膝の痛みの原因と治療法

大腿脛骨関節(だいたいけいこつかんせつ)
大腿骨と脛骨からなる、膝のメインの関節。大腿骨が腓骨に乗る形になっており、その間に軟骨や半月板があり、クッションの役割をしている。また、骨と筋肉だけでは関節が安定しないので、それぞれを靭帯がつないで、前後・左右に安定させている

・膝蓋大腿関節(しつがいだいたいかんせつ)
大腿骨と膝蓋骨からなる関節。ひざの曲げ伸ばしの機能を大きくしている

 

 

 

 

   

半月板(はんげつばん)
ひざ関節の左右に1対ずつある三日月状の軟骨組織で、それぞれ外側半月板(がいそくはんげつばん)、内側半月板(ないそくはんげつばん)という。半月板の上部は凹の形をしており、凸の形をした大腿骨の先端と合致する受け皿のようになっている。膝関節を安定させる働きと、ジャンプした時などの膝への衝撃をやわらげるクッションの役割をもつ

軟骨
関節を構成している骨の表面(先端)をおおう45mmほどのツルツルしたクッション材。コラーゲンが主成分でスポンジのような構造をしている。軟らかく弾力性があり、骨と骨が直接ぶつかるのを防ぎ、関節のスムーズな曲げ伸ばしを実現している。関節軟骨に圧力が加わると潤滑液がしみ出し、圧力が減ると関節液が吸い取られ関節液中の栄養が軟骨に補給される

関節包(かんせつほう)・滑膜(かつまく)・関節液
「関節包」は関節を包む袋状の組織。その中には透明で粘り気のある「関節液」が入っている。
関節包の内側(関節腔)には滑膜という組織があり、関節液を分泌して関節の動きを滑らかにする。また、滑膜は関節の軟骨に栄養を供給する。関節液(滑液(かつえき))はヒアルロン酸を主成分とする液体で、その量は数ccと微量だが、関節がなめらかに動くための潤滑油として重要な役割を果たす

大腿骨(だいたいこつ)太ももの骨

脛骨(けいこつ)すねの2本ある骨のうちの太い骨。

腓骨(ひこつ)  脛骨と平行に走り、膝の裏側の外側にある細い骨

膝蓋骨(しつがいこつ)いわゆる「ひざのお皿」のことで、大腿四頭筋と靭帯で包まれており、大腿四頭筋が膝を伸ばすときに滑車の役割をする。また、ひざを打撲した時などに内部を保護する役割もある

大腿四頭筋(だいたいしとうきん) 膝を伸ばす時に使われる
太ももの表側の筋肉群。大腿直筋(だいたいちょくきん)、外側広筋(がいそくこうきん)、中間広筋(ちゅうかんこうきん)、内側広筋(ないそくこうきん)の4つの筋肉の総称で、主に膝を伸ばす働きをする

ハムストリングス  膝を曲げる時に使われる
太ももの裏側の筋肉群。半腱様筋(はんけんようきん)、半膜様筋(はんまくようきん)、大腿二頭筋(だいたいにとうきん)の3つの筋肉の総称で、主に膝を曲げる働きをする

腓腹筋(ひふくきん)
ふくらはぎの筋肉。膝の裏側で大腿骨とつながっている。つま先を上げるように足首を曲げる働きをする

膝窩筋(しつかきん)
膝の裏側にある小さな筋肉で、大腿骨の外側と脛骨の内側を結んでいる。膝の後方外側の安定性を守り、膝関節を伸ばしたり、内側から外側にひねる(内旋(ないせん))機能をもつ

 

筋力トレーニングの効果とポイント

◆得られる主な効果

筋肉、骨、靭帯などの組織が強く丈夫になる
→膝を支える力が強くなり、安定感も増す
→膝への負荷が減って痛みが和らぐ。また、将来的にも痛みが起こりにくくなる(高い予防効果)

