ゴエンカ師１０日間コース講話
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１日目の講話
瞑想の目的 呼吸からはじめる理由 心の仕組み シーラの説明
一日目は大変だったでしょう。なぜ、坐ることがこんなに難しいのだろう、なぜ、こんなに不快な思いをするのだろう、と感じた人もいることでしょう。 それは、みなさんが一日中坐って瞑想するということに慣れていないせいもありますが、じつのところは、呼吸にのみ意識を集中するという、みなさんがはじめたこの修行自体に原因があるのです。
呼吸に意識をおきながら、何かの言葉や呪文、神さまの名前を唱えたり、あるいは神さまの姿・形を心に思い描くことが許されていたなら、心の集中はもっとやさしかったでしょう。 しかし、ここではそれが許されていません。みなさんはただ、呼吸を観察するように要求されました。自然な息の流れをあるがままに、コントロールせずに、それが入ってくるままに、出てゆくままに。言葉も想像も付け加えることなく。
なぜでしょう。
心の集中がこの瞑想法の最終目的ではないからです。この瞑想法においては、心の集中は心の浄化という次の段階へ至るための助けにすぎません。心の不純性、否定性をすべて取り除き、苦悩から自由になり、悟りを成就することこそがこの瞑想法の目的なのです。
怒り、憎しみ、情欲、恐れといった不純性が心に生まれるとき、人は苦を感じます。望むことが得られないとき、また、望まないことが起こるとき、人はみずからの内に緊張を生み、結び目を作ります。
人は、一生の間このプロセスをくりかえします。そして、やがて、心も体もこわばり、がんじがらめになってしまいます。そればかりか、人は、この緊張を自分の内にとどめておけず、会う人びとに「あなたも私の苦しみを味わって」と、お裾分けしてしまうのです。このような生き方が人としての正しい生き方といえるでしょうか。
みなさんは、この瞑想コースに「生きる技」を学びにきました。自分自身の内にやすらぎと和を保ち、ほかの人びととの間にやすらぎと和を育むにはどうすればよいのか、日々喜びを味わいながら、人としての最上の幸せに向かって歩むにはどうすればよいのか。 最上の幸せ、それは、一点のくもりもなく澄みきっていて、静けさに満ち、慈しみと無私の愛にあふれ、ほかの人の喜びを自分の喜びとする心の状態をいいます。
望まないことが起こると、ヒトはカラダと心はこわばり、体内に「結び目」を作ってしまいます。
このように本人は気が付かない内に潜在意識に「結び目」というアプリをインストールしてしまっているのですが、自分自身の性質や心を思考ではなく、体の感覚、すなわち体感を通して、それらを知ることができます。
そして不必要なものであれば、それらを取り外すことが可能です。
心が落ち着かない時に自分の意識（関心）はどこにあるのでしょうか？
それは過去もしくは未来にいます。
言葉を変えると、過去に体験したものをイメージにしている世界、もしくは未来の空想や妄想をイメージしている世界の中にいます。
このコースでしようとしていることは、そこから抜け出し、「いま、ここ」にいることができるようになる練習です。
それは神秘や奇跡のことではなく、だれでもすぐにできることです。
たとえば、吐く息と吸う息が鼻孔を通過していることに関心が向いている時は、「いま、ここ」にいるということです。
そして、それが心が浄化されている時です。
これは無意識の内にこれまでに蓄積した心の汚れにとっては強い衝撃です。
無意識の中に隠れていた汚れが心や肉体の不快さとして意識の世界に浮かび上がってきて爆発することもあります。
心の汚れとは、本人が知らない間に潜在意識にアプリがインストールさせられた状態のことで、浄化とはこのアプリの消去を意味します。
ヴィパッサナー瞑想の10日コースは２日目と６日目がつらい、と言われています。
夕食がないことがわかって昼に一杯食べようとすると、体の調子が乱れるので気をつけるように。
２つのボートに足を乗せるとスピードが違うので危険です。
このコースが終わった後は、あなたの人生はあなた自身が主人なので自分のルールで道を進みますが、この10日間はこのセンターのやり方を試してください。
瞑想は部屋の中でしてください。釈尊は樹の下で覚りましたが、風や音などがあればまだ初心者には難しくなるからです。
瞑想の最後の言葉の“Bhavatu sabbamaṅgalaṁ”は、パーリ語でMay all beings be happyという意味で、
サドゥーとは「その通り」という同意の意味であり、これらは儀礼ではありません。
Bhavatu [bhū+a+tu] 生命体 31領域すべての個
sabba 全て
maṅgalaṁ 吉祥，瑞祥 maṅgala：[adj．] auspicious； royal； lucky； festive
２日目の講話
覚る人と覚らない人
コーサラ国での出来事
釈尊の講話の参加者の質問は「同じ講話に参加して修行しても、覚る人と、覚ってはいないが大きく変化した人と、何も変わらない私のような人がいる。あなたの力でみんなが覚ることはできないのですか？」
「あなたが故郷に戻る時にどのように行くか正確に覚えているように・・・
ゴールに達するには正確のその道を辿らなければならない。
ゴールに近い人は早くゴールに到達するし、遠い人は時間がかかる。
誰も本人の代わりに歩くことはできない。自分だけしか頼るものはない。
M. 107, Ganaka-Mogallāna Sutta.、 「算術家モッガッラーナ経」（『中部』107）
罪の定義、サマーディの説明 ８つの道
罪とは、他者を傷つけ、他者の平穏や落ち着きを邪魔する全体性に欠けた行動のこと。
心の乱れを生み出してしまういかなる時も、ヒトは不幸になる。
涅槃に達するための八つの正しい実践の行いが必要で、
(1) 正語(いつわりのない言葉) Sammā-vācā
(2正業(正しい行為)) Sammā-kammanta
(3)正命(正しい職業) Sammā-ājīva
(4)正精進(正しい努力) Sammā-vāyāma
(5)正念(正しい気づき) Sammā-sati 直線時間の過去・現在・未来ではなく、「いま、ここ」
(6)正定(正しい集中力) Sammā-samādhi
(7)正思惟(正しい思考) Sammā-saṅkappa
(8)正見(正しい理解) samma- diṭṭhi
それまでインドで行われていた苦行を否定し，苦行主義にも快楽主義にも走らない中なる生き方すなわち中道の具体的内容がこの八正道である。
１、２、３がシーラ戒律
４、５、６がサマーディ禅定
７、８がパンニャ 智慧
Tumhehi kiccaṃ ātappaṃ, akkhātāro tathāgatā. —Dhammapada, XX. 4 (276).
自分自身で修行をしなければならない
悟った人びとは道を示すだけである ―ダンマパダXX.4（276）
Tumhehi
あなたたち 第二人称tumhaの複数形
kiccaṃ すべきこと、所作 kicca，'function'．14
functions of consciousness
ātappaṃ 熱意、エネルギー、努力 （ヴィパッサナー・センターの解釈） 熱を取り消す（別解釈）
akkhātāro 説教者 akkhātā：伝える人
tathāgatā. 「すでに行ってしまった人」 （後の解釈）完全な人、如来
Sabba-pāpassa akaraṇaṃ, kusalassa upasampadā;
sa-citta pariyodapanaṃ, etaṃ Buddhāna sāsanaṃ. —Dhammapada, XIV. 5 (183).
「すべての不健全な行為を慎み,健全な行為を行って
自らの心を浄化する」 これがブッダたちの教え ―ダンマパダXIV.5（183）
Sabba-pāpassa すべての邪悪
akaraṇaṃ 控えること [a 否定形 ＋karaṇa すること、作ること ]
kusalassa 善なるもの
upasampadā 受戒 «upa従う+saṃ共に+pada足跡+a+itthījotaka澄明-ā»
sa-citta 自分の根源のマインド
pariyodapanaṃ 浄化
etaṃ これが esa：（euphonic
form of eso），that person （別解釈）
Buddhāna sāsanaṃ 仏陀の教え
.
二日目が終りました。一日目よりは少しましだったでしょう。けれども、まだまだ大変です。心は、人里に押し入ってあばれまわる野性の牛や象のように野放しの状態です。 イライラして落ち着きがありません。
人間社会をおびやかす野性動物の力も、訓練次第では、役に立つようになります。同じように、野性動物よりももっと危険で手ごわいこの心、私たちの心も、手なずけ訓練することができます。すると、その手ごわい心が、今度は私たちの役に立ちはじめるのです。
ただ、そのためには大変忍耐強く、懸命に、休むことなく修行しなければなりません。修行の連続性こそが成功の秘訣です。だれかほかの人が、みなさんに代わって修行することはできません。解脱に至った人は、愛と慈しみをもって道を示してくれますが、人を背負って目的地まで連れて行くことはできません。それぞれが、それぞれの足で、歩いて行かなければならないのです。
これは、一人ひとりの戦いです。自分自身の救済のために、自分自身で歩き、戦い抜くのです。もちろん、この道を歩きはじめると、Dhamma(法)が助けてくれます。しかし、それでもやはり、自分で歩かなければなりません。この道を最初から最後まで、自分の足で歩き抜くのです。
みなさんが、今、歩きはじめたこの道を、正しく理解しなさい。これは、いつの時代も変わらない、普遍的な道です。どんな国の、どんな肌の色の、どんな生まれの人でも実践できるものです。
ブッダは、簡潔に説明されています。
悪い行いを慎み、
よい行いをなし、
心を清めよ。
これが、悟った者すべての教えである。
ダンマパダ 一八三
それでは、「悪い行い」「よい行い」とは、どのような行いをいうのでしょうか。
法は、そのエッセンスが失われるとき、宗教・宗派的にとらえられてしまいます。たとえば、ある特定の宗教・宗派に属している人には、特殊な装いをしたり、ある種の儀式をおこなったり、教義を信じたりすることが、よい行いといえるでしょう。けれども、それは、ほかの宗教・宗派の人には受け入れがたいものでしょう。
それでは、すべての人に理解できる悪い行い、よい行いとは、どんなものでしょうか。ほかの人のやすらぎと和を妨げる行いは、悪い行いです。ほかの人を助ける、ほかの人にやすらぎと和をもたらす行いは、よい行いです。
さらに、このことを深く探ってゆきますと、次のことがはっきりと見えてきます。ほかの人を傷つける行いをするとき、心には必ず、怒り、憎しみ、恐れなどの汚れが生まれているということ。そのときその場で、自身の内に地獄の苦しみを味わいはじめるということが。
同じように、ほかの人を助ける行いをするとき、心には、愛、慈しみ、善意が生まれています。そのときその場で、自身の内にこの上もないやすらぎと和を味わいはじめます。
つまり、ほかの人を助けるとき、同時に、自分自身をも助けているのです。ほかの人を傷つけるとき、同時に、自分自身をも傷つけているのです。これが法です。これが真実です。
この法の道は、八つの聖なる道、「八聖道」と呼ばれます。この道を歩む人はだれでも、清らかな心の持ち主、聖者となれるということです。
この八聖道は、三つの部分、シーラ、サマーデイ、パンニャから成っています。
シーラとは道徳律。言葉においても身体においても、不健全な悪い行いをしないということです。
サマーデイは、心を統一することによって、統御すること。
しかし、この二つだけでは、心の奥深くにかかえこんでいる汚れを取り除くことはできません。
そのためには三つ目のパンニャー、智恵、洞察を培う修行が必要です。この智恵と洞察によって心を完全に浄化するのです。
八聖道の中で、次の三つがシーラに入ります。
一、samma-vacaサンマーヴァーチャー、正しい言葉。清らかな言葉を使うこと。
正しい言葉、清らかな言葉とはどんな言葉でしょう。反対の、正しくない言葉を知れば、正しい言葉も見えてきます。
ほかの人をだますためにつく嘘、ほかの人を傷つける乱暴な言葉、悪口、陰口、無駄口などは、正しくない言葉です。これをやめればよいのです。そうすれば、正しい言葉、清らかな言葉だけが残ります。
二、samma-kammantaサンマーカンマンター、正しい行為。体による清らかな行為。
法の道において、身体の行為であれ、言葉の行為であれ、精神の行為であれ、それが正しいか否か、清らかか否かを見きわめる唯一の方法は、それがほかの人を助ける行為か、逆に傷つける行為か否かということです。
たとえば、人殺しや盗み、強姦や姦通、また麻薬などの薬物類の摂取も、自分が何をしているのか分からなくしてしまうため、ほかの人を傷つけ、自分をも傷つける行為です。
正しい、清らかな行為ではありません。これをやめるのです。そうすれば、正しい行為だけが残ります。
三、samma-ajivaサンマーアージーヴァ、正しい生計。その方法です。
人はだれでも、自分や家族のために何らかの方法で生計を立てる必要があります。けれども、それがほかの人を傷つけるものであるならば、それは正しい生計方法ではありません。
直接ほかの人を傷つける仕事をしていなくても、酒類を販売したり、生き物やその肉を販売したり、武器を販売したり、賭博場を開いたりして、ほかの人をそそのかすような仕事に関わるならば、それもまた、正しい生計方法とはいえません。
いわゆる最高の職業についていたとしても、動機がほかの人を搾取することであるならば、正しい方法で生計を立てているとはいえません。
動機が大切です。社会の一員としての役割を担うという志しのもとに、自分の技能を提供し、その報酬として収入を得るのであれば、それは正しい生計方法です。
在家者、社会の中で生活する人にはお金が必要です。けれども、お金を得ることで、自我を増す危険性も生まれてきます。収入を得れば得るほど我が強くなり、収入の少ない人を見さげるという傾向が人にはあるということです。実際にそうなると、解脱からは遠ざかってしまいます。解脱とは、我のない境地なのですから。
それでは、自我を増長する危険を避けるには、どうすればよいでしょうか。収入の一部を、ほかの人とわかちあうという方法があります。たとえば、慈善に使うことです。布施や寄付をすることで、その危険を逃れることができます。自分や家族のためだけではなく、ほかの人のためにも働いているのだと理解するとき、人は我を増すことなく、正しく
働くことができるようになるからです。
もしもダンマが、ほかの人を傷つける行いをやめなさい、と諭すだけのものであるならば、何の効果もないでしょう。人は、頭の中では、悪いことをしてはいけない、善いことをすべきだとわかっています。悪い行いは自分にもよくない、善い行いは自分にもよいとわかっているかもしれません。あるいは、信心ゆえに、シーラの重要性を受け入れること
があるかもしれません。それにもかかわらず、悪い行いがやめられない、ついしてしまう、それが人の常です。心をコントロールすることができないからです。
けれども、心配はいりません。法の第二の領域として、サマーデイ（精神統一による心のコントロール）が用意されています。
八聖道の中で、次にあげる三つ（四～六）がサマーデイに入ります。
四、samma-vayamaサンマーヴァーヤーマ、正しい努力、正しく修行して精進することです。
これまで修行をしてきて、心の習性というものが、よくわかったでしょう。心というものは、いつもフラフラとさ迷って落ち着きなく、弱いものです。けれども、そんな心でも強くすることができます。心の体操をするのです。
心を強くする四つの体操
・悪い性質があるならば、取り除く。
・悪い性質がなければ、心の扉を閉じて、悪い性質が入ってこないようにする。
・善い性質があるならば、それを保ち、さらに育てる。
・善い性質がなければ、心の扉を開けて、善い性質を受け入れる。
間接的にですが、呼吸の観察を通して、みなさんはもうすでに、この心の体操をはじめています。
五、samma-satiサンマーサテイ、正しい知覚、正しい気づきです。
今、この瞬間の真実を、正しく知ることです。人は過去に生きることはできません。過去については、記憶があるのみです。人は未来に生きることもできません。未来については、想像、期待、不安があるのみです。人は常に、現在に生きなければなりません。
みなさんは、鼻孔の、この限られた部分に現れる、この瞬間の真実を知覚する修行をはじめました。それが、現在に生きるということ、今を正しく知ること、今に気づくことなのです。大まかなものからもっとも細かなものまで、そこに、現れ出るすべてを感じとる能力を育みます。
はじめは意識した呼吸を感じ取る訓練から始め、徐々に細やかで柔らかい息、また呼吸が皮膚に触れる感覚をも感じ取れるようになります。そしてもっと細やかな意識の対象、自然な肉体感覚を感じ取り始めます。呼吸が入ってくる時に冷たさを、出ていく時に温かさを、感じ取るでしょう。また呼吸とは関係のない、熱さや冷たさ、かゆみ、脈、振動、圧迫や緊張、痛み、と言った様々な感覚を感じ始めます。感覚を選ぶことは出来ません。感覚は創り出すことはできないからです。ただ、観察する。ただ、気づいている。感覚がどんなものであるかは重要ではありません。感覚という今の現実に、反応せずただ気づいていることが大切なのです。
心は過去や未来に走り、渇望や嫌悪を生みつづけます。正しく気づく、正しい知覚という訓練によってこの悪習を破るのです。もちろんコースをしたからといって過去を忘れてしまったり、未来のことを考えなくなる、ということではありません。いたずらに過去や未来に心を奪われず、しっかりと今の現実にとどまることによって必要な時には過去を思いだし、また未来のために決定を下す能力が生まれます。それは健やかで幸せな人生を導くでしょう。
六、samma-sammadhiサンマーサマーデイ、正しい精神統一、正しい意識の集中。
単なる意識の集中は、この瞑想法のめざすものではありません。その土台に清らかさがなければなりません。渇望や嫌悪、そして幻覚などの不純性をもって、心を集中すること
もできます。けれども、それは、この浄化の道に反する集中方法です。
この道においては、そのはじめから、心を浄化するものでなければならないのです。渇望や嫌悪を抱くことなく、今、この瞬間の真実を、呼吸を通して感じとるのです。一瞬一瞬、とぎれることなく感じとりつづけます。気づき続けるのです。これがサンマーサマーデイ（正しい精神統一、正しい意識集中）です。
みなさんは、五つの戒律を守るシーラの修行によってしっかりとした土台を固めました。また、渇望や嫌悪を抱くことなく、この瞬間の真実に一心集中することによって、サマーデイを育んでいます。
さらに心を鋭くするために、修行をつづけなさい。そうすることによって、四日目にパンニャー（智慧）の領域に入り、心の深い部分に触れるときに、しっかりと見つめ、そこに潜む心の濁りを取り除き、まことの幸福、解放の歓喜を味わうことができるように。
まことの幸福が、みなさんがたすべてに訪れますように。
生きとし生けるものが幸せでありますように。
３日目の講話
パンニャの説明 ３つのパンニャ カラパ４元素と３つの特徴 無常、自我の幻想、苦しみ
怒りなどの反発する反応は理性で抑えていても、それららは心の内向の深層に蓄積されて抑圧されています。
サマーディは表層と中層までの浄化しかできないので、根がある深層の煩悩を解放するのがパンニャの機能です。
八正道の７と８
(7)正思惟(正しい思考)samma‐saṅkappa 黒い雲を退け白い雲に変えることができるので太陽を垣間見ることができる。
(8)正定(正しい理解) samma- diṭṭhi 現実をあるがままに理解すること その智慧（般若）のこと
３つのパンニャ
１suta-mayā paññā 他人の智慧 講和、経典 デメリット 刷り込み、条件付け、盲目的信仰、リーダーからの同調圧力 地獄の恐怖と天国の甘美による支配
２cintā-mayā paññā 自分の論理、推察、 デメリット 真実を知っていると勘違いする 我を育てる
cintā：[f.] thinking； thought； consideration. 意思、思考回路、
３bhāvanā-mayā paññā 自分自身の体験 自分の智慧 自分で味わうことができる 解脱への道
bhāvanā 修習 実践
パンニャと感覚
接触することで感覚が生まれる 物質エネルギーと物質エネルギーの接触によって生じるものを感覚と呼びます。
体の感覚をくまなく体感する
白さを伝える難しさ
２人の少年のうち１人は目が見えなかった。
ヨーグルト、ガチョウ、
最小の単位は集合体の波動 分別と体感の違い
釈迦は分析し続けることで究極の真理に至った。Kalapa (atomism)
物質の極小の単位はatta（８）kalāpa集合体の組み合わせ 意識から物質が生まれるプロセス 三蔵の教え
意識エネルギー界の最小単位なのか、欲界の物質エネルギー界の最小単位なのか？ 物質エネルギーの元素
The 4 physical elements (dhātu
or mahā-bhūta), popularly called:
土 重さ earth, (pathavī-dhātu)
水 塊をつくる water, (āpo-dhātu)
火 温度 fire, (tejo-dhātu)
空 動きwind, (vāyo-dhātu)
深層世界ではすべてが波動
すべての現象は波動、さざ波の違いでしかない。物質界にある境界線は表層の次元での表現であるので、奥にある層ではただの波動だけです。
このさざ波が生成消滅し、共鳴している。
これがダンマ、これが自然の法則です。
cf 素粒子によるノーベル賞受賞のバークレー校教授「泡の小部屋」10－24
聖人と科学者の違いは体感するかどうか！ これで幸福か不幸かに分かれる。
