がんの余命 終末期から臨終

 

余命

末期がん患者の症状はいろいろあり、死亡する一ヶ月前ぐらいまでは頭もしっかりしているし、トイレ、食事など自分のことは自分でできる方が多いでしょう

 

余命を大きく4つに分けてみます

   1. 一ヶ月以上、

   2. 一ヶ月未満

   3. 一週間未満

   4. 1〜2日

患者本人にとってはできる事が4段階でそれぞれ違います。

余命が一ヶ月以上であればまだまだ自分の好きなことを行うことが出来きます。

旅に出たり、趣味に時間を使ったり、残された仕事を片付けるなどいろろなことができます。

身の回りのことも自分で行うことができます。

余命一ヶ月以上の時期は頭もしっかりしていますので難しいことも判断できます

逆に、厳しいことを申し上げると難しいことを考えることができ、自分のことが自分でできるのは余命一ヶ月までなのです。

もし自分の死んでからのことを考えておくのならこの時期までです

生前に遺産、自分の葬式、残される家族へ伝えること、そういう大切なことは、余命一ヶ月前までにしておくべきです。

 

余命が短くなれば、体力も落ちます

余命が一ヶ月未満になると筋力が衰えいろいろな活動が出来なくなってきます

集中力も衰えるので、難しいことは判断出来なくなります

自分のことで精一杯になり、他人のことを気遣う余裕は減ってしまいます。

食欲も落ちるし、終末期のいろいろな症状も出てきます

足の筋力が低下し、歩行することが難しくなってくるでしょう

誰かに頼らないと食事、排便、着衣、洗濯、移動など日常動作が難しくなってくるでしょう。

余命一ヶ月未満になると体力が衰え気力が衰えてきます。

余命一ヶ月未満から一週間の時期は移動はすることが体力的に難しくなるので旅行をすることは難しくなるでしょう。

まだ話をすることはできるので、家族と思い出話をしたり、重要なことを伝える最期の時期でしょう

 

余命一週間未満になると筋力は極度に落ち、一日のうちほとんどはベッド上の生活になっていることでしょう

トイレに行くだけでくたびれてしまうようになります。

声を出すだけで疲れ、話をすることも苦痛になる場合があります

大切な人に会い、別れを告げておくのであれば余命一週間未満までに済ませておきたいです。

この時期以降はの意識状態が悪くなり、寝ている時間が長くなり、わけのわからないことを言うようになったり

幻覚が見えるようになります。

 

最期の1〜2日は動けなくなり、ほとんど寝てすごすようになります。

身近な家族が本人と最期の大切な時を過ごす時間となるでしょう。

頭の状態を理解し、簡単な余命予測をすれば心穏やかに最期のときを過ごすことができるかもしれません。

食事ができなくなったら、もうお別れはすぐそこです。

もしあなたが患者の家族なら、会社を休んで最後のときを患者と一緒に過ごす時期です。

 

最期の時を患者と精一杯過ごすことで、あなた自身の深い悲しみから立ち直る時間がきっと短くなることでしょう

 

あなたがガン患者であれば、残してゆく家族のことが気がかりでしょう。

できるだけ、つらい思いをさせないようにと思っているのではないでしょうか?

自分の命を逆算し上手に自分の人生を生ききってください。

 

大切な時間を過ごすためにも、また後悔しないように、ガン患者とできるだけ関わるためにも余命予測は大切なことでしょう

 

癌になってどのように死んでゆくか、

ガンに前までしっかりしていた人でも病気が進むにしたがい、骨と皮しかないぐらいに痩せ、顔の肉が落ち、ほほの骨が浮かび上がり、目はくぼみ、理科室においてある骸骨のような顔になってゆくでしょう

一口重湯をすするだけで、満腹になり、口はからからに渇き、唇は砂漠のように干からびてくるようになってゆくでしょう

水を飲もうとしても、食道の筋力が落ち水が喉を通らない。

口が渇くので、歯が乾き口を閉じることができなくなり、ずっと歯がむき出した状態になるでしょう。

突如訪れる強烈なガンの痛みや息苦しさに苦しみ、筋力が衰え寝返ることもできず、ただ横たわるだけの状態になります。

 

死期が近づくとわけのわからないこと言い出し、見えないものが見えるようになり周りを混乱させます

臨終に弱弱しくなり、血圧が下がり最期には肩で呼吸をするような苦しそうな呼吸するようになり、最期は眠るように死んでゆきます。

 

ガンは衰えるように死んでゆく病気です。

一定の弱り方をするので余命予測がある程度可能な病気といえます。

どのようにお亡くなりになるのかあらかじめ知っておくことは、こころ穏やかに家族を見送る支えになると信じています

 