筋肉の量が増えて血行(血液の流れ)がよくなる
→炎症物質や疲労物質が流れ出て行きやすくなる
→痛みや疲れがとれやすくなる

筋肉の量が増えて基礎代謝が上がり、エネルギー消費量が増えて太りにくい体質になる

◆トレーニングを行う際のポイント・注意点

体を締めつけない、動きやすい服装で行いましょう

リラックスしてゆっくりとした動作で行いましょう。反動をつけてはいけません。

呼吸を止めないで行いましょう。息を吐きながら力を入れ、力を抜く時に息を吸います。

決して無理をせず、大きな痛みを感じない範囲で行いましょう。
初めから大きな負荷をかけたり、限度を超えてやりすぎると、逆に痛みを悪化させたり膝関節の劣化を早めてしまいます。
最初は軽めの負荷で行い、筋力が付いてきたら徐々に強度を上げていくようにします。「ややきつい」と感じるくらいで行うと最も効果が高いとされます。

運動中や運動後に膝の強い痛みや動きの違和感、気分の悪さなどを感じたらすぐに運動を中止し、症状が治まるまで安静にしましょう。良くならない時は速やかに医療機関を受診してください。

十分な運動効果を得るには、少しずつでも良いので「続けること」が大切です。できるだけ毎日継続して行い、朝晩2回続けると効果的です。ただし、痛みが強い時や疲れがたまっている時は無理をせず、必ず膝を休ませてください。

筋肉が十分に鍛えられまでには時間がかかります。すぐに効果が現れるものではありませんので、焦らずに続けましょう。運動前にストレッチング(柔軟体操)で筋肉を伸ばしておくと、トレーニング後の筋肉痛を軽くしたり、運動中の不慮のケガが少なくなります

 

太ももの筋力トレーニング

膝を支えたり、膝を曲げ伸ばしするのに重要な役割を果たすのが、膝から上の「太もも」の筋肉と、膝を囲む靭帯です。膝の筋力トレーニングで最も重点的に鍛えるべき部位です。

 

 

太もも前面の筋肉「大腿四頭筋」を鍛えるトレーニング

やり方@ ひざをあまり動かせない人向けの方法

1.両足を伸ばしてあお向けに寝る

2.ひざに力を入れて、ひざを床に5〜6秒間押し付ける。これを2030回程度繰り返す

 

やり方A 足上げ体操

<負荷の小さい方法>   

1.      あお向けになり、片方の膝を立てて90度に曲げ、もう一方はまっすぐ伸ばす

2.      伸ばした方の脚をゆっくりと上げていく

3.      床から10cm程度のところまで上げたら脚を止め、そのまま5秒間保つ

4.      脚をゆっくり下ろし、5〜10秒間休む。これを10回程度繰り返す。反対側の脚も同様に行う

<負荷の大きい方法>

1.あお向けになって両手を頭の後ろに組み、つま先をひざ方向に反らして、ひざをしっかり伸ばす

2.つま先を反らせたまま、膝が曲がらない範囲で片方の足を引き上げた状態を5秒間キープする

3.ゆっくりと足を下ろす。これを15回繰り返し、反対側の足も同様に行う

 

やり方B イスを使った足上げ体操

<負荷の小さい方法>

1.両手でイスのふちをつかみ、浅く腰かける。一方の脚は膝を曲げて床につける。もう一方は足首を90度に曲げて前に伸ばす

2.伸ばした方の脚をゆっくりと上げ、床から10cm程度のところで止め、そのまま5秒間保つ

3.脚をゆっくり下ろし、5〜10秒間休む。これを10回程度繰り返す。反対側の脚も同様に行う

<負荷の大きい方法>

1.椅子に深く腰かけ、両手を片方の足のひざの下で組み、ひざを軽く持ち上げる

2.太ももに力を入れ、ひざをまっすぐに伸ばした状態を5秒間キープする

3.ゆっくりと足を下ろす。これを10回繰り返し、反対側の足も同様に行う

4.ポイント:腕でひざを引き寄せない。上半身で反動をつけない

 

