お尻の痛みのほとんどは、腰椎を支える筋肉のコリが引き起こす特に病名もない痛みや張りです。中には「筋筋膜性腰痛」「症梨筋状症候群」などれっきとした病名のある腰痛もあります。
筋筋膜性腰痛症(きんきんまくせいようつうしょう)」は、腰の筋肉と、筋肉を覆う「筋膜」を強く痛めた時に起こる急性の腰痛です。
フィギュアスケートの羽生選手が筋筋膜性腰痛症で大会を欠場したことがありあります。強く腰をひねるなど腰に大きな負担がかかった時に起こりやすいけがなのです。「ぎっくり腰」のひとつで、特に珍しい腰痛というわけではありません。アスリートに限らず、誰でも日常生活の中で誰でも「ギクッ!」とやってしまう身近な腰痛です。
炎症が起きている急性期は安静にして、炎症がおさまった後はストレッチをして筋力を鍛えると、傷みをやわらげたり腰痛の再発を防いだりすること効果が高まります。
腰を痛めたからと安静にし続けていると腰椎を支える筋肉が衰え、かえって腰椎に負担がかかりやすくなり、腰痛が慢性化しやすくなってしまいます。炎症がおさまった後のアフターケアはとても重要です。
梨状筋症候群 尾骨の上からお尻のくぼみにかけてお尻を横切る「梨状筋」が緊張することで、腰、お尻、太ももの後ろ側に痛みが生じる症状を「梨状筋症候群」と呼んでいます。
梨状筋症候群は、
重労働やスポーツによる筋肉疲労、 長時間のデスクワーク、 長時間の立ち仕事、 姿勢の悪さ、 心理的ストレス、 加齢、 運動不足
などが原因で起こります。梨状筋症候群の痛みは腰やお尻だけでなく、太ももやふくらはぎまで響くことが多いのも特徴です。これは梨状筋の下を坐骨神経が通っているためで、梨状筋にできたしこりが坐骨神経を圧迫すると、下肢に電気の走るような痛みやしびれが起こります。
坐骨神経の圧迫が大きくなると痛みが強くなるため、椎間板ヘルニアや坐骨神経痛と間違えられることもありますが、MRI画像検査では異常が見られず、単に梨状筋のコリが原因で起こる腰痛だった、というケースも少なくありません。
まっ直ぐ伸ばした脚を内側または外側にひねった時、痛みが弱くなるまたは強くなる場合は、梨状筋症候群の可能性が考えられます。
梨状筋症候群の治療には、痛みを抑えるための鎮痛剤や消炎剤が用いられますが、一時的に痛みをしずめる対症療法に過ぎず、梨状筋のコリをほぐすことが根本的な治療になります。梨状筋のコリは、ストレッチやマッサージでほぐすのが効果的です。
腰痛の原因で多い:血行不良による筋肉のコリ
実は普通の腰痛のほとんどは、長時間じっとして腰の血行が悪くなっているために起こっています。体を動かさないことで、血行が悪くなってお尻の筋肉や関節がこわばり、腰の神経が圧迫されて痛みが起こるのです。 特にお尻の筋肉は腰椎を守るクッションの役割があるために柔らかくできているため、お尻の筋肉が硬くなると立ったり座ったりするたびに腰椎に衝撃がかかり、痛みが起こりやすくなってしまいます。
腰痛持ちの人には運動不足が多いとも言われます。また、日本整形外科学会と日本腰痛学会が2012年に作成した「腰痛診療ガイドライン2012」でも「運動不足は腰痛発症の危険因子」と発表しています。
腰を痛めるような激しい労作も良くありませんが、じっとし過ぎるのも腰に負担をかけてしまうわけです。 腰痛の対処では、腰に湿布を貼ったりお風呂で温めたりといったホームケアが一般的ですが、これだけではすぐに痛みが復活してしまいます。
普段、お尻の筋肉は腕や脚に比べてあまり使うことがありません。そのためお尻の筋肉は血行が滞りやすく、すぐにこわばって腰痛が起こりやすくなります。
多くの人のお尻にコリがあるはずです。お尻に力を入れてみて、硬くなった所があればそこを押してみます。押した時に痛気持ちいいと感じるならば、それが筋肉のコリです。コリが生じやすい場所は、お尻の上、左右のお尻の中心、その少し外側なので、色々な場所をチェックしてみてください。
軽い腰痛ならお尻のコリをほぐすことで簡単に解決してしまうことも多いので、自分に合ったコリほぐしを見つけましょう。
お尻がコリを起こすのはなぜ?
