呼吸の仕方
目次
入門呼吸法 吐く息を意識する
ブッダの言葉
陰と陽
世界の共通点は呼吸
安らぎ
学習とコミュニケーション
中級呼吸法 吐いて吸って留める
危ない呼吸術
呼吸と芸術 笑い、音楽、言葉
体が喜ぶこと 副交感神経
免疫作用
腹式呼吸と横隔膜
呼吸体操
上級呼吸法 逆腹式呼吸
呼吸と死生観
釈尊の呼吸
瞑想と座禅
ほかの呼吸法の紹介
プロローグ
地球をさまよっていると賢人たちと出会います。
20歳代の頃、彼らが呼吸を整えるのが大切だよ、と誰もみんなが同じことを言ってくれました。
そこで少しやってみましたが、正直言ってよくわかりませんでした。
私に準備が出来ていなかったからです。
人から学ぶということもわかっていませんでした。
呼吸の仕方に気をつけるようになって、何かが劇的に変化があったわけではなく、奇跡が起こったわけでもありません。
ただ間違いなく多くのものが変わりました。
ゆっくりだったものもあります。しかし、どれも身に染みわたるものでした。
呼吸法が重要なわけ
呼吸法を実践すると感情の起伏を緩やかにすることができます。
悲しみ、怒り、興奮、苦しみ、こだわり、いらだち、我慢できない痒み、嫌悪感などなど。
意識の力が強くなってしまった時にも呼吸を使って自律神経をコントロールできるからです。
また、呼吸は芸術やコメディーや学習やコミュニケーションや安らぎや病気や新陳代謝や体調にも深く関わっています。
呼吸法を使って副交感神経を高めることで、ストレス解消やリラックス効果、緊張時のドキドキや発汗の抑え、肩こり・首こり、不眠症にも効果があります。また逆に交感神経を高めることによって集中力を高めることもできます。
そして、実践を続けていると以下のことにも気づくことができます。
呼吸が、脳(意識)と体(非意識)をつなげている実感
体内の気流や液流(気血)の体感
死と生が同時にあることの実感
と、どれも凄いことばかりです。
入門の初級 吐く息を意識する
息をゆっくりと吐いて、それを静かに見つめているだけです。
これだけで十分です。
これができれば中級や上級なんかいらないほどです。
吐く息に優しい気持ちで見守ることが呼吸法です。
不安な時、イライラしている時、怒りがある時、落ち着かない時、痒くてたまらない時、悲しい時。
どれも吸う方ではなく、吐く息に意識を向けてみましょう。
ゆっくりと静かに優しく楽しくしなやかに柔らかく暖かくいたわるように。
ブッダの言葉
「ただ自分の呼吸を見守りなさい。呼吸を変えなくてもいい。少しも変えることなく、ただ見守るのだ」
すると不思議なことに、見守るやいなや、ただちに呼吸は変わっていきます。ひとりでに変わっていってしまうのです。仏陀は「ただ見守りなさい」と言っています。
それだけでいいと。
しかし、見守るやいなや、ただちに呼吸は変わってしまいます。
「注意」には、力があります。
注意を深くすると、それが独自の呼吸を生み出し、変化はひとりでに起こっていきます。
陰と陽
この世を「光と影」のように「陰」と「陽」にシンボライズすることもできます。
呼吸では「息を吐く」ことを陰だとすると、「息を吸う」ことが陽になります。自律神経でいうと無意識を司る副交感神経が陰に対して、意識を司る交感神経の陽です。吐く → 副交感神経(リラックス)、吸う → 交感神経(覚醒)です。
呼吸とは文字通り、呼(息を吐くこと)吸(息を吸うこと)の順番通り、先ずは吐くことから始めます。
息を吐くことで体が安らぎ、息を吸うことで脳が活性化されることにつながります。
頭(大脳皮質)から見ると、吐くことで愚かになり、吸うことで利巧になるということです。
体(脳幹)から見ると、吐くことでリラックスして豊かになり、吸うことでストレスになるということです。
参照「脳が忙しいと体が弱まる」
現代では、この「愚かさ」である息を吐くことを大事にして、血圧・脈拍・呼吸数を低減させて、体にとって良い状態を作ってあげるのが大切なことになりました。
なぜならば現代が都市化・インスタント化・合理化・科学技術化・利便化が急激に進み、日常生活が、情報過多になり、その情報を体や心が繰り返して確かめて安心することができず、常に意識(頭)を働かせていようとする時代になっているからです。
すると、頭(大脳皮質)はいいですが、体(脳幹)はそれだと免疫力がなくなり病気になってしまうように15万年前からデザイされています。 参照 ミトコンドリアDNA
腕の良い鍼灸師が副交感神経を優位にしたい(リラックスさせたい)場合は、患者さんが息を吐いている時に鍼の刺激を与えます。落ち着き、伸びやかで、気持ちの良い、ゆったりとした状態に誘導します。
生命に共通なのが呼吸
全ての生物は外から異物を取り入れ、体内で同化して、それを外に出す。それを太陽と水と細菌がまた新たな命に代えていく。その時の全過程に共通するのが呼吸です。
体内の水素が外からの酸素と結びついて、熱と水を作り出し、体内の炭素を酸素とともに外に出す。酵母たちは糖分から酸素と炭素を体内に取り入れ、アルコールと二酸化炭素を外に出す。
呼吸とはあらゆる活動に通底する最大公約数です。
呼吸がリズムよく流れ出したら、人は疲れにくくなるように感じます。表層筋は糖分が必要ですが、深層筋は呼吸の酸素で活動しています。
ゆっくりと息を吐き出すことを意識することで、無意識を司る副交感神経が活性化し、意識で高ぶった感情をコントロールすることができます。
心が平静で気持ちのいい状態を維持するには、息のゆったりとした流れを止めないことです。
息をゆったりとコントロールすることで、自分の心身の状態をゆるやかな波のように安定にさせることが出来ます。
呼吸とは、身体(腹と腰)と精神(脳)を結びつけ、からだと心をつなぐ「道」です。
