Viññāna　と　五蘊の「識」viññānakkhanda

はじめに意識プラスα

物質とメンタルの架け橋　　　　　　

３種類の識viññāna

２つの識viññāna

kamma viññānaの特徴 　　縁起のviññāna

カルマの種　　　メンタルと物質の架け橋

認識システム　　見えないものを観る　　潜在意識　17段階の認識

汚れたcitta　　９段階の意識

苦しみを与えるものからの離脱　　将来への期待

Viññānaとviññānakkhanda

はじめに

識viññānaによって分かることは、

過去と未来を考えることでカルマの種を生み出してしまうこと

意図することが、エネルギーを生み出していること

意図する意識が転生の原因であること

心を浄化させるとは意図しないで生きること

意識とは魂が汚れた結果であること

など、これまでの自分の考えや信念とは180°逆のような論理に驚くかもしれません。

viññānaは、sañña、vedanā、sankhāraの3つのメンタルのカテゴリーすべてを含みます。

したがって私たちの意識の全体的な結果をアウトプットするものです。

そしてViññāṇaには「この世界で私たちが望んでいる希望と欲求」を意識することで、

物質rūpaとの関係を作りあげるという側面もあります。

意識プラスα

Viññāṇaとは意識だけではありません

ミャンマーの上座部仏教でもViññāṇaは「意識」または「気づき」と訳されています。

しかし意味はそれだけではなく、Viññāṇaにはもっと多くのことを表しています。

たとえば、「私たちがこの世界に望んでいる私たちの希望と欲望」です。

それは重要なポイントで、識viññānaはマインドと物質（rūpa）との間の架け橋を作ることになります。

私たちは、この世界の物事が私たちに長続きする幸せを提供すると信じています。

したがって、私たちはそれらを達成するために多くの言動（行sankhāra）をします。

するとそれは縁起説の「saṅkhāra paccayā viññāṇa」のステップにあるviññāṇaの育成につながります。

Viññāṇaは叡智ñānaがないことを意味します。

全体性を把握する叡智ñānaを分割Viすることで、認識することがViññāṇaの語源です。

この分割された意識を元の叡智に戻す力が智慧paññāです。

pa強く徹底したññā叡智のことです。

八聖道をたどると、この世の性質の3つの特徴（anicca, dukkha, anatta）がわかってきます。

そうすれば、そのような誤った希望を持つことの不実さに気付くでしょう。

つまり、paññāを育てることになります。

Viññāṇaはさまざまな方法で体験できます。

見たり、聞いたり、想ったり、考えたり、感じたりする各種の体験です。

これらはパーリ語では、cakkhu viññāṇa、sota viññāṇa, vipāka viññāṇa、viññāṇa、mano、 citta、となるのですが、ケースごとに異なる名前にするのは面倒なので、それらはすべてviññāṇaとして一緒にひとまとめにされているのが一般的です。

しかし、各用語には独自の「微妙な違い（アイデンティティ）」があり、このエッセイを通じて、それらの微妙な違いを明らかにしていきます。

Viññāṇaはしばしば「意識」と訳されますが、viññāṇaは「潜在意識」すなわち「意識の層」の一面もあります。

この「潜在意識subconsicousness」はSigmund Freudによって導入されたものですが、viññāṇaやcittaとは別個のものではなく、同じcittaの違った顕れかたです。

ここではmanasikara cetasika（思慮）が大きな役割を果たします。

ある時点で、いくつかの潜在意識のViññāṇaがある場合があります。

たとえば、特定の車を購入する計画、来週旅行に行く準備をする計画、家を建てる過程などがある場合があります。これらはすべて潜在意識です。

興味を持っている車に似ている車を道路上で見つけたら、viññāṇaはそれをマインドに知らせ、あなたはそれをよく見ることになります。

本当に重要なのは識viññānaの意味の中身を伝えることです。

翻訳した漢字ではなくそのままパーリ語のままにしておくことをおすすめします。

理由は「分けがわからないままにしておく」ことの大切さ、と「漢字の力強さ」からです。

翻訳できる言葉や概念はないので、そのままの言葉にしておいて、その言葉を使う場数を踏んで徐々にその語句が腑に落ちる体験を積み重ねるためです。

ちょうど幼児が言葉を学んでいく過程のように。

もう一つの理由は漢字は象形文字なので、一つの漢字には字源のシンボルとしての意味の力があり、本来のパーリ語の語源よりも、漢字の字源に解釈が引きづられるからです。

この字源の強さのために、どれほどの先達が誤謬を重ねてしまったことでしょうか。

昔は遠く離れ、原語も文化も環境も理解の仕方も違う時空なので、天賦を持った翻訳者たちはその環境下でのベストを尽くしたと思います。

また識viññānaには

エネルギーとの関わりによる３つの種類や、

感覚器官による６つの経路や、

想いの17の行程

9段階の汚れ具合（多層な意識の段階）とそれに対応する違った働き

など多くの側面があります。

まずは識viññānaにはエネルギーの観点から、大きく分けて３つの違いがあることから紹介していきます。

３種類の識viññāna

意識、マインド、心、魂、citta、cetasika、識viññānaなどの語句が使われていますが、それぞれの違いなどが分かりづらいと思います。

理由は意識には段階があったり、エネルギーがあったりすることなどを日常生活では考えないからです。

そこで簡単に定義ともいえない語句のラフなスケッチからはじめます。

意識　　　　日常生活では気を失っていない時の状態のことで、表層意識のことを指しています。

　　　　　　しかし、このエッセイでは、多層（９から12）の意識の層があるという仮定で話を進めます。

　　　　　　どの層のものでも意識と呼ぶことにします。

マインド　　心には多くの意味があるので、ここでは多層の意識が変化していますが、それらすべての「場」

　　　　　　どの層や善悪に関わらず、すべての意識の「座」をマインドと呼んでいます。

パーリ語ではhadaya vatthuで、肉体ではなくメンタル体にあるものだとされています。

心は9段階に変成するので、どの層の意識であっても便宜上、マインドと一括して表現します。

citta　　　　一般的には想い、思い、考え、思考などと訳されているもので、９段階すべての意識を指します。

　　　　　　その意味ではマインドや心と同義語となります。

しかし本来は、正確にいうと9段階ある意識の一番はじめの純粋意識のことを意味しています。

　　　　　　このエッセイでは本来の透明な純粋な意識を指す場合があります。

　　　　　　正確には違いますが、他文化で相当するのは、魂やātmanやsoulになります。

　　　　　　純粋なcittaは「いのち」であり、エネルギーも何もなくただ「観る」ことしかしません。

　　　　　　しかし見られたものはエネルギーを得てまるで「いのち」があるかのように活性化します。

魂　　　　　上座部仏教では魂を認めない派が多いが、９段階の意識のはじめの３段階を「仮」に魂とします

　　　　　　cittaは９段階の一番はじめのものなので、魂とは同義ではなく類似です。

cetasika　　純粋なcittaに付着するメンタル要因で上座部大寺派は52の種類があるとしています。

　　　　　　白いキャンバスがcittaだとすれば絵の具がcetasikaです。

　　　　　　コップの透明な水がcittaだとすれば、それに付加される砂糖、塩、醤油、味噌などの調味料がcetasikaになります。

viññāna　　　「体験」するプロセスである、9段階に変化するcittaの8番目にあたる「意識」のこと

　　　　　 　9番目は識蘊viññānakkhandaです。

9段階　　　citta、mano、manasan、hadayaṃ、pandaran、mana indriyan、manayatan、viññāṇa、viññāṇakkhandhö。

の９つのステップでcittaにcetasikaが付着することで、ヒトは対象を意識することになります。

カルマ　　　善悪、道徳の有無という解釈が多いが、シンプルに見れば善悪ではなく、エネルギーの塊のこと

エネルギーとは、物質界とメンタル界をつなげる力のことであり、未来を作り出す力である。

よって、原因と結果という因果関係を生成するもので、過去と未来に関わることになる。

　　　　　　このようにエネルギーの生成は、「いま・ここ」ではなく、過去と未来に囚われることになる

Cittaという透明で純粋なマインドに「色」を提供するのはそれらの追加されるcetasikāです。

この純粋な意識状態cittaにcetasikaが段階的に加わることで多層な意識が生じていきます。

cittaに一連の良いcetasikāが起こった場合は良い意識すなわち「良いviññāṇa」になり、

それが一連の「悪いcetasika」である場合、意識はすなわち思考またはviññāṇaは悪くなります。

良いcetasikaと悪いcetasikaは混ざることはありません。

また、良いことでも悪いことでもない中立的な想いすなわち中立的なViññāṇaがあります。

良いと悪いの基準は「仮り」に、広がりcittaに向かう方向を良い、

凝縮して物質dhātuに向かう方向を悪い、と仮定して話をすすめることにします。

viññāṇaとエネルギー

viññāṇaはkammaに関する3つのカテゴリに分類できます。

このkammaカルマとはエネルギーのことで、因果関係を生成するもので、

物質界とメンタル界をつなげる力であり、未来を作り出します。

エネルギーのあるものは後にそこから他のものが生じる可能性があります。

まずは識viññānaをエネルギーとの関係性で３つに分類します。

五蘊の中でいうと、viññāṇaに関連付けられているsaṅkhāraとの関係性になります。

行sankhāraを経由した識viññānaはエネルギーを持つからです。

Kamma viññāṇa、vipāka viññāṇa、そしてkiriya（kriya）viññāṇaの３つです。

いろいろな解釈がありますが、ひとまずカルマはエネルギー、vipākaは因果の結果、kiriyaは動きと理解することにします。

特徴は

Kamma viññāṇa　　 意図を持って未来に実現される可能性があるカルマの種というエネルギーを生み出します。

vipāka viññāṇa　　過去の原因が結果になったことで、いま・ここで意識されたものです。

kiriya viññāṇa　　行動している時に付随する中立的な意識で、

意識したことでエネルギーを使用したので、エネルギーを生み出しません。

過去も未来とも関連しない「いま・ここ」だけが連続している意識です。

kamma viññāṇa

何か意図的に意識したことはすべてkamma viññāṇaになります。

何かを考えると、そこからいくつかのkamma vipāka因果関係が発生します。

この因果関係ができると、そこにインプットがあるとそれに相応するアウトプットが発生するという思考をもつようになります。

たとえば、saṅkhāraという回路を介してインプットされた信号を認識する識viññānaのことです。

そこに因果があるという意識は、未来の結果を予測するものであり、エネルギーを作成している行為になります。

またそこから因果回路が育つ設計図が作成されるので、これが育つと未来を作ります。

kamma viññāṇaを制御したり、お付き合いするにはコツが要ります。

vipāka viññāṇa

それらは起こってしまうのでavyākata viññāṇaとも呼ばれます。

たとえば、山道を歩いていて、木を見た時は、cakkhu　viññāṇa（何かを見る意識）であり、これはvipāka viññāṇaの１つです。

原因があったのでそこに条件が揃うことで起きた識viññānaです。

山に行くというkamma viññāṇaによって、その結果として木を見るという識viññānaが発生しました。

直接的に回避する方法はありません。

vipāka viññāṇaはエネルギーは作成しませんので、未来を作りません。

kiriya viññāṇa

3番目のタイプはkiriya（kriya）viññāṇaと呼ばれ、kammaとは関係ありません。

私たちが考えたり、話したり、カルマ的にも、「良い」または「悪い」ことも伴わないことをするとき、それらはkiriya viññāṇaで行われます。

たとえば、台所に歩いて水を飲んだりするときに歩いたり飲んだりする意識はkiriya viññāṇaで行われます。

エネルギーを作成しません。

具体例　たとえば

山を歩いている時に、木々が見えます。それらに「気づいている」としても、そのほとんどは注意を払っていません。それらはkiriya viññāṇa です。

すると突然、道端に見たことのあるような「興味をそそる」低木があります。それからそれに焦点を合わせ、それが遠ざかるまで見続けるかもしれません。それが私たちの「gati」を引き起こしたvipāka viññāṇaです。

それは興味深いものであったのは過去にそれに似た木を見て覚えていたことから生じる識viññānaです。

そして、それは庭にある紫陽花のようだというkamma viññāṇaを開始することによって、後で写真を撮ろうとしたり、根から抜いて庭で手入れをしようと考えたりして、より多くのkammaを獲得する状況になります。

その「見るイベント」に基づいてsaṅkhāra（つまり、kammaを生成）を作成しています。

したがって、木々を見ているkiriya viññāṇa、特定の低木を見るvipāka viññāṇa、そしてそれに続く様々な想い（viññāṇa）は、kamma viññāṇaです。

私たちの人生経験は、基本的にこれら3つのカテゴリーの1つに属します。

次にviññāṇaは、どの経路を介したのかによっても分別できます。

感覚の扉に基づいて、6つのカテゴリに分類できます。

cakkhu viññāṇa（視覚意識）

sota viññāṇa（聴覚意識）

Ghana viññāṇa（嗅覚意識）

jivha viññāṇa（味覚意識）

kaya viññāṇa　（感触意識）

mano viññāṇa（マインドの意識）です。

上記の山を歩く例では、3つのタイプのviññāṇaはすべて、「見る出来事すなわち意識」であるcakkhuviññāṇaによって開始されました。

kammaviññāṇaの段階で、それらはmanoviññāṇaになりました。経路は視覚からマインドの意識に変更されています。

なぜなら、その低木に関してさまざまな想いを抱いたからです。

たとえば、山道を歩いている時に木の枝の先にある葉が肩に触れて、それに気づいた場合、葉を振り返って見るとします。これはvipāka viññāṇaの一部である kaya viññāṇaです。

その接触が偶然だったことが判明した場合、私たちはその識viññānaを手放すだけであり、それは葉と接触したという中立的な出来事（kiriyaviññāṇa）でした。

しかし、その木の枝が過去に恋愛関係にあった人の想い出や、その枝を折って杖にすれば坂道を下るのに便利であると考えれば、それらはkamma viññāṇa（manoviññāṇa）の生成が開始されています。

したがって、これについて少し考えてみると、私たちのすべての経験をこれら2つの「部門」のいずれかに分類できることがわかります。つまり、vipākaviññāṇa、kammaviññāṇa、kiriyaviññāṇaのカテゴリーは、どの感覚器官の経路なのか分析することで、カルマと意識の関係性があることがわかります。

まとめると

純粋な心の働き　　　　　　kiriya viññāṇa

結果としての心の働き　　　vipāka viññāna　　　　「意識」や「気づき」と訳されている　アラハンも持っている。

汚染された心の働き　 　　　　kamma viññāna　　　行sankhāraによって産み出されたもので、単なる純粋な意識ではなく、本人の無意識によって編集された後の「人の背景によって変化する感じ方の意識」である。