やり方C スクワット

<負荷小さめの方法>

1.足の指先と膝を正面に向け、足を肩幅ぐらいに広げて立つ

2.ゆっくりと膝を60度ぐらいに曲げて腰を落とす。痛みのある時は無理をしないこと

3.ゆっくりと膝を伸ばして元の状態に戻る。これを10回程度繰り返す。

4.※膝がつらい時は壁に手をついて行うとよい

<負荷大きめの方法>

1.背すじを伸ばして両手を頭の後ろで組み、両足を肩幅に開いて立つ

2.あごを突き出すように正面を見て、お尻を突き出すようにして、ひざが90度くらいになるまで腰を落としていく。この時、上から見てつま先が太ももに隠れていれば、ひざが開いたり閉じたりしていない理想的なフォームになる

3.ゆっくりと膝を伸ばして立ち上がり元の状態に戻る。これを1525回程度繰り返す。

太もも裏面の筋肉「ハムストリングス」を鍛えるトレーニング

<負荷小さめの方法:スタンディングレッグカール> 

1.壁に向かって手を添えて立ち、膝を壁に軽く当てて固定する

2.片方の足の足首を曲げ、かかとをお尻に近づけるようにして、ゆっくりと膝を曲げた状態を5秒キープする

3.曲げた足をゆっくり下ろして膝を伸ばす。これを10回程度繰り返す。反対側の脚も同様に行う

<負荷大きめの方法:ヒップアップ>

1.あお向けに寝る。両足を肩幅に開き、ひざを立てて90度に曲げる。両腕を軽く開き、手の甲を上にして床を押さえるようにする

2.両腕で体を支えながら、太ももとおしりに力を入れ、お尻を真上に持ち上げる。この状態を5秒キープする

3.ゆっくりとお尻を下ろし元の体勢に戻る。これを10回程度繰り返す

4.ポイント:足の裏は床につけたまま動かさない。お尻を持ち上げた時、胸からひざにかけてまっすぐなラインになるようにする


太ももの外側の筋肉を鍛えるトレーニング

やり方@ 横上げ体操 

<負荷小さめの方法>

1.枕やクッションを使って横向きに寝る。手は楽な位置に置く。下側の足は90度に曲げ、上側の足は伸ばす。

2.上側の足を、膝を伸ばしたままゆっくりと上げていく

3.床から10cm程度のところまで足を上げたら、そのまま5秒間保つ

4.5秒間かけて足をゆっくり下ろし、5〜10秒間休む。これを10回程度繰り返す。反対側の脚も同様に行う

<負荷大きめの方法>

1.横向きに寝る。手は真上に伸ばし、その上に頭を乗せる。下側の足は90度に曲げ、上側の足は伸ばす。

2.上側の足を、膝を伸ばしたままゆっくりと上げていく

3.膝が曲がらない範囲で、足をできる限り高く上げ、そのまま5秒間保つ

4.5秒間かけて足をゆっくり下ろし、5〜10秒間休む。これを10回程度繰り返す。反対側の脚も同様に行う

 

やり方A チューブトレーニング

1.足を前に投げ出して座る

2.膝より上にエクササイズ用のゴムをかけ、力を込めて左右に広げる

3.そのまま5〜10秒間保つ

4.足をゆっくり戻す。これを10回程度繰り返す。

 

太もも内側の筋肉「内転筋」を鍛えるトレーニング

やり方@ 横上げ体操 

1.横向きに寝る。上側の足は90度に曲げて下側の足の後ろに置く。下側の足はまっすぐ伸ばす。
上側の手は体の前に置いて体を支える。下側の手は楽な位置に置く。

2.下側の足を、膝を伸ばしたままゆっくりと上げていく

3.痛みのない範囲で、上げられるところまで上げたら、そのまま2,3秒間保つ

4.足をゆっくり下ろす。これを10回程度繰り返す。反対側の脚も同様に行う

 

やり方A ボールエクササイズ

1.床に足を伸ばして座る

2.ボールを太ももの間に挟む。手は楽な位置に置く

3.ボールが床から浮かないように注意しながら、ボールの中心に向かって両ももで5秒間ほど、ゆっくりと力をこめていく

4.これを10回程度繰り返す

5.※使うボールはゴムボール、バレーボール、サッカーボールなど

 

