四十肩・五十肩の原因と治療法
痛くて肩が上げられない、突然肩周辺に強い痛みを感じるといった症状が現れたら、それは「四十肩」「五十肩」が発症したサインかもしれません。
医学的には「肩関節周囲炎」と呼ばれる病気
痛みを引き起こす原因は?
四十肩・五十肩の発生原因は、加齢に伴い肩の関節や筋肉、肩周辺組織に固くなったり縮むなどの変化が起こることで炎症や痛みを引き起こすと考えられています。
また、これらの直接的要因に加えて、普段の生活習慣やストレス、ホルモンバランスの変化といった間接的要因が重なることでも発症のきっかけになるとも言われています。
肩関節の炎症が痛みの原因
肩の腱(棘上筋腱) 肩の骨を引き上げる筋肉が骨とつながる部分。
炎症があると、腕を上げたときに腫れた部分が肩の骨とぶつかり激しい肩の痛みを起こす。
関節包 関節をスムーズに動かすクッションの働き。
炎症による肩の痛みで長時間動かさないと、変形し肩関節の動きを妨げる。
炎症により腱が石灰化という固まった状態に変化したり骨が変形したりする。
発症しやすい条件
四十代以降の人に発症しやすいという共通点。男女差、運動習慣のあるなしなどに差がありません。また、左右の発生率についても違いがなく、利き腕だから発症しやすいということもありません。
ただし若い時に、野球をはじめとしたスポーツで肩を酷使し、肩を痛めたことがある人は発症しやすい傾向にあります。また普段から猫背の人は重心が前のめりになり、体の歪みが生じやすいため、リスクが高まります。
また生活習慣が不規則で睡眠時間、寝不足、偏った食事、血行不良を招くハイストレスな生活習慣も同じく、四十肩・五十肩に良くないと言われています。
発症したらどう対処すべき?
痛む肩を安静に保って痛みを我慢し、無理をして肩を動かすのは逆効果。激しい運動をする、重い荷物を持つなど痛みを伴う動きは避け、まずは安静に過ごしましょう。
発症から数日〜数週間たって痛みが引いた慢性期には、日常の動作を積極的に行うように心がけましょう。またぬるめのお湯につかってゆっくり温めたり、カイロや温感湿布を当てたりして、肩を冷やさないようにしましょう。
睡眠中は、筋肉の動きが少ないため体が冷えやすくなります。肩関節が冷えると痛みが強くなることがありますので、布団から肩が出ないように、バスタオルや毛布を掛けるなど冷やさない工夫を。
予防方法は?
普段の生活から意識的に肩の声に耳を傾けましょう。
セルフチェック
四十肩・五十肩が疑われる場合は、肩関節の動かせる範囲がかなり制限されます。
1両腕を前から、耳の後ろまでまっすぐあげる
2手のひらを上に向け、両腕を真横から真上に上げる
3両腕を腰に回す
4両腕を頭の後ろに回す
このような動作を行った際に、痛みを感じたり、なめらかに腕を動かすことができないといった場合は、四十肩・五十肩からくる痛みであることが疑われます。
おすすめストレッチ方法
6つの動きをイメージ通り動かせるようになることで、五十肩対策に効果的。
1両方の肩をぐるぐると前後に10回まわします。
2両腕を前からまっすぐと上げて、耳の横につけてゆっくりと下ろします。
3肩を力いっぱい前にすくめたり、後ろに広げたりを繰り返します。
4両腕を横にまっすぐ伸ばし、そのまま肩より上に。この状態を30秒キープします。楽にできる人は、水を入れた小さなペットボトルを持って行いましょう。
胸郭の曲げ伸ばしをする-キャットバック
胸郭の伸展を出すことで五十肩の改善を目指すエクササイズです。猫が背中を伸ばすところをモデルに考案されたエクササイズです。
肩とももの付け根から、床に垂直になるように手と膝をつき四つばいになります。
四つばいの姿勢から背中を丸めるように天井へ引き上げます。この時に息を細く吐きながら、おへそをのぞき込むようにします。背中が丸められることで背骨にそった脊柱起立筋へのストレッチがかかります。
今度は息を吸いながら、背中を反らし、胸郭をストレッチしていきます。天井を見るように目線を上げ、首を前にのばしていきます。両手で床をじんわりと強く押していってください。
終身型五十肩とは
人間は進化の過程で肩甲骨の位置が側面から背面に移動した。これによって人間の腕・肩関節の動く範囲が大きく広がったということです。しかし動く範囲が広がることで肩甲骨に沿うように走る腱板という筋肉・腱がこすれて切れてしまう場合があります。腱が切れるとその腕の力だけでは腕が上がらなくなります。
これを終身型五十肩というそうです。これは一般的に呼ばれている「五十肩(肩関節周囲炎)」とは異なり、正式な病名は『腱板断裂』といいます。普通の五十肩か終身五十肩(鍵盤断裂)かの判断は、病院でのMRI撮影ではっきりします。
また、腕が自力では上がらなくても、反対側の手で持つと上がる点が終身型の特徴ですので、そのような場合はそのままにしないで、きちんと診察を受けるべきです。
腱板断裂は放置していても治ることがなく、腕が上がらなかったり、痛みが続いたりします。それで日常生活に支障があまりなければそのままでもいいようですが、困るほどの症状の場合は手術をするしかないそうです。