アラハンにはこの心の働きがない。

ここでは

２つのviññāna　心の働き　　　　　　結果の意識　と　原因の意識

vipāka viññānaとkamma viññānaにスポットライトを当てることで、識viññānaの性質が鮮明にして、後に識viññānaのメカニズムが分かることによって、それらに操作されない心の持ち方を提示します。

私たちが普段は「意識」として捉えているものも、よく観察してみると、そこには以上のような2種類のものがあり、ここでいう汚染とは「あるがまま」の状態ではなく、認識した本人によって無意識の内に見たいように見てしまっている状態を指す。

仏教用語では「あるがまま」の透明な清浄に対して汚染という概念をよく使って説明するのを借用している。

汚染される原因は五蘊の想と受と行のためであるので、これらを清浄することを上座部仏教では説く。

二つの違いは「エネルギー」が入っているかどうかによって区分される。

量子力学では、意識を集中させることでエネルギーが発生するのだが、

それを仏法では、kammaと呼び、そのメカニズムは「因果を想定する」ことで回路をつくり、「いのち」というエネルギー源をその回路に流し続けることで、アウトプットに活性化されたものが堆積する。

この堆積されたものはエネルギーの塊となり、条件が揃えばそれはカタチとして顕出する、という見解である。

エネルギーはヒトの想いによって発生するので、頭の中で考え出されたものはすべて、kamma Viññāṇaとなる。

対して、エネルギーを作成しない識viññānaがvipāka viññāṇaとkiriya viññāṇa

もともと Viññāṇa には 智慧paññā、すなわちñānaがない、ことを表す。　　　

語源がVi分断されたñāṇa智慧だからである。

偶然ではなく当然？のこととして、漢字の智慧の「慧」の字源の意味もñāṇaの本質を説明している。

慧の旧字は｢ ｣では 上部が箒(ほうき)、下部が右手。　　　　

｢彗｣は箒(ほうき)を手に持つ形。

心（マインド）にあるものを掃きさった状態を意味する。

心に付着したメンタル要因を掃き出して、汚れをとって浄化させることを意味している。

この象形文字を見ると、賢者とは理性の限界を認識することで、次のステージの扉を開ける者のことで、宗教や地域や時代や文化に関わらず、偏在するように思える。

智慧の解釈に誤解がある。

中国仏教と日本仏教においては、智は世俗諦を知り分けるもの、慧は第一義諦（真諦）を悟るもの、と意味付ける解釈があった。

しかし、漢字文化圏の仏教でいう智慧には３つの意味があり、

１　梵: prajñāパーリ語paññāの訳語　　般若と同意　　　想saññāから貪瞋痴を除去した全体性意識

普通の知識ではなく，「智慧」あるいは「根源的な智」無分別智　　対義語は識viññāna

２　梵: jñānaの訳語　　知識、智　　　　　　悟りに導く心的能力として智jñānaの10段階

３　世俗的な賢しらな識別ではなく世事を離れた叡智や、世事を見通す叡智を指す。

識viññānaによって分断されていない智慧ñānaは、一番目の般若paññāの意味であり、理性（知恵）や智性ではなく、深層意識（「citta」prushaが「空」prakritiを観照することによって時空と方向が生まれ、それをbuddhi全体性意識で融解するように一体になる）の体験をもたらす。　

漢字の字源にある「慧」のとおり、心（マインド）を掃き清めるというダイナミックな動きであり、一切の現象や、現象の背後にある道理を直観し、観照することでcittaとの直截に交流する動きをともなっている。

このcittaとはまだ汚れていない意識のことで、他文化での対応語を探すと、ヨガ派のātman、日本文化の魂、道元の「本来の自己」であるが、上座部仏教では修行の時に勘違いする人が多発するためにātmanや魂を認めない教義が多い。

また、このpaññāパンニャを養うことで、ヒトの深層意識と直接に繋がる交流法の実践できるようになり、

単なる「無常と苦と無我」という見解から、この世の特質は「意識体の願うことは継続せず、意味あることがなく、手助けになるものはなにもない」という次の段階が会得できるこの世の性質を体感する修行やその方法（乗り物）となる。

ラリー・ローゼンバーグは苦労しながらひとまずpaññāを英語ではinsight（内観）と訳している。

パーリ語辞典

paññā

insight （vipassanā，q．v．），i．e．that intuitive knowledge which brings about the 4 stages of holiness and the realization of Nibbāna （s．ariyapuggala），and which consists in the penetration of the impermanency （anicca，q．v．），misery （dukkha，s．sacca） and impersonality （anattā） of all forms of existence．

以上のことから、paññāパンニャ（智慧）は大脳の特質である「１つのものを２つに分けて識別する」という知識を使うのではなく、「繋がり、融解、一体感、そしてその後に発展していく「独存」のプロセス」を体感する境地である。

しかしこれらのプロセスを表層意識である「わたし」も認知することも同時に必須なので、もし「体」だけにこだわって「頭」の機能をないがしろにしているのであれば、それは落とし穴だともいえる。

私見によれば、内臓感覚（循環器系感覚と消化器系感覚）を使う「体」による感覚との関連性があるので、別のエッセイでこのことについて記述していきたい。

もし、ブッダの説いた八聖道を実践して、智慧paññāを養い、aniccā,dukkhā,anattāを体感して悟ることができれば、前述のkamma Viññāṇaによる「希望」とは偽物であることがわかるであろう、と言われている。

それらは、（大脳の機能によって）頭の中で作り上げて構成し編集したものが、「希望」という私たちの想いだからである。

もし真の希望というものあるのであれば、それは対象の「ありのまま」の姿を「明らかに観る」ことによって生じる「諦観」であろう。

識viññānaのプロセス

vipāka viññānaとkamma viññāna

何か「見る」ときにはcakkhu viññāānaが発生します。

一瞬後に私たちは何かを「聞く」ときにはsōta viññānaが発生します。

私たちが映画を見るとき、私たちは同時に「視聴」しているように見えますが、それは私たちのマインドがとても速いので、そのように感じるのです。

実際にはマインド（17ステップある心路の認識システム）は同時に2つのことはできず、1つのことしかできません。

このことは後述します。

感覚器官をベースにした6種類のViññāṇaは、目、耳、鼻、舌、体、マインドの感覚器官という6つの感覚を介して発生し、

それらが、cakkhu, sōta, ghāna,jivhā, kāya, manō の意識viññānaです。

mano indriya（脳の一部）をマインドそのものではなく、マインドの感覚器官として捉えるのが現代の生物学と仏法との違いである。

それらはすべてvipāka viññānaと呼ばれます。

vipākaは因果関係の果のこと、原因と結果の結果です。

仏教漢字用語では「異熟」と伝統的に名付けられてきました。

したがって、vipāka viññānaには6つのタイプがあり、アラハン（阿羅漢）でも肉体の死までvipākaの識viññānaを体験します。

vipāka viññānaが発生すると、それらを意志で制御することはできません。

しかし、関わらない環境を作ることで回避する方法はあります。

たとえば、テレビからの映像を見たくない場合には、テレビのない部屋に行ったり、目を閉じるという選択はできます。

次に、そのvipāka viññānaに基づいて、強欲、憎悪、または無知を介してそのvipāka viññānaに執着した場合、次にkamma viññānaが発生する可能性があります。

当然？のこととして、本人は自分が貪瞋痴の状態であることを自覚していません。

中には「殺し」などのケースでは、自分の貪瞋痴を自覚していても、感情や自分の見解や正義にスポットライトを当てて、自分の貪瞋痴を正当化しようとします。

たとえば、ダム建設反対派の人がダム建設派の人を見るケースを想定してみます。その見るイベントはvipākaであり、したがって生成されるviññānaはvipāka viññānaです。

しかし、ダム建設反対派の人がダム建設派の人を見るとすぐに、ダム建設反対派の人が新しいカルマを生成する可能性のある嫌悪的な考えが頭に浮かぶかもしれません。それらの考えは、kamma viññānaを持っています。

これらのkamma Viññāṇaは常にマインドで生成されます。

つまり、kamma Viññāṇaは常にmanō Viññāṇaですが、対してvipāka Viññāṇaは6種類すべての場合があります。

そしてkamma Viññāṇaは常にサンカーラ経由のmanō Viññāṇaによって生成されます。

したがって、vipāka viññānaは、6つの感覚のいずれかが原因で発生する可能性があります。

目で光のrūpaを見る　　　　　　　　　　　cakkhuñca　paṭicca　rūpē　ca uppajjati　cakkhuviññāṇaṃ

耳で音波を聞く　　　　　　　　　　　　　 sōtañca　paṭicca　saddē　ca　 uppajjati sōtaviññāṇaṃ

脳のメンタル器官でdhammāを感知する　　　manañca paṭicca dhammē ca uppajjati manōviññāṇaṃ

これらのvipāka viññānaは、縁起説の「sankhāra paccaya viññāna」でいうviññānaではありません。

viññānaと書かれてあっても、中身は別物なのに、これらを混同することで誤謬が生まれています。

vipāka viññāna常に、５感覚器官である目でrūpaを見、耳で音を聴くことで、生成されます。

６感覚器官でこの世界を経験するのはすべてrūpaによってです。

rūpa(画) rūpa、sadda（音）rūpa、gandha（香l）rūpa、rasa（味）rūpa、pottabbha（触）rūpa、およびdhammāです。

dhammāはrūpaとは呼ばれていないことがあります。

それは、suddhanshtakaという最小の物質単位（現代科学では原子より10億倍小さい）の段階にdhammāがあるので、物質rūpaとは言い難いからです。　

dhammāはsuddhāshtakaステージにまだ「凝縮」されておらず、

dhammāは見たり触れたりすることができない非常に非常に細かいrūpaです。

“anidassanan [a-nidassana] 不可見，無見、　　そしてappatighan不接触、不対象“

それなので物質エネルギーとよんだほうがいいかもしれません。

vipāka viññānaが自分の性向や過去の経験や望みとのつながりが強い場合（たとえば、経験したことが本当に好きまたは嫌いな場合など）、「近・遠の反応」をしてしまうavijja無明によって、それについてのsankhāraの生成を開始します。

それが自分自身で作り上げるkamma viññānaにつながります。.

したがって、vipāka viññānaとは対照的に、kamma viññānaは「sankhāra paccaya viññāna」を経由して発生したviññānaのことです。

manō sankhāraを介して、kamma viññānaはmanō viññānaとして自動的に開始します。

これも自動的に起きるので、自分の意志で止めることはできません。

次に、vaciとkāya sankhāraという言動（abhi強いsankhāra行）によって、多くのkamma viññānaの生成を意識的に開始しており、それによりkammaviññānaの量が増え、質が強化されます。　

gati（性向・方向性）によってmanō sankhāraが自動的に発生し、次に、vaciとkāyasankhāraを意識的にkammaviññāna生成することで、kammaviññānaを大きくする、というプロセスです。

viññānaの例

噂のラーメン屋に行って食事をして、舌の上でその食べ物を味わうと味覚（jivhā vipāka viññāāna）が生成されます。これはvipāka viññānaです。

信用できる友達の以前の情報（kamma vipāka）の結果としてそれを味わうことができました。　

その経験には、これがどんなスープであるのかを識別（sañña）し、味わった味（védanā）を堪能し、美味しかったと独り言を思うほど味に愛着を感じることで自動反応回路（vaci sankhāra）が作成され、また来ようと思い（kamma viññāna）ました。

他の例では、頭痛がする場合、それは過去の悪いkamma、つまり因果（kamma vipāka）が原因で発生した悪いkāya Viññāṇaです。

それが頭痛であることを知って（識別してsañña）おり、痛み（védanā　感覚とタグ付け）を感じます。

この悪いkamma（エネルギー、原因、過去とのつながり）とは徹夜、疲れ、インフルエンザ、ストレスなどいろいろな可能性があります。

痛みという感覚入力が最初に来て、私たちの識viññānaはそれを察知するだけです。

このvipāka viññānaはエネルギーを生成しないのでkammaは作りません。

生じる6種類のvipāka viññānaに基づいて、私たちは自分自身でマインドに新しいメンタル状態を生成します。

これらがkamma viññānaと呼ばれます。

上記の最初の例では、ある味が気に入ったら、すぐにそれに親しみ、馴れ、その料理についてのsankhāraを生成し始めます。そのラーメンがどれほど良いかについて、思い（vaci sankhāra）始めます。

それは自分自身で作っている（意図した）新たなメンタル状態、すなわち「未来に関わる意識」です。

そのラーメンをもう一度食べると、kāya sankhāraも生成されるでしょう。

kāya sankhāraとは初めて自転車を乗る時に作る、小脳の神経網を使って感覚入力と運動出力を結びつける自動反応回路のことです。

小脳で運動神経回路が確立されることで、一般的には「習慣になる」と言われる条件反射です。

kamma Viññāṇaはvipāka Viññāṇaの後に1秒以内の瞬間に発生するため、通常、2つのメンタル状態（Viññāṇa）を区別することはできません。

vipāka viññānaはラーメンを食べている間は持続しています。

私たちが食べている間、多数のjivhādvara citta vīthi（味覚心路回路）が流れます。

Kamma viññānaも、同じCitta vīthi（心路回路）の後半に発生しますが、食事後にもよく発生します。

17ステップある一連の心路回路Citta vīthiについては後述します。

その夜にラーメンの味を想い出し( manō vipāka viññāna)、それがどれほど良かったかを意識的に考える（vaci sankhāra）ことで、より多くのkamma viññānaを生成し、ますますあの味に引きつけられ（kamma viññāna）、なんどもその味のことを思い返し（kāya sankhāra）、次の日に同じ店に行った。

このようにはじめは単なる心の働きだったことが、強いインパクトによって自らからkamma viññāna

という行動のパターンを作り出し、これが繰り返されることで、「因果の種」(kamma beeja、カルマの種　別名 kamma viññānaの塊）を生み出すことになった。

この「因果の種」は条件が揃うと実を結ぶので、実が結ぶたびにあのスープの味を夜な夜な思い出すことになるのは、「カルマ（因果）の種」の実が自分の心に manō vipāka viññānaとして戻ってきているからです。

大切なポイントは、この「カルマ（因果）の種」はdhammāと同じように無意識と直接に接触して、味を思い出すなどの心の働きを起こしていることです。

上記の2番目の例では、頭痛（vipāka viññānaおよび関連する痛みの感覚）を経験してからほんの一瞬後に気持ちが滅入り、これが如何にその日を台無しにし、すべての計画を駄目にするなどの考え（vaci sankhāra）を生成し始めます。

どちらの例でも、私たちの最初のメンタル状態（vipāka viññāāna）が非常に強かったため、自分自身で「カルマの種（エネルギーの塊できた設計図）」を生む出すkamma viññāna を生成しました。

