膝の痛みの改善方法
原因の可能性
膝のイラスト図
なぜ痛いのか?
膝痛を軽減する方法 血行を高める 日常生活の座り方、歩き方
マッサージ、柔軟体操、筋力トレーニング
病名の可能性
膝の痛みにつながる要因
体重を支え、足の動きをコントロールする膝には、常に大きな負荷がかかっています。そこへ更に膝の負担を大きくする要因が重なると、膝の痛みやケガなどの様々な障害を発症します。
1.膝の酷使・使いすぎ
歩く、走る、立ち上がる、座る、跳ぶ(ジャンプする)、階段を上り降りするなどの動作では、膝の曲げ伸ばしを行った時に関節に体重がかかります。この時、膝の上下の骨(太ももの骨「大腿骨」とすねの骨「脛骨」)がこすれ合います。膝を動かす回数が増えるほど沢山こすれて、骨の先端をおおっている軟骨がすり減ってゆきます。
このような体重がかかった状態での膝の使いすぎは、運動やスポーツ、体を動かす仕事や家事において良く見られます。
運動
膝に大きな衝撃が加わった時だけでなく、疲労が溜まっているのに十分な休息をとらなかったり、ウォームアップやクールダウンなどの準備運動を十分に行わないで運動した時も膝を痛めやすくなります。
膝を痛めやすい肉体労働・重労働
日常生活の中で膝に大きな負荷をかけている人は、軟骨がすり減りやすくなります。
接客や警備員などの立ちっぱなしの仕事、重い荷物を持ったり、無理な姿勢を取ることの多い肉体労働などは膝の負担が大きくなります。
正座を多くする人や、農作業などしゃがむ姿勢をとることが多い人も要注意です。
2.運動不足による膝の老化、肥満
膝の老化について
十分な栄養をとり適度な運動を行っていれば、筋肉や骨などの組織は若々しく丈夫な状態を保てます。しかし運動不足によって膝まわりの組織が老化して弱くなると、膝を支える力が弱まり、小さな負荷でも骨や軟骨が痛みやすくなります。
筋力は低下し、筋肉や靭帯が固くなり柔軟性がなくなる
→大腿四頭筋(太もも前面の筋肉)や膝まわりの靭帯など、膝関節を支えて負荷を吸収する組織が弱くなり、関節に伝わる衝撃が大きくなる
膝関節の骨や軟骨がもろくなり、すり減りやすくなる
今までは筋力の力で誤魔化せてきたが、低下に伴い、支えてきた体重がそのまま膝の負担になり始めた。
膝関節の構造・名称
ひざの痛みの原因は?
ひざの痛みは様々な原因によって生じますが、痛みの元が「ひざ関節内に起きる炎症」です。
炎症が起こるメカニズム
膝の使いすぎや加齢による関節組織の老化、膝の病気やケガなどによって、関節軟骨は徐々にはがれたり削り落ちてゆき、その細かい削りカスは関節内を漂いながら関節包の内側にある「滑膜」という組織を刺激します。
すると体内から異物を排除しようとする免疫(めんえき)作用によって、滑膜から刺激物質分解酵素や白血球、リンパ球を含む「関節液」を普段より多く分泌します。
こうした刺激物質と膝の組織が闘っている状態が「炎症」です。
炎症は痛みのほか、患部の「腫れ」や「熱」をともないます。これはひざの中で刺激物質を排除しようとする炎症が起きているサインです。これは体が自己治癒をしている最中というサインです。
なぜ痛むのか?
爪や髪に痛みの神経がないように、骨や軟骨や椎間板にも痛みを感じる神経がありません。
骨が・・・軟骨が・・・椎間板が・・・と病院で言われても、それが痛みの原因ではないということです。
では、どこに「痛み」を感じる神経があるのでしょうか?
それは、筋肉・腱・靭帯・膜(脳や内臓に関するものも含む)と呼ばれるところ、もう少し簡単に言うと、体の中で伸び縮みするところにあります。
ですから、ヒザが痛いという事は、この筋肉・腱・靭帯・膜で、何かしらの異状が起こっているということです。
レントゲンやMRIでは筋肉・腱・靭帯・膜の異状を見つける事ができません。
すり減った軟骨の破片が刺さると免疫物質であるNF-kappaBが異物と判断して対処します。炎症は必要な反応で治癒の象徴ですが、ひざ関節にいる他のNF-kappaBまで刺激し、ムダな攻撃をしかけてしまいます。そのために、関節内に痛みが広がってしまいます。
一般的な膝の痛み
膝の関節は、加齢による老化、体重による負荷、外部からの衝撃などが蓄積し、年齢を重ねるごとに徐々に傷んでいきます。このように自然な老化現象の一つとして起こる膝の障害を「変形性膝関節症」といいます。
日常生活やスポーツによって筋肉・腱・靭帯・関節包などの組織に負担がかかり、主に膝の使いすぎによって痛みが発生します。
運動時などに見られる関節まわりの腱や筋の痛みがほとんどで、膝の動かし始めに痛みが見られることが多く、休むと痛みが治まる
<過保護は痛みを悪化させる>
だからといって、膝を過保護にすると治りが遅くなります。
膝の痛みがひどいときは無理に動かさず安静にする必要がありますが、痛みが落ち着いて膝をある程度動かせるようになったら、無理のない範囲で積極的に動くことが大切です。
