コロン山 大地を歩く
山のケモノみちを行く
獣っていったって、羊や山羊や馬やロバなどの家畜だけど。
一歩、一歩
右足、左足、右足、左足、
踵が大地に着いて、体の重心が踝の下から前に向かって流れ、最後に足指が大地を蹴る。
一足ごとに足の裏を通して、大地の力をもらう。
歩くごとに大地の気が体に入ってくる。
エネルギーが血と共に全身に廻わる
今日も元気だ。
カリブ海を見おろす霊山
コロンビアのコロン山、カリブ海からわずか40キロで山頂の標高は5700mにいたる。麓のサンタマルタはコーヒー園で有名なところだ。山中には清流が流れ、ここでの水浴びは私の中では世界一だ。
この山の中腹にコギ族が暮らしている。 彼らの村にお世話になったことがある。いろんなことを教えてもらったが農作業で一番びっくりしたのは、里芋の収穫だ。地面の上の緑の茎を屶Macheteで切り離し、芋を掘り出すと、そこにそのまま茎をまた突き刺すのだ。 このまま置いておけばまた数ヵ月後に収穫できるのだという。早速、ほかの場所で確かめてみたけど本当だった。日本でする場合は温暖な地域であるのが条件で秋の収穫以降では温度が低くなってしまうので、夏以前か冬も暖かい温暖な地域が良い。
山中にはコギ以外にもアルワコ族(Arhuaco)などの先住民を始め、ラテン系の白人の血も流れるメスティーソたちが暮らしている。麓にはいまだ馬に乗って暮らす村人たちも大勢いる。
彼らと山を歩くとそのスピードと美しさに毎回驚かされる。
滑るように坂を登り、大地に足が突き刺すかのように坂を下る。
上りの時は体の中で重たい頭を重心線の前方におき、その重みを利用して前に進む。
下る時は腰を引かず、逆に腰から上の重心をくるぶしの上に置くようにして、次々と足を出す。
靴を履いている者は、上りでは靴紐を緩め、下りでは靴紐を締める。
山腹から麓まで15時間ほどある村からでも、彼らは太陽がのぼる前に出発して、少しの休憩だけで夜には目的に到着する。それよりもっと上にある村からは2日がかりで歩き続ける。下りのスピードも目を瞠るが上りのスピードは尋常じゃない。 そうそう、背中に背負っている荷物がすごいんだ。下りは山腹で採れた収穫物や手芸品を山のようにして運び下ろすし、上りは建材のセメントやトタンや合板や鉄を担ぎ、それらに生活用品の油や塩や砂糖やプラスティック加工物を括りつけて登る。
なんでこんなに一度に歩けるのか聞いたことがある。
するといつもタロイモを運んでいる爺がぶっきらぼうに「歩くたびに地面から力をもらってるから」
と言った。
この頃の私はまだ歩き方が極端に下手くそだった。おかげでこの山で左の膝をダメにして今だに痛みを抱えている。40キロの荷物を背負っているのに、川を渡る時に、石の間を飛び跳ねて渡った為である。
またスムーズに歩けないために必要以上に汗をかき、水分とミネラル不足による熱中症にかかり、命を危うくしたこともある。 脱水症状に陥り、体中がしびれ、手はひきつり鳥の足のようにバラバラにしか力が入らず、頬はくぼみ、呼吸は乱れ、立つこともできなくなった。 その時に現れたのがドラッグディーラーの親分だった。たしかに見渡せば綺麗な麻畑である。身ぐるみ外されて命までもという出足であったが、途中から流れをかえて、最後には彼が持っていた水とパイナップルをもらった。そのパイナップルは渋みが強く、ずっと後まで苦味が口に残った。
上だけではなく下を見よう
未来だけではなく過去を見よう
それは懐古趣味という簡単なものでもないし、現在からの逃避でもない。
それは未来にある懐かしい昔。
ここには今まで繋がって生き続けてきた命への大いなる安心と、命から湧き出るとてつもなく大きな力を再確認する時でもあるから。