その「カルマの種子」は、条件が揃うと、後でvipāka viññāna（manōviññānaとして）として私たちのマインドに戻ることになります。

それが美味しいラーメンの経験を夜遅くに急に思い出した、ということです。

また、頭痛が本当にひどかった場合は、数日または数週間後に思い出すことがあるかもしれません。

これも頭痛がしたあとに作成した「カルマの種子」が後に、vipāka viññāna（これもmanōviññāna）となってマインドに戻ってきたことになります。

本人がはじめに頭痛に気がついても（vipāka viññāāna）、それについていろいろと考え（vaci sankhāraを介した kamma viññāna）なければ、カルマの種は生成されないので、後にカルマの種が実を結び、思い出す（vipāka viññāāna）ことはありません。

本当に美味しいラーメンを食べることで、それに愛着を感じ執着し、次々と「因果の種」やダンマを倍増させていきます。

ただし、エネルギーのない記録であるnāmagottaはすでにあるので、本人のマインドがその記録にスポットライト、すなわちエネルギーを当てると、その記録（nāmagotta）はエネルギーを得て、記憶としてマインドの中で再現され思い出すことはできます。

これが想起のメカニズムです。

したがって重要な点は、カルマの種子は、マインドの感覚器官mano indriyaと接触して「マインド感覚の出来事」を発生させるdhammāと同じ機能であり、どちらもvipāka viññāānaとして顕出することです。

cakkhu indriyaが光のrūpaと接触するとで「見るというイベント」が発生したように、

cakkhuñca paṭicca rūpē ca uppajjatI cakkhuviññaa　

mana indriyaとdhammāが接触すると「マインド感覚の出来事」が生じます。

manañca paṭicca dhammē ca uppajjati manō viññāṇaṃ

光の粒子とdhammāの大きさの比率は？

おいしく食べたとき、それに本当に愛着を持つことで、心路citta vīthi のjavana（敏速）の段階で、カルマの種子、すなわちdhammāが作成されます。

７行程あるjavana cittaでは、cittaが対象の思念にエネルギーを転照することで高い潜在力を持つ強力な力、すなわちkamma viññānaが生成されます。

何度も心路citta vīthiを繰り返すことで、多くのkamma viññānaが生成され強く大きくなっていきます。

それぞれのカルマの種子の強さは、後にマインドに戻ってきて接触するかどうかでわかります。

たとえば、それが通常のラーメンである場合、それを渇望することはなく、したがって強いカルマの種子やdhammāを作成しません。その後、数時間でそのラーメンのことを忘れるかもしれません。

しかし、噂のラーメンが本当に美味しい場合には、店を出た後の何日をもそのことを考え、その度にjavana cittaでdhammāを、すなわちカルマの種子を少しずつ強くします。

それについて考えるほど（つまりvaci sankhāraを生み出すほど）、それはより強くなります。

これがアルコールを含めるあらゆる依存症に如何に徐々になっていくか、というプロセスのメカニズムです。

過去の「飲酒イベント」を想い出し始め、飲酒していないときでも多くのmanōとvaci sankhāraを生み出します。

飲酒そのものは、身体の一部を動かすことを伴うkāya sankhāraです。

manō sankhāraは、過去の飲酒イベントについて想ったときに自動的に発生します。

（manañca paṭicca dhammē ca uppajjatI manōviññāṇaṃにより）。

その後、過去の飲んだことを意識的に考え始めると、vacisankhāraを生成しはじめます。

3種類すべてのsankhāraは、縁起説の「sankhāra paccaya viññāna 」のステップのsankhāraのことで、飲酒のViññāṇaを活性化する役割であり原因です。

自動的に発生するmanō sankhāraを制御することはできませんが、生成されるvaciおよびkāya sankhāraは本人の意思で制御できます。

それがĀnapānaとSatipattāna bhāvanāの練習をして、このサイクルを止める方法の１つになります。

kamma Viññāṇaの特徴は、心・mind（nāma）と物・matter(rūpa)をつなぐこと

kamma Viññānaは心（メンタル作用）と物との間にあるリンクです。

物質とメンタルの架け橋なので、kamma Viññānaは純粋なメンタル界のモノではありません。

対してvipāka viññāānaはメンタル界のものです。

ですからViññāṇaは、ほとんどの場合nāmaすなわちマインドのカテゴリーに含まれていますが、マインドと物資との間のリンクでもあります。

『分別論』パーリ仏典論蔵の第2論（Paṭiccasamuppāda Vibhaṅga）（因果起源部）の中に、

五蘊の中の「受と行と想」の３つだけが nāmaに属する、とあります。

“Tattha katamaṃ nāmaṃ? Vedanākkhandho, saññākkhandho, saṅkhārakkhandho—idaṃ vuccati “nāmaṃ”.

これは、viññāṇakhandhaが「nāmaすなわちマインドのカテゴリー」に実際には属していないことを明確に示しています。

vipākaviññāṇaは最終的に「nāma」カテゴリーに含まれますが、kammaviññāṇaはエネルギーを持っているため、rūpaカテゴリーに分類されます。

このため、viññāṇaが「nāma」カテゴリーに含まれない場合があります。

ipāka viññāṇaとは異なり、kamma viññāṇaにはエネルギーが埋め込まれています。

五蘊や十二縁起の中に出て来る識viññānaとは、エネルギーを生成しない働きのvipāka viññānaのことではなく、汚染（脳機能の性質によって無意識の内に編集）されて、エネルギーを生成する働きの kamma viññānaのことを指しています。

縁起説には多くの種類があるので、無明から始まらないものもありますが、一般的に知られている縁起説は、無明や執着や行sankhāraと関連も持つ一貫の関係性を説いたものであるので、その縁起説に出てくる識viññānaとはkamma viññāṇaのことです。

エネルギーを生成しないvipāka viññānaだけを常に持ち続けているのは、悟った人であるアラハン（阿羅漢）しかいないので、純粋な「意識」を持ち続けている人は75億人の内にほんの数えるほどしかないことになる。

無明のあるいかなる言動をした場合にはkamma viññānaが生成されるからである。

ゴータマ・シッダールタがブッダになってからは、kamma viññānaを生成しなくなり、彼はいつも完全な意識状態で暮らした。

これらのことから「心と物」の区分ではvipāka viññānaが心の領域なのに対して、kamma viññānaは物の領域にカテゴライズされる。

マジェ経典Majje Sutta (AN 6.61)の中で、ブッダは以下のように説いている。

 “nāmaṃ kho, āvuso, eko anto, rūpaṃ dutiyo anto, viññāṇaṃ majjhe.”

訳）　心（マインド・nāma）を一つの端として、物質（モノ・rūpa）をもう一つの端とすると、真ん中にあるのがviññānaである。

このviññānaとはkamma Viññāṇaのことである。

kamma viññānaは五蘊のsañña想, védanā受, sankhāra行の3つを含んでいるので、これらの知覚、感覚、反応回路に対して影響を与える。

この影響力を使って、この世に希望や願いや欲することで、「識」は物質と繋がることになる。

vipāka viññānaをベースにして、そこに貪瞋痴があれば kamma viññānaが生起する。

vipāka viññānaは六感のviññānaが原因となって生じる結果であるが、

kamma viññānaは必ず、心のviññānaによって生起する。　

vipāka viññāna は常に、目がモノvarna rūpaを見ることによって、耳が音sadda rūpaを聞くことによって鼻が匂いgandha rūpaによって、舌が味rasa rūpaによって、皮膚が感触pottabbha rūpaによって、生起するのに対して、

kamma viññānaは縁起説にあるように自動反応回路（サンカーラ）によって生起する　

“sankhāra paccaya viññāna“　　　by　Samyutta Nikaya, XII (I). 1　　Paticca-samuppada Sutta

Majjhima Nikāya 26　　ariyapariyesanasuttaṁ聖求経

それに対して、vipāka viññānaは以下のように生起する。

中部経典148 『中阿含経』六六経Chachakkasutta 　Majjhima Nikāyaにある

“cakkhuñca paṭicca rūpē ca uppajjati cakkhuviññāṇaṃ“

モノと眼によって見る意識が生起し　　　　by seeing a rūpa with eyes　

“sōtañca paṭicca saddē ca uppajjati sōtaviññāṇaṃ“

音と耳によって聴く意識が生起し　　　by hearing a sound with ears

manañca paṭicca dhammē ca uppajjati manōviññāṇaṃ“

ダンマとメンタル器官によって心の意識が生起するby dhamma with mana indriya（メンタル器官）

このようにvipāka viññānaが六感により生じることが説かれている。

別の言い方をすると、心がダンマ（エネルギー）と接触すると、心の意識が生じるので、あってこれはkamma viññāna（自分が意図、作成、計画、願望、編集した意識）とは異なり、記憶や印象や想いや感想である。

ここでいうダンマdhammēは最後の母音を見れば分かるように複数形であるので、ブッダの教えや宇宙の法則であるダンマのことではなく、このダンマとは物質になるプロセスの途上にあり、まだ凝固していない霧のような状態のモノ、すなわちエネルギーのことを指している。

六六経Chachakkasutta　 Majjhima Nikāya148
‘Cha viññāṇakāyā veditabbā’ti—iti kho panetaṃ vuttaṃ. Kiñcetaṃ paṭicca vuttaṃ?  Cakkhuñca paṭicca rūpe ca uppajjati cakkhuviññāṇaṃ,  sotañca paṭicca sadde ca uppajjati sotaviññāṇaṃ,  ghānañca paṭicca gandhe ca uppajjati ghānaviññāṇaṃ,  jivhañca paṭicca rase ca uppajjati jivhāviññāṇaṃ,  kāyañca paṭicca phoṭṭhabbe ca uppajjati kāyaviññāṇaṃ,  manañca paṭicca dhammē ca uppajjati manoviññāṇaṃ.  ‘Cha viññāṇakāyā veditabbā’ti—iti yaṃ taṃ vuttaṃ, idametaṃ paṭicca vuttaṃ. Idaṃ tatiyaṃ chakkaṃ.	六つの媒介作用が知られるためには どのような説明すればよいのか？ モノと眼によって見る意識が生起し 音と耳によって聴く意識が生起し 匂いと鼻によって嗅ぐ意識が生起し 味と舌によって味あう意識が生起し 刺激と触領域によって感触する意識が生起し ダンマと心によって意識が生起する。 六つの媒介作用はこのように理解され、 これがはじめの六つの一組のありかたである
	"'The six internal media should be known.' Thus was it said. In reference to what was it said? The eye-medium, the ear-medium, the nose-medium, the tongue-medium, the body-medium, the intellect-medium. 'The six internal media should be known.' Thus was it said. And in reference to this was it said. This is the first sextet.

ダンマとは普段では宇宙の法則や仏法などの概念として解釈されるが、

現代科学では原子の１億分の一である出典？suddhāshtakaと呼ばれる物質rūpaの最小単位のまた１億分の1の大きさしかいないので、まだ凝縮することもなく、見ることも触ることもできないので、物質とは呼ぶことはできないエネルギーとしてのモノである。

ただダンマには物質の一面があることはポイントである。

これは私説なので批評を求めるが、全体をnibbana、citta、cetasika、rūpaと分類する勝義諦 paramattha saccaでは、「概念」はヒトの意図によって成り立つ識viññānaなので、cetasikaすなわちメンタル界に属すると推定できる。

すると、概念にはエネルギーが含まれるので、エネルギーのdhammāと共通点があるのではないか。

したがって、仏法を含めた概念はエネルギーとしてのdhammāと同じ想saññāのカゴの中に入るものである。

中部経典 第22経　蛇喩経　　Majjhima Nikāya 22　Alagaddūpamasuttaで、

釈尊の説いたその全ての教え（仏法 Buddha　Dhamma）は、「向こう岸」へ渡ってしまえば、その役目を終えてしまうので、もう必要が無くなるので、最後には「筏」と同じように「捨て去るべき」ものである、という喩えを説いています。

このように仏法といえども、それは「教え（概念）」であり、永遠不滅の「（絶対的な）真理」ではなく、エネルギーのdhammāと同じ領域のものである。

 vipāka viññāna には目のcakkhu, 耳のsōta, 鼻のjivhā, 舌のghāna, 体のkāya, or 心manō viññāna. がある。

過去にあった臨場感のある強いvipāka viññānaと無明avijja（ありのままの状態を覆い隠してしまうパターン回路）を通過することにより、私たちは自動反応回路プログラムを無意識の領域で作成し、kamma viññānaを気が付かないうちに自らが生み出してしまっている。

言葉をつなげて筋道を立てる回路や体の自動反応回路は自分の意志でコントロールできるが、

「因果の種」は「心の自動反応回路プログラム」となり、これは自分の意志ではコントロールできない意識下で勝手に発動するので、どうしようもない。

十二縁起paticca samuppadaの「行」が「意識」を生み出す“sankhāra paccaya viññāna” という段階である。

つまり、行sankhāraを経由した信号は自動的にkamma viññānaを作成してしまうのである。

「想い、思いや、考えや、思考」がないときは、心の働きは無意識 bhavānga(心路の中でvipāka viññāna や心路内のjavana citta でkamma viññānaを作成していない) の状態にある。

vipāka viññāna はそれだけで実体を持つものではなく、思考（sañña, védanā, sankhāra）とともに生起する。

休眠中のbhavāngaの状態から、はじめに意識的なvipāka viññānaの状態に移行し、もしこのvipāka viññānaに何か愛着や執着があるものが触れると、kamma viññānが生起する。

そしてこのkamma viññānが未来の因果kamma vipākaを作成することでエンドレスを招くことになる。

このエンドレスのサイクルを止めるためには、kamma viññānの生起を止めなければならない。

特に害のある因果を生むものには。

これを止めるキーポイントがアーナパーナ瞑想とサティパッターナ瞑想である。

Viññāṇaの時系列

これら2つのタイプのViññāṇaがどのように発生するかを時系列で見てみます。

viññānaは常にあるものですが、「実体」ではありません。

sañña、vedanā、およびsankhāraと同様に、viññānaは想い（心路）によって生まれます。

想いがないときは、マインドはbhāvanāga(休眠意識）状態にあります。

なにも警戒していない通常のときに、人が宙を見つめていたり、温泉に入って静かにしていたりして、深く考えていない時に、マインドは不活発なbhavānga状態にある可能性があります。

ヒトはマインドが休眠中のbhāvanāga 状態から離れ、まずvipāka viññānaを介して意識的な想いに移行します。

次に、それに何かに固執（マインドにcetasikaが付着tanhā）すると、kamma viññānaの生成が始まります。

これにより、将来のkamma vipāka（因果作用）がもたらされます。

まずvipāka viññānaから始まり、次にkamma viññānaの生成を開始します。

これらのkammaは後でもっと多くのvipākaにつながり、プロセス全体が終わりなく続きます。

それが私たちがいかに転生プロセスを続けているかというメカニズムです。

これを止めるには、この流れに「気がつくこと」でkamma Viññāṇaの生成をやめる必要があります。

特に悪いkamma Viññāṇaは悪い原因kammaを作り、それは悪い結果kammavipākaにつながります。

これがĀnapāna でkamma Viññāṇaを遮断し、Satipattāna bhāvanāで、気づく練習をする理由です。　

ĀnāpānaとSatipathāna bhavanaによって、自動的に発生するmanō sankhāraに気づくことで、意識的に生成してしまっているvaciとkāyasankhāraを制御することにより、kammaviññānaを制御します。

