うつ病 脳内イメージに誠実な人
長期にわたって治らない人の共通点
飲酒
昼間まで寝ている
運動不足
うつ病に多い共通点
いくつもの一人称を使う
他人に関心がなく自分に関心が強い傾向 二人称や三人称の利用が極端に少ない
自分のつらい過去や苦しい思い出を繰り返し思い起こす傾向
絶対主義
白か黒か 「完全に」「明確に」「絶対に」
ネガティブな感情表現
不安だ、絶望だ、お終いだ
言葉に影響を与えられてスパイラルに
完成したイメージから発想する
ゴールから物事を見る プロセスよりも結果 自分のやってきたことから積み重ねない
完璧主義
「しなければならない」「必ず」などの強迫観念
理想が高く現実との差が埋められない 結果が出ず苛立つ
自分にも他人にも厳しく融通をきかせることができず、自他を責める
「心理的なストレス」、「脳内の変化」、「なりやすい体質」の3つがあります。
これら3つの原因が重なって、うつ病を引き起こしていると考えられます。
心理的なストレスとは、過労や対人関係のトラブル、離婚や死別といった生活上の問題が原因となるストレスですが、そうした心理的なストレスがきっかけとなり、そのストレスで脳の働きのバランスが崩れることで、うつ病が発症すると考えられています。
脳にはたくさんの神経細胞があり、さまざまな情報を伝達していますが、その働きで「感情」が生まれます。最近の研究では、ストレスを受けることで脳の一部の神経細胞の回路に変化が生じ、それによって感情や考え方に強いパターンや条件反射が固定化されてしまうのではないかと指摘されています。
「真面目で完璧主義」
プロセスよりもゴールから現状を見る。
ゼロからここまでできたというプロセスを見るのならば現状を評価して、休息することができる。
ところがゴールである完全な状態から現状を見るならば、いつも欠けている状態でしかなく、それを真面目に成し遂げることを優先させてしまうと脳は休息する時間がなくなってしまう。
この視点だけでこの世と接する者は、達成や満足からくる解放感という「思考」しなくてよい状態が少なく、常時において脳に働きを要求してしまうことがうつの原因の一つだと推定される。
非常時以外は「思考」を使わないというぐらいの思いがあって、現代都市生活ではちょうどいいのではないか?
それほど現代は「思考」「選択」「条件反射」を日常生活の中でしいられ要求される時空である。
自我と自己
人は、成長する過程で必ず、意識とは違う「無意識」に出会います。
心とは、本来、「意識している自分自身の心(自我)」と、「無意識と関わる心(自己)」とが、それぞれに足りない部分を補い、バランスを保ちながら成り立っています。
ここでいう
「自我」とは
自分は自分であるという気持ちを支える「意識の中心」
自我は意識の領域だけを支えている。
「自己」 とは
無意識と意識を合わせて完成した「心そのもの」
自己は、意識と無意識の心全体を支えている。
「私はこうあるべき・・・」
「私は、立派な人間である為にこうすべき・・・」
「今までこうだったから、これからもこうしなければならない・・・」
「これはこうするべき・・・」
と自我はこれまでの経験から作る上げたルールを大事にして、それを基準にして判断をしようとします。
それ以外の「休みたい」「面倒くさい」「そのままでも死にはしない」などのメッセージを抑制します。
また周りの環境に合わせ過ぎてしまう場合も同じです。
2つの共通点は、自分のカラダの声よりも、こうあるべきだという脳内の価値観を選択しているということです。
こうあるべきだ、というのはプロセスではなくはじめから結果というカタチを優先させているので、常に変化しているこの世に対応するには硬すぎて無理をしなければならないアプローチです。
この世は常に変化する柔軟性を持っているのですから、こちら側も柔らかく緩く接する必要があります。
ところが、自分のカラダが求める声に反して、無理に“意識(自我)”を言い聞かせれば言い聞かせるほど、心に無理が生じていく。
そして、「自我」ではもう支えられないほどに、その無理が大きくなってしまうと、受け止める事すらできなくなる臨界点があります。それに達すると、克服したいと思う意欲や気持ちすらも奪い取ってしまい、やる気を失くしてしまいます。
これがうつになるケースの一つです。
この状態を脱するには、自分の内なる心やカラダの声に気付き、それに向きあいながら受け入れることで、心の成長、心の発展への可能性を導くものとなるのでしょう。
こうしてヒトの心は「他者」を受け入れながら成長させ、それに従って自己も移り変わっていきます。
「自己」が求める生き方ができて初めて、心の満足感・幸せ感を得ることができのかもしれません。
ユングの言う自我実現と自己実現
ユングいわく「自我実現」とは、社会的に評価されるようなこと。
やると決めて、それができた!