魔法？
パンニャの力を使って、あるがままに見ていると不純物の層が剥がれていき、源にあるものに至ります
身体の浄化により、体と心という次元から離れて、自由と解放の次元に至ります
何を体感するのか？
アニッチャー
無常という現実 はかなさという真実 川、ヒトは常に変化して同じ状態ではない
渇望や嫌悪 英語cravingとaversion パーリ語 sukhaṃとdukkham
出典アビダンマ
論蔵 Ledi Sayadaw The Manuals of Dhamma日本語訳
私たちは盲目的な習慣の自動回路で行動している。
実際にはこの世の現象は常に変化することを体感するのが大事。
無常を体感して実感することで、作ってしまった自動反応回路のアウトプットは現実にはそぐわない対応であることを認識する。
また、無常を体感しながら暮らすことで、過剰一般化してできる自動反応回路を生成しなくなる。
アナッター 非我no-ego
すべてはさざ波、波動であるという体験をすると、「わたし」はないことがわかり、「わたし」はカタチある次元のお約束ゴトでしかないことがわかる。
この世は波動なので「我」は表層だけでのカタチ
深層では「我」も現象は同じさざ波の１つである。これを一体化と言うこともできないことはない。
アナッターの解釈は上座部仏教と大乗仏教では異なる。
上座部ではaniccā,dukkha,anattaというこの世の特徴の１つであり、無我は苦しく、無常のものである。
自分が望むことは長期で見れば維持できず、「わたし」はなにもコントロールすることができず、無力である、ことがアナッターの意味である。
対して大乗仏教では、
この世は無常の現象のすべてを含む「空」によって成立しているのだが、自己もその無常の１つであるので、自己に執着する意味がない、と把える。
換言すると、無我とは、この世の中を支配している秩序と「我」の食い違いがなくなる事、として理解する。
この世の中の秩序と食い違いがなくなれば自分自身が邪魔にならない。「俺が、俺が」という考え方がなくなる。
ただ、周囲の世界の秩序を認識し、そこに陥るのではなく、離脱するのが、「無我」である状態。そうすると、ごく自然の日常生活というものが行われる。
それは決して自分自身が無くなるということではない。手を動かし、足を動かし、一所懸命生きている自分自身の主体がある。
次にすることは、宇宙の法則に参加して、元来の「一つ」の世界に向かって進んでいくことである。
ドゥッカ 苦
この世は儚く頼れるものではない？
快楽も苦、快はヒトに執着を持たせ苦となる。
苦とは固定されてしまうこと、あるがままに見ることができないこと、自動回路の中で生きること。
大乗仏教の解釈では、
「生」が苦であるというのは、この世では「分別」の影響が強く、元来の「一つにつながっている世界」から離れがちになり、そのままの「生」がある世界では、満足ができない状態に陥ってしまうから。
上部座仏教の苦、すなわち釈尊の説いたdukkhaは大乗仏教の漢字の苦の解釈とは異なる。
パーリ語のdukkhaとは、痛みの苦という一面もあるが、欠けているもの、不満足性、不完全性という解釈のほうが本質に近い。つまり涅槃からみた不完全な世界を意味する。
したがって、上座部仏教のDukkhaは涅槃（エネルギーが０の世界）への道の気づきの大切な門であり、道標である。
DukkhaとはAnicchaという諸行無常とセットで体感して理解するものなので、漢字の苦とは同一ではない。
現象界は無常なので、それに固執すると痛みを伴ってしまい、満足できない状況であるという意味である。
そしてこの「苦」のおかげで最終的にAnatta（諸法無我）と一体になる。
dukkhaの対語はSukha幸せなので不幸miseryと訳すとわかりやすい。
釈迦は、すべての体の感覚とはdukkha vedana、すなわち苦の感覚であると明言している。
これらの３つを体験して現象を分析・精査して、この世の現実をとらえる。
すると、これまで善や美と信じていたものでも、その善や美の奥側にある真実を理解できる。
ヴィパッサナー瞑想で潜在意識にある自動反応回路を消去するには、この解釈が道標になる。
マジック？ サンカーラの生成と消去 この宇宙のプログラム法則
不快さ、固さの感覚を見守る、するとエネルギーの自由な流れに変化する。
現象は生成消滅の法則の中にあることを理解して、これらの変化を体感と共に気づき続けていると、感覚にこれまで通りの３つのタグが付加しなくなり、これをパーツにしたサンカーラという固執の回路が作られることはない。
固執の回路は平静心が乱れて臨場感が強い時に思考の連鎖を介して自動的に作成されるので、心を安穏とさせて体の感覚に気づいていることで、潜在意識に自動的に生成することを妨げることができる。
焦ったり、恐怖を感じたり、不安を感じたり、欲情したり、興奮していることを自覚することができれば、できるだけ心を安穏とさせて、この世の諸行は無常であることを体感し続けることで回路を作成させない。
そして、ウペッカー、すなわち安穏した心境で、感覚に反応せず、イメージで過剰一般化せず、自動反応回路を使用せず、パターン認識をしなければ、回路は弱体化し、最終的には消去できる。
ダンマdhammaとはこの世の法則
ダンマを欺くことはできない。
自我から生じた構造はじきに崩れる。
ダンマを認識できないのは、自我の錯覚のためである。
アーナパーナの瞑想対象の変化 呼吸から鼻下の感覚へ
まずは範囲が鼻下から上唇までの三角形の中、
それ以外の場所で感覚することは無視する。
そこでどんな感覚でもいいので、感覚するものに注意を傾ける。
kāyānupassana satipaṭṭhāna → vedanānupassana satipaṭṭhāna
これは表層意識から、潜在意識の領域に入ることに対応している。
感覚がない時には呼吸にスポットライトを当てて、もう一度はじめからやり直す。
４日目の講話 元気の出る詠唱 解脱した最初の言葉
ヴィパッサナー瞑想とは？
原因は外側ではなく内側にあるので直面する方向を外から内に転換させることで以下の技を取得します。
理性によって抑圧されたマインドの反発を生み出さない技術
潜在意識の習慣を顕在意識化せずとも変えてしまう技術
過去に作成された自動回路を上書きする技術
raga渇望とdosa嫌悪から離脱する技術
具体的実践は
体のすべての隅々までに感覚を感じる。
必要な条件は、鋭敏な感受性と研ぎ澄まされた意識と平静心なのでこれらを育む。
感覚は粗いものから初めて繊細なものを感じるようにする。
最終的には体の表面に泡のような、電気のような、波動のような、微細な変化を感じ続ける。
自ら感覚を求めたり作り上げたりするのではなく、感覚を感じるまで待ち続ける。
はじめは1分間ほど。感じない場合には素通りして、次回にまた感じるのを待つ。この作業を何度も繰り返す。
observeしたものだけが現実。感覚を選ぶのは大脳の趣味であり、これらは過去に学習した習慣でしかない。
作られた感覚は過去に経験した感覚を再現させたもの、すなわち大脳を使って物質化させたイメージなので、今の感覚ではない。
感覚とはなにか？あらゆる感覚
肉体が感じるものが感覚。感覚対象が６感覚器官と接触した時に生じるもの。
この感じることを邪魔するのが思考の連鎖。たとえば昔の古傷、座り方などを言い訳にしている間は感じられない。
思考の連鎖は自己意識を発動させ、超越体験などの特別な感覚を想像したり、求めたりする。
感覚に自動反応してしまう心の条件反射をただobserve、すなわち、寄り添って感じ続けることが訓練の目的。
快・不快に自動反応してしまう心の条件反射にとらわれない練習を積み重ねる
現象は無常なのに、過去に学習により作成された自動反応回路が執着を作り続け、その結果として苦しみが生まれ続ける。
vedana感覚は体に感じられるものだが、これは顕在・潜在意識の一部でもあり、見守るものは両方の意識である。
物質エネルギーの衝突から生じた感覚は、表層と深層の全体的意識であるとも言える。
3つのタイプの感覚
「Tisso ima,
bhikkhave, vedana. Katama tisso? Sukha vedana, dukkha vedana, adukkhamasukha vedana. Ima kho, bhikkhave, tisso vedana.」
Sukha vedana
体の快の感覚
Dukkha vedana
体の不快の感覚
Adukkhamasukha vedana 中立（快でも不快でもない）
「比丘たちよ。感じ方には三つの種類がある。それは何か。気持ちよく感じること、つらく感じること、どちらでもない 中間の感じ方である。これが三つの感じ方である。」
Sukhasutta SN
36.2 楽経 英訳Pleasure Saṃyutta
Nikāya 2.4.250
SN 47.49 Vedanāsutta 47.49. 感受の経
Ref. ５つのタイプに分別する時には、somanassaindriyam (i.e. pleasant mental sensations)とdomassaindriyam (i.e. unpleasant mental sensations)が加わる
8つのタイプに分別する時にはaniccaを感じつつの快と不快が加わる。
心の楽がSomanassa、体の楽がSukha
Somanassa と domanassa は、楽しいメンタル的感情と不快なメンタル的感情です。
Sukhaとdukkhaは、幸福と不幸という広い意味で使われますが、Somanassa と domanassaと並べられる時には、身体的な快楽と不快な感覚という特定の意味で使用されます。
無色界には感覚がない 心と体
仏陀の苦しみを根絶する瞑想は、肉体にしっかりと根付いているvedanāが鍵になります。
これはarupabrahmaloka（無色界の生命体）がヴィパッサナーを実践できない理由であり、第7と第8禅定を伝授してくれた師に仏陀がダンマを伝えることができなかった理由です。
5番目から8番目の禅定では、マインドは体から解放されてしまっているため、受vedanāを経験できません。
したがって、これらの生命体は物質エネルギー・レベルの信号を受信できないので、体レベルの感覚ができません。
換言すると28から31の領域の生命体は肉体レベルの感覚器官がないために感覚対象と接触することがありません。っまり感覚が生じることがないので、ヴィパッサナー瞑想の感覚を使って自動反応回路を上書きする方法が実践不可能になってしまうのです。
過去世で作った、体感覚をパーツにしたsankhāraに上書きや削除ができず残存するので、解放の道を歩むことができません。
ヴィパッサナー瞑想の特徴とメカニズム
感覚を気づき続けることで、思考する暇を与えない
表層意識レベルと無意識（潜在と深層意識）レベルの間の障壁を打ち破ることで、マインドの全体性に気づくことができ、無知（貪瞋痴が付加された言動と思考の自動反応回路）は徐々に上書きされて、取り除かれます。
静穏な気持ちを保持することで、雑念として浮かんできたsankhāraも上書きされて弱体化します。
aniccaを実感することでその余韻（ヴァイブレーション）を日常化させる。
aniccaを実感しながら知覚することで、感覚に付加されるこれまでの3つのタイプのタグをnirāmisa sukha、nirāmisa dukha、nirāmisa upekkhaに張り替えることができる。
aniccaを実感しながら知覚することで、その時に使用している深層意識にある思考回路が解体される。
知覚対象は生じては消え去るもので実体がないことを実感することで、この瞬間にしている評価も過去に過剰一般化して作成した回路であることを認識できれば、その評価基準は過去のTPOだけに適したもので、普遍的なものではないことが明瞭になり、その評価の思考回路に頼ることはなくなります。つまり評価基準に使用することはありますが、それに操作されることはなくなります。
道を進むためには自分で体感すること
自分の中に湧き上がってくる感覚を見守り、消え去っていく感覚を見守る。
そしてこの全体の流れを理解する。
主体の有無
人間の苦しみは 自分がないのに自分があると思っていることが原因。
自分、私、主体といったものはなく、自分とは空虚であり、まるで自分の意志でやっているようだが、実は縁起。
自分は実体のない幻としてある。
だからといって、「私」を否定することはない。この「私」も縁起の中で生まれた大事なものである。
ですから、「私」を認めて、些細な事が気になったり、不安になったり、自分にこだわることも大切である。
自分なない、というのではなく、実体のない自分でさえも、全てのものとつながっている、という実感。
生老病死はさけられないので、ちゃんと受け入れる。
嫌悪や妄想を大切にする
不快な感覚を使って「嫌悪の回路」を消滅させ、
中立な感覚を使って「無知（妄想）の回路」を消滅させる。
マインドの重要性
行為には3つのカタチがある。体、言葉、マインド。
ここでいう言葉とは顕在意識、マインドとはそれに潜在意識を加えたものとする。
マインドがすべてに先立つ出発点になる。
マインドが全てなのである。
物理的行為が同じであっても、盗賊と手術担当医のマインドにある回路は相反するものである。
甘いマンゴに苦いニームを食べれば分かるように、結果は種で決まる。
だから何を植えるか、何を受けいれるか、注意深くしなくてはならない
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Dhammapada, I. 1 & 2. |
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Mano-pubbangama dhamma, |
心はすべての現象に先行し、 心が最も重要で、すべてが心で作られている。 不純な心の場合には、 言論や身体の行動に反映し、 苦しみが本人に戻ってくる。 動物の足跡に車輪が続くように。 |
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Mind precedes all phenomena, |
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Mano-pubbangama dhamma, |
心はすべての現象に先行し、 心が最も重要で、すべてが心で作られている。 純粋な心の場合には、 言論や身体の行動に反映し、 幸福が本人に戻ってくる。 決して去らない影として。 |
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Mind precedes all phenomena, |
五蘊（色・受・想・行・識蘊）の順番
五蘊（色・受・想・行・識蘊）の順番は、物質エネルギーからメンタルの純度の段階についての順番になっています。
ここでいう色とは物質エネルギーのことで、イメージのことです。夢や記憶の再現で現れるイメージです。
受とは近・遠・中立のタグがついた感覚のデータです。
想とは一般化した観念や概念のことで、これに基づいて対象を評価・判断しています。
行sankhāraとは受vedanāと想saññāをパーツにした自動反応回路のことです。
識viññānaとは対象を６感覚器官を介して受vedanā、想saññā、行sankhāra経由で経験することです。
「意識」「知覚」「感覚」「反応」のプロセスが自分？
ブッダは、心が「意識」「知覚」「感覚」「反応」という四つのプロセスから成り立っていることを発見しました。
このスピードがあまりにも速いために、人はそのことに気づかず、反応が長時間繰り返されて強化されたとき、はじめて意識の中に現れて気づきます。
私たちは、誰もが、意識、知覚、感覚、反応という心のプロセスの流れの中にあり、それは身体の変化よりもさらに高速で変化しています。これこそが「自分」というものの現実です。
単なる流れに過ぎない現象のプロセスを自分として理解しています。しかし、この自分という現実を体験し、正しく理解することができたら、「自分」という実体は存在しないという理解が生まれ、苦から抜け出す糸口を見つけることができる、とブッダは悟りました。
Satipatthana
Suttaは、プロセスにすぎないこの自分という現実を体験するための手引書のようなものです。
ゴエンカジの説明
意識はマインドのアンテナです。感覚器官は意識がなければ働きません。何かを見るのに熱中している時には、音がしていても耳に入らないことがあります。これはすべての意識が目に集まっているからです。このアンテナが受け取った外からの刺激は、次のようなプロセスで情報処理されます。
4日目の談話 開始から55分頃
外からの刺激
↓
意識（vinnana：ヴィンニャーナ）気づき、察知（対象の信号を受信する）。
↓
知覚（sanna：サンニャー）記憶や経験と照合して良し悪しを評価・判断（対象のチェック・分類・好悪の判断）。
↓
感覚（vedana：ヴェーダナー）知覚の判断で気持ち良くなったり悪くなったりする。（対象の入力信号の識別タグ）。
↓
反応（sankhara：サンカーラ）自動反応回路のアプリケーションを新たに作成
ここでは、顕在意識で把握した信号がいかに潜在意識で処理されているかを説明しています。
つまり潜在意識の重要性を強調し、潜在意識に働きかけることがヴィパッサナー瞑想の目的であることを明確にしています。
observeするだけでこの自動回路が機能しなくなる理由
認識機能のメカニズム 感覚信号を情報（概念化、解釈、タグ付け）に置き換えて、便利な効率化を目指してしまう思考回路が認識プロセスである。
１ まずはviññāṇaが信号（情報、刺激、インプット、電気、波動）を察知することで、顕在と潜在の意識が反応して立ち上がる。
２ 過去に学習したsaññā, すなわち観念と比較して参照することで、信号を知覚（認識）し、評価・判断する。
３ 感覚情報に自動的に快・不快・無関心のいずれかのタグを貼り付ける（付加する）作業が、vedanā（感覚機能）として行われる。
４ この想saññāと受vedanāをパーツとして因果関係で結びつくことでsaṅkhāra自動反応回路が作成される。
５ 次回に五感覚器官を通じて信号が入力されると、このサンカーラ回路によって自動的に渇望や嫌悪の反応が自分の意思にかからず発動される。
どのような行為でも無意識のうちにサンカーラは作成され、このサンカーラの発動が私たちの言動となる。
このサンカーラが次回に入力される信号を決まった言動に導ていくので、これを消滅させたり、上書きすることで、渇望や嫌悪から離脱していく。
知覚 saññā についての説明 57分
英語訳はperception、機能はrecognizeとevaluation
recognize 過去の経験である記憶を思い出す
evaluation 認識したものを評価する good & bad bliss & abuse
良きものと判断した時には微細な心地よい波動があり
悪きものと判断した時には微細な心地悪い波動がある。
感覚 vedana 58分
英語訳はsensation
快と不快
反応 saṅkhāra 自動反応回路
マインドの動機 マインドの反応
習慣パターンを変える方法 64分
１外側で起こる出来事の信号を受信すると、あらゆる信号は感覚sensationを起こす。これが意識
２次にsaññāによって評価が始まる すると快か不快かの感覚sensationが起こる
もしマインドを訓練して、この快か不快かの感覚に反応（react）しなければ、すなわちその感覚sensationを客観的にobserveするだけであれば、深層意識にある習慣パターン（自動反応回路）を変えることができる。
その時に感覚の川中に身を沈めるのではなく、川面の上に頭を出して嫌な状況であってもその感覚をobserveすることができれば、そのネガティブな感覚も徐々に弱いものになっていく。
この川の水面に頭を出している時間、すなわち自分の感覚をobserveしている時間は一瞬だとしても、それが数秒、数分となることで、習慣パターンが変わっていく。
「 Satipatthana Sutta」 を読み実践するには、感覚 （feeling,
sensation） と知覚 （perception） を理解しておく。
感覚 （sensation,
feeling,）： 感覚器官を通して受け取る情報 近・遠・中立のいずれかのタグが付加する
知覚 （perception）
： 概念と照合して受け取る情報 対象を評価する
ブッダは、心が「意識」「知覚」「感覚」「反応」という四つのプロセスから成り立っていることを発見しました。
痛みと自己からの離脱 受想行識
例えば包丁で指を切ったとする。
色）肉体的に傷ついていることをイメージという電気信号に変換する
受）痛みというネガティブなタグを付加する
想）過去の痛みの概念と照合して、この痛みの量や質を評価する。
行）痛みに対して条件反射になる反応回路を作成する可能性がある。 想い続けると痛みが増幅する
識）痛みを経験する
これが思考パターンになってしまう。 包丁を持たない、台所に行かない
この肉体的損傷は医療行為や自己治癒力によって治すしかない。
しかし、色と受想行識を引き離すことで、苦しみの増幅や苦しみのプロセスから離脱することができる。
痛みを感じることは変えられないが、「受想行識」は変えることができる。
受 痛がって苦しんでいる自分ではなく、冷静な「わたし」に状況を託す。
はじめに「医者のように自分の体を診断して、緊急性や重篤性を確認して必要ならば対処する。
次に「循環器系器官の自分」が患者の気持ちに寄り添うように痛みを感じるようにするが、この自分は神経回路を持たないので痛みはない。
想 想い続けることをやめて他の感覚に注意を傾ける この大きな痛みは過去にイメージされたものの復元なので、実際の痛みは常に強弱やカタチが変化していて同一ではない。