形だけになってしまったルール、硬くなってしまた正義、動かなくなってしまった体を大地を歩いて解き放せ。
歩く前に
チェックポイントは姿勢と重心と流れと運び。荷物を背負っている時は特にナンバ歩きのように、二軸歩行するのがいい。そうすれば荷物が揺れず、疲れが少なく歩き続けることができる。
速度は朝晩は体が温まるように汗ばむほどで、昼は薄着にして汗の量を減らす工夫を。休む時は汗で体が冷えないようにする。
足裏の力
山では靴もサンダルも履かない人たちが大勢いる、アフリカにも南米にもアジアにも。足の裏はひび割れていて、靴の底のように硬く厚い。だが足の運びや足指や踵の先や足裏の動きは驚くように柔らかい。
土踏まずは第二の心臓、ここがばねとなって、足まで渡ってきた血を心臓に送り返すんだという。
大切なのは立った時の重心の位置。ウナに重心を置くように意識して、力がソマに流れてはいけない。
ウナの一点と考えるよりも内踝に重心がかかっていることを理解する方がわかりやすいかもしれない。
足を怪我している人、膝が悪い人、片足がない人、バレリーナ、いろいろな人がいます。
重要なのは垂直に骨を立てることです。 大腿骨、脛(ケイ)骨に重力線があるということです。
力と弛緩
緩んでいた足が、地球に接して、自分の重さ(体重)が地球に伝わり、今度はその力の分だけのエネルギーを地球からもらい受け(反作用)、そのエネルギーが足裏から、くるぶし、大腿骨、腸骨、仙骨、背骨、腕と伝わって、筋肉は緊張する。またその時には反対側の足は緩んでおり、柔らかい。次には緩んでいた足が地球と接し、その力をもらい受ける。この切り替えとエネルギーの移動が滑らかにできるのが、良い動きだ。
日本式の歩き方
なんば歩き、からだをねじらない、ひねらない
山道や天秤で水を運ぶ時の歩き方 着物が乱れない歩き方 刀を揺らさない 竹馬の動き
重力を利用しながら2軸走行で進む
ヒザを緩める
一番大事なのは歩く時に肩のラインと腰のラインが交差しない
肩甲骨とよく連動させて身体を動かす
シコ、テッポウ、能の所作、民芸舞踊
Cf 西洋式 体をひねる軍隊式 小学校で習う行進
地球の中心とつながる
基本はぶら下がり。
楽に立ち、自分のからだの重さを地球と骨に任せきって、骨盤を含めた上体を前下にぶら下げる。その「重さと思い」を大切にして、ぶら下がり流れて行き、この二つがよりよい通り道を作るようにする。
足の裏、脚、骨盤、腹、胸、肩、頚、頭・腕、の中身の細胞と細胞との間を空けるように、優しく細やかに、ゆくりと、いたわるように、思いつくまま、ゆらゆら、ニョロニョロ、波のように、ゆすりながら、・・・間を待つ。
やがて「重さと思い」が地球の中心にまで繋がりつく、という実感が生まれてくる。
その実感が包まれたような感覚になる時がある。安らかで静かになるか、不安で苦しくなるかの両方がある。それが安心である時に、自分の内側(裏側)から自由奔放・変幻自在な、少しいたずらっぽく甘えるような新しい自分が生まれ出るのを感ずる。この気持ちよさは格別な味わいである。特有の快感だ。循環の気持ちよさ。無責任にあるがままでいい、喜びだ。大自然のエネルギーのよりよい通り道となり得る能力を力という。
野口体操の教えだ。
知るとわかるは違う。実践できて人に教えることができてはじめてわかることができたという。
足指を曲げて立つと、必ず重心はウナになる。下駄を履くのもよい。
姿勢
左側の姿勢から右側の姿勢に直しましょう。
足の裏の重心移動
足首を使う
着地する足は足首が柔らかく立ち、外がえしと言って足指は広がり、重心は親指から小指に移動し、
後ろ足首は伸ばし、甲が立ち、内がえしと言って足指は閉じ、重心は小指から親指に移動し、鼠径部が伸びる。
