釈尊の風 五蘊篇 ミレニアムの発見
五蘊について
人類史における大発見はいくつかあるが、釈尊の五蘊の大発見は、人類から苦を解放する偉業である。
この五蘊の発見により、釈尊は解脱することができたのであるから。
ところが、上座部仏教でもBuddhaghosa以降の解釈によって五蘊の解釈は変化してしまい、
その後の革命的な大乗仏教でも次々と仏法の教え（Bhuddha Dhamma）の解釈を変えたが、
日本仏教や中国仏教ではこの五蘊の解釈を誤謬したままで、もうすぐ2000年になろうとする。
もうそろそろ間違えの修正をしてもよいのではなかろうか？
上座部も大乗も教義の根幹は揺らぐであろうが、釈尊の教えが分からなくても、釈尊の教えを間違って解釈していても、
釈尊の教えを使わくても、ヒトを救ってきたという実績が上座部にも大乗仏教にもある。
そしてもし大乗仏教の中に解脱した人々がいるのならば、
それは釈尊と違った手段によるもので、それも大きな発見である。
そして、そのメソッドと開発者に対しての正当な評価と称賛があるべきである。
はじめに 釈尊の発見した五蘊とは？
準備 意識からモノが生まれる そして世界の区分の仕方
なぜ五蘊でわかったことを実践するとヒトは解脱できるのか？ そのメカニズムとは？
５つ個々の特徴
五蘊を知らないと陥る思考パターン 唯物論と永遠の魂（唯魂論）
五蘊の認識システムの流れ
五蘊の概念
物と心 生物の物と心 rūpaとrūpakhanda
五取蘊
涅槃と五取蘊の関係性 近づく心を解除する方法 そのアプローチ
四諦と五蘊との関係性
縁起と五蘊との関係性
三相と五蘊との関係性
大念処経と五蘊との関係性
コラム
本当に日本・中国仏教の五蘊の解釈は誤謬なのか？ なぜそういい切れるのか。 ミャンマーや英語圏では？
中村元の業績と限界
どこで解釈を間違えたのか？伝統的解釈とその原因
五蘊の解釈を故意に間違えることで生れた大乗仏教 「般若心経」 色即是空
五蘊の順番 色受想行識 それとも 色識想受行
５つの関係性 包含図
解脱後のブッダの最初の言葉
はじめに
五蘊が発見されたことで、ヒトのマインドを「言語化」できるようになったことにより、
ヒトの認識プロセス
モノとメンタルの関係性
意識（メンタル）がモノを生み出していること
メンタルと霊との関係性
記憶の仕組み
意識とは魂が汚れた結果であること
意識と転生プロセスとの関係性
争いや苦しみの原因（パターン認識のメリットとデメリット）
メンタル界に閉じ込められている現状とそこからの離脱の仕方
以上のことを修行をしなくても、言語で説明することができるようなりました。
ただ説明できるようになっただけなので、修行という実践をしなければ、
理論的に理解できるだけのことでしかないが、その理論が実践の大いなる動機と指標になります。
別に五蘊が発見されなくてもヒトは苦しみから離脱する方法はいろいろあるが、
論理的に言語化して説明されないと何事も始められない私のような「頭でっかち」には、
この五蘊は「天からの糸」になります。
五蘊とは何なのか？
五蘊pancakkhandhaとは、私たちのこの世界の理解の仕方のことで、誰一人も同じ五蘊を持っている者はいません。
各自それぞれがどのように世界を見て、どのように理解しているのかは異なっているからです。
そして、私たちはこの五蘊から各自の見解diṭṭhiを作り上げています。
そしてこの見解diṭṭhiから一つ一つの判断が生まれるので、この五蘊がその人そのものだとも言えます。
物理の世界と心の世界には大きな違いがあります。
物理的な世界は、私たち全員にとって同じものです。（だと仮定しましょう）
たとえば、そこにある同じ松の木を見たとしても、
私たちが作り出す感情、イメージ、認識の仕方、条件反射、そして言動、
これらのメンタルの印象（五蘊pancakkhandha）は、各自一人一人によって異なるからです。
これが四大元素satara mahā bhutaとその派生物からなる「物理の世界」と、
五蘊pancakkhandhaの「心（メンタル）の世界」の違いである、と仏法ではとらえます。
また五蘊を、現在の学問としてみると、最先端の認識論のことです。
epistemologyはギリシア語の「知」epistēmēと合理的な言説logosを合成したものです。
（1854年「形而上学概論」）
認識論とはヒトの外の世界を諸々の感覚を通じていかに認識していくかを説明するもので、
実験によって検証するという科学的？方法論ではない内観法からこの学問ははじまりました。
このような手法は全く主観的な意見でしかない、と批判があったが、
19世紀末から、客観的、科学的方法論をもとに実験心理学が登場し、認識の一部は、心理学に取り込まれていきました。
実験心理学では、データの統計的処理では科学的であったが、なぜ錯覚が生まれるかというメカニズムの解明では、
仮説を立て実験データとの照合を論じてはいたものの、その仮説自体はやはり思弁に過ぎなかった。
そこで実験動物を用いた観察可能な行動のみを研究対象とする一派も存在し、その後の脳科学の進歩によって急速に、
認識論の仮説が次々と立てられています。
五蘊が認識論の最先端だと言えるのは、
感覚器官を介する信号にメンタル界ではタグが付けられていることや、
一般化や言語化の可能性と限界、条件反射の仕組みやその種類、
概念による錯覚のメカニズムや、
意識化による潜在意識における思考のパターン化による弊害などを、
すでに2500年前に先取りしているばかりではなく、
無意識と自己意識の脳 ダマシオ The
Feeling of What Happens
上記の研究よりもはるかに微細な領域にわたって詳細に解説しているからである。
それらは10億分の１秒から200億年にわたる範囲で起きているメカニズムを詳細を考察することを経て、
それらの弊害の解除や解体のアプローチを具体的に記述しているので、
論蔵をはじめて読むとしばらくはボーとするかもしれません。
そこらの小説よりも奇奇怪怪であり、あまりにも詳細に記述されているからです。
ヒトは物質をどのように認識しているのか 論蔵における認識のプロセス
しかし、釈尊は学問をしようとしたわけではなく、
意識を持つ生命体がもってしまう宿命的な苦しみを取り除く方法を試行錯誤していたら、
それは「認識する過程」において発生することがわかりました。
そして、どこに苦しみの問題点があるのかを指摘するために、そのプロセスを５つに分析して、
（実際にはプロセスを「見る」ことで発見して）認識のメカニズムをはじめとする「心の内景」と仕組みを明らかにし、
言語化することで、苦しみから離脱する方法を提示しました。
釈尊の苦しみから離脱するアプローチは、
この世の性質を示している三相、
この世のつながりを理解する縁起、
心を安らかにして対象に集中する瞑想、
体を動かさない座禅の意味、
そして苦しみの原因を理解する四諦
があります。
それぞれのアプローチに出てくるのが五蘊であり、
この五蘊の特殊なケース（五取蘊）の中に苦しみの原因があるとことを釈尊は発見して、
これを除去する方法を生涯をかけて出会う人々に説きました。
五蘊pancakkhandhaの一部である五取蘊pancupādānakkhandhaとは、
世俗的なものに対する私たちの欲望すなわち「その人の切望」のことです。
私たちの五取蘊pancupādanakkhandhaすなわち五蘊pancakkhandhaの一部にある愛着は、
五蘊同様に個人的で、一人一人にとって独特なものです。
ですから、これらに向き合うことができるのは本人だけであり、
他者は助けることはできても、実行することはできません。
いくら大事な好きな人であっても代わりにトイレに行くことができないように。
この五蘊のメカニズムをなんとかわかりやすくお伝えできればと願っています。
分かりづらい場所があればどうぞ、ご指摘お願いいたします。
五蘊の範疇は何なのか？
宇宙なのか？、それとも、ヒトの心なのか？それとも・・・・・。
これまでの上座部でも大乗でも、この世界のすべてのものは、5つの集合体（pancakkhanadha）の1つに属する、
と言って、五蘊でこの世界を区分することができる、と説明してきました。
中村元氏による「五蘊皆空」の解釈は
「存在するものには五つの構成要素があると見きわめた。しかも、かれ（観世音菩薩）は、これらの構成要素が、その本性からいうと、実体のないものを見とおしたのであった」 『般若心経・金剛般若経』岩波書店
鈴木大拙氏は、
「存在するものには五つの構成要素があると見きわめた。しかも、これらの構成要素が、その本性からいうと、実体のないものであると見抜いた」 『禅とは何か』
しかし、三蔵によると、五蘊の範疇はヒトの心（マインド）であり、
識蘊だけがエネルギーすなわち物質に関わる場合もあるので、
（ほぼ）メンタル界から見た世界の様子というのが良いかと思います。
つまり物質エネルギー界をマインドが認識して、判断して、行動することで、
また物質エネルギー界に関わっていくというプロセスが五蘊だということです。
そしてメンタル界は魂cittaや霊nibbānaとの世界にも関わるプロセスがあります。
このメンタル界のサイクルを釈尊が発見したので、五蘊のメカニズムを理解して、訓練することで、
このサイクルから離脱する方法を説いたのが仏教となりました。
五蘊の範疇はこの世の全てではなく、
基本的には心、識viññānaの一部だけが物質エネルギーであることをこれから順番に説明していきます。
日本伝統のこの世の区分の仕方を使えば、
「霊spirit・魂soul・心mind・物body」を使えば、心の範疇にあたるのが五蘊です。
五蘊の機能の話をすすめるためには、その前に、
意識が物質に影響を与えるという事実と
世間の常識と釈尊の世界観との相違
について再認識することで、五蘊のことがより良く理解することができるので
説明します。
五蘊を理解する準備
意識はいかに物質に影響を与えるのか？
物理学者の目指す万物の理論ToE 重力と意識エネルギーの関係性
意識と量子エネルギー 量子脳理論 意識には量子力学の性質がある Quantum
consciousness
「いのち」のエッセイ いのちとは何？ 真我purusha、アートマンとの関係は？
共時性と因果性 意識は現象に影響し、偶然の一致は微細レベルでの因果なのか？ ユング、パウリ
波動が物質の性質・機能・形態を現す 現代科学の特徴と限界 波動性科学 大橋正雄
意識は「死後の世界」に量子の情報として永遠に残り続けるという根拠
素粒子物理学 「神の数式」を求めて アナロジーで理解する物理史
五蘊とは「心の領域」のことだが、そういうためには、まずは全体の地図を準備することが必要です。
この地図は、この世界や世界の神話や多次元宇宙を含めたすべてを４つに区分することで、
自分が今いる場所がどこであるのかを迷わないようにするためです。
この区分はパーリ語経典である三蔵によるものですが、
日本語で書いているので、日本の伝統文化での区分を使い、
その後にパーリ語やサンスクリット語や英語での表記も加えていきます。
どの言語を使っても内容が少しずれていたり、言葉や文化の固定観念により他の意味になってしまったりするので、
所々で修正を加えながら進めていきます。
４区分とは、日本文化でいうと「霊・魂・心・物」のことです。
これは上座部仏教やパーリ語経典ではparamatthathō勝義諦と呼ばれているもので、4つの究極の現実に対応します。
この世ではみんなで決めたルールの世界である常識と、苦しみから離脱するための世界観は別物です。
この構造を三蔵では2000年前から説いています。
一般的に常識と呼ばれる世界での真実は、仏教BuddhaDhammaでは、
世俗諦 sammuti sacca（同意され認定され許可された真実）と呼び、
その根底にあるのが釈尊の説く世界観は勝義諦 paramattha saccaと呼ぶます。
saccaとは真実の意味で、この２重構造にも見える真実はどちらも本物です。
勝義諦 paramattha sacca parama 勝 + attha 義（意味）優れている究極の真実
とは、変化し続ける世俗諦を徹底的に分解すると行き着く究極の終点のことです。
parama：[adj．] superior； best； excellent
attha：[m．] welfare; gain; wealth; need; want; use; meaning;
destruction．（attha pres．2nd plu．of atthi．）
すべてを分別して探求する方法で、はじめに４つに大きく以下のように分別しました。、
物質から量子までの物質エネルギー界、
エネルギーとしてのメンタル界、
citta（魂）界、
涅槃（霊界）
cf.説一切有部の『倶舎論』は、色法11・心法1・心所法46・心不相応行法14・無為法3の５つに分別し、
合計で75種があるとする。（五位七十五法）
「言葉」という世俗諦を使ってしか、勝義諦のことは説明できない。
だからいくらこれが勝義諦だと説明しても、その説明は世俗諦でしかない。
こうして、勝義諦をわかるためには結局は個々が実践を重ねて体感するしか方法はない。
しかし、世俗諦の言葉が勝義諦という月を指す示す人差し指となり、佗（わ）びることはできる。
対して、
世俗諦 sammuti sacca があります。
そのように決まっているから、それを真実として認めることにしようという
英語でいうconventional truthのことで、正確に言うと常識common senseではない。
常識ommon senseとは共通感覚を仮に設定した分別のことであるので、
はじめから無理あるものであるのに対して、
conventional truthは始めから正しくはないけれどみんなで決めたルールなので、
そこに徹底的な真実・真理・論理的根拠がないことをあらかじめ前提として理解している。
つまり、みんなで決めたからできたものであって、公共性としてひとまずはそれを基準にしましょう、
という約束事のことである。
この世は変化し続ける存在なので、カタチを基準にした不変の真実などはあるはずがなく、
カタチになった科学や言葉など世の中の全ては世俗諦に属する。
最新の科学の結果が数年もしくは10数年後には、もう真実でなくなっていることが繰り返されているように。
法律は毎年のように、改正されているように。
世俗諦の根底にある勝義諦なので、私たちはこのような二重構造の現実の中で生きていることになります。
リンク先を参照してください。
この2重性の真実 意識から物質が生まれるプロセス 三蔵の教え
モノrūpaについての詳細 色rūpaと色蘊rūpakkhandha
世界の区分の仕方
ではどのようにパーリ語仏典ではこの世界を分類しているのでしょうか？
nibbānaとcittaとcetasikaとrūpaの４つです。
伝統的な日本の概念でいうと、霊と魂と心と物です。
この４つはお互いに影響を与え、相互作用していますが、このように４つに分けて個別にして表現することも可能です。
霊とは、大いなるもの、カミさま、などと呼ばれているこの世界にあまねくものです。
魂とは、霊の一部が膜に入った「いのち」とそれによって生じたエネルギーである「知ること」と「光」と「カタチ」です。
心とは魂が物とつながり、架け橋の機能を担当するマインドが玉座にすわるメンタル界のことです。
物とは霊と魂と心によって作られたエネルギーとそれが凝縮されて物質と呼ばれているモノたちのことです。
これから先は原典のパーリ語に則して話を進めていきますが、知らない用語で整理しづらくなった時には、
上記の「霊魂心物」に置き換えて理解してみてください。
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霊 |
魂 |
心 |
物 |
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欧米の伝統 |
spirit |
soul |
mind |
subtle body |
body |
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日本の伝統 |
霊 |
魂 |
心 |
気 |
体 |
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伝統的科学界 |
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不可知 |
マインド |
エネルギー |
物質 |
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学問 |
量子力学 宇宙論 |
心理学 |
相対性理論学 |
物理学 |
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パーリ仏経典 |
nibbāna |
citta dhammā |
cetasika bhūta |
rūpa 微細dhātu |
rūpa 粗大dhātu |
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ヨーガ派 |
brahmanｓ parātman |
ātman chitta ahankāra |
buddhi manas |
微細元素 tanmātrā |
粗大元素 bhūta |
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神智学 |
カミ |
コーザル体 |
アストラル体 メンタル体 |
エーテル体 |
肉体 |
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仏教用語を使うとその漢字に影響されるので、まずは内容から。
Nibbāna この世に遍き、かつ離脱しているという言語を使うと矛盾してしまう霊の世界
Citta 真我（観照者）と経験した記録や性向が保管されている心素と我執の複合体である魂
Cetasika 感情や思考や意思や理性などがある心
rūpa 物質エネルギー
次に日本伝統仏教での用語では、「涅槃」「心」「心所」「色」の4種類である。
Citta 心 認識する機能
見ることしかできないがすべての原動力である「いのち」
５つの感覚器官と意識の6種類を使って認識する（知る）機能
枠をつくることで、内外の物事を感じ、気づき、察知する働き
Cetasika 心所 認識と一緒に生まれる感情 心に生まれる状態
花を見れば、見る働きで認識する（citta）だけではなく、きれい、だとか嫌いだとか、
それを限定する感覚が伴い、心の感情が変化する。
いろいろなものが心に生まれる。明るさ、喜び、悩み、苦しみ、眠気などあらゆる感情がすべてCetasika
善悪に関わらず心に生まれる一切の感情
１つを２つに分けることで分析する機能
「覚りの智慧」も心に生まれる特有な状態なのでCetasikaの一部に含まれる
すべての知をつなげる共通意識
rūpa 色 認識するための機械
認識するための道具である物質 内側の身体、外側の物質
内側の主観的な物質である身体と外側の客観的な物質である現象の二種類がある。
この３つの別名がloka-sacca（世間諦）で、この世はこの３つだけで、それ以外はない。
しかし、もし、この3つの働きが止まったら、この世間諦から離脱することになり、
それをlokuttara-sacca（出世間諦）といい、これが
Nibbāna 涅槃
上記の３つの常変を体感することで、何ものにも囚われる意味などはないという智慧の感情が生まれる。
すると、そこで体験する世界の状態がある。それが涅槃である。
認識機能が止まった時空なのでヒトの日常使っている６感覚では認識することができない。
「認識する機能」これが心のはたらき
生命とは認識するもののこと、そうでないと生命とは言えない。
アメーバーもウイルスも生存できる環境を察知し、反応しているので、
釈尊にいわせればcittaのある立派な生命である。
ウイルスでさえも、外界を察知してすることで、変異体として変化し続けている。
ウイルスからヒトまですべてが生命体である。
生命があるならば、必ず認識する機能がある。これをcittaという。
cittaは身体中にある。しかしcittaという「物」はない。ただの働きであるからだ。
認識するから「生命」が誕生するのであって、「生命」というものがあるのではない。
認識する機能はずっと休みなく続いているので、それらを世俗諦として仮に「生命」と呼んでいるにすぎない。
「生命がある」という世俗諦を勝義諦（真理）と勘違いして、
生命を探しては、定義しようとしているのが生物学などの学問の枠組みである。
認識はただの働きであり、エネルギーの流れである。
「私」が認識しているのではなく、エネルギーの流れを「私」と仮に呼んでいるにすぎない。
パーリ語とサンスクリット語
今日の主な問題の1つは、使用されている主要な用語の多くが元のパーリ語ではなくサンスクリット語であることです。
理由は意味が歪むからです。
サンスクリット語の「skandha」は、元のパーリ語であるkhandhaの代わりに一般的に使用されています。
khandhaは「積み重なった塊」であり、今日でも「積み重なったもの」または「堆積」を表すします。
またパーリ語のcittaとサンスクリット語のchittaは指すものが違い、
ただ、ヨーガ派などのインド思想では、
仏教のcitta「知る生命」をātmanとchittaにahankāraの３つに分離して考える伝統がある。
ātmanは、ただ見ることしかできないが「いのち」そのものであり、
chittaは、ātmanがなければ、活動を停止してしまう「知る機能」である、とする。
ahankāraは枠組を作る機能で、それによって具象化して認識することができる
すなわちパーリ語のcittaが指すものは、サンスクリット語のātman＋chitta＋ahankāraと推察できる。
心と物の関係から浮かび出てくる五蘊
次に「心と物の関係」にスポットライトを当てると、ここに五蘊が登場してくる。
霊
魂
心（五蘊）
物
この心と物とをつなぐ、心の部分を「五蘊」と呼ぶ。
心のメンタル界を基準にして、そこから世界を見た時に、世界を５つのカテゴリーの集まりという見方を
示した。
釈尊がマインド（メンタル）の世界を探求した時に、物と心の接点で働いている機能を発見して、
そこに苦しみの原因があることを突き止めた。
そこには５つの範疇（カテゴリー）があるので五蘊と呼ばれることになった。
例を出してそれぞれにはたらきを見てみよう。
はじめに、マインド（意識、わたし、主体）が目を使って物質界のモノ（色rūpa）のコップを見るとそのイメージが、
メンタル界に伝わる。このイメージが集まったところを色蘊といいます。
rūpaにはエネルギー界を含めたものや物質だけを指すものなど広義を持ちますが、
ここでは物質界限定のrūpaです。
ただ香りや味の粒子も含まれるのでとても細かいもの（微細なdhātu）までが含まれます。
またもう一段階小さなもの（bhūta）である光子と音波はさらに微細ものもrūpaです。
次に、そのイメージに近寄りたいか、遠ざかりたいか、どちらもでないか、という「タグ」が付けられます。
それが受vedanāのはたらきで、そのタグがついたイメージが集まったところを受蘊といいます。
そして洗濯物を衣装棚に区別するように、イメージは想saññāのはたらきで、一般の単語やシンボルに区分けされます。
そのイメージが集まったところを想蘊といいます。
この受vedanāと想saññāによって区分されたイメージをアプリにするはたらきが行sankhāraです。
具体的にはインプットに対して自動的にアウトプットが反応する回路なので、私はアプリと勝手に呼んでいます。
怒りや悲しみなどの感情も心の条件反射なので、アプリのアウトプットとなります。
そのイメージの回路があつまったところを行蘊といいます。
最後にこの認識の流れを意識化するのが識viññānaです。
このプロセスには行sankhāraを経由したものとしないものでは、識viññānaのはたらきが変わります。
行sankhāraを経由したものが意識されると、それはエネルギーを持ち、「種」として保存されます。
そうでなければ意識化してもエネルギーとはならずに、そのまま消えていきます。
このような意識化されたイメージが集まったところを識蘊といいます。
これらの受蘊、想蘊、行蘊、識蘊にあるものは「記憶の記録」としてcitta（魂）に保管されます。
上座部仏教徒に「魂」というと、仏法では無我だから、といって否定されることもあるので、
「カルマの種」が保管されるところ、と説明すればよいのかもしれません。
このように物質界とメンタル界と魂界を結んでいるのが五蘊のはたらきです。
五蘊のメカニズムと苦しみからの解放
色蘊の機能は物質をイメージに変換することなので、一瞬後にはそのイメージは消えていき、残りません。
変換されたイメージをちゃんと認識すると、それは記憶になります。
たとえば、車窓の景色はイメージに流れるように変換されますが、
そこで確かに認識しないとそのイメージは消えていき、関心があったことだけが記憶になります。
記憶が思い出される時は、マインドのエネルギーを使って「記憶の記録nāma gotta」に照射すると、
色蘊の機能によってそれがイメージ化されることで、昔の出来事が「再生」されます。
詳細な色rūpaについてのリンク先 色rūpaと色蘊rūpakkhandha
受vedanāの機能は「タグ」をとりつけることであり、それが検索機能のベースとなって、