みんながすごいと言ってくれたり、自分も達成感がある
自分を褒められる、認められる
意識的・理性的に予想していた(意図していた)成功や実現を得ていく
「(目に見える形で)何かできたら、自分を認められる」というのが、自我実現です。
それに対して、「自己」とは、意識だけでなく、無意識も含んだものを意味します。
ですから、「自己実現」というのは、潜在意識や無意識というわけのわからない要素が突入してきますので、
思い通りにいかないことも増えます。
人生中盤以降で取り組む、ユングのいう「無意識と共に歩む自己実現」とは、
【どうなるかを決めて、その通りに実現させてナンボ】(自我ワールド)という世界から
【どうなるかわからない世界も、自分の中に取り込んで統合していく】(自己ワールド)
という世界になってくるという意味があります。
いままで、どうするか決めて、結果を出したら自分を認めてきた、コントロール好きの「自我」にとって、どうなるか分からず、訳も分からず、成果が見えないというのは、コントロール不可能ですから、ストレスフルで、怖いものです。
そうなると、自我くんにとって、自己ちゃんは脅威になり、必ず、自我くんは抵抗します。
この境目で「うつ」になるケースがあります。
「わけのわからない事とか、どうなるかわからない世界を取り込むなんて、振り回されるし嫌!」
「そんなの不安で耐えられない」
「成果が見えなかったら、どうやって自分を評価するの?」
「成果がなければ、誰も認めてくれないんじゃないの」
そんな思考の自分は、ヤングな自我実現モード。
女性の中には「出産後、人生が、一気に自己実現ワールドにシフトチェンジした」と感じるも多くいます。
自分がどうしたいか?を実現して充実感を感じていた世界(ヤングな自我ワールド)から赤ちゃんの都合で、次の瞬間どうなるかわからない部分を引き受けて統合していく世界(自己ワールド)を、グイグイ育てていないといけなくなるわけですから。
「目に見える成果」でなく、目に見えない部分つまり「自分の内面がその現実にどう反応したか?」で自分を見つめていく」という世界は、成果主義の自我くん(つまり大半の大人)にとって、(仕事でいえば)
「仕事で、目に見える成果を出せなくなる事を、評価する」くらい、難しい事!と言えます。
自己ワールドでは、自我や理性でコントロールできたものが、出来ないことが増えますので、働いてきた女性の多くが、出産後に、アイデンティティをグラグラ揺らされるのは、そういう事なのかもしれません。
うつ病発症の危険因子
・女性(男性の約2倍の頻度)
・金銭面での困難
・別居、離婚
・子供の時にトラウマを経験
・都会暮らし
・慢性的な身体疾患
・頼りになる友人がいない
・慢性的なストレス状態
本当にうつ?他の病気の可能性
うつ病と診断されて服薬などの治療をしているけれど、治らない…実は、誤診の可能性もあるのです。
うつ病に似た症状の病気は下記のようなものがあります。
気分変調障害
常に気持ちが落ち込んでいる状態が続く病気です。
脳内のセロトニンの分泌が減少している状態はうつ病と同じです。
しかしうつ病ほど深刻ではなく、仕事などは通常にこなせています。
気分転換、趣味という感覚が理解できない
楽しい、うれしいという感情が理解できない、声を出して心から笑うという事も同様に理解できない。
人間関係の軋轢が極度に苦手
まじめで几帳面。仕事なども断る事が出来ない。また、手を抜くという事も出来ない。
自分の価値に自信がなく、消えたい、などと思う事がある。
決断が出来ない。
朝の目覚めが良くない。目覚めた時点で落ち込んでいる。
症状が悪化し、不眠、食欲不振などの症状がでてから病院へ行く例が多いようです。
『行動記録』などを付けて自己認識を深める事で完治します。
新型うつ病
通常の鬱病は生活全般に渡って無気力になるものです。
それに対して、新型うつ病は趣味などの好きな事をしている時は非常に元気になるという特徴があります。
そのため怠け者と取られがちですが、うつ状態の辛さは通常のうつと変わりません。
症状としては
趣味など好きな事をしている時は元気
仕事、家事などやりたくない事(集中、緊張が必要とされる作業)をしなければいけないとうつ状態になる
人に非難されると、いら立つ。
トラブルが起こると、自分が原因でも人のせいにしたくなる
人に対して攻撃的
上手くいかない事や苦しい事があるとすぐに体調が悪くなる
抗うつ剤の効き目が出るのが遅いのが特徴で、むしろ心理療法で治るケースが多いようです。
服薬よりも認知行動療法が有効です。
適応障害
ストレスからくる心の不調です。
環境の変化(引っ越し、進学、転校、就職、結婚など)
大きなストレス(人間関係のトラブル、事故、本人または親の離婚など)
などが原因で環境に適応できなくなってしまいます。
