不整脈
原因
心臓の筋肉は、電気信号によって規則正しく収縮と弛緩を繰り返し、血液を送り出しています。そのとき何らかの理由で、電気信号に乱れが生じると、心臓の拍動のリズムが一時的に不規則になります。それが脈の乱れ=不整脈となってあらわれます。
不整脈の原因はいくつかあります。
不整脈は60歳以上になると増えてくることから、「加齢」は原因の一つです。また、心不全や心筋症といった「心臓の病気」も不整脈の発生に大きく影響します。
心臓の病気以外で特にリスクが高いのは、「高血圧」です。血圧が高くなると心臓の負担が増え、心臓が大きくなる心肥大になって不整脈が起こりやすくなります。COPD(慢性閉塞性肺疾患)など重い肺の病気や甲状腺の病気、肥満なども不整脈の一因となります。
そのほか、服用している薬が不整脈を引き起こす場合もあります。降圧薬や抗うつ薬の一部には、自律神経や心臓の電気の発生に影響する成分を含んでいるものがあります。
また、生活習慣も不整脈の原因となりえます。ストレスや睡眠不足、過労、喫煙、アルコールやコーヒーなどカフェインを多く含む飲料のとりすぎなどは、交感神経を刺激して電気の発生に異常を及ぼし、脈が乱れることがあります。
心機能の低下を回復させるには
心不全は、心臓の機能が低下して十分な量の血液を全身に送り出せない状態です。心臓は1日10万回以上も拍動しているため、健康な人でも年齢が高くなるにつれ、心臓の機能は低下していきます。
心不全を完全に治すことはできませんが、治療を継続することで心臓の機能を回復させることは可能です。心筋梗塞や高血圧などから「急性心不全」が起きたとしても、きちんと治療を継続すれば、日常生活を普通に送ることができる人もたくさんいます。
しかし、薬の服用や治療を中断したり、放置したりすると、急激に心機能が低下します。入院を繰り返すうちに機能がどんどん落ちて、やがて命の危険にまでつながってしまいます。
日常生活で注意すること
日常生活で気をつけたいのは「食塩のとりすぎ」です。食塩をとりすぎると血圧が高くなり、心臓に負担をかける原因となります。食塩の摂取は1日6〜7g以下を目安として減塩を心がけましょう。
また、かぜなどの感染症にも注意してください。特に、発熱をきっかけに心不全が悪くなることがあるため、日ごろから気をつけて、予防することが大切です。
疲労感や息苦しさは、肺に水がたまったりして起こる症状です。以前よりひどくなったと感じたらすぐ受診しましょう。
そして、自己判断での薬の中断はけっして行わないようにしてください。
食事
欧米に比べて、これまで心筋梗塞症や狭心症が少なかった大きな理由の一つに食生活の差があります。伝統的な和食の良さが見直されています。国内にも長寿県があり、代表的なのは沖縄県です。沖縄には伝統的な和食に加え、低塩分で高タンパク食、海草などの食物繊維の多い琉球料理があります。
<図3>の新聞記事にある若年者の朝食抜き、インスタント食品、ファストフードやペット飲料は、今後の平均寿命を縮める源となりそうです。基本的に和食として、食物繊維(海草、キノコ、茎野菜)を多くとり、塩分は1日10g以下に抑え、ミネラルの多いバランスの良い食事にしましょう。大豆製品(納豆、豆腐、豆乳など)はよいでしょう。
図3
軽い運動が狭心症や心筋梗塞症の予防となります。具体的には<図4>のような持続的な運動を週3〜4回30分以上、可能なら毎日30分程度すればよいでしょう。図の右側のような瞬発力が必要な運動は避けて下さい。また早朝や深夜は、冠動脈が日中より収縮していることが多いので避けて下さい。起床後すぐではなく、1時間後ぐらいが適当でしょう。
図4
できるだけ歩く機会をつくる(30分、週3回)疲れない程度に、早朝・深夜は避ける
性格でタイプAの行動パターン<図5>をとる人に心筋梗塞症の発症が多いことが知られています。このような方は、知らず知らずのうちにストレスを受けています。
精神的・肉体的ストレスがかかりますと<図6>のように、血液中のコレステロールが上昇して動脈硬化が進行しやすくなり、また血中の交感神経系ホルモンが増え、血圧が上昇して冠動脈内皮の傷害が生じやすくなり、心筋梗塞症の引き金となります。『焦らず、怒らない、明日できることは今日しない』という精神で、のんびりと着実な生活リズムをつくりましょう。
図5
図6