行 痛みに反応するとこれが条件反射になるので、その時に平静心を持ってその感覚を受け止める
識 思考パターンにしないために、包丁を見ても、感情的にならず危険だが便利な道具として認識する。
ゴエンカジの教えは、ヴィパッサナー瞑想を初めて実践する生徒たちのために、自分の意識したことから説明を始め、
「知覚」「感覚」「反応」からまた「意識」へと繋がるループがあることを示した。
そしてこのループから離脱する方法は「感覚」を使うことで可能になるという実践をビデオで説明している。
一次思考 （initial thinking） と 二次思考
（continued thinking）
感覚器官 （視覚、聴覚、嗅覚、味覚、体性感覚、心） に入る情報
（光景、音、匂い、味、感触を生むもの、心の中味） を認識する時に働く機能のことです。
一次思考 (パーリ語：vitakka) ： 言葉による思考
（ものごとを認識する時の基本的な働き - 認識対象把握）
二次思考 (パーリ語：vicara) ： 言葉によらない思考
（認識したものごとを思慮熟考する働き - 認識対象維持）
中村元監修の 「大念処経」では、「粗い考察 （一次思考）」、「微細な考察
（二次思考）」と訳されています。
ティク・ナット・ハン著の 「ブッダの<気づき>の瞑想」 によると、「最初に生まれる知覚 （一次思考）」、「それに続く思慮
（二次思考）」 と訳されています。
「大念処経」の第三訳本では、「知覚 （一次思考）」、「観察 （二次思考）」
と訳されているようです。
さまざまな情報を参考にして、さまざまな用語で訳を試みましたが、vitakka （ヴィタッカ）
にしても、vicara （ヴィチャーラ）
にしても、日本語にはない概念なので、無理に日本語にすると、かえって誤解を生むのではないかと考えて、このホームページの訳では、「一次思考」、「二次思考」 としました。
現代の脳科学では、考えを巡らせる時に、初期設定回路と任務遂行回路という二つの脳のシステムがあるようです。
初期設定回路では検討する条件を認識して、任務遂行回路では目標を達成する行動を検討するということです。
vitakka （ヴィタッカ） と vicara
（ヴィチャーラ） と関連づけて考えると、とても興味深いと思いました。
無意識でもヒトは認識と行動を起こしている。
例えば、寝ているときに蚊の羽音に反応して刺されたところをたたいたり、夜中に冷えると毛布をかぶり直したりしている。
その時の認識メカニズムも上記と同じなので、サンカ－ラの自動反応のおかげで寝冷えして体調を崩さないでいられる。
痛みとの接し方
まずは痛みを静穏な心で見守る必要があるので、ここでは忍耐力が要求される。
平静心でいられるほど、快・不快のタグが小さくなるので、大きな痛みがあっても、それに強く反応するほどに深い自動回路が作成されてしまうので、そうしないためにもゆったりと意識的にobserveしているだけで少しずつ自動反応しなくなる。
痛みの感覚と表層意識の自己とをアイデンティファイ（同一化）していたことが間違えの元。
大きな痛みとは、過去に作った自動反応回路を再現している可能性がある。実際には感じているほど痛くない可能性がある。
コツは痛みをよく観察すること。すると痛みの信号はオンとオフではなく、波のように強弱の変化があることに気が付くことができる。
痛みに条件反射的に反応するのではなく、静穏な心で見守ることができれば、次回には痛みの自動回路が上書きされており、少しは軟化することになる。
著しい痛みに悩まされていても、時には痛みを感じないぐらいの瞬間もありうる。
そうはいっても本人はすこぶる強い痛さを感じているので、少しずつ訓練していくしかない。2秒から10秒、１分、10分、30分、１時間というように。
平静心で現象をobserveするだけで自動反応回路が弱まっていく。
信じるかどうかは自分で実践してみて真偽を判断する。
サンカーラの特徴
強固さの3つのレベル 水の上、浜の上、石の上 石を砂に、砂を水にしていく。
サンカ－ラによって未来、そして来世が決まる。
死に様で子供に対するサンカーラが決まる。
だから良い死に際を。
死の儀式
石は水の上に浮かばす、ギー（バター）は水の下に沈まない。物理には物理の法則がある。
マインドにもマインドの法則がある。
S. XLII. viii. 6, Asibandhakaputta Sutta. 「アシバンダカプッタ経」（『相応部』42-6）
ヴィパッサナーは死に様の技術である。逆に言えば生きるための技だ。
笑って意識してこの世を去る。
死を見つめるだけでいい。
無意識ではなく、意識的に。
恐れを伴わないで事実だけをみる。痛み、機能低下、活力低下を淡々と。
サンカーラという自動反応回路を取り除き、笑って過ごすことでちゃんとした死を迎えることができる。
微笑と調和の技である。
ヤータブータ Yātabhūta あるがままに
Yāta，[pp．of yāti] going，gone，proceeded； habit，custom
マノー ヤッター manō yatta メンタルのたゆまない努力
すべてのもの、この宇宙は生成である。
現象の背後には原因がある。偶然はない。因果応報なのがこの世の法則。
mano：（from
taken by mana in cpds．） mental action
Yatta，[pp．of
yatati1] strenuous，making an effort 精力的、活発
汗をかいているのに感覚がないと想っていた友人は特別の感覚を待っていた
ありきたりの感覚を感じ続けるのがヴィパッサナー。
Ti Lakkhana この世の3つの特徴 the '3 characteristics of existence'
anicca 無常impermanent
dukkha 苦 満足できていない状態 unsatisfing suffering
anatia 無我 非我 no-ego この世は波動なので「我」は表層だけでのカタチ 深層では「我」という実態はなく、我は現象と一体化している。
「パーフェクトなものが世界に現れるかどうか、あるいはパーフェクトなものが世界に現れないかどうかにかかわらず、それは依然として堅固な状態、不変の事実、そして固定された法則のままです。自己がない」（A. III、134）。
「僧侶よ、あなたはどう思いますか：肉体性（rūpa）は永続的ですか、それとも非永続的ですか？
「非永続的です、尊者よ。」
「感情（vedanā）、知覚（saññā）、メンタル形成（sankhāra）、意識（viññāna）、永続的または非永続的ですか？」
「非永続的です、由緒ある方よ。」
「では、永続的ではないものは、それは楽しいものですか、それとも痛みを伴うものですか？」
「それは痛みを伴うものです。」
「では、永続的で、苦痛で、変化する可能性のあるものについて、「これは私のものです、これは私です、これは私のエゴです」と正しく言うことができますか？」
「いいえ、由緒ある方よ」
「したがって、過去、現在、未来を問わず、肉体性、感情、知覚、メンタル形成、意識が何であれ、自分自身または外部、粗大または微妙、高尚または低、遠いまたは近い、これらすべてのことを理解する必要があります。
現実と真の智慧によると「これは私のものではありません、これは私ではありません、これは私のエゴではありません」と」（S. XXII、59）。
「目、耳、鼻、舌、体、そして残りのすべての形成を非永続的で、痛みを伴い、自己ではないと理解している人は、彼の中で束縛（samyojana、q.v。）は解消されます」（S. XXXV、53）。
それは、解放的な洞察を構成する直接的な瞑想の経験による3つの特徴の完全な理解です。解放の3つのゲートウェイとの関係についてです。
Iriyapatha
合同瞑想の時には姿勢を一切変えない努力をする 一日三回はIriyapatha－posture iriyā-patha 威儀路
Viriya 努力 effort
Upekkha equanimity
平静心 the state of the mind s free
from craving、aversion and ignorance.
The state of the mind
when one isn’t react any kind of the sensations either by craving and aversion.
Vedanā sensation 感覚
Sati 気づき
Q&A
体の表面だけに、あるいは内部にも感覚を感じるべきなのでしょうか？
Should one feel sensations only on the surface of the body or also in the interior? https://www.vridhamma.org/search/node/sensation%E3%80%80surface%E3%80%80?page=1
瞑想者はヴィパッサナーを始めるとすぐに内面に感覚を感じます。
最初は表面だけに感覚を感じることから始めます。
しかし、どちらの方法でも大丈夫です。
感覚が表面にのみ現れる場合は、体の表面のあらゆる部分に感覚を感じるまで、それらを繰り返し観察します。
表面のいたるところに感覚を経験した後に内部にも浸透し始めるでしょう。
徐々に心は、物理的構造のあらゆる部分で、外側と内側の両方で、どこでも感覚を感じる能力を発達させます。
しかし、最初は表面的な感覚だけで十分です。
この瞑想は、感覚の分野の全体を介して、感覚の経験を超えた究極の現実へと導きます。
あなたが感覚の助けを借りて、心を浄化し続けるならば、確かに究極の段階に到達するでしょう。
ヒトが無知であるとき、渇望または嫌悪の感覚で現象（正確には感覚器官からの電気信号）に反応するので、感覚は人の悲惨さを倍増させる手段になります。
渇望と嫌悪の感覚は、具体的な物質レベルの体感で実際に緊張が発生することがわかります。
したがって、この問題を解決するには、心の習慣パターンを変えるために働かなければなりません。
ヒトは、変化し続ける宇宙の性質（脳の性質とは異なるもの）を受け入れることで、それらに反応することなく、すべての異なる感覚に気づくことを学ぶ必要があります。
そうすることで、盲目的な反応の習慣から抜け出し、悲惨さから自分を解放します。
センセーション（感覚）とは何なのでしょうか？
肉体的なレベルで感じるものすべてが感覚（センセーション）です。
自然で普通の体の感覚です。たとえば、心地よいか不快か、粗大か微細か、強烈か弱いか、といったものです。
天気の状態、長時間座っていること、古い病気などを理由にして、自分の感覚を無視しないでください。
理由が何であれ、あなたがセンセーション（感覚）を感じているのは事実です。
以前は、不快な感覚を意識から外に押し出して、心地よい感覚を引き込もうとしていたかもしれません。
「今・ここ」では、感覚を自分と同一視することなく、単に感覚だけを客観的に観察します。
ここでいう「観察」とは、対象である感覚に寄り添って、それを感じるということです。対象を判断することなく、原因を探ることなく、思考連鎖することなく、ただ感じて受け入れる、ということです。
たとえば音が聞こえてきたら、その音があると認識し、もし沈黙が続けば、音がないと認識することです。自分から感覚を求めるのではなく、ただ「待つ」て、それを受容します。
それは選択の余地のない観察です。
感覚を選択しようとしないでください。
代わりに、自然に発生する感覚は何でも受け入れます。
何か特別な感覚を探し始めると、自分自身に困難をもたらし、道を進むことができなくなります。
瞑想のテクニックは、何か特別なことを体験することではなく、どんな感覚に直面しても平静であり続けることです。
（平静というのは無関心から起こる平べったい静けさではなく、投げられたボールをカーテンが音もなく受け止めるように、蠢いている感覚を柔らかく、気分よく、暖かく、優しく、大きく、緩やかに気づいていることです）
先程までは自分の体に同じような感覚がある時には、それらを意識的には気づかなかったにも関わらず、物理的（筋肉の緊張、血圧、呼吸、心拍）に反応していました。
しかし、自分の感覚に気づくことで中層や深層の意識に反応をしないこと（自動反応回路による結果であることに気づくだけで、その回路を弱体化させていくこと）、身体レベルで何が起こっているかを感じること、そして平静を維持することを今、学んでいます。
あなたがこのように実践するならば、自然法則の全体性が徐々にあなたの状態を明らかにしていくでしょう。
これがダンマの意味です。
すなわち、自然、法則、真実です。
体験レベルで真実を理解するには、身体という枠組みの中でダンマを探査する必要があります。
これはシッダッタ・ゴータマが覚者になるためにしたことであり、彼がしたことを実践するものは誰でも、宇宙全体、すなわち身体の内外のすべてものは変化し続けることが明らかになるでしょう。
この宇宙には完成された最終的なものなどはありません。
すべてがbhavaと呼ばれる変化のプロセスでしかないからです。
（bhavaとは、エネルギーの塊のことで、素粒子レベルに凝縮しておらず、枠組みの中で変化し続けている霊（いのち）と魂と意識が一体となったエネルギー）
こうして、別の現実が明らかになります。
偶然には何も起こらない、ということです。
すべての変化には効果（結果）を生み出す原因があり、その効果はさらに次の変化の原因となり、原因と結果は無限の連鎖を作ります。
そして、さらに別の法則が明らかになります。
原因がそうであるように、結果はそのようになる、ということです。
たとえば、種によってどのような実になるかが決まります。
同じ土壌に、サトウキビとニームの2つの種を蒔くとします。ニームとは、非常に苦い実を持つ熱帯の植物です。
サトウキビの種は甘い物質を、ニームの種は苦い物質を育てます。自然が一方の植物に優しく、もう一方の植物に残酷である理由を尋ねる人もいるかもしれませんが、実際、自然は親切でも残酷でもありません。
植物は設定されたルールに従って作動しただけです。
自然は、それぞれの種の本性が現れるのを助けるだけです。
甘い実の種を蒔くと、甘い実が収穫できます。苦味の実の種を蒔くと、苦い実を収穫できます。
種によって実が成ります。
つまり、アクションによって結果が現れます。
問題は、収穫時には甘い果実を受け取りたいと関心が非常に高まるのに、播種期の際には注意を怠り、苦味の種を蒔いてしまうことがあることです。
甘い果物が欲しいならば、適切な種類の種を植えるべきです。
奇跡を祈ったり期待したりすることは、単なる自己欺瞞です。
自然の法則に従い、よく理解して生きなければなりません。
種は甘さや苦味の質に応じているため、（原因となる）行動には注意が必要です。
言動には、身体作用、言語作用、マインド（メンタル）作用の3つのタイプがあります。
自分自身を観察することを学ぶ人は、マインド作用が最も重要であることにすぐに気づきます。
なぜなら、これが種であり、結果をもたらす作用だからです。
身体と言語の作用とは、マインドの中身が具体化して言動になったもの、すなわち単なるプロジェクトだからです。
（Projectとはラテン語prRjectus
(prR-前方に＋jacere投げる＋-tus過去分詞語尾＝前方に投げられた）
つまり、まずはマインド作用が起こり、その後にそれが言動として現れます。
したがって仏陀は次のように宣言しました。
マインドはすべての現象に先行し、マインドが最も重要であり、すべてがマインドによって作られたものです。
不純な心で話したり行動したりすると、荷馬車が馬の足跡をたどるように苦しみが続きます。
純粋な心で話したり行動したりすると、幸せは決して離れることのない影としてあなたに従います。
この場合、マインドとは何か、そしてそれがどのように機能するかを知る必要があります。
あなたはもう瞑想の実践によって、この現象をすでに探査し始めています。
調査が進むにつれて、マインドの4つの主要なセグメント（部分）すなわち集合体であることが明らかになります。
最初のセグメントは意識と翻訳されている識viññānaです。
感覚器官は、意識がそれらと接触しない限り、働きません。たとえば、視覚に夢中になっていると、音がしていても聞こえていない場合があります。
これは、その人の意識が視覚にあるためです。
この時のマインドの機能は「知る」ことです。
区別したりすることではなく、単に知ること、つまり察知です。
たとえば音波が耳に接触し、識viññānaは「音が聞こえた」という事実だけです。
それからマインドの次のセグメントの知覚とも訳されている想saññāが働き始めます。
（音波が鼓膜を介して電気信号となり、それが脳に伝わり）過去の経験と記憶に照合し、その音が「何であるか」を認識します。
具体的には、ある音は、ある言葉や良いイメージや良いものに関連付けられ、他の音はある言葉や悪いイメージや悪いものに関連付けられて認識します。
過去の経験に基づいて、その音が良いか悪いかを評価しています。
すぐにマインドの3番目のセグメントの感覚と訳されている受vedanāが働き始めます。
音が聞こえるとすぐに体に感覚がありますが、知覚がそれを認識して評価を与えると、それに従ってその感覚は心地よく、または不快になります。
たとえば、ある音は音質、イメージの良い言葉の意味に関連付けられて、その人は体全体に心地よい感覚を感じます。
もしくは、ある音質、イメージの悪い言葉の意味に関連付けられて、その人は体全体に心地よくない感覚を感じます。
このように感覚は体に生じ、心によって感じられます。これが受vedanāと呼ばれるシステムです。
それからマインドの4番目のセグメントで反応とも訳されている行sankhāraが働き始めます。
ある音が良いものと関連付けられると心地よい感覚になり、それが好きになり始めます。
「これは素晴らしい！もっと欲しい！」というように。
もしくは悪いものと関連付けられると心地悪い感覚になり、それが嫌いになり始めます。
「これはひどい！ここから離れたい！」というように。
それぞれの五感覚器官の入口（色、音、香、味、触と接触した目、耳、鼻、舌、体）では、同じプロセスが発生します。
同様に、思考や記憶や想像力がマインドに触れると、同じように体に心地よいまたは不快な感覚が生じ、好き、または嫌いという反応をします。
この瞬間的な好みは大きな渇望へと、嫌いは大きな嫌悪感に発展します。
マインドの内側に結び目を作り始めるのです。
この結び目が実を結ぶ本当の種、結果をもたらすメンタル的反応、すなわち行sankhāraです。
ヒトは意識してない内に、この種を蒔き続け、好きまたは嫌い、渇望または嫌悪という反応をし続け、そうすることによって自分自身を惨めにしています。
反応の回路には3種類あります。
非常に軽い印象だけなのですぐに根絶される反応、少し深い印象なので少し時間が経つと根絶される反応、非常に深い印象なので根絶されるのに非常に長い時間がかかる反応です。
一日の終わりに、自分が生み出したすべてのサンカーラを思い出そうとすると、その日に最も印象に残った1つか2つしか思い出せなくなります。
同様に、月末や年末には、その間に最も印象に残ったサンカーラを1つか2つしか思い出せなくなります。
そして、好むと好まざるとにかかわらず、人生の終わりには、最も強い印象を与えたサンカーラが頭に浮かぶはずです。
そして転生した次の人生でも同じ性質の心から始まるので、同じ甘さや苦味の質を持つことになります。
私たちは自分たちの現世の行動によって自分たちの未来を創造しています。
ヴィパッサナーは死に至るアート（技術）を教えます。
平和に、世界とハーモニーを保って死ぬ方法です。
それは、生きるためのアートを学ぶことによって、死に至るアートを学ぶことになります。
現在の瞬間のマスターになるには、この瞬間にサンカーラを生成しないこと、
つまり「いま・ここ」で幸せな生活を送ることです。
現在が良ければ、未来を心配する必要はありません。
未来は単なる現在の産物であり、それゆえに良いものになるはずです。
この手法には2つの側面があります。
1つ目は、意識レベル（顕在意識）と無意識（潜在意識）レベルの間の障壁を打ち破ることです。
通常、表層意識は無意識が経験していることについて何も知りません。
この無知に隠されて、渇望と嫌悪の反応は潜在意識のレベルで起こり続けます。
それらが表層意識レベルに達するときには、反応は非常に激しくなっており、本人のマインドを簡単に圧倒してしまいます。
しかし、障壁を破るテクニックをマスターすることによって、マインドの全体を意識し、気づくことができます。
こうして、無知は取り除かれます。
テクニックの2番目は平静です。
あらゆる感覚の経験をすべて感知しても、それに大きく反応しないことで、渇望や嫌悪の新しい結び目（回路、アプリ）を作らければ、自分自身に悲惨さを生み出しません。
瞑想のために座っている初期の頃は、ほとんどの場合において感覚に反応してしまっているでしょう。
しかしたとえば激しい痛みにもかかわらず、あなたが平静であり続けるとき、反応が弱まる瞬間が訪れるでしょう。
そのような平静の瞬間がマインドの習慣のパターンを変える力となります。
このような習慣パターンの書き換えが積み重なり、aniccāを体感してると、生じては消え去るものに執着していることに気づき、どんな感覚でも微笑むことができる段階に徐々に到達します。
この段階に至るには、自分自身で歩むしかなく、他の誰もあなたのために働くことはできません。
あなたは道の最初の一歩をすでに踏み出しました。
後は、あなた自身の解放に向かって、一歩一歩と続けてください。
皆が本当の幸せを楽しむことができますように。
すべての存在（生命体）が幸せになりますように！
なぜヴェーダナーなのか？ ヴェーダナーとは何か？ S.N.ゴエンカ
Why Vedana and What is Vedana?