症状としては
不安、イライラが続く
頭痛、耳鳴りなどの体の症状がでる
自分だけが損をしている、人が自分の悪口を言っているなどと思い込む
人間関係が苦手(挨拶や日常の何気ない会話などをしたがらない)
『場の空気』が読めないといわれる
ストレス原(職場や苦手な人など)から離れると症状が軽減するのも特徴の一つ。
双極性障害
俗に『躁うつ病』と呼ばれるものです。
うつ病は慢性的な落ち込み状態が続くものです。
それに対して、双極性障害は極度の気分の高揚と落ち込みを繰り返します。
躁状態の時は活動的で仕事をばりばりこなしてゆきます。
しかし現実認識力が甘く、能力以上の仕事の予定を次々と詰め込み、こなしきれずに落ち込んで一気にうつ状態になるという事も。
症状としては、
活動的な時と無気力な時の差が激しい
生来は社交的、活動的。幼いころから活発だった。
突然、高揚した気持ちになることがある。時間帯や相手の都合を考えずに電話やラインなどをしてしまう。
落ち込んだ時(うつ状態の時)は不安感が強くなる。または何もかも自分が悪いような気持になる。
うつ状態の時は躁状態の時の自分が恋しくなる。あんなに元気だったのにと自分を責める。
双極性障害は、長期的なストレスや睡眠不足などがきっかけで引き起こされます。
うつ病が再発する原因と対策 再発しやすい人の生活習慣
再発を繰り返す人には、どのようなタイプがいるのでしょうか。
不規則な生活をしている。
就寝、起床、食事、入浴…といった生活のリズムがその日によってマチマチですと治りにくいものです。
後で昼寝するとしても毎朝同じ時間に布団から出る。
眠れなくても同じ時間に布団に入る…など、体にリズムを刻む事が重要です。
人間の脳は一定のリズムに安定感を持つようにできています。生活のリズムを整える事は治癒への早道。
昼夜逆転の生活をしている(日光浴をしていない)
サプリメントは栄養素が凝縮されているため、逆に体の毒になる場合もあります。
薬だけで治そうとすると治らない うつ病と考え方
うつ病は脳内のセロトニンの分泌が減少する事で起こります。
薬だけでなく、普段の生活習慣でセロトニンの分泌を促すようにする必要があります。
うつ病の人はまじめで責任感が強く、物事がうまくいかないと自分の責任だと感じてしまう傾向があります。
常に最悪の状態になることを心配したり、人の評価を気にしすぎる面も。
そういった『認知のゆがみ』を認識することが、完治への近道となります。
鬱病とストレス
「ストレス」といいますのは我々動物が危険を回避するために必要不可欠な「防衛機能」です。ですから、それはほとんど全ての動物に備わっており、少なくとも、魚類や昆虫類にまでは立派にその機能があると考えられます。
ストレスを感じられないということは、それは即ち、我々は自分の身の危険を察知することができないということです。ですから、この能力を持たない動物は子孫を残すことはできません。従いましてストレスとは、それは我々動物が進化存続の過程で獲得した、「自然界で生き残るための根本的な防衛機能」ということになります。
ストレスといいますのは身体内外の環境の変化に対して発生するものであり、脳はこれを危険信号と判定し、与えられた状況に対応した生理状態が強制的に整えられます。
「ホルモン伝達系」と「自律神経伝達系」の二系統があり、ストレスと自覚できるのは主に自律神経伝達の方です。身体にとっては何れも一時的な負担となりますが、厳密にはこれは「ストレス対処反応」と定義され、問題が解決されるならば速やかに通常の生理状態に戻されます。ですが、ここで運悪く何時まで経っても状況が改善されず、身体の緊張状態がそのまま継続されるならば、果たしてネズミでも間違いなく胃潰瘍になります。そして、このような「ストレスの慢性化」が神経伝達系の機能障害に及んだものが「うつ病」であり、果たしてこのような状態になりますと自然治癒が難しくなります。
近年、人間には「5−HT(セロトニン)」の多い少ないを決定する遺伝子が発見されており、少ないタイプはうつ病になりやすいとされています。ですが、この遺伝子は危険を察知したり適切な判断を下すために重要であったため淘汰されませんでした。そして、少なくとも寿命に関わるような疾患ではありませんし、基本的にはその原因は「生後環境のごたごた」にあります。ですから、親がうつ病であったからといってその原因が子供に遺伝するということはありませんので、これが進化における淘汰の因子として働くことはなかったのだと思います。
野生動物にとっても自然環境といいますのは決して楽なものではありません。ですが、与えられた環境の厳しさに耐えられずにそれでうつ病になってしまう動物であるならば、そもそもそこに住んでいないはずです。