膝を動かさずにいると、関節を動かす筋肉がこわばって萎縮し、筋力が低下していきます。その結果、下半身の血行が悪くなり関節の動きも悪く不安定になって、ますます痛みが強くなってしまいます。
治療法
生活習慣 体重を減らす 血行 姿勢 歩き方
柔軟体操 マッサージやストレッチングで効果的。膝にかかる負担を軽減できる
筋肉の強化
器具
生活習慣
体重を減らす。体重が減った分だけ膝の負担も小さくなります。
温める 血行が促進されると自己治癒力が高まり、疲労物質が排出されやすくなる。 入浴やサポーター。
「冷え」は痛みを強め、回復を遅らせます。
膝の痛みの主な原因は、膝関節内に起こる「炎症」です。
炎症とは、体が「衝撃」「熱さ」「辛さ」など、何らかの強い刺激を受けた時に、体を守るために起きる自然な防御と自己治癒の反応で、血管が広がって患部が赤く腫れあがったり、熱を帯びたり、ズキズキ傷んだりといった症状が現れます。
炎症は筋肉、靭帯、骨、軟骨、関節、神経などあらゆる組織で発生します。
炎症と痛みを更に悪化させるのが「冷えにともなう血行不良」です。
冷えた箇所は血行(血液の流れ)が悪くなり、炎症を強める化学物質や疲労物質が流れてゆかずに膝関節内にとどまります。放っておくと腫れや痛みはどんどんひどくなり、傷した組織も回復しにくくなります。
また、冷えによって筋肉は固くこわばり柔軟性がなくなるため、膝を支える力が弱まって更に痛みを発症しやすくなります。
血行を促進することで痛みを解消する
血液の流れが良くなり、組織の新陳代謝が活発になることで、痛みの元となる化学物質が取り除かれて痛みが軽くなります。疲労物質も流れ出ていき、疲労や損傷の回復が早まります。また、筋肉や関節のこわばりがとれて動きが良くなり、体を支える働きも高まります。
こうしたことから、温熱療法は膝まわりの冷えによって痛みが悪化し慢性化しているようなケースにおいて特に効果的です。
姿勢 座る、立つ、歩く
座る姿勢
座る時はできるだけ椅子に腰かけるようにしましょう。膝や腰への負担が一番少なく、立ち上がる時にテーブルに手をつくことができるので、それだけひざへの負担が軽くなります。
椅子の接している部分を意識して、尻で椅子を下に押すようにする。頭は天とつながるイメージを持つ。肩の力を抜く。背もたれに頼りきってしまうと、今度は背骨が痛むので、背骨を伸ばす座り方の練習も必要です。
立つ姿勢
背すじを伸ばしてひざは力をいれずに軽く曲げ、アゴを引いた姿勢です。
背中が丸まっていたり、胸を反りすぎていたりと、重心が前後左右にずれた姿勢は膝への負担が大きくなる。
「骨で立つ」といって、体を地球の中心から伸びている重力線に沿わせる。
体重は人体で一番硬い骨に任せ、周囲の筋肉は緩めて楽な状態にする。
背中に力が入り背筋をピンと張りすぎた状態は、背骨の自然なカーブが消えるため腰に良くない。
私たち人間は天と地の間にいるので、丹田は地球の重心に身を任せ、胸は緩めて人と交わり、頭上は天とつながるイメージがいいです。天と地の間にいるイメージを持つと、意識を中心にした「肉体と精神」という考え方から、心や体のことも考えられる「二つの間」にいることの大切さを体験しやすいメリットがあります。
へその高さの背中側に「命門」というツボがあります。ここが暖かいイメージを持っていると、体が緩み、膝の負担が減ります。
※命門を開くとは、骨盤を落とし、寝かす事。壁に背中を隙間をふさぐようにつけて立つ形。
立ち方がわからない時は、壁に背中を付けるとよい。
また足の親指を曲げたり、下駄を履くと、重心が前から踝の下に移るので、膝の負担が減ります。
歩く姿勢
参照 コロン山を歩く
股関節歩き
背筋とピンと伸ばし、膝もしっかり伸びた状態で、かかとから着地します。膝や腰の負担が少ない歩き方です。
歩くのに合わせて自然に手を振り、大股で歩きます。体が左右にブレず、頭も上下に動かず一定の高さを保つのが特徴です。音で表現すると「カツカツカツ」という感じです。
良くない歩き方「ひざ歩き」
膝を曲げて上体を揺らしながら歩く「ひざ歩き」は日本人に多く見られ、膝に余計な負担がかかります。
背中を丸め、歩くたびに頭が上下に動いて、足を踏み出すたびに右へ左へと全身が揺れるヒョコヒョコとしたく歩き方です。脚を踏み出す時も着地する時も、常に膝が軽く曲がっているのが特徴です。
立つ、しゃがむ動作
動作を一つ一つ区切って、ゆっくりと行いましょう。突然ガバっと立ち上がったり、急に座ったり、歩いている最中に急停止するなどの急激な動作は膝関節に大きな負担をかけます。
重い荷物を持ち上げる時の姿勢
かがむ時はしっかりと膝を曲げ腰を落とします。
持ち上げる物をお腹に引き寄せ体に密着させます。しっかり両腕で固定したら、腕の力ではなく、太もも、お尻、腰の筋肉をすべて使うつもりで体全体で持ち上げます。
