鎖骨の痛みと治療法
肩こりや冷えなどの緊張の蓄積、頚椎ヘルニアなど神経、ガンの痛み、骨折・外傷の4つです。
鎖骨の右側か左側か
右鎖骨の下が痛い時
そもそもどうして動物は痛みを感じるんでしょう?
それは体のいたるところに張り巡らされた神経が刺激を受けて、痛みとして脳に伝達しているからです。
このような痛みの代表的な疾患に「胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)」と呼ばれるものがあります。
鎖骨の下には、鎖骨下動脈(さこつかどうみゃく)と腕神経叢(わんしんけいそう)が通っておりその周囲に筋肉があります。
鎖骨下動脈は血液の流れる動脈血管、腕神経叢とは、脊髄神経から頭、首、上肢(腕を含む、お腹から首までの部分)のうち、鎖骨、腕、手へとつながる神経の叢=たばのことです。
これらが首から伸びる筋肉によって圧迫されて痛みを感じる、というものです。
対処法としては、首、肩周りを温めての血流を良くしたり、かるくストレッチすることで改善されることがあります。
ほかには肩こりの延長からくる頚性神経筋症候群(けいせいしんけいきんしょうこうぐん)によって鎖骨が痛むので後述します。
左鎖骨の下が痛いとき
左鎖骨の下が痛い場合でも胸郭出口症候群である可能性はありますが、この場合については内科的な疾患が疑われる場合があります。
左側には心臓があり、真ん中より少し下には胃があり、右側には肝臓、と内臓を守るようにして骨が組まれ、筋肉が関節につながった形で骨の周りをおおっています。
胸の奥が痛い、胸がしめつけられる・押さえつけられる、胸が焼けつくような感じがするといった症状のある狭心症。
強い胸の痛み、呼吸困難、吐き気や冷や汗がでてくる心筋梗塞。
どちらも虚血性心疾患に分類され、心臓の筋肉(心筋)に血液(酸素と栄養)を運んでいる冠動脈という血管が、動脈硬化(血管が固まってしまう病気)などにより狭くなったり詰まった結果、心筋の血液が不足しておこる病気です。
この虚血性心疾患は生活習慣病の一つであり、現代では食の欧米化が一つの原因とされています。何千年も続けてきたことを短期間で変えるのですから当然として問題が出てきます。
過剰な食事やアルコール、糖尿病、高血圧、高脂血症、などの危険因子が重なると、それぞれが軽度であっても虚血性心疾患を発症しやすくなります。
そのため、始めはたまにちょっと痛む程度だったのに急に激痛が走った、といった突然の変化が現れることがあります。
肩こりなどの炎症による痛み
肩こりの症状の延長として、鎖骨、鎖骨の下が痛むことがあります。
肩を縮める動作が知らぬ間に、肩と鎖骨周辺の筋肉をこわばらせている可能性があります。
冷え以外にも、同じ格好で作業をする方も同様に鎖骨に痛みを感じることがあります。現代で多い原因の1つに、長時間のPC作業です。同じ姿勢で、1日中PC画面を眺める作業は肩や腕を固定してしまうため、肩や鎖骨の周りに緊張感が蓄積してしまいがちです。
頚性神経筋(けいせいしんけいきん) 症候群の可能性
頚椎(首)の後ろの筋緊張が強いことで様々な症状が現れる病気です。首以外に鎖骨が痛むこともあります。
表に出る症状は
めまい
自律神経失調症 意識と非意識のオンとオフのバランスが悪い状態
ストレス
うつ状態
パニック障害
慢性疲労症候群
理由は
首の筋肉(頚筋)の異常により、頭痛、めまい、自律神経失調症が起こる疾患。
自律神経失調の症状は、肩こり・首こり、動悸、息切れ、手足の冷え、目の疲れ、全身倦怠感、不眠、うつ状態など、いわゆる不定愁訴といわれるもの。
首の筋肉の異常は、パソコンやスマートフォンなどの急速な普及により、うつむき姿勢を続けることで生じた首の筋肉の緊張による「首こり」から起こる。
頭は体重の一割なので5キロから8キロもあるのですが、それが傾くと支えるのに筋肉に多大な荷重がかかります。例えば2リットルのペットボトル3つを45度の角度で1時間持つことを想像してみてください。
頭部外傷や外傷性頸部症候群(いわゆるむち打ち症)でも起こる。首の筋肉に過度な負担がかかると、筋肉は疲労して過労状態となり、変性が生じて硬縮が起こり、頚性神経筋症候群の三大症状(頭痛、めまい、自律神経失調症)が現れ、体調不良となる。この状態が長く続くと、うつ症状(頚性うつ)が現れる。
東京脳神経センター理事長・脳神経外科医の松井孝嘉が、一向に治らない不定愁訴の患者の首後方にある筋肉に共通の異常を発見したことで命名された疾患群。略して、一般には首こり病の俗称で知られる。
治療方法
ストレッチ、姿勢、
首を下に向けない。
本、PC、テレビ、携帯を見る時には、それらを目の高さまで持ってきて使用する。