動物といいますのは住めないところでは暮らせませんし、生後環境において何らかの危険やストレスを学習するならば二度とそれに近付くことはしません。つまり、このように野生動物といいますのは意味もなく無用なストレスに曝されないような「自由な行動」を選択することができるわけです。
では、これが檻に入れられ、どうやってもストレスから逃げ出せない状況に追い込まれてしまったならばいったいどうなるでしょうか。果たして、我々人間といいますのはこの「檻に入れられた動物」と同じです。
例えば、仕事のことで上司に叱られれば誰だってストレスを感じます。これは通常の反応ですから何の問題もありません。そして、仕事が終わって家に帰るならば取り敢えず目の前に煩い上司はいないわけです。ところが、真面目なひとは家に帰ってからも今日の仕事の失敗をくよくよと考えてしまいます。そして、あまつさえ寝る頃になりますと、今度は明日の仕事のことがまた心配になってきます。
このように、我々はみな与えられた過酷な社会環境に必死で適応するため、仕事のストレスをわざわざ家まで持ち帰り、更にご丁寧に明日のストレスまで予測しなければなりません。ならば、これでうつ病にされるくらいだったらさっさと会社を辞めてしまえば良いのですが、そんなことがおいそれとできるわけがありません。果たして、これが我々人間の「慢性化する社会性ストレス」であります。
ストレスといいますのは回避するために発生するものです。ですから、やんごとなき状況に曝されるならば動物といえども心的傷害は免れません。ですが、このように我々人間といいますのは与えられた社会環境に適応するために必要な学習行動が他の動物とは比較にならないほど高度に複雑です。ならば、残念ながらこれが、現代社会ではいわば「自然の中の動物と檻の中の人間の違い」、ということになるのではないかと思います。
ウツ改善
「うつ病になりやすい性格がある」と倉嶋さん。きちょうめん、まじめ、律義、勤勉で責任感が強く、周囲に気を使う...。「いわゆる大変"いい人"がうつ病になりやすい。私は100点満点を取りたいという気持ちや被害妄想とか、社会とはこういうものだ、といった過度の思い込み、認識の誤りがあった。子どもっぽいというか、幼児性、幼弱性もあったように思う」
「かくあらねばならない理想の自分」と実際の「自分」。その間に、非常に格差を感じたという。「欠けた部分を自分の弱点として強く意識し、弱点を私だけのものと思って逃げ出した。それがトラウマになって、"負け犬"になったと思った」
"悲しみ比べ"をしてはいけない、とも。「あなたの悲しみはこの人に比べたら何でもないなんて、うっかりやってしまうが、それはいけない。悲しみはその人にとっては絶対的だし、それを相対化するのは、その人自身。周りの人は、もうこの人はそろそろ相対化できそうだなというときに、ひと言かふた言、肩をそっと上手に押してあげる。『頑張れとは言うな』は、もっと突き詰めて考えてみる必要があると思う」
私はうつ病に関しては素人ですが、伯父からも小倉千加子先生からも、とてもいい言葉を聞いています。
伯父が言っていたのは、「日本人は真面目な上に自分と他人を比較する人が多い」と。恵まれているのに幸福感を実感できない。何かの欠落感を感じて、「もっともっと」と自分を追い込んでしまう。それを伯父は「モアモア病」と言っていました。仕事でも人間関係でも100%の完璧を追い求めず、80%でそこそこ満足することが大切だそうです。
それから小倉先生の言葉にも感動しました。「アメリカからやって来た成果主義というのが幅を利かせている今の世の中で、心が折れないほうがおかしい」と。うつ病という形で悲鳴を上げるのが、本来の人間らしさともおっしゃってました。
私の心に強く響いた小倉先生の言葉を紹介させていただきますね。
「幸か不幸かうつ病になってしまった人は、自分が弱い人間などと悲観する事はない。また新しい人生の、新しい価値を見つけるチャンスなのだと認めよう。人間には、自分で自分の心の声を傾聴する使命がある。人生は何度でも軌道修正できる。うつ病はそのことに気づく重要なきっかけを与えてくれる。人間は心の病でも身体の病でも、必ず治癒力が備わっているものなのである。」
私の友人にもうつ病に苦しんでいる方がいますが、特に小倉先生の言葉は、心の悩みを持つ多くの方々に勇気づけてくれるものだと思います。
うつ病治療
清水浩の薬 一日
パルデケンR200mg一日3錠
リスペリドンOD1mg2錠
ノイクロニック5mg 1錠
ウインタミン25mg 1錠
ピレチア 25mg 1錠
プロチゾラムOD0.25mg 1錠
リボトリール 0.5mg 2錠
フルニトラゼパム1mg 1錠
セニラン 2mg 2錠
セニラん 5mg 1錠
認知行動療法の特徴と欠点