呼吸と安らぎ
人は自分の呼吸が他と共有された時に心が安らぎます。
これは触覚に似ているかもしれません。左右の手を合わせて、こするような。
ここでは能動と受動が一致して、手は温まり、右と左が触っている安らぎを感じます。身体の左右の一体感です。
自分が能動的にやっているときは、受動的な感覚にも意識をおき、自分が受動的にやっているときは能動的な感覚にも意識をすることが、一体感の安らぎを産みます。安らぎとは、何かをしなければならないことがなくなり、ただそのままの状態の「はじめの一つ」であることです。
呼吸の吐くことと吸うことの一体感、そして相手(他者)とも息を合わせてその往復を味わう。リズムの中に佇む。これが呼吸の安らぎです。
もしかすれば他の生命体もそうなのかもしれません。ただヒトは猫や桜や乳酸菌にはなれないので、呼吸の共有が安らぎをもたらしているかどうか聞くことはできませんが。
呼吸と学習
外国語を教えたり習ったりする時は、呼吸の共有が大切です。母親が赤ちゃんに赤ちゃんが母親に合わせるように。共有することにより習う方は内容の理解がより良くなります。
習う時は、ただ待っているのではなく、先生の教えを受け入れやすいような状況を積極的に作っていくことが効果的です。これを習い手の受動性を作り上げていく、といいます。
外国語や母語だけではなく、あらゆる学習は、未知のものを自分の一部にしていくことです。場合によると自分とって受け入れがたいものに、自分を浸していくことによって、「自と他(既知と未知)」の二つのズレを解消していくプロセスだともいえます。
コミュニケーションの本質もこれと同じです。
二つのズレが大きいと最初は違和感や抵抗感があります。それは不安定なものですが、もし受け入れようと少しでも思ってやってみると状況はちょっとずつですが変化していきます。
受け手側の「積極的受動性」がキーワードです。
違和感を覚えた時に、嫌だったり不安だったりするからといって、未知とつながっている回路を閉じてしまわないで、息を大きく吸ってゆっくりと吐き、自分の中に新たなスペースを作れるか、どうか。ここがポイントです。
自分の中に「他」を受け入れる余地を作ることによって、自分の外側にある「他の知」を受け入れることができます。
なにも自分を変える必要はありません。今までの自分の横に新しいスペースを作ってあげて、そこで新しいものを試してみるのです。それが偽物であったり、自分に合わなかったり、納得できなかったりすれば、すぐに捨ててしまえばいいだけです。
まずは息を感じることによって、学習やコミュニケーションとの向き合いが生まれます。
強い息から柔らかい息へ
荒い息、弱い息、強い息、柔らかい息の4つがある。 海童神道祖
大切な仕事をする前には野遊び
自然と充分まじわり身心の活気を充たした後に仕事をする。
全体性の中で生きるのが日本の伝統文化である。
マイナスや消極性が活かし支えることで、プラスや積極性が生きる。
呼吸法をはじめるには激しい動き
心を深めるためには、まず激しく動いたり声を出す方法から入るのが良い。禅宗でさえリズミカルに声を出す念仏を勧めることがある。
中級 吐いて吸って留める
斉藤式呼吸法
15秒、3秒、2秒、15秒。 吐いて、吸って、留めて、吐く
はじめは吐く時間を短くして5秒ほどから始めても良いし、慣れてくれば吐く時間を長くして20秒ほどにしてもいいです。無理のない自分にあった方法がいいです。
コツは肛門を締めてから吸う、そして肛門を緩めながら吐く
また息を吸うときは大きく吸う。均等呼吸と言って、吸う時に胸だけではなく、脇にも背中にも均等に息が入る吸い方です。体のセンターを中心に、吸った息が「前・後・左・右・上・下」の方向にも均等に広がるように意識します。
呼吸の4段階
吸息 カラダの緩和、外との流通、外の受容、外との一体感、エネルギー補給
保息 イメージ化、準備、 身構え、エネルギーの充実
呼息 外へのエネルギーの発散、行動
間息 無意識の扉、余韻、間、
吸うことは、外を受容することで、
吐くことは、周囲のものを自分から遠ざけ排斥することである。 人は息を吐いて他者を刀で切る。
吸息でモノの前に自己を開き、謙虚に忠実にモノの語りかけることを聞く。
保息でイメージを固め、対立のある自己の「実」が生まれる
呼息でモノに人の側からエネルギーを与える。
間息でモノに対して自己を「虚」にして臓腑を開き、対立が消去する
イメージは自分の環境に適応するための潤滑油であり地図であり予定表であり、それを頼りにして次の行動に移る。このイメージが定まると行動に入ることができ、結果を得ることができる。
例えば、重たいものを持つ時は、保息で準備をし、呼息で行動をしている。
あぶない呼吸術
呼吸術を学ぶ時は、目の前の先生と息を同調させて行われます。その時に教えを忠実に再現するのは大切であるが、師に任せきるのではなく、自分の体の感じ方でやってみて、それを師に修正してもらうのがいい。
呼吸術は自分の無意識の領域に入る方法でもあるので、自分のペースで始めて試行錯誤していくことに意味がある。自分の体が喜ぶこと、心が喜ぶことを感じながら、一つ一つ確かめるように進むのがいいです。
先生は他人であるにもかかわらず経験者であるために、自分よりも体や心の喜びに関して詳しいことが多くあります。情感は個人の学習された体験により違いがありますが、体は万人が共通なので余計です。その時に先生が自分でも気がつかなかった情感や体に詳しいからといって、自分を先生に無防備に投げ出し依存すのは、どちらにとっても良くありません。相互に見る・見れれるの関係ではなく、一方的に見られる側に身を置いてしまうからです。今の政治や役所や仕事場や学校でも、同じことが言えます。一方的に見られるという環境の中に身を置かれると、服従する主体が形成されてしまいます。