お尻が凝りを起こす時それは、座りっぱなし、立ちっぱなし、長時間歩き回ったり走り回った時に、お尻が凝って硬くなってしまいます。簡単に言うと、お尻の筋肉を使い過ぎたからなんです。
同じ姿勢を保つことや足を動かし続けることは、同時に殿筋も使い続けることになります。 座りっぱなしの時に凝りを起こしやすいのが、お尻の丸みを帯びている部分で、立ちっぱなしの時は、股関節周辺など足の付け根部分が凝りを起こしやすくなります。
これは、3本の殿筋それぞれが、座っている時と立っている時の姿勢によって負荷がかかる部分が変わるため、凝りを起こす部部にも違いが出るのです。
お尻の凝りを起こすとどんな影響があるの?お尻の凝りを起こすと、骨盤や腰、足にまで影響を与えてしまいます。お尻の筋肉は骨盤を包み込むようについている筋肉で、下半身を安定させる役割をしているから。
筋肉が凝ると、硬くなって縮んでしまい、柔軟性を失ってしまいます。
その影響で、骨盤が歪みを起こしたり、太ももの骨の大腿骨が捻じれを起こしてしまうので、下半身の血行不良や疲労、むくみを起こしてしまうのです。
また、骨盤の歪みを起こすと体の重心が傾いてしまうため、腰の筋肉や足の筋肉の一部に負担がかかり、腰痛や膝痛を引き起こす原因にもなってしまいます。 上半身の肩凝り、背中の凝りを起こしやすくなるのは、この骨盤の歪みが原因の一つでもあります。
(1)腰痛の原因になる お尻の筋肉と腰の筋肉は繋がっています。お尻が凝り固まってくると、その凝りに引っ張られるように腰の筋肉も硬くなり、腰痛を引き起こす原因となることもあります。
(2)股関節が硬くなる 股関節は良い姿勢や良い歩き方のために欠かせません。お尻は股関節を後ろから支えている筋肉ですが、お尻が固まることで股関節の動きを制限してしまい、働きが鈍くなります。
(3)お尻が下がる お尻の筋肉が硬くなると、張りがなくなり、結果としてお尻が垂れ下がりやすくなってしまいます。
お尻のコリをほぐすストレッチ
便所座り ヤンキー座りをするだけで、お尻のコリを簡単にほぐせるんです。便所座りとは、和式スタイルのしゃがむポーズのことです。足幅を開いて足の裏が床に完全にくっつくようにしゃがんで、そのまま30秒キープするだけでOKです。この時、股関節やお尻の筋肉が伸びるように意識したり、ゆっくり屈伸したりしても良いでしょう。
最近は洋式トイレが普及して若い人は和式トイレが苦手なため、上手にしゃがめない人も増えているのだそうです。腰が疲れた日、重だるい日は入浴後にこのストレッチを行なってみてください。
この方法も簡単なので、リラックスタイムに是非おすすめします。
1. フローリングなどなるべく硬い床の上に、膝を軽く曲げて座る 2. 両手はお尻の横あたりの位置で床についておく 3. 両膝をくっつけたまま腰から下を左にひねり、左の脚を床にくっつける 4. 左のお尻のほっぺを床に押し付け、腰をまわして床でお尻のコリをほぐす 5. 同じように右のお尻にも行う
床にくっつけているお尻に体重をかけると、気持ち良くコリがほぐせます。身体が硬くて難しい人は、無理をしないで脚やお尻を床から少し浮かせた状態でゆっくり行なってください。
梨状筋を伸ばすストレッチ 尻から太ももにかけて硬くなっている筋肉をほぐす効果が高いストレッチ法です。
1.
仰向けに寝て両膝を立てる
2.
右足のくるぶしが左足の膝の上に来るよう、右足を左足の上に乗せる
3.
両足を床から浮かせ、左足の膝を両手で抱え、胸に引き寄せる
4.
ゆっくりお尻の外側の筋肉を伸ばす
5.
足を変えて、左右30秒ずつ行う
患部マッサージ
お尻の有効なツボは環跳(カンチョウ)といいます。左右のお尻のほっぺの中心に一つずつあり、立った姿勢でお尻に力を入れるとくぼみができる場所です。ここを若干痛みを感じる程度に押したり揉んだりしてください。カイロで温めるのも効果があります。
テニスボールを1個使ってお尻のコリを簡単にほぐせます。テニスボールは100円ショップ等でも売っているので、テニスをしない人も手軽に用意することができます。
テニスボールは、硬式用(外側がフェルト生地のもの)がおすすめですが、お好みで軟式用(ゴム製)やカラーボールを選んでも良いでしょう。ゴルフボールは硬すぎるので使用しないでください。
立ったままマッサージ
1. お尻のこった部分を見つけておく
2. テニスボールを持ち、お尻のこった部分に押し当てたりコロコロ転がしたりする
3.