認知行動療法は人の認知、行動を変えるためにさまざまなアプローチで気づきをもたらせてくれます。ただ、認知行動療法のプロセスは長く、自分を責めるようなニュアンスがたくさん出てきます。また、自分自身の問題を自分自身の力でチェックして修正しようというのは作業として難しい部分があります。認知行動療法は保険点数がつくので医療機関などでよく使われていますが、症状が軽く、根気強くこの療法を継続できる人に効果が出ています。
うつ思考
マイナス思考の3パターン
認知行動療法の対処方法
「現実の受け取り方」や「ものの見方」を認知といいますが、認知に働きかけて、心のストレスを軽くしていく治療法を「認知療法・認知行動療法」といいます。
認知には、何かの出来事があった時に瞬間的にうかぶ考えやイメージがあり「自動思考」と呼ばれています。「自動思考」が生まれるとそれによって、いろいろ気持ちが動き行動することになります。ストレスに対して強い心を育てるためには「自動思考」に気付いて、それに働きかける事が役立ちます。とされています。
認知行動療法の欠点
「自動思考」とは、基本的にはコントロールが難しい、無意識的な思考、反応を指します。それはいわゆる「くせ」を改善するのと同じような作業になる為、長期間の訓練のようなものが必要になります。また、自分自身で認知行動療法を行うには自分の発想を否定し、新しい考え方を創造しなくてはなりません。認知行動療法を何週間にもわたって受けてもなかなか変化が無いのはその実用的ではないプロセスにあります。
認知行動療法の欠点を補うには
認知行動療法は自分自身で「認知のゆがみ」に気付き、それを改善する事を求められます。
ところが認知のゆがみに気付かなくても人は認知の仕方を変える事はよくあります。カウンセラーがカウンセリング技術だけにこだわっていると見えにくいものですが、例えば、優秀な店頭販売員はお客さんの認知をたくみにかえて、購買意欲を向上させ、商品を売ります。そして、購入した人は自分の判断が正しいと思いたい心理が働いて、その新しい認知と行動を肯定するようになります。
PASONAの法則
【P:Problem(問題を提起する)】
「△△でお困りではございませんか?」
「××で苦労されていませんか?」
「□□は不便だと思いませんか?」
など、苦労していること、不便に感じていることなどを明確にして問題を気づかせます。
【A:Agitation(問題を炙り出し、あおりたてる)】
「△△で嫌になってしまいますよね」
「××な時は頭に来ちゃいますよね」
など問題を視覚的・聴覚的・体感核的に想起できるように描写し、あおりたてます。
『S:Solution(解決策の提示と証拠)』
「そんな悩みも○○なら簡単に解決できます。その証拠に○○は□□で〜」
と自社が売っているモノやサービスが問題解決に役立つことを明記し、その証拠を示します。
『N:Narrow down(限定、緊急、絞込み)』
「しかし、この商品は○○の事情で、数に限りがあります」と絞込みをかけます。いつでも購入できるものではない限定感をアピールし、緊急性を演出します。
『A:Action(行動)』
「今すぐ○○までご注文ください!」と次の行動を呼びかけます。
これがPASONAの法則です。
この流れで話を聞くと今までの考え方を捨てて、新しい雹品やサービスがほしくなります。カウンセリングにも応用することで簡単にクライアントさんの認知が大きく変わります。 認知行動療法は基礎となる理論は理にかなっていて、うまく活用すると効果も高いのですが、実際には上手ではない言葉で「指示」をされたり「強制」されるので嫌になってしまいます。
普遍的数量詞
このクラスでは特に「普遍的数量詞(ふへんてきすうりょうし Universal quantifier )」と呼ばれる概念とその解除の仕方を学習します。
普遍的数量詞とは「いつも」「みんな」「すべて」「何も」「決して」「唯一」といった all という意味合いを含む数量、数を表す言葉を指します。
お母さんおもちゃ買ってよ!
「お母さんおもちゃ買ってよ!クラスのみんなが持っているんだ!」
よく聞く会話です。
ここでは普遍的数量詞である「みんな」に着目します。クラスの30何名が全員そのおもちゃを持っているとは考えにくいものです。実際には仲の良い何人かが持っていて「みんな」と思ってしまっている。と思われます。
ここで大事なのは、子どもが嘘をつこうとしているのではなく、「主観的にはみんなと思っている」ところです。「みんな」という言葉、抽象的であやふやな言葉を使う背景にはいくつかのサンプルから勝手に全体像を作り上げてしまうプロセスがある事が分かります。
深層にある全体をくくる機能を揺らがせる
このような現象が起きている時には「みんな」という言葉を手がかりに深層にあるそのくくって全部としてしまう機能に対して、異議申し立てをします.