荷物を持つときは、片方の手だけで持ったり、片方の肩ばかりにバッグを掛けると、重心がかたよって膝関節の変形が進む原因になります。左右の重さが均等になるようになるべく両手で持ったり、ときどき持ち手を変えるように意識しましょう。
荷物が多く重くなりそうな時は、キャリーバッグ、リュックサック、手押し車などを利用すると便利です。
柔軟運動 ストレッチやマッサージにより、柔軟性の高まり、膝がよりスムーズに動くようになります
湯船で行う膝のマッサージ法 ※マッサージやストレッチングは体が十分温まってから行います。
1.ひざのお皿周辺のマッサージ
浴槽内で膝を完全に伸ばした状態で行います。この方が膝のお皿を動かしやすいためです。
腰や背中がつらい場合は膝を曲げて行いましょう。 膝の周囲をつかむようにして圧迫します。
膝のお皿を、両手の親指でもみほぐします。
膝のお皿を、親指と人差し指でつかみ、滑らせるように、上下左右に動かします。
2.ひざの裏のマッサージ
片方の膝を立てて、両手で膝を抱えるようにしてつかみます。
親指以外の4本の指で、膝の裏側をもみほぐします。
3.ふくらはぎのマッサージ
片方の膝を立てて、片方の手でふくらはぎをつかみます。
小さな円を描くように、下から上へともみほぐします。
4.太もものマッサージ
片方の膝を立てます。
手で太ももの内側の筋肉をつかみ、軽く握っては離すという動作を下から上に向けて繰り返します。
柔軟体操・ストレッチング
柔軟体操やストレッチングとは、ゆっくりとした動きと呼吸で、筋肉や靭帯、関節を伸ばす運動です。
運動不足が続いたり、膝が老化して関節の変形が進んだ状態になると、関節内の炎症や、筋肉の衰えによる血行の悪化が起こりやすくなり、それによって関節がスムーズに動かなくなったり、動かせる範囲が狭くなります。具体的には膝を伸ばしきったり、深く曲げることができなくなります。また、体重がかかった時に痛みが起こりやすくなります。こうした症状に有効な運動がストレッチングです。
ストレッチングの主な効果は「膝の動きの改善」、つまり、膝が動く範囲(駆動域)を広げて曲げ伸ばしをしやすくすることです。
スムーズに動かない"、"膝を伸ばしきったり深く曲げることができない"といった症状に対して特に有効です。
•筋肉や関節の柔軟性が高まる
→関節の動きが滑らかになる。また、膝の動く範囲(駆動域)が広がり、曲げ伸ばしがしやすくなる
•こわばった筋肉が柔らかくなって血行(血液の流れ)が良くなる
→炎症物質や疲労物質が流れ出て行きやすくなる
→膝の動きが良くなるだけでなく、痛みや疲れもとれやすくなる
•膝の組織が刺激されて新陳代謝が良くなり、長期的にも痛みが起こりにくくなる
•体の奥の筋肉「深層筋(インナーマッスル)」が効率的に鍛えられる
→関節の柔軟性の高まりとの相乗効果で、体のバランスが良くなりケガをしにくくなる
ストレッチングを行う際のポイント・注意点
•体を締めつけない、動きやすい服装で行いましょう。
•体が沈み込むような柔らかい布団やマットの上では行わず、平らなところで行いましょう。
•呼吸は止めずに行いましょう。息を吐きながら伸ばし、吸いながら元の姿勢に戻るのが基本です。
•ゆっくりとした動作で行いましょう。必要以上に力んだり反動をつけてはいけません。
•強い痛みや不快感を感じない範囲で伸ばしましょう
→筋肉が伸びる気持ちよさを感じながら行います。やや痛みも感じる「痛気持ちいい」くらいが最も効果的とされます。毎日続けることで少しずつ曲げ伸ばしできる範囲が大きくなりますので、焦らずに続けましょう。
•体が温まっている時は筋肉が柔らかく関節の動きが良くなります。温熱効果で痛みも和らぎますので、入浴後などに行うのがオススメです
脚の筋肉(背面)
膝を伸ばすための筋肉「大腿二頭筋」、膝を曲げるための筋肉「ハムストリングス」、そのほか、ももの内側の筋肉「内転筋」、ふくらはぎの筋肉「腓腹筋」など、下半身全体を伸ばします。
太もも前面の筋肉「大腿四頭筋」のストレッチング
やり方@
1.座って両足を前に伸ばす
2.片方の足のひざを折りたたむように曲げる。この時点で太ももの前面が伸びてつっぱるような感じがすれば筋肉がよく伸びている
3.その状態でも余裕があれば、上体をゆっくりと後ろに倒して負荷を強める
4.筋肉が伸びて気持ちいいところで止め10秒保つ。これを5〜10回繰り返し行う。反対側の足も行う
やり方A
1.足を伸ばしてうつ伏せになる
2.片足を曲げ、つま先付近をつかみ、痛みのない範囲でお尻に引き寄せる
3.この状態で10秒間保つ。これを5〜10回繰り返し行う。反対側の足も行う
4.※横向きに寝たり、立った状態で行ってもよい
太もも裏面の筋肉「ハムストリングス」のストレッチング
やり方@
1.片方の足を曲げ、もう片方の足を伸ばして座る
2.伸ばした方の足首に触るように、上体を傾けていく。実際に触れなくてもよいので、無理のない範囲で前屈する