1〜3分間行なう
仰向けでマッサージ
1. 膝を立てて仰向けに寝て、床とお尻のこった部分の間にテニスボールを置く
2. そのまま30秒間静止する
3.
1・2を1セットとして1日に3回行なう
横向きに寝てマッサージ
1. 横向きに寝て、腰骨からボール1個分下にあたる部分にテニスボールを置く
2. 腰をゆらゆら動かしてボールを転がしながらこった部分をほぐす
3.
1〜3分間行なう
仙腸関節のマッサージ
酒井慎太郎氏(さかいクリニック代表)が提案している仙腸関節の矯正法です。
仙腸関節は、尾骨の上にある仙骨に隣接する関節で、お尻の割れ目の左右斜め上に位置しています。
仙腸関節は日常の動作で負担がかかりやすい場所で、この部分を中心にお尻のコリをほぐしてやると腰痛の予防や解消に効果がある。
1.
テニスボール2個にガムテープを巻いて1つにつなげる
2.
仰向けに寝て、尾骨のこぶし1個分上にあたる部分にテニスボールを置く
3.
そのまま1〜3分間静止する
適度な運動+お尻のコリほぐしで腰痛を改善していく
肩こりなら多くの人が自覚して治そうと対策を取るはずですが、お尻のこりはほとんどの人があまり意識していないと思います。実はお尻の筋肉こそ面積が広く、二足歩行による負担で非常にこりやすい場所なのでケアをすることが重要です。動かさないとこりやすいので、なるべく歩いて筋肉の血行を促進させ、ウォーキングなどでお尻の筋肉を柔軟に保つエクササイズを取り入れます。
冷たい床に直接座ったり、背もたれに寄りかかって座ったり…。お尻のトップがつぶれてしまうと骨盤が後ろに傾き、お尻のコリを引き起こしてしまいます。
股関節を固定する殿筋の働きによって下半身が安定し、歩いたり走ったりすることが出来るのです。 その他にも、座っている時や立っている時に骨盤や上半身を支え、姿勢を維持するための重要な筋肉でもあります。
「歩く」「走る」「立つ」「座る」といった、普段当たり前ようにしている動作一つ一つに、殿筋という筋肉が使われている。
臀筋のエクソサイズ
1.床に仰向けになります。両膝を立て、両手は頭の下に置きます。
2. そのまま、両膝を左方向に倒し10秒ほど呼吸を繰り返し、腰やお尻、太もも外側をほぐしましょう。
この時、両肩が床から離れないように注意しましょう。(腰のだるさを感じる人は、最初に何度か膝を左右に倒し、腰をほぐしてから動作しましょう。)
3.さらに右足をゆっくりと伸ばします。左足のつく高さによって強度が変わるので、深くお尻周りを伸ばしたい人は、つま先を肩の高さに伸ばしましょう。
仙骨を立て直すエクササイズ
1.
イスに座って上半身をまっすぐに。手で座面の端をつかみ、かかとをつけたまま脚をまっすぐ前に伸ばす。
2.上半身は動かさず、ゆっくりとひざを曲げる。かかとを水平に身体に引き寄せるのがポイント。10回繰り返す。
股関節を伸ばす
1.イスの背に左手を置き、まっすぐに立つ。
2.1カウント目で身体と太ももが直角になるよう片脚を上げる。
3.2カウント目でひざを身体の真横に開く。
4.3カウント目でひざを前に戻し、2の状態に。
5.4カウント目で上げていた脚を真後ろに伸ばし、後ろに蹴り上げる。反対側も同様に。左右5回ずつ。
スクワット 一番簡単なでいちばん大事なエクソサイズ
一日10回は習慣にしよう
臀部の筋肉を伸ばすエクソサイズ
(1)右足を左膝上に乗せます。この時、右の股関節をなるべく開くように、膝を外側に倒します。(2)お腹を突き出すように胸を張ります。背筋を伸ばして15秒止めましょう。
(3)左側も同様に行います。この時、背中が丸くならないように注意しましょう。
仰向けで行うストレッチ
(1)右膝を立て、左足首を右ももの上に乗せます。左膝を外側に倒し、なるべく股関節を開きます。そうすると左右の太ももの間に三角のスペースが出来ます。
(2)左手を三角のスペースから通し、右太ももを抱えます。
(3)抱えた足をなるべく身体に引き寄せて、15秒止めます。
1.点線に沿って臀部と仙骨(骨盤の中心にある三角形の骨)の間をプッシュ。中殿筋、大殿筋をゆっくりプッシュ。
脂肪が溜まりやすくなる