ちゃんと座って瞑想すると、身体を動かしたり話をしたりしないので、これはvaci sankhāra（意識的な思考や言語のつながりの編集）を制御していることを意味します。

また身体を動かさないというのは、純粋なcitta、すなわち自ら動くことができず、ただ「観照するātman」、を真似て無意識に再現していることになるので、その純粋なcittaの波長に同調しやすくなり、その境地を体感する可能性があります。

実際にはこれまでに構築した見解や雑念や印象や浮かび上がる記憶などの想saññāと行sankhāraと識viññānaが除去されていないので、可能性はあるのに不可能です。言語矛盾になりますが。

それほどこれらを除去したり、上書きをする作業は簡単ではないということです。

しかし、始めることと、始めないことの差は１と０のように大きな違いです。

座禅していない日常生活の中では、vaciとkāya両方のsankhāraを制御する必要があります。

つまり、浮かび上がる考え、語句をつなげ編集する行為、および身体的行動に気づいていることがkammaviññānaの制御には必要になります。

vipākaviññānaとkammaviññānaとの間の時間遅延は想像を絶するほど短いものです。

一連の17cittaの心路（citta vīthi）の中の４番目にあるpancadvaravajjana cittaでvipāka viññāānaは発生します。

pancadvāra（pancaは5+dvāraはドアの意味）とは５感覚器官の信号が入力される扉のことを指しています。

そして、kamma viññāṇaは心路のcitta vīthi の終わりの方にある９番目のjavana cittaで発生し、15番目で終了します。

リンク先 認識システムと五蘊　そこからの離脱法

その対象物（ārammana）に愛着を感じた場合には、より多くのpancadvāraとmanōdvara（マインドの「場」）のcittavīthiが繰り返して実行されます。

vipāka viññānaについては誰も何もできず、阿羅漢でも、kammavipākaとなるvipākaviññānaは発生します。阿羅漢も他の人と同じように、見たり聞いたりするからです。

Vipākaviññānaは、cakkhu、sōta、ghāna、jivhā、kāya、またはmanōviññāānaの6つの感覚の扉のいずれからでも発生する可能性があります。

私たちができること、そして行う必要があることは、「sankhāra paccayā viññāāna」である、特に強力なvaciとkāya のabhisankhāraを停止することです。

これらが新しい強力なkamma viññāānaにつながるからです。

Kamma viññānaは常にmanōviññānaとして最初に発生します。

dhammāがmana indriyaに接触（衝突）するとmanadvara vipākaのイベントを開始して、約10 cittaのmanōdvara citta vīthiが実行され、最初のvipāka viññānaはマインドの入り口で発生して、思考の瞬間が始まります。

vipāka viññānaを制御できませんが、sankhāraをコントロールすることにより間接的にkammaviññānaをコントロールできます。

これがNibbānaに達する可能性のメカニズムです。

マインドから物質へ　　　nāmarūpaの役割

さらに、縁起説PaticcaSamuppādaの次のステップは「viññāna paccayā nāmarūpa」です。

ここがマインドからrūpaへの接続点です。

重要な点は、kamma viññānaは完全にはメンタルではないということです。

マインド(citta)に何か(cetasika)が付着すると、エネルギー（つまり、カルマの種子kamma beejaすなわちdhammā）が生成され、それがkamma bhavaに記録されます。

kamma bhavaとはエネルギーの入った枠組のようなもので、カタチはありませんが枠組とエネルギーがある状態のモノです。

このkamma bhavaにエネルギーが完全に充填されると、カタチが誕生します。

ですからbhavaとは「カタチになる手前の状態」とも言えるでしょう。

瞬間的なものでは最小単位suddhāshtakaの物質になる寸前のもの、長い時間では砂や花が形になる前のエネルギー体、人のメンタルではある思いの状態（気持ち）、前世・現世・来世のスパンならば「存在」や「有」と呼ばれているメンタル体といったものです。

たとえば、アルコール依存症者は「飲酒のViññāṇa」を持っています。

本人は常に飲酒について考えており、「酔った状態（bhava）」にエネルギーを照射（イメージすること）し、bhavaをエネルギーで満たそうとしています。

それは飲酒の考えをおこすためのdhammāとして本人のマインドに戻ります。

飲酒の考えと行動を意図的に制御することによって、そのループを断ち切るまで、Viññāṇaは時間とともに成長します。

飲酒の習慣を打破する方法は、飲酒によって導かれる悪い結果にスポットライトを当てて、飲酒についてのあらゆる考えを強制的に抑制し（vacisankhāra）、禁酒（kāya sankhāra）して、その回路（習慣）から離脱することで、飲酒しない習慣を確立することです。

こうして、kamma Viññāṇaはマインドと物質とのつながりであり、マインドによって作られたエネルギーであることが確認できます。

kamma Viññāṇaとは、suddhāshtakaステージよりも微細な物質（rūpa）つまりdhammaāエネルギーを作成することがわかれば、この世のことがこれまでとは違った視点で理解することができます。

これは先ほど紹介した、Majje Sutta (AN 6.61)にある、

「nāmaが一方の端にあり、rūpaがもう一方の端にあり、Viññāṇaが中央にある」です。

“nāmaṃ kho, āvuso, eko anto, rūpaṃ dutiyo anto, viññāṇaṃ majjhe“

将来、そのdhammāはmana indriya（メンタル器官）に戻り

「manañca paṭicca dhammē ca uppajjati manōviññāṇaṃ」を介してマインドの感覚意識が生まれるトリガーになります。

そしてそのcitta vithiの後半部で、より多くのkamma Viññāṇaが作成されます。

これが時間とともに強化されるフィードバックプロセスです。

そのkamma Viññāṇaは、Paticca Samuppādaプロセスを介して、kamma bhavaにkamma beeja（すなわちdhammāエネルギー）を徐々に貯蓄することができます。

「viññāna paccayā nāmarūpa」、「nāmarūpa paccayā salāyatana」、「salāyatana paccayā phassa phassa phassa vēdanā」、「vēdanā paccayā tanhā」、「tanhā paccayā upādāna」、「upādāna paccayā bhava」のプロセスです。

縁起説にはいろいろな切口といろいろな出発点があります。

たとえば、前世と現世と来世をつなぐことを説明していたり、

現世だけの流れについて説明していたり、

ある事象の因果関係を説明していたり

深層意識、中層意識、表層意識を説明したり、

一瞬の出来事が成立する何層にもなっている次元について説明したり

多くの解釈を提供しています。

そして以下の縁起説は阿羅漢の縁起説ではなく、貪瞋痴を持って言動することで起きていく流れを説明したものです。

Paticca-samuppada Sutta 　　　Samyutta Nikaya, XII (I). 1　　

	パーリ語	用語	英語	内容
1	avijjā	無明	ignorance	aniccā,dukkhā,anattāを常時において体感していないこと 貪瞋痴の状態で言動をおこすこと
2	saṅkhāra	行	reaction	学習された感情パターン、思考パターン　 アプリケーション　　自動反応回路
3	viññāṇa	識	consciousness	エネルギーを生む意識　　kamma viññāna エネルギーとはdhammā、、カルマの種、 未来を生む考え 「希望と夢」も含まれる。 これらは、52のcetasikāの複雑な組み合わせ
4	nāma-rūpa	名色	mind and body	メンタル・エネルギーが物質として具体化する
5	salāyatana	六処	six senses	感覚器官が対象を探索する機能を持つ（認識説明のPS） ココロ、視、聴、嗅、味、触　脳、目、耳、鼻、舌、皮 三世にわたるPSでは、受精卵
6	phassa	触	contact	内部rūpa（saḷāyatana）と外部rūpaとの接触を意味 感覚の信号が身体とではなく、無意識と結ばれること
7	vedanā	受	sensation	感覚信号のデータに3つのタグが付加される
8	tanhā	愛	craving & aversion	tanhāはattachment付着、すなわち愛着 貪欲または憎悪によって結びつく、という意味 渇望と嫌悪に区分された自動反応アプリケーションの作成 という解釈は間違っている。
9	upādāna	取	attachment	対象物を引き寄せる 「upa近く」+「ādāna引っ張る」 よって、Upādānaは「引っぱって近くに置いておく」 「近づき続ける」 マインドはārammana（対象）を引き寄せて、そこにエネルギーを注入する
10	bhava	有	the process of becoming	エネルギーが入る容れ物　　物質エネルギーの集合体　　　 枠組の中にエネルギーがあるが、カタチはまだない 3世のPSでは再生を何度か繰り返すメンタル体のこと
11	jāti	生	birth	具体化　　誕生　　この世で形になる
12	jarā-maranam	老死	ageing & death	メンタルと肉体の苦しみの継続

Majjhima Nikāya 26　　ariyapariyesanasuttaṁ聖求経には、

執着を好ましく思っている人にとって、縁起の法という理論は受け入れがたく、

如来（釈迦）の世に出ずるも出てざるも法界常住で、如来は衆生のために分別し演説して顕示するのみ、とある。

こうして縁起の関係性があるものは、適切な条件下で、そのkammabeeja（すなわちdhammā）がvipāka（結果）として戻って、そのプロセスを最初からやり直すことになります。。

以前に作成されたエネルギーとしてのdhammāすなわちkamma beejaは

「manañca paṭicca dhammē ca uppajjati manōviññāṇaṃ」を介してvipāka viññānaとしてマインドに戻ることになります。

そのViññāṇaに関連するvaciまたはkaya sankharaを生成するたびに、Viññāṇaをより強くします。

Viññāṇaが強くなるにつれてviññāna paccayā nāmarūpaによってnāmarūpaは強化されます。

このnāmarūpaとは、マインドによって作成された（マインドが変成した）rūpaの最初の段階です。

viññānaはこの仲介として機能します。

dhammāとは、kamma beejaだけでなく、各自の経験のあらゆる記録nāmagottaも含みます。

したがってカルマのエネルギーとは関係のないイベント、たとえば、誰かと話したことや、何かを見たことや。数学の問題を解いたことなどの記録は、エネルギー源である純粋なcitta（マインド）が対象のnāmagottaにスポットライトを当てることで、その記録はそのエネルギーによって共鳴することでdhammāとなり、これがmanaindriya（メンタル器官）と接触することで、記憶として再現され、思い出されます。

私見になるが、

文献や仏教伝統では、dhammā∋nāmagottaと解釈できるようなところもありますが、nibbana以外にこの世にはエネルギーのないものはなく、nāmagotta以外でエネルギーがないものは涅槃nibbānaしかありません。

namagottaはaniccāの性質はありませんが、anattāの性質はあるのでこの世のものなので、ヨーガ派の宇宙観でこれに適応するは、「prushaが観る前のprariti」が唯一なので、まだ３つのgunaがバランスを維持している状態にnamagottaは保存されている、と推定できる。

マインドの感覚とdhammā

マインドの目標の１つは、suddhāshtakaレベルの上下（粗雑・微細）の両方のrūpaで作られている内外の世界から喜びの感覚を抽出することです。

私たちは皆、五感を介して感覚を楽しむことに慣れています。

しかし、私たちが経験する最も楽しいことは、第六感であるマインドを通してです。

5つの物理的な感覚は、5種類の「固まったrūpa（色音香味触）」のみしか感知できません。

入ってくるこれらすべての感覚の信号は、最終的にはdhammāに変換されて、マインドによって楽しまれます。

さらに、マインドは過去の感覚の経験や、計画された将来のイベントについて考えることでも楽しむことができます。

ここでいう最小物質の単位であるsuddhāshtakaレベルより微細なrūpaとは「dhammā」のことです。

マインドは過去の感覚の経験や将来期待される経験をどのように楽しんでいるのでしょうか？

この答えは、suddhāshtakaには至らない、まだエネルギー段階のrūpaであるdhammāのことを窺い知るきっかけになります。

外部rūpa（たとえばvarna rūpa）は目によって、外部音は耳によって、内部に「持ち込む」ように、外部dhammāはmana indriyaによって、「持ち込み」ます。

mana indriyaはマインドの「場」hadaya vatthuではなく、indriyaとあるようにメンタル界にある「マインドの的感覚器官」を指します。

マインド（citta）はkamma viññānaを使ってエネルギーを照射することでdhammāを創出します。

そのエネルギーを持つdhammāはカルマの種子kamma beeja（bīja）とも呼ばれ、kamma bhavaという枠組に入れられます。

メンタルが物になる過程は無から有を生み出すのではなく、

宇宙創生でprushaが見つめることでprakritiがカタチを生み出したように、有から有への変換です。

大乗仏教で言えば「空」からすべての形が顕出したように。

ビッグバンで言えば、それ以前のすべてを含むエネルギーが形に発展していったように。

純粋なるcittaの「いのち」はkamma viññānaを介することでエネルギーに変換され、prakritiである宇宙空間に照射されることで、そこにカタチの原型であるdhammāが顕れます。

kamma viññānaのエネルギーは拡散されるのではなく、回路（サンカーラ）を使うことで同じ「場」にエネルギーが集中的に照射されることで、隠れたエネルギーの根源であるprakritiからカタチの原型であるdhammāが顕れるのです。

ちょうど量子力学で宇宙空間には原子が現れては消えていくように。

ちょうどインド神話で3つのgunaのバランスが崩れて、カタチが創出したように。

ちょうど宇宙神話で「大いなる『意』」が次々と神々とモノを創生したように。

ちょうど大乗仏教の「空」というカタチのないエネルギーからすべてが創出したように。

ちょうどビッグバンの瞬間の前にある、すべてがあるのにまだ空間が存在していないように。

ちょうど多元宇宙論で始源がなくても縮小した時空があり、そこからまた拡張が始まるように。

nāma gotta（経験の記録、始まりのない時間の記録）およびkamma Viññāṇa（kamma beejaとも呼ばれる）を含むすべてのdhammāsは、nāma lōka（メンタル界）に属しています。

nāma lōkaの対義語はrūpa lōkadですが、視点を変えれば、nibbanaの対義語にもなります。

カタチの始まりと形の終わり

「sankhāra paccayā viññāāna」が「rūpa生成プロセス」を開始し、

「viññāna paccayā nāmarūpa」がそれを完了させます。

転生につながる縁起説Paticca Samuppādaサイクルの「nāmarūpa paccayā salāyatana」では、このnāmarūpaは新しい存在（bhavaというメンタル体で別名Gandhabba）の設計図　（DNAのようなもの）となり、新しいindriyaのセット（salāyatana）が形成されます。