「ダンマは苦しみを取り除き、幸福をもたらします。では、いったい誰がこの幸福を与えるのでしょうか。それはブッダではなく、私たちの身体にあるアニッチャ（無常）という真理を理解する“ダンマ”なのです。だからこそ、瞑想を続け、常にアニッチャを観察する必要があります。」
—サヤジ・ウ・バ・キン
私がサヤジ・ウ・バ・キン氏に初めてお会いしたとき、私は自分の信仰に強く執着し、ブッダの教えに対して疑念を抱いていました。サヤジ氏は、私が地元インド系ヒンドゥー教コミュニティのリーダーであることを知っていて、こう尋ねました。
「あなたたちヒンドゥー教徒は、シーラ（道徳律に従った生活）やサマーディ（集中による心の制御）、そしてパンニャー（智慧で心を純化すること）に反対ですか？」
「どうしてそんなことに反対できるでしょう。誰も反対はできないはずです。するとサヤジは続けました。
「では、これこそがブッダの教えです。私が関心を持ち、あなたにも伝えたいのはこの3つだけなのです。」
サヤジ氏の解釈するダンマは、普遍的で宗派に偏らず、私がヒンドゥー教徒であることも問題とはなりませんでした。
私が初めてヴィパッサナー瞑想のコースを受けたとき、ブッダの教えに触れて人生が大きく変わりました。論理的・実践的・普遍的で、どの宗派にも偏らないブッダの教えに、私は強く引きつけられたのです。そこには何も否定すべきことがありませんでした。
以前から、煩悩を滅して心を清らかにするといった話は何度も聞いたり語ったりしてきました。しかし、実際に「身体感覚（ヴェーダナー）を観察する」という瞑想を始めると、最初は「これがどう役に立つのか」と疑問に思いました。ところがすぐに、感覚を観察することで煩悩の根にまで到達できるのだと分かったのです。実際、そこには苦しみからの完全なる解放（ニッバーナ）に向かう道がありました。
サヤジの教えは、ただ信仰を強めたり知的に満足するためのものではありませんでした（もちろんそれらも大切ですが）。それ以上に、「体験を通して真理を理解する方法」を教えてくれました。もし私が誰かから、知的議論や論理だけでブッダの教えを説得されていたならば、私は自分の信念にすでに満足していたので、納得しなかったでしょう。けれども“身体感覚を通じて今この瞬間の真理を直接体験する”ことで、私は心から納得できました。その具体的なツールのおかげで、ヒンドゥー教の理想である「スティタプラジュニャ（Sthitaprajna／不動の智慧をもつ者）＝パーリ語ではティタパンノ（Thitapanno）」になれる、という自信を持ったのです。
瞑想を続けるほどに、「ブッダこそ、心と物質をもっとも科学的に分析し、苦しみとその根絶方法をもっとも的確に説いた方だ」と確信するようになりました。ブッダが比類なき科学者である理由は、「タンハー（渇愛）は外の対象だけでなく、ヴェーダナー（感覚）に対する反応から起こる」という発見にあります。
ブッダ以前やブッダ以後にも「苦しみの原因はタンハーだ」と説くインドの霊的指導者たちはいましたが、彼らはタンハーを「五感の対象が原因」と考えていたのです。ところがブッダは、もっと重要な要素として「ヴェーダナー（身体感覚）」との関係を説きました。タンハーは「快感を求めて持続・獲得しようとする渇望」と、「不快を避けようとする嫌悪（反発）」の両面をもちます。ブッダは「渇望と嫌悪は、実は身体感覚をめぐる反応として起こる」と明らかにしたのです。
ブッダの最大の発見、つまり「タンハーの真の原因がヴェーダナーにある」という点こそ、人類への比類なき贈り物です。この発見によって、私たちは自分の内側にある解放への扉を開く鍵を手にしました。ほかの師たちが「サラーヤタナ（六つの感覚器官 - 眼・耳・鼻・舌・身・意 )からタンハーが起こる」と説いた一方で、ブッダは「ヴェーダナーをきっかけとしてタンハーが起こる（vedana paccaya tanha）」と説いています。タンハーが感覚を契機に起こるならば、その根を断つためには、ヴェーダナーの正確な理解と体験が欠かせません。感覚がどのように渇望と嫌悪を生み出すか、そしてどうすればそれを乗り越えられるかを知る智慧が必要なのです。
Samahito sampajano, sato
Buddhassa savako;
vedana ca pajanati, vedanananca sambhavam.
Yattha ceta nirujjhanti, magganca khayagaminam;
vedananam khaya bhikkhu, nicchato
parinibbuto’ti.
ブッダの弟子は、集中、気づき、そして無常についての絶え間ない徹底的な理解によって、感覚とその生起、その消滅、そしてそれらの終息へと導く道を、智慧をもって知る。感覚のすべての範囲を体験し、それを超越した瞑想者は、渇望から解き放たれ、苦しみから完全に解放される。
SN36.1. 禅定の経 SN36.1 Samādhisutta (サンユッタ・ニカーヤ
2.4.249)
このような理由から、ブッダは「メンタル界（ナーマ）」と「物質エネルギー界（ルーパ）」の気づきを培う瞑想を実践し、人々にもその方法を教えました。
「身体（カーヤ）」は「物質エネルギー界（Rupa）」に含まれ、「感覚（ヴェーダナー）」はこの身体において感じられます。
「メンタル界（Nama）」には「意識（citta）」と、そこに生じる「心所（ダンマ）cetāsika？(mental concomitants)」が含まれます。
This is why the Buddha practised and taught the
meditation of awareness of mind and matter (nama and rupa).
RupaRupa includes kaya (body) and vedana
is felt on kaya. NamaNama includes cittacitta (consciousness) and the dhammasdhammas
arising on it.
ヴェーダナーもメンタル現象（cetasika）の一つです。「sabbe dhamma vedana samosarana（すべての心の現象は感覚を伴う）」
samosarati：[saṃ +
ava + sar + a] comes together；
assembles
とブッダは説いています。私の理解では、kayanupassana（身体の観察）やvedananupassana（感覚の観察）だけでなく、cittanupassana（心の観察）やdhammanupassana（ダンマの観察）においても、ヴェーダナーへの気づきが大きな役割を担います。いずれの観察でも、修行者はヴェーダナーを観ながら、その生起（samudayadhammanupassi）と消滅（vayadhammanupassi）をありのままに見て、その無常性（アニッチャ）を理解します。そうすることで、快感覚に対して渇望せず、不快感覚に対して嫌悪することもなく、平静心（upekkha (equanimity)）を保ち続けられるのです。
私が内面を掘り下げた結果、行動パターンは無明（知らないまま）のうちに、感覚に対して絶えず渇望や嫌悪で反応することで強化されるのだと実感しました。こうして私たちは、自分の古い反応パターンの奴隷となり、深いレベルで盲目的な反応を続けているのです。アヌサヤ・キレーサ（Anusaya Kilesa／潜在的煩悩）は、まさに「眠れる火山」のようにいつも心の奥底でくすぶり、感覚への盲目的な反応をくり返させます。
しかし、ブッダの発見した方法を使うと、修行者はその反応パターンから抜け出すことができます。私はインドや世界各地の瞑想法をいくつか知っていますが、その中でこれほど明快に、渇望と嫌悪の根を断ち、潜在的な反応パターンまで消し去る方法が説かれているのは、このヴィパッサナーだけだと思います。
Sukhaya, bhikkhave, vedanaya raganusayo pahatabbo, dukkhaya vedanaya patighanusayo pahatabbo, adukkhamasukhaya vedanaya avijjanusayo pahatabbo.」
「比丘たちよ、快感覚（身体感覚）を正しく観ることで渇愛の潜在的傾向を、苦感覚を正しく観ることで嫌悪の潜在的傾向を、そして中立的な感覚を正しく観ることで無明の潜在的傾向を、それぞれ断つべきである。」
SN 36.3 Pahānasutta SN 36.3捨棄の経 (サンユッタ・ニカーヤ 2.4.251)
これは、ブッダが人類に示した独特の大きな貢献だと私は理解しました。ではヴェーダナーとは何を指すのか。ブッダは、ヴェーダナーを「メンタル界（ナーマ）」の構成要素の一つと位置づけ、苦しみからの解放における重要な鍵だとされました。
ブッダは特に「身体で感じられる感覚」に大きな比重を置きました。もちろん心的な喜びや悲しみ（somanassa 、domanassa）も同時に起きていますが、苦しみからの完全な解放に向けた瞑想では身体感覚が決定的に重要です。
I realized this to be a unique contribution of the Buddha to humanity. The question that arises now is what do we call vedana? It is clear from the words of the Buddha that vedana is one of the four aggregates of mind (sanna, sankhara and vinnana being the other three) and that it plays a vital role in liberation from misery.
The Buddha gave importance to the vedana that one feels on the body. The vedana that one feels on the body is experienced by the vedana khandha (feeling aggregate) of nama, rather, it is the vedana khandha of nama. Rupa (matter) in itself cannot experience sensations arising on it.
For the meditation of liberation from misery, bodily sensations are important. This does not mean that mental feeling (somanassa and domanassa) is to be ignored; it continues simultaneously.
私が学んだ流れは「レディ・サヤドーの系統」と呼ばれていますが、これはブッダの教えそのものだと言えます。ここでは身体に生じる感覚を最重視します。サヤジ・ウ・バ・キンの元で初めてコースを受けたとき、この点がとても新鮮でした。頭で「無常だ」と理解しても、それだけでは知性の領域が少し浄まるだけです。心の深部に根づいた行動パターンは変わりません。実際、私たちは深い心のレベルでは感覚に対して盲目的に反応し続けてしまうのです。
The tradition in which I drank the nectar of benevolent Dhamma that liberates one from all misery is called the tradition of Ledi Sayadaw,tradition of Ledi Sayadaw which is actually the tradition of the Buddha. This tradition gives all importance to the sensations that one feels on the body. When I took my first course at the feet of Sayagyi U Ba Khin, I was extremely attracted to this unique aspect of meditation. My first Vipassana course showed me that mere intellectual knowledge of the impermanent nature of mind and matter phenomenon can purify only the intellect to some extent. It does not change us at the depth of the mind where we remain slaves of our behaviour patterns and keep on reacting in utter ignorance.
この方法によって私は大きな恩恵を受けました。そして師の勧めでブッダの経典に当たり、また、なぜインドでこの教えが失われたのかを調べました。子どものころは「ブッダはヒンドゥー教の良い点を取り入れ、そこに惑わせを混ぜただけで新しいものはない」という話を聞かされていたのですが、実際に瞑想してみると真逆でした。私はブッダの教えをとても有益だと感じ、そこには惑わせや虚偽は一切なかったのです。
経典（ティピタカ）を読むと、ブッダがいかに「実際に体験すること」を強調しているかが分かります。「Bhavito bahulikato（自分で体験し、さらに深めなさい）」という表現が繰り返し登場しますし、
bhavati：[bhu + a] becomes; to be; exists． ある、存在する、領域レベル
bahula [bahu-la]：[adj．]
abundant; frequent多く，多数，富める，熱心な
「Jana, passa―自分で知りなさい。自分の経験を通して知りなさい」と何度も説かれています。
jana：[m．] a
person； a man； the people．
passa： [passati の imper．] 見よ．
この道では、現実に即して実践することが重視されるため、幻想や妄想や想像や盲信が入る余地はありません。私の経験とも合致するように、ブッダの言葉は「身体感覚（ヴェーダナー）が苦しみを消滅させるために重要な役割を持つ」と明確に示していました。
I benefited so much from this technique of meditation that I started reading the words of the Buddha in accordance with my teacher's advice. I was also curious to find out why India lost this noble teaching. I had been told from childhood that the Buddha incorporated good points from our tradition in his teaching and then added delusion to it, and had not discovered anything new. My experience turned out to be contrary to this belief. I found the Buddha's teaching to be very beneficial. This led to a further exploration to find the truth about these statements. Reading the words of the Buddha (Tipitaka) gave me so much joy! How wrong my earlier information turned out to be! It showed how the Buddha's emphasis was on actual experience of the truth. How could a teaching so firmly grounded in reality lead to delusions? I could detect no trace of falsehood on this path. The words bhavito bahulikato-know with your own experience and thus gain and multiply knowledge occurs many times in Tipitaka. The Buddha said again and again, "jana, passa"-know thyself, with your own experience. The actual experience of the truth, as it is, ensures that there are no illusions or delusions, no imagination or any blind beliefs on this path. The words of the Buddha also confirmed my experience that the physical, bodily sensations are of utmost importance to the art of liberation from all suffering.
ブッダは『長部経典（ディーガ・ニカーヤ）』の中で、苦（ドゥッカ）を次のように定義しています。
"Katamanca,
bhikkhave, dukkham? Yam kho, bhikkhave, kayikam dukkham kayikam asatam kayasamphassajam dukkham asatam vedayitam, idam vuccati, bhikkhave,
dukkham."
「比丘たちよ、いかなるものを苦というのか？ 身体的な痛みや不快感、身体接触によって生じるどんな痛みや不快感も、苦と呼ぶ。」(Digha
Nikaya 2.393)
ドーマナッサ（Domanassa、心的な苦痛）については、
"Katamanca, bhikkhave, domanassam? Yam kho, bhikkhave, cetasikam dukkham cetasikam asatam manosamphassajam dukkham asatam vedayitam, idam vuccati, bhikkhave, domanassam."「
比丘たちよ、いかなるものを憂（ドーマナッサ）というのか？ 心的な痛みや不快感、心の接触によって生じるどんな痛みや不快感も、憂と呼ぶのである。」
(Digha Nikaya 2.394)
ここでも、身体的な苦痛を「ドゥッカ」と呼び、心的苦痛を「ドーマナッサ」と呼んで、はっきり区別しています。
While describing dukkha it is said, 3
"What now, O monks, is pain? If there is, O monks, any kind of bodily pain, any kind of bodily unpleasantness or any kind of painful or unpleasant feeling as a result of bodily contact-this, O monks, is called pain."
And while describing domanassa it is said, "Katamanca, bhikkhave, domanassam? Yam kho, bhikkhave, cetasikam dukkham cetasikam asatam manosamphassajam dukkham asatam vedayitam, idam vuccati, bhikkhave, domanassam."4
"What now, O monks, is grief? If there is, O monks, any kind of mental pain, any kind of mental unpleasantness or any kind of painful or unpleasant feeling as a result of mental contact-this, O monks, is called grief."
This again makes it clear that when the Buddha describes dukkha vedana, he is talking about bodily sensations.
ブッダは『 Satipatthana Sutta』でAtapi sampajano satimaと説きますが、このサンパジャンナとは、肉体とメンタルの構造（特にヴェーダナ）の無常性を、常に明確に理解し、徹底的に理解することです。
ヴェーダナは身体で感じられますが、それは心の一部でもあります。
ヴェーダナを観察することは心と物質エネルギーの現象を観察することを意味します。
Kathanca, bhikkhave, bhikkhu sampajano hoti? Idha, bhikkhave, bhikkhuno vidita vedana uppajjanti, vidita upatthahanti, vidita abbhattham gacchanti. Vidita vitakka uppajjanti, vidita upatthahanti, vidita abbhattham gacchanti. Vidita sanna uppajjanti, vidita upatthahanti, vidita abbhattham gacchanti. Evam kho, bhikkhave, bhikkhu sampajano hoti. Sato, bhikkhave, bhikkhu vihareyya sampajano. Ayam vo amhakam anusasani'ti
「比丘たちよ、どのようにして比丘はサンパジャーノとなるのか？ ここにおいて比丘は、感覚（ヴェーダナー）が起こるとき、それが続いているあいだ、そして消えるときのそれぞれを知る。同様に、起こる思考vitakkaや想念sannaを知り、それが続くとき、消えるときにそれぞれ気づいている。これこそ、比丘がサンパジャーノとなる方法である。比丘たちよ、常に気づきと明確な理解を保ちなさい。これが私たち（ブッダ）の教えである。」
SN 47.2 Satisutta SN47.2. 気づきの経 (サンユッタ・ニカーヤ
3.5.401)
The Buddha says in the Satipatthana
Sutta: Atapi sampajano satima.
Atapi and satima are simple
to understand but I had to search for the meaning of sampajano.
I found that it was clearly defined: Sampajanna is
continuous clear comprehension and thorough understanding of the impermanent
nature of the physical and mental structure (particularly vedana).