自分探しをするのが好きな人は特に気をつけてください。
生きることに不安を抱えた時に人は、この不安な自分を埋めてくれるものがあるのではないか、自分の潜在能力を引き出してくれるような体験ができるのではないか、という期待感を持っています。
自分というものを自分で築き上げていくのではなく、自分をどこかに探しに行き、そこでいきなり答えをみつけようとしてしまいます。大切なのは試行錯誤した時の自分の情感や体の反応を自分の意識で見て楽しむことです。
そしてその後に自分で考えるということです。
白隠禅師の陥った間違った呼吸術
彼や弟子に心身に異常をきたしのは、努責作用がおきたから。
努責とは息むことで、丹田に力を込める時に上半身を緊張させてしまうこと。
それをしないために、上腹部(へそとみぞおちの間)を常に柔らかくしておくがとても重要です。
息を吐く時に上腹部が硬くならないためには、吐くと同時に下腹を膨らませることが効果的です。
こうすれば上腹部や上半身が硬くならずにすみます。
このやり方を上級で説明します。
呼吸と芸術
荘子 「真人の息は踵(かかと)を以ってし、衆人の息は喉を以ってす」
声楽
呼吸がうまくリズミカルにできていれば、からだは共鳴する楽器になる。
からだの緊張が緩んでいるかどうか、どれだけ響きのよい体になっているかが、ハミングを通すとわかりやすい。
間合い
日本の文化は間の文化 その間を支えるのが呼吸です
笑いも間。 話し手はぐっと息を溜めて、次に何が来るのかと観客の期待を高まらせておき、ぐっと一呼吸置いたところでポンと予想外のことを言う。だから息がどっと吐き出され、笑いになる。
息が長く続くのは見事な芸術です、美しい。
文章も書き手の身体性と書かれていることの意味が連動している。息の感覚そのものが込められた芸術です。
音楽でも聴く方の積極的な受動性が必要で、他の身体性に寄り添い、そこで引き起こされた内なる身体感覚を楽しむ芸術です。
呼吸と副交感神経
緊張している時に心を鎮めるために、深呼吸が効果的なことはよく知られています。では、なぜ、呼吸を深くすると心が落ち着くのでしょうか。そのカギは、自律神経のバランス調整です。
自律神経はヒトの意志とは関わりなく、身体機能を保つために働いています。血流や発汗、瞳孔の収縮、内分泌なども司る重要な神経で、胃や腸、あるいは心臓が休みなく動いているのも自律神経が機能しているためです。
自律神経は交感神経と副交感神経という相反する働きの二つの神経から成り立っています。お互いがそれぞれ働き、関係し合いながら活動しています。交感神経は、発汗や血流を促し、呼吸は浅く荒くさせます。とくに活動・緊張・ストレスといった状態が多い昼間に優位になります。一方、副交感神経は休息やリラックス状態にある時の夜間や睡眠中に優位になります。
気が動転した時や興奮した時は、交感神経が働き緊張状態になり、呼吸が浅く速くなります。
ところが、この浅い呼吸をゆっくりと深いものにするだけで副交感神経が活性化され、バランスを逆転させることが可能です。リラックスする神経(副交感神経)を優位にしたい時には、深くゆっくりとした呼吸をすればいいのです。
また逆に、副交感神経が優位な状態でも、呼吸を意図的に浅くすると、なんと交感神経が優位になってしまいます。リラックスしようと思って休んでいる時でも、呼吸が浅い状態だと神経は勝手に勘違いをしてしまい、交感神経が優位に働き、血圧や血流や発汗作用が上がります。そして脳も目覚め活性化されます。
このように、交感神経優位の状態では、呼吸は速く浅くなり、逆に、副交感神経優位の状態では、呼吸はゆっくりと深くなります。そこで意図的にこれを利用して、気持ちや体の状態をコントロールしようとするのが呼吸術です。
寝ている間の無意識の時でも心拍・消化・呼吸運動はしています。意識をしていなくても自律神経がちゃんと勝手にコントロールしてくれています。
これらの無意識の活動を「呼吸」を意識的に介することで、自分でコントロールすることもできるのです。また逆に、意識活動も「呼吸」を使うことによってコントロールすることができるということです。
この呼吸のコントロールを取り入れている健康法や精神修養法が、ヨガ、太極拳、気功、座禅などです。
呼吸と免疫作用
交感神経と副交感神経のバランスが乱れや片方だけが優位な状態が長く続くと、倦怠感や不眠、動悸や頭痛、不整脈、食欲低下といったさまざまな不調が生じ、これを西洋医学では自律神経失調症と診断します。
自律神経がアンバランスだと免疫力が低下し、ガンをはじめとするさまざまな疾患に罹りやすくなると、免疫理論では唱えています。(安保徹) 自律神経と免疫作用には相関関係があるというのです。
交感神経が優位な状態が長くなると、免疫力が低下してしまい、白血球の働きが弱まり、病気にかかりやすく治りにくくなります。
白血球にもバランスがあります。白血球を分類すると3種類あり、基本細胞であるマクロファージ、マクロファージから生まれた貪食能の強い顆粒球、免疫を高めるリンパ球です。
健康な人では顆粒球とリンパ球の比率が6:4ですが、交感神経が優位になると顆粒球が増え、7:3となり、顆粒球が放出する活性酸素で細胞や組織がダメージを受けます。逆に副交感神経を優位にすると、割合は6:4に戻り、リンパ球の免疫作用が活性化します。
酵素や免疫細胞は副交感神経が活性化している時に作られるので、いかに睡眠が大切であるかということです。
また、男性は30歳以降、女性は40歳以降から副交感神経の活動レベルが徐々に低下していくといいます。(小林弘幸)
呼吸と血圧の実験