人間の誕生の場合、salāyatanaは単一の細胞（受精した卵子　zygote接合子ギリシャ語zugon「対」から由来）です。

現世の説明とする縁起説PaticcaSamuppādaサイクルでは、このnāmarūpaは「nāmarūpa paccayā salāyatana」を介して新しい感覚のイベントが発生することを表し、既存のindriyaは新しい感覚イベントのためにāyatana（感覚信号を探す主体）になります。

indriya（cakkhu眼、sota耳、ghana鼻など）が常にāyatana（探索器）として機能するわけではありません。

私たちがlobha, dosa, moha（貪瞋痴）で行動するときだけ、indriyaはāyatana として対象を探索する行動をして新しいkamma（因果の原型になるエネルギー）に導きます。

私たちのgati（方向性）が、私たちが切望する（そして嫌悪する）特定の事柄についてViññāṇaを作成しています。

gatiの導き（方向性）がある傾向を持つViññāṇaを生成しています。

したがって、gatiとkamma viññānaは相互に関連し、相互にエネルギーを与え、相互に強化し合います。

Vipāka viññānaは以前のkammaの結果であるので、私たちに止めることはできません。

私たちが止める必要があるのは、私たちのkammaviññānaです。

意識がカタチになるプロセス　　　　nāmarūpa pariccēda ñana

nāmarūpa pariccēda ñanaとは、マインドが物質とどのように関係しているのか、つまりviññāṇaがマインドと物質の間の重要なリンクとしてどのように機能するのかを説明しています。

pariccēdaの「pari」は「完全」または「包括的」「uccēda」は「カットオフ（根こそぎ）」を意味します。

paricca：adv．[pari-i の ger．cf．Sk．parītya] 熟知して

したがって、nāmarūpa pariccēda ñanaとは、縁起説Paṭicca Samuppāda（PS）の「viññāna paccayā nāmarūpa」のステップで、kamma viññāṇaを介して出現するnāmarūpaがどのようなものか理解することを意味します。

nāmarūpaにはいくつかの種類があります。

2つの単語として分けて記述された場合、nāmaはメンタル的な属性を指し、rūpaは物質を指します。

そしてnāmarūpaとつなげた場合は、はマインドと物質の両方にまたがる存在を指します。

viññāṇaによって、nāmaはrūpaと結合し、nāmarūpa（将来の転生のための痕跡（青写真の設計図））を作成します。これにより、最終的には完全に形成された生物につながります。

これがPSの「viññāna paccayā nāmarūpa」のステップの意味です。

これらは非常に繊細なrūpaで、viññānaによって作成されたsuddhāshtakaステージより微細であり、dhammāの一部です。

したがって、nāmarūpaは、私たちが5つの物理的な感覚で経験する密度の高いrūpaとは異なります。

たとえば、マインドの中のビジュアルに関わるnāmarūpaについて見てみます。

現在の状況を分析説明する視点のIdappaccayatāPS で解釈します。

このPSでは、マインド界の段階とrūpa界の段階を分離するのは「viññāna paccayā nāmarūpa」のステップです。

たとえば、アルコール依存症の人は、本人が参加する予定の飲酒パーティーのシーンを視覚化してイメージすることです。

次に「nāmarūpa paccayā saḷāyatana」となり、内部のrūpa（dhammāエネルギー、そして肉体）につながっていきます。

パーティーのイメージによって、感覚器官はそのイメージと関連するものを探索します。

次に、外部のrūpaと接触（phassa）するsalāyatana：「salāyatana paccayā phassa」のステップです。

phassaは、内部rūpa（saḷāyatana）と外部rūpaとの接触を意味し、「phassa paccayā vēdanā」すなわちvēdanāを生じさせます。

友達のSNSをチェックしたり、ノリのいい音が耳に入ってきたり、パーティーに関するウェブ情報が気になって、知らないうちに読んでいます。

これで、物質界の縁起が、vēdanāに転換することで nāmaつまりメンタル界に戻ります。

メンタル界から物質界へ、それがまたメンタル界で結果（縁）が生起するということです。

したがって、nāma とrūpaの橋渡しするkammaviññāṇaが重要な役割を果たすことがはっきりとわかります。

マインドと物質の関係（nāmaとrūpa）はviññāṇaを介して2つを組み合わせてnāmarūpaが作成されることは、釈尊が法句経 DHAMMAPADA　 Verse 1 & 2　 Khuddakanikāya Dhammapada Yamakavagga　で

「manō pubbangamā dhammā」

つまり「マインドはすべての現象に先行する」のことです。

その点を理解するのが“nāmarūpa pariccēdañana“の肝となります。

意識Kammaviññāṇaがメンタル体になるプロセス

カルマのエネルギーと共にKammaviññāṇaは、17心路citta　 vithi のjavana cittaで作成されます。

このカルマ・エネルギーは、小さなものですが、abhisaṅkhāraの繰り返しの生成により成長し、新しいbhavaを生み出すことができるkamma bījaに成長する可能性があります。

そのkamma bījaは、将来において密な肉体の「種」となる、とても繊細なメンタル体（gandhabba）を生み出します。

これは「upādāna paccayā bhava」のステップで発生し、gandhabbaを引き起こします。

gandhabbaとは「エネルギーのパケット」である非常に微細なrūpaの集合体です。

次に、「bhava paccayā jāti」のステップで、gandhabbaが接合体（たとえば受精卵）に入り、新しい身体を得ます。

小さな種子が水や養分を土壌から取り込むことで巨大な木に成長するのと同じように、想像を絶するほど小さなgandhabbaは、食べ物を取り込むことで重量のある体を生み出します。

唯一の違いは、gandhabbaやヒトにはマインドがあるが、種子や木にはマインドがないということです。

植物に識viññānaはないことには同意するが、純粋なるcittaである「いのち」はあるので、マインドがないとはいえないのではなかろうか？

私たちの形のある肉体は、母と父の交合によって作られた最初の細胞（受精卵）よりも小さいgandhabbaから始まり、gandhabbaは（子宮に降りてきて）子宮内でその受精卵をつかみます。

釈尊は、この出来事を「子宮に降りたviññāṇa」と呼びました。

Mahā Tanhāsankhaya Sutta (Majjhima Nikaya 38)

Assalāyana Sutta (Majjhima Nikaya 93)

「gandhabbaの降下」は「viññāṇaの降下」とも呼ばれています。

釈尊はAnanda尊者との会話の中で、patisandhi viññāṇa（転生する意識）（すなわちgandhabbaのこと）がどのように母親の子宮に「下降」してプロセスを開始するかをMaha Nidana Sutta (Digha Nikaya 15)で説明しています。

「転生状態としての意識はnāmarūpa（通常、メンタル性-物質性として翻訳されますが、この文脈はgandhabbaのこと）であると言われている。」

アーナンダよ、それがそうであるように、 このように理解されるべきです。意識（Viññāṇañca）が母親の子宮に降りなければ（na okkamissatha）、子宮の中でnāmarūpaは形を成しますか？」

「間違いなくそんな事はありません、師よ。」

「子宮内に下降（okkamitvā ）した後に、意識が発せられる（vokkamissatha）場合、nāmarūpaはこの現在の存在状態になっていますか？」

（注：これは、流産（妊娠の自然終了）の場合に起こります。gandhabbaは適切な一致をしなかったため、gandhabba自体が子宮から出てきます）。

「間違いなくそんな事はありません、師よ。」

「もし若い男の子や女の子（kumārakassa vā kumārikāya vā）の意識が出てきたとしたら、そのnāmarūpaは発達し、成長し、成熟に到達するでしょうか？」

「間違いなくそんな事はありません。師よ。」

「したがって、Ānandaよ、これはnāmarūpaのための原因、素材、起源、および状態（eseva hetu etaṃ nidānaṃ（ソース、素材） esa samudayo（起源））である。

つまり、汚された意識（yadidaṃ(呼ばれる)viññāṇaṃ）です。

このように、子宮に「下降」し、肉体を生じさせるのは、patisandhi viññāṇaのカルマのエネルギーであることがわかります。

gandhabbaは、子宮に降下したpatisandhi viññāṇaの別名です。 「manōmaya kaya」とも呼ばれます。

時々、人体のgandhabbaはストレスの多い状況で肉体外に出てくることがあります。

心臓手術を経験した患者や金縛りを経験した人が語るOBE（Out-of-body experience）です。

釈尊は、身体から出てくるgandhabba（Tirokuttaとも呼ばれる）を、格納されている鞘から引き抜かれた剣に喩えました。

gandhabbaの概念は、「antarā （間）bhava」についての大乗の概念であると批判されています。

チベット語ではbar do、漢字仏教用語では中陰あるいは中有と呼ばれているもので、日本では49日。

しかし、gandhabbaの概念はantarā bhavaではありません。

cuti（1つのbhavaの終わりの死の瞬間）の直後の、次のcittaの瞬間に次のbhavaをつかむからです。

つまり、2つの隣接する「bhava」の間にギャップなどはなく、gandhabbaはメンタル体と表現される肉体の構成物質dhātuよりもずっと微細なbūtaで構成されている見えないベールのような体とされています。

この50キロほどの肉体を育てるための「種」は、patisandhi（転生）　viññāṇa　で作成されたkammicエネルギー(gandhabbaのこと)であり、ほんの少しのsuddhāshtakaからgandhabbaを生み出しました。

suddhāshtaka（物質の最小単位で現代科学の原子より10億倍小さい）がどのようにマインドで作成されるかについてのこの基本的なメカニズムは

リンク先の色rūpaと色蘊rūpakkhandhaで説明しています。

さらに、abhinnā （神通）パワーを持つものは、jhānā（具体的にはjhāna samāpatti第９禅定）によってjavana cittaのkammaパワーを強化し、直接物質を作成することもできるとされています。

この機能強化は、光を放つ通常のランプと、金属を突き破ることができる強い光を放つレーザーとの違いほどありと喩えられます。

仏法（三蔵）を深く掘り下げていくと、「超自然的」に見えるいくつかの現象（マインドのエネルギーを使って物質を作るような）についても記述されています。

人間のgandhabbaは、人間のbhavaのkammicエネルギーがなくなり、別の存在（deva、動物など）で生まれる前に、何度もヒトの体として生まれることがあります。

その間ずっと、ヒトのgandhabbaは1つの体から他の体へと移動し、para loka（冥界、あの世）で「連続する人体の間」で時間を過ごしています。

para lokaとantarā bhavaとの関係性は？

潜在意識という識viññāna　　　　　 将来の期待がヒトを苦しめる？

vipāka viññānaは、果実をもたらすためにバックグラウンドで待機しています。

表面の下に隠れている多くのタイプがあります。

これらをSigmund Freudは「sub-conscious潜在意識」と呼びました。

たとえば、私たちが散歩しているとき、歩いている道や目的地や行き交う人や風景に考えは集中し続けています。

しかし、「背景に」潜んでいる多くのviññāṇaがあります。

たとえば卵を買いに行こうと想っていたり、本を探そうとしていたり、掃除をしなくてはと想っていたり、旅行を計画したり、友人に連絡をしようと考えたりしているかもしれません。

そのとき、私はそれらのいずれも考えておらず、歩くことに注意を払っていまが、すべての「viññāṇa」はバックグラウンドで働いています。

それらの中には、長い間考えたこともなかったり、自分でも気がついていない「潜在意識」もあることでしょう。

しかし、ちゃんと考えられる「潜在意識」がないのは、心路システムは1つのcittaしかないので、一度に一つの識viññānaしか使えないので、気づかないものを考えることはできませんし、潜在意識は考えられる対象になった地点でもう潜在意識ではなく、表層意識の一部になります。

では、どのようにして多くのviññāṇaがバックグラウンドに潜んでいるのでしょうか？

特定の対象に付着する（固執する）ことで、cetanā（意思、意志volition,will） cetasikaは純粋なcittaを９のステップを通して「汚染された」viññaaステージにまで、記憶、習慣（gati）、渇望（āsavā）を特定のcittaに組み込み「変換」して すべてをまとめます。

そして、同じことを繰り返し行うほど、その特定のイベントにつながるkamma viññāṇaは育まれます。

たとえば、飲酒を開始すると、「飲酒するviññāṇa」が作られ、飲酒するほどにviññāṇaは強く大きくなります。

これを何度も繰り返す行為がviññāṇaを育てる栄養になります。

つまり、viññāṇaに繰り返し栄養を与えることによって習慣が形成されていきます。

特定のviññāṇaがマインドに心地よいとき、そのviññāṇaは頻繁に栄養を得ようとします。

飲酒する習慣をもし持っているならば、あらゆる可能性のある機会に「飲酒するviññāṇa」が休んでいた鎌首をもたげます。

たとえば、飲酒の広告を見た場合、それは潜在意識にあった飲酒の好み、すなわちviññāṇaの引き金をひくことになります。

好みだけではなく、嫌いなことで確立されたviññāṇaでも同じように機能します。

たとえば、過去にひどいことされた場合、その人の名前を聞くだけで、そのviññāṇaがよみがえります。

これが、私たちが好きなものにも嫌いなものにも「付着（taṇhā）」する理由であり、taṇhā（貪欲または憎悪によって結びつく）の意味です。

すべてのviññāṇaがバック・グラウンドで蓄積し続けているわけではありません。

これらの弱いものは、特に栄養を摂食されない場合、減少して消えます。

たとえば、離れたところにある噂のラーメン屋に行く計画をしていて、そのための有給休暇を取る準備をしていたとしましょう。準備を重ね、そこに行く考えが増えると、それらは「そこで食べるviññāṇaのための栄養物」であり、成長を続けます。その店だけではなく、その周辺の情報や関連記事が自然と目に入り、すぐに読みはじめるでしょう。しかし、その店に行く前に、そこが火災になって廃業したというニュースがあれば、その訪問を諦め、休暇もキャンセルします。その店に行く計画を立てることもできないので、マインドは興味をなくし、「その店で食べる」というviññāṇaは栄養（燃料）がなくなり、すぐに消えてなくなるでしょう。

このように「viññāṇaを養う」すなわち、習慣を強くしたりするのには、実際の物理的な行動をする必要さえありません。

たとえば、練習を視覚化し、マインドでボールを捕ったりパスするコツを説明する映像を見るだけで、バスケットボールの試合を改善できることを示す研究があります。

これらは「manō sañcetanā（cognition； intention）マインド認知」と呼ばれます。

特定のタスクに注意を集中させることは非常に力があります。

頻繁に「栄養」を得ることで、そのviññāṇaは急成長するので、各自の生活に大きく影響します。

本人に習慣がなくても、定期的に飲酒する人との関わりを始めると、頻繁に飲むことになり、そのviññāṇaが栄養を取り続けるので、それは自分のviññāṇaとして育まれます。

ビルドアップされたviññāṇaは、習慣（gati）を形成する可能性があります。

習慣と性向すなわちgatiが強くなると、おそらく2つの方法で次の来世の人生に引き継がれます。

ヒトが死亡し、「人間のbhava」にエネルギーが残っている場合は、ヒトとして生まれ変わり、以前のほとんどのgatiがそのまま継続します。

本当に強い習慣があれば、死の瞬間に「patisandhi（転生） viññāṇa」につながり、その特定のgatiに対応する「bhava」につながる可能性があります。