3.この状態で10秒間保つ。これを5〜10回繰り返し行う。反対側の足も行う
4.(ポイント)伸ばした方は膝の裏をしっかり伸ばす
やり方A
1.あお向けに寝て足を伸ばす
2.片足を曲げ、膝の裏側を両手で抱え、痛みのない範囲で胸に引き寄せる
3.この状態で10秒間保つ。これを5〜10回繰り返し行う。反対側の足も行う
太もも内側の筋肉「内転筋」のストレッチング
1.足の裏を合わせるようにして座る
2.足を無理のない範囲で体の方に引き寄せる
3.手で足の甲を押さえたまま、両脚を広げて太ももの内側の筋肉を伸ばし、10秒間保つ。これを5〜10回繰り返し行う。反対側の足も行う
4.※余裕があれば上半身を前に倒して前屈したり、両手で両膝を下に軽く押し広げる
やり方@
1.あお向けに寝て両足を伸ばす
2.膝を曲げた左足を、体と垂直になるように上げる
3.そのまま左足を右側に倒す。左足が浮かないよう右手で上から軽く押さえる。
この時、左肩が床から離れ過ぎないように首は左を向くとバランスが取りやすい
4.この状態で10秒間保つ。これを5〜10回繰り返し行う。反対側の足も行う
やり方A
1.両足を伸ばして座る
2.左足を曲げて右足の上をまたぐ
3.右腕を左足の左側に差し込み、腕やひじを使って、左膝を内側に押す。同時に腰と首は左側にひねる
4.この状態で10秒間保つ。これを5〜10回繰り返し行う。反対側の足も行う
膝から下のストレッチング
ふくらはぎの筋肉は「下腿三頭筋(かたいさんとうきん)」といい、腓腹筋(ひふくきん)、ヒラメ筋などから構成され、主に足首を曲げ伸ばしする働きをもちます。アキレス腱はふくらはぎの筋肉とかかとの骨を結ぶ硬いゴムのような組織で、歩いたりジャンプする運動の際に必要なものです。
ふくらはぎの筋肉とアキレス腱のストレッチング
ふくらはぎを伸ばすやり方@
1.壁や手すりの前に立ち、足を前後に開く
2.前に踏み出した膝を軽く曲げ、腰を前に押し出すようにする。このとき、腰が反らないように気をつける
3.この状態で10秒間保つ。これを5〜10回繰り返し行う。反対側の足も行う
4.(ポイント)※頭の先からかかとまでが真っすぐになるように意識する
ふくらはぎを伸ばすやり方A
1.床にあお向けになり、両足を伸ばす
2.両足のかかとを床につけたまま、両足首をゆっくり手前に反らし、5秒キープする
3.つま先を立てるように両足首をゆっくり向こう側に曲げ、5秒キープする。これを10回程度繰り返す
4.※イスに座った状態で行なっても良い
アキレス腱を伸ばすやり方
1.脚を前後に開いて立つ
2.後ろ側のひざを軽く曲げて、かかとを床につける
3.そのままゆっくりと腰を落とす
4.この状態で10秒間保つ。これを5〜10回繰り返し行う。反対側の足も行う
お風呂で行うストレッチング
入浴中にできる膝のストレッチング法です。特に膝の痛みが強い人におすすめです。
浴槽につかって十分に体を温めてから行いましょう。足が滑らないように十分気をつけてください。
やり方@ 膝の曲げ伸ばし
1.浴槽のふちにしっかりとつかまって、ゆっくりとしゃがんでいく
2.痛みのないギリギリのところまで曲げたら、そのまま10秒間保つ
3.浴槽のふちにつかまり、ゆっくり立ち上がる。膝に手を当ててゆっくり10回押して膝を伸ばす。これを2回繰り返す
やり方A 脚の後ろ側のストレッチング
1.浴室用のいすに腰かけ、背すじを伸ばす
2.両足を前に伸ばしてかかとを立てる
3.両手でひざを押し、前屈する
4.この状態で20〜30秒間保つ。痛みの出ない無理のない範囲で行う
やり方B 膝のストレッチング
1.湯船から出て、足をそろえて立つ
2.膝の上あたりを両手で軽く押さえて、膝の裏側の筋肉を伸ばす
3.この状態で20〜30秒間保つ。痛みの出ない無理のない範囲で行う
筋力の強化
運動によって適度な負荷をかけることで、骨、筋肉、靭帯、関節包などの組織を強化することができます。それにより膝にかかる負荷を支える力が強まり痛みが軽減されます。また、組織の新陳代謝も高まり長期的にも痛みが起こりにくくなります。
筋力トレーニングとは、体の特定の箇所に集中してやや強めの負荷をかけることで、筋肉、靭帯、骨などの組織を強化する運動です。膝の筋力トレーニングでは、主に膝関節の周囲の筋肉や靭帯を強化することで、膝を支える力を高めます。
運動の目的・得られる効果
筋肉、骨、靭帯などの組織が強く丈夫になる
→膝を支える力が強くなり、安定感も増す
→膝にかかる負荷が減って痛みが和らぐ。また、将来的にも痛みが起こりにくくなる(高い予防効果)
•筋肉の量が増えて血行(血液の流れ)がよくなる
→炎症物質や疲労物質が流れ出て行きやすくなる
→痛みや疲れがとれやすくなる
•筋肉量が増えることで基礎代謝が上がり、エネルギーが消費されやすく太りにくい体質になる