ふくらはぎの筋力トレーニング

やり方@ つま先立ち

1.足の指先を正面に向けて立つ。両手は自然に下ろし、両足はそろえるか軽く開く

2.そのままかかとを上げてつま先立ちする。5〜10秒ぼど保ったらゆっくり戻す。これを10回程度繰り返す

3.膝がつらい時は、壁に両手をついて行う。負荷を大きくしたい時は、写真右のように低い台の上につま先を乗せて行ったり、ダンベルなどの重しを持って行う

 

やり方A ストレッチングも兼ねた体操

筋肉への負荷は小さめですが、膝に体重がかからないため、膝が悪い人におすすめの方法です

1.床にあお向けになり、両脚を伸ばす

2.両脚のかかとを床につけたまま、両足首をゆっくり手前に反らし、5秒キープする

3.つま先を立てるように両足首をゆっくり向こう側に曲げ、5秒キープする。これを10回程度繰り返す

4.※イスに座った状態で行なっても良い

 

 

痛みなどの症状が現れる箇所

膝の痛みやそれに伴う各種の症状が、体のどの部位に現れているか確認し、原因を探る。

◆ひざ周辺

@「膝の皿(膝蓋骨)」の症状

·    ひざの皿を押した時に痛みがある

·    ひざの皿の違和感・不安定感を感じる

·    膝を動かす時に、皿が引っかかるような感じや、膝がきしむような感覚がある

·    膝を動かした時にゴリゴリと音がする

·    膝の表面が柔らかく、膝の皿を押した時にプヨプヨと浮いているような感じがする

·    膝の皿の中に何か入っているような異物感がある

·    膝の皿の表面に指先くらいの「しこり」がある

A「膝や膝蓋骨の上部」の症状

·    膝の上に痛みがある

·    膝の皿の上部を中心に痛みを感じ、皿が大きく動くような感じがする

·    膝の皿が上の方にズレているような違和感・不安定感を感じる

B「膝や膝蓋骨の下部」の症状

·    ひざの皿の下側に痛みや腫れが生じる

·    膝の皿の下の出っ張り部分がふくらんでいる。または熱をもっている

C「膝の外側」の

·    膝の外側に痛みを感じる

D「膝の内側の症状

·    膝の内側から膝下にかけて痛む

·    膝の皿の内側に痛みやひっかかり感がある

1.膝の皿の上側に異常が生じやすいもの

◆変形性股関節症

股関節の骨や軟骨がすり減ったり、形が変わったりする病気

【主な症状・特徴】 ひざの上、股関節、お尻、太もも、などに痛みがある 

股関節の動きの制限(動かしにくい、曲げ伸ばしづらい)

足を引きずって歩く(跛行)

30歳代後半〜50歳代の人に多く、特に女性に多く見られる

【主な原因】    過去に経験した股関節の異常や病気の後遺症

◆膝蓋大腿関節症

ひざの皿(膝蓋骨)と太ももの骨による関節「膝蓋大腿関節」に炎症が起こるもの

【主な症状・特徴】 ひざの皿の上部あたりに痛みを感じる 

ひざの皿が大きく動くようなズレているような感じがする  ひざの腫れやこわばりが見られる

【主な原因】  加齢や膝の使い過ぎによる骨の劣化。膝蓋骨の脱臼(だっきゅう)により起こることもある

2.膝の皿の下側に異常が生じやすいもの

◆オスグッド病

ひざの皿の下あたりの骨に、変形や膨張(ふくらみ)などの異常が起き、刺激に対して異常に敏感になるもの

【主な症状・特徴】 正座した時にひざが痛む   ひざを強く曲げたとき、皿の下に痛みがある

1015歳くらいの、特にスポーツをする子供によく見られる

【主な原因】    成長期の不安定な状態の骨に、運動などの刺激で異常が生じる

 

◆膝蓋腱炎(ジャンパー膝・ジャンパーズニー)

膝の皿とすねの骨をつなぐ膝蓋腱が傷つき炎症を起こしたもの。重症例では腱が完全に切れる「膝蓋腱断裂」が生じる。名前のとおりジャンプ競技やランニングで良く見られる

【主な症状・特徴】 膝蓋骨(ひざの皿)の下側に痛みや腫れが生じる

1020歳代によく見られ、特に高校生以降の男子、背の高い人などに多い

【主な原因】    運動やスポーツによる膝の酷使、事故による膝への衝撃など

3.膝の皿の内側に異常が生じやすいもの

◆鵞足炎(がそくえん)