身近に血圧計があれば、まず血圧を測ってみてください。その後、5分程度ゆっくりと深呼吸をくり返してください。息を吐くことを意識しながら、深い呼吸を行ってください。ゆっくりと楽しい気持ちで息を吐いていきましょう。
こうして5分程度深呼吸を行ってから、再度血圧を測ってください。ほぼ確実に血圧が下がっているでしょう。深呼吸によって副交感神経が優位になり、血管が拡張して血液の流れがよくなり、血管への圧力(血圧)が下がるのです。
これほど呼吸と体の働きは密接な関係があります。
腹式呼吸と横隔膜
インドの伝統医学のアーユルヴェーダや、気功も息をゆっくりと深く吐くことを重視しています。伝統的な呼吸法は、意識的に息を吐く時間を長くすることで副交感神経優位の時間を長くなり、脈拍・血圧が下がり、身体が緩み、気分もリラックスすると考えていました。
ヨガや禅の呼吸は、ゆっくりと長く息を吐くようにするために、横隔膜が動かない胸式呼吸ではなく、横隔膜が上下に動く腹式呼吸になります。
腹式呼吸では横隔膜の運動範囲が広がり、取り入れる空気の量が胸式呼吸時よりも多くなります。
腹式呼吸は、腹筋も鍛えられるので、腰痛予防にも役立ちます。
横隔膜を動かす腹式呼吸は、体がちぢこまった状態ではできません。パソコンの前で体を丸めて前屈みの姿勢で仕事をしている方は、昼食の時間や休憩の時間に、横隔膜を動かす深呼吸をしてみましょう。席を離れられない場合でも、椅子に座った状態で姿勢をよくして行うこともできます。また、通勤電車の中で行うこともできます。
おやすみ前に、布団の中で行うのも効果的です。あおむけになって腹式呼吸を行うと、自律神経のバランスが副交感神経優位になり、いつのまにか眠ってしまうこともあります。
横隔膜体操
呼吸をして横隔膜を動かす体操です。呼吸術とは横隔膜を自由に使うことでもあります。
残気3ぐらいで息を吐くのを止め、口を閉じる。 息を胸と背中と脇にひきあげる。今度は息を腹・腰に下ろす。3回繰り返したら、体の中に残っている息を吐き出す。
胸腹呼吸法
胸で吸って、その吸気を腹におろし、ゆったりと息を吐く 3回繰り返す。
腹式呼吸
息を鼻からいきなり腹に吸います。いったん止め、ゆっくりと吐く。3回繰り返す。
上級 逆腹式呼吸
小学生でも簡単にできる方法を底沢の和尚さんから習いました。
「息を吐きながらおヘソの下にある風船をどんどん大きくしてごらん。」
「人のことはいいから、自分の風船をふくらましてみてごらん。」
逆腹式呼吸の基礎知識
腹式呼吸とは、横隔膜を収縮・弛緩させて肺を動かす呼吸です。
胸式呼吸とは、胸の筋肉及び肋骨を動かして呼吸するものです。
通常の呼吸は、腹式と胸式を同時に行っており、環境や生理状態、精神状態により、その比率が変わることがあります。
腹式呼吸の場合、息を吸うと横隔膜が収縮して下がるので、お腹が圧迫されて、膨らみます。息を吐くと、横隔膜は、元に戻り、上に上がるので、お腹は、元に戻ります。
逆腹式呼吸は、横隔膜を下げながらも、胸郭に目一杯息を吸い込みますので、お腹は凹みます。そして、息を吐くときには、上腹部(へそとみぞおちの間)を緩めながら、下腹部に強圧をかけますので、下腹部が盛り上がるような感じになります。つまり、逆腹式呼吸は、息を吸うときに、最大限の胸式呼吸をしながら腹式呼吸も同時に行ってしまい、息を吐く時には、横隔膜と下腹部のダブルアタックで息を吐き切るという呼吸になります。
この呼吸法にすると基礎代謝が上がるので、冷え性の方には効果的です。
一般的に腹式呼吸といえば、息を吸ったときにお腹をふくらませ、吐いたときにへこませるものですが、これは順腹式呼吸です。逆腹式呼吸というのは、息を吐いたときにお腹をふくらませ、吸ったときにへこませます。
胸式や順腹式に比べ、逆腹式呼吸の方が、吸気量が断然多くなります。
ただ気を付けないといけないことは、逆腹式呼吸を習う時は、上半身の無駄な力を抜き切ることと上腹部を十分に緩める訓練が必要です。(但し、管楽器や武道をやっている方は、自然にやっていることもあります。)
逆腹式の意味は、吐く時に腹を凸らませ、吸うときに凹むからです。
呼吸法に共通する9つの原則
1 真人は踵から息をする
2 静かである。鼻先の羽毛も動かない
3 一分間に数度の長い息
4 一定のリズム
5 一定の姿勢
6 呼吸の空気をエネルギー粒子と仮想し、自由に移動させる。
ヨガの言うプラーナ、道教の言う気、神道の祝詞
7 呼吸のリズムができ身心がしずまると、呼吸している意識は消えていくので、呼吸を忘れる
8 すると涅槃的な状態になる。宇宙へと拡大する感じや、大地とつながる感覚など各自の特徴がある。
9 赤ん坊のような柔らかく自然な腹式呼吸を理想とする。
呼吸と死生観
吸って生き、吐いて死ぬ。
生きていることの中にすでに死が紛れ込んでいる。これを見つめることにより、死というものを感覚的に受容していく。
呼吸を通して、生死の命のサイクルを見つめ続けてみる。
人体でも一秒間に500万個の細胞が死に、同時に500万個の細胞が体内に産まれ出ている。死と生が同時にある間は、「いのち」はこの世に存在している。この死と生の二つが一緒に存在できなくなると、もうあの世にいることになってしまう。多くの人の勘違いは「生」だけを意識して、「死」を遠ざけようとしていることです。実は「生」ばかりの世界は「この世」ではなく「あの世」です。生ばかり求めてしまうと息が詰まって動けなくなる。生と死が同時に、そして一緒にあってこその「この世」です。
「死」は恐れ忌み嫌って遠ざけるものではなく、死をちゃんと大切に見つめてあげて、「死」が自分の中に、自然の中に、宇宙の中に、「生」と同じだけあるのを淡々と受け入れて、大事にしていたわってあげる。