歩き方のコツ 新保式ポールウォーキング
1 ひざを伸ばしてかかとで着地
2 足裏の体重移動は「かかと→小指→親指」
3 足首をしっかり伸ばす
4 前足の中指はまっすぐ進行方向に進んでいるかチェック
5 後ろ脚のつけ根を伸ばす
6 腕は振らずに肩甲骨を引く
7 肋骨を上げて肩を下げる
軸を作る
歩く前に軸を持つ練習を
体の軸を自分の中に感じる練習をする前に一番大切なのはその前の準備です。
それは体を徹底的に緩めることです。
クラゲのように、操り人形のように、骸骨人形のように、ゆる体操で体を緩めます。
力を抜いてユラユラ、ふにゃふにゃ。3分を目安に。周りに人がいない方が怪しまれなくていいかもしれません。
まずは体を緩めないとと軸を作ることができません。
体の硬さがあるままに軸を作ろうとすると、軸が歪になってしまうからです。
環境センター法
身の回りにある直線を利用します。直線を体に写し取りセンターを形成していきます。周りの環境にあるセンターを写し取るクセをつけましょう! 徐々に自分のセンターが形成されていきます。
背骨の前に軸を感じ取りましょう
柱角背骨スリスリ体操
背骨まわりを解きほぐすことにより、センターを活性化する優れた方法に柱角背骨スリスリ体操。
究極のセンター形成法
軸タンブリングは、極意講座の第一教程に設けられている最重要メソッドです。体内に玉をつくり、上下にタンブリングすることによりセンター第三軸を形成する方法です。
下半身の玉を意識でつなぐ
足は内側同士が寄り添うように揃えます。下半身は左右が合わさって一つの玉です。膝は自然に曲げます。
全身をユルユルに。
ウナを意識して、ウナの一点に自分の全身の重みが集まるように、身体内部を感じながらタンブリングします。
ウナに乗ると声を出して、次に内踝でウナに乗る、続いて膝玉、さらに玉芯で。
そしてウナで地芯に乗ります。地芯のイメージはシルバー色です。地芯に乗ったあとは、内踝、膝玉、玉芯の順番です。
地芯から跳ね返るような、反発が立ち返ってくるような意識が感じられればOKです。
上半身の玉を通す
地芯の反発を感じながら、玉芯までの10%に反発力の太さを絞って、意識のラインを天玉まで伸ばします。それからその力を天芯まで伸ばします。
次に天玉で天芯を突きます。突く、突くと言いながら。
続いて、頭玉、脊玉、かん玉、腰玉、玉芯の順で突いていきます。
今度は天玉が天芯から吊られる意識でタンブリングを続けます。他の玉も続けます。
地芯から自分の体の各玉そして天芯もつなげます。
最後に地芯に下半身の各玉で乗って終了です。
これができれば実際に歩いてみます。
センターをさらに高めつつ歩く
1) その場歩き 地芯を意識して、玉芯で地芯に乗るように歩きます。ゆったりとテンポよく。
さらにゆるみながら、センターが玉芯を抜けて天玉、天芯へと抜けていくのを感じるように。
天芯から吊られるような意識を持ちながら、地芯に乗っていきます。
2) 実際に歩いてみます ますは歩幅は小さくして
3) さらに上手に ゆるみながら、歩幅をひろげていきます。
リズムに乗るのが大切です。 歩けば歩くほどゆるみます。
図1 軸タンブリングにおける玉の位置 図2 ウナの位置
ひざ裏にできる膝玉(図3)と会陰にできる玉芯(図4)の位置 手を使った玉芯とウナの形成方法
重心線と支持線
地芯と天芯を意識し、各玉をつなげつつ上下にタンブリングを行う
実はセンターは2本のラインからできています。重心線と支持線がそれです。通常は重心線=センターと考えていいのですが、私たちがひとたび動き出すと重心線に加え支持線が顔を出し始めます。重心線と支持線を感じ取ることをフルクラムシフトといいます。