終末期症状 頭(意識状態)

ガンで死ぬ場合、死ぬ数時間前になると急に血圧が低くなり、肩で息をするようになります。

息を吸っては数秒間休み、息を再開するような無呼吸症候群のような呼吸をします

徐々に呼吸を休んでいる無呼吸の時間が長くなり、最期に呼吸をしなくなるのです。

無呼吸の時間が数分続き呼吸を再開しないと死亡したと判断します。

いわゆる死ぬ瞬間、臨終といわれる瞬間です。

 

法律的には呼吸をしなくなり、心臓の音が止まり、脳の機能が停止していることを医師が確認し、死亡と診断し死亡が確定します。

死期の数時間前の血圧が低くなったとき、多くの患者は意識がほとんどなく、あっても呼びかけにわずかに目を開けたり、反応する程度になっています

多くのガン患者の、ガンの種類にもよりますが、数週間の間にガタガタガタと容態が悪くなり、一日ぐらいかけて死んでゆきます

一日ぐらいかけて死んでゆくと言うことをあなたに知ってもらいたいのです。

急に「バタリ」と死ぬことはほとんどありません。

テレビドラマのようにバタリの死ぬことはない。

本当に意識がないのは1日ぐらいです。

意識があり「いつお迎えがくるの?」と考えることができるのであれば、明日死ぬことはあっても、一時間後に死んでいることはないと言うことです。

呼吸だけでも生きてはいけないし、心臓だけ働いていても生きてゆくことは出来ません。

心臓が弱まれば、呼吸も弱まるし、呼吸が弱まれば心臓も弱まります

心臓と肺は一蓮托生です

 

徐々に死に向かい心臓と肺が弱まってゆくことにあわせ、脳の働きも悪くなり、眠るように死んでゆくのです

肺機能低下が命に関わる多くのガン患者の場合、肺の機能の低下が先に起こるでしょう。

 

肺の機能が低下すれば酸素を血液に取り込む量が減ります。

人間には重要な臓器に優先的に血液を送る機能が備わっており、酸素の取り込みが悪くなると、手足の血流を低下させ、脳や心臓へ血液を送ろうとします

肺の機能が低下し、手足の血流が悪くなると、手足が冷たく青紫色になります

手足が青紫になることをチアノーゼとよびます。

心臓や肺の機能が悪くなると生じるサインです。

チアノーゼはガン終末期の患者の場合、生命を維持することが難しい段階まで、肺の機能が 落ちてきているサインです。

臨終が非常に近いサインであり、チアノーゼがみられるようになると、数日以内に死が訪れるでしょう

 

肺の機能が落ちても、心臓は出来るだけ血液を全身に送ろうと踏ん張りますが徐々に心臓が疲れ果ててしまいます。

心臓の機能や肺の機能が悪くなれば脳へ送る酸素の量が減り、脳が働かなくなり、意識が薄れてきます。

最期の数日になると寝て過ごすことが多くなり、呼びかけ ないと目を覚まさない意識状態となるでしょう。

最終的に心臓の機能が停止するのが先か、呼吸運動がとまるのが先かは分らないです

最終的に心臓自身に送る血液の量が途絶えれば、心臓は働くことができなく なり、心臓の拍動は停止します。

 

癌の進行により、ゆっくりと心臓と肺の機能が低下し、肺と心臓の機能が破綻したら1日ぐらいかけて死んでゆきます。

最終的に心臓と肺がの両方が停止した事実が死である

 

「ガンでは死なない」と言う言葉があるのを知っていますか?

ガンが大きくなることが直接死因になるのではなく、ガンにより体が痩せ、筋力減り、栄養状態が悪くなり死ぬ

という意味をいいます。

 

多くのガン患者の場合、肺の 機能の低下にあわせ、心臓の機能がある一定ラインよりも低下すれば死んでしまうということになります。

 

一定ラインというのは橈骨動脈(手首の親指側の動脈)を触診で触れないほど血圧が下がってしまうことです

ここまで血圧が下がると回復することは少ないでしょう。

ガンの進行により徐々に、徐々に肺機能が低下し、徐々に、徐々にいろいろな臓器が機能低下を起こし最終的に心臓の機能が低下し死を迎えるのです。

 

大出血の急変

臨終直前の大量血便で共通しているのは、どの患者も血便が出たばかりのときは痛くないし苦しくもないようです

だんだん意識が薄れてゆき、数時間から半日のうちに眠るように死んでいくということです。

 