これが、死と生が同時に一緒にあることを体感し、ここに「ある」ために必要なことです。
動物や植物や微生物などの生命体も呼吸をしている。またもしかしたら旧星の爆発と新星の誕生を繰り返している宇宙の周期も「呼吸」と言えるのかもしれない。
未来と過去の交点
それは呼吸法を顧(かえり)みると自分の過去に遡ることができます。
呼吸には「過去を想う」残像があり、存在する。息をしていた残映が記憶の中に刻み込まれている。
呼吸は単に、生きる為に、未来に向かって吐いたり吸うたりしているだけではなく、過去と、未来が錯綜(さくそう)している。
呼吸法の歴史に中には、かなり古くから、意識と無意識を探求する為に、「修行」という形を用いて、「呼吸法」の研究に努力を傾けてきた。
そして、この研究の行き着いた先は、呼吸は、意識下でも出来るし、
無意識下でも出来るという法則を発見した。
これで瞑想法が生まれ、過去の意識下の中に「意識」を観じ、未来の呼吸の中に「無意識」を観じたのである。このように人間の呼吸の中には、過去と未来が錯綜し、その錯綜の交点に「現在」があった。
現在と言う「今」は、その刹那(せつな)に「この一瞬」という“今”があり、“今”を想えば、今から過去へも遡れるし、未来へも、遠く唸(ねん)を飛ばすことが出来る。“唸”は、「念」であり、仏道で言う、経験を明瞭に記憶して忘れない心の作用である「憶念」と同義だから、そこには刹那に観じる、無数の「想念」が派生する。想念を派生させて、古人は何処までも「唸」を飛ばすことが出来たのである。
釈尊の呼吸法
釈尊の呼吸法はアナパーナ・サチと呼ばれるもので、「大安般主意経」の中にあります。
数を数えながらゆっくりと吐く息を長くする、呼吸方法です。
悟りとは、涅槃や仏や菩薩などの言語体系の思考ではなく、息を見つめるという呼吸法を中核にしたものです。
移り変わること自体を受け入れていく心の在り方を大事にして、これを鍛えていくことです。
二つが同時にあることがわかれば手を合わせる。両手を合わせて合掌することによって、身体が一つのまとまったものとして感じられた後に、吐くこと大事にして静かに待っていると、宇宙という大きなものが現れ、やがてこれとつながって溶けるような感覚がする時があります。
色というものは出そうとするのではなく、自然界にある色をいただく。何億年にもわたる連続的な奇跡が重なった色をいただく。
私が何かをするのではなく、私というものを一度投げ出し、大きなものに預ける。
生かされていると感じることによって、人は心底からリラックスできます。「私」「自己」「意識」「自意識」「自分」が機能せず働いていなくても、大丈夫だというのが究極に緩まっている状態です。
死の瞬間まで、呼吸のリズムが鳴っている、これが宇宙からの最大の贈りものである。
「いのち」はどの瞬間も死んでおり、同時に生きている。再生とは死ななければ生きることができません。
この世では、自分の命が常に新たに再生されている。これを実感できるのは一番の充実感です。
死んで生きる。
生きて死ぬ。
自分の中でのまとまった宇宙の感覚がある。
自分という小宇宙(ミクロコスモス)と他者という大宇宙(マクロコスモス)が相反しながらも同時にあって安らいでいる。
たった一つの呼吸のリズムが体は満たしている。
呼吸と瞑想
呼吸法とは瞑想への前段階で、呼吸の律動運動のリズムが瞑想状態の導入になります。
捨てることによる安定というのが禅のスタイル。
呼吸によって精神が調えられるというのは「今」を生きるという状態です。
余分なものはすぐに捨てることにより常にエネルギーが入る器を用意することができる。
その空いた所に自然と満ちてくるエネルギーがある。これが他力を信じるということです。
吐ききったことで生まれてくる安定感を大切にしたのが瞑想です。
座禅
日本には「座禅」が古くからありますが、これも仏教と共に伝わったもので、ヨガの派生とも考えられています。
あぐらを組み、目を伏せて静かな場所で行いますが、ヨガや気功などよりも初心者向きかもしれません。
しかしその効果は高く、強いリラックス効果があることが確認されています。
「座禅を組む」と聞くと「修行」のイメージがありますが、そんなに難しいことは考えず、「気持ちよくなる」つもりで気軽に取り組みましょう。
座禅にもノウハウはありますが、基本的には心の中で「呼吸数を数える」ことが基本です。
まず1・2・3と息を吸いながらカウントし、3つ数えたら息を止め、今度は10数えながら息を吐ききります。
宗派によって数も違うし、瞑想するイメージも違いますが、坐禅の間はこの呼吸法を繰り返します。
慣れてくればここで話した逆腹式呼吸にするのもいいかと思います。
空の体感
ちゃんと「空」を理解することで、ヒトの呼吸も行動も姿も変わってくる
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気 |
イメージ |
カラダ |
技・行動・呼吸 |
モノ 現実 外界 |
吸気 呼気
多くの呼吸法
岡田式静坐法
二木式腹式呼吸法
江馬式心身鍛錬法
小田部式深呼吸法
石黒式生気呼吸運動法
岩佐式強健法
肥田式強健法
沖正弘ヨガ
坪井繁幸身体気流法
ルドルフ・シュタイナーのオイリュトミー
陳はい山 太極拳宗家20世
西野流呼吸法
藤田式息心調和法
野口三千三体操
野口晴哉整体
アルパーナ・サチ
ムドラー行法 シッダ・アーサナ
仏教「大安般守意経」の呼吸法
藤田式息心調和法
完全息の六原則 藤田霊斎
胸入り 胸を前へ張り出す
腹満 下腹部を膨らます
漏気 胸部の気を漏らす
充実 下腹部を充実する
膨満 呼気腹圧をかける
緊縮 下腹部を緊縮する
吸気で上体を上に上げ,呼気で上体を折り屈め、みぞおちの下をくぼませる。