筋力トレーニングは治療よりも予防に効果的で、痛みが生じる前に行うことで最も効果を発揮します。痛みが出始めてから筋肉を鍛えても、十分な筋肉がつくまでには時間がかかります。早く筋肉をつけようとして無理をすると逆に膝を痛めてしまいます。
また、特別に筋力トレーニングを行う必要があるのは、筋肉の衰えや膝の不安定さを感じているような人です。普段体を動かす機会がほとんどない高齢者や若い女性に多いです。
普通に運動ができるくらいの人なら必ずしもトレーニングを行う必要はありません。ウォーキングなどの全身運動や柔軟体操でも必要な筋肉は十分につきます。ただ、筋肉がないよりはあった方がいいのは確かなので、頑張って鍛えること自体には問題ありません。他の運動と合わせて行うことで、痛みの予防効果がぐっと高まります。
鍛える筋肉
膝のトレーニングでは主に「太もも」の筋肉を鍛えます。膝の曲げ伸ばしをするための筋肉であり、体重による負荷を支えて膝に伝わるのを和らげる筋肉でもあります。
膝の動きをコントロールする筋肉
大腿四頭筋(だいたいしとうきん)
太ももの前面にある筋肉です。膝を伸ばす時に使われます。
ハムストリングス
太ももの裏側にある筋肉です。膝を曲げる時に使われます。
トレーニング法
膝に大きな負荷をかけると逆効果なため、重しを使わない軽めのトレーニングや、膝ををあまり動かさずに筋肉に力を込める「等尺性筋収縮(アイソメトリクス)」が主になります。
最初は軽めの負荷で行い、筋力が付いてきたら徐々に強度を上げていくようにします。「ややきつい」と感じるくらいで行うと最も効果が高いとされます。
•運動中や運動後に膝の強い痛みや動きの違和感、気分の悪さなどを感じたらすぐに運動を中止し、症状が治まるまで安静にしましょう。良くならない時は速やかに医療機関を受診してください。
•十分な運動効果を得るには、少しずつでも良いので「続けること」が大切です。できるだけ毎日継続して行い、朝晩2回続けると効果的です。ただし、痛みが強い時や疲れがたまっている時は無理をせず、必ず膝を休ませてください。
•筋肉が十分に鍛えられまでには時間がかかります。すぐに効果が現れるものではありませんので、焦らずに続けましょう。
•運動前にストレッチング(柔軟体操)で筋肉を伸ばしておくと、トレーニング後の筋肉痛を軽くしたり、運動中の不慮のケガが少なくなります
太ももの筋力トレーニング
膝を支えたり、膝を曲げ伸ばしするのに重要な役割を果たすのが、膝から上の「太もも」の筋肉と、膝を囲む靭帯です(参考:膝の構造)。膝の筋力トレーニングで最も重点的に鍛えるべき部位です。
やり方@ ひざをあまり動かせない人向けの方法
1.両足を伸ばしてあお向けに寝る
2.ひざに力を入れて、ひざを床に5〜6秒間押し付ける。これを20〜30回程度繰り返す
3.※ひざをあまり伸ばせない人は、下図のように、膝下にタオルを置いて押し付けるのもよい
やり方A 足上げ体操
<負荷の小さい方法>
1.あお向けになり、片方の膝を立てて90度に曲げ、もう一方はまっすぐ伸ばす
2.伸ばした方の脚をゆっくりと上げていく
3.床から10cm程度のところまで上げたら脚を止め、そのまま5秒間保つ
4.脚をゆっくり下ろし、5〜10秒間休む。これを10回程度繰り返す。反対側の脚も同様に行う
<負荷の大きい方法>
1.あお向けになって両手を頭の後ろに組み、つま先をひざ方向に反らして、ひざをしっかり伸ばす
2.つま先を反らせたまま、膝が曲がらない範囲で片方の足を引き上げた状態を5秒間キープする
3.ゆっくりと足を下ろす。これを15回繰り返し、反対側の足も同様に行う
やり方B イスを使った足上げ体操
<負荷の小さい方法>
1.両手でイスのふちをつかみ、浅く腰かける。一方の脚は膝を曲げて床につける。もう一方は足首を90度に曲げて前に伸ばす
2.伸ばした方の脚をゆっくりと上げ、床から10cm程度のところで止め、そのまま5秒間保つ
3.脚をゆっくり下ろし、5〜10秒間休む。これを10回程度繰り返す。反対側の脚も同様に行う
<負荷の大きい方法>
1.椅子に深く腰かけ、両手を片方の足のひざの下で組み、ひざを軽く持ち上げる
2.太ももに力を入れ、ひざをまっすぐに伸ばした状態を5秒間キープする
3.ゆっくりと足を下ろす。これを10回繰り返し、反対側の足も同様に行う
4.ポイント:腕でひざを引き寄せない。上半身で反動をつけない
やり方C スクワット
<負荷小さめの方法>
1.足の指先と膝を正面に向け、足を肩幅ぐらいに広げて立つ
2.ゆっくりと膝を60度ぐらいに曲げて腰を落とす。痛みのある時は無理をしないこと
3.ゆっくりと膝を伸ばして元の状態に戻る。これを10回程度繰り返す。
4.※膝がつらい時は壁に手をついて行うとよい
<負荷大きめの方法>
1.背すじを伸ばして両手を頭の後ろで組み、両足を肩幅に開いて立つ
2.あごを突き出すように正面を見て、お尻を突き出すようにして、ひざが90度くらいになるまで腰を落としていく。