たとえば、非常に貪欲な人は、死にかけている瞬間に「peta餓鬼 bhava」を取得し、「peta」すなわち餓鬼（空腹の幽霊）として生まれることがあります。

このようにviññāṇaは多くの側面や複数の層があるので、単純なものではありません。

viññāṇaは「気づき」や「意識」だけではありません。

viññāṇaには「希望と夢」だけでなく、「好き、嫌い、習慣」もあります。

「潜在意識」も含まれます。

これらは、52のcetasikā（心所）の複雑な組み合わせです。

すべてのcetasikāが特定のcittaや思考に関与しているわけではありません。

Sobhana（良い）cetasikāは、特定のcittaでasobhana（悪い）cetasikāでは発生しません。

認識システム　　　物質界とメンタル界

Cetasikā（メンタル要因）がcitta（意、想い、思い、思考）の性質を決定する

想い（citta）は、特定の思考対象物（ārammana）に基づいて発生します。

たとえば、車の購入や散歩について考えます。

一度に1つのcittaしか発生しませんが、それぞれの持続時間は10億分の1秒未満です。

Cittā（複数形のcitta）は非常に早い速度で流れます。私たちは個々のcittaを経験していませんが、1秒間に発生する数十億のcittaの全体的な影響を経験しています。

各cittaには多くのcetasika（メンタル要因）が含まれており、重要なsaññā, phassa, manasikāra cetasikaなどがあります。

次に、cittaの「質」を表す「良い」および「悪い」cetasikaがあります。

誰かが怒っているとき、その時のほとんどのcittāは怒り/憎しみというdōsaの cetasikaを持ちます。

同じ人が腹を空かしている人に食事を与えている時、その人のCittāは一時的に慈悲すなわち愛情深いcetasikaを持つことになるでしょう。

良いcetasikaと悪いcetasikaは混ざりません。つまり、良い考えか悪い考えのどちらかです。

想い、思い、思考は本当に複雑な実体であり、10億分の1秒以内に9つの段階を経ます。

それはviññāṇaまたはviññāṇakkhandhaで終わります。

viññāṇaとは「想い」の全体的な経験のことで、cittā のcetasikāによってカタチになります。

1つの心路citta vithiでviññāṇaを体験することはありません。

平均で何百万または何十億ものcittāによってviññāṇaを体験しています。

これらの束になっているもの、すなわち堆積したものを、パーリ語でkhandhaと呼ばれます。

したがって、私たちが経験と呼ぶものは、viññāṇakkhandhaすなわちcittāの堆積している束の全体的な結果です。

gatiとāsavā (āsavaの複数形)は、それぞれのcittaに現れない場合があります。

それらは休眠状態にあり、「トリガー（６境）」が現れるのを待っています。

たとえば、美味しい料理や魅力的な人を見るときのように、「楽しい思考の対象」にスポットライトが当たった場合にのみ、貪欲な思考が生じます。

したがって、私たちの考え方（viññāṇa）は、私たちのgati（習慣/性格）とāsavā（渇望）および特定の「思考対象に依存します。

もちろん、私たちは特定のgatiとāsavāを取り除き、新しいものを育成することができます。

ĀnāpānaとSatipaṭṭhāna瞑想の主な目的は、悪いgatiとāsavāを取り除き、良いgatiを育むことです。

物質界での認識プロセス

頭部にある物理的なセンサーである目、耳、鼻、舌と神経系を介して触覚が察知した信号は脳に伝えられます。

視覚について詳細に見てみると、たとえば対象物がサッカーボールであった場合、信号は形の色と動いている方向とスピードは別の信号して入力され、脳内でこれらの情報が統合され、たとえば、こちらに素早く向かってくるスピンがかかっているボールだという情報になります。

これらのプロセスは、「mana　indriyaマインドの感覚器官」で行われると三蔵ではしています。

物質界では、物理的因果関係kamma vipakaのルールの中で成り立っているが、動物はヒトに比べてて観念化して未来予測をする能力が洗練されていないので、ヒトのように因果法則をコントロールして、未来に起こることを避けたり、希望する方向に事態を導く能力が乏しいのです。

対して、ヒトはこの物質界の情報をメンタル界に送って、対策を練ることができます。

メンタル界での認識プロセス

物質である五感覚器官を使用して外界と体内感覚を経験し、これを処理する過程を見てみます。

目、耳、鼻、舌、身体の5つの物理的感覚器官によって感覚データは収集されます。

その後、それらは中枢神経系を介して脳に10ミリ秒単位のパケット信号として伝達されます。

脳では、特定の時間間隔（約10ミリ秒）でデータが処理され、それらは「光線システム」であるkiranaによって電磁波に変換されて、肉体（物質としての身体）の電気信号はメンタル界のmana indriyaからエネルギー体（manomaya kaya）の扉であるhadaya vatthu とその周りにある5つのpasāda rupa（cakkhu目、sota耳、jivha舌、gandha鼻、kaya身体）へ送られます。

この５つのpasāda（澄明な） rupa（電磁波エネルギー）とは色、音、味、香、感触の物質的データを電磁波に変換されたものです。

この電磁波がマインドの「場」を振動させることで、一連の17ステップのマインドのはたらきが実行されるとしています。

hadaya vatthu とpasāda rupaのどちらも微細なエネルギー体なので目には見えませんが、場所は肉体の心臓に重なった所に位置されているとされています。

三蔵　パーリ語	日本語訳	内容の説明	機能	粒子と波動
ārammaṇa	対象	対象物	実体としての仮設	物質
ṣaḍ viṣaya梵　 dhammārammaṇa	六境　六外処 五境 法所縁	色声香味触法 色声香味触 法　微細エネルギー	感覚信号 微細エネルギー	物質
kirana	作業場	光線システム	電磁波に変換	物質→波動
mana indriya	マインドの機能 dhammāの知覚器官	知るという機能	データ処理して 差異を認識	メンタル界
pasāda	澄浄な信号	電磁波受信	受信と振動	エネルギー体
hadaya vatthu	マインドの「場」	マインドの入り口	17回の振動	エネルギー体
17　citta vithi	17段階の心路	17の心のステップ	知るはたらき	エネルギー体

マインドの認識メカニズムと時間

マインドで起きていることは、映画を見ているときに起こることに似ています。

映画を見ているときにスクリーンに映る動きは自然に見えますが、実際には、プロジェクターが静的なフィルムを毎秒24フレームの速度でスクリーンに投影しています。

ヒトは40ミリ秒ごとに静止画像（１フレーム）を見ると、そららは連続している同じものと認識することになります。

同様に、私たちのマインドは、聞いて、嗅いで、味わって、触れている短い情報の連続を「同じ」ものとして知覚します。

しかし、実際には、各感覚のイベントはほんの一瞬で「同じ」ものではありません。

脳から送信される10ミリ秒の一塊の各「情報パケット」を、一連である17の心（マインド）cittaのセットである心路citta vithiで処理することで、認識することができるようになります。　　　

心路については後述しています。

この17ステップのうちの7つだけが実際の認識（視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚）に関わり、その７つのうちの1つから３つだけが実際の認識そのものであり、それに費やされる時間は10億分の1秒というほんの瞬間です。

科学の時間と三蔵の時間

MITの発見では、身体が感覚データを取得するのに必要な最小時間は約13ミリ秒であるとされています。

Detecting meaning in RSVP at 13 ms per picture

これが脳による処理速度です。

次に三蔵では、

mana indriyaの情報パケットは電磁波に変換され、メンタル界のエネルギー体であるマインドの「場」（hadaya vatthu）に直接送信される、としています。

そしてマインドは、送信された情報を10⁻⁹ 秒（10億分の1秒）単位であるnanosecondで処理します。

脳の処理は10ミリ秒のスケールなので、マインドの速度より1000倍遅いことになります。

これは、「感知速度」は、比較すると遅い脳の処理速度によって制限されており、マインドは常時「脳からのデータを待っている」状態になっていることを意味します。

　

以上の説明は三蔵に記述されたものを現代語訳したものですが、三蔵では瞬間を刹那として表し、具体的な秒数は記述されていないので、現代科学では各情報パケットの単位が約10ミリ秒であると推定されているので、それを基準にして、具体的な数字に置き換えています。

現代科学では、認識のすべては脳内で行なわれていると考えるのが主流派であり、脳＝マインドを前提にしているのに対して、三蔵の立場は、マインドが（メンタル界の）エネルギー体であり、その機能や構造やシステムを科学は認識できていないと考えています。

たとえば、眼球からのデータを脳にノンストップで送信し続けていると想定すると、この感覚データを取得する時間は約10ミリ秒とされるので、1秒に約100個の「データパケット」が脳で処理されていることになります。

１秒＝1000ミリ秒（ms）　　　　　　　　　映画の１フレームは約40ミリ秒（1000／24）

心の働きCittaのプロセス　　　心路citta vithiと呼ばれる17ステップ,

色が眼に触れてからの心の生滅の順番　　　眼門の極大所縁路

1	Atīta Bhavanga	過	以前の有分心Bhavanga　　　　「生命相続流」（life　continuum） 現在の対象を認知しない状態　　完全に寝ている状態　　　　潜在意識ではない
2	Bhavanga Calana	動	振動する Bhavanga 動揺してなんとなく弱くなり始めた状態　「有分動揺」という
3	Bhavanga Upaccheda	捨	捕獲された Bhavanga 有分心がもう結構弱くなった状態。 有分心が捨てられ、捨断される。（「有分捨断」
4	Pancadvaravajjana	五	感覚の扉Sense-door adverting 意識　 「目が覚めた」という状態に。「五門引転心」という vipāka viññāna の生起
5	Cakku Vinnana	眼	目の知覚eye-door perceiving　　　　眼識 ５感覚器官意識の１つだけ
6	Sampaticchana	領	心が目に移動して、その反応のコピーを受ける意識　　領受心
7	Santīrana	推	調査する意識　　　推度心　　　「これはどんな振動かなあと推度する
8	Vottapana	確	決定する意識　　「推度した、この直前の心（推度心）」を確定する 「見たもの」を確定するのではありません。
9	Javana	速	kamma viññānの生起 同じ振動が七回起きる速行心
10	Javana		自分勝手に推度したものについて、すぐ感情が走ってしまう ここで善行為か悪行為かに分かれる
11	Javana
12	Javana		最大のエネルギー転照
13	Javana
14	Javana
15	Javana		kamma viññānの消滅
16	Tadarammana	彼	意識の登録　　　彼所縁心は「味わい」のようなもの
17	Tadarammana		意識の登録　　異熟心なのでvipāka viññānaなのか？ どこに登録するのか？

いつ「見えた」のか？

認識の一セットが終わったら、かならず有分心になります。
第一心刹那で、対象の「もの」が生まれて、
第十七刹那でその「もの」は死んでいきます。

こういう十七心刹那のセットが何億回も生まれて、やっと「あ、花が見えました」という認識が出てきます。

一心刹那＝一兆分の一弾指

「ない」ものを見る？

生の瞬間は見えません。住のときは見えます。滅のときはまた見えません。
生か滅のときは、心は有分心なので何も気づかない。
ヴィパッサナー瞑想をすると、
「見ている『もの』はずっとそこにあるのではない」という事実に気づく。
現象は生まれては消えるものだと気づく。

Javana Cittaでkamma viññānの生起が何度（10回ほど）も繰り返さることで執着tanhaが発生する。

vipāka viññānaはコントロールできないが、

kamma viññānaは自動反応回路である sankhāraを制御することによって間接的にコントロールすることができる。

このkamma viññānaは必ずmanō vipāka viññānaをはじめに経由する。

そこでアーナパーナ瞑想とサティパッターナ瞑想を通して、勝手に生起してしまうmanō sankhāra の動きに常に気づいていることで、このmanō sankhāraが休むことなく生成し続ける vaci sankhāraと kāya sankhāra を制御することができようになる。

坐る瞑想によって、話すことも動くこともしないので、意識的な言語やイメージ思考vaci sankhāraをコントロールすることだけはできる。

しかしそれ以外の時間は、私たち自身が意図的に生起させているvaci sankhāra と kāya sankhāra（意識的思考、言語、行動）が「因果の種」を作り続けるのをコントロールする必要がある。

心（マインド）が対象物に触れると、そこにエネルギーが発生する。

このエネルギーがdhammā (Dhamma rupa、記憶, 「因果の種」kamma beejaカルマの種)であり、これらは「エネルギーの容れ物であるkamma bhavaに積み重ねるように記録される。　

このdhammāとは複数形でBuddha Dhamma宇宙の法則ではない。これらは心が生み出したエネルギーである。

dhammāとは「生み出す」という意味でこのdhammāによってすべてのものが生起するという意味である。

そして未来にこのdhammā (Dhamma rupa　　記録、記憶、 「因果の種」など)がメンタル器官mana indriyaと再び接触することを機会をきっかけとして、同じプロセスが再度となく繰り返される。

そしてその度にkamma viññānaは強くなっていく。

そしてこのkamma viññānaが強くなる度に、nāmarūpaもであるdhammāの量と質は大きくなる。

このnāmarūpaはマインドによって作られ、これが物質rūpaに生成される一番はじめの段階になる。

この物質化のプロセスにおいてkamma viññānaが媒体の役割を果たす。

法句経の

“manō pubbangama dhammā…”. とは

心（マインド）がkamma viññānaを媒体としてdhammāを生みだすということを表している。

これは、私たちが貪瞋痴の状態の時には、たんなるindriya（感覚器官の機能　　眼とは見る機能）が対象を求めるāyatana（感覚意識サーチ機能　眼とは見る意識の入力先）となり、見ることを主体がコントロールしていたのが、平常心を失うことで、見る機能に逆にコントロールされてしまい、新しい因果の種を生成してしまう。

DHAMMAPADA　　 Verse 1 & 2　　法句経

DHAMMAPADA
Mano pubbangamā dhammā manosetthā manomayā Manasā ce padutthena bhāsati vā karoti vā Tato nam dukkhamanveti cakkam’va vahato padam	ものごとは心にもとづき、 心を主とし、 心によってつくり出される。 もしも汚れた心で話したり行なったりするならば、苦しみはその人につき従う。 車をひく（牛）の足跡に車輪がついて行くように。
mano 　　mind pubbangama preceding; coming before dhammā states (of existence) manosettha led by the mind manomaya produced by mind manasa[ Adj. ] having a mind padutthena with wickedness bhāsati (he) speaks vā or karoti(he) acts tato nam because of that dukkhamanveti suffering follows one cakkam [eva] [ just as ] the wheel vahato leading padam foot [here meaning the hoof of an ox ]	Mind is the forerunner of all states. Mind is chief; mind-made are they. If one speaks or acts with wicked mind, because of that, suffering follows one, even as the wheel follows the hoof of the draught-ox. All phenomena have mind as their forerunner; they all are mind-made.  If one speaks or acts with an evil mind (i.e., engages in dasa akusala), then suffering (dukha) will follow just as the wheels of a cart follow the footsteps of the ox that is pulling the cart
Mano pubbangamā dhammā manosetthā manomayā Manasā ce pasannena bhāsati vā karoti vā Tato nam sukhamanveti chāyā’va anapāyinī	ものごとは心にもとづき、 心を主とし、 心によってつくり出される。 もしも清らかな心で話したり行なうならば、 苦しみはその人につき従う。 ——影がそのからだから離れないように。 意（おもい）は諸法（すべて）にさき立ち 諸法（すべて）は意（おもい）に成る 意（おもい）こそは諸法（すべて）を統（す）ぶ きよらなる意（おもい）にて、かたり、行わば 形に影のそうごとく　たのしみ彼にしたがわん （友松圓諦訳）
pasannena with clear, bright, pious (mind) sukhamanveti happiness follows one chāyā [eva] [ just as ] shadow anapāyinī(that) does not leave	Mind is the forerunner of all states. Mind is chief; mind-made are they. If one speaks or acts with pure mind, because of that, happiness follows one, even as one’s shadow that never leaves.