・呼吸をしながら上体を屈伸します。
・呼吸は、口を軽く閉じ、鼻から吸って鼻から吐きます。
三種の波浪息で注意することは、上腹を折リくぼめる位置です。 この位置を屈折線といいます。
屈折線とは十番目の左右肋骨のカーブした最下部を横に一直線を引いたところです(図)。
普通の場合、胃の最下部のあたりです。この屈折線より上の、みぞおちにかけてを上腹部、下を下腹部と言います。
この折くぼめる位置は極めて重要です。ややもすると上の方になり勝ちですので注意して下さい。
又,腰を後傾させた状態で、上体を前傾させると屈折線は上に上がり気味になります。
小波浪息の説明(図)
(1)図のように左手下腹部、右手を上腹部屈折線のところに小指を置き、右手手の平全体で上腹部に密着させます。
(2)点線のように吸気で上体を上にあげ、実線のように呼気で上体を屈折し前傾してみずおち下を柔らかくしてゆきます。
(3)吸気約3秒,呼気約5秒これを幾度も繰り返します。
この繰り返しによつて上腹の柔軟性を造って行きます。
少波浪法のねらいは、上腹部を柔凹にすること。 中波浪法・大波浪法がある
藤田霊斎師曰く、
「上腹には硬凸と柔凹との二種がありますが、これが私どもの身体と精神とに実に重大なる影響を及ぼすのであります。」
「上虚下実の姿勢を造ってゆくうえで重要であり、上虚をつくる最初の実修です。」
現代人は日常生活が便利過ぎ身体を使わず、頭ばっかり使いすぎて上腹部から上、胸,頭の緊張状態が続いています。上虚なくして下実はありません。
調息術「病家須知」平野元良 肋骨の下を帯で縛って、力を込めて丹田に息を吸いこむこと一日300回
肥田式強健術
肥田春充は、正中心の秘訣を「横隔膜をその場で最大緊張させる」説明しているが、理由としては、骨盤隔膜を緊張させないと、球体感覚としての丹田が体感できないから。
骨盤隔膜を鍛えるには、肛門を締め上げながら、ヘソを凹ませる必要がある。
呼吸法は、逆式とも順式とも違う、上腹を凹ませる強息呼吸で身体を縮めると、腹圧が高まり、球体感覚としての丹田の尻尾が見えてくる。
肥田式強健術のコツ
・肛門を締め上げられる姿勢を保つ。⇒腹部を凹めることができる姿勢でもある。
・踵と足の小指側に重心を乗せつつ拇指を利かせる。⇒土踏まずを利かせると、拇指が浮くことも。
・股関節に乗るこてで、拇指が沈み支点となる(拮抗する)。
⇒拇指に力を込めて、押しつぶすと、拇指が利かない。
・肋骨下部を引き上げ、骨盤と引き離すことで下腹が張る。
肥田式から影響を受けた沖ヨガ(伊藤式胴体力含む)の丹田鍛練法では、腹直筋を伸ばし、凹ませた状態で、沈み込むことで、下腹部に拮抗した力を集中させます。
美木良介のロングブレス
上記の肥田式を現代で実践しているのがロングブレスです。
肥田式強健術の前身である川合式強健術や親友・平田内蔵吉の経絡式中心練磨法です。
腰痛予防の効果とダイエット効果を実感できるのは、丹田を形成する骨盤隔膜と腹横筋をダイレクトに鍛えることで基礎代謝が上げ、20代のように、脂肪の燃焼が良くなるためです。
ロングブレスの呼吸法は、強息呼吸法に分類でき、その呼吸法の要領のまま身体を縮めることで、下腹の腹圧が高まります。
ロングブレスダイエットは、腹直筋に緊張を込め、お尻を締めながら、全身に力を込めて息を強く長く吐き切ります。吐き切ると、下腹がブルブルと痙攣します。
西野流呼吸法
人間の身体を構成している約60兆個の細胞に生命エネルギーが供給され、細胞の一つひとつが活性化するんです。体を内側からよみがえらせるというホリスティックな考え方。
呼吸法によって腹式呼吸をすると、腹腔内の圧力がリズミカルに変化して内臓に対するマッサージ効果があるんです。おなかだけではなく胸腔の臓器にもいい。あと、吸う息で交感神経が優位になって、吐く息で副交感神経が優位になる。いまの世の中は、さまざまなストレスで、どうしても交感神経ばかりが働いて副交感神経が置いてきぼりをくっている。そこで呼吸法をやって吐く息に気持ちを込めると、副交感神経が高まってきてバランスが回復するんです。
足芯呼吸という独自の呼吸が基本になっています。足芯とは足の裏のことです。まず息を吐きます。吐くときは口からです。ずっと足芯に向かって息を吐いていきます。苦しくならない程度に、シューッと吐いていったら、今度吸うときは鼻からです。たとえば自分の体が樹木だと思い描いて、木が根っこから水分、養分を吸い上げていくようなイメージを描くんです。足芯から、根っこから吸い上げる感じで、ひざ、太もも、丹田(下腹部)へ。そこから肛門を意識して背骨を通して頭頂まで吸い上げます。そこで軽く息を止め、体の前面を通して丹田に下げる。ここがちょっと難しいんです。吸い上げっぱなしじゃなくて、吸ったものを意識して下げて、また口から足芯に向かって吐いていく。すると一呼吸でゆったりとなり、体が熱くなり、いろんなところから汗が出てきます。内臓の働きが活発になり、循環がすごくよくなり、とにかく体がよしやるぞと、元気いっぱいになっていくんです。
下丹田体操
1) 足を肩幅より少し広めに開いて立ち、手を前で組み合わせる。
2) 息を吸いながら、腕を上にあげ、胸をそらす。
3) 息を吐きながら、腕をすばやく振りおろし、かかとを上げて、しゃがみ3秒止まる。
下げた腕は水平の位置に留め、背中はまっすぐに保つ。
4) 息を吸いながら、手を上にあげながら、かかとを下す。上げた手を2秒見る。
5) 2)〜4)を1セット10回連続で行う。
ポイント
• 呼吸や腕の上げ下ろしは、下丹田を意識しながら行う。
• しゃがんだ際に、尻はひかず、垂直に降ろす。
• 体力勝負の体操だが、気合いが入っていくと同時に、下丹田のスイッチが入っていく。
• 足腰が鍛えられる。無理のない範囲で行う。
