視力回復トレーニングの方法と注意点
パソコンやスマートフォン、ゲーム、本など、現代は100年前と比べると目を酷使することが増えました。
眼鏡・コンタクトレンズ、レーシックとICL(眼内コンタクトレンズ)以外の方法でも視力回復のトレーニングを試す価値はあります。
目次
視力回復トレーニングとメカニズム
簡単にできる視力回復トレーニング5種類
視力回復トレーニングの注意点
■視力回復トレーニングとは
ここでの視力回復トレーニングとは、眼の筋肉を鍛えることで視力の回復を図るというもので、特に疲れ目や眼精疲労にともなう視力低下に効果が期待できます。
トレーニングで刺激するのは、毛様体筋(もうようたいきん)と外眼筋(がいがんきん)です。
毛様体筋は眼球の中にある筋肉で、水晶体の厚みを変えて目のピントを調節します。
外眼筋は眼球の外側にあり、眼球を支えたり目を上下・左右に動かしたりする際に使われる筋肉です。
毛様体筋と外眼筋を積極的に動かすと目の緊張が適度にほぐれるため、ピント調節がうまくいくようになり、見えづらさの解消につながることが期待できます。
視力のメカニズム
ものを見るには毛様体筋と外眼筋という眼にある二つの筋肉の働きが重要です。
毛様体筋の主なトレーニング法は以下の2つです。
遠近体操法 |
遠くと近くを交互に見る |
遠方凝視法 |
遠くの1点をじっと見つめる |
上記以外にも「マジカルアイ」と呼ばれる特殊な画像を立体視する方法も、毛様体筋をほぐす効果が期待できます。
一方、外眼筋トレーニング法は、いくつかの点を定めて視点を移動させる「視点移動法」が代表的な方法です。
視力回復の5つのトレーニング
動きが悪くなっている眼球の筋肉をほぐし、衰えている筋肉を鍛えることで、眼球運動をスムーズにするのがトレーニングの目的です。
メガネやコンタクトレンズを着けたままチャレンジすることもできます。遠近両用メガネを使用している方や近距離用・遠距離用のメガネを併用している方は、遠距離用のレンズでトレーニングしてください。
なお、目の周りの筋肉にこわばりがある場合は、トレーニング前に温めたタオルを目にあてたり目のまわりのツボを押したりして、筋肉をほぐしておきます。
視力がかなり悪い方は、眼鏡の度数を2段階もしくは3段階用意して、段階ごとにトレーニングして、徐々に視力を回復させていきます。
遠近体操法 指を見ながらスライドさせる
遠くと近くを交互に見る「遠近体操法」の代表的なやり方が、指を見ながらスライドさせる方法です。まずは下準備として、指にランドルト環「C」を貼るか、何か文字を書いておきます。
▼遠近体操法(指のスライド法)
近視の人 |
@両眼で指先の文字がはっきり見える位置を見つける |
遠視の人 |
@両眼で指先の文字がぼやける位置を見つける |
上記を1セットと数え、1回3セットを1日2回行います。
親指と遠くの景色を交互に見る
上に挙げた指のスライド法よりも「遠近体操法」を簡単に行うやり方として、親指と遠くの景色を交互に見るやり方があります。下記を片目につき10セット行うと効果的です。
遠近体操法の手順
まばたき運動
まばたきを意識的にすることで、眼の周りの筋肉がほぐれ、適度な刺激で涙がゆきわたって眼がスッキリとしてきます。また、まばたきにより外眼筋のストレッチや目のまわりの表情筋、そして眼球全体のマッサージ効果も併せて期待できます。
意識的にまばたき運動を取り入れることで、眼の周辺の血流障害を解消します。
まばたき運動の手順
眼球運動法 眼球をぐるぐる動かす
眼球をぐるぐる動かす運動は、眼の動きを滑らかにしてものを見やすくするのに役立ちます。普段一点ばかりを集中して見ていることで、眼の筋肉が硬くなったり、運動不足の状態になります。これにより目の周囲にある末梢循環が悪くなり、必要な栄養や酸素が減少し、代謝が悪くなります。これを優しくほぐすのが眼球ぐるぐる運動です。
方法は簡単で、両方の眼を大きな円を描くようにゆっくり回転させるだけです。一周するのに10秒くらいかけて、ゆっくりと行うのがポイントです。
ぐるぐる体操を行うと眼をぐるぐるさせるので気持ち悪くなる人がいますので、そのような場合は目を閉じて行ってもOKです。右周りに2〜3周、左周りに2〜3周眼球を回したら、最後は寄り目にして5秒間ほどキープします。眼の疲れを感じるようなら、ゆっくり眼を休ませます。
ガボール・パッチ法
ガボール・パッチとは、「ガボール変換」という数学的処理をすることで生じるしま模様のことです。このしま模様を利用した視力回復法のことを「ガボール・アイ」といいます。
「ガボール・アイ」によって視力が回復するのは、眼がとらえた映像を処理する脳の働きが高まるからだといわれています。眼の働きをよくするのではなく脳の処理能力を上げるので、近視だけではなく老眼や遠視にも効果があるとされています。
やり方はいたって簡単です。いくつかのガボール・パッチが並んでいる画像を見て、同じしま模様を探すだけです。これを毎日、3分間から10分間を目安に続けます。
視力回復トレーニングの注意点
視力回復トレーニングで注意したいのは、「近視の種類によっては効果がない」こと、もう一つは「即効性は期待できないこと」です。
視力低下の原因によっては明らかに効果がありません。
具体的にいうと、屈折性近視には効果がありますが、軸性近視に対しては視力が回復する可能性は低いとされています。
屈折性近視とは、ピント調節を行う水晶体がふくらんだままの状態になり、遠くが見えにくくなるものです。
近視のなかでも比較的軽いといわれており、18歳以上になってから近視になった場合は屈折性乱視である可能性があります。屈折性近視は一時的なもののため、トレーニングを行えば視力が回復する可能性があります。
軸性近視は、目の軸が長く伸びてしまいピントが合う位置が後ろにずれることで、遠くが見えにくくなるものです。18歳未満で近視になった場合、軸性近視である可能性が高いとされています。軸性乱視の場合は眼球の形が変わってしまっているため、視力回復トレーニングを行っても視力が回復する可能性は低いといわれています。