後に行蘊で自動反応回路になり、「いま・ここ」という変化し続けている現実界に対して、
TPOに適さないパターン化した反応をしてしまうことになる。
そこで、タグをつける時に極端な「近・遠」をつけないで、できるだけ「どちらでもない」タグをつけることで、
回路を作らないことで、現実界の「いま・ここ」のTPOに適した穏やかな言動を取ることができるようになる。
そして受蘊にある積み重なっている無数の記録の極端なタグを中立のものに上書きしていく。
詳細な受vedanāについてのリンク先 受vedanāと受蘊vedanākkhandha
想saññāの機能は、入力されたイメージを以前に作ったカゴ（区分けされた観念）に入れて、新しいレベルを貼ることである。これが知識を増やすメカニズムなので、試験などでは重宝するが、
この区分けの仕方やレベルの貼り方は、任意的、すなわち人為的なデバイス（偏向）がかかったものなので、
普遍的なものではない。
これは植物や動物の分類学にも言えることで、「分類」とは誰にでも普遍的でも共通なものではなく、
学問的分類であっても、それはその人にとって都合の良い個人的趣味による分類である。
ただ統一したほうが便利であろうと、みんなで決めたルールなので、分類学は世俗諦の１つである。
いかなる一般化、言語化、シンボル化も同様である。
saññāとはsan（付け加えたもの、具体的には貪瞋痴）によってなされる分類（知識）なので、
このsanを取り除き、paññā（智慧）に変換させていくことが必要となる。
そして想蘊にある積み重なっている無数のラベルのついた棚を詰め替えたり
（眼から鱗を落としたり、新たなう鱗を試してみたり）、いらない棚を整理したりしていく。
詳細な想saññāについてのリンク先 想saññāと想蘊saññākkhandha
行sankhāraの機能は、色rūpakkhandhaのイメージと受vedanāのタグと想saññā観念のカゴを構成要素にして、
自動的にアウトプットする回路をつくることなので、出来上がったアプリケーションは
「いま・ここ」での変化しているTPOに寄り添ったり、向き合ったりするものではなく、
過去に作成したパターンを一方的にアウトプットしてしまうことで、「いま・ここ」のTPOには対応しない。
行蘊にある積み重なっている無数の回路を弱体化したり、必要のないものであれば解体していくのもいい。
詳細な行sankhāraについてのリンク先 行sankhāraと行蘊sankhārakkhandha
識viññānaの機能は、受vedanāや想saññāや行sankhāraが潜在意識で行っていた作業を、
表層意識で確認することで意識化して認識することである。
この認識が言動の判断の要因になる。
識viññānaに入力される経路は２つあり、行sankhāraを経由するものとしないものがあり、
経由する方の信号を識viññānaにインプットすると、アウトプットが一点に集中することが繰り返されことで、
「エネルギーの種子kamma bīja」を作成することになる。
この「種子」は条件が揃うと自動的に結果が発生するので、自分の意志で止めることができない。
識蘊に待機しているある「種子」が芽を出す件が揃わないように配慮する。
また識viññānaの多層性を理解し、表層だけではなく、中層や深層をも体験することで、
必要のない種子を増やさないようにする。
詳細な識viññānaについてのリンク先 識viññānaと識蘊viññānakkhandha
サンカーラの回路とカルマの種子の違い
サンカーラはただの回路だから、繰り返されることで回路は強化するが、「カルマの種子」は一度できると、
条件が揃うことで、芽を出し、葉をつけ、花が咲き、実がなる。
サンカーラは行蘊に集積され、「カルマの種子」は識蘊に集積され、インプットが入力されるまで待機している。
このように五蘊（色・受・想・行・識蘊）の機能がわかると、苦しみが生じる因果関係が理解でき、
それに対する対処の仕方や予防策も知ることができ、何を目指して修行すればよいのか、が明確になる。
詳しい五蘊からの離脱の方法は 認識システムと五蘊 そこからの離脱法
五蘊を知らないと陥る思考パターン 唯物論と永遠の魂（唯魂論）
メンタル界には他にも意思（マナス共通意識）や理智（ブッディ分別意識）など他にいろいろな機能があるが、
五蘊を知らないと、メンタルの仕組みを利用して「苦」から離別する手段に気がつくことができない。
多くの科学者を含む今日の現代文明圏居住者の中には、肉体が存在する限り「人」が存在すると信じている人がいます。
私たちは（明白な理由もなく）生まれ、そして私たちの人生を生き、そして私たちが死ぬとき、
それは物語の終わりなので、それが続く間、人生を楽しんでいたい、と考えるのが、「唯物論的見解」です。
また、この死後に天国、地獄もしくは中間の世界に行くと考え、それを基準にして日常を暮らすのが「魂論的見解」です
どちらの「理論」も論理的基盤はなく、私たち一人一人がどのようにして生まれたのかを説明していません。
対して釈尊の五蘊の説明はメンタル界のメカニズムを知ることで、
どのように日々を生きればよいのかを示唆する「メンタル界からみた見解」（メンタル論的見解）です。
しかし、正確に言うとメンタルを基準にして、そこから見た物質と魂と霊を語るのに対して、
唯物論では、心と魂と霊を除外して法則を組み立て、
唯魂論では、魂と記憶は不離同一で不変なものとして捉える宗派は、アブラハム教のように転生を認めることはしません。
唯魂論でも、魂とgati（性向）が不離同一と捉える宗派は、ヒンドゥのように転生を認めます。
五蘊（pañcakkhandha5つの集合体）は、いかなる生物も他とは異なるので、五蘊がその生物そのものだとも言えます。
対して、唯物論は物質、唯魂論は魂を「生物そのもの」の基準にすることになります。
意識がどのように生じるかという重要な問題を、唯物論者は、思考や意識の起源として脳に焦点を当てています。
しかし、不活性物質（原子や分子）が痛み、喜び、嫉妬、貪欲などの「メンタル現象」がないので、
それは無駄な努力なのは明らかなはずです。
「不変の魂」の支持者は、死ぬと魂もしくはātmanが肉体から離れて、地獄か天国に行くことを（証拠すなわち原理実証なしで）信じています。
釈尊が発見した五蘊はメンタル界から世界を理解するためのキーポイントであり、
「メンタル体」（gandhabba）は「魂」や「ātman」のような不変の実体ではありません。
そのメンタル体は、31の存在領域の1つに存在することで、さまざまな形をとることができます。
たとえば、人間のメンタル体は、動物、deva、またはBrahmaのものとは大きく異なります。
つまりメンタル体gandhabbaは不変ではありません。
認識システムの段階プロセス
外の世界を感じる簡単な流れは次のとおりです。
5つの身体感覚は、外部から映像、音、匂い、味覚、感触を受け取ります。
これらの感覚入力は神経系を介して脳に送られます。脳はその「信号」を分析し、
それらの映像、音、匂い、味、および感触をメンタル界のマインド（hadaya vatthu）に送ります。
たとえばケーキを見たとします。
目はカメラのようなものです。カメラのようにケーキの画像をキャプチャーします。
その画像は脳に送信され、それをメンタル界の五蘊とその画像のイメージと照合し、
buddhi分別意識とmanas共通意識をを使ってイメージを分析します。
この働きはmanasikara cetasikaが行います。
次に、これらの信号はマインド（hadaya vatthu）に転送され、
たとえば、それをおばあちゃんが作ったチョコレートケーキとして識別します。
このように脳とマインドは連携して、多くの画像データをほんの一瞬で分析できます。
この視覚による認識のメカニズムを科学者も基本的に同意しますが、
三蔵との違いは科学者は「脳」が眼の前のケーキの画像を「脳に保存された」何十億もの画像と比較している、
と信じていることです。
脳が「画像の保管場所」をスキャンし、パンの塊や布ではないことだけでなく、
それがどのような種類のケーキであるか、誰が作ったのか、それとも店で買ったのかを認識する、
と科学者は信じています。
対して、仏法では、マインドは肉体ではなく、メンタル体の中心であるhadaya vatthuにあり、
これが執事のように働く、脳にあるマインドの感覚器官であるmana indriya と常に連携をとって
認識作業を行っているとします。
脳は物質界での作業を合理的に行う実務センターの執事のようなものだと捉えらます。
五感覚器官は物理的信号との接触によりて感知しますが、
mana indriyaはdhammāと呼ばれるエネルギーと接触することで感知します。
過去のすべての経験はメンタル界（manō lōka）の五蘊とcitta（私は魂界と呼んでいるが仏教では魂を否定する教義が多い）に記録nāma gottaとして「保存」され、マインドhadaya
vatthuはそこにスポットライトを当てることで、
対象が活性化し、マインドの中でその情報が再生される。
これが日常生活で「記憶」の想起と呼ばれるものです。
物質界の目cakkhu indriyaそして脳mana indriyaを経由して、
メンタル界のマインドhadaya vatthuに送信された画像の信号は、
メンタル界の色蘊rūpakkhandhaでその画像の「型」をエネルギー（dhammā）で生成し、cittaに格納します。
その画像が対象物（この例ではケーキ）によって生成された「型」は物質界ではなく、
メンタル界のものでdhammāで構成された記録nāma gottaです。
（「型」という表現ではちゃんと伝わらないと思うので、良い喩えがみつかればいつか置き換えます。）
分析されたものが匂いであった場合、その匂いの記録が作成されます。したがって、
この場合のrūpakkhandhaはその特定の匂いのイメージです。
匂いそのものではありません。このように、作成されるrūpakkhandhaは単なるイメージすなわち「型」です。
映像、音、匂い、味、触覚はすべて物質の領域にあるもので、khandhaにあるのはイメージです。
たとえば映像といっても、マインドが受け取るのは、物理的瞬間の静的画像が一連のつながりになったものです。
さまざまな感覚入力に関する多くの記録は、一瞬で私たちのマインドを通過します。
この瞬間的画像や音を連続的に受信することで、切れ目のない一体の映像や音楽として、マインドは体験します。
映画は、静止画像を１秒間に24コマ流すことで、動画になります。
つまり、実際には静止画を連続的に認識することで動画を体験することになります。
このように物質エネルギーの瞬間的連続が、メンタル界では、エネルギーのパケットになり、
それらをマインドは一体としたものとして経験します。
外の世界を体験する（見る、聞く、…）ときに起こることは、上記と非常によく似ています。
誰かが近づいてくる時、実際に目にするのは、マインドに非常に速く映し出された一連の「静的な画像」であり、
「映画のような動画」であると、錯覚を与えます。
釈尊が説明したように、私たちの認識している世界はこのように静止画を動画だと感じるように、幻のようなものです。
出典？
17行程の認識プロセス心路citta vithi
私たちの感じる「物質的な世界」をメンタル界の心路（citta vithiiのことで、
マインドで行われる一連で17行程ある認識プロセス）の中でのみ「いま・ここ」を経験し、
次の瞬間には消え去っていきます。
citta（想いを体験する認識プロセス回路）は１つだけですが、
私たちの体験は一度だけのcitta vithiによって作成されイメージ感覚ではなく、
実際には17行程を1億分の１秒で実行され、
citta vithiのイメージ感覚を膨大な量（たとえば１億回）で積み重ねることで、
はじめて「経験」の実感を得ます。
単一のイメージがcittaで生まれても、瞬間に消えてしまうので、認識できるほんの一瞬の体験だとしても、
それはcitta vithiを通過する膨大な量（例えば数十億）のcittaが認識したイメージが集合体となったものです。
認識のシステムについてのリンク先 認識システムと五蘊 そこからの離脱法
論蔵Abhidhammaによると、大脳皮質によってまとめられた取得データのパケットは
瞬間にマインドの「場」であるhadaya vatthuに送信します。
脳からの情報を受け入れる際にマインド界では心路citta vithiが発生します。
私たちが感覚入力したものを経験するために、イメージ感覚のすべてを編集してまとめる作業をしているのは
manasikaraとcetana
cetasika（メンタル要因）です。
記憶のメカニズム 経験したデータが待機する「場」蘊khandha
脳によって送信された情報のパケットをマインドが分析すると、感情（vedana）、知覚（saññā）、
フォローアップ（継続する）思考（viññāna）が生成されます。
その感覚入力を好きか嫌いならば、マインドは自動的にsaṅkhāraを生成します。
したがって、感覚入力に関与したrūpakkhandhaに応じて、マインドはvedanaの「パケット」（つまりvedanakkhandha）、saññā のパケット(saññākkhandha)、saṅkhāraのパケット (saṅkhārakkhandha), viññānaのパケット (viññānakkhandha)を生成します。
したがって、私たちの経験は、メンタル界（manō lōka）の五蘊（rūpa、vedana、saññā、saṅkhāra、viññāna）に
格納されています。
これがkhandhaと呼ばれる、すべてのパケットを総計したものです。
たとえばrūpakkhandhaでは、見たり、聞いたり、嗅いだり、味わったり、触ったり、想ったりしたことを
イメージ化して、cittaにそのデータであるnāmagottaを送ります。
それに「近づく・遠のく・どちらでもない」という検索タグを付けたものはvedanakkhandha
それを「型」に分類してカゴに入れたものはsaññākkhandha
それをインプットとアウトプットのある回路にしたものはsaṅkhārakkhandha
その回路を通じて体験したものをviññānakkhandha
とそれぞれのデータを各khandhaに集積して収納しています。
どれも物質ではないので大きさはないのでいくらでも収納することができます。
そして、マインドが記録であるnāmagottaにスポットライトを当てると、それが各khandhaと連動して、
映画のフィルムがスクリーンに映し出されるように、光景や音などの特定の体験が頭の中で再映されます。
このような過去の経験を想起する能力を、私たちは記憶と呼びます。
脳は、複数のさまざまな種類の感覚入力を1秒で分析します。
映画を見ているときは、映像を見たり、音を聞いたり、もしポップコーンを食べているならば、
ポップコーンの匂いを感じたり、味わったりしています。
したがって、対象物に対する私たちの知覚とは、1秒間に発生する多くの想い（cittā）を総計したものです。
そして、それぞれのcittāに「埋め込まれている」私たちの感情（vedana）、知覚（saññā）、
パターン言動（saṅkhāra）、そして全体的な感覚体験（viññāna)があります。
視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚とあらゆる感覚の入力信号は、
それらに対応して照合する「型saññā」も私たちの五蘊の中にすでにあります。
言い換えれば、私たちのすべての感覚の経験は、すなわち「私たちの世界」は、五蘊pancakkhandhaです。
そしてそれは私たちの肉体とは何の関係もなく、メンタル界のものなので、したがって、
rūpaには、狭義の「物質エネルギー」の意味だけではなく、
広義の「それら物質的rūpaの記録」の意味もあります。
つまりそのメンタル界の記録であるdhammāもrūpaと呼ぶことがあります。
五蘊とはその人そのもの
Rūpakkhandhaの機能は、実際の物体、音、匂い、味、感触は含まれず、
これらの感覚入力のメンタルの記録に変換することです。
したがってrūpakkhandhaは実際の物質rūpaではなく、rūpaのメンタルイメージのことです。
生活の中で、そのようなkhandhaすなわち感覚の型の束（パケット）を継続的に蓄積しています。
同様に、vedana（vedanakkhandha）、saññā（saññākkhandha）、saṅkhā（saṅkhārakkhandha）、
viññāna（viññānakkhandha）の束を蓄積し続けます。
5つのkhandhasには、私たちの（変化する）アイデンティティと、各自の世界全体の感覚、
そして過去の経験と将来の希望がすべてを包み込んでいます。
これは五蘊pancakkhadhaが私たちの全世界であるという意味です。
そして、これらの記録は無限の時間、すなわち地球誕生以前から、
地球崩壊以降にもつながっていると三蔵では記されています。
「見る体験」つまり、物理的に直接に体験していなくても、見ること（ditta）と日常生活では呼んでいます。
たとえばある人の過去や未来を見たり、あるTPOをみたりします。
「聴く体験」も同じで、物理的な体験をしなくても聴くこと（suta）があります。
たとえば躰の聲を聴いたり、声なき者の聲を聴いたりしあｍす。
他の3つの物理的な感覚であるmuta（嗅覚、味覚、触覚）は、
実際に物質rūpa（匂いや味や圧力の粒子）を直接に体験している限りにおいて感覚となります。
（それらをマインドで作成できる人もいますが）
6つの感覚器官を介したそれらの出来事について想って感じること（viññāta）は、過去の経験を思い出したり、
将来のことを思い浮かべたりして、いつでもマインドは再生することができます。
私たちが経験するすべては、Ditta, suta, muta, viññāta、のどれかであり、後で思い出すことができます。
それらは、rūpa、vēdanā、saññā、saṅkhāra、およびviññānaのkhandhaすなわち5つ集合体として再分類されます。
そしてその後、それらはエネルギー（カルマ）がないものはnāmagottaとしてcittaに「経験の記録」が転送され、
エネルギーがあるものは「カルマの種kamma bīja」として識蘊で条件が揃うまで待機されると思われます。
記録であるnāmagottaとカルマの種の２つの違いを強調する理由は、
混同してしまうと大切な五蘊の意味が伝わらなくなるからです。
メンタルの５つの分類を見つけて、「どのように対処すればよいか」を説いた釈尊の教えが泡と消えてしまうからです。
五蘊pancakkhandhaの過去と未来
五蘊は、過去に経験したすべて（rūpa、vēdanā、saññā、saṅkhāra、およびviññāna ）、
現在進行形で経験している「いま・ここ」、そして将来に経験を希望することや計画をも含みます。
すなわち、五蘊は私たちが経験した、現在経験している、そして将来経験したいと思っている、
rūpaに関する私たちの考え、記憶、認識、欲望などで構成されています。
それらすべてを思い出すことはできませんが、「rūpaのイメージという型」がメンタル界の五蘊にあります。
色蘊Rūpakkhandhaが「rūpaの型」のただのイメージ作成工場だけなのか、
それとも、それらを保管する機能もあるのかについては実験体験中です。
各集合体はすべて、過去、現在、未来の3つの時間枠に属しています。
「現在の瞬間」である「いま・ここ」で生きることが私たちのテーマです。
しかし、ただ時間という観点から「考える」ときには、現在は一瞬で消えてしまい、それらは過去になります。
（だからこそ「考える」のではなく、「いま・ここ」に生きることがこのエッセイのテーマなのですが、
何かを考察する時には概念を使う時空、すなわち過去と未来の世界にに足を置かねばなりません。）
この時には、五蘊は「過去の集合体」と「将来の集合体」に分類されます。
言い換えれば、五蘊は私たちの「思い出」と「将来の期待・希望」の集合体になります。
過去に起こった重要な「出来事」と、私たちが将来に起こってほしいと思っている一連の出来事です。
これは五取蘊pañcupādānakkhandhāすなわちpañcakkhandhāの中にある取upādānaのことで、
取upādāna とは対象物を引き寄せて掴むことを意味します。
その掴んでいる時に、マインドはエネルギーを注入して、対象物、すなわち「こだわり」を活性化させます。
（後に五取蘊については考察します。）
各自にとっての「こだわり」とは具体的には、
・過去の経験を再現するために常に考え、話し、行動する私たちの傾向。
・今後の計画・希望を実現するために常に考え、話し、行動する私たちの傾向。
のことを指しています。
そしてこの傾向が、mano、vaci、およびkāya（abhi）saṅkhāraを介して実行されます。
五蘊pancakkhandhaが過去、現在、未来にわたっているのに対して、
Namagottaは過ぎ去ったことだけなので五蘊pancakkhandhaのほんの一部でしかありません。
そしてこれら3つの時空のそれぞれにおいて、
paneeta（好き）やappaneeta（嫌い）やどちらでもないというタグがついて、分類されています。
地球の記憶
一人一人の体験は独特なので、各自の五蘊pancakkhandhaも独特であり、他のどのいかなる生命体とも異なります。
それは、外部にあるrūpaが同じものでも、メンタルによる印象は各自によって違うためです。
同じ松の木を見ても、各自にとって、これまでの関わり具合、経験が違い、印象や感覚や感情や想いが異なるように。
生まれたばかりの新生児は、子宮の外での体験はまだありませんが、
胎児の時に五蘊を通じて過去からの無限のものをすでに持っています。
例えば、胎児は母親の胎内にいる間に魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類の体験をしている、
という面白い話があります。
これは「個体発生は系統発生を繰り返す」Ontogeny repeats phylogenyと言われていることで、
少なくても40億年の生命の歴史を10ヶ月と10日の間にすでに体験している、という話です。
三木成夫による研究によると、回虫のエラが目や鼻や耳や肺に発達したとしています。
新生児が成長するにつれて、この五蘊は毎日成長し、自意識を持つことで、これまでに経験したことだけでなく、
将来についての期待や計画も加わります。
もちろん、五蘊には残されている記録でも、私たちは現在の生活の、それもほんの一部のことしか覚えていません。
毎日多くのことを経験し、翌日までにはそのほとんどを忘れます。
しかし、傾向や性向であるdhammāの集合体であるgati や
深い欲望や憎しみはāsavasとして型や回路（パターン）となり、
表面下に残ることもあり、多くの場合にはこれらは意識には知られていないことが少なくありません。
gatiとsankhāraの関係性について？ sankhāraの集まりが gati？
sankhāraの集まりが gatiではなく、逆にgatiによってsankhāraが生じます。
gatiはdhammāエネルギーが集まったものであり、その塊ができることでdhammāエネルギーの流れに偏向を与える。
対して、行sankhāraの構成物はgati、bhūta、dhātuと３つのレベルがあり、単なる集合体の塊ではなく、
受vedanāと想saññāを構成要素とした入力信号を出力信号にする回路である。
gati傾向 とāsavas汚れと
anusaya潜在力とkilesa煩悩の関係は
|
仏教用語 |
パーリ語 |
コップの中の喩え |
内容 |
具体的 |
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煩悩 |
kilesa |
泥（土と水）菌類、コップ |
無明 |
本能 |
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有漏 |
asava |
底に沈んでいる発酵体 |
貪瞋痴 |
貪欲・怒り |
|
随眠ずいめん |
anusaya |
底から表面に向かう水泡 |
渇望・嫌悪 |
欲望・願望 |
|
趣 |
gati |
表面に浮かんでいるアブク |
性向 |
性格・習慣 |
ちなみに、それらは、cittaとともに自動的に発生するcētasika（心所）に反映されます。
新生児が成長するにつれて、その両親、友人、および他の環境要因に応じて、
それらのいくつか（良い点と悪い点）のgati（パターン化された性向や傾向）が再浮上して、成長します。
これが一人一人は何か得意なものや苦手なものがある理由です。
輪廻転生があると思っている人に対する説明としては、もし前世に音楽の才能があれば、
その子供は適切な条件が与えられた環境であればその才能を開花させることができます。
その赤ちゃんが「音楽的な環境」を与えられない家族で成長するのならば、そのgatiは隠されたままです。
同様に、アルコールを好む傾向（gati）があった人だとしても、飲酒を軽蔑する家族環境で育つのであれば、
その習慣を避けられるかもしれません。
環境に応じて抑制したり、表面化して発展させたりできる数十億のキャラクターの特徴について考えることができます。
