慢性胃炎の治し方

 

概要 症状

メカニズム

西洋医学

東洋医学  副交感神経 ツボ

胃炎・胃潰瘍かも!空腹時の痛みと主な症状

1.胃のはたらきと胃酸について

Description: 胃炎 胃潰瘍

胃は、食道から送られてきた食べ物を消化し、十二指腸へと送るはたらきをしています。

胃から分泌される『胃液』は、食べ物を消化すると同時に、胃自体を溶かしてしまうほど高い酸性を持っています。普段は、アルカリ性の粘液を出すことで、中和し、胃は健康な状態に保たれています。

2.胃炎の症状

胃炎には『急性胃炎』と『慢性胃炎』があります。

急性胃炎の症状

急性胃炎にかかると、『胃が重い』、『みぞおちが痛い』、『食欲不振』、『吐き気』などの症状があらわれます。重症化すると、『吐血』や『血便』が生じることもあります。

慢性胃炎の症状

慢性胃炎の場合、急性胃炎ほど強い症状はあらわれません。『胃もたれ』や『胃痛』、『胸やけ』、『げっぷ』などの症状が継続します。

3.胃潰瘍の症状

胃炎がさらに悪化すると、『胃潰瘍』になります。

多い症状は、空腹時のみぞおちの痛み

胃潰瘍の症状として多いのは、『空腹時のみぞおち付近の痛み』です。そのほか『胸やけ』や『げっぷ』、『吐き気』、『嘔吐』、『おなかの張り』などの症状もみられます。

重症化すると、『吐血』や『血便』もみられます。胃潰瘍で出血を起こす割合は、2030%です。

1.胃炎の原因について

急性胃炎の原因は、暴飲暴食やアルコール、ストレス

急性胃炎の原因は、『暴飲暴食』や『病原菌がついた飲食物の摂取』、『サバ・卵などによるアレルギー』、『アルコール・香辛料など刺激の強い食べ物』、『ストレス』などです。

胃はとてもデリケートな臓器です。こうした原因によって胃液の分泌量が増えることで、胃の粘膜に傷がつき、急性胃炎が起こります。

2.急性胃炎の治療法

急性胃炎の治療として効果的なのは、『食事療法』です。

病原菌のついた飲食物や、アレルギーを起こす食べ物の摂取が原因の場合は、それらの飲食物を体内から排出させます。

まずは、丸1日ほど絶食してください。みぞおちの痛みなど、症状がある間は『白湯』や水分だけを摂取しましょう。

症状がだんだんとおさまってきたら、『野菜スープ』や『おかゆ』など、流動食から食べ始めてください。

3.慢性胃炎の治療法

胃液の分泌量に応じた『薬物療法』食事の改善をおこないます。

慢性胃炎の治療法は、胃炎の分泌量や、胃液の分泌が少ない『無酸』状態になっているかどうかによって異なります。

胃液の分泌量が多い場合

胃液の分泌量が多い場合は、胃液の分泌と、炎症を抑える必要があります。

食事は、控えた方が良いものは、『生野菜』や『甘いお菓子』、『香辛料』、『アルコール』です。

また、『制酸剤』や胃液の分泌を抑える『自律神経遮断剤』を服用することもあります。

胃液の分泌が少ない場合

胃液の分泌が少ない場合は、胃の働きを活発にする必要があります。自律神経を活性化させて胃酸の分泌を促します。

無酸の場合は、胃液の殺菌能力が低下しています。そのため『生もの』は避け、『塩酸を補う薬』を服用します。

5.胃炎や胃潰瘍を予防・改善するためのポイント

香辛料やコーヒー、アルコールは控える!

香辛料やコーヒー、アルコールなど、刺激の強い飲食物は控えましょう。

こうした飲み物や食べ物は、胃液の分泌量を増やし、胃の粘膜を傷つきやすくします。

塩分の多い食事や、脂っこい食事に注意

塩分は高血圧や脳出血のリスクを高めます。摂りすぎないよう、注意しましょう。

脂っこい食事は、消化しづらいため、胃に負担がかかります。

腹八分目

食べ過ぎや飲みすぎは、胃液の分泌過多を招きます。食事は腹八分目までを心がけ、よく噛んで食べましょう。

温度差のある食物や飲料

冷たいものや熱いものは控える

 

 

 