この二節にブッダの根本的な考え方が説かれている。

マインドが全てのものに先立ち、この全世界はマインドによって作られ、すべての基礎はマインドだ、と説いている。

マインドが生み出したdhammā　によってこの世のすべての現象が生起されている、と説いているのである。

そして、このdhammāは思考(saṅkhāra.) がマインドの働きに関わることでが生起（創造）されていると。

これらは

貪瞋痴によって影響を受けたマインドで、思考・言語・行動した場合には、渇望の世界で生きることを繰り返し、苦悩が続くことを示している。

意識viññānaのプロセス

Cittaからviññānakkhandhaへ　　　　　　9段階の思考プロセスもしくは、9段階の汚染

　

cittaの「土台」

cittaには7つの普遍的なcētasikaがあります。

cittaとcētasikaの関係は、透明な純粋と絵の具のようなものです。

透明なcittaにいろいろなcētasikaが入ってマインドはカタチになります。

基本的な絵の具は、Phassa（接触）、saññā（知覚）、vēdanā（感情）、cētanā（意図）、ekaggata（一点性）、jivitindriya（生命機能）、manasikāra（記憶）の７つです。

manasikāraとsaññā cetasikaは、過去のすべての記憶、習慣（gati）、および渇望（āsavā）を特定のcittaに組み込むことができます。

「すべてをまとめる」のはcetanā(意思volition) cetasikaです。

それはすべて10億分の1秒以内に起こります。

これが、純粋なcittaの「土台」であり、どのcittaも10億分の1秒しか持続しません。

そして、その短い時間の間に、他の多くのcētasika（良いものも悪いものも）がcittaに組み込まれます。しかし、他のcētasikaが組み込まれていない単純なケースを考えてみましょう。

９の段階　　　　母親に会う例　　　　　cittaの汚染のプロセスは、Pabhassara Sutta (AN 1.51)

citta 　　　　　　　　　　　　　　人がそこにいるという認識

manō　　　　 基準点をつくる　　　　　　その人は女性であることがわかります

mānasan 　　　追加情報（個人情報）　　その人は自分の母親である

　　　　　　　　　　　　　　　　　

アラハンはここまで、これ先の過程には進まない。

悪いgati、āsāvas、anusayaを減らし、最後に取り除くことによってのみ実行できます。

Karaṇīya Mettā Sutta Khuddakapāṭha　9. Mettasuttaでこの解放について示唆されている。

hadayan, 「ハートに近い」かどうか　　　母親に付帯しているvēdanāとタグ

pandaran, 「パワーを追加する」　　　　愛した想い出を繰り返しさらに愛着を深める。

manō manāyatanam,

mana indriyam (or manindriyam)　　　　　manasikāra cētasikaによって自動的に行われます

viññāna, 、　　　　　anusaya、āsāvas、gatiのために非常に汚染されたcitta

viññānakkhandha　　　11種類のviññānaを含むviññānakkhandhaの一部になります。

11種類とは過去、現在、未来、近、遠、繊細（sukuma）、粗雑（ōlārika）、好き（paneeta）、嫌い（appaneeta）、内部（ajjatta） ）、外部（bahidda）

nusaya、āsāvas、gatiだけでなく、過去の記憶や将来の希望なども取り入れています。

母親に会う例を考えてみます。

最初のcitta段階では、人がそこにいるという認識しかありません。

次の「manō」のステップ（「他の人に対して尊敬をもって目盛りを決める、測定する、基準点をつくる」を意味します、するとその人は女性であることがわかります。

「mānasan」の第3段階では、「san」が登場し、追加情報（個人情報）が組み込まれます。ここでは、その人は自分の母親であるとします。

ところで、私たちは少なくともcittaの「mānasan」段階に到達しない限り、この世界に生きることはできません。そうしないと、群衆の中で特定の人を区別できなくなります。

cittaの実際の汚染は次の段階、の「hadayan」から始まります。

hadayanとは、その人が「ハートに近い」かdukha、そして近づきたいか、もしくは離れたいかをを識別することを意味します。

この例では、「自分の母親」として識別し、もちろんそれに付帯して対応しているvēdanāも発生します。

ここでのポイントは、悪いgati（単にavijjāとも呼ばれる、相互に関連するanusaya、āsāvasなど）がある限り、思考が生じると汚染されるということです。

したがって、思考が生じたときに制御することはできません。

cittaは想像を絶する速さ（10億分の1秒）で作動しているので、viññānaの段階ではすでに汚染されます。

釈尊は、cittaは世界最速の存在だと言っています。出典？

私たちが本当に経験するのはviññānakkhandha ですが、「思考」をcittaと大まかに呼んでいます）。

汚れを減らすために私たちができることは、Dhammaを学び、次にAnāpāna（呼吸瞑想ではない）とSatipatthāna瞑想を実践することで、avijjā（gati、āsava、anusayaのすべてに関連した実体）を減らすことです。

上座部仏教の９段階のcitta（心）

上座部仏教	内容	説明	サーンキヤ派	意識
citta	知る機能	白いキャンバス	prakrit 根本空	根本意識 真空意識
manō	全体像を把握	全体性機能　paññā	chitta心素	全体性意識
mānasam	分割して「知る」根源状態	阿羅漢はこの段階までしか認識しない	buddhi 理智	分別意識
hadayaṃ	自我認識 私の・・・	私という枠組みの内と外 saññāの生成と執着が始まる	ahaṇkāra 我執	枠組意識
paṇḍaraṃ	エネルギー増大	bhūtaレベルの微細要素を認識 執着に多くのエネルギーを割当てる	jñānendriya 微細知覚器官	直観意識
manōmanāyatanam	±のタグが付加	対象に受容的or反発的or中立な心	manas意思	近遠意識
mānaindriyam	意識エネルギー	対象に対する執着の力が強化する	karmendriya 微細運動器官	運動意識
viññāna	分割された智慧 日常の認識	智慧が除去された部分的認識と統合 世俗的な欲求・渇望	jīva 個我	統合意識
viññākkhandō	思考、記憶、空想	愛着を強め、現状を評価し、将来への新しい希望と計画のパターン認識	tanmātrā 微細元素	回路意識

上座部仏教の論蔵にある9段階のcittaの変化プロセスも宇宙コスモロジーに対応して説明できるとおもいます。

citta、manō、mānasam、hadayaṃ、paṇḍaraṃ、manōmanāyatanam、mānaindriyam、viññāna、viññākkhandō

次に地球における個体の生命体では

真我purusha（ātman）によって

根本自性prakritiは内部の3徳性gunaのバランスが崩れることで、

善性sattwaからは心素chitta、

動性jajasからは理智buddhi、

暗性tamasからは我執ahamkāraが生じ、

我執ahamkāraにも3徳性があるので

善性我執からは微細知覚器官jñānendriya

善・動性我執からは意思manas

動性我執からは微細運動器官karmendriya

暗性我執からは微細元素tanmātrā

微細元素tanmātrāからは粗雑元素bhūta

最後に地球元素に内在して生物になった。

これを発生した意識の順序に並べ、現代用語での表現を試みると

真我puruṣa（ātman）	真我意識	観照するだけだが、唯一の実体
根本prakrit 空prakriti （sattwa、jajas、tamas）	根本意識 真空意識	定まったカタチはなくdhammāエネルギーの塊 ３つの徳性のバランスが崩れるとカタチが創出する
心素chitta	全体性意識	善性　より微細なモノに抽象度を上げる機能をもつ
理智buddhi	分別意識	動性　　知を使って１を２にする機能
我執ahamkāra	枠組意識	暗性　　　具象化することで抽象度を下げる dhammāの塊がgatiが構成される
微細知覚器官 jñānendriya	直観意識	微細エネルギーのレベルで差異を知覚する　　　 視覚と聴覚のみで、嗅覚、味覚、触覚はない
意思manas	近遠意識	対象に対する感覚に±or中立のタグを貼る ２つをつなげるために共通点にスポットライトを当てる
微細運動器官 karmendriya	運動意識	微細エネルギーと身体の連動を体感
個我jīva	統合意識	アイデンティ 分類したものをまとめてあげて統合する
微細元素tanmātrā 　　　　　　　 仏教でいうbhūtaのレベル	回路意識	パターン認識するアプリを作成する
粗雑元素 　　　　　　　 rūpaの中の細かいdhātu	概念意識	一般化、概念化、シンボル化する
物質rūpaの中の粗いdhātu　 五感覚器官の信号が基盤	自我意識	差異にスポットライトを当てる５感覚器官と心による認識手段
他者の意識をも信号に含有	自己意識	他者を含めた「自分」を主体として、感覚器官を通じて外界からの信号を認識する子供の意識

苦しみを与えるものと離脱　　

viññānaとは汚されたcittaのこと

Digha Nikaya（経蔵長部） のKevaṭṭa Sutta (DN 11)の有名な句、

“Viññāṇaṃ anidassanaṃ anantaṃ sabbatō pabhaṃ..”

ここで、「anidassanaṃ」は「見えない」という意味です。

Viññānaは単なるnāma dhammā（メンタルの現象）ではなく、kammaのエネルギーを持っています。

しかし、それは「目に見えるrūpa」よりも微細です。

そして、「ananta」の意味は無限なのでviññāna dhatuは無限ということです。

「sabbatō」は「あらゆる意味で/すべてのため」を意味します。

「pabha」は「繰り返されるbhava」を意味します。

したがって、上記の句は、

「Viññānaは目に見えず、無限であり、すべての人の転生プロセスにつながる」

を意味しています。

VIPĀKA viññānaと kamma viññānaをもう一度、別の角度から見ていきます。

VIPĀKA viññānaとは生得からある（ア・プリオリの）意識のことで、すぐに意図が加わり（汚染されてしまって）、 kamma viññānaになる。

kamma viññānaとは学習することでパターン化された意識のこと。

viññānaとは汚されたcittaであり、私たちは皆、純粋なcittaではなく、viññānaを経験しています。

もっと正確にいうと、発生したviññānakkhandha (五蘊のviññāna）です。

普段はcittaのことを「想いや思考」と大ざっぱに呼んでいます。

解脱した者でさえ、純粋なcittaが維持されることはなく、3段階目の「mānasan」の汚れた状態を毎秒ごとに経験しています。

アラハンは悪いgati、āsāvas、anusayaを取り除き、cittaに「mānasan」の段階を超えて汚染させないことにより、転生プロセスを停止しています。

これはKaraniyamatta Suttaに記載されています。

パーリ語	コップの中の喩え	内容	具体的
kilesa	泥（土と水）菌類、コップ	無明	本能
asava	底に沈んでいる発酵体	貪瞋痴	貪欲・怒り
anusaya	底から表面に向かう水泡	渇望・嫌悪	欲望・願望
gati	表面に浮かんでいるアブク	性向	性格・習慣

すべてのcittaが同じように汚染されるわけではありません。

cittaは、6つの感覚機能の1つが感覚的に接触したときにプロセスが作動するので、cittaの汚染レベルは、その感覚入力が何であるかに依っています。

心の汚れや汚染という表現を使っていますが、これはマインドに付着しているcetasika（メンタル要因である　心所）の量と質がある状態のことを意味しています。

マインドが最も純粋である時のpabhassara cittaは「いのち」のことなので、付着したcetasikaに「生命を吹き込む」すなわちエネルギーを与えるので、cetasikaが活性化した状態なることを汚れといっています。

ですから、cetasikaが良いか悪いかに関わらず固執することによって汚れは増しますし、

悪いcetasikaならば自分だけではなく周囲の意識体のマインドも荒たてるので汚れが大きいことになります。

汚染の強弱を測る一つは自分の心の穏やかさ具合が基準になります。またそれに対応する呼吸、心拍、血圧の変動率も数値的な目安になります。

マインドは純粋なcittaが汚染されたviññāṇaに変化するプロセスが行われる「場」のことを意味するので、

マインドの中をみてみるとそこには、９段階の意識の変化があることがわかります。

citta、mano、manasan、hadayaṃ、pandaran、mana indriyan、manayatan、viññāṇa、viññāṇakkhandhö。

の９つのステップでcittaにcetasikaが付着します。

上記の順番にしたがって、ヒトの各citta（10億分の1秒しか存在しない）は、８段階において汚染されています。その後に、viññāṇakkhandhaに追加されます。

kamma viññāṇaとは汚染されたcittaのことです。それらは「saṅkhāra paccayā viññāṇa」を介して発生します。しかし、vipāka viññāṇaは単なる意識または「気づき」です。

cittaの汚染は、saññāとvēdanāに現れます。つまり汚染具合によって作成されるsaññāとvēdanāが異なるということです。

たとえば、おいしい料理を味わったり、魅力的なものを見たりすると、貪欲な考えが生じることがあります。

しかし、特定の対象物に対して私たち全員が同じ欲求を持っているわけではありません。

ある人が切望している料理や素材が、他の人にとっては嫌われている可能性があります。

たとえば納豆やドリアンのように。

また他の例えでは、ある人は一部の人には好かれても、他の人には嫌われるかもしれません。

保守やリベラルの団体の党首のように。

そして実際には嫌いな納豆が目の前にあったとしてもcittaが汚染されるわけではありません。

なぜならば同時に他にも多くの信号（情報）が周囲にあるので、納豆にスポットライトを固定させる必然性がないからです。

電車に乗って窓から通り過ぎる何十億の視覚対象物があっても、それは流れる風景としてとらえられていれば、9段階のうちの４段階目以降の汚染はありません。

次々と数十億のcittaが頭の中を流れていくので、そのレベルまでしか汚染されません。

しかし、人目を引く物体を見る（スポットライトを当てる）と、汚染のレベルはより強くなります。

赤ちゃんに生じるcittaがpabhassara citta、つまり純粋なcittaであると思っている人がいますが、それは間違いです。

赤ちゃんの脳は発達していないため、私たちのように世界を体験することはできず、自分自身を表現することもできません。

まだ成長していないので悪行をしないので、純粋な精神であると考えているようです。

しかし、anusaya（たとえば貪瞋痴）があるために赤ちゃんのcittaも汚染されています。

anusayaは、乳児、動物、ブラーフマ（色界や無色界の意識体、別称カミガミ）、などあらゆる意識体であっても、常に持っています。

magga phala（実のある道、具体的には預流果から阿羅漢に至る道）に到達してはじめて、各自のanusaya（およびāsāvasとsamyojana（足枷））の一部が永久に除去されます。