できない場合はPCなどの使用時間を1時間以内にする。
その他の可能性
椎椎間板ヘルニアの可能性
首の骨である脛椎(けいつい)が何らかの原因で飛び出し、神経にあたってしまう病気です。首の痛みと共に、神経の誤解から関係ない部位が痛むことがあり、鎖骨が痛むこともあります。
原因
加齢
姿勢が悪い
同じ姿勢を続けている
外傷、運動など外からの負荷
治療法
痛い場合は安静にする
湿布薬の使用
痛みが引いたら温熱療法
日頃の姿勢を見直す
枕の高さを見直す
ゆっくりとしたストレッチを行う
ガンなど重病が原因かもしれない痛み
鎖骨や鎖骨周辺が痛む場合には、炎症や神経などの原因以外にも、ガンなど重病の可能性もあります。
ガンの腫瘍(しゅよう)による圧迫で痛むこともあれば、放散痛(ほうさんつう)といって、患部とは関係ない部位が痛むことがあり、鎖骨周辺が痛む場合もあります。
また、左側の鎖骨が痛む場合には、心臓関係の疾患がある可能性もあります。
症状
血圧が高い
しこりのようなモノがある
リンパ節が腫れている
ぷくぷくぶよぶよしたモノがある
悪臭がする
めまいのメカニズム
めまいの原因となる身体のトラブル
https://www.youtube.com/watch?v=i27hXZoiDDU
めまいは、三半規管や耳石器(じせきき)といった器官が障害されることで起こります。
三半規管は、耳の奥の内耳にあり、頭や身体の動きをとらえる器官で、耳石器も内耳にあり、三半規管とつながっています。耳石器は、頭や身体の傾きを感知します。
これらは、体のバランスをとる器官ですから、バランスがうまくとれなくなるとめまいが生じます。
めまいの原因としては、三半規管や耳石器以外にも、脳の障害、血液循環障害、神経障害、精神疾患等が原因でも起こります。
めまいの種類
めまいは大きく分けて以下の2つの種類に分かれています。 浮遊性のめまいと回転性のめまいです。
浮遊性のめまいは、雲の上を歩いているかのように体がふわふわと浮いているように感じるめまいです。
こちらは、回転性のめまいとちがい、慢性的に発生する事が多いのです。浮遊性めまいで考えられる原因は、精神的、肉体的な様々な要因により生じる自律神経の乱れや脳神経のトラブルなどです。例えば、ストレスや高血圧などが原因で自律神経が乱れて浮遊性のめまいが生じることがあります。
自分がふわふわと宙に浮いているような感覚に陥ります。前庭神経の障害が両側に起こった場合や片側のみの障害でも比較的症状が軽い場合、また、長時間のコンピューター作業によって眼精疲労、肩こり、頭痛、いわゆるVDT症候群でもおこります。
回転性のめまいとは、名前の通り、地面がグルグル回っているように感じるめまいです。
この回転性のめまいは、ある日突然起きることが多いです。回転性のめまいを生じる疾患としては、前述したメニエール病や突発性難聴、前庭神経炎、良性発作性頭位めまい症などがあります。
前庭神経炎とは内耳にある前庭器官の片方が、ウイルス等の原因で障害を生じる病気で、激しい回転性めまいが突然起こり、数日から1週間程度継続する病気です。
良性発作性頭位めまい症は、頭の位置や向きを変えたときに回転性めまいが起こります。耳石の三半規管への混入が原因で生じます。
グルグル回る回転性めまいが生じた場合には、内耳に関係する可能性が高い為、耳鼻咽喉科を受診するほうがよいでしょう。
なお、回転性めまいについては、「回転性めまいとは? 原因、症状、治療、予防について」の記事で詳しく説明していますので、ご参考にしてください。
メニエール病は、内耳のリンパが増えて水膨れとなる状態である内リンパ水腫が原因の病気です。内耳には、前述した平衡感覚を司る三半規管と耳石器があり、これらが水ぶくれになることによりめまいが生じます。メニエール病では、この後の「めまいの種類」の項で説明する「回転性のめまい」「浮遊性のめまい」等様々なめまいが生じる事があります。めまいが生じる時間は、10分程度から数時間程度と様々です。メニエール病を起こす要因としては、ストレスや睡眠不足、疲れといった生活面の要因や、几帳面で真面目といった性格的要因、気圧の変化といった天候的要因など多岐に渡っています。
部位ごとにみためまいの原因と症状
耳
耳の役割は、音を聞くことだけだと思っている方が多いですが、耳にはもう1つ大きな役割があります。それは、体のバランスを保つことです。
耳の中にある内耳にはリンパ液で満たされている外リンパ腔と内リンパ腔があります。この内リンパ腔にあるリンパ液が増えすぎるとめまいが生じます。前述したように、メニエール病によるめまいも、このリンパ液が原因で生じます。また、前述した前庭神経炎のように、耳の中にある前庭神経が炎症を起こすことでも、めまいが生じます。耳が原因でめまいが生じる場合には、耳鳴りや吐き気、嘔吐といった症状も出現する事が多いです。