しかし、同じ出血でも腸管内ではなく、腸管に穴が空き、腹腔内に出血すると血液が刺激となり、腹部に激痛を生じます

腹腔内への出血は意識がうすれるまで悶絶し続けた患者もいます

非常に不幸な最後の迎え方ですが、こういうこともありえるということです

大量の出血は容態が急に変わります。ガンはいつ出血してもおかしくない病気である。

明らかな血便や吐血などがなくても、腸の中で出血していることもある。

常に急変するかもしれないということを頭の片隅において生活していくことになります。

 

腸穿孔

ガンはもろいので腸壁との境目が破れたりすると腸に穴が開き、ウンコが腸から漏れ出すと大腸菌が腸以外の場所で大発生し大腸菌が出す毒素が体中にばら撒かれます。

大腸菌が作り出す毒素は全身性の炎症を引き起こし、血圧が下がり、肺機能を低下させ、出血しやすくなり、大変な状態になります

体力のある方であれば穴の開いた部分を修復することもありますが、末期のガン患者の場合は手術や麻酔それ自体が命取りになるので手術は出来ないことが多い。

穴の大きさにもよりますが、大腸に穴が開いたあと数日のうちにお別れがくると想定できます

腸に穴が開いたときはお腹がとても痛いが、モルヒネなどの麻薬性鎮痛薬を適切に使用することで痛みを和らげることは出来ます

腸に穴があいたばかりの時は痛みが強いが、痛みがなくなれば、ゆっくりと意識が薄れ、思いのほか苦痛は少なく、穏やかにお別れになる印象があります

緩和ケア病棟で見てきた多くのガン患者は穏やかに家族に囲まれながら安らかに逝くことが圧倒的に多いことは強調しておきます

 

肝機能の低下、腎機能の低下

他の死因としては肝機能の低下(肝不全)腎機能の低下(腎不全)があります。

ガンが進行すると肝臓の機能や腎臓の機能が低下してきます。

心臓と肺の機能が低下すると人間の体は重要な臓器である、脳、心臓に優先的に血液を送るようになるシステムが備わっています。

病気が進行すると、肝臓や腎臓への血流は脳や心臓に比べ優先順位が低いので早い段階で血液が送られなくなります。

血液が送られないと酸欠、栄養不足になり肝臓、腎臓は働くことができなくなるのです。

肝臓の機能が低下するとどうなるのでしょう?

肝臓では主に老廃物を分解したり、生きてゆくために必要なたんぱく質を作ったり胆汁を作ったりしています。

老廃物を分解できなくると体中に老廃物が蓄積し、体中の臓器が正常に働かなくなるでしょう。

人間は生きてゆくためのエネルギーを取り出すと、老廃物が作られます。老廃物とはいわば毒素である。

一つの例として、老廃物が溜まると、心臓の収縮力が弱くなったり、不正なリズムで収縮するようになります。

老廃物が溜まりすぎると、心臓の働きが極端に悪くなり最後には停止してしまうのです。

肝臓機能の低下を生じる原因に肝臓の転移があります。

肝臓への転移などで、肝臓でガンが大きくなると正常な肝臓部分を奪ってゆくことになります。

つまり肝臓内でガンが大きくなると正常な肝臓の機能が低下してしまうのです。

老廃物が溜まり、生きてゆくのに必要な物質が作られなくなると体のいろいろな部分に不調をきたす。

老廃物(アンモニア)が溜まりすぎると、脳の機能が低下しケイレンしたり意識状態が悪くなります。

また肝臓で作られる血を止めるためのタンパク質が作られなくなると、出血しやすくなります。

極度に肝機能が低下した状態では、皮膚の中で出血し紫斑ができるし、脳内出血を起こしたり、血を吐いたりするようになります。

生きてゆくのに必要な肝臓の機能が奪われると死に至るわけです。

 

腎臓の機能低下の場合は?

腎臓の主な機能はおしっこを作ることである。

肝臓同様に送られてくる血液が少なくなり、腎臓の機能が低下することがあります。

腎臓への転移は少ないのですが、腎臓から膀胱までの尿管という部分がガンに圧迫されて尿の通過障害を生じることで腎臓から尿が作られなくなることもあります

腎臓より下にガンができると尿管を圧迫し尿が出なくなることがあるということです。

尿が作られなくなるということは体の老廃物を捨てることが出来なくなるということです。

老廃物が体にたまると様々な不具合が生じてきます。

 

老廃物の一つであるアンモニアが体に溜まれば、脳機能低下を招き、徐々に意識も薄れ、寝ている状態となり、

死を迎えることになるでしょう。

また老廃物の一つである乳酸が溜まりすぎれば体が酸性となり、心臓の収縮力は弱くなってしまうでしょう。

そしていつかは心臓は止まってしまい、死を迎えることになるでしょう。