これが、何年も何の才能も示さなかった一部の人々が、突然、新しい事業で「飛び立つように成功する」理由です。
別の言い方をすれば、ある環境に接しない限り、ある事柄についての「upādānaを持っている」ことに
気付かないかもしれないからです。
「upādāna」を持つことで、私たちだれにとっても、良いことと悪いことがあります。
私たちは悪い人から離れて、良い人を見つけてgatiを育てる必要があります。
これが、親と教師が子供の将来に大きな役割を果たすことができる理由です。
最終的には、すべての「upādāna」を消し去る必要がありますが、それは、「道」のずっとずっと後の段階で、
Anāgāmiステージ、または少なくともNibbānaのSakadāgāmiステージに到達したときのことです。
つまり、すべての「upādāna」を取り除くのではなく、
まずは、本人にとって非常に不利益で苦しみを生み出す活動をする「upādāna」を取り除く必要があります。
Sōtapannaの段階では、「upādāna」の危険を悟り、
31領域のうちの下位４領域であるapāyāで生まれる最悪の習慣だけに気づくことができます。
Upādānaを取り除いていくことは段階的なプロセスです。
逆に言うとUpādānaは必要な機能なので、これらを使って私たちは日常生活を送っています。
過去の経験と将来の欲求を想起する傾向と、過去の経験を呼び起こす能力とは明確に区別する必要があります。
釈尊は何億年も前に起こった事を思い出すことができましたが、
それらを楽しむことも、嫌悪することもありませんでした。
kāma（より正確にはkāma rāga）とは、
マインドが作ってしまう過去の想い出と未来の空想の快楽を楽しむ傾向のことです。
各自のpanca updana khandhaには、優先する特定の種類の事物やイベント、
つまりgatiとanusayaが埋め込まれています。
それらは自動的に、私たちのcittaすなわち認知プロセスの中の特定のcētasika
（たとえば、憎悪や不道徳なことをすることに恐れを覚えない気持ち）として現れます。
apāyāのgatiに対応しているkāma rāgaならば、apāyāでの転生につながる可能性があります。
Rūpa rāgaとarūpa
rāgaは、rūpa色界とarūpa無色界の領域に対応しており、
jhānic瞑想の快楽を楽しむ性向になります。
メンタル界と物質界という２つの世界
生き物の体と心
それぞれの生き物は体とマインドを持っています。
さらに、私たちのマインドは常に働いているわけではありません。
私たちが深い眠りにある間、私たちは完全にこの表層意識の世界の外側にいます。
まるでその時間にはマインドが存在しなかったかのようです。
私たちには「変わらない体」も「変わらないマインド」もなく、一生の中でも、両方ともが瞬間瞬間に変化しています。
私たちはマインドとともにある肉体があります。
肉体の感覚器官を介して、外界から感覚入力の信号をマインドは得ます。
次に、それらについて考え、好きな感覚入力は追求し、嫌いなものは避けようとします。
その過程で、kamma（サンスクリット語ではカルマ）と呼ばれるエネルギーの種を作成します。
これは未来の設計図が内蔵されているちょうど「種」のようなもので、このエネルギー発育プログラム（種）によって、
その後の人生だけではなく来世まで影響がある、と三蔵では考えています。
その時の転生先で発生する体は、過去の感覚的経験とマインドに作られた最もエネルギーの強いkammaが
31領域のどのbhavaであるかによって決まります。
他の人を殺してその人の富を獲得した場合、その人は下位４領域（apāyā）で生まれ変わる可能性が増え、
空腹の人々に思いやりを持ち、食べ物を提供した場合は、より良い領域で生まれ変わる可能性が増えます。
これはこれらの行為によって生じたエネルギーの波動がそれに対応する31領域のbhavaの1つで集積し、
それがエネルギーの強いカルマの種となり、それに条件が揃うと、そのbhavaがカタチを持って誕生するからです。
こうして転生プロセスが続くことになります。
意識はエネルギー（カルマ）を生み、それに対応した31領域の1つにそのエネルギーが一杯になると、
それはカタチを持つ、すなわち誕生する、ということになります。
五蘊pañcakkhandhaを理解することで、意識的な生活と転生プロセスとの関係がわかります。
この五蘊の分析ではメンタル界から全世界をみて、それを5つのカテゴリに分類します。
1つは、rūpaの集合体である「すべてのrūpaの記録を作成する」すなわちrūpakkhandhaです。
それには、私たちの肉体や、これまでのすべての人生で見たすべての外部の物体を含むすべての「物質的な対象」の記憶が含まれます。
作成された後の記憶はrūpakkhandhaに保管されないでcittaに転送されるようですが、今はこれについて実験体験中です。
その他のvedanā（感覚）、saññā（知覚）、saṅkhāra（思考回路）、viññāṇa（vipākaviññāṇaまたはkammaviññāṇaの意識）の集合体khandhaには、記録のコレクションがそれぞれの集合体に積み重なっています。
多分、rūpaの記録はエネルギーがないので集合体khandhaには保管されず、
エネルギーを持つ記録は集合体khandhaに保管されるのではないかと推察していますが、実験体験中です。
快楽の条件はメンタルと物質 なぜ生き物は感覚の快楽を切望するのか？
感覚の快楽を「楽しむ」には、次の2つの条件を満たす必要があります。
「喜びを楽しむ」には「私」すなわち「主体」が必要です。
次に5つの物理的な感覚を介して5つのタイプの外部rūpaとの接触がなければなりません。
それらは、rūpa rūpaすなわちvaṇṇa rūpa（物質的な対象）、sadda rūpa（音）、gandha rūpa（匂いの粒子）、
rasa rūpa（味蕾の穴を埋める粒子）、およびphoṭṭhabba（触覚を感じる圧力）のことです。
さらに、これらのrūpaが永続的な喜びをもたらすためには安定して供給されていなければなりません。
こうして、ヒトはそのような喜びを得るために最善の努力をします。
しかし、この両方の条件である（不変の）自己と「安定したrūpa」）はこの世にはないものなので、
この努力はより多くの苦しみにつながることになります。
この世にないものをあることを前提した人々や社会に対して説明するので、、
釈尊が教えが「前代未聞の概念」（「pubbe ananussutesu dhammesu」）と言われる理由の１つです。
どんな生物も生涯が限られており、その存在中に予期しない変化にさらされているので、
確固たる「実体」などはありません。
食べ物の好みでさえも年齢とともに変化します。
また、この世界のいかなるタイプのrūpaも寿命が限られています。また、その存在中に予期しない変化が発生します。
このように、私たちが多大な努力を払って獲得したすべての物質的な「モノ」は長く存続することはありません。
さらに、それらを良好な状態に維持するために絶えず苦労する必要があるため、
それらは負担になります（家、車、自分の身体などを考えてみれば実感するかと思います）。
したがって、一瞬の幸福はありますが、
知覚される幸福の条件である（不変の）自己と安定したrūpaはどちらも存在しないので、
条件が揃うことはなく、長く続く幸福は幻想ということになります。
RūpaとRūpakkhandhaは2つの異なるもの
Rūpa lōka（物質界）には「物質」（suddhashtaka）で構成されたrūpaがあります。
詳細はリンク先へ 色rūpaと色蘊rūpakkhandha
nāma lōka（メンタル界）の五蘊は、rūpalōka（物質界）のrūpaに対する記憶、希望、欲望で構成されています。
Rūpaは物質（およびエネルギー）であり、四大元素satara mahā bhuta（土patavi、水āpō、火tejō、風vāyō）と
その派生物（varna、gandha、rasa、oja）で構成されています。
対して、Rūpa khandhaはすべてメンタルの領域のもので、形や音や香や味や触感のイメージです。
同様に、vedana（感情）とvedanakkhandha（感情の集合体）の間には、
両方ともメンタルのものであるにもかかわらず、違いがあります。
vedanaは入力された信号に「近づく・遠のく・どちらでもない」のタグをつける作業工場（機能）であるのに対して、vedanakkhandhaは、そららのタグがつけられた様々なイメージを検索しやすく保管している場所でもあります。
rūpakkhandhaが何であるかを明らかにするための鍵は、
釈尊がrūpaに「khandha」を追加した理由を経蔵から調べてみることです。
釈尊は、過去のrūpa、未来のrūpa、微細のrūpa、粗雑のrūpaなどのラベルを付けて、11種類を説明しています。
rūpaに「khandha」を追加する必要性はrūpakkhandhaはすべてメンタルであり、
私たち一人ひとりが「世界」をどのように体験するかということを意味しています。
たとえば、五蘊の一つである色蘊rūpakkhandhaを「自分の体」と混同するのがこれまでの伝統仏教にあるが、
三蔵のKhandha sutta (SN 22.48)は、各集合体（五蘊）に何が含まれるのかを要約しています。
rūpakkhandhaには11種類のrūpa（マインドの印象）があります。
過去、現在、未来、近い、遠い、細かい（sukuma）、粗い（olarika）、好き・高評価（panita）、嫌い・低評価（appanita）、
内部（ajjhatta）、外部（bahiddha）です。
ここで、内的rūpaとは自分の体の各所のメンタルの印象を意味し、
外的rūpaとは外部にある物体のメンタルの印象を意味します。
どちらも物体（身体や物そのもの）ではなく、それらのイメージのことです。
したがって、rūpakkhandhaがこれまでに見た過去すべてのイメージを網羅しており、
現在も見ており、将来も見ることを想定されています。
過去の記録は永続的であり、namagottaと呼ばれています。
現在は目の前にある「いま・ここ」だけです。
未来についてのrūpa（たとえば、建築を考えている家のスケッチ）は、時間とともに変化する可能性があります。
私たちそれぞれが異なる方法で「世界」を体験しています。
一人一人が自分のrūpakkhand、すなわち物質のrūpaを認識する仕方があります。
そのrūpakkhandhaは他の4つのkhandhaに関連付き、五蘊pancakkhandhaを構成しています。
各自のpanca khandhaすなわち「その人の世界」は他者とは異なります。
31の領域には、rūpaつまり物質（およびエネルギー）があります。
しかし、私たちの経験はすべてメンタルです（エネルギーも持っています）。
五蘊pancakkhandhaすなわち5つの集合体はすべてメンタルであり、
この事実を理解することで、「私たちの周囲の世界は、固くて永続である」という
無意識に作り上げてしまった固いパターン認識（ghana saññā）を取り除くのに役立ちます。
そして、メンタルという風船の中から、外側にある物質や魂や霊の世界を見ていることがわかり、
そこからの脱出する意味が、体の中から感じ始めていく人もいます。
citta（想い・思いを生み出す17ステップの「エンジン」）と一緒にrūpa（視覚、音、匂い、味、触覚、ダンマ）を経験し、
それに基づいてvedana, saññā, saṅkhāra,
viññānaのメンタルの質が生み出されます。
それぞれのcittaにあるmanasikara
cetasika（マインドを保持するメンタル要因）が、
これらすべての「パケット」（過去の印象を含む）のコンテンツを一つにまとめ、
「私たちが見たり聞いたりしたイメージ」という経験を提供します。
そしてその感覚の印象によって、感情や認識などが生じます。
注釈 manasikara（作意）は、心所（メンタル要因）の行動を起こさせるスイッチの働きをします。
「わたし」と物質の共通点 内なる「Self」と外なる「Rūpa」の共通点が
Sankata
内なる「Self」と外なる「Rūpa」の共通点が Sankata です。
Sankataはパーリ語のキーワードで、San+kataが由来です。
Sanは一過性にしか存在しかないもの（貪瞋痴によって成り立つもの）＋kata作られたものを意味します。
どちらも永遠の実体ではなく、常に生まれては消えていく変化し続ける一過性のものでしありません。
また２つの共通点はエネルギーによって構成されているので、
このような発生しては消えていくという特性をもつことになります。
ところが、この２つが確固たるものとしてみえるのならば、
そこにマインドが執着するというエネルギーを発することで、
エネルギーを発する本体のselfとエネルギーが照射された対象であるrūpaが一時的に活性化するので、
その瞬間には実体として見えるからです。
このエネルギーを照射し続けることができる原因は、貪瞋痴といわれる「偏向」によります。
つまり近寄ったり、遠ざかったり、作ってしまったパターン認識をしたり、することです。
空を見上げて「いい天気だな」と想ったり、風呂に入ってゆっくりしているときには、
自己selfも対象も確固たるものとして存在していません。
ところが、観察したり、思考したり、すると、主体と客体、主体と対象、観る者と観られる者といった関係性が生じ、
そこに内なる「Self」と外なる「Rūpa」が現れます。
思考していないときには、確固たる対象もないのに、
間違った見解やエネルギーを物質に照射し続ける実りのない行動のために、両方が発生します。
自己selfもRūpaの両方ともがSankataです。
どちらのタイプのSankata（貪瞋痴によって作られたモノ）のsamudaya（発生）は、
「avijjā paccayā saṅkhāra」で始まるPaṭiccaSamuppādaの普遍的なプロセスが発動します。
発生を意味するパーリ語のsamudayaは、san+udayaすなわちsanのためにudaya発生するに由来しています。
すべての苦しみの根本的な原因は、無明のために私たちのマインドに生じるabhisaṅkhāraによってです。
この苦しみの起源を説明する1つの方法が、無明（avijjā）の本質であるTilakkhaṇaです。
こうして五蘊による認識プロセスが三相Tilakkhaṇaのaniccā,dukkhā,anattāとつながり、
五蘊が苦しみをもたらすことがわかります。
釈尊は何も推測しない
Vīmaṃsaka Sutta (MN 47)では、釈尊は自分自身が直接に経験したり、
検証したりしたことのないことを何も教えていないことについて書かれています。
たとえばBrahmanimantanika Sutta (MN 49)では、
釈尊と彼の弟子たちがBrahmaとDevaの領域を訪れたことを説明しており、
現代科学による新しい発見とも一致していることが書かれています。
Brahmaの領域とは色界のことでmahā bhūtaで構成されており、
Devaの領域とは欲界のことで微細なdhātu（物質エネルギー粒子）で構成されており、
色界に達したBakaBrahmāがそこは無常の世界であると間違った見解をしているので、それを釈尊は諭しました。
mahā bhūtaは現代科学の原子レベルに対応するが、それらが無常ではなく、
それらの位置もスピードも特定できないことは、
20世紀になってハイゼンベルクの不確定性原理によってすでの証明されています。
釈尊は何も推測していません。
私たちも推測ではなく、一つ一つ確認していくことが大切でこれが修行と呼ばれていることです。
PañcaUpādānakkhandhā五取蘊
Upādānaの重要な役割
釈尊の最初の説教である「初転法輪」Dhammacakkappavattana
Sutta (SN 56.11)で、
釈尊はdukkha（苦しみ）を一言で要約しています。
「Saṃkhittena pañcupādānakkhandhā dukkhā」
「要するに、五取蘊が苦である。」
pañcupādānakkhandhāは、pañca、upādāna、khandhāの3つの言葉の組み合わせです。
pañcakhandhāは五蘊を、upādānaは近づき続ける傾向を意味します。
upādānaの漢字訳は「取」ですが、「何かを近づける」ことを意味します。
「upa」+「ādāna」、「upa」は「近く」を、「ādāna」は「引っ張る」を意味します。
よって、Upādānaは「引っぱって近くに置いておく」「近づき続ける」「近くに引き寄せる」ことを意味し、
自分が本当に望んでいるものだけを引っ張ってきて、近くに置いておこう、とすることです。
ポイントはupādānaがpañcaとkhandhāの間にあることで、五蘊全部が「近くに保つ傾向」があるのではなく、
五蘊の中に「近くに保つ傾向」があるものもある、ということです。
これがpanca upādāna khandhaすなわち「5つの集合体の中に執着する部分」という意味ですが、
漢字文化圏では「五取蘊」と訳されています。
したがって
「この世での苦しみは、五蘊の中にある「近くに保つ傾向」があるために発生する」ことを示しています。
Upādāna 「マインドの中で」近づき続ける
このupādāna（引き寄せる）とは物質界の引力や磁力などの引き合う力のことではなく、
メンタル界で起こるマインドがあることにこだわってエネルギーを照射することで起こる力のことを指しています。
縁起説PaṭiccaSamuppādaは、物質界ではなく、メンタル界で起こる現象について説明していますが、
ここにも「taṇhā paccayā upādāna」とupādānaがあり、
taṇhā（伝統的には「愛」と訳されているが意味は「結合」「付着する」「粘着する」）が
upādāna（伝統的には「取」と訳されているが、意味は「マインドが近づき続ける」）につながる、となります。
三蔵では、無限の種類のモノ（物質エネルギーおよびメンタルの）のうち、
すなわち、この現世の人生だけでなく、限りなく繰り返されてきた他の26領域にわたる前世のすべての経験したものが、
五蘊pancakkhandhaであり、
そのなかで本当に結びつき、欲望を持っているもので「近くに置いている」ものが五取蘊panca upādāna khandhaです。
これらの五蘊（rūpakkhandha、vedanākkhandha、saññākkhandha、saṅkhārakkhandha、viññāṇakkhandha）の
特に魅力的な部分を基準にして、ヒトは想い、考え、話し、行動します。
五蘊と同様、五取蘊pañcupādānakkhandhāもすべてがメンタル界についての言説です。
たとえば、過去の美味しかった料理や性的体験を空想の中で再現して、楽しむことです。
もう一つは、将来に期待される体験を想像して楽しむことです。
これらの行為は両方とも私たちが望むものなので、五取蘊pañcupādānakkhandhāに含まれます。
五蘊pañcakkhandhāは「識別できない最初」からすべての経験を積み重ねたものなので、
あまりにも膨大なものなので、五取蘊pañcaupādānakkhandhāはその中のほんのわずかな一部分です。
五取蘊と涅槃Nibbāna
五取蘊pancupādānakkhandhaの観点からNibbānaを見てみると、
まずは下位4領域のApāyā、次に上位の欲界kāma lōka、色界rūpa lōkaそして無色界arūpa lōkaに対応する
upādānaのgatiを順番に取り除いていくことで、
Sōtapanna、Sakadāgāmi、AnāgāmiそしてArahantのステージに徐々に到達します。
こうして、五取蘊の「取」の層を取り除き続けると、阿羅漢Arahantステージに到達すると、
すべてのupādānaは取り除かれます。
しかし五蘊pancakkhadhaは残っており、
死ぬと、そのすべてが記録nāma gottaとしてメンタル界であるnāma lōkaに留まります。
したがって、十分なabhiññāの力を持つ者は、それらのnāmagottaを吟味することができます。
それがBuddha Gotamaが以前の多くの覚者たちの生き方を説明できた方法です。
Sōtapannaステージに達していない限り、特に極端な状況下では、「apāya gati」が表面化する可能性があります。
（貪欲や不道徳な行いをしても恥ない無慚ahirikaなどのcētasikaメンタル要因として）。
私たちは皆、数え切れないほどの時間をapāyaで過ごしてきたので、推測ではなく、
それらのgatiを確実に私たちは持っています、そしてそれらが再び浮上する可能性があることを再認識します。
良い環境の元に生まれて幸運のため、このような「極限状態」を何とか避けたとしても、
来世ではどこに生まれるかはわかりません。
これが、釈尊がvayadhammā
saṅkhārā,
appamādena sampādetha
この世のエネルギー（つまりこの体）が崩壊していきます、サンカーラによってできたものだからです。
（ですから）怠慢なく、san（余分なモノ、つまり貪瞋痴）に向き合って整理していってくださいね」
Dīgha Nikāya 16 Mahāparinibbānasutta経蔵長部第16経大般涅槃経『南伝大蔵経』第7巻144頁
伝統的日本語訳は「諸行は滅びゆく。怠ることなく努めよ。」
五蘊と縁起
この世の真の性質を理解していないために無明avijjāでヒトが行動するとき、
それは（abhi）saṅkhāraを実践していることで、それらをpancupādānakkhandhaに追加し続けています。
「avijjā paccayā saṅkhāra」から始めると、「upādāna
paccayā bhava」につながります。
したがって、（abhi）saṅkhāraの種類に応じて、特定の種類の「bhava」
すなわち「存在（枠組はあるが具象化される寸前のエネルギー体）」になります。
縁起説Paṭicca Samuppādaで示すとおり、
五取蘊に埋め込まれている無明avijjā（gati, anusayaなど）のレベルに応じて、bhavaを作っているのです。
したがって、自分の五取蘊には、自分の「渇望と欲望」が埋め込まれているので、
それに応じて来世はどこに生まれ変わるのかを運命づけます。
安心への旅に出る前に（Nibbānaすなわち少なくともSōtapanna のステージ）、
「未知なる世界の全体像」を理解する必要があります。
その１つがこの世界の性質であるanicca, dukkha, anattaです。
そうして初めて、私たちのマインドは喜んでdiṭṭhis、すなわち間違った見解を放棄します。
こうすることでマインドは感覚の喜びには危険性があることにはじめ気づきます。
まずは、apāyāでの転生につながる可能性のある高レベルのkāma
chanda（粗いdhātuで構成されたものを渇望すること）
とvyapada（それらを忌み嫌うこと）の危険性から始めます。
各自の五蘊pancakkhandhaは独特です。それぞれに、自分の感情、知覚、メンタルの属性（良い点と悪い点）、
および感覚的出来事に関するviññāna があります。
私たちはそれに応じて判断を下しています。
私たちの性向（gati）は五蘊pancakkhandha（私たちがこの世界をどう見てどう理解しどう判断するか）にあり、
さらに五取蘊pancupādānakkhandha（世俗的なものに対する私たちの欲望）にもなります。
そしてdiṭṭhi（私たちの世界観）は五蘊pancakkhandhaと五取蘊pancupādānakkhandhaの両方が重要な部分です。
私たちの判断は私たちのdiṭṭhiに決定的に依存しているからです。
DiṭṭhiとTaṇhā Upādānaの根本的な原因
何かを有益であると信じているときには、それを近くに置くようにします。
一方、何かが私たちに悪いことであり、苦しみをもたらす可能性があると考える場合、
それを避け、それを遠くに保つように努めます。
たとえば、美味しいものでも中に毒の成分があることがわかっている場合は、それは魅力的に見えますが、
それから離れようとします。
しかし、その官能的な快楽に隠された危険を見ることができないことがあります。
たとえば、ギャンブルの一発大逆転、パチンコの連チャン、やたら親切にしてくれる美しい顔と体型の持ち主。
「魅力的に見えるもの」であれば、それだけ隠されたものが見えなくなる可能性が増えます。
バラの棘は引っかき傷ですみますが、美味しいフグの肝は死に至ることもあります。
そこに不道徳な行動（dasa akusala）が関与していなくても、感覚の快楽には、「隠れた危険」があります。
その快楽にスポットライトをあてることで、その他の状況が把握できなくなることが多くなるからです。
そのため、Sotapannaでさえ、危険を見ることができたとしても、官能的な快楽、
つまり5感覚器官によって感知されるdhātuレベルの喜びへの欲求を取り除くのに苦労しています。
ただし、upādānaの大部分はSotapannaの段階で削除されます。
また、Sotapannaは官能的な欲求を満たすために不道徳な行為に従事しません。