胃酸のメカニズム   胃のしくみと自律神経

食べ物が胃に入ると、それを消化するために胃酸が分泌されます。

この胃酸はとても酸性度が高く、食物と一緒に入り込んできた細菌を殺菌してくれますが、胃壁自体も溶かしてしまうほどの強さがあります。

そこで、胃の内部では、粘膜細胞から粘液が分泌され、胃壁をおおい守っているのです。

胃は普段、自律神経の交感神経と副交感神経がバランスをとりながら、胃酸と粘液の分泌をうまく制御しています。

自律神経とは、自分の意思に関係なく体の器官を働かせる神経です。無意識にしている呼吸、消化、体温調整、睡眠などを司っています。

そして、自律神経には交感神経と副交感神経があり、24時間バランスをとりあって体の働きを調整しています。

例えば、交感神経は、仕事や運動をするときに心臓の拍動や血圧を高めて、精神活動を活発にします。主に昼、活発になる神経です。

副交感神経は、睡眠や休息をとるときに働く神経で、心臓の拍動をしずめ、精神活動を休めます。主に夜、優位になる神経です。

健康な毎日を過ごすには、相反する働きをする交感神経と副交感神経のバランスが保たれていることが大切です。

交感神経が活性化すると、胃酸の分泌も多くなり、

副交感神経が活性化すると、胃粘膜の分泌が多くなります。

 

 

ストレスや冷たい飲食物で胃酸過多になる理由

通常、食後は副交感神経が優位に働き、胃酸分泌は低減し、粘液分泌は増加します。

食後のリラックスした状態では、血流が良く、胃壁を守る粘液も十分に分泌されます。

ところが、交感神経が活性化していると、胃の働きを強めようとして、胃酸を必要以上に分泌してしまうのです。

さらに、交感神経の過剰な緊張は、血管を徐々に収縮させてしまいます。すると、胃粘膜の血行が悪くなり、胃壁を守る粘液の分泌量が減少してしまうのです。

また、アイスクリームやビール、ジュースなど冷たい飲食物が胃に入ってくると、血管は収縮して血流が滞ります。

その結果、粘液が十分に分泌されないため胃壁が障害され、胃酸過多様の症状を招くことになります。

交感神経の優勢が胃の粘液の減少をうみ、それにより自ら出した胃酸によって、自分の胃が消化されてしまうということが起きてしまいます。

 

 

どんな病気なのか

胃炎とは胃の内膜が炎症を起こしている状態です。

炎症とは、原因のいかんを問わず、局部の発赤(ほっせき)(赤くなる)、腫脹(しゅちょう)(むくむ)、熱感(ねつかん)(熱をもつ)、疼痛(とうつう)(痛みを感じる)をともなう病的反応を示すことばです。また、胃炎(いえん)とは、原因のいかんを問わず胃粘膜に発赤、腫脹、熱感、疼痛の炎症が生じることを意味しています。

 

なぜ炎症をおこすのか?

それはカラダが問題の箇所を治癒しようとしているからです。

炎症は免疫反応の一種で、患部に血液やリンパ液を集める目的があります。損傷部は、ウィルスや細菌への攻撃、死滅した細胞などの排出、損傷部の修復など、さまざまな活動が活発化しています。

胃炎の場合で多いのが胃酸過多によって内壁が傷ついたのでその修復です。

それを支えるのが大量の血液やリンパ液です。炎症反応を起こすことで、血管を拡張して白血球、酸素、栄養などを届けるのです。つまり炎症とは、通常の状態を保つための恒常性維持機能なのです。

 

腫れと熱と痛みの意味

腫れは、患部付近に血液やリンパ液が大量に集まって自己治癒する準備が整った印です。

熱は、患部で傷ついた細胞の修復や新しい細胞生成や害のある異物の排除に必要なために起こります。

痛み(疼痛)は、神経系統(脳)に異常を知らせて、状況を改善するためのシグナルです。

 

炎症の回復を早める方法

温める

身体を温めることで、回復を早めることができます。とにかく血行をよくすることが大切です。体温が1度あがれば、免疫機能は5〜6倍高まるという報告もあります。

よく寝る

怪我の治癒には、多くの栄養や酸素が消費されます。睡眠中に成長ホルモンが大量に放出されます。成長ホルモンは修復を促すホルモンで、多く分泌された方がより快調に回復します。多く分泌させる条件としては「睡眠の質」と「睡眠時間」が大切です