脳
めまいの原因には脳によるものがあります。
脳卒中、てんかんなどの病気によりめまいが生じる事があります。
めまいの原因が、脳である場合には耳によるめまいと違い、耳の聞こえにくさや耳鳴りの症状は現れません。
脳が原因のめまいには、ものが二重に見えたり、体のしびれを感じたり、体に力が入らないといった症状が現れる場合が多いのです。また、めまいの程度も非常に激しくなります。
全身
めまいは、耳や脳などの特定の箇所に生じる病気だけが原因になるわけではありません。
全身性めまいといって、全身の身体的な問題が理由でもめまいがおきます。
全身性めまいの原因としては、高血圧、低血圧、発熱、貧血などが原因です
メンタル
身体の異常ではなく、メンタルが原因でもめまいが起きることもあります。
ストレスにより、自律神経が乱れて、めまいが起こるのです。
メンタルが原因でめまいが起きる場合には、この他に、倦怠感、頭痛、不眠、動悸、体の痛み、食欲不振といったように様々な症状が併発します。
また、更年期になると、めまいが起こる人もいます。閉経が近づいて、女性ホルモンが激減することで、自律神経も乱れます。また加齢によって感覚器官の機能が低下することで起こることもあります。めまいの種類としては、浮動性めまいも回転性めまい、立ちくらみのようなめまいも起こります。
薬
自分自身の肉体や精神の異常ではなく、薬剤の副作用が原因でめまいが生じる場合があります。抗生物質、抗パーキンソン病薬、精神安定剤、降圧剤や市販の風邪薬、頭痛薬といった薬を飲むと、副作用としてめまいが生じることがあります。もしも、薬によるめまいが疑われる時は、薬を飲むのをやめて、処方された医療機関に服用を継続すべきか否かを相談して下さい。
東洋医学からの「めまい」
東洋医学では気血水と、気・血・水の三つ関係性を大切にします。
「気」とは、気落ちする・元気が出る・病は気から・などという言葉で分かる通り、「精神」などのことを指します。厳密のはもっと広い意味があり、エネルギーの元です。「血」は、文字通り血液のことです。「水」とは体に含まれる水分全体を指します。
東洋医学では、この気血水が滞りなく全身を巡っていれば病気はしないと考えます。気が滞りなく流れていれば血も滞りなく流れます。すると当然水も滞りなく流れるため、気も滞りなく流れるというように、気血水はお互いに影響しあっているのです。流れる川の水は腐らないように、気血水が流れていれば、悪くなるところはありません。
めまいは水毒症の症状
めまいは、気血水のうち水の流れが滞ってしまった状態になります。漢方や東洋医学的には「水毒症」と言います。水毒症は、水の流れが滞るだけでなく、水が体の中に遍在(ある部位にはたくさんあるけど、ある部位には少ない)している・体全体に水が多い・ということもあります。
回転性のめまいは、内耳にリンパ液が貯まることで起きます。メニエールや内耳炎・脳脊髄液の流出自律神経失調症などのめまいも、内耳に水(リンパ液)が貯まってめまいが起こるのです。
水毒症は、その他にも色々な症状の原因になります。むくみはいかにも水毒症という感じですが、その他にも関節に水毒が溜まるとリウマチ、気管に溜まると喘息、鼻で溜まると副鼻腔炎、というように水毒は色々な症状に関連しています。ちなみにめまいの時に吐き気があったり嘔吐をしやすいのは、胃の中の余分な水分を出しているのです。
また、東洋医学では耳と腎臓は関連し合っていると考えていますので、水毒=むくみ(腎臓の機能が低下)=めまいという図式は分かりやすいと思います。
西洋医学的にも、利尿剤(水分をおしっこで出す作用がある)を血行を良くする薬と共に処方することはよくあります。
水毒症は、体の中に余分な水分があることと、気血水(特に水)の流れが滞っていることでおこります。そのため、余分な水分を取らないように心がけましょう。特に冷たい水は体を冷やし、気血水の流れを滞らせてしまうので、水を飲む時は常温もしくはぬるま湯で飲むことをお勧めします。
またスポーツを頻繁に行う方、医師に水分をこまめに取るように言われた方以外は、頻繁に水を飲むのはやめましょう。確かに水は体にとって必要なものですが、「過ぎたるは及ばざるがごとし」です。水を取れば必ず排出されるように言われる方もいますが、それはあくまでも健康な人であり、気血水が滞った段階でこの定説は成り立ちません。
更に、気血水の流れを良くするために軽い運動や体操、マッサージを行うといいでしょう。
運動や整体の後は体から余分な水分が抜けるので、ぬるま湯などを飲むといいでしょう。水毒症の方は水分を取る前に水分を出すことが重要です。