官能的な快楽への欲求は、kāma loka（欲界）に本人を縛り続けるでしょうが、
官能的な快楽を得るために行われる不道徳な行為（dasa akusala）はしません。
なぜならば快楽への欲求はありますが、そこまでして得るほどのものではないことを体感しているからです。
言い換えれば、Sotapannaはまだ「kāma upādāna」つまりdhātuレベルの喜びを削除していません。
対して、Anāgāmiは「kāma upādāna」を削除することで到達した境地です。
当然、阿羅漢も「kāma upādāna」はありませんが、五蘊は死ぬまで持ち続け、その機能は、
rūpakkhandha rūpaをイメージに変換する機能
vedanākkhandha 「近・遠」ではなく「どちらでもないupekkhā」のタグをつける機能
saññākkhandha 貪瞋痴を伴った一般化はしなくなるがsaññāに照合する機能
saṅkhārakkhandha 強い回路は作らなくなるので、できる回路はすぐに消え去るだけ
viññāṇakkhandha 強い回路からの入力がなくなるので、「エネルギーの種子」を生む意識はしなくなる
このように、五蘊は除去するものではなく、「近くに寄せ続けるupādāna」もいきなり除去するのではなく、
段階的に取り除いていくものである。
この段階を守らず、はじめから阿羅漢のすることを真似しようとするから誤謬が生じる。
「急がば廻れ」が、ちゃんと「道」を歩んでいる証であり、いきなり結論から始めるのは、
頭でっかちな自意識が喜ぶだけで「道」を一歩たりとも進んでいない。
パーリ語経典だけではなく、世界の聖典にはよく、阿羅漢のような聖人についての記述があるが、
その深い趣旨は聖人のしていることを理解し、次にそれを真似るのではなく、
自分に必要な次の一歩を各自が感じ、考えるためである。
それを聖人の真似をするように理解するのは、ちゃんとした指導者が周囲におらず、
表面的な理解だけで言動に移した行為なので、自分自身に損傷を与えることになる。
聖人のやっていることを否定したり、それを試すことを否定しているのではない。
聖人の真似をして、自分の立ち位置がどこにあるのかを再確認するのは大切なことである。
重要なのは今、自分自身が何をするのかを知ることである。
縁起の中の五蘊
十二因縁
Chain of conditioned arising Paticca-samuppāda
釈尊が菩提樹下で悟ったといわれる真理。十二縁起とも呼ぶ。生老病死という四苦で言い表される我々苦的存在は，
無明ではじまり老死で終わる次のような十二種の契機によって成立するとみる因果法則である。
縁起には無明から始まらないものや12ではなくもっと短いものや長いものなど多種ある。
解釈も、心の変化、無意識の言語化、多次元の表現、31領域のbhavaの表現、3世代にわたる現象の表現など
いろいろなものがある。
|
漢字仏教用語 |
英訳 |
パーリ語 |
内容 |
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無明 むみよう
|
ignorance |
avijjā |
a否定 vijjā： higher knowledge叡智 貪瞋痴の覆いが付加されて、昏くなっている状態 |
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行 ぎよう
|
reaction |
saṅkhāra |
saṅ付加するkhāra 行為 自動反応回路化したアプリケーション・プログラム |
|
識 しき |
consciousness |
viññāṇa |
vi分割したññāṇa全体性智慧 エネルギーを生み出す認識の仕方 |
|
名色 みようしき |
mind & body |
nāma-rūpa |
nāmaメンタル界-rūpa物質界を繋ぐもの 意識エネルギーが物質エネルギーになるリンク |
|
六処
|
six senses |
salāyatana |
sal 6 +
āyatana 探索する器官 心、目、耳、鼻、舌、体が対象を探す |
|
触 そく |
contact |
phassa |
phassa．[phusati，Sk．sparśa] 触，接触 器官と境（dhammā、光子、音、香、味、触）との結合 |
|
受 |
sensation |
vedanā |
vedanā vediは知るyu結合する 知るものにタグを付加 近・遠・中立のタグをつける |
|
愛 |
craving
&aversion |
tanhā |
tanhā 付着する （近・遠に）付着するattachment、すなわち愛着 |
|
取 |
attachment |
upādāna |
upa近く+ādāna引っ張る 対象物を引き寄せて、エネルギーを注入する |
|
有(う)
|
the process of
becoming |
bhava |
bhava メンタル・エネルギーの容れ物 枠組の中に蓄積されるエネルギー |
|
生 しょう |
birth |
jāti |
jāti 生まれる、誕生 形になる、エネルギーが凝縮して物質になる |
|
老死 |
ageing and
death
|
jarā-maranam |
jarā-maranam 老死 メンタルと肉体の苦しみの継続 |
縁起説の中には五蘊のうち色rūpaと想saññāの記述はないが、
六処salāyatana（心、目、耳、鼻、舌、体）が触phassaするのは色rūpaであるdhammā、光子、音、香、味、触であり、
それがイメージである色蘊rūpakkhandhaに変換されるプロセスは省略されている。
また、受vedanāが近・遠・中立のタグをつけたものが、愛tanhāとのなってマインドに付着するプロセスで、
対象を想saññāと照合しているので、それが省略されて、間接的に記述されている。
そして、その他の３つはしっかりと記述されているが、
５つのどのケースもただの五蘊ではないことに気づく必要がある。
共通点は、無明ではじまった時にのみ生起する縁起説（akusala-mula paticcasamuppāda）という、
複数ある縁起説の一つで生起する、それぞれの蘊のカタチになっていることである。
具体的には、
受vedanāといっても、上記の12縁起説が取り扱っているのは、
対象に渇望または反発がある場合に生起するsamphassa jā vēdanāです。
samphassaとはsan
+phassa、すなわち自分のマインドの中にあるsan（貪瞋痴）との接触によって生じる感情です。
これらの受vedanāは体の受vedanāであるSukha、 dukha、upekkhaではなく、
心の受vedanāである、sōmanassa、dōmanassa、āmisa
upekkhaです。
たとえば、Aの敵はAを見るときdōmanassa vēdanāすなわち、悪い感情を生成しますが、
Aの友人はsōmanassa vēdanāすなわち良い感情を生成します。
同じことは、音、味、匂いにも当てはまります。
たとえば、一部の人が楽しんでいる料理であっても、他の人にとっては嫌悪である可能性があることを知っています。
「普遍的に良い」味があるように見えても、それはアラハンにも当てはまりません。
12縁起説では取り扱っているのは受vedanāの中の一部の受vedanāです。
全部で9種類の受vedanāのタグがあります。
行sankhāraにおいても、ただの想いであるmanō sankhāraではなく、
強いサンカーラであるvaci sankhāraとkāya sankhāraを縁起説では意味してします。
同様に、識viññānaにも複数のviññānaがあり、
縁起説の識viññānaはmanō vipāka viññānaや5感覚認識（たとえばCakku Vinnana）ではなく、
kamma viññānaだけのことを指しています。
五蘊とTilakkhaṇa（anicca、dukkha、anatta）
五蘊pañcakkhandhāが自分自身の「肉体」の中にあると言うのは正しくはありません。
五蘊からみれば物質を含めてすべてが五蘊の中にあります。
すべての過去の経験とすべての将来の可能性をも含めて、
その意識体に関するすべてがpañcakkhandhāに埋め込まれています。
さらに、gati性向, anusaya渇望・嫌悪などもすべて五蘊の中にあります。
物質の外界もイメージに変換されて内界になっているので、五蘊は全てを表す生命体そのものです。
三蔵Tipiṭakaには五蘊についてのsuttāがいろいろあります。
たとえば、SaṃyuttaNikāyaのKhandha Saṃyuttaに五蘊についての多くの経典があります。
それらの経の中で、釈尊は五蘊の観点から、生命体を説明しています。
五蘊は、形、感情、知覚、メンタルの形成、意識としてこれまでは翻訳されてきました。
Tilakkhanaの理解で「satta無知なる者」の状況を克服する
五蘊を考察することで、釈尊の「この世の31領域の苦しみ」の理解しやすくなります。
Tilakkhanaすなわちanicca、dukkha、anattaの理解によってもたらされます。
この世の4番目の特徴であるasubha （[a-subha]
不浄の）はいくつかの経にありますが、
ほとんどの経では、anicca、dukkha、anattaの3つの特徴についてのみ説明しています。
この世の特質を表している３つの特徴の本質は、「わたし」という知覚の主体を持つことによって、
世俗的なもの（rūpa）を渇望することになり、それがより多くの苦しみにつながる転生プロセスを永続させている、
ということです。
仏法における「無自己」の問題
釈尊は、永続的な「自己」という考えがないことを説きましたが、
まだ修行を真剣に始めていない人に対して「自己」は存在しない、と言うことも正しくないと説きました。
言い換えれば、「自己」は輪廻の苦しみの根本的な原因が「自己」すなわち「私」の知覚（saññā）である、
と完全に理解して、腑に落ちるまで存在し続けます。
いつでも、その時に行われた行動に責任がある一連のgati（性向）を持つ生命体、すなわち「人」はいます。
だから、阿羅漢の段階に達するまでは「自己」がないとは言えません。
そのような「行い」すなわち「（abhi）saṅkhāra」の無益さを目にするまでは。
自分で物事を行う「自己」があります。
無我だと言えるのはgatiがない阿羅漢だけです。
平均的な人間は、「私self」という間違ったdiṭṭhi（見解）と「私self」のsaññā（知覚）の両方を持っています。
「私self」という間違ったdiṭṭhiはSotapannaステージで消えます。
「私self」という知覚は、誤った認識ですが、阿羅漢の段階でのみ消えます。
つまり多くの人は持ち続けるものなので、阿羅漢でもない人が非我や無我や無自己を唱えることは意味がなく、
どうせ説くならば、その本人が本当に必要としている目の前の「いま・ここ」を生きることであって、
多くの人が達することができていない、説いている本人が阿羅漢でないのならば、
それは人を「頭でっかちにする」だけではなく、人に道を迷わせる言葉になります。
Anattaは「無我」を意味するのか？
五蘊を持つ意識体という観点から見ると、永続的な「魂」は存在しないことが明確になります。
五蘊のいずれも「本質」はありません。それらはすべて、一瞬ごとに変化をし続けています。
特に、生命体が転生で一つの領域から別の領域に移行するとき、劇的な変化を経験します。
このような移行は、私たちの深い過去において数え切れないほど起こりました。
私たちは皆、26の領域で生まれてきました。
（31の領域のうち、Anāgāmisだけが決められた5つの領域で生まれることができるので、
その他の生命は残された26領域のどこかに存在することになります。）
私たち全員は、最高のnevasaññanasaññayatana Brahmaの領域と最低のnirayaの領域で生まれた経験があります。
アラハンの段階に達するまでは、「自己」や「私」が存在しないと言うのも正しくありません。
絶えず変化する一連の「gati」と供に「自己self」の見方とその認識に基づいて、
物事を考え、話し、実行する、絶えず変化するメンタル体があります。
Sotapannから始めてAnugāmiの段階になると、
これらすべての行動がPaṭicca Samuppādaに基づいていることを「見る」ことができてきます。
「無明」を介して「abhisaṅkhāra」を生成する「gati」を持つ「自己」がまだあります。
一般の人たちがいう「魂」とはこのgatiのことです。
これに実体があり永続であると誤謬しているのです。
しかし、その「無明」はmagga phala（涅槃nibbānaへの道）が高くなるにつれて減少します。
そして最終的には、Sammā Diṭṭhi貪瞋痴のない「見」が完成し、
一般の人がいう「魂」は永遠どころか、解体されてしまっています。
gatiは五蘊の中にありますが、5つのうちの行蘊だと感じることはありますが、私はまだ確固たる体感をしていません。
これが上座部仏教の解釈です。
これをヨーガ派の観点から見ると、
gatiとはahankhāra枠組意識のことを指しています。
gatiを消し去るとはahankhāraを解体し、ātmanとchittaだけになったこと意味し、
このātmanはエネルギーのない観ることしかできないものであり、
chittaは「知る」というだけのシンプルな機能しかないものです。
自己selfがあるというの見解は、まだjīva統合意識の段階であることを指します。
修身体験のない一般の人は永続する実体のあるモノがあると信じているので、
その思考パターンをātmanや魂に当てはめる傾向があるので、
仏教徒は魂や自己はない、と宣言することで、修行の道を歩きやすいように配慮しました。
ですからエネルギーのあるātmanや魂などは存在しないと当たり前このを言っているのであって、
私見になりますが、エネルギーのないātmanを釈尊は否定しないのではないかと、思っています。
ヨーガ派の魂は（ātmanとchittaとahankhāraの複合体）からはじめ、悟ることでahankhāra は離脱し、死ぬことでchittaも離脱するので、残るのはエネルギーのないātmanだけになることを目標にしています。
しかし多くはahankhāra（仏教のいうgati）を揉みくずすのは容易なことではありません。
私に誤謬がある場合はどの三蔵経典にそのようなことが書かれているかご教示いただければ嬉しいです。
「Anicca」は「無常」を意味するのか？
パーリ語の「anicca」が「無常」と訳されているのを見るのが一般的です。
しかし、たとえば、Nandikkhaya
Sutta (SN 22.51)には、
「Aniccaññeva、bhikkhave、bhikkhu
rūpaṁ
aniccanti passati. Sāssa hoti sammādiṭṭhi」とあり、
「rūpa（形）をaniccaと見なす比丘は、aniccaの性質を見てきました。彼はSammāDiṭṭhi（正見）を持っています。」
という意味になります。
ほとんどの翻訳は、この節を誤って次のように翻訳しています。
「形が無常であることを知る比丘は無常の本質を知っている。彼はSammāDiṭṭhiを持っています。」
しかし、評価されている科学者なら誰でも、この世界には恒久的な物質はないことを知っています。
ScientificAmericanの記事（The Only Thing That Remains
Constant Is Change）にあるように、
この世で「唯一の一貫性は変化」です。
しかし科学者たちが「SammāDiṭṭhi」を持っていて、Nibbānaに到達したのでしょうか？
「anicca」は単に「無常」を意味するものではありません。
バイアスなしでTipiṭakaを調べる必要性
「真実」のような誤った翻訳をずっと繰り返す続けるのは、そのような見解が
「評判の良い本」すなわち「評判の良い比丘や学者」の伝統的な意見であるという理由だけであり、
それらの翻訳が三蔵Tipiṭakaと整合性があるわけではありません。
たとえば、Devadatta提婆達多は六神通の力を持った高位で力のある比丘でした。
ナガルジュナとブッダゴーサは「学者」と見なされていますが、彼らの意図は良いものですが、
実質的な証拠（三蔵や事実）が明らかにされたとき、自分の思考の誤りを受け入れて、
修正するプロセスは、心を軽く、明るく、浄らかにします。
間違った結果をもたらしてしまう「間違った仏法」を教えることは危険なことです。
「無常」はaniccaの広義のほんの一部にすぎません。
1つの言葉ではaniccaという意味を伝えることはできません。
底流にあるパーリ語の意味を理解し、それを実践して生きることで、言葉の意味は腑に落ちるものになるのだと思います。
大念処経の中の五蘊 サティパッターナ
心の中味のサティパッターナdhamma satipattanaの章に五蘊ができてきます。
執着を生む五蘊（肉体、感覚、知覚、反応、意識）
修行者は、執着を生む五つの集合体にすぎない、わたしのものでもなく、わたしでもなく、自分でもなく、現象にすぎない、
といつも感じて生きるのです。
では、どうすれば、執着を生む五つの集合体は執着を生む五つの集合体にすぎない、わたしのものでもなく、わたしでもなく、自分でもなく、現象にすぎない、といつも感じて生きることができるでしょう。
修行者はこのように感じて生きるのです。
これは肉体
(corporeal body) の働きだ。
これは肉体の働きが生じる原因と、実際の肉体の働きの出現だ。
これは肉体の働きが生じる原因と実際の消滅だ。
これは感覚
(feeling) の働きだ。
これは感覚の働きが生じる原因と、実際の感覚の働きの出現だ。
これは感覚の働きが生じる原因と実際の消滅だ。
これは知覚
(perception) の働きだ。
これは知覚の働きが生じる原因と、実際の知覚の働きの出現だ。
これは知覚の働きが生じる原因と実際の消滅だ。
これは反応 (mental
formations) の働きだ。
これは反応の働きが生じる原因と、実際の反応の働きの出現だ。
これは反応の働きが生じる原因と実際の消滅だ。
これは意識
(consciousness) の働きだ。
これは意識（対象物に対する認知）の働きが生じる原因と、実際の意識の働きの出現だ。
これは意識の働きが生じる原因と実際の消滅だ。
このように、自分にとって心の中味は心の中味にすぎない、わたしのものでもなく、わたしでもなく、自分でもなく、
現象にすぎない、といつも感じて生きるのです。
他人にとっても 心の中味は心の中味にすぎない、といつも感じて生きるのです。
自分にとっても他人にとっても 、心の中味は心の中味にすぎない、といつも感じて生きるのです。
心の中味が存在する原因 と、実際に心の中味が出現するのを、いつも感じて生きるのです。
心の中味が存在する原因と、心の中味が実際に消滅するのを、いつも感じて生きるのです。
心の中味が実際に出現し、実際に消滅するのを、 原因 とともに、いつも感じて生きるのです。
つまり、魂でもなく、自分でもなく、わたしでもなく、心の中味のみが存在するという事実を、はっきりと自覚するのです。
この自覚が、洞察や気づきを着実にもたらすのです。
修行者は、渇望や 間違ったものの見方 から距離を置き、世の中の何ものにも執着しないで生きるのです。
これが五つの集合体は五つの集合体にすぎない、といつも感じて生きる方法なのです。
（執着を生む五蘊 了）
コラム
中村元氏の業績と限界
日本の近代最高の仏教学者である、と思う。
人徳も人格も高く、素晴らしい人であり、私があこがれる真摯な態度で生活をし、他者に対して語りかける。
しかしだからといって彼の考え方や解釈が何でも正しいのではない。
時代がずれることで後から来た者は「後出しジャンケン」をすることになる。
つまり、中村氏の業績を学んだ後に、原典にあたることになるので、多くのことを学び、
理解できていなかったところを修正することができる。
日本が漢字文化圏を経由した仏教の限界を感じていた時に、パーリ語の原典に向かった道を示された。
しかし仏教経典の数は5000を超え膨大であり、1人で辞書を作成するのにも限界がある。
そして問題はいつも解釈である。
仏教は学問ではなく、
いかに苦しみから離れ、心を浄化させるかについて生涯をかけて実践した釈尊の生き方を学ぶものである、
とするならば、
涅槃nibbānaへの道が誤解される解釈であるのならば、
次の代の修行者のために、誤謬や勘違いや拡大解釈には修正が必要だと思う。
換言すれば、学問として表層的に分析統合するのではなく、
本来の仏教の役割であった苦しみを離脱する方法としての解釈を加えることが修行者たちには必要である。
私が特に重要だと思われる
三相
五蘊
縁起
四諦
八聖道
については、外からみる学問的見解よりも、
修行するために如何に理解して修行をすればよいのかという視点に立って書かれたものが必要だと思われる。
仏法を分かるのではなく、仏道を生きるためである。
中村氏の業績にスポットライトを当ててそれらを信仰するのではなく、
原点に還る道を指し示してくれた精神に感謝し、次々と内容を更新していくのが、
中村氏をはじめ先人たちへの恩返しになると思う。
間違ってしまった五蘊の解釈
このエッセイは日本語で書いているので、
ミャンマーやスリランカや中国の仏教における五蘊の解釈の誤謬には簡単に触れるだけにして、
日本仏教界における誤謬に焦点を当てることにする。
目的は間違いを指摘することではなく、釈尊の発見を再認識することで、私たちが「道」をちゃんと歩いていくためである。
この誤謬があるために道を迷い続けているのならば、できるだけ出典を明らかにして、
次世代の修行者や仏教徒のためには、どこが誤謬で、何が釈尊が説いたことなのかを明確にすることが
仏教の道を歩むことではないかと思ってこのエッセイを書く。
中村元氏による「五蘊皆空」の解釈は
「存在するものには五つの構成要素があると見きわめた。しかも、かれ（観世音菩薩）は、これらの構成要素が、
その本性からいうと、実体のないものを見とおしたのであった」 『般若心経・金剛般若経』岩波書店
鈴木大拙は、
「存在するものには五つの構成要素があると見きわめた。しかも、これらの構成要素が、その本性からいうと、
実体のないものであると見抜いた」 『禅とは何か』
鈴木氏の解釈は彼の他の本も読めば分かるが、五蘊はこの世の存在のすべての構成要素であると解釈している。
中村氏は大乗仏教とパーリ語経典で五蘊の解釈を区別しているので、
パーリ語経典の五蘊の解釈についてはいろいろと調査する必要がある。
中村元氏は20年かけて4万5000項目の『佛教語大辞典』を1人で執筆し、
改訂版である『広説佛教語大辞典』では更に8000項目が追加され没後全4巻を刊行した。
この中村元先生が「無我」と「五蘊」について、どのように解説しているのか。
『ﾌﾞｯﾀﾞ伝 生涯と思想』 （中村元/角川ｿﾌｨｱ文庫/2015） P.182-183
五つの構成要素
当時のインド思想界で用いられていた「名称と形態」あるいは「身体」を、アートマン、またはわがものと見なしてはならないと教えていましたが、仏教独自の新しい用語ができると、それらをアートマン、またはわがものと同一視することを戒めるようになります。
仏教では、個人の存在ならびにそれと関連する現象世界を、もろもろの形成力（諸行）、または五種の構成要素（五蘊）であると解釈しました。
それは、(１)物質的な形、(２)感受作用、（３）表象作用、(４)形成作用、（５）識別作用の五種であり、その五種のはたらきが互いに作用しあって個人の存在がなりたっていると考えたのです。
物質的なものはなんであるか。四元素と、質料となった四元素のかたちとである。食物の生起から物質的なものの生起があり、食物の消滅から物質的なものの消滅がある。
感受作用とはなんであるか、それは六つの感受作用の集まりである。すなわち眼との接触から生ずる感受作用と、耳……、鼻……、舌……、身体……、意との接触から生ずる感受作用である。これが感受作用といわれる。接触の生起から感受作用が生起し、接触が消滅することから感受作用が消滅する。
……表象作用とは……形成作用とは……識別作用とは･･････<名称と形態>（心身）の生起することから識別作用が生起し、<名称と形態>の消滅することから識別作用が消滅する。･･････
（『ｻﾝﾕｯﾀ・ﾆｶｰﾔ』）
色蘊を物質として解釈したら、どのような不都合があるのだろうか？
sotapannaへの道の弊害になるのか？
『サンユッタ・ニカーヤ』のどこをどう編集したら上記のような編集になるのだろうか？
縁起説や他の経典との整合がつかず、かと言って出典を書かないわけにもいかないので、特定の経を指定せずに
約3000経をまとめてある『サンユッタ・ニカーヤ』「相応部Saṃyutta Nikāya」として、苦渋の選択をしたのではないかと推察する。
先に辞典を書き上げるという目的があったので、わからないことでも、なんとか書くしかないのだから。
いくら徳のある立派な人であっても、このように未来からの視点に立つkamma viññāṇaで言動をすると、このような無理がくる。
辞典を書き上げるのは立派だし、私たちより人徳も知識も高いが、仏教の修行者にとって一番の灯火となる、