Vedana is felt on the body but it is part of the mind and its observation means
the observation of the mind and matter phenomenon.
Kathanca, bhikkhave, bhikkhu sampajano hoti? Idha, bhikkhave, bhikkhuno vidita vedana uppajjanti, vidita upatthahanti, vidita abbhattham gacchanti. Vidita vitakka uppajjanti, vidita upatthahanti, vidita abbhattham gacchanti. Vidita sanna uppajjanti, vidita upatthahanti, vidita abbhattham gacchanti. Evam kho, bhikkhave, bhikkhu sampajano hoti. Sato, bhikkhave, bhikkhu vihareyya sampajano. Ayam vo amhakam anusasani'ti.
And how, O monks, does a monk understand thoroughly? Here, monks, a monk knows sensations arising in him, knows their persisting, and knows their passing away; he knows each initial application of the mind on an object arising in him, knows its persisting and knows its passing away; he knows perceptions arising in him, knows their persisting, and knows their passing away. This, meditators, is how a meditator understands thoroughly. A monk should abide mindful and composed. This is our instruction to you.
ブッダはまた、身体に吹きつける風にたとえて、さまざまなヴェーダナーが身体に起こることを説いています。
Yathapi vata
akase, vayanti vividha puthu;
puratthima pacchima capi, uttara atha
dakkhina.
Saraja araja capi, sita unha ca ekada;
adhimatta paritta ca, puthu vayanti maluta.
Tathevimasmim kayasmim, samuppajjanti vedana;
sukhadukkhasamuppatti, adukkhamasukha
ca ya.
Yato ca bhikkhu atapi, sampajannam
na rincati;
tato so vedana sabba, parijanati pandito.
So vedana parinnaya, ditthe dhamme anasavo;
kayassa bheda dhammattho, sankhyam nopeti vedagu'ti.6
「たとえば大空を吹き渡る風は、東西南北あらゆる方向からやって来て、塵を含むものも含まないものも、冷たいものも熱いものも、強い突風も穏やかな微風もある。
同じように、この身体にもさまざまな感覚（ヴェーダナー）が起こる。それは快の感覚、不快の感覚、中立的な感覚である。
精進を怠らず、明確な理解を保ち続ける修行者は、こうしたすべての感覚を徹底的に知り尽くし、この現世で煩悩を離れる。
人生の終わりにも、ダンマに安住し、感覚を完全に理解したまま苦しみからの完全な解放（ニッバーナ）に至る。」
SN 36.12 Paṭhamaākāsasutta SN 36.12. 第一の虚空の経 (サンユッタ・ニカーヤ 2.4.260)
The words of the Buddha also clarify that vedana indicates sensations on the body:
Through the sky blow many different winds, from east and west, from north and south, dust-laden and dustless, cold as well as hot, fierce gales and gentle breezes-many winds blow. In the same way, in this body, sensations arise, pleasant, unpleasant, and neutral. When a bhikkhu, practising ardently, does not neglect his faculty of thorough understanding, then such a wise person fully comprehends all sensations. And having fully comprehended them, within this very life he becomes freed from all impurities. At his life's end, such a person, being established in Dhamma and understanding sensations perfectly, attains the indescribable stage.
別の例えでは、この身体にさまざまな感覚が各方位から旅人が集まる宿屋のように訪れると説かれます。
Seyyathapi, bhikkhave, agantukagaram, tattha puratthimayapi disaya... pacchimayapi disaya... uttarayapi disaya... dakkhinayapi disaya agantva vasam kappenti. Khattiyapi... brahmanapi... vessapi... suddapi agantva vasam kappenti. Evameva kho, bhikkhave, imasmim kayasmim vividha vedana uppajjanti. Sukhapi... dukkhapi... adukkhamasukhapi vedana uppajjati. Samisapi sukha... samisapi dukkha... samisapi adukkhamasukha vedana uppajjati. Niramisapi sukha... niramisapi dukkha... niramisapi adukkhamasukha vedana uppajjati'ti.
「たとえば、東西南北あらゆる方向から人々がやって来て泊まる宿舎があるように、この身体にもいろいろな感覚が生じる。快・苦・中立の感覚や、執着を伴う快・苦・中立の感覚、執着を伴わない快・苦・中立の感覚など、さまざまなものが起こる。」
SN 36.14 Agārasutta SN 36.14. 家屋の経 (サンユッタ・ニカーヤ 2.4.262)
こうした経文を読むほどに、ブッダが説くヴェーダナーには身体感覚(肉体的な感覚)が含まれることに疑いの余地はないと確信しました。
私の尊敬する師（サヤジ・ウ・バ・キン氏）は、よく『Tikapatthana』を唱えておられました。これを調べると、「kayikam sukham （身体的な快感覚）」と「kayikam dukkham（身体的な苦感覚）」が、苦しみからの完全な解放（ニッバーナ）に近づくために強力なきっかけ（upanissaya）として働くことが明確に説かれています。
「Pakatupanissayo-kayikam sukham kayikassa sukhassa, kayikassa dukkhassa, phalasamapattiya upanissayapaccayena paccayo. Kayikam dukkham kayikassa sukhassa, kayikassa dukkhassa, phalasamapattiya upanissayapaccayena
paccayo.」
upanissaya：[m．] basis 基盤；
support； sufficing condition．十分な条件
原因と条件の強い因果関係によって、身体の快い感覚は、快・不快感覚が起きる原因、そして涅槃の達成の原因となる。
原因と条件の強い因果関係によって、身体の不快な感覚は、快・不快感覚が起きる原因、そして涅槃の達成の原因となる。
Paṭṭhāna pakaraṇa 1.2. Kusalattika (Patthana 1.1.423)
Pakatupanissayo-kayikam sukham upanissaya...
vipassanam uppadeti, maggam uppadeti, abhinnam uppadeti, samapattim uppadeti.」
「身体的な快感覚を縁として……ヴィパッサナーが起こり、聖なる道（magga）が開かれ、高次の智慧が生じ、苦しみからの完全な解放の境地へと至る。」
Paṭṭhāna pakaraṇa 1.3. Vedanāttika (Patthana 1.1.423)
一部の友人には「ヴェーダナーは心の側（ナーマ）だから身体とは無関係だ」という人もいます。ですが、私にとっては三蔵（ティピタカ）の各所が「身体感覚こそがブッダの教えの根幹をなす」と証明しているように思えます。『Patthana』の記述は、その明確な裏づけでした。私はこの実践から大いに恩恵を受けていますし、サヤジの教えに従って、身体感覚を重視するヴィパッサナーを多くの人に伝えています。
ソーマナッサ（Somanassa）とドーマナッサ（Domanassa）は心の喜びや悲しみを指しますが、スッカ（Sukha）とドゥッカ（Dukkha）は文脈によって「幸福・苦しみ」という広い意味と、「身体的な快苦」という限定的な意味の両方で使われます。
ブッダはしばしば、「スッカ・ヴェーダナー（身体的快感覚）、ドゥッカ・ヴェーダナー（身体的苦感覚）、アドゥッカマスッカ・ヴェーダナー（不楽不苦の感覚）」の三種類を挙げています。「ソーマナッサ・ドーマナッサ」は主に五種類の感覚に含めるときに出てくる言葉です。これは、ブッダの教えにおいて身体感覚が中心的な位置を担っている証とも言えます。
Tisso ima, bhikkhave, vedana. Katama tisso? Sukha vedana, dukkha vedana, adukkhamasukha vedana. Ima kho, bhikkhave, tisso vedana.
「比丘たちよ。感じ方には三つの種類がある。それらは、快い感覚、不快の感覚、どちらでもない中立の感覚である。これらの三つの感覚である。」
There
are these three types of bodily sensations. What are the three? Pleasant
sensations, unpleasant sensations and sensations that are neutral (neither
pleasant nor unpleasant).
SN 36.2 Sukhasutta SN36.2. 安楽の経 (サンユッタ・ニカーヤ 2.4.250)
「Katama ca, bhikkhave, panca vedana? Sukhindriyam, dukkhindriyam, somanassindriyam, domanassindriyam, upekkhindriyam-ima
vuccanti, bhikkhave, panca vedana.」 pañca
「比丘たちよ。五つの感覚とは何か。それは、体に感じる心地よい感覚、体に感じる苦しみの感覚、心が喜んでいる感覚、心が苦しんでいる感覚、心が穏やかでどちらでもない感覚、である。これが五つの感覚である。」
SN 36.22 Aṭṭhasatasutta SN 36.22百八の経 (サンユッタ・ニカーヤ
2.4.270)
ブッダがサティパッターナ（気づきを確立するためのトレーニング）の文脈でヴェーダナーについて説くときは、「ソーマナッサやドーマナッサ」ではなく、「スッカやドゥッカ」を挙げています。これは、メンタル界（ナーマ）の要素であっても身体に根ざした感覚こそ、苦しみからの完全な解放を目指す瞑想で取り扱う上で最も重要だからでしょう。
このような理由から、「無色界ブラフマー（arupa-brahma）」のように身体をもたない生命体にはヴィパッサナーができません。ブッダが過去に師事した無色界の禅定を極めた師たち（第七禅・第八禅に到達していた人々）にも、ブッダはダンマを説けなかったと記述されています。身体がないため感覚（ヴェーダナー）がなく、したがって感覚への気づきを通した修行で解放に至る道を実践できないのです。
色界ブラフマーは物質エネルギーを構成要素とした体と２つの微細感覚器官をもつ生命体である。
色界ブラフマーは体が天界の神々よりも微細であり、身体感覚がなく、あるのは光と音の微細感覚器官だけである。
無色界ブラフマーは同様に物質エネルギーを構成要素とした体はもつが、微細感覚器官は持たない生命体である。
なぜ色界ブラフマーはヴィパッサナーができて、無色界ブラフマーはヴィパッサナーができないのは何故か？
ヴィパッサナーは身体感覚だけではなく、微細感覚器官の感覚でもできるものだと推察できる。
ではどのように？ 微細な光波や音波を生じては消え去るものとして感じ続けることで、これらの対象に対して付着することができないことがわかり、執着が消え去ることが、ヴィパッサナーができる理由なのか？
対して無色界ブラフマーは微細感覚器官がないのでaniccāを実感することができない。メンタル界はnāmagottaのように対象としては把握できるが、そこには実感できるaniccaはない。
涅槃に至るのに大切なことは、対象は何でもいいのでその対象にaniccaを感じ続けることなのではないか？
aniccaと伴に生きることが涅槃に至るメカニズムは？
変化するものに対してはどうすることもできないので、自然と執着がなくなるから？
ちなみにサマーディ（集中）を深める際、第三禅定に達するとソーマナッサ（心的な快）とドーマナッサ（心的な不快）が消えますが、スッカとドゥッカ（身体的な快感と苦痛）は第四禅定になるまで消えません。さらに第四禅定に至っても、アドゥッカマスッカ（中立的感覚）はなお残ります。
身体感覚は渇望tanhaの根本であり、現実への強固で継続的な執着の原因になります。感覚は明確に理解することができれば、自らの救済を得るための具体的な手段になります。
私自身、この瞑想法を実践することで、渇望taṇhāが感覚レベルで起こり、そこに無知のまま反応していたことがはっきり見えてきました。身体感覚が明瞭に感じ取れるので、渇望や嫌悪がどのように生じては消えていくかをリアルタイムで観察できるのです。こうした実体験が私を深く納得させ、ブッダの教えを一層信頼するようになりました。私が行うコースでも、生徒たちは身体感覚を観察する方法によって大きな利益を得ています。
師から教わった技法を用いた自身の経験から、ブッダの言葉は大変説得力があり、心を強く打つものでした。
この解放の技法を生徒たちと共有すると、彼らも感覚に働きかけ、その本質を理解することで恩恵を受けていることに気づきます。
ブッダの明確で実践的、そして結果重視の教えは、私に大きな信頼と自信を与え、そこには、想像や盲信の余地は全くありません。
ときどき「なぜそこまで身体感覚を重視するのか」と聞かれることがありますが、そのたびに私は、「ぜひ実際にヴィパッサナーを試してみてください。それがブッダの教えに合致しているか、体験を通じて確かめられます」とお答えしています。
どうかこの技法に疑いを持たず、ブッダという「心と物質の最高の科学者」であり「比類なき医師」が示した道を共に歩んでいきましょう。自分の哲学的信念が、妨げにならないようにしましょう。ヴェーダナこそが、私たちを苦しみから解放する道具であるという、仏陀の発見を活用しましょう。
どうかすべての人々が幸福で、平和で、そして解放されますように。
May all be happy, peaceful and liberated.
参考文献（VRI版に準拠）
Samyutta Nikaya 2.4.249
Samyutta Nikaya 2.4.251
Digha Nikaya 2.393
Digha Nikaya 2.394
Samyutta Nikaya 3.5.401
Samyutta Nikaya 2.4.260
Samyutta Nikaya 2.4.262
Patthana 1.1.423
Patthana 1.1.423
Samyutta Nikaya 2.4.250
Samyutta Nikaya 2.4.270
５日目の講話 ここがポイントなのでちゃんと理解すること
足が痛くて後15分という頃には拷問となっている。
ゴエンカ師の唱歌が聞こえるともうすぐ終わることがわかり、苦しみが喜びになる。
学んできた導師たちと違い、釈迦だけが解脱できた理由は三番目のbhāvanā-mayā paññā（自分自身が体験する智慧）を取得したから。
嫌悪との付き合い方 受容
嫌悪を嫌がって拒否や抑圧をせずに受け入れる。そして、どれだけ嫌悪が続くか見守る。すると嫌悪は消滅していく。
不幸からの離脱する方法 不幸に正対してあるがままに見る。次に、その原因を取り去る
例えば痛みには肉体によるものとマインドによるものがある。マインドによるものは取り除くことができる。
不幸のプロセス 潜在意識の反応→意識→モノ・心に影響を与える
潜在意識の領域で自動反応回路が反応するので、そのアウトプットを表層意識は認識し、その認識が身体に影響を与える
四聖諦 しせいたい four noble truths Ariya-Saccaパーリ語
１苦しみの真理 苦しみがあり、それは潜在意識にある汚れと束縛
我々すべての存在は生老病死などの苦に悩まされる苦的存在であるという真理
２苦しみの根本の真理 原因は外ではなく内側にあり、渇愛に代表される汚れ(煩悩)であるという真理
欲は満たされないものなので、渇望や嫌悪を発生させない。
３苦しみを止める真理 煩悩を滅した状態は寂静なる涅槃(ねはん)であるという真理
内側にある原因に気づくと苦は消滅する
４苦しみを止める導きの道の真理 涅槃に導く道は，八正道などの実践行であるという真理
仏教の開祖である釈尊は，ブッダガヤーの菩提樹下でこの四諦の真理(諦，サティヤ satya)を，あるいは十二因縁という縁起の法を悟ったといわれる。
前二つは，集諦があるから苦諦があるという迷いの世界における因果関係を、
後者の二つは，道諦があるから滅諦があるという悟りに向かう過程での因果関係をそれぞれ表しており、
仏教の縁起説(縁起)を十二因縁とは異なった側面から表現したもの
苦しみの原因
欲を求めたり嫌なことから逃げたりする気持ちが苦しみになる。
原因は五蘊にある。この集合体がupādāna執着を産み出している。
upā近くに＋ādāna 掴む・取得 近くに置いておく、という意味で対象を掴み続けている行為
4つの執着
１欲望中毒 渇望の習慣 常に欲求不満でいると表層意識は常に変化があるので心地よいが、潜在意識は落ち着くことができず、苛立っている。
かゆみのようなもの。傷口を掻く快感、しかし状況は悪化する
２「わたし」への依存 人格の批判を許さない計り知れない執着 この依存はmyまで拡がる。
何かがなくなるまでは幸福は続く
３見解や信仰 他の見解や批評を受け入れたりするのは我慢できない。
サングラスを外さずにそれに執着することで思想、宗教、哲学が生まれる
４儀式 幼児体験、伝統、習慣への固執 空虚な外見のカタチへのこだわり、成功体験
なぜ執着するのか？
それはjāti誕生があるから。釈迦の見解である。
ブッダの四苦の一つ「誕生」とは？
なぜ「生まれる」のか？
それは、この全宇宙の終わりのない「生成becoming」というプロセスの一つであるから。
肉体は滅びていっても、五蘊は他のカタチと結びついて、「流動」し「生成」する
五蘊の流れは他の生命体に受け継がれる。
ブッダにとっては明らかなことで、原因はヒトの心の内で育ててしまった執着心であった。
物質エネルギーで構成されるプロペラに普遍エネルギー（ダークエネルギー）が通過することで生命の推進力が生じる。マインドは物質エネルギーの「容器」にエネルギー０のnibbāna dhātuが入ると発生する。
生成の変化は宇宙の法則である。
対象が変化し続けるものにもかかわらず、その動きを静止させて固定化させて把握しようとする回路が執着心なので、つねに、永遠の生成プロセスとの間にギャップが生じ、そこに苦しみがある。
私の疑問は、ではヒトが絶滅すれば生成はなくなるというのか？植物や微生物には執着心はあるのか？
ヒトが絶滅しても30領域の生命体の流れは継続する。
執着心とはマインドがあるものが対象に執着すること。
マインドは物質エネルギーで構成される「容器」にエネルギー０の涅槃nibbāna dhātuが入ると発生するので、植物にも微生物にもマインドはある、と私は想う。
しかし、上部座仏教では植物にはマインドはない、と規定されている。しかし、これに対してはよくわからない。
二酸化炭素を求める微生物がいるので、微生物は対象に対する欲求はあるので執着心はあるのではないか。
執着心がサンカーラという岩のように強い反応（自動反応回路）を作ってしまい、これが心の奥に強いこだわりを作り上げる。次のカタチとなる、すなわち生成である。