「いやいや、みんなじゃないですよね!」
という意味で「誰が持っているの?」と聞きます。
子どもは3名くらいの名前が言えるかもしれません。
「・・・・・3人じゃないの!」
日常的な普遍的数量詞
カウンセラーの気づき
開催日程(初級)
中級クラスでは
普遍的数量詞に加え
を学習するとともに深層心理のスマートな変え方を学びます。
相談者と回答者
25歳男です、まず長文になる事をお許しください。質問タイトルの通り、どうしても過去の嫌な記憶が日中でも起きてしまいます。その場合、どうしたらいいでしょうか。
独り身で、家族とも週2・3日帰って食事していたりします(あまり良い状況ではありませんが)。仕事は、今年の8月からいい人と巡り合いけして経済的に裕福ではありませんが楽しくやっております。食事面の改善や肉体面はスポーツクラブで汗を流してストレスの解消も行っております。
ただ、どうしても過去の嫌な記憶がフラッシュバックのように出てきます。病院で手術した夢とか学生時代や社会人での嫌な事を言われたとかあとは、知り合いが事故に合うなどどうしても暗くなってしまうことがどうしてもでてきます。
何か効果的で良い方法があれば教えて頂けたら教えてください。駄文・長文である事をお許しください。
質問者さんの心に不安を発生させているのは「過去の記憶」です。そして、このような「脳内の記憶による心の動揺」を「心的外傷(トラウマ)」といいます。
不安状態といいますのは「大脳辺縁系の情動反応」として生み出されるものです。大脳辺縁系では環境からの知覚入力を基に「利益・不利益の判定」を下し、情動反応を発生させます。ですから、本来これによって心身に発生する「ストレス対処反応」といいますのは、これは飽くまで「今現在に与えられた状況」に対処するためのものです。
ところが、我々の脳内では大脳皮質に何らかの記憶が想起されますと、それは知覚情報として大脳辺縁系に入力されるようになっています。従いまして、それが自分にとって忌まわしい記憶である場合、大脳辺縁系は必然的に「ストレス」という判定を下してしまいます。
このように、「今現在には存在しない過去の状況」に対して不必要な緊張状態を発生させてしまうというのが「心的外傷の特徴」です。
過去の問題といいますのは今現在では解決することができませんし、それが脳内の記憶である限り逃げ出すこともできません。このため、放っておきますとストレスは慢性化し、しばしばうつ病の症状となって現れます。
では、大脳皮質に何らかの記憶が再生されたとしましても、それに対して大脳辺縁系が不利益の判定を下さなければ緊張状態は発生しないということになります。
大脳皮質の記憶を消し去ることはできませんし、過去に戻って結果を変更するというのは逆立ちしても不可能なことです。ですが、大脳辺縁系で行われているのは過去の出来事ではなく、それは過去の結果に対する「今現在の判定」です。従いまして、こちらで行われる利益・不利益の価値判断を「今現在の適切な認識」に導いてやるならば、過去の出来事に不必要な緊張状態を発生させるということはなくなるわけです。
一般に「うつ病」や「PTSD」といいますのはそのほとんどが心的外傷を伴うため、実際の治療でもこのような方法が用いられています。
「今現在の適切な認識」とはどういうことでしょうか。
最も原則的なことは「それは過去の出来事であり、今現在に発生している問題ではない」ということです。
そのとき質問者さんの脳内に再生されていますのは視覚や聴覚などから得られた「感覚記憶」というものです。そして、この感覚記憶といいますのは言語化するのが本質的に困難な情報であります。
言語化できる記憶情報でしたら論理的に整理をすることができますので、矛盾する結果がいきなり頭の中に飛び出して来るということはありません。ですが、こちらの感覚記憶といいますのは、何の脈絡もなく突然意識の中に知覚されます。しかも、それは知覚情報でありますから、当然そのまま大脳辺縁系の判定対象なのです。
このため、我々の脳の構造からしまして、それが過去の出来事と認識できるのはどうしてもそのあとということになります。従いまして、それが忌まわしい記憶である場合、この一瞬のうちに緊張状態は発生してしまいます。
大脳辺縁系では過去の体験に基づいて下された様々な判定の結果が無数に記録されています。これを「情動記憶」といい、同様の入力がありますならばこの判定基準に従って結果が再現されます。ですが、その時点では不利益な事態であったことは間違いないのですが、今現在の判定は決してそうではありません。そして、過去の結果に対して過去と同じ判定を繰り返しているのであるならば、トラウマは何時まで経っても治りません。