「無我」「苦」「無常」の「三相」「五蘊」「色」「受」「想」「行」「識」「大念処経」「捨」「四諦」「縁起」の解釈を間違える、もしくはそれらの表層に限定したような解釈なのであれば、原典のパーリ語の意味を理解していると言えない。
なぜならばパーリ語はその単語自体に多くの語源や語意が示されているようにである。
たとえば、ギリシャ語やラテン語の接尾辞や接頭辞や語幹や、漢字の部首（「偏（へん）」「旁（つくり）」「冠（かんむり）」「脚（あし）」「構（かまえ）」「垂（たれ）」「繞（にょう）」）があるので、それらからその単語や漢字の成り立ちがわかるからである。
『ﾌﾞｯﾀﾞ伝 生涯と思想』 （中村元/角川ｿﾌｨｱ文庫/2015） P.183-184
前にもふれたように、この五つの構成要素が執着を起こす素材であると考えられました。それが執着を起こさせるもとであり、我々を束縛するもとであるというので、神話的表現を借りて、よく悪魔と呼ばれています。
ですから、これらの形成力、または構成要素を「アートマンと同一視してはならない、アートマンとは別のものと観るべきだ」と教えているのです。
五種の構成要素（五蘊）を、〔アートマンとは異なった〕他のものであると見て、アートマンであると見ない人々は、微妙なる真理に通達する。――毛の尖端を矢で射るように。
（『テーラガーター』）
的確な解説だと思います。
無明の原因はエネルギーのないアートマンをエネルギーのあるものと混同することに由来します。
エネルギーのあるchittaやahankhāraをātmanや魂であると勘違いしたり、ahankhāraはないとはじめから決めつけて、その構成要素であるgatiを掃除することを怠ることから誤謬が起こりました。
『ﾌﾞｯﾀﾞ伝 生涯と思想』 （中村元/角川ｿﾌｨｱ文庫/2015） P.206
原始仏教も末期ごろになると、パーリ語経典には見あたりませんが、サンスクリット語経典には、「アートマンが存在せず」という句が登場します。「無我説」の始まりです。のちの無我説では、人間の自我（アートマン）は固定したものとして存在するのではなく、絶えず変遷している。つまり絶えず生じては滅しているもので、その過程での諸構成要素の複合体として存在しているというのです。
のちに『説一切有部』や、初期大乗仏教のころになると、無我説もはっきりしてきます。この説教を論証する論法として析空観（しゃくくうがん）（法を析して空を明かす）が説かれます。
これは、
（１）一つのものをその構成要素に分析して、
（２）いずれの構成要素のなかにもそのものが存在しないことを証し、
（３）そのものは単に名称だけであって、
（４）真実には存在しないと説く。つまり「我（アートマン）は存在しない」と主張するのです。
より明確に「無我説」が説かれるようになるのである。
ところでアートマンは、単なる自己ではなく、それによって現象界の個体が成立する永遠不変の本質あるいは原理と見なされた。このような思想に対する批判として、「諸法無我」は、「すべての事物は我（永遠不変の本質）をもたない」と解釈されるようになる。一般に無我説という場合、このような意味が含まれる。
中村元編『自我と無我』平楽寺書店、1972年、56頁参照。
的確な解説だと思います。
言説には常に発信者とその人が仮定した受信者がいます。
発信者の初期大乗仏教が受信者の同時期の上座部仏教に「無我説」を唱えた理由は、
心所にこだわることによって、それらを実体（アートマン）としてとらえ、エネルギーのないものとエネルギーのある心所を混同している僧たちの一群が上座部仏教の中にいたことを推察します。
ですから意識段階とサンスクリット語の概念でいえば、
心素chitta全体性意識、理智buddhi分別意識、我執ahamkāra枠組意識に逗まっている僧たちに、
次の段階の空prakriti（sattwa、jajas、tamas）真空意識に、つまり向かうことを促すために初期大乗仏教は「無我説」を強調することになりました。
すべての上座部仏教とが阿羅漢のステージに至るわけでもなく、寺の長であっても、いやだからこそ真空意識に至らない時代であったのだと推察します。
『ﾌﾞｯﾀﾞ伝 生涯と思想』 （中村元/角川ｿﾌｨｱ文庫/2015） P.172-173
わがものという思い 我と自己
～（中略）～
前章で苦しみは自分の思うようにならないものであるとみてきましたが、それはなぜでしょうか。最初期の仏教では、我ならざるもの（非我）を我（アートマン）とみなすところから苦しみが生ずるのだといっています。では我（アートマン）とは何かということから考えてまいります。
まず、この「我」の言語「アートマン」とは、元来呼吸を意味することばで、生命の主体としては生気と見なされ、総括的には生活体、身体、肉体、胴体を意味し、他人と対比しては、自身、自己をあらわすことばとされています。さらに哲学的には本体、本性、本質、精髄、霊魂、自我などの意味に用いられていました。とくにウパニシャッド哲学では、「アートマン」は万物の根本原理、あるいは絶対者と見なされるようになったのです。
初期の仏教では、「アートマン」は「自身」、「自己」の意味に用いられていましたが、中国語に訳されたときに、「我」と訳されたため、のちにややニュアンスが違って伝えられました。ですから、アートマンを「我」ではなく「自己」、「自身」と訳したほうが原始仏典の意味では誤解なく伝えられるのです。
「無我」とは、
『ﾌﾞｯﾀﾞ伝 生涯と思想』 （中村元/角川ｿﾌｨｱ文庫/2015） P.173
我執を捨てる
もっとも古い時期の経典によると、「わがもの」「われの所有」という考えを捨てることが、いわゆる「無我」、つまり「非我」であると説かれています。修行者はわがものという観念を捨てねばなりません。家族も財産もすべてを捨て、我執を捨てれば、こんなに楽しいことはないという心境を伝える経典があります。
私見
我にはいろいろな段階があります。
霊我puruṣa parātman宇宙意識 宇宙に遍く「意」の集合体
真我ātman 真我意識 各生命体がもつ、観照するだけだが、唯一の実体
我執ahamkāra枠組意識 枠組みをつくることで抽象度を下げて具象化する基準点
個我jīva統合意識 アイデンティ（分類）をまとめて統合する基準点
物質rūpa表層意識 差異にスポットライトを当てる５感覚器官と心の認識（主体、私、自己、自分）
自我意識 外からの信号を一時的に遮断して作り上げた意識
古い経典の「われの所有」という考えはjīva総合意識を基準にしたものなので、これを捨てることを意味しています。
「わがもの」とはいろいろな解釈がありますが、修行者の最終的段階で、
不環者から阿羅漢になる時にはじめて我執ahankharaから離脱することができます。
ですから、単に「我」と書いてもこららの段階別の道のことを語らなければ、読み手は迷妄してしまうことになります。
Dhammaは理法なのか？
dhammaを法と訳すのは伝統的解釈として納得するが、
「理法」とするのは「自然の法」であるダルマに対してヒトの認識システムの限界を示唆する配慮が足りないように思う。
理という文字には田を整然と区分けするという大脳皮質特有の性質を象徴する意味を含むので、
ここはただの「法」のほうがよかろう。
「自己に頼れ、法に頼れ、というのが釈尊の唱えたこと」というのも説明不足であることを感じる。
中村氏の書かれているものの読み手が大学生を想定しているのならば、
一般人に自己という場合は、「わたし」を指す。
つまり10段階ある意識の中では表層意識もしくは統合意識を意味していると解釈してしまうのに対して、
釈尊のいう自己というのは、共通意識、全体性意識、真我意識のことを指しているが、これが伝わりにくい文になっている
リンク先 古今東西の死生観
換言すれば、しかしブッダが唱えているのはヒトの中の４つの「自分」の中でいうと消化器系器官の自分、
そしてそこに至る水先案内人である循環器系器官の自分、そしてきっかけになる神経管系器官の自分である。
今、文章を書いたり、会話をしている時に多用する外界との関係を閉じることで発動する大脳皮質をベースにした「自分」から離脱した「自分たち」に頼れということを説いている。
また法と訳されたものをそのまま使っても現代の学生は、既知体験（自分の想saññā）を通して言葉を理解するので、
ちゃんと詳しく説明するか、もしくはそのままdhammaとし、
各自がその後、深く探求することを促すのが学問ではなく仏道の道に相応しいことだと思う。
伝統的解釈とその原因
仏教史の中で五蘊に関心が向かい続けている理由は、
ヒトがモノを認識するプロセスを冷静に論理的に実証しながら検証してみると、
これが脆弱なメカニズムの複合体であり、
これによってできあがるヒトの認識とは曖昧であるばかりか、
この認識によってヒトは操られ支配されているということが判明するからです。
また全体性からの視点に立つと、
ヒトの認識は、錯覚と誤謬と一面性と表層性というカタチでしか成り立たないことが詳細に証明されるからだと思います。
そしてこのシステムから得られる情報（記号、電気、振動、刺激、信号）をベースにして構成されている
「自己意識（自我、わたし）」を緊急事態の非常手段？として意図的に使っている時はいいのですが、
この幻のように無常なモノを確固たるモノとして基準の中心に据えるばかりではなく、
ついにはこれに依存するに至ってしまっては、
「いのち」にとっては危うきものであることを明確にさせるために、
歴史の中で何度も何度も繰り返して五蘊が語り続けられていくと思っています。
この視点から五蘊を研究してみれば、日本の伝統的な理解とパーリ語の解釈の間に違いがあるのかどうか？
また、もしあるならばどのようなところかについて、考察ができると思っています。
鳩摩羅什の訳した「大般若経」の原典と漢字訳、そして玄奘が持ってきたパーリ語の経典、
また経典が記述された当時のパーリ語の慣用例とその外国語訳の比較、
そして日本仏教の経典とその解釈例を並べないと詳細な考察はできませんが、
今回はミャンマーに来て調べてみた一部だけの体験ですが、概要をまとめてみます。
結果から言うと、各世界でそれぞれの定義のされ方、各派、そして各個人がされている、という普遍的な事実でした。
ミャンマーではミャンマーの、中国では中国の、日本では日本の定義のされ方がされていました。
また同じミャンマーでもいろいろな宗派があり、それぞれの定義のされ方がされていました。
また同じ宗派でも、それそれの個人がそれぞれの定義をしていました。
これまでのアカデミズムはどれが本当の定義なのかということに関心が向いてしまい、
なぜそれぞれの地域で定義の仕方が違ってきたのかという視点での研究が少ない傾向があります。
大脳皮質の思考回路の特徴とは、ニューロンの物質的構造を使って「分けて」いくことですから、
まずは範囲を限定してその中を分析して区分けして共通性を見つけることです。
これが大脳皮質のできることでありますが同時に限界でもあります。
私たちはただ一つの結論（真理）をみつけようとする大脳皮質の習性から意識的に離脱することもできるので、
今回は各地域で（将来的には各時代、各状況をも含めて）どのように理解（定義）されているのかに焦点を当てます。
オリジナルが正しいのではなく、オリジナルにはその空間と時代と状況から生まれざるを得なかった必然性があり、
その他の時空間にはオリジナルとは違うTPOだからこそ必要とされた新たな定義が生まれた必然性があるからです。
今回の場合は2500年前に北部インドの異常気象が発生した可能性からオリジナルが生まれた必然性、
そしてそれから1000年の間（前漢から唐）に仏教の思想を必要とした中国独自の理由と
漢字を使うことによって生じた定義と解釈の変化、
そして、だからこそ芽生えた新しい実践方法（禅、密教、浄土教）、
また、それを輸入しながらも日本の風土なかで独自に発展していった日本に顕著な環境（山岳、田園、都市）と
時間（大化の改新・中世の対大陸的統一性・近代の対欧米的統一性）における五蘊の解釈の変化を常に念頭に置きながら、
「五蘊」について考えていきたいと思います。
具体的には、まずは日本での2種類の解釈、次いで中国の一部、最後にミャンマーの一部の順番で見てみます。
そして現在の五蘊の解釈の違いを見つめることで、
上記の時空で起こった状況に想いを馳せるのが楽しくなるのかと思います。
日本の伝統的な解釈
Wikipediaでは
色蘊（巴: 梵: rūpa）
- すべての物質も含んで言われるようになった。（例：桜そのもの）
受蘊（巴: 梵: vedanā）
- 感受作用（例：桜の木をみて「美しい」と感じること）
想蘊（巴: saññā, 梵: saṃjñā） - 表象作用（例：眼をつむって「桜」というイメージを思い浮かべること）
行蘊（巴: saṅkhāra, 梵: saṃskāra） - 意志作用（例：桜の枝を瓶にさしてみようと思い巡らすこと）
識蘊（巴: viññāṇa, 梵: vijñāna）
- 認識作用（例：「桜」と認識すること）
「蘊」とは「たくわえ」とか「集まり」の意味です。
五蘊とは、「人間の肉体と精神を５つの集まりに分けて示したもの」らしいです。
色受想行の四蘊に、後からこの認識システムの元である「意識（識蘊）」を加えて五蘊にしたり、
ココロ（精神）作用でありカタチのない受想行識を四蘊として「カタチのある色」と区分けする定義もあるという解釈です。
やはり五蘊という語句と出会うのは般若心経で、という人が多いと思います。
中国と日本では五蘊というと大乗仏教の「般若心経」の文脈の中で理解されることが一般的です。
「照見五蘊皆空、度一切苦厄」これが般若心経の最初の行にあります。
この解釈をインターネットで見てみた一つは、
「観自在菩薩が深般若波羅蜜多を行ずる時、五蘊は皆空なりと照見して、一切の苦厄を度したもう」
「観音さまが深い修行に入られ五蘊は皆空だと悟られたときに一切の苦厄から解放された」という意味で、
「五蘊は皆空なり」と悟ってこそ一切の苦しみから解放されるというものです。
般若心経の主旨が初めに示されている言葉ですが、同時にこれは般若心経の核だと思います。
般若心経では二段目には「空中 無色 無受想行識」とあるように、
空中において色は無であり、受想行識もまた無である、ということを説いています。
「無色」と「無受想行識」をわざわざ区切って分けているのは、両者（色と受想行識）は「別物である」ことを強調するためだと推察します。
「色」rūpaにはいつくかの解釈があることが五蘊がわかりにくくなっている原因の一つだと思います。
ヒトが感じている肉体、ヒトの物質的肉体、そして、すべてのカタチある物質的存在の３つには違いがあります。
各個人がもつ特有の感じ方としての肉体、変化し続けている肉体、そして物質です。
「色」のあとの「受・想・行・識」は心の作用を意味します。
英語で言うメンタルで、「自分」から物質的肉体を取り除いた、目に見えないものです。
日本での一般的な解釈の「受」は、感覚とか知覚などの感受作用を意味します。
暑いとか寒いとか、旨いとかまずいとかの五感による感覚です。
五感からの信号が感覚神経によって中枢神経に至り、そこで分類される感覚です。
「想」は、「受」の感覚を認識システムのプロセスで知覚することです。
または情報（刺激）を受けた時に、それが何であるか識別するためには、
それぞれの感覚を分別して名前をつけるが必要です。
これらは過去の体験から学んで自分の中で作り上げたイメージです。
私はこれを「かご」や「棚」と呼んでいて、
脳に流れ入ってきた情報をその特徴から各種のカゴに分別する過程が「想」の領域です。
「行」は、イメージを意思や行動に移行させることです。
メンタル（認識システム）の自動的反応や条件反射もここに含まれます。
「識」はヒトの内側や外側にある情報（信号）を自分がわかりやすいように分別して、
認識し、意識し、時に思考することです。
上の例でいうと、春に土手を歩いている時に風が吹くと「小さな薄桃色がヒラヒラと降ってくるモノ」を
「桜」と認識することです。
日本近代以降の「五蘊」解釈
中村元氏による「五蘊皆空」の解釈は
「存在するものには五つの構成要素があると見きわめた。しかも、かれ（観世音菩薩）は、これらの構成要素が、その本性からいうと、実体のないものを見とおしたのであった」 『般若心経・金剛般若経』岩波書店
鈴木大拙氏は、
「存在するものには五つの構成要素があると見きわめた。しかも、これらの構成要素が、その本性からいうと、実体のないものであると見抜いた」 『禅とは何か』
五蘊とはヒトのメンタル（認識作用）から見た視点の話だったのだが、
大乗仏教ではそれを吟味しない修行法が発明され、般若経などの経典がサンスクリット語で書かれ、
昭和（源泉は幕末からの西洋思想を日本語に翻訳し吸収する過程）に入ってから
「ヒトの認識の一面性の限界」の問題の話が「モノの実体」の話に変移してしまったようです。
権威のある識者がスポットライトの当て方を変えたことによって、
後に続く般若心経の解説者が「すべてのものには実体がない」と解釈してしまっている理由ではないでしょうか？
これは五蘊に対する接し方がパーリ経典の解釈から、
五蘊を段階的に修正することに関心がなくなった大乗的なものへと変移し、
これに近代からの科学的視点とこれに対する反論とコンプレックスが加わることによって
必然的に出てきた解釈だと思います。
五蘊が三蔵（経蔵、律蔵、阿含経）以外の経典で、どのような文脈で使われているかご存知の方はご一報いただければ幸いです。検討してみたいと思います。
言葉を変えてもう一度、書くと、
この世から離脱するための方法を発見した釈尊が、
それを説明するために、「認識プロセス（メンタルの働き）」を「ありのまま」をみると、
それが５つに分かれていることを発見して、そのメカニズムを明らかにしました。
それが五蘊です。
これによって、ヒトの認識作用の限界が明らかにされ、問題点が浮き彫りになり、
そこから離脱方法を発見したを説くために分析された語句が「色受想行識」であったのに、
近代日本の解釈では般若心経の中に出てくる五蘊を認識作用の対象としての「モノ（色）」は「空」である、
と焦点を認識メカニズムの限界（欠点）からモノそのものの本質へと論点を変えることが、
抽象度を一つ上げた価値のあるものだと勘違いしたことが、
その後の混乱（五蘊の理解）の原因の一つになっているのではないかと思います。
このように拡大解釈して過剰一般化してしまった原因は、
漢字への翻訳、
前漢から唐時代の中国が必要とした思想、
大乗仏教の特徴、
科学的客観性の特徴と限界、
近代日本のコンプレックスにあると思います。
般若心経では、五蘊との付き合い方には関心がないようです。
というのもヒトの勘違いは五蘊というヒトの認識プロセスを実体のある確固たるものとしているからだ、
と的確に指摘はしてくれるのですが、ではどうすればそこから離脱できるのかについては説いていません。
ただアタマで以下のように分析しているだけなのが特徴です。
五蘊皆空の意図した意味とは、人のココロ（メンタル）によってとらえたものは、
表面的な一面性しかないので、これを実体として確固たる基準にするのではなく、
全体性の「空」からの視点でとらえることが必要である、と。
というのも、般若心経は最後にはただ呪文（是大神呪、是大明呪、是無上呪、是無等等呪）を唱えているだけです。
なぜ先人たちが認識システムを5つに分ける必要があったのか、
すなわち各パートに内在する問題点と解決法、
そして、「苦しみ」から離脱する具体的実践方法にも触れていません。
言い換えればそれらを理解したり実践しなくても、
アタマで概要をわかっていれば、それだけでカラダの実践なしに「苦しみ」から離脱、
すなわち涅槃に至るという思想です。
私は、一つのものを5つに分けて説明する理由は、
「ヒトに自己がある」と信じ込んでいる状況（無明・無知 moha）から解放されるためには、
このように信じ込んでしまうためのメカニズムとそこから離脱することが明らかになるためだと推察しています。
それなのに心経は五蘊のどこに問題がありそれからの離脱法を説かない理由は、
心経とはお経と言うよりも呪文として活用するために必要とされているためだと推定しています。
日本の新しい、もしくは近代以前の解釈
「色」は科学的見地から客観的で物質的なモノとしてとらえる前にはどのように体感されていたのでしょうか？
「色」をヒトの肉体、特に五蘊の文脈の中では目、耳、鼻、舌、皮膚の感覚器官とする解釈があります。
また物質をヒトの感覚器官を通して脳でとらえられたモノを「色」とする解釈もあります。
どちらもベースになっているのはヒトの認知メカニズムがとらえたモノ、という視点です。
このように解釈する根拠は、
「般若心経」の冒頭に「観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時 照見五蘊皆空」
（観自在菩薩が深遠な知恵を完成するための実践をされている時、五蘊がすべて「空」であることがわかった）
とあり、五蘊が皆「空」であることを見極めた、と言及しているのですが、
この五蘊の5つのパートに共通し、５つをつなげ、５つをセットにすることで成り立つものを考えてみると
「ヒトの認識作用」が浮かび上がってきます。
すなわち、「信号を一般化する作業」、「認識プロセスのシステム」、「心の働き」です。
ですから、心経の中の五蘊は客観的なモノの無常について語っているのではない、と言えます。
五蘊とは、色・受・想・行・識の五つの蘊、
つまり人間の認識作用のプロセスを５つのパートに分けて説明することによって、
認識作用の各段階でどのような問題点があるのかを明確にするための方便です。
それなのに、せっかく５つに分けて説明する解決法の解説がないのは残念です。
ですから、上記したように、般若心経は悟るための科学的な分析を伝えるためではなく、
簡単に暗唱できる呪文として特化したお経であると考えます。
ウェブにあった1つの禅塾では以下のように五蘊を捉えています。
色蘊 – 人間の体(眼や耳、皮膚などの感覚器官）と、認識する対象、すなわちモノ
受蘊 - 見る、聞く、嗅ぐ、味わう、皮膚感覚などの感覚
想蘊 - （「あれはバラだ」とする判断のための）知識
行蘊 - 「バラを取りたい」などの気持ち
識蘊 – 「きれいなバラだ」と判断する価値基準。
想蘊とは、「きれいだ、バラだ」という区別判断をするための情報や価値基準。
つまり、受蘊で感覚したものを想蘊が同定し、その内容を識蘊が識別・判断し、行蘊が「あれを取りたい」と思う。
すなわち、「五蘊」とは、人間の認識作用（見て聞いて・・・判断し、行動する）を意味しているのです。
Cf.中野禅塾の解釈 http://nakano-zenjuku.com/?p=109
他の認識学的な解釈 受想行識とはなにか？
「受想行識」とは、
ココロ（マインド）の働き、
「知る」過程のメカニズム、
認識システム、
感覚から行動までの無意識の反応、
ココロの条件反射、
快・不快を伴う反応回路、
思考回路、
精神作用と、
TPOによって言い方は変わるが、どれも「『わたし』の感じ方と反応」のことではないでしょうか？。
そして受想行識をあえて一文字にするためにココロ（mind）が訳としてはわかりやすいのかと思います。
漢字にすると「心」です。
本来はこの心という漢字には内臓器官としての主体感覚を持った象形文字でしたが、
近代以降にはこの感覚を持つ人は少なくなりました。
この循環器系器官の感覚が絶滅したのではありませんが、
神経系器官である脳の認知システムの感覚を多用することになり、主体（プレイヤー）の基準が移行していきました。
マインドの語源はラテン語mIns に由来し、cormeum（heart）が感情面を指すのに対して、
mIns（mind）は頭の中にある思考能力を指します。
現代の日本で一般的に使われている「こころ」とは、
英語でいうとマインドのケースが多く、頭の中の能力のことです。
紫式部はパターン化された知識のことを「からごころ」、
ありのままに捉えることを目指し、マインドに浮かんできた知のことを「やまとごころ」と呼んでいます。
この章で使われる「心」とはマインドのことを指します。
ここで明らかなことは、釈尊の５つがセットである五蘊の提示を、大乗仏教では「色と心（受想行識）」に分離させて、
新たな教説を作り上げていることです。
これでは、釈尊が「ヒトの認識プロセスであるメンタル」をわざわざ5段階において、
それぞれに対する解決の実践法をないがしろにしています。
例えば、般若心経では、
「心不異空、空不異心、心即是空 空即是心」
受想行識も色と同じ五蘊なので、色と同じく心も「空」と違いはなく、「空」はそのままでココロである、
と説いており、色（物質）と心（物質ではないもの）を区分することを前提にして理論を進め、
苦しみから離脱する実践方法については考える余地もありません。
色蘊 釈尊の定義は、ヒトの五感器官（肉体）を通して意識（ココロ）によって認識されたモノで各自が違う
般若心経では、心に対しての「物質」なので、各自による違いはなく普遍的な近代科学の視点
受蘊 ヒトの五感と脳による認知メカニズムの感覚情報
想蘊 ヒトの記憶や一般化する時に使うイメージ、そしてそれをブリコラージュ（寄せ集めて編集）する想像
行蘊 判断や選択、または理由付け。 そしてこれらの回路による反応やココロの条件反射
識蘊 釈尊の定義は、神経学や心理学でいう「観察者」のこと。
アラハンは行蘊とほぼ全部の想蘊を除去した者であるが、この識蘊は持続している。
般若心経での五蘊は、学習した経験を区分して名前をつけて一般化して知識とし、それをベースにして作り上げた思考回路を意識にする認識システムのことになる。
中国の五蘊
日本の江戸時代後期から明治時代にかけて欧州の思想を日本語に置き換える仕事のように、