丹田呼吸
ヨガ、気功、日本の伝統芸や武術など様々な身体操作術の基本概念として「丹田」があります。
へそと陰部の中間部、直腸付近に位置する「玉状」の感覚であり、ここを意識する呼吸をすることで気が安らぎ副交感神経を劇的に活性化することができます。
実際に丹田という内臓器官は存在しませんので、あくまで「腹で呼吸する」や「下腹に力を入れる」など意識の持ち方を変えるのですが、効果は非常に高い方法です。
この反対が「胸呼吸」であり、胸呼吸は横隔膜をあまり使わず、肺全体の膨らみにより呼吸する方法です。
丹田呼吸は横隔膜を下に押し下げて息を吸う方法ですので、息を吸った時にお腹が膨らむようにします。
厳密には意味の違いもありますが「腹式呼吸」と同じものと考えていいでしょう。
もし感覚がつかみ難い場合は、仰向けに寝ると自然に腹式呼吸になりますので、その時の感覚をつかんで覚えるとわかりやすいです。
腹式発声法
訓練の方法は座禅・気功・ヨガ・詩吟など有りますが、時間とお金がない時は、自分でやれば時間の自由があります。
腹式呼吸・腹式発声の基本的な考え方は、息は自らが吸うのではなく勝手に入っている。自らが吐くのではなく、勝手に出ている。自らの力は使わないことを念頭に入れてください。意識をすれば、力みになります。
腹式呼吸を20分も続けると脳内神経伝達物質のセロトニン神経が刺激されセロトニンの分泌が20%も増加し、うつや不安・興奮の揺れを抑制して、覚醒された安定が得られます。神経を集中する事が出来ます。音楽・学業・運動・健康など全ての基本です。横隔膜が上下する事により腸の働きが活発になり消化吸収・排泄が良くなります。
姿勢
立った方が良いですが、座っていてもかまいません。
眞直ぐ伸びて
出尻・・肛門を上に向ける(骨盤が回転し背丈が1cm伸びます)そして、大殿筋を内側へ巻き上げます(ヒップが2〜3cm上がります)便意を我慢する感じです。お尻の両側を締めます。
鳩胸・・胸を前上へ突き出します。
肩の力・・少し前下へ抜きます。
呼吸法
準備として、口を開けて、横隔膜を上下させてみてください。空気が出たり入ったりするのが判ります。これが腹式呼吸です。簡単でしょう。
若し、判らなければお腹を前に出したり凹ましたりして呼吸して下さい(一応腹式呼吸です)。それが出来たら次は前に出していたお腹をだんだん下の方へ押し広げるようにして下さい。下腹部・横・後ろが広がるのが判るまでやって下さい。それが丹田呼吸です。腹直筋・外腹斜筋・広背筋を使って横隔膜を上下させます。
通常、500ccの空気を呼吸で使っており、残気量1500cc更に吸える余裕のある量1500cc、 総肺活量3500cc。もちろん人によって差はありますが、腹式、胸式併用すれば更にふえます。
通常の呼吸も腹式呼吸が出来るようにしたいですがここでは更に2000cc〜2500cc増やすことのできる丹田呼吸です。
1・・・まずゆっくり吐きます(口で)
2・・・1〜2秒で一気に入れます(鼻で)(横隔膜を下へ押し付けるようにすれば勝手に入ってきます)
3・・・更に下へ押し付け2秒静止(この時尻の穴が締まっている事。
4・・・8秒かけてゆっくり吐く(口で)(腹筋で嫌がる横隔膜を押し上げます)。
5・・・2秒間止めます(次に入れるための準備になりますが、これは気にしなくてもいいと思います)。
これの繰り返しが腹式呼吸の練習です。(時間は感覚的なものであまり気にしなくても良いです。
腹式発声は丹田で発声します。丹田に気を集中出来た時、全ての事柄において最大の力が発揮出来ます。
丹田は昔からヘソ下3寸と言われて来ました。骨盤の中心です。恥骨の直ぐ上だと思って下さい。
発声法・・声は出すではなく出るもの。大きな声を出すではなく大きな声が出てしまうです。
音階・音程・音質・音色・音量など、それぞれ違いますが弦を例えにします。弦の質・太さ・長さ・引っ張り強さで調整します。(”力”も”考え方”も同じで「出す」ではなく「出る」です)
1・・・<4・・・8秒かけてゆっくり吐く(口で)(腹筋で嫌がる横隔膜を押し上げます)。>この時、遠くの人に聞こえるように声を出してください。大きな声ではなく遠くの人へです。8秒と言わず出来るだけ長く続けます。
2・・・高い声も低い声も同じ場所で発声します。声を上げたり下げたりしません。(普段の会話は2オクターブ以上出しています。あげたり下げたりしていないでしょう。
3・・・ボールを投げる要領で発声します。高い声は遠くへ投げます、そのボールの高さが音階です。落下した距離が声の大きさです。決して声を上げないで下さい、遠くへです。
イメージ
グランドキャニオンの対岸に人に伝えるイメージで声が出ます。自分が崖の上から谷底に飛び降りて、次に谷底から這い上がっていくイメージです。
対岸に聞こえるように
ワァ〜ハァッハァッハァッハァッハァッハァッハァッハァッ
ワァで谷底に身を投げます〜で音階に届きます。(谷底に着く)
ハァッで登ってきます。声が下がりきって出なくなったところが崖を上りきって元に位置に戻ってきたところです。息は何処で継いでも構いません。(ァ)は母音です大事にしてください。子音ではありませんよ。
如何でしたか。大きな声が出たでしょう。音階を上げ下げしなかったでしょう。綺麗な声が出たでしょう。
後は響かせる位置です。
運動も同じです。
天台摩可止観
風 呼吸の際、声がある
喘 声はないが呼吸がスムーズでない
気 呼吸が細かくない
息 声もなく滞ることもなく粗くもない最高の呼吸
天台小止観
「声あらず、結せず粗ならず、出入綿綿として、存するがごとく亡きがごとく」
メール 知り合いから10年ぶりにメールが来たので返事を書きました。
私自身が大変な時ですか?