死ぬ前（老齢期）になってこれらが心の奥底から浮かび上がり「意識の流れ」が続くように後押しする。
執着心の原因は？
好き・嫌いの瞬間的な反応が執着心に変わっていく。
具体的には、好きは対象への接近から心地よさとなり、この濃度が増すと渇望へと変化し、嫌いは対象からの離遠から心地悪さとなり、この濃度が増すと嫌悪へと変化し、どちらも最終的には固定化されたパターン回路、すなわち執着となる。
なぜ好き嫌いの反応が執着心に？
体の感覚がそうさせているから。自分の体で確かめてみればわかる。
どのように確かめるのか？
たとえば、好きなマグロの鮨屋の味があり、その味覚を再現させたいために、その鮨屋に行くことを常に考えるようになる。このように好きの反応回路を作ると、その感覚を味わうために、執着する回路を作成する可能性が生じる。
好き・嫌いは感覚信号をインプットとした回路のアウトプットである。
執着心は対象が変化し続けるものにもかかわらず、その動きを静止させて固定化させて把握しようとする回路である。
つまり、好き嫌いは対象が変化しているのに固定の実体があることを前提にして成立している回路なので、執着の回路と同類である。
体の感覚が渇望・嫌悪の根源である。
なぜならばこの感覚に快・不快・中立のタグが必ずつくので、これが執着に育っていくからである。
なぜこんな感覚が必要なのであろう？
感覚と対象物が結びついたためである。目とビジョン、耳と音、鼻と匂い、舌と味、体と感触、心と思考や想像。
2つが結びつくと感覚は快・不快・中立のタグを付加する。
私の仮説 タグを付加する理由は、インプットされたものを分別する過程を効率化させるTPOに適応した生命体の特徴のため。これがサバイバルするためには役に立つツールとなった。たとえば素早い条件反射。
心の条件反射であるサンカーラは意識の流動を起動させる
なぜ反応が起こるのか？
ブッダは、無知のためであると言う。
無知がサンカーラを作る。
無知とは何か？
無知とは自分自身の経験や智慧で物事をとらえることができないことをいう。
すなわち認識の仕方の第三番目の体験による智慧、バーバ・マーヤ・パンニャの欠如である。
換言すると、無知とは常時変化し続けるこの宇宙に気づき続けていないことである。
すなわち、苦と自己の無力（アナッター）を体感していないことである。
無知とは自分が何に対して自動的に反応しているのかわからないことである。
反応する原因は何もない。ただ、作り上げた自動反応回路（サンカーラ）が反応しているだけである。
これに気が付けないのは無知である。
これに気が付ければ自由への、解脱へのダンマの車輪が動き出す。
「無我」とは何か？
この世の中を支配している秩序と「我」の食い違いがなくなる事。
この世の中の秩序と食い違いがなくなれば自分自身が邪魔にならない。
「俺が、俺が」という考え方がなくなる。
そうすると、ごく自然の日常生活というものが行われる。それは決して自分自身が無くなるということではない。
手を動かし、足を動かし、一所懸命生きている自分自身はあくまでもある。
ただ、周囲の世界と摩擦を起こさないという事、それがanattā「無我」という事です。
このような解釈が自我を育てるのではないか？自分がこの世で無力であることを実感することがanattāの意味することではないのか？
ヒトは無意識の内に感覚を快・不快と一緒に記憶させてしまうので、平静心を持って体験することで、快・不快のレッテルに気づくことで、雑念として浮かんできた行sankhāraが弱体化する。
さらに、感覚に付加される3つのタイプのタグをnirāmisa sukha、nirāmisa dukha、nirāmisa upekkhaに張り替えることで、渇望と嫌悪の反応から逃れることができる
大事なのは渇望と執着から離脱すること。
欲望中毒から逃れる方法
Iとmyからの離脱 高級時計
20ルピーで泣く老女 猿に取られた財布 量ではなく執着の濃度 モノではなく心
問題は私という執着心
感覚の秘密の発見
接触がないところには体の感覚は発生しない。
メンタル（理性）、心（表層と深層意識）、体が接触するところで感覚は生じる。
接触とは外部信号とヒトの五感覚器官と意識（顕在と潜在の両方）が接することを指す。
感覚が苦しみへも離脱へもどちらも導くキーポイントである。
感覚とともにいること、感覚を感じている時は智慧である。
感覚を感じていない時は無知である。
潜在意識は常に肉体と接している。例えば寝ていても蚊に刺されたところを掻く。
意識、無意識にかかわらず、感覚は常にある。いのちあるものはすべて感覚がある。
このようにヒトはいくら気を付けていても感覚を常に気づいていることはできず、表層意識が気づかないうちに感覚がサンカーラの種を作り上げてしまう。
ということはこの感覚が同時に苦悩を滅ぼす種になる。
これを釈尊が発見された。
では、どうすればいいのか？
１感じ取る知覚力をつける 鋭敏な感受性と（潜在意識に入っていける）研ぎ澄まされた意識を育む
これによって気づくことができる。
２感覚に対していつも平静でいる。 この平静さは無常を体感し続けることによって得られる。
平静であればサンカーラは作成できない。
３サンカーラを作らないでいると古いサンカーラが表層意識に浮かび上がるが、これも感覚にスポットライトをあててobserveすることで滅びる。
そして表層・中層・深層意識のシステムは浄化され、のちに解脱する。
十二因縁 Chain of conditioned
arising Paticca-samuppāda pratLtya-samutpDda
仏教の開祖釈尊が菩提樹下で悟ったといわれる真理。十二支縁起あるいは十二縁起とも呼ぶ。生老病死という四苦で言い表される我々苦的存在は，無明ではじまり老死で終わる十二の契機によって成立する因果法則である。
始めの6つが潜在意識
次の6つが顕在意識
無明(むみよう) ignorance avijjā パーリ語
→行(ぎよう) reaction saṅkhāra
→識(しき) consciousness viññāṇa
→名色(みようしき) mind and body nāma-rūpa
→六処 six senses salāyatana ココロ、視、聴、嗅、味、触 脳、目、耳、鼻、舌、皮
→触(そく) contact phassa 身体とではなく、心（意識）や感覚が結ばれること
→受 sensation vedanā
→愛 craving & aversion tanhā
→取 attachment upādāna
→有(う) the process of becoming bhava
→生(しよう) birth jāti
→老死。 ageing and death jarā-maranam
これを縁起の順観と呼ぶ。逆に生がなければ老死がなく，無明がなければ行もないとみる。これを縁起の逆観という。このように十二因縁は〈此れ有るが故に彼れ有り〉〈此れ無きが故に彼れ無し〉という基本的な縁起観にもとづいて，生死流転の因果構造を分析した結果をまとめた法則である。
しかもこの法則は自然法則とはちがって、最終的には無明を滅して生老病死という苦から解脱することを目指す実践的法則である。
パーリ語での意味
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パーリ語 |
語源 |
内容 |
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1 |
avijjā |
a否定形 +vijjā 智慧 全体性の把握 三相、四諦の理解と実践 貪瞋痴の覆いがない明澄 |
苦しみの原因をいつも体感していないこと 「三相」を体感していないこと 貪瞋痴からはじまっていることへの無知 迷い 釈尊の風 三相篇 |
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2 |
saṅkhāra |
saṅ添加＋khāra行動 付加されたものとはエネルギー この文脈での具体的なものは貪瞋痴 abhisankhāraつまり強いsankhāra |
学習された感情パターン、思考パターン 自動反応回路 輪廻を継続させるものの蓄積 「kammaの種」を生成する強いsankhāra |
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3 |
viññāṇa |
vi分離、区分、否定 ＋ñāṇa 智慧 全体智、知識、 vijjā とñāṇaの相違性は？ 全体智から分離されてしまった知識 |
kamma viññāṇa エネルギーが埋め込められた意識 「カルマの種」になる認識エネルギー この文脈では無意識（中層意識・深層意識）で待機する学習された意識回路 |
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4 |
nāma-rūpa |
nāmaマインド＋ rūpa物質 意識エネルギー |
メンタル界と物質界とのリンク 心と体 無色界と色界とのリンク いのちと心 名前（イメージ）と物質（具体化）の接点 未来の計画（メンタル界）の青写真（物質界） 過去の強い記憶（メンタル界）のエネルギー によって具体化された言動（物質界） ウパニシャッドの概念から取り入れる |
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5 |
salāyatana |
sal六 +āyatana 意向 6種の意図 «ā+yata+yu．āya+tanu+a．āyata+nī+a» 「目的のために感覚能力を使用する」 感覚器官（indriya）を意図的に使用するとindriyaはāyatana（意向）になる。 |
対象物を捜してしまう感覚器官 心、視、聴、嗅、味、触 の6つの感覚器官indriyaではなく、たとえばcakkayatana（目を基盤としてしまう）と manayatana（マインドを基盤としてしまう）であり、abhisankhāraを行う意向に転変したもの |
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6 |
phassa |
phassa [phusa+ṇa．phusatīti 感触 接触、感覚 単なるphassaでなくsamphassa 意図的な（添加された、汚れた）接触、感覚 |
探求する器官が対象と出会うことで得る感覚 自分の性向gatiによって接触するものが決定する。 この性向と対象が結びつくことでsan（付加された）感触が生成する |
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7 |
vedanā |
vedanā （「veema」+「danaveema」）イベントが発生したことを認識する |
感触の感覚データに3種（近・遠・中）の内の１つのタグが付加されているもの 受vedanāは感覚sensationや情感emotionではない |
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8 |
tanhā |
tan場所+hā 融合・溶接・結びつき 対象に付着するもの 付着したもの、粘着するもの |
近遠のタグによって自分のマインドが対象に関心を向けたので、対象とマインドが溶接されて結びつくこと。 愛着、付着、結びつき Tanhāは、貪欲、憎しみ、無知によって「この世の物事に執着している」こと。 多くの場合、「渇望」と誤って翻訳されている。 渇望と嫌悪に区分された自動反応アプリケーションの作成ではない |
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9 |
upādāna |
upā近くに＋ādāna 掴む・取得 近くに置いておく、という意味で 対象を掴み続けている行為 |
結びついたものを近くに掴み続けることで、 対象に集中的にjavanaエネルギーを照射できる状態 執着 自動反応アプリケーションを保持することで、無意識のうちに対象に依存している状態 |
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10 |
bhava |
bhava 枠組みしかないエネルギー生命体 31領域の１つで変化する 命と魂と心の混合物 人間と動物の場合は同じbhavaで再生（誕生）を何度か繰り返すメンタル体 |
掴み続けることでマインドのdhammā（javana）エネルギーがbhūtaエネルギーに転換し、それらが枠組みはあるがカタチにはまだなっていない物質エネルギーとして保管されている状態
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11 |
jāti |
jāti 出生 カタチ |
ヒトの場合はメンタル体がdhātuで構成されている体と重なり合うこと 誕生とは、この欲界では素粒子基準になること 無色界ではdhammāがgatiに 色界ではgatiがbhūtaに転変すること |
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12 |
jarā-maranam |
jarā 老化 maranam 死去 |
ヒトの場合は肉体とメンタルの苦しみの継続 |
解脱後のブッダの最初の言葉 Udana (I. 1–3) and
Dhammapada Verses 153 and 154—Dhammapada, XI. 8 & 9
夜の終わり、これまでの永劫の過去世を観とおすことができるようになった釈迦
建造者を探すために修行と苦行を重ねてきた。
そしてその建造者がわかり、これでもう新しい家を作る必要がなくなった。
サンカーラから自由になった。
真実こそが神である。
創造主は私の家を再び建てることはない
Aneka-jati samsaram
sandhavissam anibbisam,
gahakarakam gavesanto
dukkha-jati-punappunam.
閉じられた輪の中で数え切れない誕生に出会い、
この家の建設者を探して虚無の中を走ってきた。
その度々に新生の苦悩に面しながら。
Gahakaraka! Ditthosi,
puna geham na kahasi.
Sabba te phasuka bhagga,
gahakutam visankhitam.
Visankhara-gatam cittam,
tanhanam khayamajjhaga.
ああ、創造主よ！今、あなたは見られている。
あなたは私のために家を再び建てることはもうない。
すべての梁（桁）は壊れている、
家の棟木（梁）は粉砕されている。
条件付けの輪からマインドは解放された。
ついに渇望の終わりに達した。
Paṭhamabodhisutta Udāna 1.1 英訳 The First Discourse about the Awakening Tree
此縁性 心が形に
Tatiyabodhisutta Udāna 1.3 英訳 The Third Discourse about the Awakening Tree
Jāti’pi dukkhā; jarā’pi dukkhā;
vyādhi’pi dukkhā; maraṇam’pi dukkhaṃ;
appiyehi sampayogo dukkho;
piyehi vippayogo dukkho;
yam’p’icchaṃ na labhati tam’pi dukkhaṃ;
saṅkhittena pañc’upādānakkhandhā dukkhā.
—Dhammacakkappavattana Sutta, Saṃyutta Nikāya, Mahāvagga XII. 2. 1.
誕生は苦しみ、老いは苦しみ
病気は苦しみ、死は苦しみ
不快なものとの関わりは苦しみ
快いものとの断絶は苦しみ
欲しいものを得られないことは苦しみ
つまり、五つの集合体への執着は苦しみ
Aniccā vata saṅkhārā,
uppādavaya-dhammino;
uppajjitvā nirujjhanti,
tesaṃ vūpasamo sukho.
—Mahā-Parinibbāna Sutta, Dīgha Nikāya, II. 3.
サンカーラは実に無常
自然に、絶えず生じては消えていく
サンカーラが生じて根絶やしにされるとき
その終焉が真の幸福をもたらす
Paṭicca-samuppāda
Aneka-jāti-saṃsāraṃ,
sandhāvissaṃ anibbisaṃ;
gahakārakaṃ gavesanto,
dukkhā jāti punappunaṃ.
Gahakāraka diṭṭhosi,
puna gehaṃ na kāhasi;
sabbā te phāsukā bhaggā,
gahakūṭaṃ visaṅkhitaṃ;
visaṅkhāra-gataṃ cittaṃ,
taṇhānaṃ khayamajjhagā.
—Dhammapada, XI. 8&9 (153&154).
パティッチャ・サムッパーダ Paticca Samuppāda 因果関係の鎖
存在の繰り返しにおいて
数え切れないほどの生を通し
この家の創造者を探し求めて無益に走った
そして、新しい誕生の苦しみに何度も何度も直面した
家の創造者よ！今、あなたが見える
あなたはもう私に新たな家を建てないだろう
梁はすべて壊れ
棟木は粉々になった
心は条件付けから解放され
渇望は終わりを迎えた
ヴィパッサナー瞑想 実践の手引き
ヴィパッサナーのコースは、それがみなさんの生活に変化をもたらしてはじめて、真に価値あるものとなります。
そして、その変化は、この技を毎日実践することによってのみ、もたらされます。みなさんが、今後も、瞑想を続けていくことができるように、以下にコースで学んだことの概略を記します。
ヴィパッサナー(vipassanā)
意識を、頭頂から足先へ、そして、足先から頭頂へと、体系的に動かし、出会うすべての感覚を感じることによって、体のすべての部分を順番に観察します。
客観的に観察します。つまり、経験するすべての感覚、快いもの、不快なもの、そのどちらでもないもの、それらに対して、すべてが無常である、という性質を理解することにより、平静を保つことです。
意識を動かし続けます。どこであっても、一つの場所に数分以上、留まってはなりません。この修行が機械的にならないようにします。経験する感覚の種類により、異なる方法で観察します。 さまざまな、粗雑な感覚を経験している体の部分では、部分ごとに意識を動かし、観察しなければなりません。両腕、両足など、左右対称の場所では、そこに同じような微細な感覚があれば、 同時に観察してもよいでしょう。体全体で微細な感覚を経験しているなら、体全体に意識をさっと流し、その後でまた、部分ごとに修行します。
家で瞑想するとき、体を動かさずに 1 時間坐り続けることは助けになるかもしれませんが、そうする必要はありません。
メッター(mettā)
1時間の終りに、心か体に、何か動揺があれば、リラックスして、落ち着かせます。その後、数分間、体のどこかにある微細な感覚に意識を集中します。そして、すべての生きものに対する善意の気持ちで心と体を満たします。
瞑想時間以外のとき
自分が行うべき、重要な仕事に専念します。そして、ときどき、気づきと平静さを保ち続けているかどうか、チェックしてみなさい。何か問題が生じたときには、可能ならば、ほんの数秒間でも、自分の呼吸か感覚に気づいていなさい。そうすることが、さまざまな状況においてバランスを保つ助けとなります。
第五日目
四つの聖なる真理－ 苦悩、苦悩の原因、苦悩の消滅、苦悩の消滅への道
因果の鎖を断つ
五日目が終りました。あと五日間が残されています。この瞑想法を正しく理解して修行に励み、残りの日々を最大限に活用しなさい。
体の限られた部分で呼吸を観察するところからはじめ、体中の感覚を観察するところまで進んできました。感覚の修行をはじめると、痛みや圧迫感のように強く凝固した不快な感覚を体験することがよくあります。ふだんの生活でそのような感覚に出会うとき、みなさんはそれに反応・反発するでしょう。心地よい感覚には酔いしれ、痛みを憎みます。そのため心はイライラとします。けれども、ここでは以前のように反応・反発しないで、客観的に観察することを学びます。これはよい感覚だ、これはよくない感覚だと区別することをやめて、ただ感じ取って行くことを学びます。
痛みはあります。苦しみはあります。けれども嘆きはしません。いくら嘆いても自由にはなれないのですから。では実際に、どうすれば苦しみから抜け出すことができるでしょうか。
医者は患者を診るとき、その人がどんな病にかかっているかを調べます。原因を調べます。原因がわかれば、それを取り除くことによって、その患者の病を癒すことができるのです。
ここでも同じです。が、ここでは、みなさん一人ひとりが医師です。自分で病を癒すのです。病の原因を取り除くための努力の一歩一歩が、癒しの一歩一歩となるでしょう。
まずはじめに、苦しみがあるということを受け入れなければなりません。どこを見ても苦しみは存在します。これは、普遍的な真実です。そして、その真実を、反応・反発することなく観察しはじめるとき、それは聖なる真実となります。そうするとき、心は清らかになり、人は聖なる人になるからです。
この「苦しみ」という聖なる真実を観察しはじめると、その原因が見えてきます。そして、それをも観察しはじめます。「苦しみの原因」これが、二つめの聖なる真実です。原因が取り除かれるとき、苦しみも消えます。これが、三つめの聖なる真実、「苦しみの消滅」という真実です。苦しみを消滅させるためには、一歩一歩修行してゆきます。「苦しみを消滅させるための道」それが四つめの聖なる真実です。
反応・反発をしないで、ただ観察することから学びはじめます。だれかほかの人の痛みであるかのように、痛みがあれば、それを客観的に感じとってみなさい。実験室で実験をする科学者のように、その痛みを調べなさい。何度失敗しても、くじけずに何度でもやってみなさい。そうするうちに、少しずつですが、苦しみの淵から這いあがってきている自分に気がつくでしょう。