インドや西域やチベットから中国に仏教が伝来した当時に、
鳩摩羅什や玄奘がパーリ語の経典を当時の中国人のために漢字に置き換える仕事をしました。
大切なのは当時の中国人に仏教を伝えるためには、当時の中国のベースであった考え方（儒教や道教など）を踏まえないと、
当時の人に体験のしたことがない新たな考え方は伝わらないという翻訳の宿命（限界）の問題です。
当時の東アジア大陸人にとって、わかりにくかったのが「空」の概念です。
道教の表層には陰陽や☯や「無と有」の概念はありましたが、「空」は理解され難い概念でした。
ですから「是」と言う文字を使って、そうは見えないけれど、
「本当はね、・・・・」と常識では考えられない考え方だけど深く理解すればね、
と強調して翻訳したりするなどして、いろいろな工夫や苦労をしています。
Cf.道教における「玄」の思想は奥義直伝であって一般的ではなかった、と私は推察しています。
この「玄」と「空」の関係性についてご存知な方がいらっしゃればご教示お願いいたします。
ですから「色即是空、空即是色」など論理学的には無理な翻訳をしてまで、
後漢時代から唐時代の識字層のプライドを傷つけない配慮をしながら、
中国文化にとっては未知の思想である「空」を伝える苦労があったのだと推察しています。
またヒトの認識メカニズムは、錯覚や過去に学習したイメージのブリコラージュや条件反射や無意識による書き換えなど
のように脆弱なメカニズムの集合体でしかなく、あまりに表面的で一面的な把握方法なので、
ヒトの認識には誤謬が溢れてしまうので、これらを「仮の姿」と呼ぶことにしていました。
例えば十二縁起に見られるように、パーリ語の原典である三蔵（阿含経）には、
それぞれの「蘊」が次の「蘊」に不幸の種を撒き続ける連鎖作用があることを分析しています。
しかし漢字に置き換えるということは、それぞれの漢字ができたオリジナルの象形や音波（イントネーションなど）や
振動（ヴァイブレーションなど）や文化や対義語やセットの使い回しや自然環境や習慣や
歴史の中で付加される複層のイメージも付加されます。
また、インテリが識字することによって無意識の内に大脳皮質の神経を鍛えてしまっており、
その鍛えてしまった分析的・相対的・客観的思考回路で文字を把握することによって、
その影響を受けてパーリ語を漢字に翻訳されてしまうばかりではなく、
この特徴的な思考回路を使って翻訳の文章を構成させてしまいます。
中国の五蘊の解釈は、
色蘊 ヒトの意識によって認識されたモノ
受蘊 ヒトの五感と脳による受信感知メカニズム
想蘊 これまでの経験により学習した一般化する時に必要とされるイメージ
行蘊 判断や選択。または理由付けすることで行われる意思作用
識蘊 区分とパターン化で一般化して名前をつけること
と昆明のある寺に住む僧から説明を受けましたが、
「識」は、解釈が大きく分かれる概念です。
意識、知識、認識、良識、常識、識別、識語、と識を含んだ熟語が多くあるように、いろいろな状況で意味も変化します。
物事の道理を知ること。
道理を分別すること。
文字を陽刻すること。
対象を識別、認識するもの
白川静の識の解釈は
「形声。音符は戠しょく。戠は戈に飾りをつけた形で、標識とするの意味があった。
標識によって識別して知ることができるから、識は“しるし、しるす” の意味から、
“しる、わかる”の意味となる」『常用字解』
白川静の字形から意味を求めるのも素晴らしい方法だが、意味をどう図形化したのか、
その工夫を考えるというアプローチもある。
意味を知るには古典を調べればよい。意味は文脈で判断し理解するものである。
識は古典に次の用例がある。
①
文：三爵不識 矧敢多又 訓読：三爵にして識らざれば 矧（いはん）や敢へて多く又せんや
翻訳：三杯の酒で意識がなくなれば もっと飲ませることはない――『詩経』小雅・賓之初筵
②
文：默而識之。 訓読：黙して之を識（しる）す。
翻訳：口には出さず心に記す――『論語』述而
①
は物事を見分ける（しる）の意味、古典漢語ではthiək（呉音でシキ、漢音でショク）
②
は心に記す（記憶する）の意味、古典漢語ではtiəg（呉音・漢音でシ）
これらをともに識という視覚記号で再現させてみる。
識は「戠ｼｮｸ（音・イメージ記号）＋言（限定符号）」と解析する。
戠の左側は音になっているが、古い字体では音ではない。杙のような標識の図形である。これをイメージ記号とし、
戈を限定符号としたのが戠で、武器で目印（標識）を打ちつける情景を設定した図形。
この意匠によって戠は「見分けるための目印」というイメージを表す記号になりうる。
識は言葉という記号を用いて物事を区別して見分けることを暗示させる。
この図形的意匠によって、他と区別して見分ける意味をもつthiəkを表記する。
また、「見分ける目印」というコアイメージから、しるしの意味、記す（書き記す）の意味、
さらに心に記す意味（これが上記の②）に展開する。
「しる」の意味には知もあるが、知と識は意味のイメージが違う。
知は物事の本質を直観的にしることだが、識は他と違う何かのしるし（特徴）を捉えて、他との違いを区別してしることである。識別という熟語がこの意味をよく伝えている。
モノゴトの中から差異を見つけてそれを強調することが「識」であると推定する。
他の中国の仏教的な解釈
ルーパ（色ー身体、物質的なもの。それも一つではなく土水火風的要素、…でできている。全て変化して流れてゆく。）
ヴェーダナー（受ー苦、楽、不苦不楽。これも身体が物に触れると生まれて消えて行く。受がなければ「生き物」とは言えない。）
サンニャー（想ー概念を生み出すデータの塊。これも増えたり、減ったり、変化しながら消えてゆく）
サンカーラ（行ー身体を動かしたい、話したい、思考したい、もしくは自動的に反応している回路。常に変わって生まれては消えていく。）
ヴィンニャーナ（識ー認識するという機能。触れるものによって識は変化し、生まれ、消えてゆく。）
上座部の誤謬の原因
「仏教」の上座部Theravadaバージョンでの主な問題は、Tipiṭakaを基本として使用する代わりに、
Buddhaghosaによって書かれたVisuddhimaggaを使用する傾向があることです。
彼は、どの段階のMagga
phalaにも達成しておらず、
彼の「願い」はVisuddhimaggaを書くことで得られたメリットから、次の人生（来世）でdevaになることでした。
Tipiṭakaを使用している場合でも、
ほとんどの人はanicca、dukkha、anatta、khandha、Paṭicca Samuppādaなどのキーワードの誤った解釈を使用しています。この問題は、数年前にスリランカ政府の支援を得て行われたTipiṭakaのシンハラ語訳で明らかです。
ミャンマーの五蘊 pañcakkhandha ခန္ဓာ
パーリ語文化圏の五蘊の解釈は日本や中国とは明らかに違っている。
パーリ語のPAÑCAKKHANDHA（５つの集まり）が漢字に翻訳されて五蘊となった。
漢字に翻訳された時点とその後の解釈、
そして言語化する過程において中国や日本の風土や文化や時代やクセによって意味が変化するのだから
解釈が違って当たり前でもある。
ではパーリ語での意味を理解するには、経典の中での使われ方を文脈の中で理解するのが一つのアプローチだ。
ちなみにミャンマー語を母国語にしている瞑想者たちに聞いたところ、
パーリ語の仏教詠唱の5％から10％はなんとなく理解できると言っていた。
ミャンマー語の中にはパーリ語源の単語は少なくない。
下記の解釈は「律蔵Vinaya-pitaka」と「経蔵sutta-pitaka」と「阿含経: āgama」に因っている。
識蘊（viññāṇa）に関しては、律蔵と経蔵の解釈と阿含経の解釈では意味の違いがある。
例えば、識蘊（viññāṇa）は経蔵の中で34箇所にわたり言及されており、
認識システムとして「意識」を拡大解釈している文脈もみられるのに対して、
阿含経（十二縁起）では、はじめの気づきとして限定解釈した「意識」としてとらえている。
ကိစ္စ 色蘊（rūpa） 肉体、五感感覚器官、脳、モノ、 物質 、情報
ဝဒနာ 受蘊（ vedanā）
感覚プロセス sensation タグ付け
သညာ 想蘊（saññā） 知覚作用 perception 一般化
သခၤါရ
行蘊（saṅkhāra）反応作用reaction 入ってくる情報に自動的に反応すること
သတိ 識蘊（viññāṇa）意識 consciousness 分別して命名する認識システムの集積
参照 経蔵Tipiṭaka (Mūla) Suttapiṭaka Khuddakanikāya Paṭisambhidāmaggapāḷi 1. Mahāvaggo
『無礙解道』パーリ仏典経蔵小部の第15経 サーリプッタ（舎利弗）の修行の体系を述べた口伝集
参考 http://epalitipitaka.appspot.com/
http://www.tipitaka.org/search
参照リンク先
ヒトの認識（メンタルの働き）は、まずは意識（viññāṇa識蘊）が覚醒していることによって始まる。
すると知覚作用（saññā想蘊）が働くようになるので、
かたまりの情報（raw information）は分別されることによって意味のある情報になる。
具体的には、情報が感覚器官を通じて電気化されて信号になる。
この神経系器官のプロセスが感覚作用（ vedanā受蘊）と呼ばれる。
そして、まだ一般的ではないが大事なことは、このプロセスの最中に、
快・不快の価値付けのあるタグが信号に無意識の内に付加されているばかりではなく、
この信号はカラダに記憶されるようになる。
神経科学者ソーマティック・マーカーと呼ばれる「カラダに書き込まれた自動回路」は前頭葉だけではなく、
体全体に拡がって記憶されるのではないかと仮説している。
無意識と自己意識の脳 ダマシオ The
Feeling of What Happens
確かに、自転車の運転などの「運動の自動反応回路」は小脳に書き込まれているし、
内観法を実践している時に現れる痛みをはじめとする様々な感覚が体中から浮かび上がってくるので、
自動反応回路は肉体にもあることは想定できるが、
対して三蔵では、一部は肉体に刻み込まれる回路もあるが、メンタル体にある五蘊がそららの回路の保管場所であるとする。
次に、感覚作用の時に付加されるタグの印に自動反応してしまうのがメンタル体の自動反応作用（saṅkhāra行蘊）である。
この五蘊のプロセスとは、暗闇に意識というスポットライトを当てて、
明るくなった範囲だけを分けて区切って名前をつけ終わるとひとまず満足します。
そして時に区分したものに共通の法則を見つけて一般化することを好む性質が認識システムにはあります。
五蘊は、なんでも「分ける」ことを仕事としており、この分け続ける行為を通じてこの世を理解（認識）しています。
このようにヒトは五蘊によって自ら（わたし）を自動的に操作されてしまっているので、
もし自動的な反応の連続から離脱しようとするのならば、
この認識メカニズムが持っている連携の輪（十二縁起）をどこかで途切れさせることが必要となる。
ウィキペディアの誤謬
パーリ語における識蘊
識蘊(巴: viññāṇa ヴィニャーナ, 梵: vijñāna ヴィジュニャーナ)とは、
認識対象を区別して知覚するメンタル作用をいう。
この語viññāṇaは、vi(分析・分割)+ √jJaa(知)の合成語で、対象を分析し分類して認識する作用のことである。
釈迦在世当時から、この認識作用に関する研究が行われ、さまざまな論証や考え方が広まっており、
それぞれの考え方は互いに批判し合いながら、より精緻な体系を作り上げた。
また、分析的に認識する「識」ではなく、内観法による直接的に般若(プラジュニャー(prajñña)、パンニャ(pañña))を
実践することによって、「識蘊」だけではなく、その外側（上位）を含んだ「この世」を体感することで、
悟る（成仏する）ことができる方法である。
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五蘊（パンチャッカンダ pañca khandha） The Five Aggregates パーリ仏典による |
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·
Form is
derived from the Four
Great Elements. ·
Consciousness arises
from other aggregates. Mental Factors arise from the Contact of Consciousness and other aggregates. |
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出典: MN 109 (Thanissaro,
2001)[信頼性要検証] Source: MN 109
(Thanissaro, 2001) | diagram details |
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The Pali Canon's Six
Sextets: |
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"internal" |
<–> |
"external" |
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↓ |
↓ |
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↓ |
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↓ |
↑ |
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1. The
six internal sense
bases are the eye, ear, 2. The
six external sense bases are visible forms, 3. Sense-specific consciousness arises
dependent 4. Contact is
the meeting of an internal sense 5. Feeling is
dependent on contact. 6. Craving is
dependent on feeling. |
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サンスクリット語の
識蘊 (vijñña skandha)
人間の構成要素を五蘊(ごうん)と分析する際には、識蘊(しきうん)としてその一つに数えられる。
この識は、色・受・想・行の四つの構成要素の作用を統一する意識作用をいい、六根（眼・耳・鼻・舌・身・意）によって、
六境（色・声・香・味・触・法）を認識する働きを総称する。
事物を了知・識別する人間の意識に属する。例えば、桜を見てそれが「桜」だと認識すること。
また経典には、識住(vijñña sthiti)と言われて、「色受想行」の四識住が識の働くよりどころであるとする。
この場合、分別意識が、色にかかわり、受にかかわり、想にかかわり、行にかかわりながら、
分別的煩悩の生活を人間は展開しているとする。
しかしながらいずれも、人間は「五蘊仮和合」といわれるように、物質的肉体的なものと精神的なものが、
仮に和合し結合して形成されたものだと考えられており、固定的に人間という存在がある、とは考えられていない。
十二因縁の識
十二因縁では、無明・行・識・名色・六処・触・受・愛・取・有・生・老死とあるので、行に条件付けられた識である。
論蔵（アビダルマ）での識
アビダルマ(阿毘達磨、abhidharma 経蔵、律蔵の注釈書である「論蔵」のこと)では、
五位の中で心(しん、心として働く主体)と心所(しんじょ、心の働く作用)と区分するときには、識は心(心王)にあたる。
識には、眼識・耳識・鼻識・舌識・身識・意識の六つあり、別のものである。
しかし、識としての物柄(体)は一つであるとする。
六識はそれぞれ色・声・香・味・触・法と別の対象をとるから、別々の認識であり、
境(きょう、外界の対象)を写し取るようなものと考える。
唯識での識 (vijññāpti)
瑜伽行唯識学派では、「識」とは眼耳鼻舌身意の六識を表す。
そしてその奥に、末那識(まなしき、mano-vijññāṇa)と阿頼耶識(あらやしき、aalaya-vijñña)があるとする。
説一切有部とは異なり、唯識派では識の認識する対象は自識の中にあると考える。
したがって、識には、認識するものと認識されるものの二つが内在しているとする。
しかも、この八識は識体が別であり、同時に働くことが出来るとする。
「識」とされる前六識（マナ識と阿頼耶識以外）は、事物（すなわち存在として認識される対象物、
西洋哲学で言うphenomena現象）と主体、つまり、認識されるものと認識するものとの関係において、認識作用を行うという。
密教の識
密教の場合は、すべてのものの存在に遍在しているものとして、純粋意識のように捉えられた。
脚注・出典
鈴木大拙は『禅と精神分析』（創元社、1960、p103）において、識は直観と解した方が良いと述べている。
釈尊の解釈（教え）とのギャップは大きい。
頼富本宏他「図解雑学 般若心経」ナツメ社 2003年 P76
五蘊の順番 出典 「サンカーラとダンマを観察する」 木南秀雄
意識
意識は心のアンテナです。感覚器官は意識がなければ働きません。何かを見るのに熱中している時には、音がしていても耳に入らないことがあります。これはすべての意識が目に集まっているからです。このアンテナが受け取った外からの刺激は、次のようなプロセスで情報処理されます。
外からの刺激
↓
意識（vinnana：ヴィンニャーナ）ただ気づくだけ（生データの受信）。
↓
知覚（sanna：サンニャー）記憶や経験から良し悪しを判断（データのチェック・分類・好悪の判断）。
↓
感覚（vedana：ヴェーダナー）知覚の判断で気持ち良くなったり悪くなったりする。（入力データの識別）。
↓
反応（sankhara：サンカーラ）
ブッダは、心が「モノの印象」「意識」「知覚」「感覚」「反応」という５つのプロセスから成り立っていることを発見しました。
このスピードがあまりにも速いために、人はそのことに気づかず、反応が長時間繰り返されて強化されたとき、はじめて意識の中に現れて気づきます。
私たちは、誰もが、意識、知覚、感覚、反応という心のプロセスの流れの中にあり、それは身体の変化よりもさらに高速で変化しています。これこそが「自分」というものの現実です。単なる流れに過ぎない現象のプロセスであるこの自分という現実を体験し、正しく理解することができたら、「自分」という実体は存在しないという理解が生まれ、苦から抜け出す糸口を見つけることができる、とブッダは悟りました。
サティパッターナ・スッタは、プロセスにすぎないこの自分という現実を体験するための手引書のようなものです。
接触
ここでの接触とは、身体との接触ではなく、心との接触を意味しています。接触の対象物と意識や感覚が結ばれる時、ここでいう接触が起こります。
感覚の秘密の発見
体の感覚は接触がないところには発生しない。
精神（理性）、心（表層と深層意識）、体が接触するところで感覚は生じる。
接触とは外部信号とヒトの五官と意識（顕在と潜在の両方）が接することを指す。
感覚が苦しみへも離脱へのどちらも導くキーポイントである。
感覚とともにいること、感覚を感じている時は智慧である。
感覚を感じていない時は無知である。
潜在意識は常に肉体と接している。例えば寝ていても蚊に刺されたところを掻く。
意識、無意識にかかわらず、感覚は常にある。いのちあるものはすべて感覚がある。
このようにヒトはいくら気を付けていても感覚を常に気づいていることはできず、無意識のうちに感覚がサンカーラの種を作り上げてしまう。
しかし、ということはこの感覚が同時に苦悩を滅ぼす種になる。
これを釈迦は発見された。
では、どうすればいいのか？
１感じ取る知覚力をつける 鋭敏な感受性と研ぎ澄まされた意識を育む これによって気づくことができる。
２感覚に対していつも平静でいる。 この平静さは無常を体感し続けることによって得られる。
３サンカーラを作らない。すると古いサンカーラが浮かび上がるが、これもobserveすることで滅びる そして表層中層深層意識システムは浄化され、のちに解脱する。
五蘊と縁起説
無意識（中層意識）の領域では
ヒトは無明（とにかく生き続けようとする意思、変化するものを永遠不滅のカタチあるものだと信じて疑わない、分別をしてしまう本能）なので、それによってすべてのものが持っている「お決まりのパターンがアウトプットされる回路（サンカーラ、行）」が作動してしまい、
過去に学習したことを分別して整理したデータを基盤とする無意識（中層意識）が作動する。
無意識に刺激（信号）が流れると、心と体が反応する。
この二つにスイッチが入ると、五官器官と心（マインド）が反応して動作可能状態になる。
この五官器官と心（マインド）に他者（外部と内部）の信号（情報）が接触すると、それは感覚神経の信号として脳に認識される。
次からは意識（表層意識）の領域で
その信号には快・不快・無関心のタグが付加されてデータ保存される。
渇愛や嫌悪のタグの付いたデータはこだわり（執着）を生む
そして執着（固執、決まったカタチ）によって「空から有」へのプロセスが始まる。
このプロセスによってすべてのものが誕生する。
誕生したものは生起と消滅の法則によって死を迎える。
五蘊と十二縁起の順番の違い p67
受想行識ではなく、受識想行ではないのか？
受（感受） 入力信号
識（識別） 脳における記憶との比較照合認知
想（思考判断） 問題解決のための立案想像思考判断
行（行為） 筋肉への出力行動＝カルマ
P116～ 五蘊
サンカーラは広義の「万象」という意味と、狭義では、行動につながる「心の作用」のアウトプット、の意味がある。
広義の万象とは、潜在的な思いcetanaであり、停止することのない流れのことであり、これがサンカーラの本質である。
サンカーラを入力（インプット）と伝統的に捉えてしまうことが、五蘊を文字だけで理解して内容を理解していない原因である。
松尾の解釈
受 vedanā 感覚と3種類のタグ
想 saññā パターン認識
過去に学習した観念、イメージ、分類した洗濯用カゴ、一般化するための基盤
行 saṅkhāra 自動反応回路 条件反射、思想など
識 viññāṇa 対象を分別し認識し、エネルギーのあるものは識蘊で潜在力として待機する。
木南さんの解釈は神経入力情報処理の時系列的な順番はちゃんと追っているのですが、
五蘊は深層、中層意識での機能のメカニズムも説明しているものであり、
また、このように五蘊を解釈をすると抜け落ちてしまうところは、
「自動反応回路」を書き換えたり、上書きしたり、「自動反応回路」の働きによる認識の勘違いを想定内にしないかぎり、
ヒトは現象をありのままに見ることができない生物（存在）であることを表わしていない。。
またこのことに気づき続けていないかぎり、この世を歪曲して認知してしまうことを自覚していないと、
悟りを終着点にしてしまうような勘違いが起こる。
また、サンカーラとは「空」からカタチ（時空）が生じる際に、二つの境界にある自動変換回路のことである。
この回路も諸行無常、諸法無我、一切皆苦という宇宙の法則の一部なので、
生起しては消滅するので永遠不滅のものではない。
そしてこのサンカーラ（回路）によって予めから決まっているカタチが産み続けられるので、
この回路が産み出す「分別、カタチ、分離」に囚われることから抜け落ちることができると、
あるカタチになってしまうという必然性から解放される。
通常の十二縁起の定説
無明(むみよう)→行(ぎよう)→識(しき)→名色(みようしき)→六処→触(そく)→受→愛→取→有(う)→生(しよう)→老死
木南の仮説
無明なる名色の六処→触→受→愛→取→行→有→生→老死
↓ ↑
識→（想）→
六処に対象が触れて、感受し、識別して渇愛に基づく好き嫌いのラベルが貼られ、取らわれ（執着）、想じ（立案思考判断）、行動しては、有為の世界を現出し、生老から死に至る。
P122 十二因縁
第四章68 釈尊の教え p311
「釈尊の教えとは、心と物質の還流（サンカーラ）の有様を如実に見ること。
そして、このサンカーラの性質であるダンマ（法・宇宙の秩序）を正しく見ること。
そのために怠らずに修行せよ。」
だと木南さんは解釈した。
vaya dhamma
sankhara appamadena sampadetha 釈迦の遺言と呼ばれる言葉
ヴァヤ ダンマ サンカーラ アッパマーデーナ サムパーデートゥハ
南方上座部仏教経典 Pali Canon Digha Nikaya Maha-parinibbana Sutta大涅槃経
vaya ダメになる dhamma 仏法 sankhara 行 これは諸行無常を指すのか？
appamadena 不放逸 sampadetha 精進 おこたることなく つとめよ
参照
パーリ語
“handa dāni, bhikkhave, āmantayāmi vo —‘vaya-dhammā
saṅkhārā,appamādena sampādethā’ti.