 

 

慢性胃炎の特徴

慢性胃炎は胃粘膜の炎症が長期にわたって持続する、あるいはくり返し生じている状態です。その結果、持続する、あるいはくり返す胃痛、胃部不快感の症状となって現われることになります。

慢性胃炎を医学的に定義すると、臨床的には長期にわたり持続あるいは反復する胃の病的症状の出現とされます。実態は繰り返される胃粘膜の破壊と、それにともなう胃粘膜の損傷、それに引き続く胃粘膜の修復の過程です。

要するに慢性胃炎とは、胃の粘膜が傷つき、その状態が長びく状態、あるいはくり返しくり返し傷ついている状態と理解すればよいと思います。

 

原因

慢性胃炎という病名は、胃の病気のなかでもっとも頻度(ひんど)が高く使われる診断名です。しかし不思議なことに、実はその本当の原因はよくわかっていません。

慢性胃炎は、胃粘膜が傷つき、それが日常的にくり返される状態です。そのことから原因への食事の関与(食事性因子の関与)が着目されてきました。

アルコール、コーヒーなどの嗜好品、唐辛子、ニンニクなどの香辛料は、胃粘膜を傷害することが明らかにされ、塩分もその一因子と考えられています。

具体的にどのような食生活が慢性胃炎に関係しているのかはまだ不明です。

精神的・身体的なストレス、解熱薬などの薬剤も胃粘膜を傷害する原因となりますが慢性胃炎の原因ともなり得るのかについては結論が出ていません。

最近、新しく発見された細菌の一種であるヘリコバクター・ピロリの胃内感染が、持続する胃粘膜の炎症をひきおこす原因として、慢性胃炎でも注目されていますが、そうでないデータも多く、日本は40歳以上では8割が保有していますが、胃炎との相関関係は低いのが実情です。

また、他の原因として、免疫学的機序(しくみ)のうちの自己免疫説が考えられています。

免疫とは、細菌などの病原体が体内に侵入してきた際、リンパ球が中心となって、病原体を敵と認知し排除するという、人体にとってたいせつな防御機構の1つです。これが、なんらかの原因により、自己の組織をも病原体と同様、敵とみなす反応が生じ、リンパ球などが自己の組織を攻撃してしまうことがあります。これを自己免疫現象と呼び、その結果おこる病気を自己免疫疾患といいます。

慢性胃炎では、胃粘膜を敵とみなしリンパ球などが攻撃することで胃炎がおこるとされますが、その詳細は不明です。また肝硬変、腎不全などの病気に慢性胃炎がともないやすく、栄養・代謝障害、血液循環障害も慢性胃炎の原因と考えられています。

このように、慢性胃炎の原因として多くの因子が推定されていますが、真の原因については結論は出ていず、現在も研究が続けられています。

 

症状

慢性胃炎の症状はさまざまで、くり返す、あるいは持続する上腹部不快感、心窩部痛(みぞおち付近の痛み)、悪心(おしん)・嘔吐(おうと)、腹部膨満感(ふくぶぼうまんかん)、胃もたれ感、食欲不振、ときには吐血(とけつ)、下血(げけつ)が現われます。

なかでも多い症状は、上腹部不快感、心窩部痛、腹部膨満感で、多くの場合、これらの症状が重複して現われます。

慢性胃炎は症状と内視鏡検査によって診断されるのが一般的ですが、不思議なことに内視鏡検査によって慢性胃炎と診断されたにもかかわらず、なんら症状のない人が4050%にも上ることが知られています。

 症状がないのに、胃X線検査あるいは内視鏡検査で慢性胃炎と診断された場合は、「胃炎」という言い方を避けて、「機能性ディスペプシア」や「機能性胃腸障害」という病名が使われることもあります。

 

慢性胃炎の症状はいろいろで、性状によって胃の病的状態が推察されます。上腹部不快感・重圧感は胃の炎症の一般的症状で、炎症が増強すると心窩部痛、さらに炎症が悪化して胃粘膜が強く傷つくと吐血、下血が現われます。

慢性胃炎には胃の運動機能の異常もともないます。その代表的症状は、胃より小腸への食物の輸送機能が遅延するための腹部膨満感、胃もたれ感であり、胃機能の異常亢進による吐き気・嘔吐と考えられます。