Sōtapannaの思考は、一定レベルの汚染を超えては汚されません。ですから、Sōtapannaはapāyasの再生につながる強力なakusala cittaを確かに生成しません。

Anāgāmiステージに到達すると、すべてのkāmāsava（kāmā āsava）は取り除かれているため、kāma lōka（欲界）は粗雑なrūpaであるdhātuで構成されているので、それで作成された対象物は粗い官能的しか持たないので、誘惑されることはありません。

したがって、Anāgāmiはkāma lōka（4つのapāyas、人間界、6つのdēva界）のどこでも生まれ変わりません。

Arahantステージに到達すると、すべてのavijjā（およびすべての悪いgati、anusaya、āsavaなど）が取り除かれています。

Arahant は4番目のNibbānaに到達したため、31領域のどこにも再生することはありません。

将来への「期待」

将来への「期待」は、汚れた意識すなわちViññāṇaだといいます。

それが、「転生プロセスの持続」を担う「カルマのエネルギー」だというのです。

どういうことなのでしょうか？

私たちは想い、話し、行動することで、（abhi）sankhāraを非常に簡単に、喜んで作り出しています。

「avijjā paccayā sankhāra」によって（abhi）sankhāraを喜んで生成し、それが「sankhāra paccayā viññāna」の段階ではさまざまな種類のViññāṇaの育成につながっています。

縁起Paticca Samuppādaサイクルが始まるのはそのためです。

それらは結局、「jāti paccayājara、marana、soka、parideva、dukkha、..」すべての苦しみになってしまいます。

したがって、「avijjā paccayā sankhāra」および「sankhāra paccayā viññāna」は、すべての将来の苦しみにつながります。

「単なる意識」と呼ぶことができる、つまり「将来の期待」がない、5種類のViññāṇaがあります。

これらとは、5つの物理的な感覚入力に対するcakkhu viñññna（見ること）sōta viññāna（聞くこと）などです。

５身体感覚を介する感覚入力に加えて、マインドへの直接の感覚入力もあります。

これらは頭に浮かぶ「過去の記憶と将来の希望」のことで、これがmanō viññānaです。

理由もなくマインドに浮かび上がってきたように見えますが、過去の記憶がマインドと直接に接触することによっても起こります。

このプロセスは“manañca paṭicca dhammē ca uppajjati manōviññāṇaṃ“、つまり

mana indriya（マインドの器官）がdhammā（すなわち過去の記憶のエネルギー）を感知したときに、マインドの意識が発生するという意味です。

これが過去の出来事や将来の期待を想起するということです。

したがって、マインドは6種類の「感覚入力」を「受け取る」ことができます。

つまり、マインドはこれらの6種類の感覚イベントを「認識」すなわち「意識する」ようになります。

それらに基づいて、マインドは「行動を起こす」かもしれません（さらに考える、話す、または体を使って行動します）。

それらはvaci sankhāra（考える回路）とkāya sankhāra（行動する回路）と呼ばれています。

次に、それらのsankhāraは、縁起Paticca Samuppāda（PS）プロセスによって、汚された想い、すなわち「汚されたViññāṇa」に発展していきます。

そのような「汚されたViññāṇa」は、無明からはじまるPSプロセスを介してのみ発生することになります。

そして、それはマインドがその感覚入力（魅力的な人物、心地よい音、おいしい食べ物、いい香り、心地よいタッチ、または重要な過去のイベント（または計画された将来のイベント））に執着している場合にのみ起こります。

「汚れる」というのは、識viññānaは過程の途中で多くのcetasikaが加わった分だけ、基準を純粋なcittaにした場合、cittaに比べて付着したものがある、という意味です。

そしてnibbanaに至るとは、識viññānaから純粋なcittaへの遡及と同意なので、cittaに付着したものを払ったりして掃除していくことでもあるので、涅槃nibbānaへの道を歩む者にとっては、「汚れている」という形容詞を使うことになります。

kamma viññānaはエネルギーを持ち、未来の結果につながるもの（原因）です。

これは良きと悪しきに関わらず将来につながるものですが、nibbanaは過去と未来に付着するものを掃除した時に至れる境地であるので、過去や未来についてつながりを捨てて、ただ「いま・ここ」だけで暮らすことによって体感できるものです。

私たちが何かを喜んで把握するときはいつでも（すなわち何かに執着するときはいつでも）、その行動から生じるすべての結果は原因に類似した性質を持っています。

換言すれば、意図して接すると、同様のbhava（存在）が発生するためです。

縁起PaticcaSamuppāda（PS）の法則によって、pati + iccaが sati +uppādaを導くのです。

すなわち、pati + iccaは「喜んで（向かって）愛着する」ことを意味し、sama +uppādaは「対応する（類似した）存在を生み出す」ことを意味します。

「汚されたViññāṇa」すなわち「将来への期待」がmanō viññāṇaすなわち「マインドの意識」で生じます。

縁起説（PS）で言及されているViññāṇaのことです。

マインドはその力使って、「カルマのエネルギー」すなわちkamma bijaを作成します。

『スッタニパータ』(Sutta Nipata 3.12 Dvayatānupassanāsutta):

には識viññāna（kamma viññāna）こそが苦しみの原因である、と説いてる箇所がある。

パーリ語原文　　単語	訳文
“Yaṃ kiñci dukkhaṃ sambhoti, Sabbaṃ viññāṇapaccayā; Viññāṇassa nirodhena, Natthi dukkhassa sambhavo“.	どのような苦しみが起こったとしても それらのすべては「識」によるためであり、 「識」が消滅すれば、 苦しみの生産はなくなる。
nirodhena　　消滅する Natthi　　　　 [na-atthi] なし，非存 sambhavo　 生産、誕生、原因、根源	Whatever suffering that arises, all that arises due to viññāṇa;  With the not arising of viññāṇa, there is no existence with suffering

また、 中部経典『中阿含経』(Majjhima Nikaya 49)Brahmanimantanika Suttaでは

	訳
Viññāṇaṃ anidassanaṃ anantaṃ sabbato pabhaṃ, taṃ pathaviyā pathavattena ananubhūtaṃ, āpassa āpattena ananubhūtaṃ, tejassa tejattena ananubhūtaṃ, vāyassa vāyattena ananubhūtaṃ, bhūtānaṃ bhūtattena ananubhūtaṃ, devānaṃ devattena ananubhūtaṃ, pajāpatissa pajāpatittena ananubhūtaṃ, brahmānaṃ brahmattena ananubhūtaṃ, ābhassarānaṃ ābhassarattena ananubhūtaṃ, subhakiṇhānaṃ subhakiṇhattena ananubhūtaṃ, vehapphalānaṃ vehapphalattena ananubhūtaṃ, abhibhussa abhibhuttena ananubhūtaṃ, sabbassa sabbattena ananubhūtaṃ.	Viññānaは見ることができず、無限である。 そして全てのものを産み続けるプロセスに導く。 この（純粋でない）viññānaでは本当の patavi土, āpo水, tējo火, vāyo風, bhūta元素, deva神々, pajapti brahma神々の王, abhassara (17)輝き流れる神々, subhakinha (19) 栄光なる輝きの神々, vehapphala (21) 果実の神々 を理解することができない。 すなわちこの世の全てのものをだ。
	“Viññāna is unseen, infinite, and leads to the rebirth process for all. With viññāna (defiled consciousness), one cannot comprehend the real nature of, etc., i.e., everything in this world (sabba)”.

縁起説

“avijjā paccayā saṅkhāra; saṅkhāra paccayā viññāṇa; viññāṇa paccayā nāmarūpa, nāmarūpa paccayā salāyatana, salāyatana paccayā phassō, phassa paccayā vēdanā, vēdanā paccayā taṇhā, taṇhā paccayā upādāna, upādāna paccayā bhavō, bhava paccayā jāti, jāti paccayā jarā, marana, sōka-paridēva-dukkha-dōmanassupāyasā sambhavan’ti”

私たちの日常生活の中で起きている出来事は、6つの感覚から爆撃を受けている、ということだ。

「何かを見逃すかもしれない」と恐れて、感覚が餓えて門を閉めないからである。

これがマインドの「平和」が欠如にしている根本的な原因となる。

あまりにも多くの「好み」を持ってしまい、それらすべての感覚信号に心身のエネルギーと時間を捧げている。

マインドに張り付いているアプリの掃除をしないと、第六感の入力、つまりマインドをオフにすることはできない。

マインドが貪欲、憎しみ、無知（間違ったビジョンすなわちmicchādiṭṭhi）に悩まされている場合、「マインドの安らぎ」が訪れることはない。　

「間違ったビジョン」に導くアプリを徐々に取り除くことによって、安らかな世界に行くことができます。

そうして、マインドに浮かぶさまざまな種類のViññāṇaの数は減っていく、

大事でもないViññāṇaが強く迫り、マインドを拘束している。

それらをオフにするのは簡単ではない。

だが、自分の心の仕組みが分かると、自動的に大掃除が始まり、識viññānaはオフになる。

大切ではないことで何をしようとするのですか？

安らかな心をもたらす考えるべきより良いものがここにあるというのに。

Viññāṇaは転生と苦しみの原因です

Dvayatānupassanāsutta (Sutta Nipata 3.12)

「Yaṁ kiñci dukkhaṁ sambhoti、

Sabbaṁ viññāṇapaccayā;

Viññāṇassa nirodhena、

Natthi dukkhassa sambhavo」。

「どんな苦しみが起こっても、すべてはviññāṇaが原因で起こること。

viññāṇaが発生しなければ、苦しみのある存在はありません。」

Brahmanimantanika Sutta (Majjhima Nikāya 49)

かつてブッダはBaka Brahmāの頭に浮かんでいるものを見ました。

「私の存在は不変で、安定しており、永遠であり、過ぎ去るものではなく、生まれたものではなく、老化したり、死んだり、亡くなったり、出現したりすることもありません。

う苦しみはありません…私はpatavi, apo, tejo, vayo dhatuへの渇望から逃れました。

この存在からのさらなる解放はありません。」

ブッダはBaka Brahmaがkāma lokaでの体験可能な官能的な喜びへのtanha（愛着）がなくなっていることを知っていたので、より高いBrahmaの領域があることを告げた。

「Viññāṇaは目に見えず、無限であり、すべての人の転生プロセスにつながります。viññāṇa（汚れた意識）では、patavi, āpo, tējo, vāyo, bhūta, deva, pajapti brahma（色界１禅定）,abhassara brahma（色界２禅定）, subhakinha brahma（色界３禅定）, vehapphala brahma（色界４禅定）など、つまりこの世(sabba)のすべての本質を理解することはできません」。

31の領域のいずれにも避難所はない

確かにMaha Brahmāは宇宙年齢の4分の1（数十億年）という非常に長い寿命があり、

固形物がないので、病気や体の痛みにさらされません。それで、彼らは彼らのbhavaの終わりまで平和な生活を送っています。ですからBaka Brahmaが肉体を取り除くことによってすべての苦しみを克服したと思ったのは当然のことです。

しかし、bhavaの終わりにはまだapāyāで転生することもあります。

彼らはkāma rāgaを抑圧しただけであり、10のsamyojana（拘束しているもの）のどれも除去していないからです。

• (1) personality-belief (sakkāya-ditthi)　　 self identification views
• (2) sceptical doubt (vicikicchā) 　　　　　　　uncertainty
• (3) clinging to mere rules and ritual (sīlabbata-parāmāsa; s. upādāna) grasping at precepts and practices
• (4) sensuous craving (kāma-rāga) 　　　　sensual passion
• (5) ill-will (vyāpāda) 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　resistance
• (6) craving for fine-material existence (rūpa-rāga)　　 passion for form
• (7) craving for immaterial existence (arūpa-rāga) 　　　passion for formless phenomena
• (8) conceit (māna)
• (9) restlessness (uddhacca)
• (10) ignorance (avijjā) 　unawareness

この事実は苦しみの原因となり、約100年しか存続しないこの体について考えることができます。

自分の肉体を誇りに思うことや、この体を「私のもの」と見なす価値があると感じのは何故でしょう。

これはdiṭṭhiを取り除く1つの方法です。

問題は「自己」があるか、ないかではありません。

「自己」の認識を持つことに価値があると考えるのは賢明なことなのでしょうか？

「自己」の誤った認識は、将来の生活において不道徳な行動と苦しみにつながるだけです。

Viññānaとviññānakkhanda

viññāṇaとは「想い」の全体的な経験のことで、cittā のcetasikāによってカタチになります。

viññāṇakkhandhaはその経験が積み重なっている所です。

1つの心路citta vithiでviññāṇaを体験することはありません。

平均で何百万または何十億ものcittāによってviññāṇaを体験しています。

これらの束になっているもの、すなわち堆積したものを、パーリ語でkhandhaと呼ばれます。

したがって、私たちが経験と呼ぶものは、viññāṇakkhandhaすなわちcittāの堆積している束の全体的な結果です。

多くの意識viññāṇaが生み出され続けていますが、

viññāṇaをエネルギーの有無の視点で３つに分けることができます。

Kamma viññāṇa　　 意図を持って未来に実現される可能性があるカルマの種というエネルギーを生み出します。

vipāka viññāṇa　　過去の原因が結果になったことで、いま・ここで意識されたものです。

kiriya viññāṇa　　行動している時に付随する意識で、過去も未来とも関連しない「いま・ここ」の意識です。

このKamma viññāṇaとは心理学でいう潜在意識のことです。

この潜在意識はviññāṇakkhandhaに保持されて、6感覚器官からの信号と結びつくとvipāka viññāṇaとして意識に現れます。

vipāka viññāṇaとkiriya viññāṇaは経験され後にnāma gottaと呼ばれる記録になってマインドに保存されます。

保存場所には諸説ありますが、私見では「cittaからviññānaに到る9段階の変化」の2番めにあるmano界であり、エネルギーが存在する直前の根源自性prakritiでないとエネルギーのないnāma gottaは保持できないと推察しています。

伝統的解釈はmanoの機能は分別だとしています。