関節リウマチのメカニズムと治療法

 

 

病状

病気の推察

病状のメカニズム

病状の治療法 薬、習慣、心、価値観

 

 

 

病状

症状 手足の痛みとむくみ

手首の親指側        ズキンとする疼痛

親指の付け根の関節

手指の第二関節       固まっている感覚   血管に刺激されるズキズキする痛み

足首から下に大きなむくみ

 

 

 

 

病気の推察

病状と血液検査と尿検査から膠原病と推察することが可能になります。

膠原病の一部が関節リウマチです。

 

   

 

 

関節リウマチとは?

私たちの体にはウイルスや細菌といった有害な“異物”から体を守ってくれる防御機構=免疫システムが備わっています。しかし、このシステムがなんらかの異常をきたし、自分自身の正常な細胞や組織を攻撃して、内臓や細胞組織などにダメージを与えてしまうことがあります。このような病気を自己免疫疾患と言います。

 

関節リウマチはその代表的な疾患の一つ。免疫システムの異常によって手や足を中心とした関節に炎症が起こる病気です。関節の腫れや辛い痛みに加えて、進行すれば、やがて関節の軟骨や骨が破壊されて、深刻な機能障害に至ります。

 

 

関節の症状はどのように起こるのですか?

1. 最初は滑膜組織に炎症が起こる

骨と骨とをつなぐ関節は、上図の「正常な関節」のようなつくりになっています。軟骨はクッション、関節液は潤滑油として、関節を滑らかに動かす役割を果たしています。また、関節液は滑膜 ( かつまく ) でつくられます。

 

滑膜は、薄い膜と軟らかな組織からできています。これらは滑膜組織とよばれ、関節を内側からくるんでいます。リウマチによる炎症は、この滑膜組織から始まり、しだいに軟骨や骨に影響がおよんでいきます。そのため、病気が滑膜組織にとどまっているうちに治療を始めれば、軟骨や骨が壊れるのを防ぐことも可能です。

 

炎症は滑膜組織から軟骨、骨へと拡がっていきます。

2. 炎症性サイトカインなどで症状が悪化

リウマチの炎症が進行すると、滑膜組織からTNFα、インターロイキン1 ( IL-1 ) 、インターロイキン6 ( IL-6 ) などの炎症性サイトカイン ( 炎症を起こす物質 ) や、中性プロテアーゼなどの酵素、活性酸素、一酸化窒素など、炎症を悪化させる物質が次々と生み出されるようになります。このうち、中性プロテアーゼは軟骨を壊すはたらきをします。

 

また、炎症性サイトカインは、骨を壊す役割をもつ破骨 ( はこつ ) 細胞のはたらきも活発化させます。壊れる骨の量が、日々新たにつくられる骨の量を上回ると、骨が壊れていってしまいます。

 

 

 

 

 

 

病状のメカニズム

 

関節リウマチが起こるしくみ

関節リウマチは、「免疫力」に異常が起きて、本来、外敵から自分を守るために働く免疫力が自分自身を攻撃してしまうこと(自己免疫)で関節に炎症が起こり(滑膜炎) 、腫れや痛みをはじめとしたさまざまな症状があらわれる病気です。

免疫異常のターゲットとなった滑膜では、血管を通じて、全身からリンパ球・マクロファージなどの炎症細胞が集まります。 これらの細胞により、炎症反応を促すさまざまな化学物質(炎症性サイトカイン)が分泌されることで、滑膜に炎症がおこり、関節の腫脹や変形につながります。

関節の炎症と骨の破壊が主な症状です。

免疫システムにおいて、体内に侵入してきた細菌やウイルスなどの異物を攻撃して退治するという中心的な役割を担うのは、好中球やマクロファージ、T細胞、B細胞といった免疫細胞です。そして、これらの細胞が機能している証として現れるのが「炎症」だと考えられています。

 

 

 

関節にウイルスや細菌が感染し、この炎症反応が現れた状態がいわゆる関節炎です。通常は細菌やウイルスが死滅すれば、炎症は治まりますが、関節リウマチの場合、原因はわかりませんが、自分のからだの細胞に免疫反応が強く起こります。このため、その後も自分の細胞を攻撃し続け、症状が継続します。

さらにこの状態が続くと、関節内に炎症を助長するTNF-αやIL-6と呼ばれる炎症性物質(サイトカイン)が増加して、関節内はまさに“火に油を注ぐ”状態となり、炎症の悪化、さらには関節の破壊へと進展します。

 

このような自己免疫疾患は、免疫の司令塔であるT細胞のうち、自己に対する免疫反応を抑制するT細胞と促進するT細胞のバランスが破綻すると発症すると考えられています。

 

自己免疫疾患 autoimmune disease)とは、

体内に自己抗原(タンパク質)を認識するリンパ球が生じ、自己に対して免疫反応を起こしてしまい、自己抗体(タンパク質を分解するもの)を産生してしまう疾患の総称であり、標的となる自己抗原がある局所で強い炎症反応が発症する。

 

 

 

リウマチのメカニズム

  

 