ayaṃ tathāgatassa pacchimā vācā”.
英語
he last words of
the Buddha: (ven. Thanissaro trans.)
“I exhort you, monks: All fabrications are
subject to decay. Reach consummation through heedfulness.”
That was the
Tathāgata’s last statement.
英語 別訳
“I exhort you, monks:
'decay,--[as a natural
law of]-Dhamma;
fabrications [are
subject to that law];
assiduously (you
should)-accomplish [The Goal].”
those (were the)
tathāgata's
final words.”
For starters
Dhammā is plural nominative correct?
second question,
is sampadetha (accomplish) referring back to the previous sentence or an
unnamed object?
I interpret
sampadetha here as meaning one should accomplish the noble eightfold path [as
the unnamed object]. But grammatically, is it supposed to refer to previous
sentence, such as one should accomplish the full understanding of vaya dhamma?
日本語
「理解してください,僧たちよ。 すべてものは腐敗しやすい。 心遣いを込めてゴール（極致）に至りなさい。」
木南さんの解釈
「原因―結果の法則」に従って還流するサンカーラを如実に見るために修行しましょう。
松尾訳
「すべてエネルギーは老朽する、サンカーラによってできたもの（の宿命）だからである。
怠ることなく、加算されたもの（貪瞋痴）に向き合って暮らしていきなさい。」
松尾の考え方
木南さんの解釈では、サンカーラを諸行無常として捉えるだけなので、サンカーラの自動反応回路の機能とその解除法を指摘していないので、サンカーラを書き換えたり、上書きしたり、消去する方法を学んだり、修行したりする方法を実践できない。
第五章 ９ 五官・五感と六境・六入・六内処・六外処・六根 p349
木南さんは十二因縁の「無明→行→識→名色→六処→触→受→愛→取→有→生→老死」の順番を理解できなと言っているが、
それは、はじめの６つが無意識（中層意識）のことであり、
７つ目の「受」からが私たちの六境の意識（表層意識）の世界に入ることを理解していないからだと推定される。
無意識（中層意識）の領域では
ヒトは無明（とにかく生き続けようとする意思、変化するものを永遠不滅のカタチあるものだと信じて疑わない、
分別をしてしまう本能）なので、それによってすべてのものが持っている「お決まりのパターンがアウトプットされる回路（サンカーラ、行）」が作動してしまい、
過去に学習したことを分別して整理したデータを基盤とする無意識（中層意識）が作動する。
無意識に刺激（信号）が流れると、心と体が反応する。
この二つにスイッチが入ると、五官器官と心（マインド）が反応して動作可能状態になる。
次からは意識（表層意識）の領域では
この五官器官と心（マインド）に他者（外部と内部）の信号（情報）が接触すると、
それは感覚神経の信号として脳に認識される。
その信号には快・不快・無関心のタグが付加されてデータ保存される。
渇愛や嫌悪のタグの付いたデータはこだわり（執着）を生む
そして執着（固執、決まったカタチ）によって「空から有」へのプロセスが始まる。
このプロセスによってすべてのものが誕生する。
誕生したものは生起と消滅の法則によって死を迎える。
無明 煩悩の親分
生命があるところには無明がある。 ココロの本能。
生き続けることを優先させるので、これを邪魔するものはすべて見なかったようにする。
自意識、存在欲、自我、自己はさまざまな原因の組み合わせによって一時的に現れる現象。
しかし、これらを常にあると思ってしまうのが無明。
ありのままの現実をみることができない「無明」の力
ヒトが生命体の本能に気づけないのは、自動反応回路によって無意識のうちに行動を起こすことで、
問題もなく生きていけるため、ありのままの現実や本能に気づく必然性がない。
これを無明と呼び、仏教でいう存在欲の「貪瞋痴」の一つである「痴」のこと。
無明とは、自分の本能を知ることができなくなる病気のこと。
ありのままの現実を知る必然性がこの世にないことから、それを知ろうとしないのも無明の力。
無明がないことを智慧という。
無明を消すには無明があるという事実を見守っているだけ
「無明がある限り、三種類の渇愛が現れてくる」と釈尊は生命体の深層を分析した。
常に刺激を求める欲、刺激に依存することで生きようとする欲、肉体の依存を超越しようとする欲の３つ。
そこで「生命はなぜ無明を根本原因にして限りなく輪廻転生していくのか？」という事実をしっかりと観てみる。
すると、これだけで無明も、生きていたいという渇愛が弱まってしまい、
最後には消えてしまい、そして輪廻転生が終わる、と上座部仏教の長老は言う。
なぜならば、無明という存在があることに気づき続けていれば、
無明の最大の特徴である「自分（本人）が知らないうちに行動してしまう」という武器が使えなくしてしまうからである。
無明は意識されないことが強みであるのに、無明にスポットライトを当て続けられると力はどんどん弱まってしまう。
この世の支配者、生命体の創造者は無明
生命体は無知の衝動で、無知に支配されて、無知のために、無知の奴隷として、
無知に追われて、無知に脅かされて、無知に束縛されて生きている。
これが生命体はロボットであり、回路に操られ、自由がない理由である。
無明の別名はカミ、カミとは人格化された無明のこと、という解釈もできます。
生かされている目的は？
無明が目的、無明のために生かされている。
これを残酷と理解するか、無明の支配のおかげで、
そこから解放されてありのままの現実を知る喜びのチャンスがあると理解するかは各自の解釈にかかっている。
ありのままの現実とは、宇宙の法則を体感し、讃歌し、「わたし」もその宇宙全体の一部であることを実感すること。
「生きると何か？」がわからないのに必死に生きようとしている「わたし」
自動反応回路による衝動で生きている生命体。
無明が私たちを生かす衝動である。
生命体ははじめからココロの病気に陥っている。
生き続けたい、死を避けることを優先させて、「いま・ここ」にいる意味に気づいていない。
ここでいうココロとは「分ける機能」のこと。
５つの関係性
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nibbāna |
涅槃 エネルギーがゼロの宇宙の「意」 |
霊 |
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citta |
意は各物質に宿ると純粋なエネルギーがゼロの純粋なcitta、ヨーガ派のātmanになる。 これにエネルギー（gatiやカルマの種）が付着して汚れた状態を魂と呼ぶ |
魂 |
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cetasika |
cittaに観られたことで、根本自性prakritiにエネルギーが生じる。 これがdhammāエネルギーであり、その集合体がgatiである。 五蘊 物質のイメージ色蘊 感覚（vedana）知覚の判断で気持ち良くなったり悪くなったりする。（入力データの識別）。 知覚（sanna）記憶や経験から良し悪しを判断（データのチェック・分類・好悪の判断）。 反応（sankhara） 意識（vinnana）阿羅漢は行蘊を経由しないで意識化する
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心 |
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rūpa |
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体 |
解脱後のブッダの最初の言葉 Udana
(I. 1–3) and the Dhammapada (XI. 8–9/153–154)
夜の終わり、これまでの永劫の過去世を観とおすことができるようになった釈迦
建造者を探すために修行と苦行を重ねてきた。
そしてその建造者がわかり、これでもう新しい家を作る必要がなくなった。
サンカーラから自由になった。
真実こそが神である。
「存在のサイクルの中で無数の誕生を通して
私はこのサイクルの製作者を探していますが何も見つけることなく、ただ走ってきました。
そして何度も何度も、新しい誕生の苦しみに直面しました。
ああ、創造主よ！今、あなたは見られています。
あなたは私のために再び家を建てることはありません。
すべての梁（桁）は壊れています、
家の棟木（梁）は粉砕されています。
心は条件付けの反応から解放されました。
渇望の終わりに達しました。」
—Dhammapada, XI. 8 & 9 (153 & 154)
建造者とはアビサンカーラ経由の信号を意識することである。
その時に生じるエネルギーすなわち「カルマの種」であり、未来を計画する。
この計画する意識が転生プロセスを継続するエネルギーとなる。
認識論の現在と未来
自然化された認識論[編集]
ウィラード・ヴァン・オーマン・クワインによって提案された「自然化された認識論（英語版）」は、自然科学的な方法論によって認識論を行おうという立場であり、クワイン以降、様々な形で展開されている。
クワインは、まず、古典的な経験主義には二つのドグマがあり、ドクマなき新たな経験主義を確立する必要があると主張する。彼によれば、経験主義には、事実に基づく総合的真理と事実問題と独立な意味に基づく分析的真理の間には根本的な相違があるという信念と、有意味な言明は直接的経験を指示する諸名辞からの論理的構成物と同値であるという信念の二つのドグマがあり、この二つのドグマは同じ根を持つ。経験主義の伝統においては、真理とは、観念と実在の対応であり、その場合の観念とは、一つの名辞を単位に考えられていたが、カルナップらの論理実証主義は、この単位を一つの言明に置き換えた。つまり、ここでは、直接的経験によるセンス・データ（感覚所与）言語に翻訳可能であれば、この言明は有意味であると考えられた。しかしながら、クワインによれば、このように実在と観念の対応を一つの名辞、一つの言明に分解していく還元主義は不可能であり、われわれの認識は一つの言語体系であり、したがって、とある信念を検証するにあたっては、一つの理論の全体との関係で、経験の審判を仰がねばならず、そのコロラリーとして、分析的真理と総合的真理は区別することはできない。
クワインは、これを「全体論」と呼んだが、これによれば、経験による改訂の可能性を原理的に免責されている信念はなく、もし対立する二つの理論があるときは、どのような経験によっても、そのどちらかが完全に否定されることはなく、どのような信念でも保持しつづけることができることになる。
発生的認識論[編集]
ジャン・ピアジェは、心理学者として、とりわけ発達心理学で著名であるが、もともとは古典的認識論の諸問題を解決する糸口を生物学・心理学に求め、「発生的認識論（ドイツ語版）」を提唱した[13]。彼は、多数の実験により幼児の認識の発達段階を解明した上で、認識は対象から独立しており、決して対象に到達することはないが、同時に対象によって支えられているという点で構成的なものであるとする。また、発生的認識論は哲学ではなく、科学であり、極めて専門的・集団的なものであるとの考えから、1955年、発生的認識論国際センターをジュネーヴに設立し、世界中のさまざまな分野の研究者たちとの共同研究を晩年まで精力的に行ない、現在も多くの学者が共同で研究を続けている。
進化論的認識論[編集]
コンラート・ローレンツは、動物行動学で著名であるが、哲学者のカール・ポパーと共に、人間の認識の起源の問題を個々人ではなく、生物種としての人の認知構造に求め、知識の変化を進化とみて通時的なアプローチを試みる「進化論的認識論（英語版）」を主張した。
自然科学の発展と認識論[編集]
1970年代後半に人間の心の本質について新知見をもたらす学問分野が発展し、その後も進展が続いている。脳科学、心理学、認知科学、神経生物学、人工知能、コンピューターなどに関連する研究である。これらの発展は“見る”事がいかになされているか、いかに心が外界の表象を形作るか、いかに情報が蓄えられ再起されるかなどの理解につながっている。これらの分野の発展が認識論に影響を及ぼす事が示唆されている[14]。
認識論の社会化[編集]
近時は社会科学に属する社会学を認識論に応用することはできないかが議論されている。
参考資料
律蔵（巴: Vinaya Pitaka, 英Collection of Discipline）とは『パーリ仏典』の三蔵（巴: Ti-pitaka 他にはSutta Pitaka経蔵 the Abhidhamma Pitaka論蔵がある）における最初の蔵（pitaka）であり、律（巴: Vinaya）に関する文献が収められた領域のこと。
ここに収められている律は、現存する他部派の律との区別の都合上、パーリ律と呼ばれる。
構成
『パーリ仏典』の律蔵の構成は、以下の通り。
波羅提木叉（はらだいもくしゃ、巴: pātimokkha, パーティモッカ） --- 具足戒二百五十条（比丘尼用三百五十条）の本文
経分別（きょうふんべつ、巴: Sutta-vibhanga, スッタ・ヴィバンガ） --- 具足戒（波羅提木叉）の説明
大分別（だいふんべつ、巴: Mahā-vibhanga, マハー・ヴィバンガ） --- 比丘戒
比丘尼分別（びくにふんべつ、巴: Bhikkhuni-vibhanga, ビックニ・ヴィバンガ） --- 比丘尼戒
犍度（けんど、巴: Khandhaka, カンダカ） --- 僧団（僧伽）運営規則
大品（だいほん、巴: Mahā-vagga, マハー・ヴァッガ）
小品（しょうほん、巴: Culla-vagga, チュッラ・ヴァッガ）
附随（ふずい、巴: Parivāra, パリヴァーラ） - 補足内容
日本語訳
『南伝大蔵経・律蔵』（全5巻） 大蔵出版
経蔵（きょうぞう、巴: Sutta pitaka（スッタ・ピタカ）とは、釈迦の教説である経（巴: Sutta（スッタ）、梵: Sutra（スートラ））をまとめたもの。『パーリ仏典』の三蔵（巴: Ti-pitaka, ティピタカ）における2番目の蔵（pitaka）である。
部派仏教時代の形式を留めている上座部仏教（南伝仏教）の聖典である『パーリ仏典』は、現在でも「三蔵」の形式で保全されている。
経蔵は、長部、中部、相応部、増支部、小部の5部から成り、小部を除く4部は、漢訳経典の『阿含経』に相当する。
中国仏教（北伝仏教）においては、大乗仏教経典・偽経の追加や、段階的な仏典の輸入・翻訳が繰り返されたため、元々の「三蔵」や「経蔵」の枠組み自体が壊れてしまった。
漢訳経典は、後に宋代の頃から一切経・大蔵経として総集・再編されていくことになるが、それらは般若経・華厳経など主要な大乗仏教経典を中心に、雑多にまとめられており、律が後景に退き、その大部分が大乗仏教経典・偽経も含む「経」で占められるため、「三蔵」や「経蔵」の概念・呼称を適用しづらいものになってしまった。
チベット仏教
中国よりも更に遅く、大乗仏教・密教化した仏教を段階的に受容したチベット仏教における『チベット大蔵経』も、大乗仏教経典や密教タントラが入り乱れて元々の「三蔵」の枠組みが壊れてしまっているため、中国仏教の『漢訳大蔵経』と事情は大差が無い。
ただし、アティーシャ以来、顕密総合が志向され、「律蔵」「経蔵」に相当する「カンギュル」、「論蔵」に相当する「テンギュル」の組み合わせで『チベット大蔵経』が構成されているため、『漢訳大蔵経』よりは、「三蔵」との対応関係が維持されている。
構成
『パーリ仏典』の経蔵は、以下の「五部」（巴: Pañca Nikāya, パンチャ・ニカーヤ）によって構成される。
長部（ちょうぶ、巴: Dīgha Nikāya, ディーガ・ニカーヤ） --- 長編経典集
中部（ちゅうぶ、巴: Majjhima Nikāya, マッジマ・ニカーヤ） --- 中編経典集
相応部（そうおうぶ、巴: Saṃyutta Nikāya, サンユッタ・ニカーヤ） --- テーマ別短編経典集
増支部（ぞうしぶ、巴: Anguttara Nikāya, アングッタラ・ニカーヤ） --- 数字別短編経典集
小部（しょうぶ、巴: Khuddaka Nikāya, クッダカ・ニカーヤ） --- 特異な経典集
日本語訳
全訳 『南伝大蔵経・経蔵』（全39巻42冊） 大蔵出版
部分訳 経蔵長部 経蔵長部 全訳
参考文献 『原始仏典 長部経典1-3』（第1-3巻）中村元監修 春秋社
『パーリ仏典 長部（ディーガニカーヤ）』（全6巻）片山一良訳 大蔵出版
『阿含経典1-3』 増谷文雄訳 筑摩書房
論蔵（巴: Abhidhamma Piṭaka, アビダンマ・ピタカ）とは、論（巴: Abhidhamma, アビダンマ）に関する文献が収められた領域、蔵（piṭaka）のこと
部派仏教の時代、各部派ごとに各種の「論」（巴: Abhidhamma, アビダンマ、梵: Abhidharma, アビダルマ）が作られたが、今日まとまった形で現存している部派仏教時代の論（アビダンマ/アビダルマ）は、この南伝上座部仏教（分別説部）のパーリ語テキストと、北伝仏教に伝わる漢訳された説一切有部の『六足論』『発智論』（いわゆる「六足発智」）のみである。
構成
『パーリ仏典』の論蔵は、以下の7論で構成されている。
『法集論』（ほうしゅうろん、巴: Dhammasaṅgaṇī, ダンマサンガニー）
『分別論』（ふんべつろん、巴: Vibhaṅga, ヴィバンガ）
『界論』（かいろん、巴: Dhātukathā, ダートゥカター）
『人施設論』（にんせせつろん、巴: Puggala-paññatti, プッガラ・パンニャッティ）
『論事』（ろんじ、巴: Kathāvatthu, カターヴァットゥ）
『双論』（そうろん、巴: Yamaka, ヤマカ）
『発趣論』（ほっしゅろん、巴: Paṭṭhāna, パッターナ）
日本語訳
『南伝大蔵経・論蔵』（全14巻15冊） 大蔵出版
『法句経』（ほっくきょう）『ダンマパダ』（巴: Dhammapada）「法 dhamma）言葉 pada）」
経蔵の「小部」に第2経として収録されている。26章に分かれており、423の詩節を収録する。
仏教の教えを短い詩節の形で伝えた、韻文のみからなる経典。
様々なテクストから仏陀の真理の言葉だけを取り出し、偈（詩）の形にしたもので、編纂者は法救（ほっぐ。Dharmatrāta）と考えられる。
スッタニパータとならび現存経典のうち最古の経典といわれている。かなり古いテクストであるが、釈迦の時代からはかなり隔たった時代に編纂されたものと考えられている。
パーリ語版『ダンマパダ』はパーリ語経典の漢訳としては維祇難等訳『法句経』（大正蔵210）
法炬・法立訳『法句譬喩経』（大正蔵211）があるが、パーリ語版とは配列や内容にかなりの違いがある。
縁起
SOME
REMARKS ON PATICCA-SAMUPPADA
By Ajahn Brahmavamso 11/5/1994
THE MEANING
OF THE TERMS IN PATICCA-SAMUPPADA
The Paticca-samuppada is explained in detail at two places in the Sutta-Pitaka: in the Mahanidana - Sutta, No 15 of the Digha Nikaya; and in the Nidana -Samyutta, Samyutta No XII of the Samyutta Nikaya. The Nidana -Samyutta begins with a simple expression of the 12 links in forward and reverse order. The following Sutta, Vibhanga, No 2 of the Nidana -Samyutta, explains the meaning of each of the 12 terms. I recommend that you read this Sutta carefully so that you will see for yourself what the Buddha meant by each term. In particular you will see that Jati can only mean birth, the sort of birth which for a human occurs in a mother’s womb: ‘Katama ca bhikkave jati? Ya tesam tesam sattanam, tamhi tamhi satta-nikaye, jati, sanjati, okkanti, abhinibbatti, khandhanam patubhavo, ayatananam patilabho, ayam vuccati bhikkave jati (Samyutta XII-2) ‘What monks is Jati? With regard to these and those beings, among the various classes of beings, that which is Jati, Sanjati(a synonym of Jati), descent (into the womb, Okkanti as at Digha Nikaya, Sutta 15 verse 21 "Vinnanam...matu- kucchim, okkamitva’ = ‘the consciousness ... having descended into the mother’s womb’), birth (Abhinibbatti), the appearance of the (five) Khandhas, the acquiring of the sense-faculties (Ayatananam patilabho), that monks is called Jati’- Elsewhere, perhaps, Jati may mean different things, but here, in the Sutta defining the meanings of the terms in the Paticca-samuppada, Jati unmistakeably means the appearance of a being in a particular class of beings, or "birth" as is generally understood for a human being.