慢性胃炎では吐血、下血は比較的まれな症状で、吐血、下血がある場合は胃潰瘍など他の病気が強く疑われます。

 

検査と診断

正確な診断には、バリウムを飲んでの胃X線検査や胃内視鏡検査が必要です。

最近は、内視鏡の進歩にともない最初に胃内視鏡検査が行なわれることが多い傾向にあります。胃内視鏡検査では、直接胃粘膜の色調、形状が観察され、がんなどが疑われた際にも胃粘膜組織を採取し、病理組織学的な診断が可能となります。

慢性胃炎は、内視鏡でみた胃粘膜の色調、形状により、つぎのように分類されています。

 

表層性胃炎

内視鏡では胃粘膜に線状の発赤、斑状(はんじょう)の発赤が観察される状態の胃炎です。ときにびらんと呼ばれる小さな浅い傷があったり、わずかな出血をともなっていることがあります。

萎縮性胃炎

正常な胃粘膜は、内視鏡では血管像がみえないのですが、炎症が長期に続くと粘膜が薄くなり、厚い粘膜におおわれているはずの血管が表面に出てみえるようになります。この状態を胃粘膜の萎縮といい、このような胃炎を萎縮性胃炎といいます。

びらん性胃炎 

胃粘膜がわずかに傷ついてはがれた状態がびらんで、びらんは内視鏡では小さい白斑(はくはん)として観察され、出血をともなうことがあります。

 

治療

●症状のない慢性胃炎の治療

症状がないのに慢性胃炎と診断された場合は、治療することなく経過をみるだけでよいのですが、まれに症状がともなうようであれば、後述する食事療法が助けになるでしょう。

●症状を有する慢性胃炎の治療

@食事療法

胃はすべての飲食物を最初に受け入れるところで、胃に炎症があると飲食物の内容によりそれが悪化することがあります。

その代表はアルコール、コーヒーなどの嗜好品、唐辛子などの香辛料で、刺激の強い食品、温度差の大きい食品も含まれます。慢性胃炎で症状をともなう際はこれらの食品を避けましょう。

A薬物療法

慢性胃炎を完全に治して、もとの正常の胃にもどす治療法は現在のところありませんが、症状の強い場合は薬物療法で症状の改善をはかります。胃の炎症を増強する内因性要因としては、胃酸および胃酸から胃壁を保護している胃粘膜上の粘液層の減弱にあると考えられています。そのため症状の強いときには胃酸分泌を抑えるH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)、胃粘液層の強化をはかる胃粘膜防御因子増強薬、胃粘膜保護剤が有効です。

また慢性胃炎が悪化する際には、精神的・身体的ストレスが引き金になることがあり、その場合はストレスの除去とともに精神安定剤も使われます。

腹部膨満感、もたれ感などは、慢性胃炎による胃運動の障害が原因となっておこる症状で、胃のはたらきを改善する運動機能調整薬も効果があります。症状の性状、強弱によってこれらの薬をいろいろに組み合わせて、実際の治療は行なわれます。

●日常生活の改善

不規則な生活など心身のストレスとなる原因の除去は慢性胃炎のたいせつな治療法の1つです。日常生活を見直し、心身のリラックスをはかることは治療効果の向上につながります。

 

また,このような胃袋全体の炎症はきわめてまれな場合にしか起こらない。胃炎には急性胃炎と慢性胃炎があり,急性胃炎は粘膜の炎症と理解してよいが,慢性胃炎は炎症そのものよりもその後遺症として生じたさまざまな粘膜の変化であって,慢性に炎症が続いているわけではない。一方,上腹部の漠然とした不快な症状を指して胃炎と称することが少なくないが,その多くは胃粘膜の異常によるものではない。

 

 

東洋医学の陰と陽

東洋医学に基づく胃酸過多の治療

東洋医学では、昔から「冷えは万病のもと」と言われてきました。

身体の様々な機能が、冷えにより低下すると考えられています。胃酸過多などの胃腸症状も「冷え」が原因と考えらてきました。

また、人の身体には陰と陽の働きがあり、この2つのバランスがとれている状態が健康と言われてきました。

 