体が引き裂かれそうに感じたり、胸が痛くなりうずくまったり、皮膚から心が飛び出そうに感じたり、いじいじと同じ輪の中でなにも変わらず回り続けなくてはならなかったり、感受性が敏感になって眠れない日が続いたり、いろいろあります。
そんな時は、月に向かって吼えたり、野山を駆け巡ったりして、いろいろなケースがありますが、おすすめは、吐く息を大切にすることです。
息を吐くときにゆっくりと一定に丁寧に長く楽しく暖かく温かくすることに意識を集中させるやりかたです。
ネガティブを嫌わず、闇の恐れを減らし
ポジティブに安心せず、光の残酷さを感じるのも
楽しいことだと思っています。
息は吐いてから吸うもの、呼吸という字の通り。
息を出す。丁寧に、ゆっくりと、楽しく、 大事に、優しく、温かく。
そのうち、楽しくなってくれば、地球の中心から吸って、体に取り入れるのもいい。
そしてまた還してあげるのも。
今度は、天空に出して、また天空から取り入れるのも。
そのうち、天と地の真ん中に立って、息を両方に行き来させるのも。
そして大切なのは、最後にその気を腹下におさめるようになれれば、しなやかに温かくなる。これは忘れちゃいけないこと。
外に出なくても、部屋の中がもう宇宙。あなたの体の全部がもう宇宙。
もうすべてここにある。
それが終わったら部屋の外でも深呼吸してみない?
部屋の中にはなくて外にしかないもある。
吐いた息が、世界に広がっていく。街に森に海に。
今度は世界の気を吸う。街から森から海から。
息を通してすべてがつながる。
呼吸を通して世界はいつでもどこでも全部が全部つながっている。
ケーブルもWiーFiも人工衛星も音も光もなしで。
世界はどこでも一つにつながってしまっている。
もうすでに。
はじめから。
この宇宙が始まった時から。
最後まで。
人の生まれる前から、
そしてどんな人間の世界になったとしても。
火の呼吸
逆複式呼吸の吐き出しを短く回数を多くしたものが、火の呼吸と呼ばれるものです。柔術のグレイシーがやっていたので知っている人もいると思います。これに対しては多くの違った見解もあります。
はじめは5回ほど短く吐いて1回吸う、というペースで続け、慣れてくれば20回吐いて1回吸うペースができるようになります。
この呼吸法は腹筋が鍛えられ、体がすぐに温まるので、下半身が寒く感じる時にも効果的です。
●俗人と仙人を繋ぐ調息呼吸
俗人と仙人の接点を見出すとするならば、それは呼吸法であろう。呼吸法こそ、両者を結ぶ接点であり、それは「調息呼吸」である。
調息呼吸を行う環境は、まず森閑(しんかん)とした静寂の中である。静かであることが、調息呼吸を行う上では、最も大事なことで、その空間は騒音で満たされたり、空気が綺麗でない処は不適格である。静寂の中に身を置いてこそ、呼吸法の条件が達せられる。
こうした静寂の中に身を置き、いま暫(しばら)く静かに、自分のしている呼吸に気付くと、胸部のところが、まず上下運動をしていることが分かるであろう。
つまり、横隔膜(おうかくまく)は横に膨らむのではなく、縦に上下するということである。この縦の上下が、実は生物電流を発生させる源なのである。
しかし、一方で、横隔膜の胸部で行うこの呼吸は、所謂(いわゆる)、凡息(ぼんそく)といわれるもので、俗人がする呼吸である。
凡息(ぼんそく)で は、胸の広がりや、横隔膜の上下運動は極めて小さく、僅かな空気しか吸い込めないのである。呼吸回数も多く、せわしなく、吐いたかと思えば、直ぐに吸い込
む短い呼吸で、極めて浅い呼吸である。この呼吸の連続が、実は現代病という病気を招く元凶になっている。呼吸が浅くては酸欠状態になり、血管内に酸素が送 れないからである。
お奨(すす)めしたいのが、「調息呼吸」である。
但し、調息をやるには、ある程度の最低条件が必要である。都会人の多くは、自然環境に恵まれていない。したがって、本能的に、その呼吸は浅くなる。これ は幸いというべきか、不幸というべきか、都会は余りにも空気が悪いので、大なり小なり、多くに有害物質で大気が汚れているので、ある意味で、「浅い呼吸」
というのは防衛本能からそうなったのかも知れない。また、この環境下だからこそ、浅く、短い、せわしない呼吸をするのであろう。
しかし、防衛本能を露(あらわ)にしつつ、いつまでも浅く、短い、せわしない呼吸では、そのうちに健康を害することは明白だろう。必然的に、病気環境の中に居るということになる。したがって、病気環境から抜け出す配慮と努力を怠ってはならないだろう。
「24時間時計」の中で、普段の凡息は23時間していて、そのうちの1時間だけ、調息をするのである。こうすれば下腹を殆ど動かさない、浅い呼 吸の運動不足も、解消されよう。運動不足とは、スポーツをしないことや、トレーニングジムに通っていないことを運動不足というのではない。
最も肝心な、下腹を運動させるという深呼吸をしない運動の不足をいうのである。