生きとし生けるものには苦しみがつきものです。人生は泣くことではじまります。誕生は苦しみです。そして、生まれたならば必ずや、病いや老いの苦しみを味わわなければなりません。また、人生がどれほど苦悩に満ちていても、その終りをむかえることを喜ぶ人はいません。死もまた大きな苦しみなのです。
生きている間には、さまざまなことが起こります。さまざまな人に出会います。いやなことが起こり、いやな人に出会います。ほしいものは手に入らず、愛する人とは離れなければなりません。望んでいないことが起こり、望んでいることは起こらない。人生は思うように動いてはくれません。人は惨めになります。この真実を頭の中だけで理解しても、苦しみから解放されるわけではありません。知的な理解は、インスピレーションを与えるにすぎないからです。
けれども表面的な真実から始め、その奥に潜む真実、もっとも微妙な真実へと、科学者のように体の枠組の中で真実を観察した人がいました。それが、ゴータマ・シッダッタでした。彼は、この実際の観察によって「ブッダ」目覚めた人となりました。観察を通して、なぜ渇望が生じるのかを彼はつきとめたのです。
[ゴエンカ師の講話の要約](10日間コース)第五日目の続きは下記のリンクからご覧いただけます。
https://jp.dhamma.org/fileadmin/asia/jp/content/Jp/Reference/J_Dis_Summaries/DSDay05.pdf
６日目の講話
「気づき」と「平静心」の両車輪 四元素と感覚 ５つの敵
ヴィパッサナーとはオプティミズム、リアリズム、実働主義
教えはペシミズムではなくオプティミズム、リアリズム、そして実働主義。
油をこぼした少年の話 泣く少年 半分を喜ぶ少年 現実的に働く少年
自動反応回路であるサンカーラもアニッチャーなので常に変化する
サンカーラとは反応する心、この心とは顕在（表層）意識と潜在意識のこと。
サンカーラとは種、時間が経つと実を結び、同じタイプのサンカーラを産み出す
サンカーラは縛り目、心地良い体験は渇望を、心地悪い体験は嫌悪の結び目を残す
最後に、反応（reaction行蘊saṅkhāra）が働く。
例えば不快のタグの付いた言葉を聞くと、反射的に嫌悪する反応を自動的にしてしまう。
条件反射を使うことで瞬間的な動作をすることができるので、サバイバルには有効な場面もあるが、物事はいつも同じTPOではないので、このようなインプットとアウトプットのパターンを固定化してしまうと、機械化された決めつけの無意識の反応になるのでデメリットも多い。
一度できたパターンは新たな上書きをして書き換えがない限り、何度でも繰り返される。
サンカーラは身体作用レベル、言語作用レベル、マインド作用レベルの条件反射作用とも言える。
ヒトはあらゆる瞬間にこの自動的に反応してしまうサンカーラの種を植え続けている。
たとえば睡眠中の無意識のときにでもある。寝ていても腕に止まった蚊を無意識の内に追い払ったり、刺された箇所を掻いたりしているのも、表層意識はなくても深層意識は働いているので、無意識の内に「快・不快のタグ」を付けてしまった感覚がサンカーラに変化していく。夢の中の出来事でも、それに対する反応は「快・不快のタグ」づけをする。
過去における各自の意思行動の結果が、目の前に起こっている現実に対する決まった反応になるので、この現実も過去から現在に続いているサンカーラだと言える。外側の世界は異なっていても、内側の世界、すなわち反応の仕方は同じであるからだ。
これは感情的には受け入れがたい解釈かもしれない。
この無常の法を理解するには体験するしかない。
まずは自分の感覚の無常を見守るのがいい。
すると本当の智慧を少しずつ成長させるきっかけになる。
そしてこの智慧が不幸から離脱させることができる。
もし痛みが残ったとしても、その痛みを起こした原因によって苦しむことは金輪際なくなる。
そしてその痛みに対して微笑むこともできる、なぜならばその痛みを見守ることができるようになったからだ。
換言すると、痛みはこれからもあるだろうが、そこから思考の連鎖に陥いって苦しむことはなくなり、その痛みをただ痛みとして受け止めるだけで、それ以上の反応はしなくなる、ということである。
微かな振動を感じるようになれれば痛みに動じなくなる。
痛みを感じても憂うことはない。
感覚を気づきと平静心で見守っていると、潜在意識にあるサンカーラ（自動反応回路）も変化する。
痛みに動じない、というのはそこから思考の連鎖が始まらない、ということである。
粗雑な振動は常にはないが、微細な振動は常にあるので、心のプロセスを思考の連鎖から感覚を感じるものにすることができれば、痛みはあるが、それ以降の思考の連鎖による動揺はなくなる。
涅槃の時空 体の感覚がなくなる地点
大乗仏教の考え方では、
サンカーラが消えると、何も生まれず、滅しない次元に入ることになる。
体と心が新たな次元に入り、感覚は停止する。それは６つの器官の機能が停止したため、信号との接触がなくなったためである。
なぜこのようなこと起きたのか？
体と心が分かれていたのが不二になったため、発信体と受信体が一つになって信号がなくなったため。
「わたし」と現象に分かれる前の状態に戻ったため。
信号から解放され、苦しみから離脱したので、静けさが広がっている。
上座部仏教の考え方では、
すべての現象は微細な振動であり、生じては消え去るものであることを基準に、すなわち常にこのように感じて暮らすことで、素粒子ベースの感覚対象は粗大な振動なのでマインドが知覚することはなくなり、素粒子以下のdhammāは脳を介して知覚は可能な状態になる。しかし本人が「いま・ここ」の感覚プロセスだけに関心を向けていると、そのようなdhammāを使って過去の記憶や未来の空想を成立させるプロセスがなくなる。つまり脳を介する感覚さえもなくなることになる。
涅槃のことに気を取られると涅槃に行けない。
渇望に囚われているからである。
涅槃に行きたいというのは、脳を介する思考の連鎖のプロセスを使っている、ということである。
大切なのは「いま・ここ」だけに集中して生きること
４つの段階
１ソターパッテイ (sotâpatti) 流れに入る者 解脱への道の流れ 体の感覚がなくなる地点を経験したもの
預流果 三結（有身見・疑・戒禁取）が絶たれている。
２サカダガーミ(sakadâgâmi) 一来果 三毒（貪・瞋・癡）が薄まっている。
３アナガーミ 不還果 五下分結（三結＋貪・瞋）が絶たれている。
４アラハン 阿羅漢 完全な解脱をした人 五上分結（色貪・無色貪・慢・掉挙・無明）が絶たれている。
第三禅定で、somanassaindriyam (i.e. pleasant mental sensations)とdomassaindriyam (i.e. unpleasant mental sensations)が消滅し、
第四禅定で、Sukha vedana体の快の感覚とDukkha vedana体の不快の感覚は消滅するが、Adukkhamasukha vedana中立（快でも不快でもない）は残存する。
これを消滅させるためには無色界の禅定が必要となる。
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到達した境地(果) |
解放された結 |
苦しみが終わるまでの輪廻 |
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最大7回、欲界と天界を輪廻する |
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一度だけ人として輪廻する |
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Source: Ñāṇamoli & Bodhi (2001), Middle-Length Discourses, pp. 41-43. |
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掉挙（じょうこ）は仏教が教える煩悩のひとつである。 掉挙とは、心が昂ぶり頭に血が上った状態を指し、対義語である昏沈（心が深く沈んだ状態）とともに、平静な心を失っているため煩悩とされている。
5つの敵 渇望 嫌悪 怠け癖（眠気） 移り気 疑い
五つの障害、敵
カーマッチャンダ(kāmacchanda) : 渇望
ヴィヤーパーダ(vyāpāda) : 嫌悪
ティーナ・ミッダ(thīna-middha) : 身体的な怠惰とメンタル的な無気力
ウッダッチャ・クックッチャ(uddhacca-kukkucca) : いらだちと心配
ヴィチキッチャー(vicikicchā) : 懐疑、疑惑
999人殺した男とブッダ
子供が死んだ女とゴマの種の話
渇望によって、ダンマが分からない例？
2歳の子供をなくした母親が釈尊のいるセンターに行くが、取り乱していたので釈尊もその場での話よりも、実際の体験をするのがいいと判断して、誰も家族がなくなっていない家に行って、胡麻の種をもらってくるように母親に言った。
彼女は多くの家を回ったが、どの家も誰かが亡くなっており、死者がいない家は一軒もなかった。
こうして彼女は自分の子供がなくなったことを受け入れるようになれた。
不幸との付き合い方 ダンマに寄り添う
最高の贈り物、最高の布施はダンマ 何をあげても不幸はやってくる
ブッダ時代の宝でうめた精舎の話
この世は不幸に満ち溢れている。この不幸とどう付き合うかが鍵
ダンマを静かに寄り添うこと。
ダンマと寄り添わないのは常に渇望や中毒化した依存や決めつけや執着があるため
渇望や執着心はアタマ（思考回路）が作り上げた幻想
どうしてそのような幻想が出来上がるのか？
私と他人を分けるという考え方 分別（理性）で考える思考法
そして刺激に対して自動的に反応してしまう条件反射
どうしたら条件反射が出来上がるのか？
感覚を感じる時に快・不快の気持ちがあると条件反射ができてしまう
どうしたら条件反射を止めることができるのか？
いかなる感覚を受け入れる時に強い快や不快のタグをつけないのが条件反射を作らない方法。
そのためには感覚を感じる時に平静心を保っていると、快・不快のタグがつかないので感覚が条件反射にはならない。
したがって、平静心の練習が繰り返し必要である。
川辺に座っている人がいる。
もし盲目（川の流れの変化に気づかない）であれば、いくら平静であってもサンカーラは消えない。
もし目の前の川の流れをちゃんと観察して気づき続けていたとしても、平静でなければ新たなサンカーラが
作り上げられる
ビルマの大統領のアルコール中毒が直った話
感覚の原因を詮索しない、ただ平静に気づいていることが大切 kalāpaの特徴
物質は、極小単位であるaṭṭha（８）カラパ集合体の特質の組み合わせ 固体・液体・気体・温度
土 重さ
水 塊をつくる
火 温度
空 動き
カラパはすべての物質だけではなく、環境やサンカーラやメンタルにも影響を与えている。
メンタルやサンカーラは物質に変化する。
正確には、感覚を感じる知覚からサンカーラを介するパターン認識に代わることで、
心路citta vithiの７つのjavana
cittaが加わり、メンタル・エネルギーによってカラパで構成される物質エネルギーが生成される。
考えるな、感じろ
例えば「熱さ」の感覚を感受する。
しかしこれで原因を特定したり詮索したりすることはしないほうがいい。
理由は分からないからだ。
例えば昼食に食べたとうがらしのカラパかもしれないし、旅してきたバリの気候のせいかもしれないし、過去の
サンカーラが実を結んだのかもしれないし、さきほどの店員に対する怒りかもしれない。
カラパまたはルパ・カラパ（サンスクリット語のrūpa「形、現象」とkalāpa「束」に由来）
上座部仏教の現象学における物質の最小単位を指す用語で、その大きさは戦車の車輪から出る塵の粒子の約46,656分の1であると言われています。[1]
カラパは、Tipitakaなどの最古の仏教文献には記載されておらず、11世紀または12世紀に編纂されたアビダルマの注釈書であるAbhidhammattha-sangaha（阿毘達磨三伽）にのみ記載されており、一般的な上座部仏教の教義の一部ではありません。[2]
Abhidhammattha-sangaha（阿毘達磨三伽）の記述によると、カラパは通常の状況では目に見えないが、瞑想三昧の結果として見えるようになると言われています。[3]
カラパは、物質的本質を構成する8つの不可分な要素から成り、その量はそれぞれ異なります。[4] パタヴィ（土）、アポ（水）、テージョ（火）、ヴァヨ（風）、ヴァンナ（色）、ガンダ（匂い）、ラサ（味）、オジャ（栄養）です。最初の4つの要素は主要な性質と呼ばれ、カラパにおいて最も優勢です。
他の4つは、主要な性質から派生した二次的な性質です。[5] カラパによっては、音、性、身体、心の基盤、生命といった追加の要素も含まれると言われています。[6][7]
現代仏教の瞑想実践において、カラパの観察と分析は、無常と無我を直接観察することを目指すヴィパッサナー修行の一種です。[8][9]
カラパの観察と分析に関連する実践を現代的に支持する人物には、ウ・バ・キン、S.N.ゴエンカ、パ・オーク・サヤドーなどがいます。[10][11][12][13]
1980年代にマハシ・サヤドーは、カラパが老化、死、そして再生において役割を果たしているとの信念を表明した。[14]
Kalapa or rupa-kalapa (from Sanskrit rūpa "form,
phenomenon" and kalāpa "bundle")
is a term in Theravada Buddhist phenomenologyfor
the smallest units of physical matter, said to be about 1/46,656th the size
of a particle of dust from a wheel of chariot.[1]
Kalapas are not mentioned in the earliest
Buddhists texts, such as the Tripitaka, but
only in the Abhidhammattha-sangaha,
an Abhidhammacommentary
dated to the 11th or 12th century, and as such not part of common Theravada
doctrine.[2]
According to the
description found in the Abhidhammattha-sangaha,
Kalapas are said to be invisible under normal
circumstances but visible as a result of meditative samadhi.[3]
Kalapas
are composed of eight inseparable elements of material essence in varying
amounts which are:[4] Pathavi (earth),
Apo (water), Tejo (fire),
Vayo (air), Vanna (color),
Gandha (smell), Rasa (taste),
and Oja (nutrition). The first four elements are called primary qualities, and
are predominant in kalapas.
The other four are
secondary properties that derive from the primaries.[5] Certain
kalapas are said to also include additional elements,
including sound, sex, body, mind-base and life.[6][7]
In contemporary Buddhist
meditation practice, the observation and analysis of kalapas
is a type of vipassana practice
that aims to allow direct observation of impermanence and non-self.[8][9]
Contemporary adherents of practices related to the observation and analysis of kalapas include U Ba Khin, S.N. Goenka and Pa Auk Sayadaw.[10][11][12][13] Mahasi Sayadaw in the 1980s expressed a belief that kalapas played a role in aging, death and rebirth.[14]
７日目の講話
微細な感覚に対して平静心である大切さ ５つの友達
日常生活でも体に感覚を感じ続ける練習
歩行、食事の時でも動かしているところの感覚にサティを入れ、それがアニッチャーであることをサティする
つまり、感覚を知り続け、それにアニッチャーを感じ続ける。
また心の感覚、たとえば感情や思考内容にもサティを入れる
どのように？
いま、この人に対して反発心を感じたな、また、いま、この音に対して喜びを感じているな、というように、自分の心の変化の様子に自覚的になる。
徐々に、体の全体の感覚に常にサティを入れ続ける。
睡眠とは心と体の休息のこと。 気づきと平静で心の休息は取れているので、横になって体を休ませているだけで寝る必要はない。
サティ・パッターナ
瞑想対象は体カーヤ 感覚ベーダナ 心チッタ 心の内容ダンマの４段階
アーターピー 修行に励む、もしくは「熱を消す」
サティーパ 気づいている
サンパジャンニャ 心と体を統合的に理解すること
具体的には、常に体に感覚をサティし続けることでアニッチャーとアナッターとドゥッカを体感し続ける
語源的には、san余分なもの（貪瞋痴）を常に識別しつづて整理すること。
怒りや欲情のバイブレーションを感覚として感じる そして平静であれ
一瞬も忘れないで感覚と平静を保ち続けるのが必要 これができる賢明な人をパンディトゥという。
感覚の始めから最後まで知ることで苦しみを実感できる。
換言すると、感覚は生じては消え去るものなので、常に安心できる実体ではない、ことを常時において実感する。
パンニャ
身を持ったアニッチャーの体験
身を持ったアナッターの体験
身を持ったドゥッカの体験 執着がドゥッカとなる 満足できない状態の苦
これらの体験が智慧になる
感覚 ベーダナとは
風のようなもの 東西南北から清らかに濁って熱く涼しく流れてきては去っていく
旅宿のようなもの 様々な人が一時滞在して去っていく
体の上にあり、生まれては去っていく。
マインドにも物質にも感覚がある
死体や無生物にも感覚がある 心と受想行識が感覚を感じ取ることができる
感覚とは物質エネルギーと物質エネルギーの衝突によって生じるものであるので、メンタル界から見ればメンタルの一部であるが、物質エネルギーから見れば、それは物質エネルギー界の一部である。
ここでいうrūpaは物質ではなく、物質エネルギーを意味する。
潜在意識の浄化には感覚のサティが必要
感覚なしの気づきでは表面的な浄化にしかならない
その理由
浄化とは潜在意識にある自動反応回路を弱体化し、究極的には解体することである。
そのためにはその回路の存在に気づき、その回路を弱体化する段階に移行することが有効である。
しかし、その回路に気づかなくても、微細な感覚に気づいていれば、それは潜在意識にある回路の反応と連動しているので、感覚の変化に気づき続けているというのは、回路の発動の有無をチェックしていることになる。このような時に心が動揺せずに安穏としていれば、作られた回路は弱体化するように宇宙の法則でプログラミングされている。
逆に心が動揺していれば、回路が作成・強化されるようにプログラミングされている。
感覚信号はマインドの想saññā部門で過去のデータと照合され、その差異によって、この信号をマッピングする。
またその感覚信号が行sankhāra部門にある回路の入力信号だった場合は、アウトプットが自動的に発動する。
つまり感覚信号に気づいていないと、潜在意識にあるデータベースと回路にスポットライトを当てることができず、それらがあることを見逃してしまうのである。
またそれらを気づいた瞬間に、自動反応する量を少なくして、平静な心でいることができれば、それらはもう自動反応回路ではなく、ただの回路へと変化する。
純粋な信心 サッター
よい徳kudalaを育む
先に供養、後に結果 取引するのは商人のアプローチ
弟に王位を譲りジャングルで暮らそうとしたラーマの徳
死に際に何に対しても反感はなく、愛と慈しみ
ブッダの徳を育むこと
徳とは2600年前のbhagavant世尊のことで、闇を払い解脱して清らかな者
帰依
ブッタン サラナン ガッチャミー
ヒトではなく悟りに、教えに、帰依する
ダンマ
宇宙の普遍的法則
ダンマは帰依するものではなく、実践するもの。
ダンマの徳は自分で見るべきもので想像ではない。
真実とともに粗雑なものから微細なものへと一歩ずつ歩く
Compassion慈悲の篤いブッダ。死の前でも今までにもずっと説いてきた法を新米に説明する。
５つの友、味方 友は足、盲目にならないように、智慧の目で監視する必要がある。
saddha 専念 献身 信仰 帰依 勤行 Devotion confidence fate
Viriya 努力
Sati awareness いまここの感覚に気づいていること
Samādhi ただの集中力ではない、サンマ・サマディ
Paññā 平静心は知性ではなく実際にanicca無常を体験することから生じる
智慧とは渇望や嫌悪や無知に囚われないこと
aniccaの教訓を息子たちに残した父 ダイヤモンドと銀の指輪を形見にもらった兄弟
８日目の講話
増大と消滅の法則
気づきと平静心の両輪がセット。 両翼がないと前に進めない
体の固くて粗雑な感覚を感じるだけではなく、微細なさざ波のような感覚をも感じるように徐々変化していく。
そして最終的には体が粒子の集まりのように感じ、エネルギーの流れを感じる。