この時、上から見てつま先が太ももに隠れていれば、ひざが開いたり閉じたりしていない理想的なフォームになる
3.ゆっくりと膝を伸ばして立ち上がり元の状態に戻る。これを15〜25回程度繰り返す。
<負荷小さめの方法:スタンディングレッグカール>
1.壁に向かって手を添えて立ち、膝を壁に軽く当てて固定する
2.片方の足の足首を曲げ、かかとをお尻に近づけるようにして、ゆっくりと膝を曲げた状態を5秒キープする
3.曲げた足をゆっくり下ろして膝を伸ばす。これを10回程度繰り返す。反対側の脚も同様に行う
<負荷大きめの方法:ヒップアップ>
1.あお向けに寝る。両足を肩幅に開き、ひざを立てて90度に曲げる。両腕を軽く開き、手の甲を上にして床を押さえるようにする
2.両腕で体を支えながら、太ももとおしりに力を入れ、お尻を真上に持ち上げる。この状態を5秒キープする
3.ゆっくりとお尻を下ろし元の体勢に戻る。これを10回程度繰り返す
4.ポイント:足の裏は床につけたまま動かさない。お尻を持ち上げた時、胸からひざにかけてまっすぐなラインになるようにする
やり方@ 横上げ体操
<負荷小さめの方法>
1.枕やクッションを使って横向きに寝る。手は楽な位置に置く。下側の足は90度に曲げ、上側の足は伸ばす。
2.上側の足を、膝を伸ばしたままゆっくりと上げていく
3.床から10cm程度のところまで足を上げたら、そのまま5秒間保つ
4.5秒間かけて足をゆっくり下ろし、5〜10秒間休む。これを10回程度繰り返す。反対側の脚も同様に行う
<負荷大きめの方法>
1.横向きに寝る。手は真上に伸ばし、その上に頭を乗せる。下側の足は90度に曲げ、上側の足は伸ばす。
2.上側の足を、膝を伸ばしたままゆっくりと上げていく
3.膝が曲がらない範囲で、足をできる限り高く上げ、そのまま5秒間保つ
4.5秒間かけて足をゆっくり下ろし、5〜10秒間休む。これを10回程度繰り返す。反対側の脚も同様に行う
やり方A チューブトレーニング
1.足を前に投げ出して座る
2.膝より上にエクササイズ用のゴムをかけ、力を込めて左右に広げる
3.そのまま5〜10秒間保つ
4.足をゆっくり戻す。これを10回程度繰り返す。
太もも内側の筋肉「内転筋」を鍛えるトレーニング
やり方@ 横上げ体操
1.横向きに寝る。上側の足は90度に曲げて下側の足の後ろに置く。下側の足はまっすぐ伸ばす。
上側の手は体の前に置いて体を支える。下側の手は楽な位置に置く。
2.下側の足を、膝を伸ばしたままゆっくりと上げていく
3.痛みのない範囲で、上げられるところまで上げたら、そのまま2,3秒間保つ
4.足をゆっくり下ろす。これを10回程度繰り返す。反対側の脚も同様に行う
やり方A ボールエクササイズ
1.床に足を伸ばして座る
2.ボールを太ももの間に挟む。手は楽な位置に置く
3.ボールが床から浮かないように注意しながら、ボールの中心に向かって両ももで5秒間ほど、ゆっくりと力をこめていく
4.これを10回程度繰り返す
5.※使うボールはゴムボール、バレーボール、サッカーボールなど
ひざから下のふくらはぎ周辺の筋肉を鍛えるトレーニング方法を紹介します。
ふくらはぎの筋力トレーニング
やり方@ つま先立ち
1.足の指先を正面に向けて立つ。両手は自然に下ろし、両足はそろえるか軽く開く
2.そのままかかとを上げてつま先立ちする。5〜10秒ぼど保ったらゆっくり戻す。これを10回程度繰り返す
3.膝がつらい時は、壁に両手をついて行う。負荷を大きくしたい時は、写真右のように低い台の上につま先を乗せて行ったり、ダンベルなどの重しを持って行う
やり方A ストレッチングも兼ねた体操
筋肉への負荷は小さめですが、膝に体重がかからないため、膝が悪い人におすすめの方法です
1.床にあお向けになり、両脚を伸ばす
2.両脚のかかとを床につけたまま、両足首をゆっくり手前に反らし、5秒キープする
3.つま先を立てるように両足首をゆっくり向こう側に曲げ、5秒キープする。これを10回程度繰り返す
4.※イスに座った状態で行なっても良い
装具 ひざ掛け、レッグウォーマー、サポーター、インソール、杖
保温用レッグウォーマー
これらは外気による冷え対策に有効です。
サポーター
サポーターは普通のものでも保温効果がありますが、他にも遠赤外線効果のあるもの、カイロを入れるポケットの付いたもの、膝を支える金属製の支柱やバンドつきのタイプもあります。支柱入りタイプは膝に掛かる負担を軽減できるため、関節の変形が進み、膝に力が入らない人におすすめです。また、サポーターをつけると膝の感覚が鋭敏になるので、膝の関節を意識して安定した歩行ができる効果もあるといわれます。
<ポイント・注意点>
サポーターやホットパックは市販品も含めて種類が多いため、迷ったらどんなタイプがよいか医師に相談して選ぶとよいでしょう。膝や足に巻きつけるタイプのものは緩すぎてもダメですが、締め付けが強すぎても血行が悪くなって逆効果ですし、膝の曲げ伸ばしもしにくくなります。また、かゆくなるなどのトラブルもあるので、できる限り試着をしてサイズを確認しましょう。