低温や低気圧によって痛みが増すケースがある。

 

 

 

 

痛みのメカニズム

 

骨格の歪みや筋肉が感覚神経に接触し、その信号が中枢神経に伝達されると、それが痛みとして感じられるようになる。

 

 

 

足首のむくみの原因の可能性

塩分・水分の摂りすぎ

タンパク質や水分の摂取不足

同じ姿勢を長時間維持

血流の停滞

腎機能障害   老廃物を体外へ排出する機能が低下するとむくみが起こります。

下肢静脈瘤   足の血管が膨れて瘤状になることでむくみやだるさ、痛みなどの症状が現れます。

リンパ浮腫   リンパ液が何らかの要因により滞った状態で、むくみやだるさなどの症状が現れます。

 

むくみのメカニズム

水分循環が悪くなると体内に老廃物が貯まり過剰な水分が生成され、重力の関係で水分は下へ落ちます。

 

 

足首のむくみの改善法

利尿剤で腎臓機能の活性化

マッサージによる血行促進とリンパ液の流れの改善

弾性ストッキングによる足の圧迫

簡単に行えるストレッチや運動の指導

 

 

 

 

 

病状の治療法 薬、習慣、心、価値観

 

妊娠中

妊娠により体内に少量のステロイドホルモンが分泌されるなどの理由で関節リウマチの活動性が落ち着くケースが多い。

 

使用を避けるべき薬  リウマトレックスやメトトレキサート、メトレートなどのMTX製剤

使用を勧める薬    生物製剤のエンブレムやシムジア、そして免疫抑制薬のタクロリムス

 

 

治療法

日常生活

@安静のために夜更かしをしないで十分な睡眠時間をとる。

症状の強い時は日中も休息を取る。

Aイライラしたりしないで、ストレスの少ないゆったりした生活を心がける。

 

入浴

40℃程度のぬるま湯に10-20分間浴する微温長時間浴

浴後は 30-60分間保温に注意しながら臥床安静をするくらいの慎重さが望 ましい。

1日の入浴回数は最初1-2回から始め、2-3回と増やしてゆくが多くても13回までとする。

 

リハビリテーション・運動

血液の流れをよくして痛みや筋肉のこわばりをとるための運動療法

患部を温めて痛みやこわばりを和らげる温熱療法

夏は過度に冷風に当たらないように気をつける

「リウマチ体操」   10回1セット、できれば毎、午後と後の12

 

運動すると痛みがあるので控えるのは理解できますが、痛みそのものが関節リウマチを悪化させることはありません。

ただ骨の変形を招くような過度な走行や運動などは控えます。

 

 

 

リウマチで避けるべきこと

高い枕で

膝を曲げて寝る

長時間にわたる正座をする

どれも血液の循環を阻害するため

 

 

 

 

膠原病  a diffuse collagen disease

膠原病とは、ひとつの病気の名前ではなく、共通する性質を持ついくつかの病気の総称です。

1942年に、アメリカの病理学者であるPaul Klemperer1887-1964)が、顕微鏡を使った検査で、全身の結合組織(骨・軟骨・腱など)や血管に「フィブリノイド変性」と呼ばれる特徴的な所見が認められるいくつかの病気を発見し、それらを「膠原病」と呼ぶことを提唱しました。膠原病は、「結合組織疾患」や「リウマチ性疾患」などと言い換えられることもあります。

 

膠原病を発症する原因は、「免疫」の異常にあると考えられています。私たちの体には、細菌やウイルスのような異物を排除し、自分を守るための「免疫」という機能が備わっています。

一方で、自分の体をまるで異物のように認識し、排除しようとする免疫の暴走を「自己免疫」と呼びます。

膠原病の患者さんの体の中には、自分の体を攻撃する細胞(自己反応性リンパ球)や、蛋白質(自己抗体)が存在し、これらが皮膚や筋肉、関節、内臓、血管などに炎症を起こすと考えられています。

 

近年、研究の進展に伴い、膠原病に対する病態の理解や治療方法の開発が進んでいます。

 

 

関節リウマチになりやすい性格は?

性格の傾向として、神経症的傾向、内向性、主観的に物事をとらえる傾向、衝動や感情の統制力が弱い傾向がある(芦原2))。 勝ち気、女性としての役割拒否、攻撃心など不快感情の抑圧(Alexander3))、抑うつ傾向、柔軟性や積極性の欠如、マゾ ヒズム、傷つきやすさ(中村 4))などの報告がある。

 

 

遺伝子との関係性

 親や兄弟に関節リウマチの人がいると、そうでない人に比べて4倍関節リウマチになりやすいという報告があります。つまり、関節リウマチには遺伝が関与しているということです。

とはいえ、遺伝子が全く一緒の一卵性双生児の片方が関節リウマチを発症した場合には、もう片方が関節リウマチになる確率は1530%です。二卵性双生児の場合、この確率は7%程度に下がります。すなわち、関節リウマチの発症には遺伝因子が関係しているものの、その関与は30%ほどであり、残りの70%は出生後の後天的要素、すなわち環境因子が関与しているということです。