東洋医学には、陰陽論という基本概念があります。

すべてのものは陰と陽の二面性があり、そして陰陽は相対的なものです。

一方が陰ならもう一方は陽です。反対のものでありながら、調和する、それが陰と陽です。

 

例えば、女性(陰)と男性(陽)、一人の人を見た場合は、お腹(陰)と背中(陽)・・・などです。

人の身体の働きでは、副交感神経(陰)と交感神経(陽)、胃壁を守る粘液(陰)と胃壁を溶かすほど強い胃酸(陽)・・・などが陰陽の働きです。

 

他にもホルモンなど、陰陽の働きをもつものがたくさん見つかってきています。

陰があるから陽があり、陰だけ、陽だけが単独であるのではないのです。

そして、人は陰陽のバランスが整い、気血のめぐりが良く、温かい身体が健康とされてきました。

 

身体が冷え、気血のめぐりが乱れ、陰陽のバランスが崩れることで、様々な症状が現れると考えられてきました。(これは西洋医学で言う、冷たい飲食物による血流障害や自律神経バランスの乱れ、を意味しています。)

 

東洋医学は数千年に及ぶ治療の積み重ねの中で、冷えと病の関係について明らかにしてきました。

 

東洋医学で診る胃酸過多

人の体は、仕事や人間関係などのストレス、食生活や生活習慣などの要因により、気血の流れ(血流)に滞りや偏りが起こります。

そして、だんだんと身体の芯に「冷え」が生じ、陰陽のバランスが乱れ、様々な症状があらわれます。

胃酸過多もその症状の1つです。

東洋医学ではこの冷えを「根元的な冷え」と呼び、病の根本原因と考えています。

 

例えば、私たちのからだは、仕事や家事、育児で忙しかったり、悩み事によるストレスを受けると、交感神経が緊張して脈拍を上昇させます。

ある程度のストレスは、血流が増え血行も良くなって良いのですが、いき過ぎた時が問題なのです。 

いき過ぎると血管の収縮が強くなってくるため、血行障害が起こり、からだが冷えてきます。そして、「顔色が悪い」「いつもだるい」「胃腸の調子がすぐれない」などの症状が現れてきます。

はつらつと生きている人でも、限度を超えると身体は冷え、だんだん元気がなくなってきます。

ストレスや食生活などの要因により、からだが冷え、陰陽のバランスが乱れ、そして、胃酸過多などの胃腸症状が現れるのです。

 

西洋医学では、「胃酸」にスポットをあてて症状を緩和させます。

薬によって胃酸の分泌量を抑えます。辛い症状を緩和する薬の効果はすばらしいものです。

しかし、残念ながら症状は繰り返し起こります。

薬は胃酸の分泌量を「一時的」に抑制するものであって、根本原因(=冷え)を取り除くものではないからです。

日本では「強力わかもと」や「エビオス」などの酵母菌をベースにした薬が手に入りやすく効果があったという話をまわりで聞きます。

 

東洋医学に基づく胃酸過多の治療

一方、東洋医学では、胃酸過多の根本原因である「冷え」に着目して治療を行います。

確かに、局所的には「胃酸」が過剰に分泌されていても、それは結果であって根本原因ではないのです。

このような体質になった原因(=冷え)を取り除くには、鍼灸治療とともに、食生活や生活習慣を見直すことも大切です。

 

「冷え」は、昨日今日で溜まるものではなく、長い時間をかけてだんだんと溜まっていくのです。

胃酸過多の根本原因である冷えをとり、陰陽のバランス、つまり、副交感神経と交感神経のバランスを整える事が必要です。

胃酸の分泌に密接に関連している自律神経にアプローチすることで、辛い症状が緩和されていきます。

また、血行が良くなることで、胃壁を守る粘液の分泌が促され、より早く健康な体を取り戻すことができます。

 

胃酸過多に効果的なツボ

自分でできる胃酸過多の対策です。

陽陵泉(ようりょうせん)というツボは、胃酸の分泌を整える作用があると言われています。

足の外くるぶしから膝に向かって真上になで上げると、膝の下で小さな丸い骨にあたります。その前のすぐ下のくぼみに、陽陵泉があります。このツボを押すことで、症状を和らげることもできます。

 

陽陵泉の説明図

 

いろいろな角度から指で押してみてください。痛みが強い所を指圧すると、胃酸の分泌を抑えられ症状が緩和されます。