サポーターの種類と特徴
保温タイプ(左)と支柱入りタイプ(右)
保温タイプ
「冷え」は膝の痛みを引き起こしたり、悪化させる要因の一つです。冷え対策として使われるサポーターは膝を覆う防寒具のようなもので保温効果があります。材質がやわらかいため締めつけ感がなく、体操をしたり日常生活の中でも使いやすいのが特徴です。薬局などでも手軽に購入できます。
膝の保温性と支持性の両方を持つタイプもあります。材質がやや固めでベルトなどで固定します。サポート力は次に紹介する支柱入りのものには劣るため軽症の人向けになります。
支持・固定タイプ
膝を支えるタイプのサポーターは、内側と外側に金属や強化プラスチック製の支柱が入っているタイプのものです。
筋肉の代わりに膝関節を支えることができ、関節を支える太ももの筋肉(大腿四頭筋)が弱っていて膝に力が入らない人に適用されます。また、外側から脚を支えて固定するため、膝が外側に曲がっているO脚の矯正にも使用されます。膝の安定性が増す支持タイプは、主に歩くときに装着するもので、歩くのがだいぶ楽になります。
サポーターは、付けているだけで膝が保護されているという安心感も持てるため、是非利用していただきたい装具です。
足底板(インソール)について
足底板(そくていばん)は、O脚による膝の痛みを和らげ、膝の変形悪化を防ぐための装具です。
<O脚とは>
まっすぐに立っている時でも両膝の間が開いてしまっている脚の変形状態のこと。両足の間がアルファベットの「O」のように丸く開いていることからこう呼ばれ、俗に「がに股」とも呼ばれる。
子供に多く見られるが、ほとんどは成長とともに自然に改善される。O脚の状態が続くと膝関節の軟骨や骨が変形する変形性膝関節症を発症したり、逆に変形性膝関節症によってO脚になるケースもみられる。
足底板(左)と矯正イメージ(右)
O脚・ガニ股を直す足底板
変形性膝関節症などで脚の変形が進んだ結果、膝の関節軟骨の内側がすり減ってO脚になっている人が多く見られます。O脚の度合いがひどくなると、軟骨の内側に体重がかかって負荷が大きくなり、ますます関節の変形が進み、痛みも増してきます。
足底板はこのように軟骨の内側がすり減ってバランスが悪い状態を矯正するためのものです。靴の中敷きのようなパッド状の装具で、足の裏に当てて使います。O脚用の足底板は外側(小指側)が高く内側が低い、斜めの形状になっています。この上に乗ることで体重の負荷が膝の内側にかたよらず、バランスよく体重を支えたり、膝を安定させて痛みを軽くするることができます。
足底板は中敷タイプのものが多く、普段履く靴に使えるという利点がありますが、足首が固定されないためうまく矯正できないこともあります。足裏に直接装着するタイプもあります。
杖について
杖は外出時に歩行によって関節にかかる負担を軽減したり、転倒を予防するのに効果的な装具です。
膝や股関節の痛みで歩くのが困難な場合だけでなく、徐々に痛みが増してきた時にも症状悪化を防ぐのに役立ちます。
杖というとどうしても高齢者が使う物というイメージがあり、使用に躊躇する人もいるかもしれません。しかし最近ではファッション性の高いオシャレな杖も多くなっていますし、杖を使うことで、運動のために積極的に歩いたり外出をする機会も増えてきますので、先入観は捨てて積極的に使うことをおすすめします。
<自分に合った杖を選ぶ>
杖を選ぶ際は、持ちやすく、自分の身長に合った杖を選ぶことが重要です。
手で握る部分が自分で持ちやすい形であり、まっすぐ前方を向いていることが使いやすい杖の条件です。
杖の長さについてはいくつかの目安があります。一つは、太もものつけ根の高さで選ぶ方法。もう一つは身長の半分+3センチ前後で調整する方法です。これらを目安に大体の長さを決め、あとは実際に杖をついてみて自分が歩きやすい長さに調整するとよいでしょう。
膝の痛い病名の可能性
主に日常的な膝の使用や加齢を原因とするもの
重い荷物運び・肉体労働による膝への負荷太っていると膝の負担が大きい
膝は体重による負荷を分散し、体のバランスをとるのに重要な役割を果たします。最大で体重の10倍近くの負荷がかかる部位でもあるため、体の中でも特に骨や軟骨の劣化が起こりやすく、痛みが生じやすい箇所です。
また、骨、筋肉、靭帯などの体の組織は、30歳を過ぎた頃から徐々に衰え始めます。例えば軟骨は長年使われることでタイヤがすり減るように、骨同士の摩擦などですり減っていきます。
ここでは主に「日常生活における膝の使用や加齢」が原因でひざ関節が劣化し変形していく、つまり体の自然な老化現象の一つとして膝の痛みを生じる障害を紹介します。
「運動不足による肥満・膝の筋力や柔軟性不足」、「立ち仕事や重い荷物を持つ行為」、「O脚(がに股)」などは、膝の負担を大きくする要因であり、こうした要因が多い人ほど膝の障害が発生しやすく発症年齢も早くなりがちです。