では、この緊張状態の発生を未然に防ぐためには、感覚記憶では説明のできない論理的な結果を大脳辺縁系の方に移し変えてやらなければなりません。そのためには、何らかの感覚情報による判定が下されたならば、まずその原因を突き止め、その記憶に関する論理的な解釈をきちんと行うことにより、出来得る限り現状に合った正しい情報をもう一度大脳辺縁系の方に入力してやる必要があります。
そんなことが本当にできるのでしょうか。
実は、私は実際にトラウマの消滅を体験したことがあります。
以前、不用意な発言からあるひとを傷付けてしまいました。それが何年もの間トラウマとなり、思い出す度に自己嫌悪に陥っていました。ところが、ある日その方と再会する機会がありましたので、私は思い切って腹の内を打ち明けました。はっきり言って、相手は何も憶えていませんでした。
良く考えてみましたら、もう何年も前の私の一言です。そんなことをいちいち憶えているわけがないのです。私はただひとり気に病んでいただけなのであります。それ以来、その記憶に関する私のトラウマは二度と現れなくなりました。
世の中には取り返しの付かない不幸もありますし、過去の失敗を取り戻すというのは中々困難なことです。ですが、質問者さんが感じておられる日常の人間関係におけるストレスの中には、果たしてこの程度のことで解決できてしまうようなものが結構ありませんか。
もちろんこれは、たまたま過去の誤解を解くことができたからです。ですが、それによって私の大脳辺縁系における判定基準が書き換えられたというのは間違いのないことです。何といいましても、それで何年ものトラウマが跡形もなく消えてしまったのは事実なのですから。
分らないことには誰でも不安を感じます。ですが、このように事実が確かめられるならば不安は消滅します。トラウマといいますのは記憶に付き纏う不安です。ならば、過去の記憶に関する事実が明らかにされるならばその不安を解消することもまた可能ということになります。
質問者さんは知らず知らずのうちに自分の記憶をうやむやにしてしまっています。
例えば「病院での手術の記憶」、これに対して不快感を覚えないひとはいないと思います。ですが、この時点でそれはまだ言語化されない感覚記憶でしかありません。何故ならば、そこには「過去の出来事である」という論理的な説明が成されていないからです。ですから、辛い体験だからといいましても、ここで放り投げてしまいますと大脳辺縁系の判定結果は昔のまま変わりません。そして何よりも、ここでは「現在は退院して健康に暮らしている」という事実がそっくり抜け落ちています。
できるならばそのような体験はしたくはありませんでした。そして、手術が辛かったのは本当のことです。ですが、質問者さんはそれを乗り越えて健康を取り戻しました。
真っ先に思い浮かぶのは、辛い体験といいますのは印象が深いからです。ですが、質問者さんの身に起ったのはそれだけではありません。このように、今現在までを含めた全ての事実を明らかにした上で、これに基づく総合的な評価が行われないのであるならば、自分の身に起ったことでありながらその記憶に関する質問者さんの解釈はまだ不十分ということになります。
過去の失敗を取り戻すことはできません。ですが、そのとき自分のしたことは本当に間違っていたのでしょうか。間違っていなかったのならばそれ以上悔いる必要はありませんし、不運な結果であるならば諦めるしかしません。
何れにしましても、これを確かめようとするならば、論理化できない感覚記憶ばかりに振り回されていてはいけません。過去の記憶をきちんと整理し、ご自分の目でそれを確かめて下さい。その上で、もし自分に過失があったのならば受け入れるのが正しい選択ということになります。当たり前のことなのですから、臆することは何もありません。逆に、自分が間違っていなかったのであるならば、その事実を正当に評価してやれば良いのです。
トラウマが出たならば「まず事実の確認」です。そして、その際ウソは使わず、記憶の内容を冷静に整理して下さい。
過失を認めるならば嫌悪感は発生します。ですが、次は同じ失敗をするまい、「前向きな姿勢とは過去の結果を未来に活かすこと」です。そして、大脳皮質でこのような論理的な説明が成されましたならば、これに対して大脳辺縁系が不利益の判定を下すことはありません。
心の安定のためにSSRIを投薬するということ
「うつ病」といいますのは何らかの心的外傷によって神経伝達物質の働きが悪くなることによって起こります。
「ガソリンが切れた状態」といいますのは、これはうつ病に多く見られる「やる気・活力」が失せた状態のことだと思います。ですが、「NA(ノルアドレナリン)」や「5−HT(セロトニン)」といった神経伝達物質といいますのは、車に例えますならばそれはガソリンではなく「ミッション(伝達機構)」です。簡単に述べますならば「NAはアクセル」、「5−HTはブレーキ」と考えて下さい。