この溶解した状態をバンガと呼び、ある種の恍惚状態になる。
また感情の波の始まりと終わりを体の感覚と一緒に冷静にobserveすることで感情のサンカーラも弱まり、しまいには消えていく。
しかしここにとどまっていないで、sankhāra upekkhā（寂静、捨、平安） ñānaと呼ばれる涅槃への道へと進む。
これはanusaya休火山の種であるkilesa煩悩を消滅させるもので、
実践者は寂静を保ち、することはsatiとsampajāna だけ、後はdhammに委ねる。
まだ感覚のある世界の枠組みの中で、古いサンカーラが表に現れてくる。
感覚器を介した信号はマインドで快・不快のタグのついた感覚となり、これがサンカーラへと発展する。
ヴィパッサナー瞑想とは感覚に反応せずに安穏とする訓練のこと。
生命の流れ
生命とは体と心の結びつきのこと
神々には物理的体はある？ 6～11領域の生命体は天人や神々と呼ばれているが、素粒子レベルの物理的体を持つ
無色界の生命体はその体さえ持たない？ 28～31領域の生命体は物質エネルギーの体を持つが感覚器官がない
疑問？ では微生物にも心はあるのか？
生命とは物質エネルギーとエネルギーが0の涅槃nibbānaが重なるところで生じるもので、そこにはメンタル界も生じている。
生命があるものはメンタル界とつながることができ、それを心とよぶ。
したがって、微生物も心をもつが、ここでの心とは、物質エネルギーの衝突を感知することだけを意味するので、他の生物のような高度な自動反応回路、たとえば感情やイメージや思考をもつものではない。
養分が推進力となる 養分とは体には食物、心にはサンカーラ
心はサンカーラを養分として取り入れて、そのエネルギーは輪廻の中で生きる意味となり、活動する。
サンカーラと意識 observeと古いサンカーラの顕出
サンカーラが作られるとその入力信号と接触する度に顕在（表層）と潜在意識が発生する。
怒りのような強い感情はサンカーラを強固な回路に増殖させる
静穏な心地よい感覚をobserveすることでサンカーラが作成されないだけではなく、代わりに古い渇望のサンカーラが潜在意識と深層意識から表に現れる。
observeとは観察ではなく、対象に寄り添って同期して感じること。 cf. server, reserve,conserve
サンカーラの純化
冶金技術者は不純金属の周囲に純粋な金属の輪を往復させることで不純金属を純化させる
汚れと体の感覚の関係をこのようなメタファーで納得するロケット工学者が生徒として参加していた。
苦しみからの解放
自分の中を直視して、原因を自分の中に見つけてそれを平静さとともに見守る。
これだけ。
換言すると、苦しみは潜在意識にある自動反応回路であること気づき、それが反応しないようにし、反応してもそれを安穏した心境で見守るだけで回路は弱体化するので、最終的には回路から解放される。
ブッダの言う在家の幸福
仕事と家庭における自分の責任を果たし、ダンマの道を歩く。
人生の浮き沈みに動揺せず、憂いなく、汚れなく、清らかで、安らか、であれ。 出典？
ブッダのシンプルな教え
シーラと心のコントールであるサマーディと智慧のパーニャだけ
智慧とは静穏な心を持って感覚に対することで、渇望と嫌悪が感覚と結びつくことを避け、後世に残る悪い種を植えてしまう無知を取り除く。
つまり、感覚を察知し続ける段階で強い近遠のタグが付加されることを防ぐことができるので、想saññāと結びついて行sankhāraを作らないですむ。
４つのパターン
黒→黒 地位、家族、 種をそのままにして植え替えないため
白→黒
黒→白
白→白
はじめの色は前世で作った回路の結果を、次の色は現世の行為による回路の結果を表している。
生まれは過去の輪廻、しかし現在のマスターは私たち自身
そのためにはサンカーラを作らないで、悪いサンカーラは消去する。
新しい種に変えるキーワードは友愛と慈悲
友愛と慈悲
ブッダを陥れようとした権力者の罠 妊娠を装う美女は腹に入れた木の塊を落としてしまってバレてしまう
ブッダは加害者の悪意を指摘するのではなく、友愛と慈悲をいつも優先させた
出典？
強い行動をするとき自分の心の状態をみてから
まずは自分の内面を見る。
怒りや憎しみはないか？
少しでもあればやめる。
心は平静か？ 動機は相手への慈悲か？
左手に慈愛があるのならば、右手の平手（叱り）も時と場合によってはあり得る。
たとえば火や蛇に飛び込もうとする子供を止める時
人生の浮き沈みに直面しても
心が動じないこと
悲しまないこと、汚れのないこと
安穏であること
これが最高の安寧
KN Sutta Nipāta 2.4 Maṅgalasutta スッタニパータ2.4. 幸福の経
一片の焚き木を腹に縛りつけ
妊婦を装い
チンチャは公衆の面前で彼の名誉を傷つけようとした
しかし平和的で優しいやり方で
賢者たちの主は彼女を打ち破った
そのような徳の力により
勝利と幸福があなたのものとなりますように
ブッダ ジャヤマンガラ アッタガーター Jaya Maṅgala
Gāthā Aṭṭhakathā 注釈書
用語集
三つの宝
ブッダ(buddha)：完全に解脱した者
ダンマ(dhamma)：自然の法、解脱した者の教え、解放への道
サンガ(saṅgha)：ダンマを実践し、純粋な心をもつ聖者となった者たち
三つの訓練
シーラ(sīla)：道徳律
サマーディ(samādhi)：集中力、心の統御
パンニャー(paññā)：智恵、心を浄化する洞察力
すべての心の汚れの三つの原因
ラーガ／ローバ(rāga / lobha)：渇望
ドーサ(dosa)：嫌悪
モーハ(moha)：妄想、無知
９日目の講話
毎日の生活の中での実践の仕方 10の波羅密多 parāmi
0900－1000
フリーフロー
感じないところ、通りの悪いところには数分間とどまりなさい
忍耐強く続けなさい
ポイント測定法 gross check 二点を指で押してみる
体の表面が終わったら、内側に取り掛かる
前から貫くように水にインクが拡がるように浸透させる
背骨を一つずつobserveして脊髄の通りをよくするようにしてフリーフローする。
固いところがあればそこにとどまって、全部が流れるようになるまで続ける。
一息で頭から爪先までいき、一息で爪先から百会に戻ってくるフリーフロー。
気持ちの良いフリーフローに渇望を抱かないように。
この技法の目的はサンカーラを次々と表に出して一つづつ消していくことなのだから。
夜の講話
ここでの瞑想とは呼吸と体の感覚をobserveして平静であること。
毎日の活かし方
嫌なことがある時に避ける。たとえばエンターテインメント、酒、踊りなどを避けるために
１気をそらす カミ、 宗教、 よいイメージのもの
２正面からobserveする 感情を抑圧せず、表に発散せず、嫌なことを探索→自分の内部→濁り（怒り、憎しみ、妬み、欲情、渇望）
古いサンカーラが潜在意識から表層意識に出てくる
秘書を雇う
ご立腹の様子、観察されてはいかがですか？
ただ観察して思い返しても相手が間違っていて自分が正しいので怒りは収まらない。
誰でも使える方法
外部への関心を自分の内側に転換する。
感情はコインのようなので反対側の闇に光を当てる
否定的な感情になって、心の濁りが現れるところは
１呼吸 強く、早い、
２体の感覚 汗、熱、寒気、震え、青味
これに気づいていることで、反応、すなわち怒りや渇望などのサンカーラの出力が起こらない時がいつかやってくる。
具体的には怒りの時間が徐々に減る 奇蹟はない 10時間が8時間になることを喜ぶ
受想行識４つの認識メカニズムの特徴と欠点
イメージに囚われる 20年前にあった人を当時のままの評価で判断してしまう。
一度の悪口が本人には何十回も繰り返されるように感じてしまうことがあるので注意する。
象を触る６人の盲人 全体を把握できない認識メカニズム
私は正しい あなたも正しい 全員が正しい 誰もが正しい
一面性
数人の盲人が象の一部だけを触って感想を語り合う「群盲象評」というインド発祥の寓話がある。
ジャイナ教、仏教、イスラム教、ヒンドゥー教など世界に広がる譬え話だ。
ジャイナ教の伝承では、
6人の盲人が、ゾウに触れることで、それが何だと思うか問われる形になっている。足を触った盲人は「柱のようです」と答えた。尾を触った盲人は「綱のようです」と答えた。鼻を触った盲人は「木の枝のようです」と答えた。耳を触った盲人は「扇のようです」と答えた。腹を触った盲人は「壁のようです」と答えた。牙を触った盲人は「パイプのようです」と答えた。それを聞いた王は答えた。「あなた方は皆、正しい。あなた方の話が食い違っているのは、あなた方がゾウの異なる部分を触っているからです。ゾウは、あなた方の言う特徴を、全て備えているのです」
この寓話は誰もが一部を科学的手法で分析・再現性の確保・認識してしまい、それを一般化（方程式化・絶対化）してしまう可能性を示している。
いくらちゃんとした手法を経た科学的事実の積み重ねであっても、周囲との関係性や全体との関わりに常に配慮したものでなければ誤解を生んでしまうという楽しい？喩えだ。
また、多くの手法を統合したものであったとしても象の内臓や心や条件反射や無条件反射がわかるとは言えません。
また「統合」という機能はサンカーラが作られるパーツになるので、気づいている必要のあるキーワードでもある。
しかし、わかるのは、たった一部であって他の部分のことが一切わからないとしても、それによって全体性とつながることができる、という寓話だとも解釈できます。
私たちは狂人 想の欠点
自分たちの作ったイメージに対して勝手に反応している。
自分の描いた絵に怯えたり憧れたりする画家
息子に怒鳴られる話の5つのパターン 自分で作り上げたイメージの崩壊 私と私の所属に対する固執
偏見 行sankhāraの欠点
ヒトの内側にある苦しみのパターン回路。 これが偏見でありサンカーラ。
これに入力信号があると自動的に反応してしまい、「わたし」はこの回路を基準にして評価・判断しているのだから、判断の結果は当然間違っている。
ある特定のTPOに通用する回路なので、多くの場合は新しいTPOには適していないのにも関わらず出力してしまう。
TPOに相応しくない時には、自分が苦しくなることになる。
これが偏見のメカニズム。
TPOに相応しくない反応があるようならば、それは対象物だけではなく原因は自分の中の回路、サンカーラ。
10の功徳 波羅蜜 pāramitā：[pāramī-tā] completeness； perfection．完成、完全
サンカーラを減らし、自我を滅ぼすもの
布施（Dāna） 施し与えること
持戒（Sīla） 戒律
出離（Nekkhamma） 俗世間の欲から遠ざかること。出家
智慧（Paññā） 真理を発見すること。 他者の書いた経典や聖書ではなく自分の洞察力
精進（Viriya） 目的に達するまで進むこと
忍辱（Khanti） 正しい道をあきらめずに耐え忍ぶこと、努力
真諦（Sacca） 神や仏陀などの想像ではなく、この瞬間に本当に感じる真実。嘘をつかないこと。
誓願（Adhiṭṭhāna） 優柔不断を克服し、目標を心に定めること。決意
慈（Mettā） 生命をいつくしむこと
捨（Upekkhā） 無執着
Pakārena jānāti’ti paññā.
さまざまな方法で物事を知ることが智恵
Paṭisambhidāmagga Aṭṭhakathā I.1.1 Nāṇakathā.
Paññā, wisdom,
pakāreti：[pakāra の denom．] 心を向ける
jānāti,
現実の全体像を様々な角度から理解すること。一つの角度からのみの観察は、部分的で歪んだ真実。
10日目の講話
ヴィパッサナーのテクニックのまとめ
ブッダであっても導くことはできても、その後は各自がダンマを育むしかない。
ダンマの成長を見るには
１ 見返りのない純粋な専念
２ 感謝の心
ヴィパッサナーのテクニックの典拠は Mahāsatipaṭṭhāna sutta DN 22 大念処経 英訳The Discourse of Mindfulness
ダンマは感覚であるベーダナーと共にすべて流れている。
感覚と潜在意識は常に結びついている。 寝ていても蚊に刺されたところを掻くように。
ヒトは二度生きる
一度目は無知の人生を
二度目は目覚めた人生を
サ：でもあなたは悟りをめざしているんですよね？
弟子：はい、めざしております。
サ：あなたが望むならば成し遂げられます。私の教えたとおりに意識を集中させ続けるならば、そこから多くのものを得るでしょう。仮に誰かがあなたのことを打ち、殴り、殺したとしてもです。みなさんはティッサ・テーラという人の話を耳にしたことがありますか？（＊30）
弟子：いいえ、ございません。
サ：ティッサ・テーラはブッダの教えを授かり、その価値をよく理解したので、こう考えました。「今さらもう、この贅沢な暮らしを続けることなどできるものか」 そこで彼は、全財産を弟へ譲って僧侶となりました。そして、托鉢の鉢と三枚一式の僧衣を持って森に入り、そこで生活して瞑想しました。
ある時、弟の妻はこう考えました。「義兄さんの全財産が私のものだなんて、愉快でたまらないわ。義兄さんが僧侶でいてくれたら、私たち夫婦は、死ぬまでずっとこの財産を所有していられるのね。でもきっと、義兄さんは悟りを得られずにまた還俗してきてしまう。それなら、あの人を殺してしまうのが一番いいわ」 そう考えた彼女は、強盗たちに金を渡してこう言いました。「ティッサ・テーラを殺してきてちょうだい。首尾よくやりおおせたら、もっとお金をあげるわ」
そこで、強盗たちはティッサ・テーラの住む森へ行くと、彼を捕えました。彼は言いました。「私は何も持っておりません。それでも、もし鉢と僧衣を持っていきたいのなら、そうなさってください」
「俺たちはお前を殺したいだけなんだよ」 強盗は答えました。「お前を殺すようにと言って、お前の義妹が金をくれたのさ。そして、この仕事をやりおおせたら、さらにもっと金をくれると言うんだよ。だからお前を殺さなけりゃならないのさ」
ティッサ・テーラは思いました。「私はまだ、苦から解放されてはいない」 そして、自分のことを情けなく思いました。彼は強盗たちに言いました。「いいですとも。私を殺さなくてはならないのですね。けれども、どうか夜明けまで時間をください。殺すのはその後にしてください」
「誰でも死ぬのは怖いものさ。そして、この坊主が逃げやがると、俺たちは金が手に入らなくなっちまうときたもんだ」
「私を信用していないのですか？」 ティッサ・テーラは尋ねました。「それでは、私のことを信用させてみせましょう」 そう言うと、彼は岩を手に取って自分の両脚を砕きました。「さあ、これでもう私は逃げることなどできません。だから、どうか夜明けまで私を殺さないでおいてください」
強盗たちはたいへんな乱暴者でした。けれども、ティッサ・テーラの慈愛のおかげで、彼らは思いやりの気持ちを起こし、夜が明けるまでティッサ・テーラを生かしておいてやることにしました。
ティッサ・テーラは自分自身を叱咤しました。「ティッサ尊者よ、残された時間はあまり無いぞ。夜明けは近い。さあ励むのだ！」 彼はブッダの教えの実践に力強く励みました。そして、揺るぎない心をもって修行しているうちに、夜明けが訪れました。日の出とともに、彼はみずからの念願を成就して幸福を手に入れました。「私は生と死のサイクルからの解放を得たのだ！」 彼は喜びました。そして強盗たちを起こすと、こう言いました。「夜が明けましたよ。起きてこちらへおいでなさい！」 彼は喜びに満ちていました。
自身を拠り所に saraṇa：protection； refuge； a
shelter 拠り所
Atta-dīpā viharatha,
atta-saraṇā,
anañña-saraṇā;
dhamma-dīpā viharatha,
dhamma-saraṇā, anaññasaraṇā.
自分自身の島（中洲）をつくりなさい
自分自身を拠り所としなさい
ほかに拠り所はないのだから
ダンマをあなたの島（中洲）としなさい
ダンマをあなたの拠り所としなさい
ほかに拠り所はないのだから
Mahā-parinibbāna Sutta, Dīgha Nikāya, II. 3. DN 16. 大いなる完全なる涅槃の経
11日目の講話
コースの後でも実践を継続する方法
納得出来ないところは横に置いて、納得できるところだけを実践しなさい。
大事なことはダンマの実践だからです。
他者を傷つけないこと
自分の心のマスターであること
慈悲の心を生み出し続けること
毎朝夜5分間、感覚を見る習慣はとても助けになる。
毎朝夜1時間の瞑想
私の症状
胸全体が痺れ、連続的に震え続けるので、これがサンカーラと何か関係しているのではと、アドバイスの通りに数分間その箇所にとどまることを続けたが、そのうち胸が引きつり始めた。
さらに続けると心臓が圧迫され始めた。
アシスタント・ティーチャーに相談すると、表面が完全に終わるまでは身体の内部に触れてはいけないとのアドバイスがありました。
なぜ胸が痺れ始めたのか？
可能性は疲れによる筋肉痛か、肩甲骨の横にも似たような違和感がある。
左の首筋は張っており、触ると痛い。
他の可能性はカラダの内部にもフリーフローを試す指示があったので、それを実行したためなのか？
瞑想への疑問
瞑想は思考から気づきに移行させる技術である。
その結果、感覚は鋭くなり、微妙なニュアンスやいつもは感じられない微細な感覚を感じられるようになる。
例えば常時においては五感を介する強い刺激の下に隠れてしまっている微細な皮膚感覚である。
皮膚感覚が磨かれることによりこれまでに気づかなかった刺激を感知できるのは、たしかに有益な一面がある。
しかし、現代生活に戻る時に、都市生活はあまりにも多くの人とすれ違うために、いちいち相手のことを気にしておられず他者の気持ちに気を多く使いすぎてはオーバーヒートするように感じてしまう生活空間もある。
一度身についてしまった感覚をそのままにしていると、都市生活がしづらくなってしまうのではないか。
切り替えが必要なのだが、これを上手にする方法を教える必要があるのではないだろうか？
感覚を感じることに慣れてくると、切迫した状況でも微細な感覚を感じながら、そのTPOに適した言動を取れるようになる。
悟りの道を邪魔する10の障碍 saṃyojana衆生を輪廻に縛り付ける「束縛」としての煩悩のこと
1 - The illusion of the one - sakkâya ditthi - false faith in the personality 自己の実体化
2 - The doubt - vicikicchâ - the scepticism towards the Educations 習っていることへの疑い
3 - The affection in the rites and in the ceremonies - sîlabbata-parâmâsa - to grant(tune) a false confidence in the value of the rules and the rites 習慣にしている儀式へのこだわり
4 - The sensual desire - kâma-râga 性的渇望
5 - The bad will - vyâpâda - the wickedness 悪意
6 - The desire of the world of forms - rûpa râga - desire of the material existence形にこだわるメンタルの渇望
7 - The desire of the world without forms - arûpa râga - desire of the immaterial existence形がないことにこだわる渇望
8 - The pride - mâna - expresses the mindless respect of its ego 比較から始める 卑下と傲慢 思考の連鎖
9 - The excitement - uddhacca - the mental anxiety メンタルの不安
10 - The ignorance - âvidyâ - state in which one is plunged in the absence of knowledge
無知 四聖諦、三相、五蘊の認知システムを知らないこと
三相は実感、縁起は論理、四諦は実践
漢訳
有身見（うしんけん; 巴: sakkāya-diṭṭhi） - 五蘊を自己とみなす見解[1]
疑（ぎ; 巴: vicikicchā） - 疑い
戒禁取（かいごんしゅ; 巴: sīlabbata-parāmāsa） - 誤った戒律・禁制への執着
欲愛（よくあい; 巴: kāmacchando）- 五欲に対する欲望・執着
瞋恚（しんに; 巴: vyāpādo） - 怒り
衆生を色界・無色界（上分）へと縛り付ける結を、五上分結（ごじょうぶんけつ; 巴: uddhambhāgiya-saṃyojana）と呼ぶ。
色貪（しきとん; 巴: rūpa-rāga） - 色界に対する欲望・執着
無色貪（むしきとん; 巴: arūpa-rāga） - 無色界に対する欲望・執着
慢（まん; 巴: māna） - 慢心
掉挙（じょうこ; 巴: uddhacca） - （色界・無色界における）心の浮動
無明（むみょう; 巴: avijjā） - 根本の無知
論蔵における十結 論（アビダンマ）の分類法(巴: abhidhamma-naya)
貪欲（とんよく; 巴: kāma-rāga）
瞋恚（しんに; 巴: paṭigha）
慢（まん; 巴: māna）
見（けん; 巴: diṭṭhi） - まちがった見解
疑（ぎ; 巴: vicikicchā）
戒禁取（かいごんしゅ; 巴: sīlabbata-parāmāsa）
有貪（うとん; 巴: bhavarāga） - 存在することへの執着
嫉（しつ; 巴: issā） - ねたみ、嫉妬
慳（けん; 巴: macchariya） - けち、物惜しみ
無明（むみょう; 巴: avijjā）
アナッタに関してゴエンカ師の解釈
伝統的な解釈である無我である、という表現を使っている。
4日目と7日目の夜の講話でアナッタに触れているが、どちらにも「私ではコントロールできない」というニュアンスのことについての言及している。
9日目の講話ではアナッタを無我と解釈して説明している箇所がある。