膝の内側の腱に炎症が起こり痛みを感じる障害

【主な症状・特徴】膝の内側から膝下にかけて痛む(膝の曲げ伸ばし時、運動時、圧迫時など)膝をいっぱいにまで伸ばしたときに痛みが起こりやすい

【主な原因】運動・スポーツ時に膝が内側に入る動作(外反)や、膝から下を外側にひねる動作(外旋)による腱の摩擦

 

◆タナ障害(タナ症候群)

膝の皿と大腿骨(太ももの骨)の間にあるヒダ状の膜(通称「タナ」)が炎症を起こしたもの。膝の屈伸と打撲を伴うスポーツ種目によく見られる

【主な症状・特徴】スポーツ時などに膝の皿の内側に痛みやひっかかり感がある  

膝を動かした時に何か挟まるような感じがする。その際に「コキッ」「コツッ」といった音がすることもある

膝の皿のあたりに違和感や重苦しさを感じる 1020歳代の若い人に多く発症し、男性よりも女性の割合が高い

【主な原因】膝の曲げ伸ばしの繰り返しでタナが骨のでっぱりとこすれ合うことによる

 

4.膝の皿の外側に異常が生じやすいもの

◆腸脛靭帯炎(ランナー膝・ランナーズニー)

大腿骨(太ももの骨)の外側に位置する靭帯「腸脛靭帯」に炎症が起こるもの

【主な症状・特徴】膝の外側が痛む(走っている時、走り終えた時、患部を指で押した時など)

名前のとおり陸上競技の長距離選手や登山者に多く見られる

【主な原因】   膝の使いすぎ・膝の変形・O脚などによる膝の負担の蓄積

 

◆有痛性分裂膝蓋骨

膝蓋骨(ひざの皿)が割れたように2個以上に分裂し、痛みも生じている病状

【主な症状・特徴】  膝を動かした時や、膝の皿を押した時に痛みがある 10代前半の男子に多く見られる

【主な原因】 ほとんどは生まれつきのもの。膝の使いすぎや膝蓋骨の強打で皿が割れるケースもある

 

◆靭帯損傷(じんたいそんしょう) 内側側副靭帯(ないそくそくふくじんたい)外側側副靭帯

靭帯の一部が傷つき、裂けたり破けてしまう障害。膝まわりの4本の靭帯がある。

【主な症状・特徴】膝関節の外側の痛みや腫れ    膝を内側にひねった時に不安定感がある

【主な原因】    膝の外側からの衝撃や、急激な方向転換、ジャンプの着地時の衝撃など

◆位置・機能    膝の内側にあり、大腿骨と脛骨を結んで膝の左右へのブレを防止している靭帯です。

◆生じるケガ・損傷・障害

損傷のメカニズム

膝の外側から内側へ強い力が加わり、内側側副靭帯が伸びて強く引っぱられることで損傷が発生します。膝のスポーツ障害の中でも発生件数が多いケガで、特に球技系のスポーツで多く見られます。前十字靭帯損傷や半月板損傷と同時に起こる(合併する)こともあります。

内側側副靭帯が強く引っぱられるのは、ひざが外側から内側に曲がったり(外反)、ひざから下を外側にひねられたり(外旋)した時で、サッカーやラグビーなどで横からタックルやスライディングを受けた時によく損傷します。ジャンプの着地時や、急激に方向転換を行った時などに同様の動作が加わることでも起こります(非接触型)。

発症しやすいスポーツ   野球、サッカー、バレーボール、バスケットボール、ラグビー、スキーなど

◆特徴的な症状

損傷を受けると、膝関節の内側に痛みと腫れが発生します。怪我の度合いが強いほど痛みも強く、膝を外側にひねった時に不安定感も感じます。

◆治療

応急処置法である「RICE療法」を行った上で膝関節をギプスやサポーターで固定する保存療法が基本となります。「痛みや不安定感の症状が重い」「靭帯が完全に切れている」「複数靭帯の損傷など合併損傷がある」といった場合には、膝の再建手術も検討されます。