NAは心身に緊張状態を作り出す伝達物質であり、「DA(ドーパミン)」はそこで能動的な行動を選択するために分泌されます。で、これらは「脳が何らかの環境の変化に対処するため」に一時的に分泌される伝達物質です。
これに対しまして、5−HTは「環境の変化とは関係なく常に一定量」が供給されています。NAやDAは与えられた状況に対処するための伝達機構ですが、問題が解決されたならば分泌は止まります。このとき、脳内には常に5−HTが分泌されていますので、これによって脳は自然と安静状態に戻ります。
うつ病の原因となる心的外傷には「慢性ストレス」というのが最も多いようです。仕事や人間関係など、逃げることのできないストレスが慢性化し、脳は何時もNAによる緊張状態に曝されます。このため、生まれ付き5−HTが少ない体質のひとはうつ病になりやすく、そうでないひとでもこのような心的ストレスによって神経伝達機能の不調といった症状が現れます。
逃げることのできない慢性ストレス、では、ここで5−HTの機能が低下しますと脳は安静状態を満足に維持することができなくなります。問題が解決されるならばNAの分泌は停止しますが、5−HTが不足しますとちょっとしたことに神経質になり、回避できなければそれが不安状態として継続することになります。そして、これがうつ病の無気力・慢性疲労となって現れます。
心的外傷によってNAやDAの機能が不調に陥ることもあるようです。ですが、一般にうつ病と呼ばれる上記の状態では、ここでNAの亢進剤を投与するのは焼け石に水です。
何故かといいますと、NAやDAは「問題を解決するため」の伝達物質であるからです。ですから、幾ら無気力を治したいからと言いましても、問題解決の手段がない、あるいは問題がはっきりしていない、このような場合では無理やりアクセルを踏み込んでもストレスを悪化させるだけなんです。
うつ病の症状がある場合、本人に何かをさせようとするのは逆効果と言われているのはこのためです。
SSRIは脳内の5−HTの濃度を確保し、副作用が少ないとして多くのひとが利用しています。これによって脳の安静が保たれればストレスからは開放されます。ですが、うつ病といいますのは、基本的には原因を排除しなければ治りません。
問題が解決できないならばNAでアクセルを掛けるのは可愛そうです。では、DAで報酬反応を発生させたらどうなるでしょうか。果たして、実際には何の報酬も与えられていないのに脳内に快感が発生するのでは、これでは薬物依存症と同じことになってしまいます。
NAやDAは与えられた状況に対して分泌されるものです。ですから、「現実的な解決手段」、あるいは「実際の報酬」、このようなものに対して分泌されなければなりません。問題の解決策をきちんと話し合う、あるいは生活に有意義な目標を見付ける、本人にとってもカウンセラーにとっても、ここから先はたいへん根気のいることだと思います。
うつ病と同様の原因から起こる「慢性疲労症候群」では報酬系回路A10の強制解除によるDAの分泌増加が確かめられています。うつ病の症状ではDAの増加は見られないのですが、疲労症候群になりますとβ―エンドルフィンの作用によってDAの分泌が強制解除されます。
ところが、DAが分泌されるならば無気力は解消されるのではないのではないかと思えるのですが、実は、実際にはこのような慢性疲労症候群の患者さんの場合には、それが意欲ではなく、何故か「執着性」や「凶暴性」などとして現れてしまうのだそうです。
NA、DA、5−HT、このようなものが状況に応じてバランス良く働けば心の不調は起こりません。では、不足を補うだけで治るならば良いのですが、中々そういうわけにもゆかないようです。お医者さんは現在でもうつ病の患者さんを診察し、何十種類に及ぶ物質の中から、何が過剰で何が不足しているのかを一生懸命に調べています。
お礼
ruehasさん、おはようございます。
今回も、私が知りたいなぁと思っていることに対して、痒いところに手が届くような、「ウン、ナルホド。そうなのか」というご回答をいただき、心よりお礼申し上げます。
NAやDAは、問題を解決するときに出動される脳内物質で、目標がない状態では、分泌されないということ。ガソリンではなく、アクセルであるということ。そして、問題が解決されて、平常に戻るときに5−HTの分泌があり、心に安心・安定がある状態になる。しかし、慢性ストレスで5−HT回線が疲労し、精神不安・無気力状態になり、問題解決もままならない状態、目標も見つけることもできない状態でNAやDAのアクセルをふかしても、どこへ行けばいいか分からず、なお、混乱してしまうと言うことですね。
ですから、先ずは、心の安定のためにSSRIを投薬するということ。
よく分かりました。