The meaning of Bhava can be found at Anguttara Nikaya, Book Of The Threes, Sutta 76. Look this up in Pali and you will relish its deeper meaning.
The meaning of Vinnana can not readily be discerned from the Nidana -Samyutta’s Sutta No 2, but if you look at the Mahanidana - Sutta, No 15 of the Digha Nikaya, you will find the following at verse 21:
"It was said: ‘With consciousness as condition there is mentality-materiality’. How that is so, Ananda, should be understood in this way. If consciousness (Vinnana) were not to descend into the mother’s womb, would mentality-materiality (Nama-rūpa) take shape in the womb?"’
"Certainly not venerable Sir" From the BPS edition ‘The Great Discourse on Causation’ by Bhikkhu Bodhi page 5.
So, the way the Buddha said Vinnana, in the context of Paticca-samuppada, should be understood is clearly as the Vinnana which descends into a mother’s womb at conception, what the Commentaries call Rebirth-Linking-Consciousness.
The meaning of Sankhara as something which produces rebirth can easily be discerned in the Sankhara -uppatti- Sutta, No 120 Majjhima Nikaya. Uppatti is usually translated as rebirth and if you look at the context this meaning is obvious. A typical passage in this Sutta is analysed in Rune E A Johansson’s ‘Pali Buddhist Texts - explained to the beginner’. I recommend that you find this book, look up the passage on pages 66 and 67 and see how the word Sankhara is used in the meaning of a willed activity of body, speech or mind which causes rebirth.
It is essential to know precisely what the Buddha meant when he used each of the 12 terms in the Paticca-samuppada. There is no need to go to the Commentary to find these meanings. They are clearly evident in the Suttas themselves, as I hope I have indicated. Only when one accurately understands the meaning of each of the 12 links is there a hope that one will understand the profundity of the whole Paticca-samuppada as the Buddha meant it to be understood.
THE
FALLACY OF THE "ONE LIFE" INTERPRETATION OF Paticca-samuppada
Once one sees what the Buddha meant by Jati in the context of Paticca-samuppada (see Samyutta Nikaya XII.2 and Mahanidana - Sutta Verse 4) then wriggle as one might, one will have to accept that the Buddha meant Paticca-samuppada to span more than one life. What becomes before Jati, eg Bhava, Upadana, Tanha ..., must refer to something occurring before birth (a cause is simultaneous with, or more often precedes, its effect), ie in what is called a previous existence. To maintain otherwise is merely to ignore the facts and throw away all reason.
Having seen the process that is described by Paticca-samuppada moving from one life to another around Jati, having broken the fixation on a wrong idea, it is easy to accept the meaning of Vinnana as the first consciousness which arises in the new life as implied by the Mahanidana - Sutta, Verse 21: "If consciousness were not to descend into the mother’s womb, would mentality-materiality (Nama-rūpa) take shape in the womb? (Bhikkhu Bodhis translation in "The Great Discourse on Causation", BPS edition, page 59). That Vinnana as the starting point of a new life is the meaning in the context of Paticca-samuppada is also made clear at Anguttara Nikaya, Book of the Threes, Sutta No 61 Verse IX: "Channam bhikkave dhatunam upadaya gabbhasam- avakkanti hoti, okkantiya sati namarūpam, namarūpapaccaya salayatanam, salayatanapaccaya phasso, phassapaccaya vedana." "Monks, based on the 6 elements, there is descent into the womb. This descent taking place, name and shape come to pass. Conditioned by name-and-shape is the six-fold sphere (of sense). Conditioned by the six-fold sphere is contact. Conditioned by contact is feeling" (Gradual Sayings, Vol 1 page 160, Woodward’s translation). A similar formula can be seen in the Nidana-Samyutta, Sutta No 39.
Lastly, it becomes obvious that the full Paticca-samuppada cannot be interpreted as existing in one life when one looks at the first 3 links in reverse order: When Avijja ceases so does Sankhara and, consequently, so does Vinnanam. In other words the ending of Avijja causes the ending of Vinnanam. Now what type of Vinnanam can possibly cease as a result of a person eradicating Avijja, the ignorance of the full meaning of the Four Noble Truths? We all know that an Arahat, one who has eradicated Avijja, remains fully conscious, retaining Vinnanam, after his attainment. He does not become unconscious at the moment of his attainment, ever more to be comatose until he dies! So Vinnanam cannot mean the ordinary, arising in every moment, type of consciousness. However, we all know that sometime after the attainment of Arahat, after a period of days or years after Avijja is ended, the Arahat’s life span ends, the 5 Khandhas dissolve and they never arise again. In particular, the 5th Khandha, the binding Vinnanam, ceases after the life span of an Arahat ends Thus, it is very clear that the Vinnanam which is caused to cease by the ending of Avijja is the first arising of consciousness in a new life, or in other words the rebirth linking consciousness of the Commentary. Nothing else makes sense. No advocate of the "one-life" interpretation of Paticca-samuppada has ever been able to explain how Vinnanam can be something existing in this life and yet ceases in this life for an Arahat!
THE MEANING OF THE PATICCA-SAMUPPADA ACCORDING TO THE BUDDHA
It becomes quite clear that Paticca-samuppada explains the process of rebirth. It gives the answer to the often asked question. "How can there be rebirth when there is no-self?" In explaining the process of rebirth it uncovers the causes of rebirth. So, one can eliminate rebirth by eliminating the causes. Remember that the point of this exercise is to stop being reborn, to get off the "wheel of rebirth", Samsara, or as Ven.Sariputta once answered to a Brahmin who asked what is the true difference between Sukha and Dukkha, "To be reborn (Abhinibbatti) friend is Dukkha. Not to be reborn is Sukha?", Anguttara, book of the Tens, Sutta 65. The Paticca-samuppada explains the process of rebirth in 2 ways starting at 2 causes:
Avijja ® Sankhara ® birth® Vinnanam ® Namarūpam ® Salayatana® Phassa® Vedana and, Tanha ® Upadana ® Bhava ® birth® Jati ® Jara-maranam-soka-parideva- dukkha -domanassa-upayasa. The cause of Dukkha, and rebirth, can be said to be Avijja or can be said to be Tanha. When one stops the other stops immediately. Thus it gives two ways of explaining the process of rebirth, first through willed actions (Sankhara) of body speech and mind originated through Avijja, and second through Tanha giving rise to clinging (Upadana) giving rise to existence (Bhava - see the explanation of Bhava at Anguttara, Book of the Three’s, Sutta 76) producing rebirth (Jati). The first sequence can be seen in the Suttas at Anguttara, Book of the Three’s Sutta 61 Verse IX. The second sequence can be found in the Mahanidana- Sutta, No 15 of the Digha Nikaya Verses 9 - 18.
THE
ARGUMENTS GIVEN AGAINST PATICCA-SAMUPPADA DESCRIBING REBIRTH
Words have different meanings in different contexts and so, for example, can’t Jati mean a metaphorical birth. However the Incomparable Teacher, the Buddha, foresaw possible confusion by giving precise difinitions of the terms. He used when He used them. Thus at the beginning of the Nidana-Samyutta, in Sutta No 2, the Buddha explained methodically the meaning of each term. Even in the Mahanidana - Sutta He made certain that no uncertainty as to meanings could remain: "How that is so, Ananda, should be understood in this way. If there were absolutely and utterly no birth of any kind anywhere - that is, of gods into the state of gods, of celestials into the state of celestials,of spirits, demons, human beings, quadrupeds, winged creatures, and reptiles, each into their own state - if there were no birth of beings of any sort into any state ... " (The Great Discourse on Causation, by Bhikkhu Bodhi, BPS edition page 54). How more clear can one make it?! If one actually looks at the Mahanidana - Sutta, or at the second Sutta of the Nidana-Samyutta, the meaning ascribed to these words in the context of Paticca-samuppada by the Buddha become obvious. In particular, Jati is clearly not intended to be used metaphorically. It is meant by the Buddha to refer to the beginning of life in the various classes of existence, the birth of a living being.
All dhammas, at least useful ones any way, are supposed to be Sanditthiko and Akaliko. How does this apply to the Paticca-samuppada if it spans more than one life?
I am confident that no-one will argue that Marana-sati is a useful Dhamma, and yet Marana-sati is described by the Buddha as contemplation one’s physical death, which is something which has not happened yet! The same can be said of recollection of one’s past liberality. Caganussati, one of the 40 Kammatthana, it is something which happened in the past. How can these be Sanditthiko and Akaliko?
The point is that Sanditthiko does not mean, cannot mean, something existing in the present moment experienced in the present moment! It means something which can be understood in the present moment. Understanding (Panna) is different to experience (Vinnana), see the beginning of the Mahavedella - Sutta (Majjhima Nikaya, Sutta No 43). One can understand each step, each link, of the Paticca-samuppada here and now. Old age (Jara) and death (Maranam) one can see in others, just as the Bodhisatta Gotama saw them as two of the "Devadhuta". They are Sanditthika and Akalika Dhamma even though one may not be personally experiencing them now! they can be clearly understood without doubt, for oneself, here and now ¾ that is what makes them Sanditthika and Akalika. Similarly one can understand Jati, the birth of a human being here and now.
Personally, I have never witnessed a human birth but I have not the slightest doubt that we all come into this present life through the same way, by birth! The possibility of full understanding (Panna) here and now regard to birth, Jati, makes it a Sanditthika and Akalika Dhamma. Bhava can be understood here and now and, if one has a very clear mind, can be experienced as the very same process described at Anguttara, Book of the Three’s, Sutta 76. The same can be said of Upadana, Tanha, Vedana, Phassa, Salayatana and Namarūpam. The Vinnanam as the first consciousness arising in a life can only be understood here and now in the same way that death (Marana) can be understood. Thus if the death of a being, Maranam qualifies as Sanditthika and Akalika Dhamma so does the Patisandhi- Vinnana (rebirth consciousness). Sankhara, the willed Kamma done by body speech and mind which gives rise to rebirth can be experienced as well as understood here and now. In fact, the only link of the Paticca-samuppada which, strictly speaking, can never be experienced even when it is happening but it can be understood is Avijja. Only the Arahat properly understands Avijja and by then it is no more. Of course, no one would argue that Avijja is not part of the Buddha’s Teaching because it can not be experienced! All agree that even Avijja is Sanditthika and Akalika Dhamma, because it can be understood here and now!
The causal relationship between the 12 links can be harder to understand. Indeed, only the Sotapanna and higher Ariyas will fully understand these causal relationships. It must be borne in mind that in such causal relationships, the cause may precede the effect by a lengthy interval. For example, in the causal relationship between birth (Jati) and Maranam (death); the cause, birth, may precede the effect, death, by 100 or more years. A cause which produces an effect after an interval of time is called Purejatapaccayo, pre-nascence condition, the 10th of the 24 Paccaya which we chant at funerals. Because the cause may have ceased before the effect arises, much of causality can both be experienced "in the moment". Instead, causal relations are discerned using Yoniso Manasikara, the work of the mind which goes back to the source (Yoni). Indeed, Yoniso Manasikara is the main cause for the arising Sammaditthi (eg at Majjhima Nikaya, Sutta 43) and Sammaditthi includes understanding Paticca-samuppada (eg at Anguttara, Book of the Tens, Sutta 92). Thus Paticca-samuppada is understood, here and now, by applying Yoniso Manasikara. It is in this way that the causal relations between the 12 links become discerned by Panna and, having been understood here and now, become Sanditthika and Akalika Dhamma.
It is misleading of anyone to claim that one needs Pubbenivasanussati, memory of previous lives, to be able to understand the process of rebirth described in the Paticca-samuppada! One understands Paticca-samuppada using Yoniso Manasikara in the way described above. And, whatever can be understood here and now becomes Sanditthika and Akalika Dhamma.
A Sutta in the Anguttara Nikaya has been understand by some to imply that "Vedana is not always the karmic result of a previous life" and therefore none of the links in the Paticca-samuppada can refer to a previous life.
The Sutta in question is Anguttara Nikaya Book of the Three’s, Sutta 61 verses I-IV. Interestingly, those who quote this part of the Sutta fail to notice verse IX in the same Sutta which I have quoted twice in this letter to support Paticca-samuppada being an explanation of the rebirth process!
The part of the Sutta which is relevant here is verses I-IV which three tenets are put forward and roundly refected by the Buddha as wrong. The first is "Yam kinci purisapuggalo patisamvedeti sukham va dukkham va adukkhama sukham va, sabbam tam pubbe katahetu" ... "Whatsoever weal or wore or neutral feeling is experienced, all that is due to some previous action" (Woodward’s translation in the PTS’s Gradual Sayings Vol 1 page 157). The other two tenets are that ... all that is due to the creation of a Supreme Deity ... (and) all that are uncaused and unconditioned.
It is instructive to notice that this first tenet is repeated verbatim in the Devadaha - Sutta, No 101 of the Majjhima Nikaya, where it is attributed to the Jains. In that Sutta it is clear that the tenet in full is holding that "Whatever Sukha, Dukkha or neutral feeling is experienced, all that is due to some previous action in a past life." This is obviously wrong, as the Buddha pointed out in both Suttas, for everyone should know that some Sukha, some Dukkha and some neutral feelings that are experienced are due to some previous action in this life!
But something else needs to be pointed out about this tenet. If you look at the Pali carefully you may notice that it is referring to the types of feeling that one experiences not to the faculty of feeling (Vedana) in general. It should be understood tht the fact that one has Vedana, the faculty of feeling, at all is due to craving and ignorance in a previous life; but the particular type of feeling, the content of Vedana if you like, does not necessarily depend on kamma of a previous life. Let me offer a simile. A man buys a TV, a year later he moves to a new house and there he sometimes watches channel 1, sometimes channel 2 and sometimes channel 3. the fact that in his present house he has a TV, the fact that he can experience television at all, is because of an act be performed while in his previous house - but the programme he chooses to experience are not all conditioned by some preference or other he built up while in his previous house. In this rough simile, the TV corresponds to Vedana, the programme channels appearing on that TV, channels 1, 2 and 3, correspond to Sukha, Dukkha and Adukkhama Sukha. Again, the fact that one has Vedana of some sort is due to craving and ignorance in a previous life, but the content of that Vedana or rather the particular type of feeling which is experienced is not necessarily caused by an action in a previous life. When one understands this one understands that the tenet being discussed, which originates in Anguttara Nikaya Book of the Three’s Sutta No 61 Verses I-IV, that is has no bearing on Paticca-samuppada.
But in case someone is still not convinced that Vedana has a cause originating in a previous life, I cite the Bhumija Sutta, No 25 of the Nidana Samyutta. "Sant’avuso Eke Samanabrahmana Kammavada:
Sayam-katam sukhadukkham pannapenti
Paramkatam sukhadukkham pannapenti
Sayamkatanca paramkatanca sukhadukkham pannapenti
Asayam-karam aparam-karam adicca-samuppannam sukhadukkham pannapenti" ..There are, friend, certain recluses and brahmins, believer in karma,
who declare that happiness and ill have been wrought by oneself,
who declare that happiness and ill have been wrought by another,
who declare that happiness and ill have been wrought by oneself as well as by others,
who declare that happiness and ill is neither wrought by oneself nor by another but arises by chance" (see Kindred Saying Vol 2 page 30)
Ven Sariputta replies when asked by Ven Bhumija which of the four is correct, "Paticca- samuppannam kho avuso sukhadukkham vuttam Bhagavata kim paticca? Phassam paticca! Iti vadam vuttavadi ceva Bhagavato assa, na ca Bhagavatam abhutena abbhacikkheyya..." "The Exalted One has said that happiness and ill (Sukha Dukkha) come to pass through a cause (Paticca). What cause? The cause is contact (Phassa)! Saying thus you would be repeating the words of the Exalted One correctly and not misrepresenting him" (compare Kindred Sayings Vol 12 page 31, which is heavily abbreviated). (The rest of the Bhumija - Sutta is also of interest for it indicates the role of Sankhara in the performance of Kamma. What Woodward translates as "plan those planned deeds conditioned by ignorance" is in Pali "Avijja paccaya. Kaya or Vaci or Mano - Sankharam abhisankharoti..." which shows Sankhara in the context of Paticca-samuppada means "Karmic actions of body, speech or mind conditioned by ignorance").
Thus Vedana is always caused by Phassa. Furthermore we all know that Phassa is caused by Nama-rūpa and Nama-rūpa is caused by Vinnana. These mind and bodily processed are caused by ignorance and craving in a previous life. Any Buddhist monk who does not agree with this, who does not accept the teaching of rebirth should look at Majjhima Nikaya, Sutta 117: there are 2 forms of Sammaditthi, one for those who still have Asava (Sammaditthi sasava punnabhagiya upadhi-vepakka) and one for the Ariya’s without Asava (Sammaditthi ariya anasava ...) The type of right view which concerns most monks is the former and it is "the view that alms and offerings are not useless, that there is fruit and result, both of good and bad actions, that there are such things as this life and the next life ...". Thus belief in rebirth is clearly stated to be Sammaditthi, its rejection would thus be Micchaditthi.
This completes the refutation of the 3 arguments given against Paticca-samuppada being a description of the process of rebirth. They should be compared with the arguments against the "one-life" interpretation given on page 2-3 of this PS and held alongside the positive arguments for Paticca-samuppada (expressed on pages 1-2 and on pages 3) being a process spanning more than one life. Then you can make your own decision based on the Suttas.
A
LAST WORD ON THE QUESTION OF HOW ONE "USES" PATICCA-SAMUPPADA IN
"DAILY LIFE"
On any journey one needs a map. An accurate map. The true understanding of Paticca-samuppada as describing the process of rebirth and exposing its causes is a large part of that map, if not the whole. That map is acquired at Sotapanna -phala. Before one has that attainment, one doesn’t really get very far at all. That is why only after the attainment of Sotapanna - phala until one completes one’s work is one called Sekha "in training". Before Sotapanna, without the map, one is neither Sekha nor Asekha. Without Sammaditthi, without the map, one wanders in circles. With the arising of Sammaditthi, when the Path becomes clear (Maggo Sanjayati see Anguttara Nikaya,Four’s, Sutta 170) One can start walking that Path, one can start training. The Ariyan Eightfold Path is the eightfold Path walked by the Ariyan. The Putthujjana walks another Eightfold Path which is not yet deserving of the adjective Ariyan.
So it is vitally important to obtain that map, to gain Sammaditthi of the Ariyan kind. Suttas such as the Mahavedella - Sutta, No 43 of the Majjhima Nikaya show that this sort of Sammaditthi arises due to 2 causes: Yoniso Manasikara and listening/understanding the words of another (Parato Ghoso) (see Middle Length Sayings Vol 12 page 355) and is supported by 5 factors: Sila, Suta (equivalent to what we would call "book-knowledge), Sakaccha (discussing the Dhamma), Samatha and Vipassana. Thus if one aspires to become a Sotapanna look to either one (or both) of the 2 causes and support them with the 5 factors. That is how one should be practising in daily life.
After Sotapanna, one practises according to the Ariyan Eightfold Path which is then abundantly clear to one.
The point is, Paticca- samuppada , or rather its true realisation, is the heart of Sammaditthi of the Ariyan. It forms the foundation for further practise of the Ariyan, for the putthujjana, one practises in order to realise the Paticca-samuppada, especially by Yoniso Manasikara supported by the Five factors. The putthujjana practices aspiring to uncover the Paticca- samuppada, not assuming he knows it!
"Gambhiro c’ayam Ananda Paticca -samuppado gambhir’avabhaso ca!"
(Digha Nikaya, Sutta 15, Mahanidana - Sutta, Verse 1)
"This Dependent Arising, Ananda, is deep and appears deep!"