尿路結石の原因と対策

 

尿路結石症とは、腎臓結石・尿管結石・膀胱結石などの総称です。

結石の78割を占めるのがシュウ酸カルシウム、リン酸カルシウムなどのカルシウム結石です。

次いで510%を占めるのが尿酸結石は、尿酸値が上がることが原因です。

そのほかリン酸マグネシウムアンモニウム結石などがあります。

 

ですから、尿中のシュウ酸やカルシウムの濃度を低く保つ食事をすることで、尿路結石の発症・再発リスクを低めます。

カルシウムは一定量が必要なので、シュウ酸の過剰摂取を防ぐにはシュウ酸を増やす食べ物の制限が有効です。

 

なぜ結石ができるのか?

結石とは腎臓などにできるシュウ酸カルシウムやリン酸カルシウムなどのかたまりのことで、それが腎臓から尿管、膀胱、尿道という尿の通り道(尿路)にできるため、総称して「尿路結石」ともいいます。

結石は、腎臓にあるあいだはほとんど痛みはありませんが、結石が腎臓から細い尿管へ移動すると(尿管結石)、突然激痛を発するようになります。 痛みの原因は、結石が尿管に詰まり、尿の圧力が高まって尿管がけいれんを起こし、神経を刺激するためと考えられています。痛みは結石のある下腹部だけでなく、腎臓に障害が起こるとわき腹や腰に激痛が走ることもあります。

また、尿がスムーズに流れなくなるため、排尿後も残尿感があったり、尿意を感じてトイレへいってもなかなか出ないといった不快な症状も重なります。結石が尿管などの壁を傷つけると、血尿が出ることもあります。

結石は、すぐに生死にかかわる病気ではありません。しかし、痛みや排尿障害、血尿などにより、仕事や家事、旅行などに支障をきたしかねません。とくに痛みがいつ起こるかわからないので、日常生活でも常に不安を抱えることになります。

それだけに日ごろからできるだけ結石ができないように注意し、また結石ができてしまった場合も、痛みなどの再発を防ぐ生活を心がけることが大切です。

 

動物性タンパク質の摂取が、どのように結石と関係しているのか…代表的なシュウ酸カルシウム結石を例にして説明しましょう。

私たちが肉類などを多く食べると、シュウ酸や尿酸などの物質が体内に増えます。このうちのシュウ酸には、カルシウムと結合しやすい性質があります。シュウ酸は腸のなかでカルシウムと結びつくと、便と一緒にからだの外に排泄されます。

ところがシュウ酸の量が多いと、あまった分は尿のなかに出てきます。尿のなかでシュウ酸がカルシウムと結合すると、石のようなかたまりとなって排泄されにくくなり、腎臓に障害を及ぼしたり、尿管を詰まらせることになるのです。

こうした結石の仕組みからわかるように、肉類などの動物性タンパク質を多くとると、体内にシュウ酸などが増え、それだけ結石のリスクを高めることになります。

また、多くの結石にカルシウムが関係していることから、従来はカルシウムのとりすぎが原因のひとつとされました。しかしその後の研究などから、むしろカルシウムを積極的にとることが必要だとされています。それは腸内でシュウ酸と結びつくカルシウムを増やすことで、便として排泄しやすくするためです。

日本人の食生活では、一般に動物性タンパク質の摂取量が増えているのに対し、カルシウムは必要とされる摂取量に足りていません。このことが結石を増やす大きな要因となっています。

具体的には

ほうれん草は茹でる   ほうれん草はシュウ酸を多く含むことで有名ですね。

紅茶、コーヒーにはミルクを。飲み過ぎない

他にも、小松菜・モロヘイヤ・たけのこ、チョコレート、ナッツ類などにも多く含まれています。過剰摂取は控えましょう。

 

シュウ酸は水に溶けやすいので、ほうれん草などの野菜は、ゆでてアク抜きするとシュウ酸が減ります。

カルシウムと一緒に摂ると、腸内でシュウ酸カルシウムとなって尿中への排泄を防げます。

野菜はかつお節を一緒に使った料理にしたり(レシピ:おひたし、たけのこの煮物+かつお節など)、

紅茶やコーヒーはミルクを入れたりすると良いです。

※レモンティーにしてもOK。クエン酸がシュウ酸カルシウムになるのを妨害。

 

また、カルシウムを多くとるようにします。カルシウムは小魚に多く含まれていますが、大豆などの豆類や緑黄色野菜にも豊富です。その場合には煮豆、豆腐、納豆、ピーマン、ニンジン、カボチャなどを積極的にとるようにします。

 

ビタミンCの過剰摂取をしない

ビタミンCの代謝産物の一つはシュウ酸です。

過剰摂取すれば、それだけシュウ酸も出来る事になります。

しかしビタミンCの過剰摂取と尿中のシュウ酸の関係については、現在は不確実なもので否定されているようです。

ビタミンCは必要な栄養なので、十分に摂取するべきですが、美容目的などで過剰に摂取している人は気をつけたほうが良さそうです。

 

カルシウムは普通に摂るほうが良い

カルシウムは食事(乳製品、小魚、豆類、緑黄色野菜など)から十分摂る

サプリメントでの摂取は勧められない

カルシウム結石というのだから、カルシウムは取らないほうが良いのでは?