変形性膝関節症
ひざ関節の骨や軟骨がすり減ったりもろくなったりして変形した状態
【主な症状・特徴】
膝を動かしはじめる時の痛み(立つ、座る、歩くなど)
膝の動きの制限(こわばって動きが悪い、一定以上曲げ伸ばしできない等)
膝がきしむ、膝に水がたまる
中高年の膝の痛みの原因として最も多くみられる
膝蓋大腿関節症
ひざの皿(膝蓋骨)と太ももの骨による関節「膝蓋大腿関節」に炎症が起こるもの
【主な症状・特徴】
ひざの皿の上部あたりに痛みを感じる
ひざの皿が大きく動くようなズレているような感じがする
ひざの腫れやこわばりが見られる
膝蓋骨不安定症
膝蓋骨(ひざの皿)の動く範囲が大きくなり、ひざに衝撃を受けた時などに脱臼しやすくなる障害
【主な症状・特徴】
ひざの皿が大きく動いて不安定感や違和感を感じる
ひざの皿が度々外れて、腫れたり痛み(時には激痛)を感じる
もし、上記のどれにも当たらないと思うならば、具体的に痛い場所がわかれば連絡ください。
痛みなどの症状が現れる箇所
膝の痛みやそれに伴う各種の症状が、体のどの部位に現れているか確認し、原因を探ることができます。
あくまでも症状が発生しやすい箇所であり、「ある障害では必ずこの場所に症状が出る」と決まっている訳ではありません。「症状一覧」や「原因一覧」なども参照しながら原因を絞り込んでみてください。
膝の使いすぎによる経過性の「スポーツ障害」の可能性について
膝に一定の負荷がかかり続けることで起こる障害です。最初は小さな痛みや違和感を感じ、徐々に症状が悪化してくケースが多いです。
腸脛靭帯炎(ランナー膝・ランナーズニー)
大腿骨(太ももの骨)の外側に位置する靭帯「腸脛靭帯」に炎症が起こるもの
【主な症状・特徴】
膝の外側が痛む(走っている時、走り終えた時、患部を指で押した時など)
名前のとおり陸上競技の長距離選手や登山者に多く見られる
膝蓋腱炎(ジャンパー膝・ジャンパーズニー)
膝の皿とすねの骨をつなぐ膝蓋腱が傷つき炎症を起こしたもの。重症例では腱が完全に切れる「膝蓋腱断裂」が生じる。名前のとおりジャンプ競技やランニングで良く見られる
【主な症状・特徴】
膝蓋骨(ひざの皿)の下側に痛みや腫れが生じる
10〜20歳代によく見られ、特に高校生以降の男子、背の高い人などに多い
タナ障害(タナ症候群)
膝の皿と大腿骨(太ももの骨)の間にあるヒダ状の膜(通称「タナ」)が炎症を起こしたもの。膝の屈伸と打撲を伴うスポーツ種目によく見られる
【主な症状・特徴】
スポーツ時などに膝の皿の内側に痛みやひっかかり感がある
膝を動かした時に何か挟まるような感じがする。その際に「コキッ」「コツッ」といった音がすることもある
膝の皿のあたりに違和感や重苦しさを感じる
10〜20歳代の若い人に多く発症し、男性よりも女性の割合が高い
鵞足炎(がそくえん)
膝の内側の腱に炎症が起こり痛みを感じる障害
【主な症状・特徴】
膝の内側から膝下にかけて痛む(膝の曲げ伸ばし時、運動時、圧迫時など)
膝をいっぱいにまで伸ばしたときに痛みが起こりやすい
【主な原因】
運動・スポーツ時に膝が内側に入る動作(外反)や、膝から下を外側にひねる動作(外旋)による腱の摩擦
オスグッド病
ひざの皿の下あたりの骨に、変形や膨張(ふくらみ)などの異常が起き、刺激に対して異常に敏感になるもの
【主な症状・特徴】
正座した時にひざが痛む
ひざを強く曲げたとき、皿の下に痛みがある
膝の皿の下の少しでっぱっている部分が更にふくらんでいる
10〜15歳くらいの、特にスポーツをする子供によく見られる
【主な原因】
成長期の不安定な状態の骨に、運動などの刺激で異常が生じる
離断性骨軟骨炎
骨の先端にある軟骨部分が壊死して骨の一部といっしょにはがれるもの。野球ひじ、テニスひじなども該当する
【主な症状・特徴】
膝が一定以上曲げ伸ばせない、全く動かないなど、急に動きが悪くなり、同時に膝に激しい痛みを感じる
膝を動かした時に痛み、安静時はほとんど痛まない
膝に何か挟まっているような感じがする
膝蓋軟骨軟化症
膝蓋軟(ひざの皿)の裏側の軟骨が、大腿骨(太ももの骨)とこすれてすり減り、炎症を起したもの。軟骨の軟化・膨隆・亀裂などの変形を生じる。マラソン、ジャンプ系の競技で発症しやすい
【主な症状・特徴】
膝を動かす時に、ひざの皿周辺に痛みを感じる。ゴリゴリと音がすることもある
ひざの皿を押すと痛む
ひざの皿の違和感・不安定感(皿が引っかかる感じや、膝を伸ばす時にきしむ等)
10〜20代の若い女性に多く発生する
膝蓋骨不安定症
膝蓋骨(ひざの皿)の動く範囲が大きくなり、ひざに衝撃を受けた時などに脱臼しやすくなる障害
【主な症状・特徴・原因】
ひざの皿が大きく動いて不安定感や違和感を感じる
ひざの皿が度々外れて、腫れたり痛み(時には激痛)を感じる