後述する

でも菌の特徴を知って、付き合っていけば大丈夫だ、近代科学を知らない先祖たちもやってきたんだから。

 

 

臆病になって、100パーセント安全を求めて、そこから逃げては道がなくなる

本当に生きていく道がなくなっちゃう。

なんでも100パーセント近づけば近づくほど、コストと手間と時間が爆発的に増加する。

どうぞ、いいかげんに、やっていきましょうや。

 

 

地球から遠ざかって生きていく場所はない

ごく一部の金持ちだけが住める宇宙船の中以外は。

 

死もあるが、それは少しの死だ、

死を避けたら、逆に皆が死んでしまうということだ。

感違いしないで欲しい、死の犠牲が必要だとか、功利的にどちらの方が幸福と利益があるなんていってるんじゃない。

生がそこにある。そこにしかない。

いけ、同化の道を。他の文明と戦争している暇なんかないぞ。

 

菌と同化するって言ってもヒトに悪さする菌はブロックしなきゃならない

どうすればいいのか。

元気な状態時に少しだけ感染して免疫をつける

100年前のパストゥールの実験を知ってますか?彼は羊が炭素菌で病気になって死んでしまったのに、鶏には病気にもなりませんでした。ところが次に水に塗らした鶏に炭素菌の注射をしたら死んでしまいました。今度は濡れた鶏を乾かし暖めて注射を打ってみても病気にはなりませんでした。これで彼は環境が生命の健康にいかに大きな影響があることが分かりました。

 

それでもボツリヌス菌や破傷風菌などあまりに危ないものたちがいる。

少しのつもりがそれでこの世にいなくなってしまうかもしれない。

これらの菌はどこの土壌にも存在している、でも手足に傷を負ってそのまま畑仕事をしていても破傷風になることはなく、大地に落ちたものを食べてボツリヌス菌で死んだものを、こんだけ長く多くの人と会ってきたけど誰も知らない。 どうぞ、知っている方、教えてください。 この菌は酸素嫌いの嫌気性だから土の上にはあんまりいないから?

 

わかっていることはカラシレンコン事件のように誰かが病にかかったり死んだら、それはしない、という対処法。 だって普段、土のついた野菜を熱湯消毒なんかしてないで、サラダにして食べたりしているもんね。土が危ないなんて言い始めたら、今まではどうだったのよ、ってことかな。

このあたりをしっかりしっとかないと、セレウス菌もウエルシュ菌も土にいるから、砂場で遊んじゃダメ、ってなっちゃうからね。

 

菌から守る 

体内に入る前

菌は水分のないところでは生育できない

菌数が増えないと被害が少ないので、放置されたものは熱殺菌する 

62度3秒 70度で3分 厚生省

 

体内に入った後

免疫力による抑制

白血球による捕食

先住定着菌による排除

 

細胞中のウイルスの増殖を抑制することは難しく、特効薬は原則として存在しません。

守る方法は免疫を持つことです。約一週間かかります。緊急の場合は血清の注射を。

細菌系は抗生物質など薬があるので病院にいきましょう。

山中や離島で暮らしている人は所持するのはいいかも。

 

では管理できない細菌の話を一つ。

実は人間には数えきれないほどの菌が住んでいる。

人体でくらす微生物は皮膚や口内で暮らしているのは1700種以上、全部で3000種ぐらい、体の総数は1000兆以上、総量では成人で約2キロから3キロ、大腸だけでも1キロほどです。便の1/3は細菌の死骸です。

 

微生物は消化を助けるもの、外部のウイルスとたたかうもの、免疫作用のスイッチになるものといろいろあります。

S.エピデルミディスなどの表皮常在菌は皮膚1cm平方だけで3000万から1億も住んでいます。

実は彼らが外の菌から皮膚を守っているのですが、ヒトが清潔感を求めるためにあらゆる洗剤で何度も菌を流れ落とすと、そこに水虫菌やワキガ菌(コリネバクテリウム属の菌)が住みついてしまう可能性が増えます。

細菌の大きさは1ミクロンほど、赤道直径が12756キロなので、人間も地球から見ればちょうど菌ほどの大きさです。

近頃では抗菌グッズでがんばって除菌がはやっていますが、全部取り除くことは不可能だし、もしとれば間違いなく、ヒトも死にます。

ですから排除することではなく、共存や、共生や、同化や、馴化や、寄生や、消化や、反発や喧嘩が大切なんです。

 

塀の中には食品工場や実験室や半導体工場などは細菌を極めて減らす方向で維持していくところがありますが、塀の外では細菌と共生することで生命を維持していくところです。

ですから、塀の中だけにいて、塀の特殊なルールを妄信して、それをあちこちに適応していると、いつしか自分自身のことを抹殺しなければならなくなってしまうかもしれませんよ。

 

菌の話しついでに、善悪、そして、全体と個について私たちの体の中の宇宙について見てみましょう。

小腸と大腸だけで1000種類以上の細菌がいることがわかっています。そしてマウス実験などの結果、腸内細菌がいなければ「免疫機能」も働かないことがわかってきました。

普段「悪玉菌」として嫌われている大腸菌や、クロストリジウム菌も、腸内に加えていくと新しい免疫遺伝子が現れてきます。

これは、普段は悪玉菌と言われている菌も、実は「免疫機能が働くスイッチ」になっていたんですね。

一時、ロシアのメチニコフが自家中毒説をとなえ、それから悪玉菌と善玉菌という考えが広がり、善玉菌を増やすためにビフィジス菌やそのためのオリゴ糖をとることがはやっていましたが、今では善玉菌だからといって、一種類の菌を過多に摂取するとバランスがくずれるので、今では1000種以上の菌の役割や関係性を理解しバランスを考えることの必要性がわかってきました。しかしまだまだ、新たな菌が発見されるでしょう。ある測定法にはその方法の環境下でしか発見できず、まだまだ新たな観測法が試されていないからです。(真空状態の測定法以前では、嫌気菌は観測中に死滅してしまうので、腸内菌は100種類ぐらいだといわれていた)

管理したがる人はいろいろと新しい発見で、新たな健康法など生み出しますが、実際は1000種類の微生物の役割、関係性、因果関係はわからず、我々がコントロールできない、まさに神秘の中にあり、把握したり、管理したりすることができないのが今のところの現実です。トライは素晴らしいんだけどね。 この全体を把握しようとする視点は、人工衛星から見た地球の視点、月の地平線から昇ってくる地球を見つめる視点、顕微鏡の中の細菌を見る視点と同じく、決して、神の視点ではなく、管理する人の視点であることを再度、言っておきたいと思います。