と思っちゃいますが、むしろ摂取を制限せず、普通に、適度に摂取するほうが発症リスクが低くなっています。

先ほどの説明のように、腸管の中でシュウ酸とカルシウムが結びついてシュウ酸カルシウムとなると、腸から吸収されないので、尿中にシュウ酸が排泄されないんですね。

 

この理由から、肉類、動物性タンパク質を控えめにします。

肉類=脂肪に含まれる脂肪酸は、カルシウムと結びつきます。

なので腸管の中でシュウ酸とくっついてくれるカルシウムが少なくなり、尿中にシュウ酸が排泄されてしまいます。

 

動物性タンパク質は、摂取すると血中・尿中のクエン酸が減ります。

レモンティーの例の逆で、尿中のシュウ酸とカルシウムが結合しやすくなってしまいます。

 

 

良い飲み物とダメな飲み物t

水、

麦茶、ほうじ茶(シュウ酸を殆ど含まない)

お茶……など

ダメな飲み物

清涼飲料水(糖分)

ポカリなどイオン水(塩分)……など

取り過ぎNGな飲み物

コーヒー、紅茶

ビール、(シュウ酸、尿酸の元プリン体が多く含まれる)

 

尿路結石を予防する食べ物   マグネシウムや食物繊維、クエン酸は、結石形成の抑制物質。

マグネシウムや食物繊維は、

穀物や野菜、海藻に多く含まれています。

クエン酸は、結石を溶かす効果があります。

野菜や果物などに含まれていますが、シュウ酸の摂取ともなるので注意。

クエン酸はわざわざ摂ろうとしなくても、他の方法で予防していけばOKです。

 

寝る前に食事をしない

寝ている間、体内では食べ物が消化吸収され、老廃物が出ますが、水分補給がないため朝は濃い尿が出ます。これは老廃物が溶け過ぎ、結石ができやすい状態になります。

寝る前の食事は尿を濃くして尿路結石のリスクを高めます。

夕食は就寝の4時間前、少なくとも2時間前に済ませましょう。

シュウ酸・カルシウムの吸収のピークは、食事をして2,3時間です。

その時に睡眠していたら、吸収されたシュウ酸、カルシウムがトイレに行けずに溜まったままになってしまいます。睡眠中ですので、尿も凝縮されますし、動かないので結石が育ちます。

食べてすぐ寝るのはNG

トイレを我慢するのももちろんNGです。

 

適度な運動

動かないと結石が育ちますね。

適度な運動、軽い運動で良いので行うことで、

結石があっても小さく砕かれて、自然排出できたりします。

とくに縄跳び、ウォーキング、軽めのジョギングなど、からだを適度に上下に動かす運動が効果的とされています。駅や会社でもできるだけ階段(とくに下り階段)を利用するなど、上下運動の機会をつくりましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まいったよ。夜中に急におなかが痛くなって、救急車で運ばれたら尿路結石だった」。中高年の男性からときどきこんなエピソードを聞きます。尿路結石は痛くて耐えられないものだと、激痛に襲われるイメージがありますが、まったく自覚症状がないのに検診の超音波検査で「結石があります」と言われる人が多くなっています。

 

尿路結石は、腎臓、尿管、膀胱、尿道に結石がある状態です。日本では、腎臓と尿管に結石がある「上部尿路結石」が95%を占めています。おもな自覚症状は、わき腹から下腹部にかけての激痛や血尿ですが、腎臓に結石がとどまっている状態では、まったく症状がないケースがあるのです。このような場合、治療は必要なのか。決め手となる診断法として重要性を増しているのがCT検査です。現在および将来的に「結石が尿の流れをせき止めているか」、「感染を起こしているか」が、尿路結石で治療を行うかどうかを判断する大きなポイントです。

CT検査では、画像によって正確に診断できるため、結石の見落としが少ないことが大きな特長です。腎臓の閉塞の程度もよくわかるほか、結石が硬いものか、隙間のあいたスカスカのものかといった石の密度まで判断できるため、診断後、治療の選択が適切にできるというメリットがあるのです。

 

上部尿路結石の治療法

腎臓に結石があっても、尿の流れや感染に問題がなく、痛みもないという場合は経過観察というケースもあります。また、痛みを感じる尿管結石でも、結石の長径が5ミリ以下では、自然に排泄する可能性が高いとされています。つまり、手術が行われるのは、結石が自然に排出されず、閉塞や感染によって腎機能が障害されている場合です。

上部尿路結石の手術は、結石に衝撃波エネルギーを照射して砕き、尿中に排出させる「体外衝撃波砕石術」が主流でした。機器の改良によって副作用や痛みが少なく、麻酔なしの日帰り治療が可能になり、患者の体への負担が軽減された反面、結石を砕く効率は低下しています。それにともなって、普及してきたのが内視鏡を用いたレーザー手術です。尿の流れとは逆向きに内視鏡を入れて、結石を取ったり、レーザーで砕きます。この「経尿道的腎尿管砕石術(けいにょうどうてきじんにょうかんさいせきじゅつ)」は、現在、治療数が増えてきました。また、尿管を通らないほどの大きな結石の場合は、皮膚から腎臓のほうに内視鏡を挿入し、結石を砕いて採取する「経皮的腎砕石術(けいひてきじんさいせきじゅつ)」が行われています。

 

再発を繰り返す尿路結石

尿路結石は、治療しても再発を繰り返す人がいます。結石の原因はカルシウム含有結石が最も多く、再発する人の約半数からカルシウムや尿酸の代謝障害が見つかります。再発する場合は、原因になっている病気を調べて治療することや、結石の成分を調べることが大事です。