嗅覚障害の原因と治療法
本当のにおいとは違うにおいを感じたり、何を嗅いでも同じにおいに感じる
本当のにおいとは違うといった症状は風邪をひいた後や事故などの外傷後、鼻の粘膜に障害を受け、時間が経ってから現れることがあるそうです。この様な症状は障害を受けた粘膜が修復する過程で起きるため、徐々に改善することも多い。
原因
においが正しく感じられないのだから鼻に何か問題があるのではないかと考えがちですが、原因は様々で、鼻の問題だけとも限りません。
風邪
風邪をひいた後にしばらく鼻づまりや鼻の粘膜の炎症により嗅覚がいつもより鈍いと感じる経験はあると思います。ところが、粘膜がウイルスによって傷つけられ、なかなか治らないと長引いてしまうそうです。この原因は中年女性に多い。ちなみに粘膜の回復が困難になる原因は明らかではないようです。
鼻づまり
鼻の穴の中ににおいの粒子をキャッチする粘膜があり、ここに粒子がつくことで大脳に信号が送られ、大脳が匂いを認知することでにおいを感じる仕組みになっています。風邪をひくと鼻づまりになりますよね。この鼻づまりのために匂いの粒子が粘膜に届かなくなり、匂いが分かりにくくなるのだそうです。
加齢
年齢を重ねると目が見にくくなったり耳が聞こえにくくなったりと、色々な器官の働きが低下していきます。最近濃い味付けの料理が好きになったという様な料理の味に物足りなさを感じることが増えていたら、嗅覚が衰えてきているかもしれません。アルツハイマー病の初期症状として嗅覚障害もあるそうです。
ストレス
強いストレスがかかると、感覚器の働きを弱めて身を守ろうとします。この感覚器の弱まりから匂いが分からなくなることがあるそうです。最近ストレスになってしまう様な出来事があったという方は、気分転換をするなどストレスの原因から離れてみるのもいいかもしれません。
アレルギー性鼻炎
鼻炎の原因となる物質が体内に入り、鼻の粘膜に炎症が起こることで継続的にくしゃみが出る、水のような鼻水が出るなどの症状が起こります。そして、鼻づまりになることで嗅覚に異常が起こると考えられているそうです。
副鼻腔炎
嗅覚障害で最も多いのが、副鼻腔炎によるものと言われています。風邪をひいた後に鼻の炎症が長引くことで発症することが多いそうです。慢性副鼻腔炎が長引くと、鼻の粘膜だけでなく脳の一部にも変化が起こり、嗅覚障害が起こりやすくなるそうです。
鼻中隔湾曲症
鼻の境目の鼻中隔が左右どちらかに歪んだり曲がったりしている状態のことです。常に鼻の通りが悪くなっているためにおいが分かりにくくなります。鼻炎や副鼻腔炎の原因となることもあるそうです。また、頭痛や肩こり、注意力の減退を引き起こすこともあるそうです。
脳腫瘍、頭部外傷など
神経経路に異常が起き、においが上手く感じられなくなることがあるそうです。外傷や脳腫瘍の部位によってはひきつけや手足の麻痺、耳鳴りやめまいなども現れることがあるそうです。
血清中の亜鉛濃度の低下
体内の亜鉛が不足すると味覚障害を引き起こすそうです。その他にも食欲の低下や味覚障害も生じることがあるそうです。亜鉛の低下により脳の神経繊維の働きが悪くなるからではないかと推測されていますが、はっきりした原因は不明だそうです。
障害の程度を検査
嗅覚障害の原因や障害を発症しているかを診断するために、最初に詳細な問診を行います。内視鏡などを用いて鼻の中の観察も行います。
基準嗅覚検査(T&Tオルファクトメトリー)、静脈性嗅覚検査(アリナミンテスト)が行われます。基準嗅覚検査は日常生活で触れる機会の多い花のにおいや焦げたにおいなど10種類のにおいをかいで、そのにおいがどれくらいの強さになると反応するのかを調べます。
静脈性嗅覚検査はアリナミン含有液を静脈に注射してにおいを感じるまでの時間と消失するまでの時間から障害の進行度合いを判定します。経過観察において障害が回復に向かっているのかを調べる際にも行われます。
どちらの検査も簡単に行うことができますが客観性に欠けるとの見方もあることから、嗅覚誘発脳電位検査や嗅覚誘発脳磁図検査なども行われることもあります。
治療法
亜鉛を摂取する
亜鉛の不足が原因とされる場合には、硫酸亜鉛製剤の内服を行ないます。この製剤が飲みにくいという方は海藻を濃縮加工したサプリメントもあるため、気になる方は相談してみるといいでしょう。
また、食事を気をつければ亜鉛は摂取できるそうですよ。カキやレバー、魚や海藻、卵黄やシイタケなどには亜鉛が多く含まれているそうです。アレンジを工夫しながら普段から取り入れたいですね。
嗅覚障害を緩和してくれるかもしれないツボ
病院にすぐには行けない、という方もいらっしゃると思います。その様な時は小鼻の脇にある「迎香」というツボを押してみましょう。鼻水、鼻づまりのツボとしては定番で、「香りを迎える」という名前が付いている様に、においが分からない時にも用いられるそうです。
押す時は両脇から鼻を挟むように、できればリラックスした状態で静かに3秒程押したら6秒程休む、というのを1セットとし3セット繰り返すのがよさそうです。